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卒業研究のテーマ決めに関連して

2020年4月10日 (金) 投稿者: メディア技術コース

外出の自粛要請があるなかで、本大学の教員も自宅勤務の指示がでています。運動はもっぱらリングフィットネスをやっています。結構汗がダラダラと流れるくらいの運動なのですが、最後に表示される消費カロリーがビール缶半分くらいで凹みます。レベルは70を超えたのですが、ウェブの情報によるとまだまだ全然のようですね。

 

ところで、新学期のスタートは遅れていますが、4年生は卒業研究のテーマを決めなければならない時期です。私の研究室ではいつも3年生の終わりには決まるように指導するのですが、それでもテーマを決定できている人は多くありません(むしろほとんどいない…)。一つの理由としては、私の研究室で扱う内容の自由度がある程度高いせいで、かえって決められないのだと思います。しかしながらそれとは別に、卒業研究では独自性のあるテーマが求められることも理由としてあるでしょう。既に行われていて方法も説明されているものをやったとしても、それは研究ではなく演習です。適切なテーマを見つけることは難しいことですから、ある程度、教員がサポートする必要があります。

 

ところで、研究テーマに限らず一般的に新規のアイデアを思いつくための方策に関連して、以下のような文章を見つけました。これは「ゲーデル・エッシャー・バッハ」という本の中で、知能の特徴はどのようなものかということで筆者が挙げていたリストの一部です。新規のアイデアを思いつくための指針ではないのですが、以下の項目は頭の使い方として参考になるのではないかと思います。

 

・ …

・ いろいろな相違によって分離されかねない状況の類似点を発見すること

・ いろいろな類似点によって結ばれている状況を区別すること

・ 古い概念を新しいやりかたで結合することによって新しい概念を構成すること

・ 新奇な着想を思いつくこと

 

「ゲーデル、エッシャー、バッハ」、ダグラス・R・ホフスタッター、白揚社、p.42, 43

 

1つ目と2つ目は、全く違うと思われるものの共通点を見つけだすことと、同じように思われるものの違いを認識するということですね。そうすることで、あるものに有効な手法を別の分野のものに適用するようなアイデアが浮かぶかもしれません。3つ目の項は、新しいアイデアというのは、従来あるものの新しい組み合わせ方を見出すことによって行えるということですね。アイデアというのは無から新しいものが突如として現れるわけではないということです。このような方法で新しいアイデアを思いつくためには、多くの分野のことを知っているほうが有利です。これはメディア学部の学生は得意であってほしい部分ですね。最後の項目はアイデアを考えるための助けにはなりませんが、知能というのはそういうことができるものだ、ということですから、知能を証明できるように面白い発送を是非思いついて欲しいと期待しています。従来の手法の改良というようなテーマも研究としては重要ではありますが、メディア学部としては、多様なものの学習を土台として、新しいアイデアを提案するような研究テーマに是非取り組んで欲しいと思っています。図らずも訪れた休みの期間を利用して、普段興味を持たないような多くのことの知識を仕入れる機会としてみてはいかがでしょうか?

 

 

太田高志

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