「作曲演習」の遠隔開講での取り組み
2020年6月 4日 (木) 投稿者: メディアコンテンツコース
皆さん、こんにちは! メディア学部の伊藤(謙)です。
遠隔授業の開始からちょうど2週間が経ちました。学生も教員も初めての経験で、試行錯誤しつつ新しい知見を得ながら授業に取り組んでいます。私もようやくそれぞれの担当科目の進め方が見えてきたところです。
吉岡先生のブログ記事「遠隔授業モデル(演習編)の紹介」にあるように、遠隔授業では、使うツールや授業の進め方に、教室でのリアル授業とは異なる視点や配慮が必要です。そのような遠隔授業で得られたノウハウや気づきは、今後リアル授業に戻っても大いに役立つことでしょう。
私のメディア専門演習「作曲演習」は、担当科目の中で開講形態や授業の進め方を決めるのに最後まで悩みました。演習授業には、その教室に設置された機材やソフトウェアでないと指導が難しいものもあり、私の場合は「機材」「ソフトウェア」の両面での検討が必要でした。リアル授業で使っていたツールの単なる代替でなく、作曲の個別指導の段階でも、学生・教員の双方で有用かが重要です。
「作曲演習」については何度かこのブログで紹介していますが、普段の授業の様子を写真でご紹介しましょう。
機材やソフトウェアの使い方の説明、学生が作った曲のアドバイスが演習の柱ですが、一人ひとりの学生のアイデアを汲み取り、1つの「音」から「音楽」(作品)に仕上げるための個別指導に特に重点を置いています。また、写真にあるような演習室の高価な機材やソフトウェアを学生に購入させることはできませんから、金銭的な負担が無くかつ容易に扱える点でフリーソフトの導入を視野に入れる必要があります。そして、抽象的な「音」を学生と教員とが共通して認識できる「視覚情報」が不可欠です。その点、「楽譜」は音の視覚化の観点から、優れた「メディア」と言えるでしょう。
以上を踏まえて、さまざまな音楽制作・作曲のフリーソフトを検討し、最終的にMuseScoreという楽譜作成ソフトを用いることにしました。MuseScoreはオープンソースのソフトウェアで、ユーザーのフォーラムでさまざまな情報が入手でき、操作方法の動画なども充実しています。サウンドフォントを追加すれば、再生する際の音色の拡張も可能です。何より楽譜がベースですから、基礎的な楽典の知識があれば直感的に扱えるので、限られた授業時間で作業を進めるのに適しています。実際、基本的なデータ入力ができるようになるまで通常は5〜6回の授業回数を要するこのような曲が、今期はたった2回の授業で全員完了しています。
MuseScoreと併せて音声配信ソフトもインストールしてもらいました。これにより、各自のパソコンで再生した音を全員で聴くことができるので、オンラインでの作品発表会を行うことが可能です。このブログ記事がアップされた日には、メロディ作りに入っていることでしょう。作ったメロディの楽譜を画面共有で表示してもらい、それと同時に再生して音を聴くことで、写真のリアル授業に近い指導ができそうです。
まだ手探りの部分が少なからずありますが、遠隔ならではの良さを活かしつつ、有意義な授業となるよう工夫しながら授業を進めていきたいと思います。次回(7月)は、この演習の進捗状況をご報告します。
<参考:過去の「作曲演習」関連ブログ記事>
・専門演習「作曲演習」(2014年7月10日)
・専門演習「作曲演習」の紹介(第2弾)(2015年7月3日)
・専門演習「作曲演習」の紹介(第3弾)(2015年7月29日)
・専門演習「作曲演習」の紹介(第4弾)(2019年11月8日)
・ゲーム機で音楽制作(2020年4月23日)
(文責:伊藤謙一郎)
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