「だしいりたまご」でメディアを制する、新型コロナウイルスを制する
2020年5月21日 (木) 投稿者: メディア技術コース
5年前から新しい研究テーマを始めた健康メディアデザイン研究室の千種(ちぐさ)です。人体を健康メディアとしてとらえメディアをつかって自らの健康をデザインするための研究を行っている研究室です。
今年になって世界は大変な状況に陥ってしまいました。最初は専門家も含めて中国一部の感染症だと認識していた新型コロナウイルスがあっという間に世界中に広がり、累積の国内感染者数の推移は2月1日に9名、3月1日に239名、4月1日に2,306名、5月1日に14,383名と1か月で10倍ずつ増加して、世界中でも同様にいわゆるパンデミックに陥ってしまいました。新型コロナウイルスは去年の12月から今年の2月にかけて感染力が非常に強力な感染症であることを世界中で正しく認識されていなかったために、今現在の状況に陥っています。
2500年前の中国春秋時代の思想家・哲学者である孔子いわく「名君賢将の動きにて人に勝ち、成功、衆に出ずる所以のものは、先知なり」とあります。つまり勝つためには事前に敵の情報を掴むことが大事であり、すなわち先に知ることが戦いを制する掟である。情報は優秀な人材が関わってこそ正確な内容が掴める。ということです。過去に遡ることはできないので、現在から未来に向けて新型コロナウイルスの正確な情報を掴むことにより、今の自粛した状態を脱したいものです。
特に、新型コロナウイルスのフェイクニュースも世界中で問題視されていて、この件に限らずメディア学部の在学生や卒業生は正しく情報を判別できる能力を養いたいものです。そこで、歴史の年号の覚え方のような判別法をNHKの番組で放送されましたので、これを皆さんに紹介します。
https://www.nhk.or.jp/gendai/comment/0010/topic039.html
それは「だしいりたまご」の7つの基準を使ってフェイクニュースか正しいニュースかを判別する方法です。生命を危険にさらす可能性がありとても重要です。SNSから伝わって切る友人・知人や有名人の発言の正当性を判別する方法にも使えます。以下の7基準で判別しましょう。
①「だ」=誰が言っている?
②「し」=出典はある?
③「い」=いつ発信された?
④「り」=リプライ欄にどんな意見がある?
⑤「た」=たたき(攻撃)が目的の投稿ではないか?
⑥「ま」=「まずは一旦 保留しよう」
⑦「ご」=ゴシップでなく公的情報か?
①「だ」=誰が言っている?
Facebookなどで「お茶で新型コロナウイルスを治療できる」とありましたが、その発言の元は専門家ではありませんでしたし、専門家によっても有効なエビデンスは存在しないということでした。また一見すると、医師ならば専門家に思えますが、厳密は感染症の分野の専門家ではないという場合もあります。。
②「し」=出典はある?
専門家に限らず発言が意見や感想なのか事実なのかを正しく識別する必要があります。その情報源の「出典は何か」「エビデンスはあるのか」を、常に考えたり、自分自身で調べたりしましょう。出典もエビデンスもないからば「あくまで個人的な意見にすぎない」とみなしましょう。
③「い」=いつ発信された?
医療に限らず様々な情報は、最初は正しいと思われていたことでも、時間が経って研究が進んだ結果、「実は間違いだった」とわかることがあります。特に今回の新型コロナウイルスについては次々と新しい知見が明らかになり、上で述べたように事実は強力な感染力をもつ感染症なのに、その今年の1月~2月の時点での認識を間違ってしまったためにパンデミックに陥ってしまいました。現在の認識ではたった数ヶ月で認識が正反対に変わっていて、強力な感染力を持つ感染症であることは明らかです。
④「り」=リプライ欄にどんな意見がある?
TwitterやFacebookなどのSNSでは医療に関するデマが拡散することも多いですが、リプライ欄には、専門家がそのデマを否定している書き込みがあることもよくあります。リツイートやシェアして拡散する前に、リプライ欄を見れば、デマかどうかの判断の基準になります。
⑤「た」=たたき(攻撃)が目的の投稿ではないか?
例えば、嫌いな有名人が新型コロナウイルスに感染してしまい、この人の行動がSNSで批判を浴びていたとします。そんな時は、巧妙にデマ情報が混在している場合があり、「嫌いな人の悪い評判」=「拡散したい気持ち」となってしまいます。しがちです。その心理がデマの拡散につながることがあります。デマでなくても名誉棄損罪の犯罪につながることもあり、誰かを攻撃するような投稿やメッセージはとどめておくほう無難です。
⑥「ま」=「まずは一旦 保留しよう」
興味深い情報を友達にメッセージしたり、リツイート・シェアしたり、するまえに、その情報の真実について自分で調べてみましょう。情報源が1つの場合は、ここまでの「だしいりたまご」の①~⑤でフェイクニュースかどうかを容易に確認できますが、複数の情報源があって、実は同じ情報源からの2次情報であったりすると判別が困難になります。そういった段階の時は、リツイートやシェアをするのを一旦保留しておきましょう。「これは」と思った情報には巧妙にデマが混入されているかもしれませんし、時間が経つとすぐに評価が変わるかもしれません。冷静に判断するようにしましょう。
⑦「ご」=誤報でなく公的情報か?
メディアに関わる人ならば、出展も含めて自力で複数の情報を取りにいって比較検討し、正しい情報かどうかを確認する能力を養いたいものです。例えば、厚生労働省の公式サイトや論文検索サービスのGoogle Scholarなどを使って、より正しい情報を確認できるスキルを身につけましょう。
以上、メディアに関わる皆さんも、「だしいりたまご」でメディアを制するスキルを身につけましょう。
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