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2020年7月

IMPの学外展開(3): 障がい児・生徒対象の学習支援

2020年7月31日 (金) 投稿者: メディア社会コース

最近、共生社会・インクルーシブ教育・SDGsなどの言葉を耳にすることが多くありませんか? これらは実は、国連が主導してその普及が進められている国際標準の概念です。人類は一つという共通スローガンのもと、自助を支援する互助、互助を支援する共助(/公助)という考え方が今世界中に広まりつつあります。

前身のELP時代も含めてIMPでは、この理念を踏まえ、障がい児・生徒の学習支援を一つの大きな柱としてきました。ELPの時代には、視覚障がい児・生徒を支援する点字に関する教材開発の研究が生まれました。これは、当時偶然にも卒研に所属していた弱視の学生の発案がきっかけでした。IMPの時代に入ると、聴覚障がい児・生徒(とりわけ児童)を主対象とする学習支援の研究が大きな潮流となりました。メディア学部の得意分野であり、視覚に訴える動画やアニメーションを活かしやすいという理由によるものです。

IMP時代の過去の卒研テーマをあらためて調べたところ、発足時の2006年度から2018年度まで、毎年1~2件の聴覚障がい児・生徒の支援に関するテーマがありました。これらはいずれも、近隣のろう学校の協力(/監修)を得て行ったもので、実際の授業でも活用して一定の学習効果を確認しています。

なお、この十数年の研究の中でも、対象や学習課題は少しずつ変化しました。前期・中期・後期と分けるならば、前期(20062009)は、ろう児・生徒対象の日本語文法に関する学習課題が中心でした。次の中期(20102013)は、発達障がいを抱える聴覚障がい児を主対象とし、学習課題は語彙強化や助詞理解としました。最後の後期(20142018)は、算数障がい(算数困難)を抱える聴覚障がい児を主対象とし、学習課題は算数計算や文章題克服としました。

冒頭で述べた通り、社会は共生の時代に入っています。皮肉にも現在、迷惑千万な新型コロナウィルスがそのことを突き付けています。ポストコロナ時代の教育・学習環境のイメージがまだよく見えていませんが、IMPに代わって本年度(2020年度)より始動したSmart IMSmart Instructional Media)においても、障がい児・生徒の学習支援を卒研生とともに推進できればと思っています。

(文責: メディア学部 松永)

IMPの学外展開(2): 八王子市教育委員会とのコラボレーション

2020年7月30日 (木) 投稿者: メディア社会コース

IMPの研究の中には、八王子市教育委員会(とりわけ文化財課)の協力を得て行ったものがいくつかあります。例えば、次のような研究です。

・絹の道を通じた八王子歴史学習のためのeラーニング教材の開発(2009

・八王子の歴史を学ぶeラーニング教材の開発 ~八王子城築城以降の歴史と変遷~(2010

・絹の道を通じた八王子歴史学習のためのモバイルラーニング教材の開発(2015

最初の研究は、八王子キャンパスのほど近くにひっそりと佇む「絹の道資料館」がその活動の舞台でした。この資料館の展示物や周辺の旧絹の道沿いの史跡に関して、インタラクティブに学べるeラーニング教材の開発を行いました。展示されている機織り機の動く様子を3DCGで再現するなどの工夫を凝らしているのが特徴と言えます。この教材は、しばらく資料館に置かせてもらい、来館者に使っていただきました。

二つ目の研究は、小田原城の支城である八王子城に焦点を当てた八王子史に関するeラーニング教材の開発です。前年度の絹の道の教材が好評で反響が大きかったため、教育委員会の文化財課の勧めで開発に取り組むこととなりました。学生も私も知らない史実が数多くあり勉強になったのですが、八王子市の「郷土資料館」の館長に監修してもらう形で完成にこぎつけました。また、この教材は、郷土資料館にしばらく展示させていただきました。

三つ目の研究は、最初の研究と志向は同じなのですが、先の研究の教材がデスクトップPC用であったのに対して、この研究ではタブレット端末用のモバイル教材の開発を目指しました。資料館内で持ち運びながら適時参照できるよう、館内の展示イメージをできるだけ再現するとともに、解説内容や確認クイズについても充実させました。この教材もなかなか好評で、目論み通り、利用者は館内で時々立ち止まってはタブレットに目をやり、解説を読んだり、クイズに取り組むなどして楽しんでいる様子が窺えました。

(文責: メディア学部 松永)

IMPの学外展開(1): りそなキッズマネーアカデミー

2020年7月29日 (水) 投稿者: メディア社会コース

2006年6月、東京工科大学とりそな銀行は、地域発展のための包括的な連携に関する協定の締結を発表しました。下の写真は、りそな銀行立川支店で行われたその締結式のときのものです。後方の5名は工科大とりそな銀行の偉い方々です。一方、前面の5名は実は当時のIMPの学生です。

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なぜ、このような不思議なショットが生まれたのでしょう? 実は、この連携を後押ししたのは、すでに動いていたIMPとりそな銀行多摩地域の共同プロジェクトでした。りそな銀行はかねてより、子ども向けの金融教育を「りそなキッズマネーアカデミー」の名で全国の支店などで展開していました。子どもに銀行の仕組みやお金の大切さを学んでもらうために、銀行内見学やミニ授業、協調学習などを組み合わせるBlendedラーニングを行っていたのです。そして、ELP時代の我々の研究に関心をもった銀行側から、ミニ授業の部分をeラーニング教材にできないかということでIMPに声が掛かり、プロジェクトがスタートしたのです。そのときに制作したのが、小学高学年向けの「スイートのケーキ屋さん」というゲーム型のシミュレーション教材です。スイートちゃんという主人公が、ケーキ屋さんを開き、運営することをPC上で仮想体験するというものです。ストーリーの中では、銀行から融資を受けたり、収支決算や税金計算を行ったりするのですが、その過程において、算数や社会などの教科の一部内容が学べるような設計になっています。下図は、教材の1シーンです。この教材は後に、八王子市内のいくつかの小学校の「総合的な学習の時間」の中で使われるようになりました。

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また、ここから派生した、小学低学年向けのデジタル絵本「スイートちゃんとマネーくん:おかねのたび」、中高生向けのeラーニング教材「チャレンジ銀行員君の銀行員度をCHECK!」なども、りそな銀行監修のもとIMPで開発しました。

(文責: メディア学部 松永)

 

ELPから次世代eラーニング研究IMPへ

2020年7月28日 (火) 投稿者: メディア社会コース

前回の記事で紹介したELPE-Learning system Project)は、ある程度順調に卒研として回っていたものの、徐々にそのアプローチや手法にマンネリ化が感じられるようになってきました.そこで、もう一段上の学術研究を目指すべく、2006年にELPに代わる卒研プロジェクトIMPInstructional Media Project)を立ち上げました。

このIMPでは、メディア技術(/ICT)を活用した新たな学習システムや学習スタイルを創案し、それを実現するためのコース設計やメディア設計、教材開発やシステム構築を行うことを研究の基本指針に据えました。下図は、その研究ビジョンのイメージです。

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実践的な技術サイドの研究視点を下支えする形で、設計(デザイン)に関する2つの基礎理論を採り入れています。かなり簡易に表現しましたが、学びやすさの設計であるインストラクショナル・デザインと分かりやすさの設計である情報デザインです。

(文責: メディア学部 松永)

 

eラーニング系プロジェクトELPの誕生秘話

2020年7月27日 (月) 投稿者: メディア社会コース

メディア学部が誕生してから20年近くになりますが、学部開設当初より、eラーニングは看板プロジェクトの一つに据えられてきました。この先の数回のブログ記事では、メディア学部におけるeラーニング系の演習や卒業研究(/卒研)プロジェクトの歴史的変遷について記したいと思います.初回は、ELPE-Learning system Project)の誕生秘話です。

メディア学部の初代学部長(後の第3代学長)の相磯先生は、卒研において複数の教員が共同参画・指導するプロジェクト制を敷く方針を掲げていました。eラーニングに関しては、相磯先生の命を受ける形で、工学出身の浦城先生と佐藤(敬)先生、文学出身の稲葉先生、そして理学出身の私松永の4名が、大学院までの教育・研究ビジョンの考案をすることとなりました。しかし、各教員は年次進行で次々と迫る新たな講義科目の準備に翻弄され、4人での議論はなかなか進まず、暗中模索の状態がしばらく続きました。やがて、制度設計の青写真ができてきて、卒研の前段としての3年次の専門コア演習「eラーニングコンテンツ」が始動しました。Sumtotal社のToolBookMacromedia社のFlashという2つのアプリケーションを用いたインタラクティブ教材を開発する演習です。そして、その翌年の2002年には、この演習のノウハウを活かす形で卒研プロジェクトELPE-Learning system Project)を立ち上げました。

ただ、このELPも順風満帆に進んだというわけではありません。畑(専門)が異なる4人所帯なので、やはり運用方針については何度も衝突しました。S先生とI先生の大喧嘩を、U先生と私が必死に仲裁したことが懐かしく感じられます(イニシャルを使っていますが、誰のことなのかはわかりますね…)。それでも、繰り返し議論をしていくうちに、旧工学部で長らく卒研指導をしていた佐藤先生が全体を統括し、浦城先生と私は主にシステム環境の整備を行い、稲葉先生は新たな教育指針や研究ビジョンを提案するというような役割分担ができていったような気がします。

教員4人のプロジェクトはメディア学部には他になく、ELPは毎年30名を超える卒研生が集うマンモスプロジェクトとなりました。大学院進学者もそれなりにいたので、ピーク時には研究棟C316-3194部屋を使用していました。大学院生を中心に学会発表や論文投稿も盛んに行っていましたが、際立つものとしてはComuter&Education誌に掲載された「認知スタイル理論に基づいたeラーニング教材のデザインと学習効果」が挙げられます。

(文責: メディア学部 松永)

国際学会もリモートで開催

2020年7月26日 (日) 投稿者: メディア技術コース

7月21日、国際学会であるHCII 2020 (Human Computing Interaction International 2020)にリモートで参加いたしました。学会自体は数日間開催されるのですが、私が関連するのは21日でしたので、その他の日はちらちらと知り合いの先生が発表するところを覗いたりしただけです。本来であればこの学会はデンマークのコペンハーゲンで行われる予定でした。随分、ゴージャスっぽいホテルも予約しておりましたし、初めて訪れる場所でしたし、今の状況でネット上での開催になってしまったのは非常に残念でした。学会というのは単に研究の発表だけでなく、他の研究者と話したり現地の食事をしたりその国や街を経験することができるので、大学教員にとって非常に楽しみなイベントなのですが、リモート開催では研究発表しかできません!(それが一番肝心な部分です。もちろん)。

 

今回の学会は参加人数がかなり多い、大きな国際学会です。そのため様々な国からの参加者がいます。通常、おおきな学会は研究内容のテーマ別にセッションが分割されるのですが、リモートで行うとなると時差の関係で参加できる時間帯が地域によって変わってしまいます。そのため、今回はセッションが便宜上テーマ別に分かれてはいるものの居住地の近いところでまとめられているようで、発表内容をみるとかなり雑多な感じです。また、セッション毎に司会進行をする座長というのが割り当てられるのですが、私は自分が発表するセッションの座長もやらされるはめになりました。通常、発表者は座長を兼ねません。というのも、誰からも質問がなかったときに質問やコメントをするのが座長の役割だからです。これも、地域で発表者などをまとめるのに合わせて、さらに座長までを別に探してくるのが面倒だったからでしょう。

 

学会はリモートミーティングのシステムを使用して、授業と同じような感じで進行します。スライドを共有して、質問を受け付けて、と一応学会の機能はカバーできるのですが、やはり味気ないですね。終わったあとに世間話をしたりする機会もありません。また、発表のキャンセルも、そもそもリモート開催に決定したときに発表しないことを選んだ人たちもいますし、当日になってのキャンセルも2件ありました。今回は発表をしなくても論文集に掲載されるということがアナウンスされていたので、その影響もあるように思います(普通は学会に参加して発表することが掲載されることの条件になっています)。質問するために前日にあわてて全部の論文に目を通したのですが、もっと早く伝えてくれれば…。参加していたのは、日本に留学しているスペイン語系の名前の学生と、中国に留学しているロシア人と、現地(って何?)のデンマーク人の学生と日本人の私、本来ならば台湾と韓国からの発表者も参加する予定でした。観客も数名おりましたが、こうしたバラバラの国の人たちが英語で会話するのです。英語って凄いですね…といまさらながら感心いたしました。

 

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リモート会議の画面

 

ところで、いつもであれば学会に実際に赴くときは一週間くらいの間大学を離れるので、その間、メールなどでこなす分はあるものの、ある程度は学会に集中できます(イベントなども含めて)。しかしながらリモート開催では、通常の講義などを行う合間を縫って参加することになり慌ただしいったらありません。今回は、直前まで卒研の指導をしていた30分後くらいで学会に参加することになりました。多分、あと何回はこのような形式で学会参加をしなくてはならなさそうですね。大学の授業もそうですが、今後はこういう状況に合わせた形態を模索していくことになるのでしょう。私も、研究室の卒研発表をどのようにリモート環境で行うか、新しいことを試してみようと思っています。

 

ちなみに今回の学会で使用されたミーティングシステムはZoomではなく、架空の背景を表示するヴァーチャルバックグラウンドの機能がありませんでした。知り合いの女性の先生は「最悪~」と言っておりました…。

 

 

太田高志

 

先行研究

2020年7月25日 (土) 投稿者: メディア技術コース

メディア学部の大淵です。

前期の授業がすべて遠隔で行われる中、研究室に所属する4年生の皆さんも、自宅で卒業研究を進めてくれています。前期の卒業研究Iは、研究テーマを決めて実験や開発に着手するまでが目標ですが、それに加えて先行研究の調査というのも重要な要素のひとつです。前期も半ばを過ぎ、毎週のミーティングで先行研究調査について報告してもらうこともあるのですが、ちょっと残念そうな声で「自分のアイディアと同じ内容の論文を見つけてしまいました。しょうがないのでテーマを変えようと思います」という人がときどきいます。

こんなふうに言う人は、卒研生としてはなかなか見どころがあるといえます。まず「他の人がやっていないことをやらないと意味が無い」という研究の本質を良く理解している。そして、関連論文をきちんと見つけてくる調査力もある。そういう意味で私としては嬉しいのですが、本人はしょげていることが多いです。そういう人に対して、私は「テーマを変えることは無いですよ。あなたの研究は順調に進んでいます」というようにしています。

逆に、似たような論文が全く無かったらどうでしょうか。その場合、世界中の超一流研究者ですら思いつかなかった凄いアイディアであるか、あるいは取るに足らないつまらないアイディアであるかのどちらかですが、おそらく前者である確率は0.1パーセントも無いでしょう。それに比べて、似たような論文が見つかったということは、世界で初めて思いついたわけではなかったけど、なかなか良いアイディアではあったということです。そこで次にやるべきことは、その論文を熟読し、ちょっとでも引っかかるところを探すことです。一読しただけで「自分だったらこうするのに」というところが見つかる人は稀でしょうが、読むだけでなく追試までしてみれば、何かしら違うやり方でやってみたいところが見つかるはずです。そうした細かい違いこそが、本当の「研究のアイディア」の入口になるのではないでしょうか。

遠隔ペアプログラミングに挑戦しました

2020年7月24日 (金) 投稿者: メディア技術コース

 遠隔授業でプログラミング演習を行うという話を前回しました。メディア専門演習の20あまりのテーマのうちの一つ「イメージメディアプログラミング」です。
 
 ペアプログラミングは、ソフトウェア開発企業でも取り入れているプログラム開発手法です。二人が同じ画面の前で一緒にプログラムを書く作業形式です。一人はキーボードを打ち、もう一人はそれを見ながら常に意見を言うという役割です。
 
 この前期、遠隔授業でペアプログラミングに挑戦しました。結果としてこれまでにないほど良い成績になりそうです。
 
 「イメージメディアプログラミング」で使用しているプログラミング言語はMATLABという有料のソフト開発言語です。製造業などの工学や科学技術分野ではよく使われている標準的な開発環境で、さまざまな専門分野(信号処理・データ解析・制御システム・ロボット工学など多数)に特化したオプションの機能(ツールボックス)があります。今回の演習では画像処理のツールボックスを使用します。
 
 毎回の授業では、はじめに教員から今日新たに学修する内容の講義を1時間弱行い、残り2時間半ほどは各自がペアを組んで課題プログラムに取り組みます。遠隔のツールとしてZoomミーティングを使用しています。
 
 ペアごとにZoomのブレークアウトセッションという別室を用意し、そこに分かれてそれぞれのペアで画面共有しながらプログラムを書きます。各自のノートPCでMATLABを使用することになります。
 
 このブレークアウトセッションはなかなか良くできています。教員はメインの部屋で一人で待っているか、どこかの部屋で様子を聞いたり質問を受けて指導したりします。質問の頻度も演習室での実施のときよりも遠隔の方がやや多くなりました。呼出を受けるときりのよいタイミングで別のペアの部屋に移ります。待ちグループが2グループ以上になると憶えておくのが大変ですが、授業が進んで受講生が慣れてくると待ちグループがたまることも減りました。
 
 所定の課題プログラムが一通りできたら実行する様子を教員がチェックします。演習室で実施していた先学期までは、その週の授業で完了せず宿題となり翌週チェックとなるケースがほとんどでした。それに対して今学期はほぼ100%のペアが当日授業中に課題を完成させています。
 
 先学期と今学期(先週までの8回)を比べると、出席率「93%→98%」、課題達成率「85%→96%」で、明らかに良くなっています。これには別の理由も二つあります。一つは授業資料開示が以前は前日だったのが、今回は4日~7日前になったことです。もう一つはMATLAB実行が演習室限定だったのが各自のノートPCで可能になったことです。自宅で予習が十分できていることが大きいです。
 
 演習授業はまだ数週残っています。毎回の課題プログラムはほぼ終了です。最後は履修生各自単独で興味深い問題を設定し、2,3週かけてデモプログラムを作る自由課題が残っています。今年はいつも以上に面白い自由課題が期待できそうです。
 
メディア学部 柿本正憲
 
関連記事:
遠隔ペアプログラミングに挑戦します
画像のプログラミング演習
専門演習「イメージメディアプログラミング」(オープンキャンパス展示)

声の感情認識を使ったゲーム

2020年7月23日 (木) 投稿者: メディア技術コース

メディア学部の大淵です。

前の記事に続き、NICOGRAPH International 2019での発表を紹介させていただきます。2件目は、フランスから研究生として来ているThomas Aubartさんの"Usage of Vocal Emotion Recognition as a Game Mechanism"という発表です。昨年9月から研究を始めてまだ半年で、立ち上げたばかりの研究ですが、今回はポスターセッションとして問題提起も含めた発表を行いました。

声から話者の感情を読み取ろうという研究は、近年かなり盛んになってきています。コールセンターの顧客分析などで使われる場合、推定の正確性が最も重要な指標になることは言うまでもありません。しかし、ゲームの操作要素として使う場合には、必ずしも正確性だけが重要な指標ではないだろうというのが、今回の研究の着眼点です。日本人の場合、あまり感情を表に出さないことが多く、そこから感情を読みだすのも大変なのですが、「このゲームはあなたの声の感情に反応してストーリーが変わります。楽しさ・悲しさ・怒りなどをなるべく表現して下さい」と伝えることにより、むしろわざとらしいぐらいに感情を表現してもらおうということを狙っているわけです。

まずは線形判別分析を使ったシンプルな感情認識プログラムを作り、それを自作のゲームに組み込みました。これから多くの人に使ってもらって印象評価などを進めていきたいという時点での発表ですが、研究の方向性についていろいろなコメントをいただき、良い経験になったのではないかと思います。コロナ禍で、他人と一緒の場所で大きな声を出すのがはばかられる昨今ですが、一人でゲームをしながら思い切り感情を表現するのも、ストレス解消には良いかもしれませんね。

言葉の雰囲気をシンセサイザーの音にする

2020年7月22日 (水) 投稿者: メディア技術コース

メディア学部の大淵です。

新型コロナウイルスの問題で、3月に予定されていた学会発表はすべて中止になってしまったのですが、その後も大規模な集会は行えない状況が続く中、研究発表の場はオンライン学会に移りつつあります。我々の研究室でも、この6月に2件のオンライン発表を行いました。

参加したのは、NICOGRAPH International 2019という国際会議で、当初は山梨県の勝沼で開催される予定でした。オンライン学会になって、おいしい勝沼ワインを飲みながら参加者の皆さんと交流する機会がなくなってしまったのは残念でしたが、オンライン発表での議論は活発に行われました。残念ながら勝沼ワインはありませんでしたが、オンライン懇親会もありました。

この学会での発表の1件目は、大学院生のマイニッケルシアンさんの"Multi-level Query Analysis for NLT-based Synthesizer Interface"という発表です。これは、言葉でシンセサイザーの音色を呼び出すという一連の研究の続きで、これまでにもこちらこちらの記事で紹介してきました。これまでは「単語から類推される音を見つける」という機能に主眼を置いて発表してきたのですが、今回の発表では「同じキーワードでも表現の仕方によってイメージが変わる」ということをシンセサイザーに応用しています。たとえば、「海」という言葉から連想されるサウンドがあるとしても、「南国の太陽に照らされた海」と「コンテナ埠頭に面した冷たい海」ではイメージが全然異なります。そうしたイメージを数値化して、「海」のサウンドに自動的にエフェクトを掛けてくれる機能を作ったというわけです。

私自身はじめてのオンライン学会で、指導教員としてドキドキしながら発表を見ていましたが、特にトラブルもなく無事終えることができました。普段なら、夜には反省会と称して盛り上がったりするのですが、オンライン学会の場合、終わるとすぐに日常モードに戻ってしまうのがちょっと残念ですね。

Calvin and Hobbes(本の話 #2)

2020年7月21日 (火) 投稿者: メディア技術コース

大分前に本についての話を書いて以来の第二弾です。今回はマンガです。マンガといっても日本の漫画ではなく、アメリカの新聞連載用の、いわゆるコミック・ストリップというやつです(多分…)。代表的なものに、Peanuts(スヌーピーのでてくるやつ)があります。そのなかで、私が好きな作品にCalvin and Hobbesというタイトルのものがあります。画像にあるように、絵はとてもきれいでかわいくもある絵柄ですが、内容はなかなか皮肉が効いているようなものが多いです。主人公がカルビン ( Calvin ) という小学生(6才)の男の子で、ホッブス ( Hobbes )はカルビンのペット?の虎です。といっても、他の人からみると虎のぬいぐるみです。くまのプーさんと同じアプローチですね。このカルビンが、外見のかわいさに似合わずかなりひねた性格なところと、虎ホッブスが結構冷静なツッコミをするところが面白い部分です(だから好きなんですね、というE先生の声が聞こえてくる…)。

 

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Calvin and Hobbesのコミック本

 

 

始めにこのコミックに出会ったのは、確かこのキャラクターのカレンダーをもらったことだったと記憶しています。ちょうど上の左側の図にある、カルビンとホッブスが踊りまくっているページが表紙になっていたと思いますが、それに惹かれたことから本を探して購入しました。その後はその内容が好きになって、次々に本を見つけては購入していたのですが、あるとき海外での学会に参加したときに街中で本屋に入り、なんとこのコミックの全集を売っているのを発見してしまいました。ほとんど衝動的に買いそうになってしまいましたが、なんとか思いとどまりました。というのも、下にある画像でおわかりになると思いますが、凄く重かったのです(今測ったら3冊組で10Kgでした)。これをわざわざ海外から持って帰るのは流石に厳しい…、と、あぶないところで正気に返りました。その後、めでたく日本からネットで購入して、いまは無事所有に至っております。しかしこの全集は、全てを所有しているという満足感を与えてはくれるものの、読むのには大きくて重くて不向きです。ということで相変わらず読むのは上の軽めの本ということになっています(はっ、いかん。これではまるでオタクみたいではないか…)。

 

 

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重量級の全集本(全3巻)

 

 

コミック・ストリップというと私にはもう一つ思い出があります。高校のときの英語の先生が変な人で、教科書を使わず、なんかのコミックを毎回プリントにしてきてそれで授業をしたのです。いまとなっては何のコミックだったか全く忘れてしまいましたが、ちっとも面白くなかったことだけは覚えています。英語の読解力がなかったからかとも思いますが、先生が解説してくれても全然おもしろくありませんでした。若者だったからでしょうか…。そもそも、その先生の説明の仕方も、面白いとは全く感じていないような語り口でした…。まあ、それはさておき、コミックというのはアメリカの新聞に連載されているものでその英語は口語ですから、This is a penで教育された我々には理解が難しく、また、それを理解しても一般の英語を理解するのに全然結びつきませんでした(すくなくとも、そのときは)。Calvin and Hobbesを教材にしてくれていたら、もう少し違っていたのかもしれませんが、そのときはまだ描かれてなかったはず…。テレビでよく、外国の方が日本語をマンガで覚えたと言っているのを目にしますが、マンガの言葉遣いで言葉を覚えるのはよさそうでも難しいのでは、と感心します。でも、実際に使われている言葉を知ることができるという意味ではいい教材ですよね。ということで、日本のマンガを外国語に翻訳されたものを見つけると、試してみたくなってつい購入してしまうのでした(全然身につきませんけどね…)。

 

 

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太田高志

 

 

 

 

 

プロジェクト演習(VRコンテンツデザイン)

2020年7月20日 (月) 投稿者: メディア技術コース

遠隔授業についての以前のブログで、VRコンテンツを作成する演習について少し言及しました。今回はその後の進捗について少し報告いたします。もともと、この演習はヘッドマウントディスプレイのVRデバイスを用いたコンテンツを作成するものでしたが、遠隔授業のために大学に出てきて機材を使うことができなくなってしまいました。そこで、clusterというVR環境によるSNSのワールドを作成する内容にいたしました。clusterのワールドとは、そこに集まることができる、CGで作成した3D空間です。皆、自分のアバターでそこに参加して、音声やチャットで互いに話をすることができます。もちろん、その世界を歩きまわったり、物を掴んだりすることもできます。ところで、ワールドはあらかじめ用意されているものがあって、とりあえずこの環境でミーティングをしたいという場合にはそれらを利用することができます。しかしながら、この環境では、それぞれの用途に応じて集まる空間(ワールド)を自分で作成することができるのです。今期、この演習ではそれを行うことにいたしました。参加する学生の一人ひとり、自分が作るワールドのテーマを設定し、それを作成しています。

 

さて、今日は中間発表として、それぞれが作成しているワールドの途中経過を見るために、皆で順番に訪れました。それぞれテーマが違うので、映画館風の場所や広い野原、さらには地球に立って周りの星空を眺める世界など、多様な世界を次々に訪れました(ちなみに画像中の黒いTシャツを着ている若くてイケメンなのが私で、ロボット風のアバターはその他の者どもです)。

 

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普段は、スライドのプレゼンテーションでテーマのアイデアや進捗について発表しているのですが、そこで「う~ん…?」となっていたものも実際に体験してみると皆それぞれそれなりに面白く感じます。一人で体験するコンテンツと違い、大勢でそこに入り、コミュニケーションがとれるというだけでそれなりに面白く感じるようです。一方で、単に3Dのモデリングとしてワールドを作っているだけだとメディア学部らしくありません。設定したテーマに対して、どのような世界にするのかを、そこに集まる目的に照らし合わせてデザインすることが目的です。これが結構難しい部分で、皆、その部分をきちんと定義づけるのには苦労しているようです。後、一ヶ月くらい、さらに作り込んで最終発表としてまたすべての世界を訪れる予定です。このような仕組みを使って、大学の異なる教室を用意し、講義毎に移動して受講するということもできそうです。そのときは、教室一つ一つを異なるデザインにしたりして、架空の大学を作ると面白そうです。物理的な制約はありませんから、教室毎に違う広さや形でも全然構いませんからね。遠隔授業も毎回違う場所で受けれたら飽きないかもしれません。

 

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一つ一つのドアからそれぞれの世界へ瞬間移動します

 

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おまけ:皆と違うワールドに少人数で入ってしまい、寂しさにうなだれる羽田先生

 

 

太田高志

本日(7/19)開催バーチャルSNSによる「ゲーム制作α版発表会」

2020年7月19日 (日) 投稿者: メディアコンテンツコース

メディア学部の三上です.

いよいよ本日,東京工科大学のオープンキャンパスの特別企画として,バーチャルSNS「Cluster」を利用した,東京ゲームショウ2020向けに学生が開発しているゲームのα版発表会を行います.

12:30からは,ブースがオープンしていますので,東京工科大学のバーチャルオープンキャンパスのイベントを見てもらった後や合間の時間などがあればぜひ遊びに来てください.

12:30から15:30は「東京工科大学オープンキャンパス特別イベント「ゲーム制作α版発表会」【第一部】 」にアクセスしてください.

そして16:30からはこの「Cluster」内においてメインイベント「学生による開発途中のゲーム発表」があります.
この会場は15:30からアクセス可能になっています.時間になりましたら「東京工科大学オープンキャンパス特別イベント「ゲーム制作α版発表会」【第二部】
」にアクセスしてください.

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「バーチャルSNSって何か心配」とか「やり方よくわからない」という方は,メインイベントの「学生による開発途中のゲーム発表」はYoutube Liveでも内診しております.下記のURLからアクセスしてください!

オープンキャンパス特別イベント「ゲーム制作α版発表会」

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コロナ禍でも自発的な学びを決して止めない工科大生の活動成果をぜひ見てください.

 

文責:三上浩司

 

 

7/19開催のオープンキャンパスに連動して東京ゲームショウ向けに開発したゲームを紹介する仮想空間イベントを開催!

2020年7月18日 (土) 投稿者: メディアコンテンツコース

メディア学部の三上です

 

今年は,コロナウィルスの影響でバーチャルオープンキャンパスとなりました.
例年,東京ゲームショウ(TGS)に向けたゲームのα版(プロトタイプ)を展示して,開発した学生たちと交流できる機会を用意していたのですが,なんとそのTGSも遠隔開催ということになってしまいました.

そこで,遠隔なら遠隔でしかできない挑戦を使用ということでバーチャルSNSである「Cluster」というサービスを使って,仮想空間の中でゲームを展示しようということで企画を進めました.そして,TGS向けに準備している出展ブースをオープンキャンパスでも公開して,高校生の皆さんにも遊びに来てもらおうということで企画を作りました.

・ゲームの試遊(7/19以降いつでも)
http://www.mkmlab.net/TGS/2020/

・開発した学生との交流
(7/19 12:30-15:30)
https://cluster.mu/e/fa5def09-51f3-4640-8de6-420fc792d5c9
(7/19 15:30-18:30)
https://cluster.mu/e/4aee6b56-702e-4dba-a349-430adceb33af

・Youtubeによる番組配信
上記Cluster内のイベントの中継です「Cluster」あまり利用しない方は「Youtube」でもClusterでのリアルタイムイベントを中継しますので是非こちらもご覧ください.
https://youtu.be/qllrqGuPbAk

※番組配信は7/19(日)16:30~18:10の予定です.

 

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以下詳細情報です.皆様の来訪をお待ちしております.
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東京工科大学バーチャルオープンキャンパス特別イベント開催!
本番組では東京工科大学メディア学部 ゲーム制作プロジェクト「インタラクティブ・ゲーム制作」バーチャルブースでのイベントの様子をお届けします!
学生の制作したゲームを通して、ゲーム紹介、開発の様子、学生生活などについて各チームからお話を頂きます。
質問などありましたらコメントをどしどしお送りください!!

東京工科大学バーチャルオープンキャンパス会場:https://www.teu.ac.jp/entrance/open/index.html

東京工科大学 公式サイト:https://www.teu.ac.jp/
東京工科大学インタラクティブ・ゲーム制作 2020年度Webページ:http://www.mkmlab.net/TGS/2020/
東京工科大学インタラクティブ・ゲーム制作 学生広報Twitter:https://twitter.com/TUTgp2020

◇東京工科大学バーチャルオープンキャンパス インタラクティブ・ゲーム制作バーチャルブース概要
日時:7/19(日) 15:30開場 16:30開演
場所:cluster
会場URL:https://cluster.mu/e/4aee6b56-702e-4dba-a349-430adceb33af

◇プログラム
16:30 - 16:33 挨拶・イベント説明
16:33 - 16:45 プロジェクト演習「インタラクティブ・ゲーム制作」説明
16:45 - 17:00 『突撃!ドカンとマーチ』by Team Munch-α-
17:00 - 17:15 『潮またぎのアルフレッド』by GAF-fly
17:15 - 17:30 『MAKAMI』by グラさん
17:30 - 17:45 『爆走!!トレイルロード』by タンメン谷口
17:45 - 18:00 『BLADE'NHAMMER』by Team Munch-β-
18:00 - 18:10 プロジェクト演習「インタラクティブ・ゲーム制作」からのお知らせ

◇登壇者紹介
三上浩司 (東京工科大学メディア学部教授):https://twitter.com/mkmtut
松永健斗 (東京工科大学メディア学部学生 / インタラクティブ・ゲーム制作学生出展委員会 委員長)
<以下学生チーム>
Team Munch-α-:https://twitter.com/gurasan2020_tut
GAF-fly
グラさん:https://twitter.com/gurasan2020_tut
タンメン谷口:https://twitter.com/TanTani18GP
Team Munch-β-

◇「cluster」について
「cluster」は様々なデバイスでイベントを無料で開催・参加できるバーチャルSNSです
公式サイト:https://cluster.mu/
イベント参加ガイド:https://cluster.mu/about
<ダウンロードはこちら>
PC(Win/Mac) / VR(Oculus / VIVE):https://cluster.mu/downloads
iPhone:https://apps.apple.com/app/id1490075175
Android:https://play.google.com/store/apps/details?id=mu.cluster.app






東京工科大学では、オープンキャンパスを定期的に開催しています。八王子と蒲田の両方のキャンパスで開催しますが、それぞれ違った体験ができますので、興味のある学科がある方や、本学のことがよく分からない方でも...

ゲームの「カメラ」の重要性

2020年7月18日 (土) 投稿者: メディアコンテンツコース

メディア学部特任准教授の安原です。

ゲームエンジンの最大手Unity社の主催するUnityの教員向けイベント「Unity道場-教育スペシャル」というネット配信イベントに、Unity側の講演者として登壇いたしました。そこでは本学で自分の担当しているプロジェクト演習の一環である「ゲームデザイン実習」で行っているUnityを使った授業の実践内容を、170余名の全国の大学、専門学校、高校の教育関係者に向けてシェアさせていただきました。

講演内容は「Cinemachineで教えるゲームの3つの大切なこと」というテーマでさせていただきました。

「Cinemachine」とはUnityのAssetの一つで、手軽にゲーム内カメラの挙動を自由にコントロールできるツールです。
通常は、ゲーム内ムービーのカットシーンなどで、カメラの移動や演出のために使われることが多い機能です。
自分はこれを使って、学生たちに好きなゲームに見立てた簡単なレベルを作ってもらい、そのゲームのカメラ位置を再現してもらいます。
上から見たら懐かしい2Dゲーム、横から見たら横スクロールゲーム、斜めから見たらアクションアドベンチャーゲーム、のように見えます。
作ってもらったどのレベルも、カメラ位置を変えただけで、様々な種類のゲームに早変わりします。

カメラはこのように、ゲームにとってとても重要なものです。そして、カメラはゲームをプレイするプレイヤーの「目」でもあるのです。
講演では、なぜ30年前のゲームは2Dゲームばかりだったのか?というその時代の技術的な制約やコントロール方法の変遷など、ゲームのカメラがどのように進化発展してきたかに触れながら、Unityの「Cinemachine」をどのようにゲームデザイン教育に用いているのかを紹介させていただきました。

https://www.youtube.com/watch?v=Dx7qQQn7WEQ&feature=youtu.be

シナリオ関連書籍の紹介

2020年7月17日 (金) 投稿者: メディアコンテンツコース

みなさん,こんにちは。メディア学部実験助手の菅野です。

このブログにも何度かシナリオの話が掲載されていますが今回はシナリオに関する書籍を一冊ご紹介します。

 

『アニメ・シナリオライターへの道!

著者:藤田伸三、出版社:立東舎、発売日:2018920 

http://rittorsha.jp/items/17317440.html

 

この書籍ではまず冒頭で「シナリオは映画や映像の設計図だ、という言葉、聞いたことありませんか?」という問いかけから始まるのですが、そこから前半はシナリオの書き方や書式の説明を行い、後半はタイトルにもなっているアニメ・シナリオライターになるための方法として、デビューまでの道のりや、実際にアニメ・シナリオライターになった後の仕事内容などについて解説しています。

アニメ・シナリオライターに限った話ではないのですが、シナリオライターになるためには様々な方法があり、逆に言うなら「こうすればシナリオライターになれる」という、明確なキャリアパスがあるわけではありません。この書籍でも、様々な事例や実際のシナリオライターへのインタビューなどを載せたうえで、「プロへのルートを見つけましょう」と述べています

東京工科大学のメディア学部で、シナリオの研究と教育を始めた頃は、こういった本がそれほど出版されておらず、今回取り上げた書籍のように「アニメのシナリオ」と、ジャンルを指定される例は、最近になってようやく見かけるようになった印象です。ゲームや、ライトノベルのシナリオを対象にした書籍も増えています

プロジェクト演習「シナリオアナリシス」の参加者をはじめメディア学部には、「将来的にはプロのシナリオライター」になりたい、と考えている学生もいます。そんな皆さんにおすすめの本かな、と思います。

(文責:兼松祥央)

食べ物の話

2020年7月16日 (木) 投稿者: メディアコンテンツコース

みなさん,こんにちは.メディア学部助教の兼松です.

いきなりですが、今回は私がお気に入りの「おにぎり」を紹介します。
お前の好きな食べ物なんてどうでもいいわ!とお思いの方もいるかもしれませんが,食べ物の話をストックしておくのは意外と大事なんだと,近頃学生を見ていると思うのです.

何度かこのblogでも書きましたが,大学生活を送る中で色々な先生の話を聞く,相談することはとても重要です.教員の立場からしてみれば,自分で抱え込んで潰れてしまう前に相談してくれればいいのに,と思うことも多々あります.
ですが,学生の立場からしてみれば,やはり相手は先生ですし,気軽には話しかけられない,緊張する,といった方も多いのではないでしょうか.私も身に覚えがあります.
そんな時に役に立つのが食べ物の話題です.

私は今期メディア基礎演習Ⅱという演習を担当しています.この授業も他の授業と同じように,今期は遠隔授業で実施しています.だいぶ慣れてきたとはいえ,我々教員側にとっても.授業をサポートしてくれるTASAの学生にとっても,対面での授業とは違った負担がそれなりにかかります.
そんな中,メディア基礎演習Ⅱの私が担当しているテーマでは,授業と授業の合間の休み時間にとある大学院生が「本日のおやつ」ということでおすすめのスイーツを紹介してくれています.これが授業続きで緊張の続く中での癒しになっていて,私を含めた先生たちやTASA仲間が反応して盛り上がっていたりします.

メディア学部にはラーメン好きの先生も多いので,先生に話しかけづらい方は,こんなことをきっかけに先生と仲良くなるのも良いのではないでしょうか.
(なお,私は店ごとの違いとかが食べてみても全然わからず,どのラーメンも等しく「おいしい」としか感じない舌です.)

前置きが長くなりましたが,私の好きなおにぎりです.

【厳選米おむすび 熟成炙りたらこ】
https://www.sej.co.jp/products/a/item/044659/

セブンイレブンのおにぎりはどれも美味しく、ときどき100円セールなども開催されるので買う方も多いと思うのですが、その中でも私が継続して購入しているのが、この「熟成炙りたらこ」おにぎりです。
コンビニのおにぎりというと手巻き海苔タイプのイメージが強いかもしれませんが、このおにぎりは手巻き海苔が使われていない代わりに、お米と具材のたらこにこだわっているようで、それが美味しい理由なのかな、と考えながら味わっています。

なお,在校生の皆さんはご存知の通り,東京工科大学の八王子校キャンパス内には「セブンイレブン」があります.東京工科大学のホームページでも写真つきで紹介されています。
https://www.teu.ac.jp/campus/map/daigaku/006621.html

写真を見ていただければわかりますが、一般的なコンビニよりも広いスペースの店内になっています。たくさんの学生が利用することもあって、この広さになっているわけですが、それだけに品揃えも豊富です。私のお気に入りである「熟成炙りたらこ」おにぎりも当然売っています(ダイマ)。
東京工科大学で学生生活を送る上では、とても便利で頼もしい施設の一つといえるでしょう。

(文責:兼松祥央)

2020年3月に卒業された卒業研究「プロダクトデザイン」のポスター紹介 その1

2020年7月15日 (水) 投稿者: メディアコンテンツコース

プロダクトデザインの2020年のメンバーも3月に全員無事に卒業しました。コロナ禍でいつもの大学全体での卒業式が出来ない中、毎週のディスカッションで集合した卒研室にメンバーが集合し、学長の代理としてメンバー全員に学位記を授与することができました。

この学年もポスター公開を全員が快諾してくださっています。何回かに分けて紹介させていただきます。

今日は、飯村さん、石井さん、江畑さんのポスターです。

_2020_7_20200713161701

飯村さんは、プラスチック製品を使い捨てることによる地球環境問題を指摘し、また形状を再考察したいという思いを重視し、業務用のマドラーのデザインに取り組みました。調査結果を踏まえ、アイデアスケッチや身近なモノを観察する中で、螺旋形状の興味深さに気づきました。砂糖を溶かす時に螺旋が効果的に働くことに気づきました。さらに砂糖もスティック形状のものを商品として供給することを提案し、問題解決案としてのデザイン提案を行いました。

石井さんは、小物の制作を趣味としており、同じ趣味の仲間との意見交換の中で、気軽に、そしてある程度の品質で撮影できるブースの存在が乏しいということを指摘しました。調査の結果、今はスマホで撮影することが多いことや、ブースを使用しない収納時には小さくしたいというニーズが高いことが分かりました。このことを踏まえ、この目的に適したブースの素材を調査し、折りたためることが容易で、光の拡散が少ない素材で構成された小物撮影用ブースのデザイン提案を行いました。

江畑さんは、現代人の必須アイテムともいえるスマホに着目し、一方、本体とは別にそのケースについてもユーザーの好みに応じてか、各種のデザインのケースが普及していることを指摘しました。調査の結果、ケースはユーザーの美観に対するこだわりが予想されたものの、スマホ本体を守るという本質的と思われるニーズが圧倒的に高いことが分かりました。このことを踏まえ、スマホの寸法・重量の増加を抑えたベルト状のケース(補強固定具)のデザイン提案を行いました。

メディア学部 萩原祐志

7月19日(日)「バーチャルオープンキャンパスDAY(八王子)」開催のお知らせ

2020年7月14日 (火) 投稿者: メディアコンテンツコース

皆さん、こんにちは!

7月19日(日)に開催される「バーチャルオープンキャンパスDAY(八王子)」のお知らせです。

すでに大学HPのWebサイト「バーチャルオープンキャンパス」をご覧になった方もいらっしゃると思いますが、この日は学長による大学紹介、八王子キャンパスの各学部長による学部・学科紹介など、ライブ感あふれる特別動画コンテンツを配信します。八王子の4学部、そしてメディア学部についてさらに詳しく知ることができるチャンスですので、ぜひご視聴ください!

動画コンテンツは10時と13時の2回配信しますが、どちらも同じ内容ですのでご都合に合わせてご覧ください。ただし、視聴にあたっては事前申し込みが必要となります。視聴ご希望の方は、こちらのページから申込みをお願いします。(※当日まで申込み可能です)

そのほか八王子キャンパスの「バーチャルオープンャンパス見学」3D画像も当日公開されます。こちらは申込み不要でどなたも自由にご覧いただけます。どうぞお楽しみに!

また、昨年開催されたオープンキャンパスでのメディア学部の展示の様子は当ブログで紹介しています。こちらも是非ご覧ください。

【2019年6月19日】
オープンキャンパス開催中です!
◆入学希望者必見◆オープンキャンパスレポート①【充実の研究生活編】
◆入学希望者必見◆オープンキャンパスレポート②【充実の学生生活編】
◆入学希望者必見◆オープンキャンパスレポート③【充実のキャンパス空間編】
◆入学希望者必見◆オープンキャンパスレポート④【メディア学部で研究しよう!】

【2019年7月14日】
本年度2回目のオープンキャンパス その1
本年度2回目のオープンキャンパス その2
本年度2回目のオープンキャンパス その3

【2019年8月4日】
オープンキャンパス開催中!
オープンキャンパスに行ってみる(2019年度第3回 メディア学部 片研会場)
オープンキャンパス 8月4日 (研究棟C編)

【2019年8月25日】
8月25日オープンキャンパス研究棟C会場レポート
入学希望のみなさんへ。8/25のオープンキャンパスでの一コマです
写真で体験する8/25のオープンキャンパス!


(文責:伊藤謙一郎)

授業紹介:メディア専門演習「ビジュアルコミュニケーション」(その1)

2020年7月13日 (月) 投稿者: メディアコンテンツコース

本ブログをご覧の皆様,こんにちは.

メディア学部教授 菊池 です.

本日のブログでは,私が担当している「メディア専門演習:ビジュアルコミュニケーション」(2年次後期・3年次前期)の中で,
今年度前期(現在も進行中!)の受講生が制作した課題作品を紹介したいと思います.

本日紹介する作品は,「有名人の似顔絵イラスト」です.

「メディア専門演習:ビジュアルコミュニケーション」は,ビジュアルコミュニケーションのための技術と理論,およびその価値を学びながら,その可能性と多様性を探求するため Adobe Illustrator と Photoshop を用いて自身のアイデアをビジュアルとして制作し,他者に伝えることができるようになることを目標としています.
授業内では,数回の「課題作品」の制作を通してツールとしてのソフトウェアを学びながら,現実の中にある”シンボリックな本質や普遍性”を見出し,自身の表現力でそれをビジュアルとして提示することを学んでいきます.

「有名人の似顔絵イラスト」という課題では,外見の特徴だけではなく,対象人物の性格や雰囲気などの無形の本質を捉え、人物のユニークな要素として表現することを目指します.

今年度の受講生の皆さんが制作した作品の一部が,以下のようなものです.

0712
図.「有名人の似顔絵イラスト」作品例


いかがですか?
こうやって見ると...今の世の中の情勢を反映してか,ちょっと「暗め」のテイストが多いでしょうか...(苦笑)

受講生それぞれが,対象人物の外見的な特徴だけでなく内面さえも捉え,表現手法を検討しながら作品制作を進めていった様子がよく現れていると思います.

今後もこのブログを通して,受講生の様々な作品を紹介していきたいと思います.
また次回をお楽しみに!


文責:菊池 司

ここにも7が (7・最終回)

2020年7月12日 (日) 投稿者: メディア社会コース

これまで、7にまつわることがらを見てきました。

そこで、なぜ、さまざまなところに、7がこんなに出てくるのかを考えてみます。
多くの人が気にするからかもしれませんが、7に人の心をとらえる何があるのでしょうか。

現在の数字は算用数字・アラビア数字とよばれていますが、インド起源です。
面白いのは、7という数字の形の由来はよくわかっていないことです。

漢字の七の形も7という数とは関係なく、七は切のもとの字なので、
音が同じというだけで使われたらしく、細かいことはわかっていないようです。

西洋でも、キリスト教では、天地創造にあらわれるように、
7
を完全な数とか神の数などといって、神聖視したわけですが、
それより前から、7は、世界の七不思議といったように使われてきました。

古代ギリシャの、世界の七不思議は、その当時、
歴史学者ヘロドトスが挙げたとされる注目すべき7つの建造物のリストです。
地震などのため現存しているのは、ギザの大ピラミッドだけですが、
他のものも実在した証拠がでてきているようです。

自体に戻ると、数学的には、まず は一桁の最後の素数です。
素数は、1とそれ自身以外では割り切れない自然数ですから、
はひとつの数字で表せる最大の割り切れない数ということです。

数学で、作図問題つまり図形がコンパスと目盛りのない定規で描けるかという問題がありますが、
正多角形でこれが不可能な最小のものが正七角形です。
だから、正角形の作図は複雑で、古代から書くのはたいへんだったと考えられます。7_20200706000401  

こうした割り切れなさ、複雑さが、を神秘的に感じさせ、
不思議だと思わせるのかもしれません。

それでは、この連載も7 回になったので、終了です。お読みいただいて、ありがとうございました。

こんな状況です。これがラッキーセブンであることを願ってやみません。

(メディア学部 小林克正)

ここにも7が (6)

2020年7月11日 (土) 投稿者: メディア社会コース

気を取り直して、7にまつわる話を続けます。

キリスト教の影響もありますが、科学や芸術の中にも、7が見受けられます。

まず、曜日と関連して、7天体があります。肉眼で見える、動く天体です。
古い時期から知られていました。
日本語では、そのまま曜日に入っていますが、
太陽から見た順で、地球の代わりに月をおくと、次のようになります。

太陽、水星、金星、月、火星、木星、土星

曜日との関連は、複雑で、最初、これらの天体に1日の中の時間を対応させ、
日々それがずれていくので、その日の最初の天体がその日の曜日になったようです。

これらの星の動きの解明から、科学が進展していったのは、ご存じのとおりです。

これらの天体以外の惑星、準惑星、小惑星は、肉眼では見えませんから、
望遠鏡などの観測装置や理論的な予測から存在が明らかになりました。

次は、虹です。虹を最初に7色といったのは、ニュートンのようです。
日本では、おそらく、それが定着し、次のようになっています。

赤、橙、黄、緑、青、藍、紫

欧米でも少し異なった色になっていたり、必ずしも7色とは認識していないということです。
実際には、連続したスペクトルを人工的に分けているのですから、あたりまえなのですが、
何らかの基準がないと不便です。

それから、現在一般的な、西洋音楽の音階は、7音です。
周波数が2倍になり、同じ種類の音に聞こえる1オクターブの音程は8音目ですから、
異なる音階は7音ということになります。
ところで、いまは周波数が大きい音を高い、小さい音を低いと表現していますが、
細い太いと表現していた時代もあるようです。
音は波なので、実体があるものに使う表現では11にはならないのですね。

今日はこのあたりで。明日またお目にかかります。

(メディア学部 小林克正)

ここにも7が (5)

2020年7月10日 (金) 投稿者: メディア社会コース

厄介なことに、新型コロナウイルスは終息のきざしを見せません。

7にまつわることを連載しているので、
まったくの偶然なのですが、新型コロナウイルスに関しても触れざるを得ません。

今回の新型コロナウイルスは、7番目の病原性コロナウイルスだからです。

コロナウイルスは、エンベロープ(包み)という膜構造に、王冠(コロナ)の飾りに見える、
ピン(待ち針)のような突起が多数ついているウイルスです。

この、コロナウイルスで、ヒト(生物としての人間)に感染して、病気のもとになるのが、
これまで6種類知られていて、新しく出現したのが、今回のもので7番目だというわけです。

詳しくいうと、単に(病原性の)コロナウイルスと呼ばれているのは、
オルトコロナウイルス亜科(真正コロナウイルス亜科)のウイルスです。
風邪のもとになる4種類が発見されていたところに、
SARS
コロナウイルス、MERSコロナウイルスが出現し、これまで6種類になっていたということでした。

コロナウイルスのエンベロープは脂肪でできているため、アルコールや界面活性剤(石けん、洗剤)で破壊でき、
物に付着しているなら消毒は可能のようですが、空中を浮遊している場合は容易でなく、
体内に入ると、まだワクチンなどもありません。

無症状という場合も含めて、症状さえ多岐にわたり、まだわかっていないことも多いようです。
後遺症が長引く場合があることも最近やっとわかってきたということです。

それ以降の体内での潜伏感染・再活性化も、出現からの期間が短いので、わかっていない状況です。

子供のころ水ぼうそうにかかると、中高年になった数十年後に帯状疱疹になるのは、
実は、同じウイルスが潜伏感染していて、再活性化するためなのですが、
これと同じようなことがおきるかどうかもわかっていないということです。

やはり社会的予防、とくに、換気をする、自分が無症状感染しているのではないかと思って、
人にうつさないように飛沫をかけないということを心掛けるしかなさそうです。

若年層にも感染者が確認されるようになってきたということなので、
くれぐれもお気を付けください。

連載は明日も続きます。

(メディア学部 小林克正)

ここにも7が (4)

2020年7月 9日 (木) 投稿者: メディア社会コース

昨日は日本の伝統に出てくる7を見たので、
今日は、西洋の伝統キリスト教に出てくる7を見たいと思います。

なんといっても、まず、天地創造の七日間があります。
もっとも天地創造は6日間で済んで、7日目は神様も休んだということで、
それが安息日である日曜日のもとになり、1週間のもとともなったという話ですね。

ただ、これは旧約聖書に載っているので、キリスト教のさらに前のユダヤ教から始まっています。

キリスト教特有というと、日本では一般にはあまり知られていないようですが、七元徳があります。
人間がもつべき徳ということで、七つの美徳、七つの徳目という訳や言い方もあります。
キリスト教でも主にカトリックですが、次のものが七元徳です。

知恵、勇気、節制、正義、信仰、希望、愛

最初の4つは古代ギリシャからとなえられていたもので、後半の3つが新約聖書のものです。
ピーテル・ブリューゲルの絵画でも知られています。

七元徳を知らなくても、おそらく、七つの大罪は知っているでしょう。
マンガ・アニメのおかげで、超人バトルだと思っている人もいるかもしれませんが、
避けるべき欲望や感情のことで、やはりカトリックで、次のものです。

虚栄、強欲、憤怒、嫉妬、淫蕩、貪食、怠惰

聖書に直接書かれていないため出入りもあり、さまざまな訳があります。
現在のカトリック教会では、七つの罪源というようです。

上のブリューゲルも描いていますが、それに影響を与えたというヒエロニムス・ボスの絵画が有名です。

この他にも、七大天使、七つの封印など、7はキリスト教には多く出てきます。

今日は、これで。また明日に続きます。

(メディア学部 小林克正)

ここにも7が (3)

2020年7月 8日 (水) 投稿者: メディア社会コース

数字の7にまつわることがらですが、昨日、伝統的七夕に言及しましたから、
今日は、日本の伝統に残る7を取り上げます。

初詣に多いようですが、それに限らず、七福神めぐりをするという人もいます。
七福神は、

恵比寿、大黒天、毘沙門天、弁財天、福禄寿、寿老人、布袋

という七柱の神仏ですが、本来、無関係の神様仏様を、生活に関連するさまざまなご利益まるごとを願って、
一度にめぐるというのは、日本らしいと思います。

こちらはお正月だけですが、17日に七草粥を食べるかもしれません。
これに使うのは、春の七草で、

芹(せり)、薺(なずな、ペンペングサの若葉)、御形(ごぎょう、ハハコグサの若芽)、繁縷(はこべら、ハコベの上のほうの若葉)、
仏の座(コオニタビラコの若葉)、菘(すずな、カブの葉)、蘿蔔(すずしろ、ダイコンの葉)

です。

秋の七草もあって、こちらは食べられませんが、

萩(はぎ)、桔梗(ききょう)、葛(くず)、藤袴(ふじばかま)、女郎花(おみなえし)、
尾花(おばな、ススキ)、撫子(なでしこ、カワラナデシコ)

です。

他の数字との組み合わせになりますが、
子供の成長を願う七五三や、俳句の五七五なども7がはいっています。

俳句や、やはり7のはいった短歌の五七五七七は、口調よく、ものを覚えるのにも有効です。
たとえば、上の秋の七草は、短歌のように、次を口ずさむと覚えられます。

はぎ、ききょう くず、ふじばかま おみなえし おばな、なでしこ 秋の七草

それでは、今日はこれで。明日に続きます。

(メディア学部 小林克正)

ここにも7が (2)

2020年7月 7日 (火) 投稿者: メディア社会コース

今日は、77日、七夕です。

七夕と書くのは、七月七日で七が重なり、星の見られる時間から夕刻ということでしょう。

たなばたという呼び名は、いずれもそう読める、棚機からとも棚幡からともいわれています。

織姫と彦星といいますが、正確には織姫あるいは織女(しょくじょ)と、牽牛あるいは牽牛郎(けんぎゅうろう)です。

星の名前ならば、織姫星と彦星です。天の川をはさんだ両側にあるといいますが、
細かくいうと、星がよく見える場所では、彦星は天の川の一部のように見えます。

1年に1度しか会えないとされるところがロマンチックなわけですが、
紀元前とも推測される、早い時代に成立した伝説なので、多くの伝説や物語のもとになり、
天の羽衣、天の軍、天に帰るといったところが、かぐや姫の竹取物語にも影響しているように思います。

ところで、なぜ、短冊に書くなどの、願い事をするのでしょうか。
織姫が、名前のとおり、機(はた)を織る、つまり、織機を使って布を織るのがうまかったことから、
同じように手先が器用になることを願うというのが始まりのようです。
そういうことから、手技手芸の上達が本来の願うべき内容でしょうが、いまは何でも願いますね。
今年は、この状況の終息を願いたいものです。

七夕は、日本では、お盆と関係したり、各地のお祭りと融合したりしています。
ただ、77日は、梅雨のところもあり、星がよく見えないかもしれません。
旧暦七月七日が本来の七夕だからですが、現在、旧暦ではありませんからわかりませんね。
さいわい、国立天文台が、伝統的七夕として、ほぼ旧暦七月七日にあたる日を特定してくれています。
今年2020年は825日です。

もし、今日、星が見えなければ、この日に七夕をしてもいいですね。

今日は、このあたりで。明日に続きます。

(メディア学部 小林克正)

ここにも7が (1)

2020年7月 6日 (月) 投稿者: メディア社会コース

いま7月です。あたりまえですが、2020年も7番目の月まで来たわけですね。

しかし、年末年始、このブログに書いたように,
現在のカレンダーのもとになったローマ暦では1年の始まり1番目の月は3月でしたから、
7番目の月は9月でした。

そのなごりが、たとえば9月の英語名 September で、
seven に似ているとおり7を意味するラテン語の派生形です。

7月は July ですが、こちらは、年末年始に書いた、カエサル暦の
ユリウス・カエサル(英語読みがジュリアス・シーザー)が由来です。

今回は、数字の7にまつわることがらを連載します。

続きは明日、77日、七夕です。

(メディア学部 小林克正)

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似顔絵誰でしょう(2)

2020年7月 5日 (日) 投稿者: メディア技術コース

前回の教員似顔絵の記事で、専門分野の類似度を測って二次元のマップを作っていました。それについて簡単に解説します。これには単語のベクトル表現というAIの技術が用いられています。これは、私たちが使っている単語をベクトルといういくつかの数値の組に変換して表現することによって、単語同士の類似度などをベクトル同士の計算によって数値として求めることを可能にする技術です。

例えば、soundとgraphics、speechをベクトル化してみます。実際は何十から何百という次元数の長いベクトルになります。

Vsound = [-0.0073 0.0101 ・・・ 0.0038]

Vgraphics = [-0.0335 -0.0007 ・・・ 0.0118]

Vspeech = [0.003 0.0053 ・・・0.0507] 

 これは、同じ文に使われている単語は関連が深い、すなわち近いベクトルになるという仮定の下でAIを学習し、そのAIによって任意の単語を数値の組み合わせすなわちベクトルで表現したものです。

類似度は、コサイン類似度と呼ばれる、ベクトル同士のなす角の余弦の値を求めることにより計算します。(実際は大きい次元のベクトルですが、下図は簡略化のために3次元で描いています。)

Vector

そうすると、Vsound とVgraphics 、Vsound とVspeechそれぞれの間の類似度をとります。

類似度(VsoundVgraphics ) =0.50

類似度(VsoundVspeech ) =0.37

soundとgraphicsの類似度よりsoundとspeechの類似度のほうが小さいことがわかりますね。つまりsoundとspeechの関係は、soundとgraphicsの関係よりAIの結果上は遠いということになります。あれ?と思われるかと思いますが、あくまで同時サウンドとグラフィックスは近い文脈で使われているが、音声・スピーチ・話という単語は一緒に使われる頻度が少ないということを表しているに過ぎません。

その後、類似度から各単語同士の距離を計算します。方法はいくつかありますが、例えば 距離=1-類似度 などとして、類似度が小さいほど距離の値が大きくなるように定義して計算します。

そして各単語間の距離が得られるので、そこから多変量解析によって2次元の平面に乗せたときの位置関係を座標として求めます。Gyouretsu

その座標点に各教員の似顔絵を乗せたのが、前回の図でした。教員の点は教員紹介の単語を取っていて、複数ある場合はベクトルを平均しています。今回、単語をベクトルに変換するAIはfastText [1]という手法を使い、ウェブ記事の文章を集めて学習した公開されている英単語の統計モデル[2]を使用しました。

以下は各似顔絵の答え合わせです。

Blog_contents_cource_map_with_names 

メディア技術コース 越智

参考文献

[1] Bojanowski, P., Grave, E., Joulin, A., & Mikolov, T. (2017). Enriching word vectors with subword information. Transactions of the Association for Computational Linguistics5, 135-146.

[2] https://fasttext.cc/

 

空から見えるキャンパス(解説編)

2020年7月 4日 (土) 投稿者: メディア技術コース

助教の戀津です。

皆様昨日の記事はご覧いただいてますでしょうか?今回はその続きです。

飛行機上から本学の八王子キャンパスを発見したお話ですが、関東平野は広大で、街と街の境目がないため特定の場所を発見するのはなかなか困難です。
また、高高度の上空から見渡すと方角や距離感がつかみにくく、だいたいこんな感じかな?というくらいにしか把握しにくいです。
よーく見てじっくり考えればわかるかもしれないですが、何しろ時間がないです。発見したのは離陸から七分後で、八分後にはもう山梨へ抜けてしまいました。

今回はそんな中で八王子キャンパスをどうやって発見したかの解説です。

以前、「大学から見える意外なランドマーク」という記事と、その解説編をこのブログに掲載しました。大学から西武ドームが見えるというお話です。
この時、西武ドームであることを確認するために、GoogleMapで西武ドーム付近や大学との位置関係をよく見ていました。
(実はあの記事を先に書いたのは伏線だったのです)

このため、西武ドームを見つければ大学を探せるかもしれないと考え、まずは西武ドームを探してみました。
関東平野内で北西の方で、緑に囲まれた大きな湖、そしてそのほとりにある大きな白い建物。
これだけ特徴的なものであれば、比較的容易に発見できました。下の写真の赤矢印部分です。

20190314-110055-2

 

次に、西武ドームと大学の位置関係をヒントに大学を探します。
解説編の中で大学から北北東方向』『ちょうど多摩川を挟んで向こう側くらいとあります。
方角は前述の通り高高度からはわかりにくいですが、多摩川はおおよそ東南東方向へ向かって流れているので、多摩川の反対側を探せばよいわけです。

写真ではわかりにくいですが、飛行機からは多摩川はよく見えました。距離は西武ドーム多摩川間と同じくらい離れた位置なので、探す範囲もだいぶ絞られます。次の写真に多摩川と捜索範囲の円を描いています。

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そして、この緑の範囲を探していた所、八王子サザンスカイタワーを発見しました。付近で一番大きいビルなので目印になりました。
(残念ながら写真ではごちゃごちゃしてる部分に紛れていてわかりにくいです)
これで八王子駅の場所が分かったので、あとは少し右下あたりかな、と慎重に探してみて、ようやく八王子キャンパスを発見できました。
なかなか難易度が高く、また時間も非常に短い(見える範囲を飛んでいるのは一分半~二分程度?)ので、無事発見できた時は難解なパズルを解いたような爽快感がありました。

発見方法は他にも色々あると思います。実際別の機会に飛行機に乗った際にも、違う方法でも発見しています。
しばらくは飛行機での移動もしにくいのでなかなか機会がないと思いますが、いずれ飛行機で西へ向かう機会があった方は探してみてはいかがでしょうか。
事前に地図を見て予習するのも楽しいかもしれません。

空から見えるキャンパス

2020年7月 3日 (金) 投稿者: メディア技術コース

助教の戀津です。

飛行機を利用しての遠出ができなくなってしばらく経ちますが、昨年春に飛行機に乗った際の思い出です。
といってもタイトルでネタバレ済みなのですが・・・。上空から八王子キャンパスを発見できたお話です。

昨年三月に、大学の用事で福岡に出張しました。その際、進行方向に対して右端の窓際席になりました。
座席モニターで進路を見ると、八王子の少し南の上空を通過する様子でした。
これはもしや八王子キャンパスが見えるのでは!?と思い、上空からの捜索を試みました。

まずはこちらの写真をご覧ください。
スマートフォンのカメラでの撮影なので画質は厳しいものがありますが、この中に映っています。
※スマートフォンは機内モードに設定して電波をオフにしています

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おわかりいただけたでしょうか?

あわや雲に隠れて見えないところでしたが、運よくギリギリで見えました。
画面中心部の雲の左上付近です。

更に画質が低下してしまいますが、ズームした画像も掲載します。

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片柳研究所棟とフーズフー前の植え込み庭園、アリーナなどの特徴的なものが見えますね。
空の上からでも八王子キャンパスを見つけることができました。
広大な関東平野の中からどうやって発見したかはまた次回解説します。

リモート授業の罠

2020年7月 2日 (木) 投稿者: メディア技術コース

とりあえず新学期、リモート授業が始まったので近況をば…。

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(以上 「情報リテラシー演習」担当 永田)

似顔絵誰でしょう??(1)

2020年7月 1日 (水) 投稿者: メディア技術コース

こんにちは。メディア技術コースの越智です。今回はメディア学部の教員陣の似顔絵を描いたので正規の教員紹介サイトに倣って順番に紹介していきたいと思います。第1回はコンテンツコースの教員です。

在校生、卒業生のみなさんは知っている教員を見つけられましたでしょうか。

次の図は、大学ウェブサイトの教員紹介ページに書かれているそれぞれの専門分野についての単語から、fastTextと呼ばれる自然言語処理技術で、関連が深い単語同士があると近い距離になるようにして一人一人の距離を求めたものです。(2人ずつの組み合わせ全部の距離を求めて、それを軽量多次元尺度法により2次元の図にしています。)仕組みについては次回お話しします。

Blog_contents_cource_map

それぞれを拡大するとこんな感じです。

Itoken_2pt

Sassaki_sensei

Akino_ver2_2pt

Mika_2pt

Kane_2pt

Tsub_2pt

Kawash_1pt

Hagi_2pt

Kiku_sticker001_2pt

Kaki002

Take_2pt

Yasu_2pt

在校生、卒業生のみなさんは知っている教員を見つけられましたでしょうか。

メディア技術コース 越智

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