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緊急事態宣言解除後のテレワークと「新しい思考」

2020年5月29日 (金) 投稿者: メディア社会コース

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完全にテレワークに移行した3月末から2ヶ月が過ぎた。打ち合わせや会議がビデオ会議になり、研究室のゼミもチャットやビデオ会議で行ってきた。遠隔授業の準備も進めてきて、5月20日から授業開始となった。少々お恥ずかしいが、写真はキャンプ用品を代用した私のテレワークスペースである。家にスペースがないので、毎日このスペースを作っては片付けているのだ。キャンプが好きなので、少しでもモチベーションが上がるようにという思いもある。

緊急事態宣言が解除されたが、大学のテレワークはまだしばらく続くだろう。これまでのテレワークを振り返ると共に、これからもテレワークの方が望ましいことはどんな場面なのかを考えてみたい。

まず、私が感じているテレワークのメリットは以下の通りだ。

  • 往復で約3時間の通勤がない。
  • 打ち合わせ、会議、シンポジウム等への移動時間がない。
  • ビデオ会議を使って、同時に2つのイベントに参加できる。
  • 書類の電子化が一気に進んだ。
  • 家族と過ごす時間が増えた。

逆に、私が感じているデメリットは以下の通りだ。

  • 移動時間がないため、考え事をする時間がなくなった。
  • 仕事に集中しすぎてしまうため疲れる。
  • 子どもの世話をしながら仕事をしなければならない。
  • 運動不足になる。

しかし、ここで考慮しなければならないのは、新型コロナウィルス対策としての「活動自粛」に伴う要素と、「テレワーク」そのものについては、切り分けて考える必要がある。例えば、子どもの学校は今後再開の方向へと向かっているため、登校する日が徐々に増えていくだろう。子どもが家にいることで仕事をしにくいというデメリットは減っていくと考えられる。また、感染対策をすれば外出する機会は増えていくだろうから、運動不足も徐々に解消されるだろう。

こうやって考えてみると、テレワークを実践してみて感じたメリットについては、今後も継続していけると、仕事の効率化につながるだろう。ただでさえ、「仕事改革」が話題となっていたのだから、これを機会に改革しなければ、いつするのだろうと思う。これ以上のチャンスは無いだろう。

「新しい生活様式」という言葉が今一つ分かりにくいことから、「元の生活に戻る」という選択をする人も一定数いるように感じる。その気持ちは十分すぎるほど良く分かる。しかし、現実問題として感染者は減ったものの「新型コロナ」自体の本質は何も変わっていない。これから来るだろう第2波、第3波に備えて、自分の脳の中を「新しい思考」にまずは変えなければならない。その出発点がなければ、「新しい生活様式」を実行することには繋がらない。

では、「新しい思考」とは何か。

「元の思考」に基づいて考えるのは容易だが、実際には様々な障壁があり元通りに行動するのは困難であろう。逆に、「新しい思考」を自分の中に構築するのは大変かもしれないが、これからの現実社会において行動しやすくなるだろう。そして、「新しい思考」に基づいて行動できる人が、これからの社会を前に進めていくのだと思う。

イギリスNESTA(科学技術芸術国家基金)の記事を和訳したサイトを紹介する。実に多方面においてこれから起こりうる変化について書かれており、大変考えさせられる記事であるのでぜひご一読頂きたい。

「平常に戻る」ことはない(和訳)

引用>

パンデミックは世界を永久に、そして根本から変えるだろう。例えば、各国が今後数か月でCOVID-19の蔓延を抑制できたとしても、政治的、経済的、社会的、技術的、法的、環境的な影響が何十年も続くことになるだろう。

この記事では、世界がどのように変化するかについて、様々な見方(しばしば反対の見方)を要約し、総合的にまとめている。明らかに、これらは空論である。未来がどのようなものになるか誰にも分からない。しかし、危機は必ず深く予期しない変化を促し、パンデミック前の正常な状態に戻ることを期待している人々は、以前のシステム、構造、規範、仕事の多くが消滅しており、戻る事はないと知って愕然とするかも知れない。

そのため、適応能力とイノベーションはこれまで以上に重要になってくる。数か月でビジネスが通常どおり再開することを期待する経営陣にとっては「万が一に備える」という誘惑に駆られるかも知れないが、多くの経営陣は、市場が消滅し、パートナーやサプライチェーンが変化し、利害関係者の優先順位が根本的に異なっていることに気付くだろう。Nestaでは、この分析を基に、COVID-19の余波で起こり得る将来のシナリオにおけるイノベーションの役割を探っている。私たちは皆、出現する新しい世界に適応しようと考えているため、この分析が他の人の組織内で重要な議論を促進するのに役立つことを願っている。

(後略)

 


メディア学部 吉岡 英樹

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略歴:バークリー音楽院ミュージックシンセシス科卒業後、(有)ウーロン舎に入社しMr.ChildrenやMy Little Loverなどのレコーディングスタッフや小林武史プロデューサーのマネージャーをつとめる。退社後CM音楽の作曲家やモバイルコンテンツのサウンドクリエイターなどを経て現職。1年次科目「音楽産業入門」を担当。現在のコンテンツビジネスイノベーション研究室は2020年度にて終了し、聴覚障害支援メディア研究室として新たなスタートを切る。


 

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