先行研究
2020年7月25日 (土) 投稿者: メディア技術コース
メディア学部の大淵です。
前期の授業がすべて遠隔で行われる中、研究室に所属する4年生の皆さんも、自宅で卒業研究を進めてくれています。前期の卒業研究Iは、研究テーマを決めて実験や開発に着手するまでが目標ですが、それに加えて先行研究の調査というのも重要な要素のひとつです。前期も半ばを過ぎ、毎週のミーティングで先行研究調査について報告してもらうこともあるのですが、ちょっと残念そうな声で「自分のアイディアと同じ内容の論文を見つけてしまいました。しょうがないのでテーマを変えようと思います」という人がときどきいます。
こんなふうに言う人は、卒研生としてはなかなか見どころがあるといえます。まず「他の人がやっていないことをやらないと意味が無い」という研究の本質を良く理解している。そして、関連論文をきちんと見つけてくる調査力もある。そういう意味で私としては嬉しいのですが、本人はしょげていることが多いです。そういう人に対して、私は「テーマを変えることは無いですよ。あなたの研究は順調に進んでいます」というようにしています。
逆に、似たような論文が全く無かったらどうでしょうか。その場合、世界中の超一流研究者ですら思いつかなかった凄いアイディアであるか、あるいは取るに足らないつまらないアイディアであるかのどちらかですが、おそらく前者である確率は0.1パーセントも無いでしょう。それに比べて、似たような論文が見つかったということは、世界で初めて思いついたわけではなかったけど、なかなか良いアイディアではあったということです。そこで次にやるべきことは、その論文を熟読し、ちょっとでも引っかかるところを探すことです。一読しただけで「自分だったらこうするのに」というところが見つかる人は稀でしょうが、読むだけでなく追試までしてみれば、何かしら違うやり方でやってみたいところが見つかるはずです。そうした細かい違いこそが、本当の「研究のアイディア」の入口になるのではないでしょうか。
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