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2020年5月

医療・介護スタッフの皆様に感謝。

2020年5月31日 (日) 投稿者: メディア社会コース

今日で私が担当するブログウィークが終わります。

最後に、医療・介護スタッフの皆様への感謝の気持ちを書きます。

 

新型コロナにより、これまでのような生活が出来なくて不便に感じている人がほとんどかと思います。キャンパスでの生活を待ち望んでいた新入生の皆さんもそうでしょう。サークル活動を頑張ってきた2年生以上の皆さんも、新入生を迎えられないことが残念でしょう。授業もオンラインになり、学生同士も頑張ってSNSを通じて交流していることかと思います。

 

しかし、やはり忘れてはいけないのは、オンラインでは出来ない仕事で社会を支えている皆さんへの感謝の気持ちだと思います。特に、医療・介護については、全てをオンラインにすることは出来ません。警察・消防・物流・小売・公共交通機関についても同様です。私たちの生活を支えてくれている皆さん、本当にありがとうございます。

 

自分に出来ることはとても少なくて、なるべく外出を控えて、感染拡大を防ぐことくらいです。海外では医療従事者への感謝の気持ちを表す行動が以前からニュースでよく取り上げられます。最近では、日本でもそのような行動が見られるようになってきました。すでにご存知かもしれませんが、緊急事態宣言が解除された今も最前線で働いている方のことを忘れないために、いくつかご紹介したいと思います。

 

午後7時の拍手(YouTUbe)

ニューヨークでは、毎日午後7時になると外に出て「拍手」をしているそうです。医療従事者の皆さんへ、自分たちの感謝の気持ちを伝えるためです。

救急隊員へのサプライズ拍手YouTUbe)

朝、救急隊員が出勤しようとすると、同じ通りに住んでいる人々がみんなで拍手を送っています。本人には知らせず、サプライズで行ったようです。見ているこちらも、もらい泣きしてしまいますね。

新型コロナウイルス感染症:拡大防止活動基金(READY FOR)

日本ではクラウドファンディングにより、新型コロナウィルスに立ち向かっている人、困っている人などを支援する活動が活発になってきています。

#最前線にエールを何度でも(日本赤十字)


<引用> --------------
いま、新型コロナウイルス感染症で、
医療の現場は、これまで経験したことのない危機的な状況です。
医師や看護師などの医療従事者が、命がけで立ち向かっています。
医療の現場に負担をかけないために、
自宅にいるように心がけている方々もいらっしゃる一方で、
ウイルス感染の危険のある現場で働く人たちに、
心ない言葉をかける人がいることも事実です。
このままでは、医療従事者の中には、
孤立を感じ、心が折れてしまう人も出てきてしまう、そんな状況です。
全国の医療従事者と、それぞれの場所で
この感染症に立ち向かっている全国のみなさんの気持ちを
ひとつにすることはできないか。
そんな想いから、このプロジェクトを立ち上げることにしました。
それが、「#最前線にエールを何度でも」です。
医療ドラマの主題歌にもなったDREAMS COME TRUE「何度でも」。
何度くじけそうになっても立ち上がろうとするこの曲に、
「励まされた」という医療従事者の声も多いことを知り、
UNIVERSAL MUSICにお願いをして、
みんなが想いをのせる曲として、
無償で使用させていただけることになりました。
全国のみなさんから、赤十字病院だけでなく、全国の医療従事者へのエールを、
新型コロナウイルス感染症にともに立ち向かう同じ仲間としてのエールを、
どうぞ、よろしくお願いいたします。

(後略)

--------------

新型コロナと共存して社会活動を進める今、自分が何をするべきなのか、自分には何が出来るのか、よく考えて行動したいと思います。

さて、私のブログウィークはこれにて終わりです。ありがとうございました。

 


メディア学部 吉岡 英樹

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略歴:バークリー音楽院ミュージックシンセシス科卒業後、(有)ウーロン舎に入社しMr.ChildrenやMy Little Loverなどのレコーディングスタッフや小林武史プロデューサーのマネージャーをつとめる。退社後CM音楽の作曲家やモバイルコンテンツのサウンドクリエイターなどを経て現職。1年次科目「音楽産業入門」を担当。現在のコンテンツビジネスイノベーション研究室は2020年度にて終了し、聴覚障害支援メディア研究室として新たなスタートを切る。


 

オンデマンド授業動画でカメラ目線を実現する画期的な方法

2020年5月30日 (土) 投稿者: メディア社会コース

遠隔授業になり、毎日のようにユーチューバーになったつもりで動画を制作している。

毎回の授業で最初の10分くらいは、せめて顔出しして話そうと決めている。身振り手振りを使ったり、表情で伝えたり、少しでもどんな先生がどんな気持ちで話しているのかを伝えたいからだ。学生からしたら余計なお世話かもしれないが、自分が納得いくように授業を進めたい。出来る限りのことをしたい。ただ、それだけだ。「先生は顔を出さなくてもいいんですよ」なんて言っている方もいるが、ちょっとくらい出しても良いではないか。

しかし、いざ撮影をしてみると、左下の小窓に写った自分が気になってしまい、ついそちらを見てしまう。

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これでは印象がよろしくない。でも、自分がどのように映っているのか気になってしまう。

目線が下を向いていると、緊張しているとか、自分に自信がないのではと思われてしまう。

そこでなるべく上の方を見ようと努力するが、こんどはスライドの内容を読んでしまい、ついつい画面中央辺りを見てしまう。

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これもダメだ。見ている人に向かって話をしなければ伝わらない。

目線が落ち着かないと、恥ずかしいのではないかとか、本当のことを言ってないのではないかと疑われてしまう。

どうしたらカメラ目線で話が出来るのか、毎日の撮影で悩んでいた。

カメラの方を見る努力をするのだが、目線がキョロキョロして落ち着かない。

まず、そもそもカメラの位置が良くわからない。

この、小さな丸か。ターゲットが視覚的に明確でないと、視線が固定されないのは仕方ないのではなかろうか。

なんか黒くて、分かりにくい。

調べてみると、どうやら3次元空間において眼球運動を行って、得られた信号を脳の前頭眼野後部領域で受け取ることが影響していそうだが、これを調べ始めると時間がかかりすぎてしまう。

そうだ、ようは見るべきターゲットがもっと明確になっていれば良いのか。

これでどうだ。

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これが、カメラ目線を実現した瞬間だ!

では、いよいよこの画期的な方法を紹介しよう。

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これなら笑顔にもなれる。

作り方は、ご想像にお任せする。

 

 


メディア学部 吉岡 英樹

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略歴:バークリー音楽院ミュージックシンセシス科卒業後、(有)ウーロン舎に入社しMr.ChildrenやMy Little Loverなどのレコーディングスタッフや小林武史プロデューサーのマネージャーをつとめる。退社後CM音楽の作曲家やモバイルコンテンツのサウンドクリエイターなどを経て現職。1年次科目「音楽産業入門」を担当。現在のコンテンツビジネスイノベーション研究室は2020年度にて終了し、聴覚障害支援メディア研究室として新たなスタートを切る。


 

緊急事態宣言解除後のテレワークと「新しい思考」

2020年5月29日 (金) 投稿者: メディア社会コース

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完全にテレワークに移行した3月末から2ヶ月が過ぎた。打ち合わせや会議がビデオ会議になり、研究室のゼミもチャットやビデオ会議で行ってきた。遠隔授業の準備も進めてきて、5月20日から授業開始となった。少々お恥ずかしいが、写真はキャンプ用品を代用した私のテレワークスペースである。家にスペースがないので、毎日このスペースを作っては片付けているのだ。キャンプが好きなので、少しでもモチベーションが上がるようにという思いもある。

緊急事態宣言が解除されたが、大学のテレワークはまだしばらく続くだろう。これまでのテレワークを振り返ると共に、これからもテレワークの方が望ましいことはどんな場面なのかを考えてみたい。

まず、私が感じているテレワークのメリットは以下の通りだ。

  • 往復で約3時間の通勤がない。
  • 打ち合わせ、会議、シンポジウム等への移動時間がない。
  • ビデオ会議を使って、同時に2つのイベントに参加できる。
  • 書類の電子化が一気に進んだ。
  • 家族と過ごす時間が増えた。

逆に、私が感じているデメリットは以下の通りだ。

  • 移動時間がないため、考え事をする時間がなくなった。
  • 仕事に集中しすぎてしまうため疲れる。
  • 子どもの世話をしながら仕事をしなければならない。
  • 運動不足になる。

しかし、ここで考慮しなければならないのは、新型コロナウィルス対策としての「活動自粛」に伴う要素と、「テレワーク」そのものについては、切り分けて考える必要がある。例えば、子どもの学校は今後再開の方向へと向かっているため、登校する日が徐々に増えていくだろう。子どもが家にいることで仕事をしにくいというデメリットは減っていくと考えられる。また、感染対策をすれば外出する機会は増えていくだろうから、運動不足も徐々に解消されるだろう。

こうやって考えてみると、テレワークを実践してみて感じたメリットについては、今後も継続していけると、仕事の効率化につながるだろう。ただでさえ、「仕事改革」が話題となっていたのだから、これを機会に改革しなければ、いつするのだろうと思う。これ以上のチャンスは無いだろう。

「新しい生活様式」という言葉が今一つ分かりにくいことから、「元の生活に戻る」という選択をする人も一定数いるように感じる。その気持ちは十分すぎるほど良く分かる。しかし、現実問題として感染者は減ったものの「新型コロナ」自体の本質は何も変わっていない。これから来るだろう第2波、第3波に備えて、自分の脳の中を「新しい思考」にまずは変えなければならない。その出発点がなければ、「新しい生活様式」を実行することには繋がらない。

では、「新しい思考」とは何か。

「元の思考」に基づいて考えるのは容易だが、実際には様々な障壁があり元通りに行動するのは困難であろう。逆に、「新しい思考」を自分の中に構築するのは大変かもしれないが、これからの現実社会において行動しやすくなるだろう。そして、「新しい思考」に基づいて行動できる人が、これからの社会を前に進めていくのだと思う。

イギリスNESTA(科学技術芸術国家基金)の記事を和訳したサイトを紹介する。実に多方面においてこれから起こりうる変化について書かれており、大変考えさせられる記事であるのでぜひご一読頂きたい。

「平常に戻る」ことはない(和訳)

引用>

パンデミックは世界を永久に、そして根本から変えるだろう。例えば、各国が今後数か月でCOVID-19の蔓延を抑制できたとしても、政治的、経済的、社会的、技術的、法的、環境的な影響が何十年も続くことになるだろう。

この記事では、世界がどのように変化するかについて、様々な見方(しばしば反対の見方)を要約し、総合的にまとめている。明らかに、これらは空論である。未来がどのようなものになるか誰にも分からない。しかし、危機は必ず深く予期しない変化を促し、パンデミック前の正常な状態に戻ることを期待している人々は、以前のシステム、構造、規範、仕事の多くが消滅しており、戻る事はないと知って愕然とするかも知れない。

そのため、適応能力とイノベーションはこれまで以上に重要になってくる。数か月でビジネスが通常どおり再開することを期待する経営陣にとっては「万が一に備える」という誘惑に駆られるかも知れないが、多くの経営陣は、市場が消滅し、パートナーやサプライチェーンが変化し、利害関係者の優先順位が根本的に異なっていることに気付くだろう。Nestaでは、この分析を基に、COVID-19の余波で起こり得る将来のシナリオにおけるイノベーションの役割を探っている。私たちは皆、出現する新しい世界に適応しようと考えているため、この分析が他の人の組織内で重要な議論を促進するのに役立つことを願っている。

(後略)

 


メディア学部 吉岡 英樹

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略歴:バークリー音楽院ミュージックシンセシス科卒業後、(有)ウーロン舎に入社しMr.ChildrenやMy Little Loverなどのレコーディングスタッフや小林武史プロデューサーのマネージャーをつとめる。退社後CM音楽の作曲家やモバイルコンテンツのサウンドクリエイターなどを経て現職。1年次科目「音楽産業入門」を担当。現在のコンテンツビジネスイノベーション研究室は2020年度にて終了し、聴覚障害支援メディア研究室として新たなスタートを切る。


 

新型コロナウイルスの影響により聴覚障害者が困っていること

2020年5月28日 (木) 投稿者: メディア社会コース

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聞こえる人が、聞こえない人や聞こえにくい人が困っていることに気づくことは、なかなか難しいことです。なぜなら、私たちは幼児期にいつのまにか音を認識するようになり、言葉を覚え、音声でコミュニケーションをとるようになります。どうやって言葉を覚えたか、記憶にはないのです。

だからこそ、聞こえない人や聞こえにくい人が、どのような事で困っているのかを知る努力をする必要があります。そうすることで、ダイバーシティ社会(多様な人々を受け入れることが可能な社会)を実現することができます。政府の政策や法律なども重要ですが、私たち一人一人が少しずつ知識を増やし、行動することで、より良い社会になるのです。

このブログでは、新型コロナウイルスの影響により聴覚障害者が困っていることをご紹介します。

1)パラリンピック・レポーターの後藤佑季による動画
聴覚障害があり人工内耳を装用している後藤佑季さんが、手話も交えながら、聴覚障害者の片方がどのようなことで困っているかを解説している動画です。特に、マスクをしていると口元が見えないため、相手が言っていることが分からくなります。ジェスチャーや筆談など、視覚的なコミュニケーション手段を活用するのが有効です。

[新型コロナウイルス] 聴覚障害者からのお願い | おはよう日本 | NHK

2)フェイスシールドを付ける手話通訳者
新型コロナへの対応について安倍首相が会見を開く機会が多くなりました。とても重要な情報ですので、聴覚障害者のために手話通訳者がつくようになりました。実は、全国の知事の会見などでは全てに手話通訳者がついているとは限らず、聴覚障害者の方々が要求して、手話通訳者がつくようになってきました。

最初のころは、手話通訳者の方がマスクをしていたのですが、先ほども述べたように、口元の情報が伝わらないため、聴覚障害の方は困っていました。そこで、手話通訳者の方がフェイスシールドをするようになったのです。手話は手の動きだけでなく、口元や表情で伝える表現も多いため、顔の一部を覆う訳にはいかないのです。以下の記事でも紹介されています。

手話通訳者 “透明シールド”で政府会見に / 日テレニュース24

3)リアルタイムに字幕をつけるアプリ
テレワークや遠隔授業が増えたことで、ビデオ会議サービスの利用が増えました。聞こえない人はもちろん困りますが、補聴器や人工内耳である程度聞こえたとしても、インターネットを介した音声は音質が悪く、とても聞き取りにくいものです。そこで、音声をリアルタイムに文字化してくれるテクノロージが役に立ちます。

UDトーク

スマートフォンにインストールして、ビデオ会議の時にパソコンの横に置けば、聞こえてくる話をテキストに変換してくれます。誤変換もあるので、可能であれば編集者を用意して、修正するのが望ましいです。大学の授業であれば、ノートテイカーと呼ばれる学生アシスタントにお願いすることがあります。

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ブラウザのGoogle Chromeで、このURLにアクセスするだけで、話している言葉を文字化してくれます。文字の大きさなどを変更することも可能です。

いずれのツールも、聞こえる人が使うもので、ビデオ会議のメンバーに聴覚障害者がいる場合には、このような配慮をすることで一緒にコミュニケーションをとることが出来ます。

これまで研究を進めている中で興味深いのは、聴覚障害者への配慮として考えられていたことが、実は聞こえる人にも役に立つということです。私の講義でUDトークを使って、私が話していることをリアルタイムに文字化してみたところ、受講生約250名のうち、8割以上が「字幕があった方が理解しやすい」と答えました。

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図:「Q. 授業を理解するのに字幕は役に立ちましたか」の回答

人の認知特性には、視覚優位と聴覚優位があるそうです。視覚優位の場合は、字幕があった方が理解しやすくなります。近年では視覚優位の人が増えているという研究もあります。字幕があることで、聞き逃した事や、聞こえたけど自信のない箇所を確認することが出来るため、多くの人に役にたつようです。

オンラインでのやりとりにおいて字幕をつけるなどの視覚的な情報保障をすることは、聴覚障害者のためだけということではなく、多くの人に役立つのかもしれません。

 


メディア学部 吉岡 英樹

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略歴:バークリー音楽院ミュージックシンセシス科卒業後、(有)ウーロン舎に入社しMr.ChildrenやMy Little Loverなどのレコーディングスタッフや小林武史プロデューサーのマネージャーをつとめる。退社後CM音楽の作曲家やモバイルコンテンツのサウンドクリエイターなどを経て現職。1年次科目「音楽産業入門」を担当。現在のコンテンツビジネスイノベーション研究室は2020年度にて終了し、聴覚障害支援メディア研究室として新たなスタートを切る。


 

聴覚障害児の学びのためのアプリ「Vocagraphy!(ボキャグラフィー)」をリリース。

2020年5月27日 (水) 投稿者: メディア社会コース

2020年3月10日に、聴覚障害児の学びのためのアプリ「Vocagraphy!(ボキャグラフィー)」をリリースしました。無料ですので、iPhone、iPad、iPodをお持ちの方は、ダウンロードすれば機能制限なくすぐにお使い頂けます。

Img_d34a089a16421アプリの画面


ダウンロードはこちら>
https://apps.apple.com/jp/app/id1499771418

ホームページはこちら>
http://www.blw.jp

開発協力:株式会社 夢現舎

「Vocagraphy!(ボキャグラフィー)」は、難聴児のパパでもある私が難聴児の療育のために作った、"ことば"を楽しく・早く・たくさん覚えられるようにするためのスマホアプリです。「Vocagraphy!」は、【語彙(vocabulary)】と【写真術(photography)】を合わせた造語で、画像を活用して"ことば"を効率よく覚えることを意味しています。健聴のお子さんや大人でも、使い方次第で、様々な用途に活用することができます。

難聴児は聞こえにくいことが要因で、ことばを覚えるのに時間がかかります。そのため、毎日のように勉強を重ねて、ようやく語彙数が増えていきます。もし音が聞こえるとしたら、家庭、友だちとの遊び、テレビや街中などに溢れることばを自然に聞いて、どんどん吸収していきます。しかし、難聴児のパパとして、諦めるわけにはいきません。これまでの方法だと覚えるのが遅いのであれば、効率よく、楽しく、たくさん覚えられるようにすれば良いと考えて作ったのが「Vocagraphy!」です。スマホで簡単に自分だけのオリジナル教材を作り、いつでも、どこでも、楽しく、たくさん、ことばと画像に触れることが大切だと考えています。

たとえば、いつも歩いている道に咲いている花、そこにとまっている虫、道にある標識など、生活の中には覚えなければならないことばがたくさんあります。「Vocagraphy!」を使えば、身の回りのモノを"オリジナル教材"に変えることができるのです。写真を撮って、アプリに取り込み、ことばを入力するだけで完成します。

また、教材の中に「でんわ」ということばと"絵"があったとします。皆さんは「でんわ」と聞いて、どのような絵を思い浮かべるでしょうか。古い教材には昔の黒電話のような絵が書いてあるかもしれません。もしくは固定電話の子機やガラケーでしょうか。今ではスマートフォンも電話と呼びます。私は、子どもが覚えなければならないのは、これら全ての「でんわ」なのだと考えています。聞こえる子どもなら、「昔の電話は線でつながっていて・・・、最初の携帯電話はとても大きくて・・・」とお話をすれば、それほど時間をかけずに覚えるでしょう。しかし、同じことを聞こえにくい子どもに教えるには、時間と根気、そして工夫が必要です。

従来の「ことばカード」などでは、一つのことばに対して一つの"絵"が書いてありますが、「Vocagraphy!」では、一つのことばに対して、"複数の画像"を表示することが出来ます。しかも、自分で撮影した画像を割り当てられるのです。見たこともない機械の絵より、いつも見ているモノの方が親しみやすく覚えやすいからです。「でんわ」であれば、いつも見ているスマホのほか、ガラケー・親機・子機・公衆電話・黒電話などの写真を登録して、全てが「電話の仲間」だということや、「電話は遠くの人と話をする仕組み」という概念を教えてあげることができます。この話を子どもの習熟度に合わせて発展させれば、「昔」や「今」といった時間の概念や、「電波」や「インターネット」といった技術的な話まで広げることが出来ます。「Vocagraphy!」のメモ機能を活用して、少しずつ関連したストーリーを追記すれば、ことばを覚えるだけでなく、知性の発達につながるでしょう。

「Vocagraphy!」の使い方はシンプルです。カードを作り、写真を取り込み、文字を入れるだけ。使い方は自由ですので、自分なりのオリジナル教材を作ってみましょう。

受験勉強にも使えますよ!

 


メディア学部 吉岡 英樹

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略歴:バークリー音楽院ミュージックシンセシス科卒業後、(有)ウーロン舎に入社しMr.ChildrenやMy Little Loverなどのレコーディングスタッフや小林武史プロデューサーのマネージャーをつとめる。退社後CM音楽の作曲家やモバイルコンテンツのサウンドクリエイターなどを経て現職。1年次科目「音楽産業入門」を担当。現在のコンテンツビジネスイノベーション研究室は2020年度にて終了し、聴覚障害支援メディア研究室として新たなスタートを切る。


 

遠隔授業モデル(演習編)の紹介

2020年5月26日 (火) 投稿者: メディア社会コース

5月20日から正式に大学の授業が始まった。私は4月からオンラインで研究室の学生と少しずつ実験を行っていた。遠隔授業よりも対面授業が良いと考える人もいるかもしれないが、遠隔授業のメリットはたくさんある。これまでに感じたポイントをまとめてみる。

<遠隔授業のメリット>

  • オンデマンド授業用のデジタルコンテンツは、必要のない「間」を切り取れば、テンポの良い講義になる。
  • デジタルコンテンツの教材だと、途中で止めたり、分からない箇所を繰り返したりすることが出来る。
  • ビデオ会議システムやチャットによるリアルタイム授業だと、対面よりも質問がしやすい。
  • 全てがパソコンの画面上で行われているため集中できる。
  • デジタルツールを必死に覚える機会になったため、便利な機能をたくさん使って、効率化が図れている。

これらの中には、もちろんデメリットにもなりうる事もある。

<遠隔授業のデメリット>

  • オンデマンド授業用のデジタルコンテンツは、 学生の表情を見ながら話せないので当然完全な一方通行になる。
  • ビデオ会議システムだと学生が顔を出してくれないので、表情が分からない。
  • チャットも当然表情が分からないので、細かいニュアンスが伝わらない。
  • パソコンの前で、長時間集中すると疲れる。

また、学生のネット環境や世の中の通信インフラへの配慮が求められており、データダイエットをするのがエチケットになっている。つまり、遠隔授業における通信データ量を出来る限り減らす必要があるのだ。以上のことを踏まえて、私の演習(100分×2コマ)はこのように進めることにした。

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最初はGoogle Classroomに集まり、ストリーム (チャット)に全員が集まったことを確認したら、その日の授業で何を学ぶのか動画(YouTube)で説明する。その後、Classroomから授業資料(PDF、音声ファイル)と課題(Word)をダウンロードして、音声ガイダンスに従って授業資料を見ながらオンデマンド授業を行う。授業は約30分刻みにして、zoomで他の学生とブレイクアウトルームでディスカッションしたり、私が質問に答える時間を10分ほど設ける。この時間を設けることで、理解度を深めるねらいがある。最後はzoomの時間を少しながめにとり、全体を通した質問に回答したり、次回の予告などを行う。課題は30分刻みの授業内容ごとにまとめを書くように指示して、最後にアップロードしてもらう。この課題を提出することで、出席確認を行う。

なお、PDFと音声ファイルによる授業の中では、YouTubeなどにある外部のコンテンツにもアクセスしてもらうことを想定しており、インターネット上の様々な情報から学んでもらうようにしている。

まだ授業は始まったばかりで、今後いろいろな問題が出てくるだろう。しかし、今は緊急事態だ。学びを止めないことが最優先である。そのために全力を注いで遠隔授業の準備を進めてきた。それにより得られた知見は、自らにとってポストコロナを生き抜いていくための大きな資産となるだろう。

 


メディア学部 吉岡 英樹

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略歴:バークリー音楽院ミュージックシンセシス科卒業後、(有)ウーロン舎に入社しMr.ChildrenやMy Little Loverなどのレコーディングスタッフや小林武史プロデューサーのマネージャーをつとめる。退社後CM音楽の作曲家やモバイルコンテンツのサウンドクリエイターなどを経て現職。1年次科目「音楽産業入門」を担当。現在のコンテンツビジネスイノベーション研究室は2020年度にて終了し、聴覚障害支援メディア研究室として新たなスタートを切る。


 

新入生向け「2020MSキックオフイベント」の舞台裏

2020年5月25日 (月) 投稿者: メディア社会コース

5月18日(月)16:30から、Google Meetで新入生を対象とした「2020MSキックオフイベント」が開催された。参加者は250名の上限に達し、入れなかった学生はストリームによる視聴をすることになった。ミーティングルームに参加出来なかった学生には、本当に申し訳ないことをしたと思っている。なぜなら、ミーティングルームだとチャットがあるので、教員に直接質問を投げかけることが出来て、リアルでイベントをやるよりもコミュニケーションをとりやすいからだ。また、あまりにチャットが盛り上がり、途中でブラウザが固まってしまい、再ログインした人もいたようだ。

新入生の皆さん、盛り上がりすぎて本当に申し訳なかった。

ちなみに、このイベントに参加しなくてもキャンパスライフには何の問題もないことはお断りしておく。企画の段階から、そういう位置付けのイベントだった。大事な情報はオンデマンドの新入生ガイダンスに全て掲載されている。これを踏まえてこの記事を読んで欲しい。

さて、参加したメディア学部の新入生は、何が起こったかよく分かっているだろう。司会は伊藤彰教(イトウ アキノリ)先生で、昨年はキャンパスで開催された新入生交流会でも司会をした。これを聞けば分かるだろうが、安定した進行をしてくれる事は間違いない。学部長や教務委員長など、「長」が付くポジションの先生方を次から次へとテンポ良く紹介していくという流れだ。私はその相方に選ばれた。テレビ番組で言えば女子アナの立ち位置なのだろうが、私は男性だ。新入生を迎える最初のリアルタイムイベントでおじさん2人が司会をしているのを想像したら・・・・・、これはまずい。エンタメ業界出身者としては、何かやらなければという使命感が湧いてきた。これは、誰からもお願いされていないことは言っておく。

その結果、がこれだ。

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ご存知の方も多いだろうが「Snap Camera」というアプリケーションだ。少しでもメディア学部っぽいエフェクトを選択したつもりだ。チャットを見た限り、なかなか盛り上がっていた。すると、タイムラインに「口からビームは出ますか」と、なかなか挑戦的なコメントがあった。その結果が、これだ。

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口からビームは出せなかった。しかし、さっきよりはビームが強くなったので、盛り上がってくれた。キックオフイベントはこの辺りで終了し、そのままプロジェクト演習の説明会へと進行した。私もそのままアシスタントをさせて頂いたが、質問がたくさん出てきて追いつかないほどだった。

説明会も全て終了し、新入生はどんどん退出していく。盛り上がっただけに、名残惜しい。ここでまた、自らのサービス精神を止めることが出来なかった。私は反射的に、こんな感じに化けた。

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あと、こんな感じにも。

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最後に、これも。犬が動き回るので、なかなかカワイイ。

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今回のイベントは、何よりも自分が楽しかった。新入生のみんなも同じように感じてくれたなら嬉しい。これは、オンデマンドでは味わえない。やはり、リアルタイムに共有することで可能になるのだろう。

そして、オンラインでの自分とは何か。アプリにより自分の能力以上のことが発揮できたのは間違いない。私にはビームは出せない。でも、それが可能になるのがオンラインだ。振り返ってみて、今回重要だったのは出発地点の「何かやらなければという使命感」だったのではないかと思う。もちろん、失敗もあるだろう。でも、挑戦すれば、いつか良い結果が得られるだろう。その積み重ねにより、過去の自分には出来なかったことが、出来るようになっているのかもしれない。

オンラインで、今までにはない自分が見つけられるのかもしれない。

 


メディア学部 吉岡 英樹

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略歴:バークリー音楽院ミュージックシンセシス科卒業後、(有)ウーロン舎に入社しMr.ChildrenやMy Little Loverなどのレコーディングスタッフや小林武史プロデューサーのマネージャーをつとめる。退社後CM音楽の作曲家やモバイルコンテンツのサウンドクリエイターなどを経て現職。1年次科目「音楽産業入門」を担当。現在のコンテンツビジネスイノベーション研究室は2020年度にて終了し、聴覚障害支援メディア研究室として新たなスタートを切る。


 

 

キャンパスに集うということ

2020年5月24日 (日) 投稿者: メディア技術コース

メディア学部でも、いよいよ遠隔授業が始まりました。

いろいろとトラブルがあるのではないかと心配しましたが、今のところおおむね順調にいっているようです。早起きをしなくて良くなったせいか、むしろ出席率が高くなったんじゃないかという授業もあります。また、チャットで質問を受け付けることにしたら、普段より気軽に質問できるようになったという人もいるようです。コンピューターやインターネットに馴染みの深いメディア学部だからという面もあるでしょうが、「遠隔授業けっこういいじゃん」と感じている人も多いのではないでしょうか。

そんな中で、私がちょっとだけ残念に感じているのは、新入生の皆さんに、キャンパスの景観を体験してもらえないことです。以前の記事にも書きましたが、八王子キャンパスは峠の上にあり、周囲の眺めがとても綺麗です。この場に来るだけで、「勉強したい」という気持ちが3割増しぐらいになること請け合いです。もちろん、景色が綺麗なこと以外にも、キャンパスに集うことの価値はいろいろあるでしょう。ただ、これまではそれが当たり前すぎて、それがどんな価値なのか、あまり深く考える機会はありませんでした。

緊急事態宣言が解除され、社会が少しずつ以前の形に戻っていったとしても、大学の授業の在り方というのは、以前と全く同じにはならないでしょう。遠隔授業の良い点も悪い点も経験した後で、大学での学び方について考えるとき、「キャンパスに集うことの価値とは何なのか」を、より深く考えていく必要があるのではないかと思っています。

(大淵 康成)

大学での学び(新入生の皆さんに向けて)

2020年5月23日 (土) 投稿者: メディア技術コース

大学が閉鎖されているなか、遠隔授業がいよいよ始まります(ました?)。いままで空いた時間が多かったかと思いますが、一気に色々な講義や演習が押し寄せてくる感じではないでしょうか?新入生の皆さんは、新しい勉強に期待と同時に不安もあるかもしれませんが、勉強したいことを色々思い浮かべているでしょう。

 

ところで、大学での勉強は高校までとは違うということをよく耳にするのではないかと思います。これまでは受け身であったけど大学では自律的に学ぶのだ、とか、やりたいことを見つけて率先して取り組むのだとか、授業だけが勉強ではないとか、色々な説明があるでしょう。皆さん自身はどのように考えているでしょうか?大学では、高校よりもちょっと高級っぽい(…論、的な?)新しいことを勉強する、と思っている人も多いのではないかと想像します。もちろん、高校までに学んできたことを土台としてさらに新しいことを学ぶ、という側面はあるでしょう。

 

私が大学での学びが高校までの勉強と異なっていると考えているのは以下の点です。

 

大学の講義では、対象のテーマについてどのような視点や考え方があり、それらが互いにどのような位置づけで関連性を持っているかを把握できるように構成しています(と思います)。それらは、その科目の内容についてどのような取り組み方の切り口があるのかを示しているのです。大学の講義で学ぶべき最も重要な点は、そのような全体像(体系)を知ることだと思います。そこが高校までの勉強と大学での学びが最も異なるところなのだと私は考えています。10数回に渡る講義のなかで、内容は一つごとに完結しているのではなく、他の時間の内容と連携していたり、反論や別の視点であったりして、それらを全て俯瞰したときに全体像が把握できるように構成されているでしょう。技術的な内容のものであっても、目的のものを理解したり実現するためのアプローチの全体を構成だてて用意されているはずです。

 

こうした体系の理解というものがさらに深くテーマについて考察する土台となりますし、考え方のテンプレートを与えてくれます。その理解はさらに、同じ考察の組み立てを他の科目についても応用できるような本質的な知恵となるはずです。そしてそれは学問だけでなく、皆さんが社会にでたときにも様々なところで真の力となるものです。

 

高校までは、頭を使うための基礎訓練として、また、その先のものを理解するためのツールを仕入れるために、一つ一つの項目の理解が主題だったと思います。大学では、そうして培ってきた力を使って、取り組み方を学ぶのです。その点が、大学の学びは高校までとは違うと言われていることなのだと私は考えます。こういうことを実感として感じることは難しいかもしれませんし、結局は試験で個々の用語や解法の暗記が必要となる点があるのは否めません。それでも、大学の学びを単により専門的な内容のもの、というような漠然としたイメージではなく、学びの在り方の違いとして意識することで、大学で学ぶということの価値を再認識できるのではないでしょうか。

 

 

太田高志

大学生活の”新しい日常”を「幸せホルモン」を増やして乗り切っていきましょう!

2020年5月22日 (金) 投稿者: メディア技術コース

5年前から新しい研究テーマを始めた健康メディアデザイン研究室の千種(ちぐさ)です。人体を健康メディアとしてとらえメディアをつかって自らの健康をデザインするための研究を行っている研究室です。

 新型コロナウイルスとの関わり方も共存していくという流れになってきました。また東京工科大学の学生の皆さんもそろそろ授業が始まっている時期です。 新しい生活様式とか"新しい日常"を始めたい人も始めなければいけない人も今はどんな感じでしょうか。先行きが見えなくて不安な人も、ネガティブなニュースが多くてネガティブな気分な人も、アルバイトが無くなってたっぷりと睡眠できている人、人と関わることが減ってのんびりできている人も、自分の時間が増えて楽しんでいる人もいると思います。今の皆さんの状況は千差万別だと思います。

 最近、千種が「健康メディアデザイン」の次に興味を持っている分野は「幸福学」です。国連が定めた2030年までに達成するべき17の目標を定めたSDGs(Sustainable Development Goals、持続可能な開発目標)があります。SDGsには169のターゲット、232の指標があって、世界中の国々がSDGsに即した行動に取り組んでいます。では、17の目標が達成されると人類はどうなるのか?僕や私はどうなるのか?ということについての説明はあまり見ることはありません。

 新型コロナウイルスの感染拡大により、「裕福さ」を目標として成長することが求められてきた「グローバル経済+資本主義」が持つ欠点が明らかになりました。産業革命以降発展してきたこのシステムを改良することもできるかもしれません。しかし、そもそも資本主義は「裕福さ」=「豊かさ」として、目標値の向上が目的であったはずです。

 そこで「豊かさ」についてさらに考えてみると「幸福」や「幸せ」という言葉にいきつきます。つまり「豊かさ」=「幸せ」でないかと。「幸せ」ならば万人が望む目標ではないでしょうか。そして幸福学では「幸せ」を定量的に測定しようとした「幸福度」という指標が使われていますが、様々な尺度が定義されてきました。以前、ブータンが世界一幸せな国というニュースもありました。

 一方、僕や私の「幸せ」はどうなっているの?という疑問に答える指標があります。人類共通の体内に存在する「幸せホルモン」です。やっと「健康メディアデザイン」の領域に戻ってきました() 一般に幸福ホルモンとして①セロトニン、②オキシトシン、③ドーパミン、の3種類のホルモン物質が知られています。これらの効果、増やす方法、不足時の弊害を、表にしました。

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①セロトニンは精神安定などの効果があり、たくさん生成された夜は熟睡できます。②オキシトシンはスキンシップやおしゃべりによって増大し、精神安定や記憶力向上に役立ちます。③ドーパミンはやる気アップや達成感が得られる効果があります。何か目標を達成したり、新しい行動を始めると増大していきます。それぞれ興味のあるキーワードが見つかったら、Google検索したりしてさらに調べてみてはいかがでしょうか。

「だしいりたまご」でメディアを制する、新型コロナウイルスを制する

2020年5月21日 (木) 投稿者: メディア技術コース

5年前から新しい研究テーマを始めた健康メディアデザイン研究室の千種(ちぐさ)です。人体を健康メディアとしてとらえメディアをつかって自らの健康をデザインするための研究を行っている研究室です。

今年になって世界は大変な状況に陥ってしまいました。最初は専門家も含めて中国一部の感染症だと認識していた新型コロナウイルスがあっという間に世界中に広がり、累積の国内感染者数の推移は21日に9名、31日に239名、41日に2,306名、51日に14,383名と1か月で10倍ずつ増加して、世界中でも同様にいわゆるパンデミックに陥ってしまいました。新型コロナウイルスは去年の12月から今年の2月にかけて感染力が非常に強力な感染症であることを世界中で正しく認識されていなかったために、今現在の状況に陥っています。

2500年前の中国春秋時代の思想家・哲学者である孔子いわく「名君賢将の動きにて人に勝ち、成功、衆に出ずる所以のものは、先知なり」とあります。つまり勝つためには事前に敵の情報を掴むことが大事であり、すなわち先に知ることが戦いを制する掟である。情報は優秀な人材が関わってこそ正確な内容が掴める。ということです。過去に遡ることはできないので、現在から未来に向けて新型コロナウイルスの正確な情報を掴むことにより、今の自粛した状態を脱したいものです。

特に、新型コロナウイルスのフェイクニュースも世界中で問題視されていて、この件に限らずメディア学部の在学生や卒業生は正しく情報を判別できる能力を養いたいものです。そこで、歴史の年号の覚え方のような判別法をNHKの番組で放送されましたので、これを皆さんに紹介します。

https://www.nhk.or.jp/gendai/comment/0010/topic039.html

それは「だしいりたまご」の7つの基準を使ってフェイクニュースか正しいニュースかを判別する方法です。生命を危険にさらす可能性がありとても重要です。SNSから伝わって切る友人・知人や有名人の発言の正当性を判別する方法にも使えます。以下の7基準で判別しましょう。

 ①「だ」=誰が言っている?

②「し」=出典はある?

③「い」=いつ発信された?

④「り」=リプライ欄にどんな意見がある?

⑤「た」=たたき(攻撃)が目的の投稿ではないか?

⑥「ま」=「まずは一旦 保留しよう」

⑦「ご」=ゴシップでなく公的情報か?

 

①「だ」=誰が言っている?

Facebookなどで「お茶で新型コロナウイルスを治療できる」とありましたが、その発言の元は専門家ではありませんでしたし、専門家によっても有効なエビデンスは存在しないということでした。また一見すると、医師ならば専門家に思えますが、厳密は感染症の分野の専門家ではないという場合もあります。。

 ②「し」=出典はある?

専門家に限らず発言が意見や感想なのか事実なのかを正しく識別する必要があります。その情報源の「出典は何か」「エビデンスはあるのか」を、常に考えたり、自分自身で調べたりしましょう。出典もエビデンスもないからば「あくまで個人的な意見にすぎない」とみなしましょう。

 ③「い」=いつ発信された?

医療に限らず様々な情報は、最初は正しいと思われていたことでも、時間が経って研究が進んだ結果、「実は間違いだった」とわかることがあります。特に今回の新型コロナウイルスについては次々と新しい知見が明らかになり、上で述べたように事実は強力な感染力をもつ感染症なのに、その今年の1月~2月の時点での認識を間違ってしまったためにパンデミックに陥ってしまいました。現在の認識ではたった数ヶ月で認識が正反対に変わっていて、強力な感染力を持つ感染症であることは明らかです。

 ④「り」=リプライ欄にどんな意見がある?

TwitterFacebookなどのSNSでは医療に関するデマが拡散することも多いですが、リプライ欄には、専門家がそのデマを否定している書き込みがあることもよくあります。リツイートやシェアして拡散する前に、リプライ欄を見れば、デマかどうかの判断の基準になります。

 ⑤「た」=たたき(攻撃)が目的の投稿ではないか?

例えば、嫌いな有名人が新型コロナウイルスに感染してしまい、この人の行動がSNSで批判を浴びていたとします。そんな時は、巧妙にデマ情報が混在している場合があり、「嫌いな人の悪い評判」=「拡散したい気持ち」となってしまいます。しがちです。その心理がデマの拡散につながることがあります。デマでなくても名誉棄損罪の犯罪につながることもあり、誰かを攻撃するような投稿やメッセージはとどめておくほう無難です。

 ⑥「ま」=「まずは一旦 保留しよう」

興味深い情報を友達にメッセージしたり、リツイート・シェアしたり、するまえに、その情報の真実について自分で調べてみましょう。情報源が1つの場合は、ここまでの「だしいりたまご」の①~⑤でフェイクニュースかどうかを容易に確認できますが、複数の情報源があって、実は同じ情報源からの2次情報であったりすると判別が困難になります。そういった段階の時は、リツイートやシェアをするのを一旦保留しておきましょう。「これは」と思った情報には巧妙にデマが混入されているかもしれませんし、時間が経つとすぐに評価が変わるかもしれません。冷静に判断するようにしましょう。

 ⑦「ご」=誤報でなく公的情報か?

メディアに関わる人ならば、出展も含めて自力で複数の情報を取りにいって比較検討し、正しい情報かどうかを確認する能力を養いたいものです。例えば、厚生労働省の公式サイトや論文検索サービスのGoogle Scholarなどを使って、より正しい情報を確認できるスキルを身につけましょう。

以上、メディアに関わる皆さんも、「だしいりたまご」でメディアを制するスキルを身につけましょう。

メディア学部の分野別講義分類表[2020年度版](シラバスリンク付)

2020年5月20日 (水) 投稿者: メディア技術コース

メディア学部2020年度専門講義科目 分野別分類表(シラバスリンク付)
コース推奨 教育
分野
専門基礎教育科目 専門教育科目
メディア基礎科目群 メディア専門科目群 コース専門
科目群
1年次前期 1年次後期 2年次前期 2年次後期 3年次前期 3年次後期
メディアコンテンツコース 映像
コンテンツ
創作
映像創作入門 視覚情報デザイン入門 CG制作の基礎 ディジタル映像表現論 先端映像創作論 映像文化論
コンテンツプロデュース論 コンテンツディベロッピング論
インタラクティブ
コンテンツ
創作
映像創作入門 プログラミング入門 CG制作の基礎 ゲームデザイン論 ゲーム制作技術論 情報可視化
メディア芸術の基礎 コンテンツディベロッピング論
コンテンツプロデュース論 インタラクティブアート論 ゲームプログラミング論
メディア
コンテンツ
デザイン
映像創作入門 視覚情報デザイン入門 メディア芸術の基礎 ゲームデザイン論 プロダクトデザイン論 情報可視化
造形デザイン入門 コンテンツプロデュース論 インタラクティブアート論 IoTデバイス論
音楽、
サウンド
デザイン
音楽入門   メディア芸術の基礎 音楽創作論 サウンドデザイン論  
  1年次前期 1年次後期 2年次前期 2年次後期 3年次前期 3年次後期
メディア技術コース ヒューマン
インタフェース
言語コミュニケーション分析入門 視聴覚情報処理の基礎   ヒューマンコンピュータインタラクション論 感性情報処理論 IoTデバイス論
プログラミング入門
ネットワーク システム基盤技術の基礎 インターネットシステム入門   データ処理と人工知能 Webプログラミング論 ソーシャルコンピューティング論
プログラミング入門 データベースと情報検索技術 情報システム設計論
映像画像
CG処理
  メディアのための数学 CG・ゲームのための数学 イメージメディア処理論 3次元コンピュータグラフィックス論 ゲームプログラミング論
メディアのための物理 CG数理の基礎
プログラミング入門 メディア情報処理の基礎 データ処理と人工知能
音声音響
言語処理
言語コミュニケーション分析入門 プログラミング入門 メディアのための物理 音声音響メディア処理論 感性情報処理論  
メディア情報処理の基礎 データ処理と人工知能
  1年次前期 1年次後期 2年次前期 2年次後期 3年次前期 3年次後期
メディア社会コース 社会情報技術 メディア文化と社会 ソーシャルリサーチ 経営数理 統計データ分析 社会経済論 社会経済シミュレーション論
情報メディア法
ソーシャル
デザイン
ソーシャルコミュニケーション入門   教育メディア論 グローバルメディア論 ソーシャルコンテンツデザイン論 ソーシャルデザイン論
インターネットコミュニティ論 ソーシャルインタラクション
デジタル
ジャーナリズム
    デジタルジャーナリズム入門 ニュースメディア論   調査報道論
広告
マーケティング
広告・広報入門 音楽産業入門   コンテンツマーケティング論 デジタルマーケティング論 サービスデザイン
広告クリエイティブ入門
  1年次前期 1年次後期 2年次前期 2年次後期 3年次前期 3年次後期
共通科目   メディア学入門 先端メディア学Ⅰ 先端メディア学Ⅱ 先端メディアゼミナールⅠ 先端メディアゼミナールⅡ  
メディア特別講義I メディア特別講義II

先端メディア学・先端メディアゼミナールは多数のテーマ別シラバスがあるため、リンクは張っていません。
この表にある科目はメディア学部の専門科目(講義)です。このほかに教養教育科目、演習(メディア基礎演習・メディア専門演習・プロジェクト演習・創成課題・卒業研究)があります。
来年度以降の新規開講科目については、シラバスのリンクはありません。
開講時期は変更されることがあります。実際の履修にあたっては、時間割を確認して下さい。


本日から、いよいよ授業が始まります。

新入生の皆さんは、期待していた大学生活がなかなか始まらず、もどかしい思いをしていたと思いますが、とにかく今日から勉強できるようになります。遠隔授業なので、キャンパスで友達とワイワイ盛り上がるようなことはできないかもしれませんが、まずは授業を頑張って、そこから少しずつ他のことにも活動を広げていけるようになればと思います。

授業が始まり、まず考えなければならないのが履修登録のことです。履修科目を決める基準としては、好き嫌いや得意不得意、時間割上の都合などもあるでしょうが、もう少し大きな視点で考えてみることも必要です。まずは自分が目指したい分野を考え、そこから逆算するように、必要な科目を考えてみるというのも、大事な考え方と言えるでしょう。そのような場合に役立つように、メディア学部では分野別講義分類表というものを作っています。カリキュラムは毎年少しずつ変わるので、今日は2020年度の新入生に向けた最新版を紹介します。上の表にあるように、メディアコンテンツコース・メディア技術コース・メディア社会コースの中から一つを選び、さらにその中の教育分野を選ぶと、1年前期から3年後期まで、どんな科目が用意されているのかがわかります。各講義名にはシラバスへのリンクが張ってありますので、興味がある科目については詳しい内容を簡単に調べることができます。

こうした情報を見ながら、自分だけの時間割を作っていくというのも、大学での勉強の楽しさの一つだと思います。履修登録締切の日まで、いろいろ悩んでみてください。

(大淵 康成)

私の聖地巡礼

2020年5月19日 (火) 投稿者: メディア技術コース

榎本先生が嘆かれていましたが、私も予定していた学会が、現地での開催がキャンセルとなり、コペンハーゲンに行くことができなくなってしまいました。なんでも、予定していたホテルは専用のアプリで部屋のキーを開けることができたりと面白そうだったのですが、将来訪れる機会があるでしょうか

 

ということで外出できない現在、昔の経験からお話を

 

 

聖地巡礼をしたことはありますか?もちろん、エルサレムやメッカを訪れることではないのはいうまでもありません。アニメや映画の舞台になった場所を訪れることですね。私もいくつかしたことがあります。といっても、アニメ関連ではありません、申し訳ありません。ただ、好きな作品の舞台になった現場を実際に訪れるというのは気分が盛り上がるな、というのは共通しているのではないでしょうか?

 

いくつかあるのですが、今回はタイにある「暁の寺(ワット・アルン)」。これは、三島由紀夫の小説「暁の寺」にでてくる舞台です。三島由紀夫の最後の作品となった「豊饒の海」という四部作の三作目です。これは、第一作に登場する若者が転生を繰り返すというストーリーなのですが(ざっくりしすぎ?)、初めて読んだときには、純文学でこういうSFみたいなものもありなのか!と驚いた記憶があります。まだあまり色々なものを知らなかったのですね。その分、新鮮に感じて、三島由紀夫の文体が好きだったこともあり、惹きつけられました。

 

タイを初めて訪れたときには、ワット・アルンは修復工事中で全体が足場で覆われており、二回目の訪問でようやくその姿を見ることができたとともに、訪れることができました。小説にあるように、船に乗って対岸にある寺に向かって川を渡っていきました。

暁の寺について、小説には以下のような描写がされています。

 

「本多はきのうの朝早く、船を雇って対岸へゆき、暁の寺を訪れたのであった。

 

近づくにつれて、この塔は無数の赤絵青絵の支那皿を隈なく鏤めているのが知られた。いくつかの階層が欄干に区切られ、一層の欄干は茶、二層は緑、三層は紫紺であった。嵌め込まれた数知れぬ皿は花を象り、あるいは黄の小皿を花芯として、そのまわりに皿の花弁がひらいていた。

 

 

塔の重層感、重複感は息苦しいほどであった。色彩と光輝に充ちた高さが、幾重にも刻まれて、頂に向かって細まるさまは、幾重の夢が頭上からのしかかって来るかのようである。 」

 

「暁の寺、豊饒の海(三)」、三島由紀夫、新潮文庫

 

 

なるほど、暁の寺を眺めているときの感想としては、このように思うべきなのか、と再度読み返して感心しますが、自分は小説の舞台に居ることを単純に喜んで、「わーすごいー」程度の心持ちで写真をやたらと撮っているだけでした。体験を文章によって表現できる力によって実際の体験も逆に規定されてしまうかもしれません。とりあえず、そういう浅薄な感動どともに撮った写真をいくつか

 

……

 

と、思ったら!なんとあんなに喜んで撮影した画像のメモリカードが見当たらない

 

申し訳ありません。せっかく書いた文章なのでこのまま載せることにして、ワット・アルンの画像は以下のタイ政府観光庁のサイトを参照してください、シクシク

 

https://www.thailandtravel.or.jp/wat-arun/

 

 

太田高志

セブ島日誌8

2020年5月18日 (月) 投稿者: メディア技術コース

2019.10.26 18:00

文責:榎本

ようやく、発表も終わったので、打ち上げです。500店舗ぐらいの屋台が立ち並ぶという繁華街へ。

 

さて、フィリピン交通事情。

 

フィリピンには電車がありません。これまで我々は移動にはタクシーか徒歩を使ってきていたのですが、とっても気になるファンシーな乗り物が走っています。

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こいつです。あたかもどこかの遊園地から抜け出してきたような路面バスです。Jeepny(ジープニィ)と言います。ジープを改良して作っているそうです。

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乗り口は、後ろに開放された入り口。

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で、左右向かい合わせに長椅子が配置されており、客はここに座るか、

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ぎゅうぎゅうの時は、入り口にぶら下がります。

 

バス停らしき看板もなく、どこからどこへ路線が通っているのかも検討がつかず。かなり一見さんにはハードルが高いです。でもとっても気になる存在です。

 

なんと、我々一行の昼間に発表していた女の子が、今朝、このバスに乗って会場に来たというのです!おそらく、大きなショッピングモールからたくさんの路線が出ているだろうと検討をつけ、会場となる大学行きのバスが何番でどこにくるかを聞いて、乗ってきたというのです!なんと、ワイルド!

 

ちょちょちょっと、乗り方を教えてくれと。実は、Google Mapで行き先の地名を入れると、実はバス停と路線とバスの番号が表示されます!ということは、どこでどれに乗ればいいかが分かります!

で、どうやって乗り込むかですが、バス停で「乗ります」という素振りを見せます。すると、止まってくれるので、無理やり中に押し入ります。

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押し入りました!入った時は、へ、空いてない!と思ったのですが、みんなが少しずつ左右に詰めてくれます。すると微妙な隙間ができるので、そこにお尻を押し込んで、左右へ振ると、あら不思議、3人分ぐらいの席はすぐに空きます。人間のお尻ってみんな柔らかいから、変幻自在なんですね!?

 

で、乗車料金はどうやって払うかなんですけど、一人の乗車料金は7ペソです。格安です。小銭です。それを、運転手に渡して降りるわけです。

しかし、車内は歩く余地がないほど狭いです。

わかりやすいように、こちらから写真お借りしました。

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もう膝と膝がくっつく距離で座ってます。

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幸い7ペソあったとしたら、それ隣の人に渡します。すると、伝言ゲームのように隣から隣へその小銭が手渡していかれ、

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最終的に運ちゃんに到達します!

 

もし、小銭がぴったりなく、最小紙幣である20ペソとかしかなかったら、「one person」と言って、同じように隣の人に手渡します。二人分の時は「two persons」と言います。すると、小銭とそのつぶやきが伝言され、運ちゃんに到達し、運ちゃんがお釣りを最寄りのお客さんに渡します。それが、あれよあれよと手から手へ戻されて、持ち主のところまで無事に戻ります。

 

私が感動したのは、運ちゃんがお釣りの額を間違えたときです。最初に受け取ったお客さんが。「いや間違ってるぞ」的なことを言ってくれて、お釣りをもらい直してくれたのです!なんたる、ヒューリスティック!!!この国にSuicaが到来しませんように。

 

ドキドキしながら初Jeepnyを体験し、テンションの上がった我々は屋台街へ!

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この時代が懐かしい。。。

早く世界が元の世界に戻りますように。

セリフ自由入力機能によるRPGの主人公とプレイヤーの乖離防止

2020年5月17日 (日) 投稿者: メディアコンテンツコース

みなさん,こんにちは.メディア学部助教の兼松です.
今日ご紹介する研究は,「セリフ自由入力機能によるRPGの主人公とプレイヤーの乖離防止効果」です.

近年,ゲームはグラフィック関連の技術向上も相まって,美しい映像や豊かなキャラクター表現とともに映画のような映像表現を用いるものが増えています.特にキャラクタービジネスが盛んな日本では,魅力的なキャラクター同士の掛け合いなどを楽しみにしているプレイヤーも多いかと思います.
一方で,ゲームではプレイヤーの没入感を高めるため,「主人公=プレイヤー」の構図を崩さないよう,主人公キャラクターを無個性なキャラクターとしてデザインされているものも多いです.
有名どころだとドラゴンクエストやHalf-Life,Skyrimなんかもそうですね.
こういったゲームでは主人公がセリフを喋ることはほとんどありません.セリフを話してしまうと,そこからキャラクター像・印象にバイアスがかかってしまいますからね.ですので,こういったゲームでは,他のキャラクターとのコミュニケーションを表現する場合でも「はい」「いいえ」の選択肢程度に留めているものが多いです.ただ,この仕組みだと掛け合いの面白さの表現は難しい上,「プレイヤーは嫌々”はい"を選択した」にもかかわらず「ノリノリで肯定してくれたことを前提に会話を続ける他キャラクター」のような,食い違った状態になることもめずらしくありません.

そこでこの研究では,いわゆるNPCからの問いに対してプレイヤーが自由にセリフを入力して返答する機能を実装,その効果を検証しました.また,ただセリフを自由に入力しただけでは「はい」「いいえ」選択と同じように会話の掛け合いが食い違ってしまいますが,この研究ではセリフを入力する際,「主人公がどんな感情で返答するのか」を選択させる機能も実装しています.これによって,会話の食い違いを防ぐ工夫をしているわけです.

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近年の日本アニメだと,さもゲームの世界に入り込んで生活,活動しているような表現がされているものも多いですよね.ただ現実的にはあそこまでの没入感を得るためには,超えなければならないハードルが山ほどあります.
しかし,こういった研究がすすむことで,将来的にはよりリアル感の強いロールプレイができるようになるかもしれませんね.

[大橋優輝,兼松祥央,三上浩司,セリフ自由入力機能によるRPGの主人公とプレイヤーの乖離防止効果,日本デジタルゲーム学会第10回年次大会,2020.3]

(文責:兼松祥央)

ユーザーが好む行動を学習する仲間AI

2020年5月16日 (土) 投稿者: メディアコンテンツコース

みなさん,こんにちは.メディア学部助教の兼松です

唐突ですが,みなさんはどんなゲームが好きですか?
私はプレイする率で言えば「FPS勢」ということになると思いますが,決まった流れにそって進めるゲームよりは,自分であれこれ想像しながら好きなことができるゲームが好きです.
学生の頃にはまっていたのはフライトシュミレーター系のゲームでした.
研究テーマの一つにシナリオが入っているように,根本が空想・妄想好きなんでしょうね.

今思えば,そもそも私がオリジナルのストーリーを考えたり,何か頭の中にある妄想を形にすることにはっきりとした興味を抱き始めたのは,子供の頃に「スティーブン・スピルバーグのディレクターズチェア」というゲームをやったあたりからだと思います.
今でこそ,動画などの素材を組み合わせてオリジナルの動画を作るなんてことは一般化してきていますが,1997年に日本発売のゲームですので,まだまだ一般的ではありませんでした.そんな中,クエンティン・タランティーノさんが出演する動画素材を切った貼ったしながらオリジナルの映像作品を作ることができるこのゲームを,一生懸命やってました.今やっても面白いんじゃないかな?

さて,そんな話はともかく,今日ご紹介する研究は「RPGの戦闘においてユーザーが好む行動を学習する仲間AIの提案」です.これも昨年度の卒業研究です.

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この研究はRPGに登場する仲間キャラクターのAIを改良し,戦闘シーンで仲間AIが,よりプレイヤーが好む行動を選択してくれるようにすることを目指したものです.ポイントは,戦闘シーンを攻略するにあたって効果的か,効率的かではなく,プレイヤーごとの好き嫌いを取り入れようとしたことですね.

具体的には,いわゆる「いいねボタン」のようなものでAIの行動を評価し,それをもとに仲間AIの行動がユーザー好みに変化していきます.

RPGの仲間と言えば,私は某有名RPGの「あんまりきかない即死呪文を連発する回復役」が思い起こされます.あれはそういう目的でつくられたキャラクターではなく後付けなのかもしれません.しかし,「妄想・いかに想像をかきたたせてくれるか」を重視したい私としては,ただ強いキャラクターを突きつめるだけでなく,一緒に冒険・成長してる感を味わえる仕組みがもっと進化してくことを楽しみにしています.

[黒田雄介,兼松祥央,三上浩司,RPGの戦闘においてユーザーが好む行動を学習する仲間AIの提案,日本デジタルゲーム学会第10回年次大会,2020.3]

(文責:兼松祥央)

プロジェクト演習「インタラクティブ・ゲーム制作 グラフィックスコース」学生作品の紹介

2020年5月15日 (金) 投稿者: メディアコンテンツコース

皆さんこんにちは。メディア学部 特任講師の川島です。
今回は、私の担当する演習授業のうち、「インタラクティブ・ゲーム制作 グラフィックスコース」の学生作品を紹介します。
科目名がとても長いですが、この授業は、ゲームクリエイターを目指す学生が実践的に学ぶことができる「インタラクティブ・ゲーム制作プロジェクト」のコースの1つです。「グラフィクスコース」という名称どおり、ゲーム業界におけるヴィジュアルアーティストやテクニカルアーティストになるための知識とスキルを学習することができます。クリエイター職は新卒でも即戦力を求められる場合が多いため、在学生は4年間かけて初歩から応用までをしっかり学びます。このプロジェクト演習では、ほとんどの学生は1年生の後期から約3年間をかけ、グループワークによる作品制作を通じてゲームのグラフィクスを実際に制作するテクニックを磨いています。今回紹介するのは、そのうちの「シネマティクスチーム」という初級者の皆さんが1学期間かけて作ったショートアニメーションです。まだ未熟な部分もありますが、これを繰り返していくことで見違えるようにレベルアップしていきますので、今後が楽しみです!
それでは、作品をどうぞ!
チーム名:RINGO JUICE
突如世界には体から花が咲く不思議な病気が現れ、人々はそれに怯えながら暮らしていた。森の中で小さな薬屋を営む少女ルビーは、その病気にかかってしまった妹を救うため日々研究を続けていた。ある日、ルビーはとある書物からその病気を治す薬がつくれる薬草があることを知り、旅立ちを決意する。
デフォルメされたキャラクターたちのモデリングやモーションは丁寧に時間をかけて作成した。作品の持つ美しくも恐ろしい雰囲気とキャラクターたちのかわいらしさを楽しんでいただきたい。
チーム名:浦沢さん
この作品はロボットアクションゲームの挿入映像として作りました。
世界観は「崩壊した世界」で、ロボットVS蜘蛛型の魔物の構図ですが、このシーンを通して主人公は敵が冷血な魔物ではなく血の通った人間だと気づき、呆然としているシーンで映像が終わります。
ステージにはところどころに激しい戦闘の跡が見られ、敵や味方の残骸が散らばっています。
夕暮れ時のような光の当て方で荒廃した感じが表せたと思います。ですが、主人公の色が白かったため、光のオレンジや影の紫の色の印象が強く出すぎてしまったのが反省点です。
チーム名:The Fear
暗い廃病院の廊下を、懐中電灯で照らしながら進む主人公。周りにはたくさんの落書きが書いてあり、特に目立つ化け物のような落書きを照らす。廊下を進むごとに化け物の落書きは変わっていき、3つ目の落書きを照らした直後、懐中電灯が切れる。主人公が焦りながらスイッチを入れると、化け物が主人公を見ている落書きに変わり、周りの落書きも目に変わっていた。急いで後ろを振り向くと、落書きそっくりの化け物が現れ、襲われる。
チーム名:1up grow
近年起きている不可解な現象を止めるために、主人公、夜桜はパートナーであるベリアルとともにその元凶である100年に一度現れる巨大なストレンジキングに戦いを挑む。主人公は成長の中で手に入れた力でベリアルを進化させて勇敢に立ち向かう。それに対してストレンジキングも力をためて渾身の一撃を放つ。パワーアップしたベリアルとストレンジキングの全力の攻撃がぶつかり合う。

 

 

つらい時期にパワーをもらう方法

2020年5月14日 (木) 投稿者: メディアコンテンツコース

本ブログをご覧の皆様,こんにちは.

メディア学部教授 菊池 です.

突然ですが,あなたにとって “人生で一番大変だった時期” はいつでしたか?

・受験勉強や部活に励んでいた頃
・就職活動をしていた頃
・社会人になりたての頃
・病気にかかって入院をしていた頃

などなど,大変な時期は人によって様々かと思いますが,長い人生において “大変な時期” というのは誰にでも必ずやってくるものだと思います.

現在のコロナウィルスによる社会的な状況の中で,「いまが人生で一番大変な時期」と感じられている方も多いかもしれません.

私自身も振り返ると,大学院博士後期課程を修了してから研究職に就くまでの1年間,
プログラマーとして働きながらもいろいろと活動していた時期はつらかったです.
(でも,楽しいこともたくさんありましたけどね...笑)

最近アメリカで「人生で最も不幸せだと感じられる時期は,先進国では47.2歳」
という研究発表があったそうです.

しかし,今ちょうど上記の年代にあたる私の人生は,むしろ「最高の人生だ」と声を大にして言えるくらいです.


では,私がどのようにして過去の大変な状況を乗り越えたのかと言いますと...

実際に実践して,「人生をつらく感じても負けない精神」を持てるようになったある方法があります.

それは,もし今あなたが “人生の大変な時期” を過ごしているのなら,
「自分と同じ境遇にいる人」
を想像するようにしてみてください.

なぜなら,あなたがいま苦しんでいるのは,「自分だけが大変な思いをしている」と考えているからではないですか?

例えば,
“やりたくもない勉強をしている”
という悩みがあったとします.

ですが,周りを見回してみると,そのような思いをしている人は世の中にたくさんいるはずですよね?

逆に,"いま取り組んでいる勉強・研究(仕事でもいいです)が好きで,やりがいがある"
そう話していて羨ましく感じるような人たちの中にも,「ずっとこのモチベーションを保てるのだろうか…」と不安に思っている人は
実は数多くいらっしゃいます.

あなたが今抱えているような不安や悩みに立ち向かっているのは,あなた一人だけではないのです.

同じようにつらい思いをして頑張っている人がいる,と思うと少し気持ちが楽になってきませんか?

つらい時期に周りを見渡したことで,細かい部分は違えどみんなつらい思いをしながらも懸命に頑張っているんだと思えたから,
あのときの私も頑張れたのです.

どうしてもポジティブになれない時は,上にいる成功者ばかりでなく,ふっと横にいる人にも目を向けてみるようにしてください.

あなたと同じような境遇の方が,みんな一生懸命頑張っています.
そのような方から,もうひと踏ん張り頑張るためのパワーをもらってみてはいかがでしょうか?


文責:菊池 司

専門演習(コンピュータビジュアリゼーション)

2020年5月13日 (水) 投稿者: メディアコンテンツコース

いよいよ、前期の授業スタートまであと1週間になりました。
今日は、専門演習(コンピュータビジュアリゼーション)についてご紹介します。

本専門演習では、情報可視化と科学技術データの可視化について、実習をしながら学んでいきます。
情報可視化は、様々なデータをわかりやすく視覚的に表現するもので、身近な例としてはグラフが挙げられます。

演習では、Tableauという情報可視化ソフトウェアを利用します。
Tableauは、現在、様々な企業や分野で利用されているソフトウェアです。
現在、深刻な状況に陥っている新型コロナウィルス感染症(COVID-19)についても、Tableauを使用した様々な可視化事例が公開されています。
https://www.tableau.com/ja-jp/covid-19-coronavirus-data-resources

学生さんは、無料で利用することができるので、様々なデータを可視化してみてはどうでしょうか?

(文責:竹島)

物体を切り抜いた感触を得る研究

2020年5月12日 (火) 投稿者: メディアコンテンツコース

みなさん、こんにちは。メディア学部助教の兼松です。
今日も昨年度の卒業研究を紹介します。
戦国時代好き的にたまらない研究第2弾です。

「FULCutter: 材質の違いを考慮した切り抜いた感覚を与える力覚フィードバックデバイスの開発とその評価」では、VRコンテンツ向けに、刀などで物体を切断する感触を得ることを目指しました。
この研究ではオレンジや骨付き肉など、部位によって硬さの違うものを切る感触が得られます。
例えばオレンジであれば、VRコンテンツ内で刀がオレンジに当たった時、皮の部分に接触しているときは少し固めの抵抗を感じ、皮を貫通して果肉に達したときには少し柔らか目の抵抗が感じられ、さらに果肉も貫通して反対側の皮に当たるとまた少し固めの抵抗を感じる、といった形です。
また、この研究でユニークなのは、高熱の剣(いわゆるビームサーベル、ライトセーバー)で鉄骨を斬る際の感触も実装したことです。

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この手の研究には医療目的のものをはじめ、よりリアルな感触・フィードバックを得ようとする研究なども進められています。
もちろんビームサーベルで鉄骨を斬った経験は誰にも無いので、”何がリアルか”は難しいところです。また、ゲームなどのエンターテイメントコンテンツでどこまで現実に則した感触を与えるべきかは、また別の議論があると思います。

いずれにしても、この手の研究が進んで、よりリッチな体験と共に手軽に”無双感”が得られる日が来るかと思うとワクワクしますね!

[古堅耕太朗,兼松祥央,三上浩司,FULCutter: 材質の違いを考慮した切り抜いた感覚を与える力覚フィードバックデバイスの開発とその評価
,日本デジタルゲーム学会第10回年次大会,2020.3]

(文責:兼松祥央)

鍔迫り合いの感触を目指して

2020年5月11日 (月) 投稿者: メディアコンテンツコース

みなさん,こんにちは.メディア学部助教の兼松です.
今日は昨年度の卒研生が行った「鍔迫り合い」に関する研究を紹介します.

三上・兼松研にはゲームに関する研究を行う学生が多数在籍しています.
ゲームに関する研究ですから,やはり何かを分析したり,プログラムを工夫したりと,ソフトウェア寄りの研究が多いです.
しかし,中にはハードウェア側の工夫を行う学生もいます.
昨年度の卒研生が行った「剣戟VRコンテンツにおける鍔迫り合い時に生じる力覚フィードバックの提案」もその一つです.

この研究は,Oculus Touchのコントローラーに日本刀の柄や鍔に相当するパーツを取り付けたデバイスを制作しました.
また,コントローラーにバネを取り付け,コントローラーを板に押し当てることで,鍔迫り合いで刀が押し返される感触を得ようとしたものです.
バネの弾性力を用いたものですので仕組みとしては単純ですが,VRコンテンツと組み合わせることでなかなか面白い体験になっていたと思います.

・・・1番面白かったのは,発表会などで様々な先生があーだこーだ言いながらコントローラーを板に押し当て続ける姿だったのは秘密です(笑)
時代劇・戦国時代マニアの私としては,かなり注目度の高い研究でした.

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[澤野充季,兼松祥央,羽田久一,三上浩司,剣戟VRコンテンツにおける鍔迫り合い時に生じる力覚フィードバックの提案,日本デジタルゲーム学会第10回年次大会,2020.3]

余談ですが,戦国時代を題材とした小説で私のオススメは司馬遼太郎さんの「梟の城」です.
時代小説では史実を題材にした作品も多いですが,梟の城は背景世界設定は史実を題材としつつ,主人公を取り巻く物語はフィクションの割合が多い作品です.
豊臣秀吉や石川五右衛門など,有名な人物・逸話をうまく物語のギミックに取り入れている点は,「こういうことがうまくできるようにしたい!」と,シナリオを研究している私のモチベーションになっています.
stay homeでお時間のある方は,読んでみてはいかがでしょうか?

(文責:兼松祥央)

【広告はいつも今と向き合う⑦】是非見て頂きたい動画「ウイルスの次にやってくるもの」(メディア学部 藤崎実)

2020年5月10日 (日) 投稿者: メディア社会コース

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染が拡大して、世界が不穏な状況になっています。
こうした状況を踏まえて、日本赤十字社が421日、YouTubeに約3分の動画を公開しました。

とても考えさせられる内容で、公開9日間で170万回以上、視聴されています(430日現在)。私は毎日この動画を見ていますが、毎日本当に、ものすごいスピードで多くの人が視聴しています。

絵本のような優しいアニメーション動画で「非難や差別、人と人が傷つけあう状況は、ウイルスよりも恐ろしい」と、私たちの心に警鐘を鳴らすと同時に、多くのヒントをくれる内容です。

多くの人にとって、気づきのある内容だと思います。
大人から学生まで、多くの人に考えて頂きたいメッセージが込められていると思います。
特に後半、私自身、はっとしました。是非とも下記の動画をご覧ください。

→(動画)JapaneseRedCrossPR YouTube公式チャンネル【日本赤十字社】「ウイルスの次にやってくるもの」

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(画像引用元)JapaneseRedCrossPR YouTube公式チャンネル【日本赤十字社】「ウイルスの次にやってくるもの」

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(画像引用元)JapaneseRedCrossPR YouTube公式チャンネル【日本赤十字社】「ウイルスの次にやってくるもの」

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(画像引用元)JapaneseRedCrossPR YouTube公式チャンネル【日本赤十字社】「ウイルスの次にやってくるもの」

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(画像引用元)JapaneseRedCrossPR YouTube公式チャンネル【日本赤十字社】「ウイルスの次にやってくるもの」

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(画像引用元)JapaneseRedCrossPR YouTube公式チャンネル【日本赤十字社】「ウイルスの次にやってくるもの」

恐怖が嫌がることをしよう。
家から出かけることはできないけど電話はできる。家族や友人に電話して、話をして笑おう。
夜更かししないで、ちゃんと食べて、ちゃんと眠ろう。
人を信じて団結しよう。
声をかけて、励まし合って、応援しよう。
人間は賢い。みんなの力で、不安を乗り越えよう。
今日、できることを、それぞれの場所で

この動画は、私自身、多くの気づきがありました。
→(動画)JapaneseRedCrossPR YouTube公式チャンネル【日本赤十字社】「ウイルスの次にやってくるもの」

こうしたコミュニケーションも広告や広報の役目なのでした。


(メディア学部 藤崎実)

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◆【広告はいつも今と向き合う】ブログ アーカイブス
【広告はいつも今と向き合う①】2020年の広告コミュニケーションができること(メディア学部 藤崎実)

【広告はいつも今と向き合う②】国連からの公開ブリーフ/世界のクリエイターのみなさんへ(メディア学部 藤崎実)

【広告はいつも今と向き合う③】ソーシャルディスタンス/新習慣を根付かせるために(メディア学部 藤崎実)

【広告はいつも今と向き合う④】ソーシャルディスタンス/出かけるのはやめよう(メディア学部 藤崎実)

【広告はいつも今と向き合う⑤】2020年、自粛生活中の中高生のリアルな日常/今は家で過ごそう(メディア学部 藤崎実)

【広告はいつも今と向き合う⑥】「家だから楽しい」って、きっと新発明だ(メディア学部 藤崎実)

【広告はいつも今と向き合う⑦】是非見て頂きたい動画「ウイルスの次にやってくるもの」(メディア学部 藤崎実)

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【広告はいつも今と向き合う⑥】「家だから楽しい」って、きっと新発明だ(メディア学部 藤崎実)

2020年5月 9日 (土) 投稿者: メディア社会コース

レゴ グループは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で、自宅待機状態にある子どもや家族のために、2020330日に「LetsBuildTogether」という特設ページを公開しました。

そして422日から、SNSを通じて「家だからこそ楽しい」アイデアの募集を開始しました。これはハッシュタグ「#LetsBuildTogether #一緒につくろう」をつけて、レゴのアイディアを投稿しようという世界キャンペーンです。

レゴ公式ツイッターに掲載されている、この世界キャンペーンの日本版ポスターを見ると、世界的に外出自粛となっている現在の状況を、ポジティブに考えて「家だからこそ楽しい」と思えるような「未来へと繋がる新たな遊び方」を発明する機会にしよう、と呼びかけが行われています。

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(画像引用元) レゴ ジャパン公式 Twitterアカウントより

世界的に大変な状況である今を、どのように捉えたら良いのか。
その考え方には賛否両論があると思いますが、レゴのメッセージからは、家にいる状況を前向きに捉え、家族の負担を減らして、子どもたちに健全な時間を過ごして欲しいというレゴの想いを感じることができます。

この世界的なキャンペーンである<LetsBuildTogether>のプレスリリースには、下記が書かれています。
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世界中のレゴ社員も、日本と同じように外出自粛の状況にあります。レゴ グループはこのような状況だからこそ、
ブロック同士をつなぎ合わせて一つの形
を作るように、

人々のアイデアや想いを集め、共有し、繋げ合うことで現在の困難な状況に打ち勝ち、
一つの明るい未来を創っていく必要があると考えています。

そんな思いを込め、世界中のレゴ社員が実際に自宅でおうち時間を楽しんでいる様子を集めた動画を公開し、
#LetsBuildTogetherのハッシュタグの元、様々なおうち時間を楽しくするクリエイティブなアイデアと、
家族の笑顔を募集する取り組みを開始しました。

動画URL: https://twitter.com/LEGO_Group_JP/status/1252869295379382273

2020422日発表のプレスリリース
「「仕方なく家で遊ぶ」より、「家だからこそ楽しいという新発明」を。 “#LetsBuildTogether #一緒につくろう” 「家だからこそ楽しい」クリエイティブなアイデアを募集開始」より)



レゴジャパンのツイッターからは、次々と宿題が出されます。そして、ユーザーからも投稿が行われています。

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(画像引用元) レゴ ジャパン公式 Twitterアカウントより


この #LetsBuildTogether プロジェクトは、レゴ(LEGO) グループ、および LEGO Foundation(レゴ財団)による新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に影響を受けた子供と家族に対する寄付や支援の、取り組みの1つです。

2020/03/31発表のプレスリリース「レゴ グループおよびレゴ財団が、新型コロナウイルス感染症に対する支援として5000万ドルの寄付等を発表」

ツイッターやSNSを使った生活者とのコミュニケーションも広告の仕事です。明るい明日が早く訪れますように。

(メディア学部 藤崎実)

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【広告はいつも今と向き合う①】2020年の広告コミュニケーションができること(メディア学部 藤崎実)

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【広告はいつも今と向き合う⑤】2020年、自粛生活中の中高生のリアルな日常/今は家で過ごそう(メディア学部 藤崎実)

【広告はいつも今と向き合う⑥】「家だから楽しい」って、きっと新発明だ(メディア学部 藤崎実)

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【広告はいつも今と向き合う⑤】2020年、自粛生活中の中高生のリアルな日常/今は家で過ごそう(メディア学部 藤崎実)

2020年5月 8日 (金) 投稿者: メディア社会コース

広告はいつも時代と向き合ってきました。
それは生活者との共有感が、広告にとって重要なエンゲージメントになるからです。エンゲージメントとは何か、というお話ですが、これは私の授業の中で何度も出てくる重要なキーワードです。
ただ、このブログでは、そのことについて書く紙幅はありませんので、詳しくは授業にて。。。

このブログで取り上げるのは、2020410日から大塚製薬オフィシャルYouTubeチャンネルで公開され、17日からテレビCMの放映が始まった大塚製薬のポカリスエットの新CMです。

この60CM430日現在(公開20日間)で約313万回視聴の大ヒットとなっています。画像の下にYouTubeのリンクがありますので、是非ともご覧ください。
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(画像引用元)YouTube 大塚製薬 公式チャンネル 「ポカリスエットCM 「ポカリNEO合唱」篇 60秒」より


ご存知のようにポカリスエットのCMは、毎年、若者を対象にしてアクティブな青春を描いてきました。
この数年はダンスをテーマにして大きな盛り上がりを展開してきたのは記憶に新しいところです。
そして、今年はテーマをダンスから「合唱」にシフトさせ、昨年から準備をすすめてきたそうです。

しかし、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で、準備をすすめてきた中高生が全員集まって合唱する様子が撮影ができなくなってしまったのです。そのため、企画を急遽、変更することに。

新しい企画の手法は自撮り。
新ヒロインの汐谷友希さんの他、97名の中高生に、みなさんの自宅でそれぞれ歌っている様子を自撮りしてもらい、集まった映像をひとつに編集してCMを完成させることに。

自分たちの歌を自分たちで撮る、という、緊急事態宣言の今だからこその手法で新CM シリーズの第一弾「ポカリNEO合唱」が完成しました。

ちらりと写る、中高生の部屋や、家や、廊下や、屋根や、庭や、空気感の全てが、2020年の今を切り取っています。歌詞の内容も、声も、表情も、自粛生活を余儀なくされた中高生のリアルで等身大の想いがひとつのCMになりました。

今年の新キャッチコピーは、「渇きを力に変えてゆく」です。
中高生にとっては、親近感のあるリアルなCMができたのではないでしょうか。

なおメイキング映像がありますが、こちらは最低限のスタッフで撮影されたとのこと。このドキュメンタリーも必見です。

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(画像引用元)YouTube 大塚製薬 公式チャンネル「ポカリスエットweb movie|「ポカリNEO合唱 ドキュメンタリー完全版」篇

◆◆◆

また、2020420()からは、ポカリスエットのNEO合唱ミュージックビデオに出演する中高生の募集が始まりました。
こちらはショートムービーアプリ「TikTok」を活用したオーディションにより、今後制作予定のミュージックビデオに出演してもらうという企画です。

応募要項を見ると、「それぞれの場所で、自分らしく表現した歌唱動画を「#ポカリNEO合唱」のハッシュタグをつけて投稿してください。TikTok内の編集機能を使って、デュエット合唱・グループ合唱としても投稿が可能です」とのことです。
こちらも、外出自粛中の中高生から、どんな投稿が集まるのか、展開が楽しみですね。

20200430-35619

自粛生活が続く状況が続く中で、少しでも中高生に共有感を持ってもらおうというポカリスエットの試みは、広告コミュニケーションの性格を良く体現していると言えます。

厳しく、つらい現実がありますが、自分たちの場所で、できることに正面から向かい合うことがコミュニケーションを考える側と送り手に求められています。

「ポカリNEO合唱」のCMのラストで、97名の中高生が映し出した青空の下、みんなでまた会える日が早くやってきますように。

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(画像引用元)YouTube 大塚製薬 公式チャンネル 「ポカリスエットCM 「ポカリNEO合唱」篇 60秒」より

(メディア学部 藤崎実)

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【広告はいつも今と向き合う④】ソーシャルディスタンス/出かけるのはやめよう(メディア学部 藤崎実)

2020年5月 7日 (木) 投稿者: メディア社会コース

2020年の今現在、世界は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)と向き合っています。少しでも感染を広げないためにも、新しい習慣が必要です。そのひとつがソーシャルディスタンスです。

ソーシャルディスタンスは「社会的距離」という意味で、できるだけ人と人の距離を空けようという呼びかけです。世界の自動車会社、アウディやフォルクスワーゲン、日産も、今はソーシャルディスタンスが大切だと伝えています。それぞれを見てみましょう。

アウディは自社のロゴを使いました。アウディのロゴは4つの輪がつながっていますが、今はそれぞれ距離を置くことが重要だと訴えています。アウディのメッセージは、離れて、いっしょにいよう、というものです。#AudiTogether Keep distance, stay together

#AudiTogether: Keep distance, stay together
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(画像引用元)Audi YouTubeチャンネルより 

YouTube動画 #AudiTogether  ←(CM)

Audi MediaCenter

続いてフォルクスワーゲンです。フォルクスワーゲンは、歴史的にすべての危機に立ち向かい、お互いをサポートしてきましたというもの。今はソーシャルディスタンスが大切だと訴えています。

We are Volkswagen - Thanks for keeping your social distance
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(画像引用元)Volkswagen News YouTubeチャンネルより ←(CM)

Nissan - Ode To Empty Roads #TogetherWeCan #StayHome #StaySafe
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(画像引用元)Nissan Middle East (CM→)Nissan - Ode To Empty Roads

日産の中東アカウントは、ドライブに出かけないでくださいというメッセージです。NISSANは、今までハンドルを握ることをすすめてきましたが、今は安全が重要です。道路は待っていてくれるはずなので、今は家にいましょう。 

もちろんこうしたコンテンツだけで、社会的な問題解決を行うことはできません。
また、こうしたクリエイティブそのものが不謹慎という指摘が行われるリスクも当然、発信元は考慮しているはずです。
それであっても、少しでも社会に向けた啓発を行うことで、社会に貢献したいという願いがあるはずです。

自分たちにとってできることを少しでも。そう願うクライアントや広告クリエイターやマーケターは多いのです。
平和で健康的な社会に、早く戻れますように。

(メディア学部 藤崎実)

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【広告はいつも今と向き合う①】2020年の広告コミュニケーションができること(メディア学部 藤崎実)

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【広告はいつも今と向き合う③】ソーシャルディスタンス/新習慣を根付かせるために(メディア学部 藤崎実)

2020年5月 6日 (水) 投稿者: メディア社会コース

「ソーシャルディスタンス」とは、「社会的距離」という意味です。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が世界中で感染拡大を続けている状況で、感染リスクをできるだけ減らすために、人と人の距離を空けようという意味で使われています。

今までにない新しい習慣を、どのように多くの人に知ってもらったら良いのか。行政や報道、テレビやインターネット、小売店の店頭などを通じて、世界中であらゆる啓蒙活動が急速に行われています。

こうした状況を受けて、各企業や団体も啓蒙につながる様々なコンテンツを公開しています。今回はそうしたコミュニケーションをいくつかご紹介したいと思います。

まず、ビートルズの有名なアルバム「アビイ・ロード」を用いた、「activistala」によるソーシャルディスタンスの啓蒙インスタグラムです。このインスタグラムは、米国の貧困や飢餓を扱うNPO団体Feeding Americaへの寄付を募るために作られたコミュニケーションです。
著名なビジュアルですので、一瞬「?」となりますが、なるほど、社会的な距離を取ることの重要性が伝わると思います。

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(画像引用元)https://www.instagram.com/p/B97oZ6BjK6r/

ちなみに、「activistala」は米国ロサンゼルスにあるクリエイティブ・エージェンシーで、今まで数々の社会的問題をテーマにしたコミュニケーションを企画してきたプランニングエージェンシーです。
2013年のカンヌライオン国際クリエイティビティ・フェスティバルの「チタニウム部門」では「Dove Real Beauty Sketches」でグランプリを受賞。フォーブス誌によって「2017年・世界で最も著名なクリエイター100」にも選出されています。

また、米国の広告・マーケティング誌『アドエイジ(Ad Age)』によれば、コカコーラ社も、ニューヨークのタイムズスクエアにあるアドボードで自社のロゴを使ってソーシャルディスタンスの大切さを伝えることにしたそうです。

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(画像引用元) https://twitter.com/adage/status/1241907553950486530

新型コロナウイルスに関する啓蒙やコミュニケーションは、生命や健康に関することですので、十分な配慮が必要となります。

一方、今、必要なこととして、新しい習慣を急激に世界中に普及させる必要があります。そこで各企業や各団体、クリエイターやマーケターは、自分たちにできることを、広告メディアやSNS、ソーシャルメディアを使って発信を始めたというわけです。

このブログの第1回目で書いたように、今年、2020年のカンヌフェスティバルは中止です。その代わりに、世界中のクリエイターやマーケターに、世界の現状を考えることが求められることになったのです。

早くもとの世界に戻って欲しいと私も願っています。

(メディア学部 藤崎実)

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◆【広告はいつも今と向き合う】ブログ アーカイブス
【広告はいつも今と向き合う①】2020年の広告コミュニケーションができること(メディア学部 藤崎実)

【広告はいつも今と向き合う②】国連からの公開ブリーフ/世界のクリエイターのみなさんへ(メディア学部 藤崎実)

【広告はいつも今と向き合う③】ソーシャルディスタンス/新習慣を根付かせるために(メディア学部 藤崎実)

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【広告はいつも今と向き合う②】国連からの公開ブリーフ/世界のクリエイターのみなさんへ(メディア学部 藤崎実)

2020年5月 5日 (火) 投稿者: メディア社会コース

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が世界中で感染拡大を広げています。こうした世界的な状況に対応するため、2020331日、国際連合(United Nations)から世界中のクリエイターに向けて、ブリーフが公開されました。ブリーフとは広告業界の用語で、広告を依頼する書類のことです。

これは全世界中クリエイターに向けた、世界的な呼びかけなのです。
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ブリーフは、新型コロナウイルス感染拡大防止のために、世界中の人々が取るべき行動を促進するようなメッセージを込めた作品を考えて公開して欲しいという内容です。

また、行動を促すコンテンツの募集も行われ、提出されたコンテンツから選考を経た10つ以上のコンテンツが国連のプラットフォームで公開されることになっています。

◆「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)との闘い ~国連からのクリエィティブ産業の協力を求めるグローバルな呼びかけ~)」 国際連合・広報センターのサイト

◆国連グローバルクリエイティブへの呼びかけ-COVID-19の蔓延防止にご協力ください(公開ブリーフ)

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◆コンテンツ作成の協力が求められる、6つのアクション(キーメッセージ)とは、以下のとおりで、概要の日本語版PDFは、こちらです。

・個人の衛生管理(Personal Hygiene
・身体的距離の確保(Physical Distancing
・症状の理解(Know the symptoms
・やさしさの伝染(Kindness contagion
・迷信への対抗(Myth busting
・さらなる行動、寄付を(Do more, donate

広告クリエイターの仕事は、コミュニケーションを考えることです。
一般的に、広告は商品を売るための仕事だと思われがちですが、実際の広告業界が行っていることは、もっと幅の広い内容となります。

人の行動を促すための、コミュニケーション・デザインという領域も、広告コミュニケーションの役目なのです。

(メディア学部 藤崎実)

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【広告はいつも今と向き合う①】2020年の広告コミュニケーションができること(メディア学部 藤崎実)

【広告はいつも今と向き合う②】国連からの公開ブリーフ/世界のクリエイターのみなさんへ(メディア学部 藤崎実)

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【広告はいつも今と向き合う①】2020年の広告コミュニケーションができること(メディア学部 藤崎実)

2020年5月 4日 (月) 投稿者: メディア社会コース

広告はいつも今と向き合ってきました。

毎年6月には、フランスのカンヌで、カンヌ・クリエイティビティ・フェスティバルが開催されます。世界の世界の広告クリエイターが集まるこのイベントでは、世界のトレンドが確認されたり、新しい可能性が議論されたりします。毎年、日本からも多くのクリエイターやマーケターが参加して、これからのコミュニケーションについて熱い議論を交わすのです。

そのフェスティバルも、今年はコロナ・ウイルスの影響で中止です。カンヌ事務局から届いたメールの記録を、今後のために記しておきます。特に注目したいのはその日付です。1週間ごとに状況が変わったことがわかります。

>3月12日(木) 「コロナウイルスのカンヌライオンズ開催への影響について」
(メール文)2020年度のカンヌライオンズ国際クリエイティビティ・フェスティバルをコロナウイルスの影響を鑑み、20201026日~30日に延期する可能性があると、カンヌライオンズ本部より連絡がございました。こちらは、まだ確定情報ではございません。416日(日本時間)頃に正式結論が出る予定です。

>3月19日(木) 「カンヌライオンズ2020開催延長決定のお知らせ」
(メール文)2020年度カンヌライオンズ国際クリエイティビティ・フェスティバルは、コロナウイルスの影響を鑑み102630日に延期することに正式決定されました。すべてのパス・スポンサー許諾・予約は引き続き有効です。作品の審査・受賞はグローバルの審査員によって予定通り審査を行う予定です。エントリーの締め切り日、参加資格などの日程も開催延期に伴い日程が後ろになるため、現在最終調整中です。週明けには、詳細を別途発表予定です。

>3月26日(木)「2020年カンヌライオンズ エントリー期間変更のお知らせ」

>4月3日(金)【2020年カンヌライオンズ 中止のお知らせ】
(メール文)本部より2020年のカンヌライオンズは中止との発表がありました。次回は2021621日~25日開催の予定です。エントリー、チケット、等の詳細は現在本部の決定を待っている状況でございます。以下、略。

◆カンヌ公式サイト https://www.canneslions.com/about/news/cannes-lions-2020-cancelled

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2020年の5月、現在進行形で、世界中が大変な状況になっています。こうした状況で広告業界は何ができるのか。
世界中のクリエイターやマーケターは真剣に悩んでいます。

こうした状況で思い出すのは2012年のカンヌフェスティバルでビル・クリントン 元米大統領が行ったスピーチです。 クリントン 元米大統領は、今後の世界がどうなるかについては、コミュニケーターが深い影響を与えるだろう、だから、できることから初めて欲しい、と講演を行ったのです。

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YouTube[Hult International Business School] President Bill Clinton Talks Hult Prize At Cannes Lions より引用

一般的に広告コミュニケーションは、商品を売るためのマーケティング・コミュニケーションとして捉えられていますが、現実の広告業界が担っている分野は、もっと大きなものとなります。

広告は企業や団体、NPOや地方自治体などと生活者を結ぶコミュニケーションなのです。これから1週間、2020年の今の広告コミュニケーションの対応を記しておこうと思います。

(メディア学部 藤崎実)

ヒマなときには

2020年5月 3日 (日) 投稿者: メディア技術コース

メディア学部の大淵です。

外出自粛が続き、家にいる時間が長くなりました。テレワークで仕事をしていることも多いですが、それでも以前よりはヒマな時間が長くなりましたね。皆さんは、そんな時間をどんなふうに過ごしているでしょうか。

そんなとき、私はパズルをして過ごすことが多いです。有名な「数独」を世間にひろめた「ニコリ」というパズル雑誌があって、そこには他にもいろんな種類のパズルが載っていました。また、民間にはこうしたパズルの愛好者が大勢いて、自分が作った問題をネットで公開してくれていたりします。

私の一番のお気に入りは「カックロ」ですが、他にも楽しいものが沢山あるので、ヒマを持て余している方がいたら、頭脳のストレッチと思ってやってみませんか?

遠隔会議

2020年5月 2日 (土) 投稿者: メディア技術コース

メディア学部の大淵です。

新型コロナウイルス感染対策でテレワークが推奨され、ZoomやハングアウトMeetなど、ビデオ会議アプリを使う人が増えています。そんな中で、音声研究者のアンテナに引っかかるようなニュースがありました。

ビデオ会議からポテチを食べる音を消す技術、マイクロソフトが開発

ビデオ会議中のマイクからは、自分の発言以外にもいろんな音が入ってしまいますが、雑音抑圧技術を使って、ポテトチップスを食べている音を消してしまうことができるという内容です。これは使いたい!と思った人も多いかもしれません。

実は、私自身、東京工科大学に着任する前に、ビデオ会議システムの開発に関わっていたことがあります(*)。そのときも雑音抑圧は大きな課題で、できあがった成果を、「机の上で紙の資料をガサガサさせる音や、ノートパソコンのキーボードを叩く音を抑圧できる」と言ってアピールしていたのを覚えています。しかし、ポテチの音というのは考えていませんでした。当時はビデオ会議といっても会社の拠点間で行うことを想定しており、自宅で参加するような人のことは眼中になかったのです(そういうものは「テレビ電話」と呼ばれていましたが、会議のようなシリアスな目的で使われるものではありませんでした)。

こんなふうに、技術的には同じことでも、時代が変わると役割や価値が変わるということはしばしばあります。古い論文を読み漁ってみると、意外と宝物が隠れているかもしれませんね。

(*) 戸上真人,川口洋平,菅沼俊輔,橋本孝幸,小窪浩明,大淵康成:「垂直配置マイクロホンアレイを利用した卓上突発音除去機能を備える遠隔会議システム」電子情報通信学会論文誌,Vol.J93-D, No.10, pp.2069-2084 (2010)

発表できなかった発表:さあ、音ゲーを作ろう!

2020年5月 1日 (金) 投稿者: メディア技術コース

メディア学部の大淵です。

発表できなかった発表シリーズの4件目です。今回は、修士2年生の福永さんの「キー音を用いたリズムアクションゲームにおける譜面の自動生成」を紹介します。発表する予定だったのは、情報処理学会エンターテインメントコンピューティング研究会です。

「太鼓の達人」や「ダンスダンスレボリューション」「ビートマニア」など、いわゆる音ゲーが好きな人も多いと思います。こうした音ゲーは、元となる曲から、ゲーム制作者がひとつひとつのゲームの「譜面」を作っているのですが、それを自動化しようというのが福永さんの研究です。自分が好きな曲のmp3データだけあれば、音ゲーとして遊べるようになる、そんなふうになれば楽しいですよね。

昨日の記事に書いた矢島さんの研究と同じく、福永さんの研究も、途中経過を国際学会で発表済です(ブログ記事はこちら)。そのときの内容は、譜面自動生成の中心となる推定モジュールについて、精度を高める方法を見つけたというものでした。それから半年、自動化プログラム全体が完成し、実際にゲームを作ってみるところまでできるようになりました。今回の発表は、こうして作ったゲームをいろんな人にプレイしてもらい、ゲーム制作者が作ったゲームや、まったくランダムに作ったゲームととの印象比較を行ったという内容です。実験結果がわかるまではドキドキでしたが、結果として、ランダムに作ったものよりはずっと面白いという回答が得られ、これまでの研究努力が報われたという感じでした。

システムは完成しましたが、研究としてやりたいことは沢山残っています。ゲームの難易度を正確に調整できたり、「もっとリズム感のあるゲームにして」みたいな言葉での要求にも応えられるようにできたら、きっと多くの人に使ってもらえるようになるでしょうね。

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