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書き写すことによるプログラミングの練習

2020年6月11日 (木) 投稿者: メディア技術コース

技術コースの羽田です.

世間では経済活動が開始され,学校も再開しつつありますが,小中高とは異なり,大学はやはり「3密」になりやすいこと,下宿も含め,遠方から通う人も中学高校に比べて多いということもあり,対面でのいわゆる普通の授業が再開されている学校はいまだ少ないようです.
世界的には,欧米の大学がすでに,「来年度すなわちこの9月から1年間」の授業のオンライン化を決めるところも出てきていますが,日本では感染による死者が少なかったこともあり,そこまでの極端な対応をとる大学は今のところはないようです.
とはいえ,東京工科大学でも春学期のオンラインでの授業が始まり1ヶ月弱が経ちました.私が担当している授業の中の一つには「基礎演習」というものがあります.基礎演習はメディア学部の学生が1年生後期と2年生前期の2回に渡ってうける必修の演習で,メディア学の基礎となる知識や技術を習得してもらうのが目標で,半期で4つのテーマを演習します.
その中で私が担当しているパートでは,今年はProcessingによるプログラムを書く演習を行っています.Processingはメディア学部では非常にポピュラーなプログラミング環境ですので,他の授業でも多数出てきていますが,基礎演習以外の授業は必修ではありません.
この演習では,Processingを使って,インタラクションすなわち人間の操作をPCに伝えたり,PCから人間に情報を伝えたりするプログラムを作成することを目標としています.
リアルタイムに情報を伝えるアニメーションを作成するモーショングラフィックスであったり,マウスやキーボードをつかったインタラクションなどをテーマとしています.さらにカメラ画像を取り込んだり,撮影した動画を使ったりといったこともできるようになると,さまざまな応用範囲が広がることになります.

プログラミングの技術は,実社会がオンライン化していくにつれてますます重要性を増すでしょう.これは,いわゆる「メディア」すべてがデジタル化されている中,さらなるオンライン化をすすめるためにはプログラムが欠かせない要素になるからです.

今回の演習の大半は「書き写す」「すこし変更して試す」という地道な作業がメインになっており,いきなりすごい作品が作れたり,素晴らしい成果が出るものではありません.このような作業はよく「写経」と言われます.書き写すだけでちゃんとプログラムができるようになるのか?と思う人もいるでしょうが,このような地道な作業はスポーツでいう走り込みのような基礎練習にあたるものです.ぜひとも,授業でやったことは「すらすらと」書けるようになるまで,ある意味指で覚えるというレベルまでプログラムを書き写してほしいと思っています.
書き写したプログラムはいわゆる基礎トレが終わった証ですから,コピー&ペーストで実行してみただけのプログラムに比べて,身につくものが違うというのが私が何十年か自分がプログラムを書いたり,プログラミング教育をやってきて感じていることです.漢字の書き取りに近いものを感じる人もいるかもしれませんが,プログラムの構造を体感しながらぜひとも「書き写し」をたくさん行って欲しいとおもいます.

 

羽田久一

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