« オンラインでの学会発表(2) | トップページ | 2019年度卒研生を送る »

VRワールドでポスター発表(卒業研究中間発表会)

2020年9月 6日 (日) 投稿者: メディア技術コース

リモートで行ってきた卒業研究指導ですが、時期がずれた前期の中間発表会もようやく終えることができました。情報系の研究であればリモート環境でもそれなりに進めることができると思ったのですが、モチベーションや時間の使い方がうまく行かないようで、学生の取り組みや研究の進捗についてはもう少し奮起を期待したいところです。

 

さて、中間発表会ですが、私の研究室では例年ポスター発表の形式で行っています。スライドによる口頭発表は形式的には正式っぽくていいのですが、色々疑問があっても一定の時間(5分)経つと質問が打ち切られてしまい、まだまだ未完成な研究の発表に対しては不十分だと感じるため、ポスターによる発表を選択しています。ところで、リモートでポスター発表ってどうするんだ?って話ですね。例によってZoomを使うのか?でもそれじゃ一人づつ順番に説明することになって、スライドによる口頭発表と変わらなくなってしまいます。ということで、SpatialChat、という環境を使おう!としたのですが…、直前で有料化されてしまいました。おまけに価格設定が結構高いです。サブスクライブのプランしかないのですが、高いうえに、終わったら解除したいんだけどどこからするの?と問い合わせたら、現状では解除はできん、と恐ろしいことを言われてしまいました。解約できないって許されるの…?ということで、ClusterというVRを利用したSNSサービスを利用して、擬似的なポスター発表ができるように工夫してみました。

 

VRの演習でも同じ仕組みを使用したことを別の記事に書きましたが、まずメインの会場があり、そこから個別のポスター発表の部屋にワープできるような会場を用意しました。始めにそこに全員集合します。発表する4年生と新しく配属された3年生が参加しました。1,2年生にも声をかけたのですが、残念ながら振られてしまいました。メイン会場にはワープ用のゲートが円周状に配置してあります。半透明なドアのような表現になっていて、いかにもワープしそうな雰囲気のデザインです。そのドアの前に立て看板のように研究テーマ名と発表者の名前のパネルが設置してあり、それを見て聞きたい研究発表の部屋を見つけることができるようにしました。

 

Ea5933baad55449ba976c7120324d317 Screen-shot-20200818-at-141852

メインの集合会場

 

各部屋に入ると、全面の壁にポスターがスクリーンに表示されていて、発表者(のアバター)が脇に立っています。普通のポスター発表と同じようにポスターを見て説明を聞き、質問やコメントがあれば発表者と会話します(チャットでも可能ですが、基本は音声で)。この環境だと、Zoomのような会議用のツールに比べて聞いている人の数が直感的にわかるところがいいと思いましたし、何より、ポスター発表会の感じを持つことができたように思います。一方で、誰も聞きに来ていないと、説明者は部屋に一人で誰か来るのを待っているだけなので寂しいですね。ポスターの表示されているのと反対側の壁にはメイン会場に戻ることができるドアが設置されています。そうやってメイン会場と各部屋を行ったり来たりすることができます。一つの部屋に複数のポスターを配置しなかったのは、こうしたSNSのツールの特性によります。一つの部屋では、誰かが発言していることが全員に聞こえるようになっているため、複数のポスターの説明を同時に行うと、複数の説明者の声がいっぺんに聞こえてしまいます。そのため、個々の発表毎に独立した部屋を用意して、それらの間を簡単に行き来できるような仕組みを作ったのです。

 

13e5c16d0187494a92173beb764c8ab0 47ad3ccf913846bc80e9fe86b5587bba

F752cfc3d83444dcb1e035e229956283 3acaef411ffb46f683f57827201ac779

ポスター発表の部屋・発表の様子

 

各部屋へは自由に入り、自由に発表者と話をして、自由にでることができます。また、そもそも発表イベントそのものに出入りするのも各自の自由にできるところも、実際のポスター発表と同じ参加形式を実現できたと思います。実際のポスター発表では、制作したシステムやコンテンツのデモをするのですが、その再現は難しそうですね。動画で代替するくらいになってしまうでしょうか。今後の課題としたいと思います。ということで、発表を行った方法の話だけになってしまいましたが、研究内容についてはまた今度(もう少し研究内容が充実してから…)。

 

後期は大学に出て現実の場で行えることを希望していますが、こうした方法も、国際学会などではいいかもしれません。また、何らかの機会に多少改良して試してみたいと考えています。

 

 

太田高志

 

 

イベント」カテゴリの記事

授業紹介」カテゴリの記事

« オンラインでの学会発表(2) | トップページ | 2019年度卒研生を送る »