リモート授業始めました(感想あれこれ その1)
2020年6月 8日 (月) 投稿者: メディア技術コース
東京工科大学でも5月後半からオンラインでの講義を行っています。オンラインでの講義の方法は色々ですが、ZoomとかMeetとかいう環境を使うとビデオ会議のような形式で多人数のミーティングを開催できるのでそれらを用いて行っています。こういうツールを利用するときに皆必ずするであろうことはバックグラウンドを変更するという技でしょう。一つには、自宅にいてぐちゃぐちゃな自分の部屋が映るのを防ぐためですが、それだけでなく背景や特殊効果は遊びの要素もあってつい色々試してみたくなります。私もご多分に漏れず色々試して喜んでおりました(光線発射したり買い占めしたり猫かぶってみたり…)。一通り試して今はだいぶ落ち着いて単色の大人しい背景で講義はしておりますが、背景の選び方にもセンスが見え隠れして怖いですね。
さて、講義をそうしたビデオ会議環境でするとどうなるかというと、画面に学生達の名字だけが表示された画面がずらっとならび、自分がアホみたいな背景で遊んでいる画像だけが全体の一角に映ることになります。学生の顔も見えないし声も聞こえません…。反応も無い画面に向かってひたすら話すのは非常に不安です。ときたま学生にも顔をだせたら出して欲しいと頼んでみるのですが、その問いかけにも反応はピクリともありません。はじめは顔出すこと自体が嫌なのかと考えていましたが、そのうちどうやら同調圧力というやつだろうか、と思うに至りました。他の人が顔を出していないときに自分だけ出すと他の人から自己主張の強いやつと思われる、ということを心配しているように思えます。しかしそれは、他の人がそうしたときに自分がその人をそのように見做すということでしょうか…。などと考えていると、これは卒論のテーマの種になるのでは?と思いついて、抵抗なく顔を出して双方向のインタラクションをとるようになるオンライン環境をデザインするというテーマを一つのプロジェクトにしてみました。ただし、受講している学生全員が顔を出すことも通信量の削減という観点からは避けるべきでしょうから、単純には考えられない課題のようです。
一方で声ではなく文字によるチャットであると活発に発言?があるようです。さすが、SNS世代というところでしょうか。むしろ文字だけであれば、教室で講義をしているときよりも遥かに反応があるようです。大学の講義としてはとりあえずそれでいい気もしますが、社会にでたときにそれで認められるのだろうか、とか、周りを気にせず行動できるバイタリティーが欲しいななんて感じたりもします。そして、文字のやりとりだけでは限界もあるとも思えます。特に数学などの科目では文字だけで質問をうまくできない場合もありそうですが、そういうことで質問するのを諦めてしまう可能性もあるかもしれません(ただ、教室での講義でも質問する学生はほとんどありませんが…)。発信しやすくする効果がある一方で、講義に関する議論にフィルターをかけてしまうような影響があるのではないかとの懸念も持ちます。また、内容に対する言語外の雰囲気などもわかりません。学生同士の会話も少人数で特殊な設定を用意しない限りありません。というようにメリットとデメリットが混在している状態です。複数のチャンネルでやりとりを行うことが有効な気がしますが、様々なツールを使用すると学生が混乱するということもありそうです。何れにせよ、このようなきっかけであれこうしたことに多くの教員が試行錯誤を行っていることで、コロナ後にリモートの必要がなくなってからも新しい講義の在り方に変わっていくことになるのではという気がしています。
太田高志
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