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2020年6月

「映画の時系列」について考える ~映像作品を分析するということ~

2020年6月30日 (火) 投稿者: メディア技術コース

助教の戀津です。

昨日に引き続き、映画の時系列のお話です。今回は研究内容の紹介ではなく、そのプロセスについて紹介します。
映画の時系列、とだけ書いてしまえば簡単ですが、しっかりと追究するとそこにはいくつかの異なるものが混ざっています。とりあえず例示すると・・・

① 映画の初めから終わりまでの再生時間上の時系列
② 作品中の世界における歴史上の時系列
③ 作品の登場人物の主観上の時系列

の3つが考えられます。

①については、時系列という呼び方は若干違和感があるかも知れません。「物語上で描写された順序」とより正確に書けばしっくりくるでしょうか。
②は「ストーリーの時系列」と言い換えると誤解が少ないように思います。「映画の時系列」と聞いて一番イメージされるのはこれでしょうか。
③は若干複雑ですが、作品の中で登場人物が時間移動をした場合に生じます。とはいえ基本的には移動するのは主人公で、描写は主人公を中心にされるため多くの場合は①と一致します。

③の、①と一致しない場合というのはどういうものかというと、ループものと呼ばれるジャンルが該当します。
作品中の登場人物が、ある事件・事象を何度も繰り返しているというタイプの作品です。その事件・事象で起きた出来事や結末に納得ができず、何らかの方法でその前の時間まで戻ってやり直す。
やり直しているのが主人公自身の場合も、(主人公を助けるために)他の誰かである場合もありますね。後者の場合はループしていること自体物語の中盤あるいは終盤まで明かされないことが多いでしょうか。
これを可視化しようとすると、通常①・②とは全く違った形になってきます。

このように、一言で「映画の時系列」と言っても全く異なる複数の概念を含んでしまっています。
議論の際には、どれのことを指しているのか、そもそもちゃんとこれらを区別できているのかによって誤解が生じ得ます。
また、映像作品の分析をする際にはどうしても個々人の解釈による差もあるため、その差を常に意識しながら誤解が生じないよう議論を進める必要があります。

昨日の記事で紹介した研究では、③に該当する作品の分析・可視化手法の検討に大変苦労しました。
また、とりあえず3つ挙げてみましたが、時間の流れが通常の範囲を逸脱するとまた別の類型がありそうです。

人格の入れ替わりだとか時間移動と歴史改変だとか、そもそも主人公2人だし・・・という、今はそんなとある作品の分析に頭を悩ませています。

 

発表できなかった発表:映画の時系列を可視化する

2020年6月29日 (月) 投稿者: メディア技術コース

助教の戀津です。

間が開いてしまいましたが、以前大淵先生が書かれていた発表できなかった発表シリーズ()に便乗です。
私も昨年度の卒研生の研究で芸術科学フォーラムにて発表予定でした。

年度末には例年多くの学会が開催されますが、それらがなくなってしまったのは大変残念です。
とはいえオンライン開催できたものもありますし、中止であっても投稿された研究は公知のものということで、ブログでの紹介です。

 

紹介するのは昨年度卒研生の石塚さんが行っていた、「映像作品における時系列構成の可視化手法の提案」という研究です。
研究タイトルや今回のブログタイトルの通り、映画を観ながらその作品中の時系列を分析し、時系列の変化を可視化するという試みです。

映画(というよりもストーリー)は、再生開始から終わりまで、常に一方向に時間が流れるとは限りません。
最もわかりやすいのは回想シーンで、先に現在の描写がされてから、過去を振り返る形で回想の描写がされると描写上の時系列が逆転します。
あるいは、ちょうど先日久々の地上波放送がされた『Back to the Future』シリーズのように、作品中で時間移動をした場合にも再生時間と作品中の時系列は食い違ってきます。

このような、映像作品における時系列の変化を、多くの作品分析を経ていくつかの類型にまとめ、可視化手法を提案しました。
もちろん一作品一作品それぞれに内容は異なるものの、時系列の変化に着目し抽象化した結果、いくつかの特徴が見つかりました。
次の図は「回想型」と「事象反復型」とそれぞれ名付けた2つの特徴について、その代表例となる作品の時系列可視化を行った結果です。

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さすがに可視化手法や特徴の内容まで解説すると記事が長くなりすぎるので、詳細は割愛しますが・・・。
類型ごとに異なる特徴を持ちますが、それらをまとめて同一のフォーマット上で可視化できるようにすることで、特徴の可視化も同時に行えるようになっています。
多くの作品を分析したからこそ、その共通項を洗い出すこととそれによって明らかになる特徴を類型化することができ、そこに価値が生まれたといえます。

映像作品の分析研究は非常に大変ですが、対象に素晴らしい多様性があり強い魅力のある分野と思います。

心拍数その変動に基づくVR ホラーゲームの恐怖制御システムの研究

2020年6月28日 (日) 投稿者: メディアコンテンツコース

みなさん,こんにちは.メディア学部助教の兼松です.

先日私はホラーが苦手だということをこのblogで書きましたが,今日はそんな私のような方におすすめの研究をご紹介します.
昨年度の学生が研究した「心拍数とその変動に基づくVR ホラーゲームの恐怖制御システムの研究」では,プレイヤーの心拍数を用いて,ホラーゲームの「怖いシーン」を変更する手法を提案しました.
簡単に言えば,平常時(ゲームプレイ前)の心拍数と,プレイ中にリアルタイムに計測する心拍数を比較し,心拍数が上がりすぎていれば次のシーンの怖さを少し控えめに,心拍数があまり変わっていなければ少し怖くする手法です.

怖さの調整は非常に難しいものです.
多くの人がプレイできるように怖さ控えめにしようとすると,ホラー風ではあるものの,全く怖くない,平坦なものになってしまいがちです.
そこでこの研究では,怖さを一律に下げるのではなく動的に調整する.さらに怖さを抑える方向に作用させたとしても,リアルタイムな心拍計測を用いて,ある程度心拍数の増減がおこるように,適度に怖い場面と落ち着ける場面を確保することを目指しました.

[趙博新、兼松祥央、鶴田直也、 近藤邦雄、三上浩司、心拍数とその変動に基づく VR ホラーゲームの恐怖制御システムの研究,日本デジタルゲーム学会第 9 回年次大会、2019]

(文責:兼松祥央)

Global Game Jam 2011 東京工科大学会場(「ゲーム開発の民主化」が加速した日)その2

2020年6月27日 (土) 投稿者: メディアコンテンツコース

メディア学部の三上です.

先日の記事で,10年前にUnity教育をスタートさせた記事「Global Game Jam 2011」の東京工科大学会場について言及しました.
今回はその続きをお話しします.

確かに,本来ならゲーム開発会社の企業秘密でもあったゲームエンジンが,Unityによって汎用化,高度化したことで,誰もが共通の開発環境を得ることができるようになりました.しかし,その意義は単に開発ツールが基本無料で使用できるというところにとどまりませんでした.

そのメリットが大きく出たのがGlobal Game Jamでした.Global Game Jamでは,開発会場に集まったプロフェッショナルから,アマチュア,学生までありとあらゆる開発者が混成チームを結成します.その際に,同じツールが使えるということは実に大きなメリットになります.

ただでさえ,初めて顔を合わせたメンバーが,利用するツールもバラバラではなかなか開発は進みません.ツールが同一になるということは開発がスムーズになると同時にプロからアマチュア,学生への技術の継承の場になる可能性も示唆されました.

実際にGlobal Game Jam 2011東京工科大学会場には,名だたるプロが参加しており,彼らがアマチュアや学生たちと同じツールを使いながら,様々な技術を共有して開発を進める姿がありました.(のちにユニティ・テクノロジーズ・ジャパンの日本担当ディレクターとなる大前広樹氏も参加していました)

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プロと同じツールを,アマチュアも学生も利用ができる.そしてその技術の蓄積がWebなどを通じてオープンになるという環境が構築され,ゲーム開発に興味を持つ人や,開発環境を整備しようとするものにとって,魅力的な状態ができました.

これにより,作りたいと思った人が,すぐに作り始められるという環境になり「ゲーム開発の民主化」というような言葉が広まるようになっていきました.

文責:三上浩司

 

最近割と多い学生による対・兼松用精神攻撃

2020年6月26日 (金) 投稿者: メディアコンテンツコース

みなさん,こんにちは.メディア学部助教の兼松です.

唐突ですが私はホラーが苦手です.
映像コンテンツの分析をしよう!という道に進むまでは,自主的にみることはほとんどありませんでした.
そんな私が,今では割とホラー映画をみたり,ホラーゲームをプレイしたりしています.

なぜなら,学生の皆さんが分析対象や,演習の課題に取り上げる作品として持ってくるからです・・・.
なんでみんなそんなにホラーが好きなんだ!何かの陰謀・精神攻撃か!?と思う程度には毎年ホラーを持ってくる子がいます.
もちろん,その作品自体をみないでも,研究の進め方は他ジャンルの作品分析や研究と共通することはお話しできるのですが,やはりホラー特有の要素もありますし,私も見ないわけにはいきません.
なによりも私が扱う研究や授業は,その作品について熱く語り合うところがスタートラインだと思っていますので,そういう意味でもやはり見ざるを得ないわけです.

シナリオの研究・分析においても,ホラー作品は他ジャンルの作品に比べてちょっと特殊というか,難易度が高い点があります.
エンターテイメント作品においては,最後に視聴者を満足させるためにストーリー上の工夫が散りばめられます,これは悲劇的な終わり方をするかどうかには関係がありません.
簡単に言えば,例え最後に主人公が死んでしまう作品でも,命を賭して何かを成し遂げたことで視聴者が満足できるようにストーリーが組み立てられていたりします.映画「グラディエーター」なんかがわかりやすい例ですかね.

一方でホラー作品においては,2時間かけてストーリーを展開するけど,スタート時点とエンディング時点で,実質何も状況は変わっていない,または悪化している,という作品がありえます.
主人公たちが色々頑張って悪霊や呪いを遠ざける.結果,なんとかその脅威から脱する.のだけど,実は悪霊は滅びておらず,恐怖はまだまだ続く・・・.的な終わり方をする作品,けっこうありますよね.
主人公視点でみたストーリーとしては脅威から脱することがオチですが,視聴者側の「満足の仕方」としては,主人公が脅威から脱したかどうかはある意味どうでもよくて,身近にあるかもしれない脅威にどれだけ”ビビれたか”が大事だったりします.
なので,ストーリー上の工夫も,他ジャンルとは違った工夫が必要になる可能性があるわけです.
ですから,研究テーマとしても実はやれることの多い,興味深い分野です.

(文責:兼松祥央)

卒業研究室配属が始まります!

2020年6月25日 (木) 投稿者: メディアコンテンツコース

本年度も、卒業研究室の配属を決める時期がやってきました。

メディア学部では、3年次の前期の6月~7月にかけて、卒業研究室を決めるための卒研室見学を実施しています。
しかし、本年度は新型コロナ感染症の影響を受け、研究室見学の時期を1か月後ろにずらして、6/29からの実施になります。
また、直接研究室を見て・・・ということが難しいため、オンラインまたはオンデマンドでの実施になります。

現在、メディア学部には29の研究室があります。以下に研究テーマを示します。

3年生以外の皆さんも、自分の興味がある研究室があるか、探してみてください。

 

メディアコンテンツコース

佐々木 和郎 次世代ブロードキャスト
萩原 祐志 プロダクトデザイン
三上 浩司 & 兼松 祥央 コンテンツプロデューシング/ゲームイノベーション
伊藤 謙一郎 ミュージック・アナリシス&クリエイション
菊池 司 Procedural Animation / Contents Design Science
竹島 由里子 コンピュータビジュアリゼーション
椿 郁子 次世代コンテンツ
安原 広和 インタラクティブコンテンツ・メディアデザイン、ゲームデザイン
伊藤 彰教 exSD
川島 基展 次世代CGクリエイション

 

メディア技術コース

柿本 正憲 & 戀津 魁 イメージメディア/ビジュアルコンピューティング
大淵 康成 & 越智 景子 サウンド×ヒューマン
太田 高志 & 加藤 邦拓 コム・メディア・デザイン
千種 康民 健康メディアデザイン
寺澤 卓也 ネットワークメディア
羽田 久一 AEDLAB
榎本 美香 コミュニケーション・アナリシスプロジェクト
永田 明徳 顔画像と音声の感性情報解析/画像の認識と高精細化
渡辺 大地 ゲームサイエンス
藤澤 公也 人工知能・地図メディア・モバイルメディア

 

メディア社会コース

榊 俊吾 経済経営調査研究
進藤 美希 デジタルマーケティング
飯沼 瑞穂 ソーシャル・デザインプロジェクト
松永 信介 スマートインストラクショナルメディア
山崎 晶子 社会、相互行為、会話
小林 克正 人間社会環境モダレーション
吉岡 英樹 聴覚障害支援メディア
森川 美幸 デジタル・ジャーナリズム
藤崎 実 広告クリエイティブ

 

(文責:竹島)

【オンデマンド受講可!】メディアサイエンス先端特別講義Iのお知らせ【再掲】

2020年6月24日 (水) 投稿者: メディアコンテンツコース

みなさん,こんにちは.メディア学部助教の兼松です.
先日ご案内した特別講義ですが,いよいよ明日から始まります.

この記事の下部にもう一度概要をのせておきますが,メディアサイエンス専攻のみなさんにはすでに菊池先生からメーリングリストでも案内がいっています.
当日のzoomのアドレスも既にメーリングリストで告知されていますので,よくご確認ください.

また,この授業はオンデマンド対応です!
「木曜日はTAがあるから・・・」「別の授業と時間がかぶってる!」という方も,授業終了後にアップロードする動画を後日視聴した上で課題をこなし,提出する形での受講が可能です!
なお,このオンデマンド用の動画は授業当日中を目処にアップロードし,URLはメーリングリストでご案内します.

ぜひ多くの方に受講していただきたいです!

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大学院メディアサイエンス専攻 2020年度「メディアサイエンス先端特別講義I」

テーマ:バーチャルミュージアムとメディア研究
講師:林 正樹(Masaki Hayashi)准教授
(Sweden, Uppsala University:メディア学部の提携大学)
実施方法:オンライン講義(Zoom)

講義日程と内容
6月25日(木),7月2日(木),7月9日(木)の各日2コマずつ(4,5限)開催
(4時限 15:10~16:50,5時限 17:05~18:45)

(1)6月25日(木)ウプサラ大学ゲームデザイン学科における研究紹介(4,5限)
 当学科で行われている先端研究:Text-To-Vision、バーチャルミュージアム(今回の講義・実習のメイン)、Neurodrugなどをデモを交えて紹介する。

(2)7月2日(木)バーチャルミュージアム on Unityの操作実習(4,5限)
 各自のノートPCの上で、バーチャルミュージアムのプロジェクトを使って、Unity GameEngineの基本操作を実習した上で、自分のミュージアムを作成する実習を行う。

(3)7月9日(木)3Dスキャニングとバーチャルミュージアム実習(4,5限)
 3Dスキャニングの基礎知識と、Photogrammetry手法を使った実際の3Dスキャンを行い、これをUnityに取り込んでバーチャルミュージアムで展示する実習を行う。最後にコース課題(自分のミュージアム展示の製作)の説明をする。

課題提出の最終締め切り:7月23日(木)

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(文責:兼松祥央)

Global Game Jam 2011 東京工科大学会場(「ゲーム開発の民主化」が加速した日)その1

2020年6月23日 (火) 投稿者: メディアコンテンツコース

メディア学部の三上です.

先日の記事で,10年前にUnity教育をスタートさせた記事を書いたのですが,そのゲームエンジンUnityも絡んでゲーム業界が変革を起こす大きなきっかけとなるイベントがありました.それが,「Global Game Jam 2011」の東京工科大学会場でした.

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Global Game Jam 2011参加者の集合写真



Global Game Jamは2009年(準備は2008年から)に始まった,ゲーム開発イベントで,48時間という限られた時間の中でテーマに沿ったゲームを開発するという,とってもクレイジーな企画でした.当時はコンソールゲーム開発が主流で,一つのゲームに数年かかるのが当たり前の中,環境構築も含めて48時間でゲームを完成させるという挑戦が,ギークな人たちの心に刺さりました.大規模ゲームの開発ばかりだとゲームの「部品」ばかりを作るので,もっと「ゲーム」を作りたいと思う気持ちが高まり,北欧からスタートしたイベントでした.

現在でも一部のハイエンドのゲームは,ゲーム開発会社が独自で構築した開発環境(ゲームエンジン)を利用してゲームを開発します.代表例ではスクウェア・エニックスのLuminous Studio,カプコンのREエンジン,ワールドエンジン,コナミのFox Engine,セガのドラゴンエンジンなどがあります.2010年ごろは,国内の開発会社はほとんど内製のゲームエンジンを利用して開発していました.しかしこうした開発環境は各社の企業努力のたまもので,そのプロジェクトに参加していない人が簡単に利用できる代物ではありません.守秘義務の塊で,共同で開発する会社も細心の注意を支払って社内で利用します.ですので個人が容易にゲーム開発をするということは困難でした.

その現場で活躍したのが高機能な汎用ゲームエンジンとして海外で注目を集め始めたUnityでした.当時から個人での利用は無料でだれでも試せる環境であった上に,品質や自由度も高く,先日の記事で取り上げた通り,率先して本学でも取り上げたツールですが,Global Game Jamの会場には,のちにユニティ・テクノロジーズ・ジャパンの日本担当ディレクターとなる大前広樹さんも参加しており,リーダーとしてチームを率いました.Unityを使って48時間で開発したとは思えない品質の作品を生み出し,脚光を浴びたのです.

 

P1040043会場の様子

しかしこれだけでは,「ゲーム開発の民主化」にはつながりませんよね.そこには様々な伏線が絡んでくるわけです.続きはまた次回.

文責:三上浩司

 

 

10年前のゲーム教育を振り返る【Unity道場スペシャル 虎の巻】

2020年6月22日 (月) 投稿者: メディアコンテンツコース

メディア学部の三上です

2020年6月20日に開催された「Unity道場スペシャル 虎の巻」というイベントにオンラインで登壇してきました.Unityは世界で最も普及しているゲームエンジン(ゲーム開発統合ツール)で本学でもプロジェクト演習や専門演習,講義科目などで広く利用されております.

東京工科大学メディア学部は,2010年にまだ日本語版もなく,日本の法人も立ち上がっていないころから,Unityを授業(メディア専門演習)に導入し,先進してゲーム開発教育に利用してきました.

今回の講演に当たり,当時Unityで開発した作品や授業資料などを探していて,作品の動画が見つかりました.

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作品の紹介動画はYoutubeにアップしてありますので是非見てください.https://youtu.be/QWPkMR5AXpY

 

当然ですが,巷に教科書などがあるわけもなければ日本語で解説しているWebページも乏しい時代でした.現在も演習講師を務める,中村陽介先生とともに,教科書を自作してでも採用しようということで,スタートしました.

ちょうど,東京工科大学では2010年度に文部科学省「産学連携による実践型人材育成事業  -専門人材の基盤的教育推進プログラム-」において 「ゲーム産業における実践的OJT/OFF-JT体感型教育プログラム」が採択されたタイミングで,専門学校と共同で学部の起業と一緒になりゲーム開発をするプロジェクトが動き始めました.そのため,普段は異なる開発環境でゲームを開発している大学や専門学校,さらにはプロとの交流の必要があり,汎用性の高いゲーム開発環境に対する需要もありました.

このように始まったUnityを使った授業なのですが,私の授業のポリシーでもある「自分に必要な技術を自ら習得できる学生」を生み出すことにのっとり,基本的な教材を用意して,後は自らが開発したいゲームに関する必要な情報が何かを明らかにして,探っていくスタイルをとりました.その結果,学生たちはしっかりと基本的な利用方法を理解し,そのうえで自分たちの企画を実現するために自ら学び,最終的になかなか魅力的な作品を生み出してくれました.

 

2010年,2011年はゲーム開発環境に大きな変革が起き始めたときであり,その一端に東京工科大学のこのプロジェクトとGlobal Game Jamがあります.Global Game Jam 2011のお話はまた,別の機会にしたいと思います.

分析:三上浩司

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読書について(7)

2020年6月21日 (日) 投稿者: メディア社会コース

今週は,読書についてお話をしました.

現在の私は読書家とは決して言えないというのは,15日に書いたとおりです.しかし,読書は,フランクルの映画と同じように,自分のささえになるものだなと思うと共に,お仕事小説のように,未知の領域で他者の人生を共に生きたり感じたりすることは,私の専攻している社会学にも有用です.私たちの人生は,人の経験を知ったり語ったりすること,知識を得たり相手に与えたりしています.人の経験を知ることは,自分の悲しみだけに閉じこもらず生きることを可能にするなと思っております.

                                             山崎 晶子

読書について(6):お仕事小説というジャンル

2020年6月20日 (土) 投稿者: メディア社会コース

昨日触れたお仕事小説というジャンルが,若い女性をメインターゲットとした文庫などでメインのジャンルの一つとなっていることについてです.現在,大学生にも,仕事をイメージするのは難しいかもしれません.アルバイト先とご両親やご親族,あるいはお友達のご家族の家庭しかまだリアリティのあるものではないでしょう.まして,どのような時間の使い方をしているかなどは,どのような気持ちで仕事に向かうのかは想像しづらいところだと思います.

お仕事小説のメインターゲットが若者にも及ぶことは,この未知なるフィールドであるお仕事に関して想像しやすくし,そして色々なお仕事人生を早くから小説の世界で歩めることになります.今の若者はうらやましいなと感じることの一つでした.

                                               山崎 晶子

読書について(5):お仕事小説というジャンル

2020年6月19日 (金) 投稿者: メディア社会コース

さて,昨日の投稿では,お仕事小説というジャンルがあることを書きました.実は,私が一番驚いたのは,一時期非常に人気のあった少女小説にもお仕事小説がメインジャンルの一つになっていることです.少女小説は,少女や女性の経験する物語を描くことで,「物語の復権」と言われていた時期がありました.しかし,あくまでも私の感想ですが,少女や女性の物語のなかでは,お仕事は一部でしかなかったように思います.

現在の若い女性をメインターゲットにした文庫などでは,お仕事小説は多く,例えばドラマ化された作品もあります.私も読んでみましたが,残念ですが全てのものにそうは言えませんが,主人公の直面する状況のリアルさと,物語として引き込む力の素晴らししいものもありました.

よろしければ読んでみてください.

                                   山崎 晶子

 

読書について(4):お仕事小説というジャンル

2020年6月18日 (木) 投稿者: メディア社会コース

私は寡聞にしてお仕事小説というジャンルがあることを知りませんでした.

読書を一番していた頃は,経済小説と言われていたような気がします.そして

その本を手に取るのは,仕事をしている方と思っていました.今のように,お仕事

小説が人口に膾炙してベストセラーになり,ドラマや映画になり人気をはくすとは驚いています.

お仕事小説については,さまざまな特集があるようです.これは社会を理解する,人と仕事の関わりは

一つではないことを理解するのにも良いきっかけになるだろうなと,今ではすっかり仕事をしている人になった私は思います.

                  山崎 晶子

読書について(3):『ドゥームズデイ・ブック』

2020年6月17日 (水) 投稿者: メディア社会コース

このような事態になって,カミュの『ペスト』がベストセラーになったと報道されていました.

『オール・クリア』と同じ著者で,同じくオックスフォード大学史学部でタイムトラベルをする学生のお話です.こちらの話しのほうが先なのですが,タイムトラベルしたところが,目指したところとずれていしまい,ペストの蔓延する時代に到着してしまったことを描いています.この本を読んでから,私は悲しいことがあっても泣けない場合,この本を読んで号泣することを習わしとしてきました.イタリアの神父様が若い方に呼吸器を譲って亡くなったり,死者の額にキスをして亡くなったことを読むたびに,『ドゥームズデイ・ブック』が心に迫りました.

 この本も大作です.もしもよろしければ読んでみて下さい.

https://www.hayakawa-online.co.jp/product/books/11437.html

https://www.hayakawa-online.co.jp/shop/shopdetail.html?brandcode=000000001484&search=%A5%C9%A5%A5%A1%BC%A5%E0%A5%BA%A5%C7%A5%A4%A1%A6%A5%D6%A5%C3%A5%AF&sort=

 

読書について 『オール・クリア』(2)

2020年6月16日 (火) 投稿者: メディア社会コース

ウィルスを恐れていて,亡くなったかたを悼み,いつ頃解放されるんだろうと思っていた頃,大部の本を思い出していました.これはSFなのですが,タイムトラベルが確立したオックスフォード大学史学部の学生が時間を遡(さかのぼ)って,過去の時代に現地調査に行くというお話です.第二次世界大戦のイギリスから帰ることが出来なくなった学生たちが,未来に帰ろうと試みます.ストーリーは是非お読み頂いたいのですが,このウィルスが「オール・クリア」になったら,どれほど色々嬉しいだろうなと思いました.

 『ブラックアウト』上下巻,『オール・クリア』上下巻と非常に長い本なのですが,よろしければお読みになってください.

リンクの先にある花火の絵が素敵です.

https://www.hayakawa-online.co.jp/shopdetail/000000013075/author_Agyo_U_428/page1/disp_pc/

https://www.hayakawa-online.co.jp/shopdetail/000000013076/

 

読書について1(夜と霧)

2020年6月15日 (月) 投稿者: メディア社会コース

今回は,自粛期間中の読書についてのお話をしたいと思います.

私は趣味がなく,コレクションをすることもなく,自粛で何か食べたいという欲も一時的になくなり本当に困っています.

読書にしても,仕事柄沢山本も論文も読んでいますが,大学院生までは小説をいつも読んでいましたが,現在は仕事に関する本以外では料理(全く上手くありません)の本を買うくらいです.

でも,今回の自粛期間では,前読んだ本が心の支えになりました.『夜と霧』を書いたフランクルはナチスの強制収容所に入れられて,死の恐怖に耐えた人です.そして,恐怖に耐え抜いた人は,映画を沢山見ていた人だと言っていました.

『夜と霧』は,決して楽しいだけの本ではありません.また,現在の私たちは強制収容所に入っているわけではなく,目に見えないウィルスをおそれいているので,状況は違います.心の支えは,映画や本,あるいは皆さんの場合ゲームの記憶だったりするかもしれません.

もし関心を持たれた方は是非読んでください.下にリンクがあります.

https://www.msz.co.jp/book/detail/00601.html

                 山崎 晶子

メディアサイエンス先端特別講義Iのお知らせ

2020年6月14日 (日) 投稿者: メディアコンテンツコース

みなさん,こんにちは.メディア学部助教の兼松です.
今日は大学院メディアサイエンス専攻の特別講義のご案内です.

6月25日(木)から3週に渡ってウプサラ大学(スウェーデン)の林先生をお招きし,コンテンツ制作や関連研究に関する講義を行います.
林先生には昨年度も「メディアサイエンス先端特別講義II」として,TV番組制作やTVMLを用いた番組制作に関する講義をしていただきました.
今年度は内容が昨年度とは違ったものになっています.
また,科目名も今年度は「メディアサイエンス先端特別講義I(昨年度はII)」ですので別授業扱いです!
昨年度”II”を履修していた方も履修できます.

大変貴重な機会ですので,お誘い合わせの上,是非ご参加ください.
受講方法(zoomのアドレスなど)は,メディアサイエンス専攻のメーリングリストなどで追ってお知らせします.
ご不明な点や質問は菊池先生,または兼松までお送りください.

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大学院メディアサイエンス専攻 2020年度「メディアサイエンス先端特別講義I」

テーマ:バーチャルミュージアムとメディア研究
講師:林 正樹(Masaki Hayashi)准教授
(Sweden, Uppsala University:メディア学部の提携大学)
実施方法:オンライン講義(Zoom)

講義日程と内容
6月25日(木),7月2日(木),7月9日(木)の各日2コマずつ(4,5限)開催
(4時限 15:10~16:50,5時限 17:05~18:45)

(1)6月25日(木)ウプサラ大学ゲームデザイン学科における研究紹介(4,5限)
 当学科で行われている先端研究:Text-To-Vision、バーチャルミュージアム(今回の講義・実習のメイン)、Neurodrugなどをデモを交えて紹介する。

(2)7月2日(木)バーチャルミュージアム on Unityの操作実習(4,5限)
 各自のノートPCの上で、バーチャルミュージアムのプロジェクトを使って、Unity GameEngineの基本操作を実習した上で、自分のミュージアムを作成する実習を行う。

(3)7月9日(木)3Dスキャニングとバーチャルミュージアム実習(4,5限)
 3Dスキャニングの基礎知識と、Photogrammetry手法を使った実際の3Dスキャンを行い、これをUnityに取り込んでバーチャルミュージアムで展示する実習を行う。最後にコース課題(自分のミュージアム展示の製作)の説明をする。

課題提出の最終締め切り:7月23日(木)

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(文責:兼松祥央)

遠隔研究指導で激烈に便利なアプリ5選 (後半)

2020年6月13日 (土) 投稿者: メディア技術コース

メディア学部の渡辺です。こんにちは。

 

前回、同タイトルの前半として「Slack」、「クイックアシスト」、「Git + GitHub」を紹介しました。今回は「LiveShare」と「iPad + Sidecar」について紹介したいと思います。

 

4. Live Share

 

これは Visual Studio という開発ツールを使うとき限定になってしまいますが、この「Live Share」機能は同じプログラムを同時に編集する機能です。Google アプリを使えば同様のことが Web 上でできますが、この Visual Studio Live Share の凄いところは「個々の環境設定はそのまま生きる」ということです。例えば私と学生が Live Share で接続したとして、それぞれが独自にショートカットキーを設定していたとします。クイックアシストのような画面共有機能の場合は、実行している PC 上での設定が有効となります。片方の画面をもう一方に表示しているので当たり前です。しかし、Live Share の場合は同じプログラムを同時に編集している状況でも、私は私の、学生は学生のショートカットキー設定が有効となっています。私は Visual Studio を「emacs」と呼ばれるエディタのキーバインドに設定してしまうため、標準のキーとはかけ離れた設定となっています。こういう場合に、Live Share は大変快適に動作します。

 

5. iPad + Sidecar + Apple Pencil + OneNote

 

最後はちょっと路線が違いますが、iPad と Sidecar という機能と Apple Pencil を用いての板書の実現です。遠隔で授業を行う上で心配だったことの一つが「板書」でした。私は黒板(がなければホワイトボード)に板書を行って授業を行うスタイルが好きで、遠隔ではどうするかは悩みどころでした。まあ黒板のある教室で授業の様子を撮影して動画配信という方法もありますが、学生と臨機応変にやりとりすることはできなくなってしまいます。iPad と Apple Pencil は板書システムとしては快適ですが、iOS だと Windows や Mac と比べてできることに制約があります。まあ液晶タブレットを使えば万事解決なのですが、あいにく私の手持ちにはありませんでした。
そこで、macOS の「Sidecar」という機能を使うことにしました。この Sidecar というのは、iPad(や iPhone) を Mac のサブモニターとして利用する機能です。このようなシステムは他にもあるのですが、Sidecar のいいところはサブモニターとして動作させている iPad 上で Apple Pencil がそのまま使えることです。あとは板書に用いるソフトウェアですが、これは今のところ OneNote を使ってます。まあドローイングソフトならなんでもいいんですが、OneNote は背景を方眼紙にすることができるのが私のように数学を板書で教えるときにはとても扱いやすいのです。ただ、この使い方だと若干描画や挙動がおかしくなってしまうことがあり、ソフトウェアについてはまだ模索中というところです。

 

以上、5種類の遠隔授業に便利なシステムを紹介しました。今回紹介したシステムのうち、以前からよく利用していたのは実は Slack くらいで、他のものは遠隔指導を行うようになってから試していったものです。しかし、いざ使ってみると存外に便利で、対面指導が可能となってからも活用していきたいと思わせられます。また便利なシステムが発見できれば、当ブログ内で紹介したいと思います。

 

メディア学部 渡辺大地

遠隔研究指導で激烈に便利なアプリ5選 (前半)

2020年6月12日 (金) 投稿者: メディア技術コース

メディア学部の渡辺です。こんにちは。

 

当Blogでの投稿も、その多くが遠隔教育に関する内容になっています。2月からは直接学生を指導することは不可能となり、遠隔で指導できる方法を模索しました。しかしながら、調べてみると非常に便利なツールというのは存在するものでして、それらを駆使すれば対面と同等、あるいはそれ以上に快適な指導を行うことが可能となりました。講義形態で利用しているソフトウェアやサービスは他の先生方が紹介していますが、私は研究指導に役立てているシステムを2回に分けて紹介したいと思います。

 

1. Slack

 

Slack は簡単に言えばチャットのためのシステムであり、日本ではチャットシステムとしては LINE が非常に普及しておりますが、企業や大学ではこの Slack が多数活用される事例が多くなってきました。LINE と比べると、アカウントを複数使い分けることができたり、PC での利用や複数デバイスでの同時利用を念頭においているなど、大学や企業で利用する上ではより使いやすい面が多くあります。私も最近は、研究室や学会のやりとりは Slack で行われることが多いです。もちろん、研究での個別指導においても非常に役立っています。

こう書くとかなり固い印象を持つかもしれませんが、全体的にこのツールの雰囲気は「ユルい」ところがあります。絵文字も豊富かつユニーク(というかイカれてる)ものが多く、日常的なやりとりも楽しく行えます。実は我が家も家族間のやりとりはメールやLINEではなく Slack を使ってます。

 

2. クイックアシスト

 

「クイックアシスト」は Windows10 に標準搭載されている機能で、ネットワーク接続されている別 PC の画面表示や操作を行うことができます。本来は、トラブルサポートをオンラインで行うことを目的としたツールであり、以前は「リモートアシスタント」と呼ばれていたものがより扱いやすくなりました。リモート操作を実現する方法は色々とあるのですが、この「クイックアシスト」はトラブルサポートを念頭に置いているだけあって、とにかく簡単なことが特徴です。支援する側もされる側も、インターネットに接続さえできれいれば最低限の操作とパスコードのやりとりだけで簡単にできます。その上、安定性も性能もかなり良く、Zoom や Meet のような音声でやりとりできる環境と合わせれば、対面で指導している状況となんら遜色はありません。強いて難点を上げれば、支援する側とされる側でキーボード配列が異なると、キー入力が変になってしまうことくらいでしょうか。

 

3. Git + GitHub

 

本来 Git は「バージョン管理システム」と呼ばれる、ソフトウェアの変更履歴を管理するためのソフトウェアなのですが、複数人でプログラムを共有していくのにもとても便利なツールと言えます。GitHub は Git を無料で扱うことができるサーバーサービスです。特に学生は無料で強力なライセンスを利用する権利がありますので、かなり便利に使うことができます。大事なプログラムのバックアップとしても機能するため、自宅待機状態になる以前から利用はしばしば推奨されていたものでした。実は私自身は研究室のサーバーで Git サーバーを独自に運用しており、GitHub は個人的にはほとんど利用してきていなかったのですが、学生と共有するにはとても便利なものであると改めて実感しています。

 

次回は「Live Share」と「iPad + Sidecar」について紹介します。

 

メディア学部 渡辺大地

書き写すことによるプログラミングの練習

2020年6月11日 (木) 投稿者: メディア技術コース

技術コースの羽田です.

世間では経済活動が開始され,学校も再開しつつありますが,小中高とは異なり,大学はやはり「3密」になりやすいこと,下宿も含め,遠方から通う人も中学高校に比べて多いということもあり,対面でのいわゆる普通の授業が再開されている学校はいまだ少ないようです.
世界的には,欧米の大学がすでに,「来年度すなわちこの9月から1年間」の授業のオンライン化を決めるところも出てきていますが,日本では感染による死者が少なかったこともあり,そこまでの極端な対応をとる大学は今のところはないようです.
とはいえ,東京工科大学でも春学期のオンラインでの授業が始まり1ヶ月弱が経ちました.私が担当している授業の中の一つには「基礎演習」というものがあります.基礎演習はメディア学部の学生が1年生後期と2年生前期の2回に渡ってうける必修の演習で,メディア学の基礎となる知識や技術を習得してもらうのが目標で,半期で4つのテーマを演習します.
その中で私が担当しているパートでは,今年はProcessingによるプログラムを書く演習を行っています.Processingはメディア学部では非常にポピュラーなプログラミング環境ですので,他の授業でも多数出てきていますが,基礎演習以外の授業は必修ではありません.
この演習では,Processingを使って,インタラクションすなわち人間の操作をPCに伝えたり,PCから人間に情報を伝えたりするプログラムを作成することを目標としています.
リアルタイムに情報を伝えるアニメーションを作成するモーショングラフィックスであったり,マウスやキーボードをつかったインタラクションなどをテーマとしています.さらにカメラ画像を取り込んだり,撮影した動画を使ったりといったこともできるようになると,さまざまな応用範囲が広がることになります.

プログラミングの技術は,実社会がオンライン化していくにつれてますます重要性を増すでしょう.これは,いわゆる「メディア」すべてがデジタル化されている中,さらなるオンライン化をすすめるためにはプログラムが欠かせない要素になるからです.

今回の演習の大半は「書き写す」「すこし変更して試す」という地道な作業がメインになっており,いきなりすごい作品が作れたり,素晴らしい成果が出るものではありません.このような作業はよく「写経」と言われます.書き写すだけでちゃんとプログラムができるようになるのか?と思う人もいるでしょうが,このような地道な作業はスポーツでいう走り込みのような基礎練習にあたるものです.ぜひとも,授業でやったことは「すらすらと」書けるようになるまで,ある意味指で覚えるというレベルまでプログラムを書き写してほしいと思っています.
書き写したプログラムはいわゆる基礎トレが終わった証ですから,コピー&ペーストで実行してみただけのプログラムに比べて,身につくものが違うというのが私が何十年か自分がプログラムを書いたり,プログラミング教育をやってきて感じていることです.漢字の書き取りに近いものを感じる人もいるかもしれませんが,プログラムの構造を体感しながらぜひとも「書き写し」をたくさん行って欲しいとおもいます.

 

羽田久一

リモート授業始めました(感想あれこれ その3)

2020年6月10日 (水) 投稿者: メディア技術コース

前回の話は講義形式の授業への対応でしたが、演習形式の講義については課題とオンラインのディスカッションで内容を構成し、特にオンラインでのやりとりは普通の講義時間と同程度の時間をとるようにしています。こちらは本来、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)を利用するVRのコンテンツを作成する演習なのですが、機材を大学に置いてあるためリモートでは内容を全く変更しなくてはいけなくなりました。また、こちらは10数名程度の少人数なので 、Zoomでやりとりで個々の学生と個別に進捗を聞いたりすることができますが、やはり顔をだしてはくれないようです…。演習だと学生同士の議論とか互いに質問するということも大きな構成要素だと思いますが、オンラインミーティングの環境だけだとなかなか学生同士だけで会話するようなことになりません(完全にグループワークとしてしまえば別ですが)。そこで、Slackというグループで利用するSNSのようなサービスを用意して、そこで交流ができるような配慮をしています。もちろん教員も参加していますが、演習時間以外にも質問などができる環境です。

 

また、VRの演習ということで、clusterというアプリケーションを利用しています。これはCGで作成した3D空間に多数の人が3Dのアバターで参加して、音声やチャットなどで擬似的な集まりを持てるというものです。集まる場所は、会議室やシアターのようなものなど、色々な会場があらかじめ用意されているのですが、実は自分で作成することもできるようになっています。ですから、目的を設定した会場を自分で作成し、その世界でヴァーチャルな催し物をすることができます。今、コロナの影響で開催することができなかった卒業式や入学式をこれを利用して行ったという例もあるようです。そこで演習では、個々にそれぞれのテーマを設定して、その会場をデザインするということをやっています。最後には最終発表会を兼ねて、それぞれの会場を皆で訪れるということを行う予定です。

 

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ホールを模擬した会場で講義資料がスクリーンに表示されている場面

 

 

さて、ここまで遠隔授業の対応として、短い期間ではありますが経験したことを書いてみました。私は大学までの通勤時間が往復で4時間弱ほどかかるのですが、家で仕事をするということでその分、楽な面があります。私はそれなりに引きこもり体質なので家にいること自体でそこまでストレスを感じてはいませんし(ラーメンやカレーを食べにいきたいですけど…)、楽といえば楽な一面があります。一方で、遠隔授業への準備はその浮いた分の時間を費やしても追いつかないほどでもあります。一度やっておけば次からは楽になるかもしれませんが、これはあくまでも今回だけの一時的な措置のはずです。

 

ただ、今回の対応で、一時的に遠隔授業用の対応をするだけでなく、例えばあらかじめ学生に資料で勉強してもらってきておいて、教室では議論や発展課題、またはグループワークをするというような、新しい形態の学びに変わっていくことに繋がるだろうと感じています。これまでは、個々の教員がやろうとしても環境的に難しいことがありました。今回、大学全体で変化を経験したことで、そうした変化に向かっていく雰囲気はできたように思います。そういえば、気に入っていたベトナム料理店が無くなってしまったと聞いてショックを受けております…。色々なことが、今後は同じにはならないかもしれませんが、変化に柔軟に対応できるようでありたいですね

 

 

太田高志

リモート授業始めました(感想あれこれ その2)

2020年6月 9日 (火) 投稿者: メディア技術コース

さて、遠隔講義はこれまで教室で行っていたことを単に今度はネットを通じて話しているというわけではありません。100分程度の長い間オンラインで講義をすると、多くの人がリモートワークや遠隔授業を行っているなかで通信環境が悪くなって聞けない人がでてきたり、何より長々とネットで受講しているのは疲れると思います。ということで、私は自分の講義を以下のようにしています。まず、各学生がダウンロードして自習するための講義内容のスライドと、その中で用意している演習問題を解説するスライドを用意しています。また、講義スライドの内容を簡単に説明する動画を、1週分を2つに分けて作成しています。ここまでは学生個々人に毎週、自習として勉強してもらいます。さらに、毎週の講義時間にはZoomを利用して、演習の解説と前週の内容の質問を受けることをオンラインで行っています。また、それらの資料をダウンロードできるウェブサイトはサーバーがダウンしてときのことを考慮して2つ用意しました。理解の確認は演習課題によって各自確認してもらうようにしていますが、3週に一度、小テストを行います。自主的な勉強よりも用意されたものをひたすらこなすという形になってしまうような懸念もありますが、とりあえずは学習して欲しい内容をきちんと伝えることを優先事項としています。

 

スライドはこれまでの教室で行う講義のときでも利用はしていましたが、それはあくまで説明の補助として図を提示したりする用途で用いていました。したがって、自習用にするためには相当の修正として説明の書き込みが必要になっています。また、演習問題の解説も、教室では直接説明すればよいですが、これもスライドで用意しなくてはなりません。逆に、スライド等で詳細に説明をしているので、データ量や視聴の負担を減らすために動画は短めにしようとしています(だんだん長くなってきている気がします…)。オンラインでの対応によって自習だけではカバーできないことを補おうとしていますが、オンラインの難しさは「その1」で書いたとおりです。

ところで、YouTuberの動画などは見ていましたが、自分自身で動画を作成するなんてことはしたことがありませんでした。現在、講義動画を作ってはいますが、自分で見返すとボソボソとテンション低く話していてガックリしてしまいます。が、誰もいない画面に向かってテンション高く話すというのはかなり難しいと認識いたしました。徐々に慣れてうまく話せるようになることを期待していますが、普通の状況だったら経験しなかったスキルだったなあと思い、モチベーションとしています。また、始めは間違わないように話さないとと思って緊張しましたが、すぐにそれだといつまでたっても完成しないと悟り、以降は普段の講義のように間違っても気にせずというスタイルになりました。

 

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しょぼい顔で隅に映っている私

 

 

動画は慣れるとともに話しやすくはなってきていますが、動画の出来ということになると単に話しているのを通して撮影しているだけです。本当は編集などをしたりするのがいいのかもしれません。また、動画の完成度が高まっても、学生とのインタラクティブ性を補完するための他のチャンネルとの連携と適切な課題のデザインが必要になることは言うまでもありません。普通の講義の準備でもそうですが、やはり始めから全部をうまく考慮したものを用意するのは難しいですね。だんだん愚痴のようになってきました…。

 

 

太田高志

 

リモート授業始めました(感想あれこれ その1)

2020年6月 8日 (月) 投稿者: メディア技術コース

東京工科大学でも5月後半からオンラインでの講義を行っています。オンラインでの講義の方法は色々ですが、ZoomとかMeetとかいう環境を使うとビデオ会議のような形式で多人数のミーティングを開催できるのでそれらを用いて行っています。こういうツールを利用するときに皆必ずするであろうことはバックグラウンドを変更するという技でしょう。一つには、自宅にいてぐちゃぐちゃな自分の部屋が映るのを防ぐためですが、それだけでなく背景や特殊効果は遊びの要素もあってつい色々試してみたくなります。私もご多分に漏れず色々試して喜んでおりました(光線発射したり買い占めしたり猫かぶってみたり…)。一通り試して今はだいぶ落ち着いて単色の大人しい背景で講義はしておりますが、背景の選び方にもセンスが見え隠れして怖いですね。

 

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さて、講義をそうしたビデオ会議環境でするとどうなるかというと、画面に学生達の名字だけが表示された画面がずらっとならび、自分がアホみたいな背景で遊んでいる画像だけが全体の一角に映ることになります。学生の顔も見えないし声も聞こえません…。反応も無い画面に向かってひたすら話すのは非常に不安です。ときたま学生にも顔をだせたら出して欲しいと頼んでみるのですが、その問いかけにも反応はピクリともありません。はじめは顔出すこと自体が嫌なのかと考えていましたが、そのうちどうやら同調圧力というやつだろうか、と思うに至りました。他の人が顔を出していないときに自分だけ出すと他の人から自己主張の強いやつと思われる、ということを心配しているように思えます。しかしそれは、他の人がそうしたときに自分がその人をそのように見做すということでしょうか…。などと考えていると、これは卒論のテーマの種になるのでは?と思いついて、抵抗なく顔を出して双方向のインタラクションをとるようになるオンライン環境をデザインするというテーマを一つのプロジェクトにしてみました。ただし、受講している学生全員が顔を出すことも通信量の削減という観点からは避けるべきでしょうから、単純には考えられない課題のようです。

 

一方で声ではなく文字によるチャットであると活発に発言?があるようです。さすが、SNS世代というところでしょうか。むしろ文字だけであれば、教室で講義をしているときよりも遥かに反応があるようです。大学の講義としてはとりあえずそれでいい気もしますが、社会にでたときにそれで認められるのだろうか、とか、周りを気にせず行動できるバイタリティーが欲しいななんて感じたりもします。そして、文字のやりとりだけでは限界もあるとも思えます。特に数学などの科目では文字だけで質問をうまくできない場合もありそうですが、そういうことで質問するのを諦めてしまう可能性もあるかもしれません(ただ、教室での講義でも質問する学生はほとんどありませんが…)。発信しやすくする効果がある一方で、講義に関する議論にフィルターをかけてしまうような影響があるのではないかとの懸念も持ちます。また、内容に対する言語外の雰囲気などもわかりません。学生同士の会話も少人数で特殊な設定を用意しない限りありません。というようにメリットとデメリットが混在している状態です。複数のチャンネルでやりとりを行うことが有効な気がしますが、様々なツールを使用すると学生が混乱するということもありそうです。何れにせよ、このようなきっかけであれこうしたことに多くの教員が試行錯誤を行っていることで、コロナ後にリモートの必要がなくなってからも新しい講義の在り方に変わっていくことになるのではという気がしています。

 

 

太田高志

 

FPSゲームにおける混乱による不安定なエイムを考慮したAI

2020年6月 7日 (日) 投稿者: メディアコンテンツコース

みなさん,こんにちは.メディア学部助教の兼松です.

以前このblogで,私はFPS勢だ!と書きました.
FPSのゲームといえば,用意されたストーリーに沿って遊ぶモードや,オンラインで対戦するモードなど,様々な遊び方がありますね.
上手さや強さを競うのもいいのですが,私は友人たちと協力してミッションをクリアしていくCOOPが好きです.いろいろ相談して,困難なミッションをクリアしたときの達成感はなんともいえませんよね.

ただ,COOPには難点があります.多くの場合,相手がNPCのため,ある程度慣れてきてしまうとクリアまでの道筋が固定されてしまうことですね.繰り返し遊ぶのにはあんまり向かないものが多いです.だからこそ,毎回展開が変わる対人戦のほうが人気なのかもしれません.

そこで今日ご紹介するのは昨年度の卒業研究「FPSゲームにおける混乱による不安定なエイムを考慮したAIの提案」です.
この研究ではFPSゲームにおける,より人間に近い反応をするAIを実現するための研究です.

FPSをプレイしたことのある人なら経験があると思いますが,例えば曲がり角で不意に敵に遭遇したとき,あわててあらぬ方向に撃ってしまったり,ロクに狙いも付けずに闇雲に撃ってしまうことがありますよね.そうならないようにするのが上達の秘訣なのかもしれませんが,あわてていろいろやってしまうのも人間らしさの一つだと思います.
この研究では,いろいろなシチュエーションにおいて敵に不意に遭遇した時,人間のプレイヤーがどれくらい”適当な照準をするのか”を分析しました.

こういった研究が進んで,プレイヤーが有利なシチュエーションを工夫することで攻略の幅が広がるような,対NPC戦やCOOPでも対人戦に近い要素を楽しめるようになると良いですね.

[田口直紀,兼松祥央,三上浩司,FPSゲームにおける混乱による不安定なエイムを考慮したAIの提案,日本デジタルゲーム学会第10回年次大会,2020.3]

(文責:兼松祥央)

遠隔でのゲーム開発グループワーク(プロジェクト演習)

2020年6月 6日 (土) 投稿者: メディアコンテンツコース

メディア学部の三上です.

授業が遠隔で再開されてから早くも2週間.皆さんもう慣れてきましたかね.

遠隔での授業再開と思って,卒業生の皆さんは「そういえばプロ演どうなったの?」って心配になる人いますよね.そのあたりをちょっとお知らせしておこうと思います.

まず,3年生のTGS向けのゲーム制作ですが,授業が再開する5月20日よりもだいぶ前の3月から,定期的に開発の進捗MTG(早い話が授業)は再開していて,本来なら大学に集まって作業する皆さんが遠隔で作業していた成果を確認していたのですが,「あれ,例年より進捗良くない?」みたいなことになりました.外に出かけることができない分,自宅で開発を進めたことが要因なのでしょうが,さすがメディア学部の学生だけあって,遠隔での意思の疎通のはかり方や,プロジェクトの進め方などいち早く適応できているなと感心しました.

その後も遠隔MTGや授業でのアドバイスを受けて,きちんと修正したり理論武装している姿を見て,自分で指導しておきながら「やるな!」と思わせていただきました.

ご存じの通り東京ゲームショウは幕張メッセでの開催を断念しております.遠隔での開催ということですがまだ詳細は明らかになっておりません.そんな情報を受けた最初の授業でもあまりモチベーションは下がらず,「オンラインが初めてならそこに向かって挑戦しよう!」という気概が生まれました.

現在は「Cluster」を使ったバーチャル展示や,Youtube Liveでの配信など様々なイベントを仕込んで展示しようと,開発だけでなく展示のsかけづくりも盛んになってきました.

今期はオープンキャンパスもバーチャル開催なので,例年通りバーチャルTGSの出展内容をオープンキャンパスでも順次テストして,頑張っている学生の様子を見ていただきつつ,直接いろんな話を聞いてもらえたらと思います.

また,1年生の演習の様子などもお知らせします.(1年生のほうがアナログ要素が多いので実はかなりアクロバティック・・・)

文責:三上浩司

 

遠隔授業準備と段ボール箱

2020年6月 5日 (金) 投稿者: メディアコンテンツコース

ほとんどの大学で遠隔授業が実施されています。遠隔授業には長所短所があり、集中して覚えたり理解したりする内容の場合は、気が散ることなく学べるという点で遠隔授業も効果が高そうです。

遠隔授業の実施にあたりで、さてどうしようか、と困った授業があります。演習系です。私が授業担当のプロダクトデザイン演習はプロダクトの具現物としてのありようを考察することを目的としています。ということで、フリーハンドでのスケッチや、材料を使って具現物としての成立度をスタディすることが必須となります。

遠隔なので各自で道具を準備してもらうしかないかとも思いましたが、もう、動くしかない、履修学生のみなさん全員に、道具と材料をご自宅に送ろう、と決めました。それは授業担当者の義務だと思いますが、現実的なこともあり、定年が近い年齢なので、若い時のような動きが出来ません。特に上下の動きの繰り返しはつらくなりますね。若い時なら半日で終えたであろう段ボール箱への梱包作業が一日半以上かかってしまいました。

作業後、すぐに膝と腰にシップを貼りました。

メディア学部 萩原祐志

「作曲演習」の遠隔開講での取り組み

2020年6月 4日 (木) 投稿者: メディアコンテンツコース

皆さん、こんにちは! メディア学部の伊藤(謙)です。

遠隔授業の開始からちょうど2週間が経ちました。学生も教員も初めての経験で、試行錯誤しつつ新しい知見を得ながら授業に取り組んでいます。私もようやくそれぞれの担当科目の進め方が見えてきたところです。

吉岡先生のブログ記事「遠隔授業モデル(演習編)の紹介」にあるように、遠隔授業では、使うツールや授業の進め方に、教室でのリアル授業とは異なる視点や配慮が必要です。そのような遠隔授業で得られたノウハウや気づきは、今後リアル授業に戻っても大いに役立つことでしょう。

私のメディア専門演習「作曲演習」は、担当科目の中で開講形態や授業の進め方を決めるのに最後まで悩みました。演習授業には、その教室に設置された機材やソフトウェアでないと指導が難しいものもあり、私の場合は「機材」「ソフトウェア」の両面での検討が必要でした。リアル授業で使っていたツールの単なる代替でなく、作曲の個別指導の段階でも、学生・教員の双方で有用かが重要です。

「作曲演習」については何度かこのブログで紹介していますが、普段の授業の様子を写真でご紹介しましょう。

Sroom_02 Sroom_01 Gakuhu Instruction


機材やソフトウェアの使い方の説明、学生が作った曲のアドバイスが演習の柱ですが、一人ひとりの学生のアイデアを汲み取り、1つの「音」から「音楽」(作品)に仕上げるための個別指導に特に重点を置いています。また、写真にあるような演習室の高価な機材やソフトウェアを学生に購入させることはできませんから、金銭的な負担が無くかつ容易に扱える点でフリーソフトの導入を視野に入れる必要があります。そして、抽象的な「音」を学生と教員とが共通して認識できる「視覚情報」が不可欠です。その点、「楽譜」は音の視覚化の観点から、優れた「メディア」と言えるでしょう。

以上を踏まえて、さまざまな音楽制作・作曲のフリーソフトを検討し、最終的にMuseScoreという楽譜作成ソフトを用いることにしました。MuseScoreはオープンソースのソフトウェアで、ユーザーのフォーラムでさまざまな情報が入手でき、操作方法の動画なども充実しています。サウンドフォントを追加すれば、再生する際の音色の拡張も可能です。何より楽譜がベースですから、基礎的な楽典の知識があれば直感的に扱えるので、限られた授業時間で作業を進めるのに適しています。実際、基本的なデータ入力ができるようになるまで通常は5〜6回の授業回数を要するこのような曲が、今期はたった2回の授業で全員完了しています。

MuseScoreと併せて音声配信ソフトもインストールしてもらいました。これにより、各自のパソコンで再生した音を全員で聴くことができるので、オンラインでの作品発表会を行うことが可能です。このブログ記事がアップされた日には、メロディ作りに入っていることでしょう。作ったメロディの楽譜を画面共有で表示してもらい、それと同時に再生して音を聴くことで、写真のリアル授業に近い指導ができそうです。

まだ手探りの部分が少なからずありますが、遠隔ならではの良さを活かしつつ、有意義な授業となるよう工夫しながら授業を進めていきたいと思います。次回(7月)は、この演習の進捗状況をご報告します。

<参考:過去の「作曲演習」関連ブログ記事>
専門演習「作曲演習」(2014年7月10日)
専門演習「作曲演習」の紹介(第2弾)(2015年7月3日)
専門演習「作曲演習」の紹介(第3弾)(2015年7月29日)
専門演習「作曲演習」の紹介(第4弾)(2019年11月8日)
ゲーム機で音楽制作(2020年4月23日)


(文責:伊藤謙一郎)

今日,寝る前に考えてほしいこと

2020年6月 3日 (水) 投稿者: メディアコンテンツコース

本ブログをご覧の皆様,こんにちは.

メディア学部教授 菊池 です.

授業のオンライン化で同じような毎日を過ごしていると

「あれ,今日何をしたっけ?」

と1日の記憶も曖昧になって印象に残らない毎日を過ごすように
なってしまうことがあるかもしれません.

そんなときは,寝る前に今日の出来事を振り返って
1日を復習する時間を作るようにしてみてください.

勉強でもスポーツでも,「復習が大切」というのは良く言われることです.

復習の中に気付きがあり,学びがあり,そして成長があるのです.

日々の暮らしも同じように,毎日自分の行動を振り返る習慣を作ってあげることで,
悪かった部分に気付いて改善できたり,良かった部分を思い出して幸せを感じることもできます.

━━━━━━━━━━
今日1日の
“良かったこと”
を探してみる
━━━━━━━━━━

1日を振り返るとき,皆さんに特にやって頂きたいことは
“良かったこと”を振り返ってみることです.

これを習慣化するだけで毎日がより楽しくなり,ポジティブ思考の人生に変わっていきます.

・天気がよかった
・ご飯が美味しかった
・オンライン授業がおもしろかった
・課題がいつもより早く終わった

など,どんなに些細なことでも良いのです.

良かったことがひとつもない1日はありません.

大切なのは「小さな幸せに気付けるかどうか」です.

まだまだ大変な状況の中でも,幸せに生きている人が寝る前に思うことは,
本日の感染者数などではなく自分にとって大切な人が1日無事に過ごせた感謝なはずです.

寝る前に今日あった“良かったこと”を思い出すようにしてください.

明日の朝をポジティブに迎えられるはずですよ.


文責:菊池 司

オンライン授業でモチベーションをアップさせる方法

2020年6月 2日 (火) 投稿者: メディアコンテンツコース

本ブログをご覧の皆様,こんにちは.

メディア学部教授 菊池 です.

世界中の多くの大学で授業がオンライン化しています.
本学でも,2020 年 5 月 20 日(水)からオンライン授業が開始されました.
そろそろ 2 週目が終わろうとしていますが,
学生の皆さんは
勉強へのモチベーションは下がっていませんか?

今日は,モチベーションが下がり始めている方のために,
オンライン授業
でもモチベーションを下げずに
学習を続けたくなるコツについてお話ししたいと思います.

なにかの勉強をしているとき,

「ここで切り上げると中途半端だから
 このページをやり切ったら休憩にしよう」

と,キリの良いところまでやって終わりにしている方がほとんどかと思います.

実はこれ,大きな間違いかもしれません!


勉強を目的のところまでやり遂げると,達成感でスッキリした気持ちになりますが
その反動で次の一歩がなかなか踏み出しにくい状況になってしまうケースが多々あります.

実は,勉強はページの終わりや章の終わりなどキリのいいところで終わらせない方が,
毎日続けられるようになる可能性があります.

例えば,テレビドラマやマンガを見ているときに
「いいところなのに!」
というシーンで終わってしまい,1週間ソワソワした経験が誰にでもあるかと思います.

これは「ツァイガルニク効果というもので
「人は達成できなかった事柄や中断している事柄の方を,達成できた事柄よりもよく覚えているという現象」
と心理学で定義されています.

この「ツァイガルニク効果」は勉強にも活かすことができます.

ドラマの続きが気になるように,オンライン授業での勉強も
「今いいところ!」というモチベーションが高いときに辞めると,

「早く続きがやりたい!」

と自然とモチベーションを保てるようになります.

勉強をするときは,ページ数や章で区切るのではなく,
時間で区切ってあげて

「もう少しやりたいのに!」

というモヤモヤ感を残してあげることが習慣化のポイントです.

このモヤモヤとした感じが勉強に取り組む意欲や集中力に繋がるのです.

もし,ずっと家にいて勉強へのモチベーションが上がらない方は
あえて中途半端なところで勉強をストップさせて
意図的にモヤモヤ感を作り出してみてください.

きっと効果が実感できるはずです.

※注意:ただし,課題提出は後回しにせずに締め切りを守りましょうね w)


文責:菊池 司

わからないことはすぐに・気軽に聞きましょう

2020年6月 1日 (月) 投稿者: メディアコンテンツコース

みなさん,こんにちは.メディア学部助教の兼松です.

メディア学部でも授業が始まって1週間ちょっと経ちました.
今期私が担当している2つのプロジェクト演習は,「シナリオアナリシス」が第2回目まで終わりました.
初回はガイダンス,オリエンテーションのようなものなので,講義パートとしては1回目が終わった形です.
「キャラクターメイキング」は今日が講義パート初回ですね.

ここ1,2ヶ月の間にmeetやzoomを使った遠隔での会議や打ち合わせは何度も経験したので,それなりに慣れてきたところです.
ただ,遠隔で自分が講義をする,1コマ分話すというのは,先週のシナリオアナリシスが初めてでした.
講義をすること自体は,毎年やっていることなので内容はそこまで変わりません.もちろん授業ページの整備や資料の準備など,事前準備は例年よりも多いですが.

やはり1番大きな違いと言えば,学生のみなさんの顔が見えないことですよね.顔というか,リアクションが見えないことですね.
リアクションが見えると,良いことで言えば,みなさんがあまり理解してなさそうな顔をしていれば,少し噛み砕いて説明することができます.悪いことで言えば,私は授業中もつい話がそれていろいろ話しすぎてしまう(伝えたいことがたくさんあるということですよ!!)のですが,みなさんがぽかーんとしていると,「あ,やりすぎたかな」と気づくことができます.遠隔授業ではこれが難しいですね.

チャットなどで反応してくれる学生さんもいるのですが,話しながらチャットを読むのもなかなか難しいものですね.
生放送や配信に慣れている方々を見習わなければなりませんね.
そして,数週間後には受講生のみなさんの発表・ディスカッションが始まります.楽しみにしてますよ!(笑)

といった,私の感想はどうでも良いのですが,学生のみなさんにはいつも以上に「わからないことを放置しない」ことを注意してほしいなと思います.我々教員もいつも以上に気をつけているつもりではいるのですが,それでもやはり皆さんの反応が見えにくい状況です.
まずは授業サイトや掲示物をよく読みましょう.よく読んだつもりで,読み飛ばしちゃったりしてませんか?
先生にも気軽に質問しましょう.誰に聞けばいいかわからなければ,フレッシャーズゼミの先生や,我々助教に聞いてくれても良いです.
特に私や戀津先生はメディア学部OBでもありますので,先輩に聞くつもりで気軽に聞いてください.

(文責:兼松祥央)

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