声の感情認識を使ったゲーム
2020年7月23日 (木) 投稿者: メディア技術コース
メディア学部の大淵です。
前の記事に続き、NICOGRAPH International 2019での発表を紹介させていただきます。2件目は、フランスから研究生として来ているThomas Aubartさんの"Usage of Vocal Emotion Recognition as a Game Mechanism"という発表です。昨年9月から研究を始めてまだ半年で、立ち上げたばかりの研究ですが、今回はポスターセッションとして問題提起も含めた発表を行いました。
声から話者の感情を読み取ろうという研究は、近年かなり盛んになってきています。コールセンターの顧客分析などで使われる場合、推定の正確性が最も重要な指標になることは言うまでもありません。しかし、ゲームの操作要素として使う場合には、必ずしも正確性だけが重要な指標ではないだろうというのが、今回の研究の着眼点です。日本人の場合、あまり感情を表に出さないことが多く、そこから感情を読みだすのも大変なのですが、「このゲームはあなたの声の感情に反応してストーリーが変わります。楽しさ・悲しさ・怒りなどをなるべく表現して下さい」と伝えることにより、むしろわざとらしいぐらいに感情を表現してもらおうということを狙っているわけです。
まずは線形判別分析を使ったシンプルな感情認識プログラムを作り、それを自作のゲームに組み込みました。これから多くの人に使ってもらって印象評価などを進めていきたいという時点での発表ですが、研究の方向性についていろいろなコメントをいただき、良い経験になったのではないかと思います。コロナ禍で、他人と一緒の場所で大きな声を出すのがはばかられる昨今ですが、一人でゲームをしながら思い切り感情を表現するのも、ストレス解消には良いかもしれませんね。
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