遠隔授業モデル(演習編)の紹介
2020年5月26日 (火) 投稿者: メディア社会コース
5月20日から正式に大学の授業が始まった。私は4月からオンラインで研究室の学生と少しずつ実験を行っていた。遠隔授業よりも対面授業が良いと考える人もいるかもしれないが、遠隔授業のメリットはたくさんある。これまでに感じたポイントをまとめてみる。
<遠隔授業のメリット>
- オンデマンド授業用のデジタルコンテンツは、必要のない「間」を切り取れば、テンポの良い講義になる。
- デジタルコンテンツの教材だと、途中で止めたり、分からない箇所を繰り返したりすることが出来る。
- ビデオ会議システムやチャットによるリアルタイム授業だと、対面よりも質問がしやすい。
- 全てがパソコンの画面上で行われているため集中できる。
- デジタルツールを必死に覚える機会になったため、便利な機能をたくさん使って、効率化が図れている。
これらの中には、もちろんデメリットにもなりうる事もある。
<遠隔授業のデメリット>
- オンデマンド授業用のデジタルコンテンツは、 学生の表情を見ながら話せないので当然完全な一方通行になる。
- ビデオ会議システムだと学生が顔を出してくれないので、表情が分からない。
- チャットも当然表情が分からないので、細かいニュアンスが伝わらない。
- パソコンの前で、長時間集中すると疲れる。
また、学生のネット環境や世の中の通信インフラへの配慮が求められており、データダイエットをするのがエチケットになっている。つまり、遠隔授業における通信データ量を出来る限り減らす必要があるのだ。以上のことを踏まえて、私の演習(100分×2コマ)はこのように進めることにした。
最初はGoogle Classroomに集まり、ストリーム (チャット)に全員が集まったことを確認したら、その日の授業で何を学ぶのか動画(YouTube)で説明する。その後、Classroomから授業資料(PDF、音声ファイル)と課題(Word)をダウンロードして、音声ガイダンスに従って授業資料を見ながらオンデマンド授業を行う。授業は約30分刻みにして、zoomで他の学生とブレイクアウトルームでディスカッションしたり、私が質問に答える時間を10分ほど設ける。この時間を設けることで、理解度を深めるねらいがある。最後はzoomの時間を少しながめにとり、全体を通した質問に回答したり、次回の予告などを行う。課題は30分刻みの授業内容ごとにまとめを書くように指示して、最後にアップロードしてもらう。この課題を提出することで、出席確認を行う。
なお、PDFと音声ファイルによる授業の中では、YouTubeなどにある外部のコンテンツにもアクセスしてもらうことを想定しており、インターネット上の様々な情報から学んでもらうようにしている。
まだ授業は始まったばかりで、今後いろいろな問題が出てくるだろう。しかし、今は緊急事態だ。学びを止めないことが最優先である。そのために全力を注いで遠隔授業の準備を進めてきた。それにより得られた知見は、自らにとってポストコロナを生き抜いていくための大きな資産となるだろう。
メディア学部 吉岡 英樹
略歴:バークリー音楽院ミュージックシンセシス科卒業後、(有)ウーロン舎に入社しMr.ChildrenやMy Little Loverなどのレコーディングスタッフや小林武史プロデューサーのマネージャーをつとめる。退社後CM音楽の作曲家やモバイルコンテンツのサウンドクリエイターなどを経て現職。1年次科目「音楽産業入門」を担当。現在のコンテンツビジネスイノベーション研究室は2020年度にて終了し、聴覚障害支援メディア研究室として新たなスタートを切る。
「授業紹介」カテゴリの記事
- トップレベルの論文を読み込む「CG技術特論」(大学院授業紹介)(2019.03.13)
- 大学院授業:プロシージャルアニメーション特論の紹介(2019.03.08)
- 専門演習「空間インタラクティブコンテンツ」2018後期(3)(2019.02.22)
- タンジブルインタラクションデザイン最終発表(2019.02.13)
- 専門演習「空間インタラクティブコンテンツ」2018後期(2)(2019.02.12)