オンラインでの学会発表(2)
2020年9月 5日 (土) 投稿者: メディア技術コース
技術コースの羽田です.
前回に引き続いてエンタテインメントコンピューティングでの発表についての記事になります.
2日目の午前中に行われたVRのセッションでは5つの発表のうち3つを本研究室が占めてしまいました.今回はそれぞれについてお話しようとおもいます.我々の研究室ではデバイスを使って,体験を拡張するというテーマでの研究を行っていますが,その中でもVRを用いた体験は大きなテーマの一つです.
1つ目は松村さんの「箸を介したVR上の物体とのインタラクション」という発表です.この研究は,お箸を使ってVR内でのインタラクションを行ってみようというものです.お箸にセンサーや振動モーターなどを取り付けることで,VR内での物体の操作にお箸を使おうという試みです.お箸は日本人には非常に馴染みの深い道具で,ものをつまんだり,切ったりとさまざまな動作に利用することができます.このお箸をVR内でも使うという研究なのですが箸の特徴としては細くて軽いというところがあります.そのためデバイスを内蔵するのが非常に難しいのですが,まずは最初の段階として十分な成果が得られたのではないかとおもいます.今後はセンサー等を小型化しさらに箸として使いやすいデバイスに仕上げて,楽しいコンテンツを作ることが目標になりそうです.
学会の質疑では,箸のデバイスとしての難しさのほかVRと食事の関係などについての話が盛り上がりました.
2つ目の発表は関口君の「巨人視点:高低差と大小差の比較」という発表です.この研究では,VR内で高いところに視点をもっていった場合の見え方の変化について考察しています.単純に高いところに視点を移した場合と,高いところからの視点ではなく自分が巨人になったかのような視点をとの差として今回は,瞳孔間距離に着目してその差を検証しました.瞳孔間距離というのは目の間の距離ですので,当然ですが人間が巨人になると頭のサイズも大きくなるのでその間が大きくなるわけですね.この差が印象としてどれくらい意味があるのかなどについて検証しました.質疑では,自分が大きくなったことと,世界が小さくなったことの違いはあるのか?といった話や,過去の研究についての話など今後の参考になる話がたくさん出てきた用に思います.
3つ目が岡本さんの「風を用いたゲームプレイ中の臨場感の向上」という研究です.ゲーム中でキャラクターがビルから飛び降りたり,飛び移ったりといった現実にはありえないような動きをするとき,同時に風をあてることでさらに臨場感が増すかどうか,といった研究です.この研究はVRのセッションだったのですがVRではなく,普通のテレビ画面を見ておこなうゲームを題材として行っています.実際にビルから飛び降りてコインをあつめるゲームを作り,実験を行ったのですが,現在のところ目立った効果が見られていないという結論になりました.これに関して質疑では,視野角が狭いと没入感が減るので,VRにしたほうが良いのではないか,といった意見や実際にスカイダイビングを体験してみて,浮遊感を味わってみたほうがいいのではないかという意見まで多くの意見が交わされました.
これらの研究はそれぞれ,今後まだ発展させることになります.次の発表では,これらの質疑の内容も踏まえてよりよい研究発表ができるようになると良いなと思っています.
前回にも載せましたが,これらの発表の様子や論文は誰でも自由に見ることができますのでリンクを載せておきます.もしこのような研究に興味があれば見てみてください.
(羽田久一)
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