大学での学び(新入生の皆さんに向けて)
2020年5月23日 (土) 投稿者: メディア技術コース
大学が閉鎖されているなか、遠隔授業がいよいよ始まります(ました?)。いままで空いた時間が多かったかと思いますが、一気に色々な講義や演習が押し寄せてくる感じではないでしょうか?新入生の皆さんは、新しい勉強に期待と同時に不安もあるかもしれませんが、勉強したいことを色々思い浮かべているでしょう。
ところで、大学での勉強は高校までとは違うということをよく耳にするのではないかと思います。これまでは受け身であったけど大学では自律的に学ぶのだ、とか、やりたいことを見つけて率先して取り組むのだとか、授業だけが勉強ではないとか、色々な説明があるでしょう。皆さん自身はどのように考えているでしょうか?大学では、高校よりもちょっと高級っぽい(…論、的な?)新しいことを勉強する、と思っている人も多いのではないかと想像します。もちろん、高校までに学んできたことを土台としてさらに新しいことを学ぶ、という側面はあるでしょう。
私が大学での学びが高校までの勉強と異なっていると考えているのは以下の点です。
大学の講義では、対象のテーマについてどのような視点や考え方があり、それらが互いにどのような位置づけで関連性を持っているかを把握できるように構成しています(と思います)。それらは、その科目の内容についてどのような取り組み方の切り口があるのかを示しているのです。大学の講義で学ぶべき最も重要な点は、そのような全体像(体系)を知ることだと思います。そこが高校までの勉強と大学での学びが最も異なるところなのだと私は考えています。10数回に渡る講義のなかで、内容は一つごとに完結しているのではなく、他の時間の内容と連携していたり、反論や別の視点であったりして、それらを全て俯瞰したときに全体像が把握できるように構成されているでしょう。技術的な内容のものであっても、目的のものを理解したり実現するためのアプローチの全体を構成だてて用意されているはずです。
こうした体系の理解というものがさらに深くテーマについて考察する土台となりますし、考え方のテンプレートを与えてくれます。その理解はさらに、同じ考察の組み立てを他の科目についても応用できるような本質的な知恵となるはずです。そしてそれは学問だけでなく、皆さんが社会にでたときにも様々なところで真の力となるものです。
高校までは、頭を使うための基礎訓練として、また、その先のものを理解するためのツールを仕入れるために、一つ一つの項目の理解が主題だったと思います。大学では、そうして培ってきた力を使って、取り組み方を学ぶのです。その点が、大学の学びは高校までとは違うと言われていることなのだと私は考えます。こういうことを実感として感じることは難しいかもしれませんし、結局は試験で個々の用語や解法の暗記が必要となる点があるのは否めません。それでも、大学の学びを単により専門的な内容のもの、というような漠然としたイメージではなく、学びの在り方の違いとして意識することで、大学で学ぶということの価値を再認識できるのではないでしょうか。
太田高志
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