発表できなかった発表:映画の時系列を可視化する
2020年6月29日 (月) 投稿者: メディア技術コース
助教の戀津です。
間が開いてしまいましたが、以前大淵先生が書かれていた発表できなかった発表シリーズ(①、②、③、④)に便乗です。
私も昨年度の卒研生の研究で芸術科学フォーラムにて発表予定でした。
年度末には例年多くの学会が開催されますが、それらがなくなってしまったのは大変残念です。
とはいえオンライン開催できたものもありますし、中止であっても投稿された研究は公知のものということで、ブログでの紹介です。
紹介するのは昨年度卒研生の石塚さんが行っていた、「映像作品における時系列構成の可視化手法の提案」という研究です。
研究タイトルや今回のブログタイトルの通り、映画を観ながらその作品中の時系列を分析し、時系列の変化を可視化するという試みです。
映画(というよりもストーリー)は、再生開始から終わりまで、常に一方向に時間が流れるとは限りません。
最もわかりやすいのは回想シーンで、先に現在の描写がされてから、過去を振り返る形で回想の描写がされると描写上の時系列が逆転します。
あるいは、ちょうど先日久々の地上波放送がされた『Back to the Future』シリーズのように、作品中で時間移動をした場合にも再生時間と作品中の時系列は食い違ってきます。
このような、映像作品における時系列の変化を、多くの作品分析を経ていくつかの類型にまとめ、可視化手法を提案しました。
もちろん一作品一作品それぞれに内容は異なるものの、時系列の変化に着目し抽象化した結果、いくつかの特徴が見つかりました。
次の図は「回想型」と「事象反復型」とそれぞれ名付けた2つの特徴について、その代表例となる作品の時系列可視化を行った結果です。
さすがに可視化手法や特徴の内容まで解説すると記事が長くなりすぎるので、詳細は割愛しますが・・・。
類型ごとに異なる特徴を持ちますが、それらをまとめて同一のフォーマット上で可視化できるようにすることで、特徴の可視化も同時に行えるようになっています。
多くの作品を分析したからこそ、その共通項を洗い出すこととそれによって明らかになる特徴を類型化することができ、そこに価値が生まれたといえます。
映像作品の分析研究は非常に大変ですが、対象に素晴らしい多様性があり強い魅力のある分野と思います。
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