« 2020年10月 | トップページ | 2020年12月 »

2020年11月

コロナ禍のハイブリッド授業って何?<1. ダイバーシティとインクルーシブ教育>

2020年11月30日 (月) 投稿者: メディア社会コース

Img_9756

コロナ禍に大学がハイブリッド授業を行っているのをご存知でしょうか。

これが私のハイブリッド授業配信システムです。機材が好きなのは否定しませんが、少なくて済むならその方が好みです。機材が増えれば増えるほど、心配事も増えます。しかし、ハイブリッド授業を追求していたら、いつの間にかこのようなシステムになりました。

今回の私のブログウィークでは、9月から始まったハイブリッド授業についてお話します。

まず、ハイブリッド授業って何でしょう。私はこれまでの人生で、ハイブリッド授業をやる日が来るとは考えたこともありませんでした。ハイブリッドという言葉を辞書で調べると、以下のようにあります。

ハイブリッド(hybrid)とは、異種のものの組み合わせ・掛け合わせによって生み出されるモノあるいは生き物を意味する語(実用日本語表現辞典より引用)。

ハイブリッドという言葉から最初に思い浮かべるのは、プリウスのようなハイブリッドカーです。ガソリンで動くエンジンと電気モーターを組み合わせ、燃費を良くする仕組みですね。登り坂の時はエンジンで速度を保ち、平らな道では電気モーターでエコに走ります。それぞれの利点を生かして効率よく走るため、これまでの車と比べて燃費がかなり良くなることから世界中で人気があります。

残念ながら、ハイブリッド授業はこの考え方には当てはまりません。遠隔と対面のそれぞれの良いところを採用するのではなく、両方を常に同時に行わなければなりません。エンジンと電気モーターを同時につねに動かすのです。どのような仕組みで、どうやって授業を進めるのか、どこにもマニュアルやお手本はありません。

ハイブリッド授業は難しそうだから完全対面授業で良いのではないか、そんな疑問も出てきます。では、完全対面授業にした場合、どんな問題点があるのでしょう。コロナ禍においては、少し熱がある、せきや鼻水などの症状がある、PCR検査で陽性と判明したためしばらく登校できない、というケースが考えられます。「出席をしないと単位がもらえない」というルールにした場合、無理をして登校する学生が出てくるでしょう。新型コロナに感染した可能性がある場合は、遠隔授業で受講できる状態を確保しなければならないのが大学の現状です(小中高でも本来はそうあるべきかと個人的には思います)。体調の悪い学生が無理をしてキャンパスに来ないようにするためには、やはりハイブリッド授業を行うしかないのでしょう。

私は聴覚障害者をITで支援する研究を行っていますが、まさにその理念と一致します。SDGsでも掲げられているように「一人も残さない」。この考えが重要です。多様な学生がいて、それに対応する教育を行うのです。

ハイブリッド授業とは、ダイバーシティ(多様性)を受け入れ、インクルーシブ教育を行うための教育手法なのです。

このように考えを巡らせながら、9月からのハイブリッド授業に備え、研究室の大改造を行いました。今週のブログのラインナップは以下のようになります。

  1. ダイバーシティとインクルーシブ教育
  2. 教室の感染対策
  3. 対面と遠隔の接点
  4. 音のこだわり
  5. 背景のこだわり
  6. 動画共有の工夫
  7. システム図

コロナ禍におけるハイブリッド授業では、対面で受講する学生が安心して学べる環境作りが重要です。

明日は、「教室の感染対策」についてお話します。

 


メディア学部 吉岡 英樹

Img_6054

略歴:バークリー音楽院ミュージックシンセシス科卒業後、(有)ウーロン舎に入社しMr.ChildrenやMy Little Loverなどのレコーディングスタッフや小林武史プロデューサーのマネージャーをつとめる。退社後CM音楽の作曲家やモバイルコンテンツのサウンドクリエイターなどを経て現職。1年次科目「音楽産業入門」を担当。現在のコンテンツビジネスイノベーション研究室は2020年度にて終了し、聴覚障害支援メディア研究室として新たなスタートを切る。


 

ゲーム技術に関する学会発表 (1)

2020年11月29日 (日) 投稿者: メディア技術コース

メディア学部の渡辺です。みなさんこんにちは。

11/1〜3 に開催された「NICOGRAPH2020」という学会にて、私の研究室の学生のうち2名が口頭発表、4名がポスター発表を行いました。今回は口頭発表した2名の研究を紹介したいと思います。

修士2年の阿部明梨さんは、「人生シミュレーションゲームにおける関係変化イベント提示による共感性向上に関する研究」という題目で発表を行いました。
「人生シミュレーションゲーム」というのは、プレイヤーが能動的にキャラクターを操作するのではなく、様々なキャラクターが街中で生活を送り、それぞれの人生や人間関係が変化していくのを楽しむというジャンルで、代表的なタイトルとしては「The Sims」や「トモダチコレクション」などがあります。こういったゲームは、各キャラクターがゲーム開始時に自動生成され、人によってまったく異なる状況でプレイできることに新鮮な楽しみを見出せるのですが、最初からキャラクター設定がしっかりしている RPG 等のゲームと比べると、人間関係の変化がやや唐突に感じられてしまうという特性があります。阿部さんは、その感覚の差について考察し、印象が変化するイベントの有無が重要であるという仮説のもとに検証を行いました。

Abe

阿部さんの発表の様子

同じく修士2年の古川真帆さんは、「ゲームAIにおける評価関数による最終目標達成保証と局所問題回避の両立の実現」という題目で発表を行いました。
ゲーム AI を実現する手法には様々なものがありますが、そのうち評価関数を用いて行動を決定する「ユーティリティベースAI」と呼ばれる種類の AI についての研究です。このユーティリティベース AI は、キャラクターに設定された目標(例えばゴールに到達するとか、敵を全滅させるなどの)に対し、うまく設計しないといつまでも達成できなくなる可能性があります。そこで、目標達成を保証する「ゴールベースAI」という手法を用いることも多いのですが、この設計も非常に困難なものであるという問題があります。古川さんは、「疑似ラプラシアン」という数学理論をこの評価関数に適用することにより、AI設計者が作成した任意の評価関数で目標達成を保証する理論を提案しています。

Furukawa_20201127000701

古川さんの発表の様子

実は阿部さんと古川さんは NICOGRAPH は 2018, 2019 とそして今回の 3 年連続で発表しています。2018 はポスター発表、2019 はショートペーパー口頭発表、そして今回はフルペーパー口頭発表ということで、1年経つごとにランクアップしていきました。2名とも着実に成長していることがこのような形で示されたことに、指導教員としてとても嬉しく思っています。現在は修士論文の執筆をするかたわらで、論文誌投稿を目指しています。

(メディア学部教授 渡辺大地)

架空論文例でみる研究論文の構造

2020年11月28日 (土) 投稿者: メディア技術コース

 高校生の皆さんや大学3年生までの皆さんは、研究論文と聞くと何か難しいだけという印象を持つかもしれません。確かにその分野の専門知識を読者が持つ前提なので普通の人には難しいです。でも、研究論文には共通する構造があり、それを知っておくと大まかな把握がしやすくなります。
 
 もちろん、この構造は将来卒業論文や修士論文を書くときに守るべきことです。ちょうど今頃は学部4年生、修士2年生は執筆の佳境に入った時期ですので参考にしてください。
 
 論文のあるべき構造には"IMRaD"という名前がついています。これはIntroduction(導入), Method(手法), Result(結果), and Discussion(議論考察)の略です。これは何百年も学術研究発表が続いてきた中で確立されたものです。
 
 自分の研究成果の価値をその分野の専門家に認めてもらうための論理構造です。少なくとも科学技術分野の論文ではこれが標準になっています。この理屈自体はそう難しいものではなく、高校生の皆さんにもわかるものだと思います。
 
 以下、架空の研究論文を想定し、一般的にどういう理屈で同業の専門家の読者を納得させるのか例示してみます。カッコ内は読者が読みながらどう思うかを書いてみました。工学系、情報系の分野全般に当てはまる想定ですが、自然科学系の実験論文でも基本的には同様です。
 
●導入(Introduction)
今この分野ではこんなことがよくあるよね。
    (ああ、流行ってるよね、たしかに)
その中でこんなことが問題だよね。
    (あれはちょっと良くないね)
いろんな人が解決しようとしてるけど、うまく行っていないことが多いよ。
    (なるほど、少し知ってはいたがいろいろやられてるんだ。まだまだなのね)
そこで、もしこんなことができれば解決するよね。
    (確かにそうだが、どうやってできるのかね)
この問題、こんな方法で解決できるよ。世の中のためになるでしょ?
    (へえ、じゃあ続きを読ませてもらおうか)

●手法(Method)
基本的なアイディアはこれよ。
    (ああなるほど、でも言うのは簡単だけどどうやるのよ)
こんな方法とこんな方法を組み合わせれば効果あるよ。
    (ほお、そういう手があったか)
理論上はこういう結果になるはずだよね。
    (まあ理屈はそうだね。実際やってみないとね)
こういうように準備すれば試せるよ。
    (うん、そういうのなら用意できるね)
この辺の難しいところは、例のああいう方法を使えばいい。
    (あ、よく使うやつね)
最後はこんなやり方でうまくできるよ。
    (確かに。自分でもやってみようかな)

●結果(Result)
実際やってみたよ。使ったのはこんな前提。
    (ああ、それなら現実によくある条件だな)
こういう風な条件だとこんな結果になったよ。
    (こんないい結果なのか、この方法)
別の例だとこんな結果になる。
    (なるほど、これは使えそうだね)
いままでいろんな人が解決しようとした結果と比べるとこんな感じ。
    (確かにいままでの研究よりもいい結果だね)

●考察(Discussion)
いま示した結果で、最初に示した問題は解決してるよね。
    (そうね、まあ、条件は限られるが)
ただ、こういう場合はうまく行かないんだ。
    (そうだろうな、けど実用的にはいいんじゃないの)
でもたいていの場面で使えるよ。世の中のためになるでしょ。
    (いいところに目をつけたな)
今後の課題や発展形はこれです。
    (その部分、自分がやってみようかな)
    
 この例では、読者はある程度は納得しているようです。本当によい研究論文だと、上記「手法」の中の「そういう手があったか」の部分のインパクトが大きくなります。
 
 またこの例では、解決すべき問題はよく知られた問題という想定です。すぐれた研究の中には、誰も着目していなかった問題を掘り出す問題発見型もあります。
 
メディア学部 柿本正憲

 

9か月ぶりのリアル学会 (NICOGRAPH 2020)

2020年11月27日 (金) 投稿者: メディア技術コース

メディア学部の大淵です。

3月に新型コロナウイルスの感染が深刻化して以来、学会もすべてオンラインでの開催でしたが、11月に少し状況が落ち着いたタイミングで、実に久しぶりのリアル学会に参加しました。11月1日から3日までの3日間、関西大学で開催されたNICOGRAPH 2020です。

Kansai_univ

リアル学会とはいえ、感染のリスクを気にしなくてよくなったわけではありませんから、いろんなところで以前とは違ったやり方になっています。詳しいことは、大会委員長の松下先生がこちらに書かれていますが、いろんなことに配慮しながら、対面での議論の良さも十分に感じることのできる、大変良い学会だったのではないかと思います。

いろんな意見があるとは思いますが、私が考えるリアル学会の最大の長所は、自分自身が「学会モード」に切り替わることです。オンライン学会だと、どうしても聴講の合間に普通の仕事をしてしまったりして、気分が学会モードになりません。しかし、現地に行って学会会場で長い時間を過ごすことにより、日常のことを忘れ、いつもなら考えないようなことが頭の中をめぐり、時には次の研究に向けての新しいアイディアが湧いてくる。これこそが学会に行くことの価値ではないかと思います。

残念ながら、今回は「みんなで食事」は諦めて、ひとり寂しく晩御飯を食べることになりました。昼間に思いついたアイディアが夜の部で更に広がることもあるので、感染を気にせずみんなで食事に行ける日が来ることを期待しています。

 

人工知能学会 言語・音声理解と対話処理研究会(SLUD)第90回研究会のご案内

2020年11月26日 (木) 投稿者: メディア技術コース

文責:榎本美香

2020年11月30日(月)・12月1日(火)の2日に渡って、人工知能学会 言語・音声理解と対話処理研究会(SLUD)第90回研究会が開催されます。
https://jsai-slud.github.io/sig-slud/90th-sig.html


人工知能学会 言語・音声理解と対話処理研究会(SLUD)は,1992年に創設されました。本学メディア学部の元学部長である飯田仁先生も、この立ち上げに深く関わっておられます。研究会では、言語・音声・対話に関する基礎研究から、音声処理・言語処理・対話処理に関するアルゴリズムやシステムの研究まで、多岐に渡る話題が扱われます。情報学だけでなく、言語学・心理学・社会学(会話分析)など,、さまざまな分野が関係し、文理を問わず多彩な研究者が参加して、活発な議論を行う場となっています。

第90回研究会は「第11回対話システムシンポジウム」となっています。これは特に人工応答する対話システムに関する研究に焦点をあてたもので、第11回目と盛況な参加者を集めているSLUDの人気シリーズです。

1日目の30日の最後のセッションでは「対話システムコンペティション」が行われます。これは複数の大学や企業がそれぞれの対話システムを持ち寄り、実際にその場で人との会話を披露することで、どのシステムが優秀かを競うものです。私は、この対話システムとの会話役を仰せつかっています。システムを困らせること無く、自然で楽しい会話ができるかドキドキです。

参加はZoomで無料ですので、ご興味のある方は是非聞きに来てください。(参加は事前登録が必要です)

事前参加登録ページ(申込締切:12/1 シンポジウム終了時まで)
https://forms.gle/LNuKP9YHyrTC3s5t9


なお、開催案内は以下です。

===============================================================
[1]日時・場所
[2]タイムテーブル
[3]プログラム
[4]招待講演のタイトルと概要
[5]懇親会
===============================================================
[1]日時・場所
---------------------------------------------------------------
日時:2020年11月30日・12月1日(月・火)
会場:オンライン開催(事前参加登録者にのみ参加情報を連絡します)

事前参加登録ページ(申込締切:12/1 シンポジウム終了時まで)
https://forms.gle/LNuKP9YHyrTC3s5t9

参加費:無料
参加資格:特にありません.人工知能学会および本研究会非会員の方でも
     参加・発表が可能です.
資料集:
[研究会登録会員・賛助会員] 通常通り冊子を郵送します
[人工知能学会学生会員]
電子版(無料)【事前参加登録ページの「資料集購入希望」より申込】締切:11月23日(月)
[上記以外]
電子版(1,500円)【通販サイト:https://jsaioffice.stores.jp/】11月24日(火)より販売開始。
シンポジウム終了後2日間は購入できます。
冊子版(2,000円)【事前参加登録ページの「資料集購入希望」より申込】締切:11月23日(月)
===============================================================
[2]タイムテーブル
---------------------------------------------------------------
〇 11月30日(月)
9:45-10:00 開会挨拶(ポスターセッション案内)
10:00-11:00 ポスター・デモセッション1
11:00-12:00 ポスター・デモセッション2
12:00-13:00 ポスター・デモセッション3
13:00-14:00 昼休憩
14:00-15:15 一般口頭発表1 (3件)
15:15-15:30 休憩
15:30-18:00 対話システム ライブコンペティション3
18:00-18:30 休憩
18:30-20:00 オンライン懇親会

〇 12月1日(火)
10:00-11:00 招待講演1(翠輝久先生)
11:00-11:50 一般口頭発表2 (2件)
11:50-12:00 休憩
12:00-12:50 一般口頭発表3 (2件)
12:50-13:50 昼休憩
13:50-14:30 国際会議報告
14:30-14:40 休憩
14:40-15:30 一般口頭発表4 (2件)
15:30-15:40 休憩
15:40-16:30 一般口頭発表5 (2件)
16:30-16:40 休憩
16:40-17:40 招待講演2(三宅陽一郎先生)
17:40-18:10 表彰・閉会
---------------------------------------------------------------
[3]プログラム
---------------------------------------------------------------

◎ 11月30日(月)9:45-18:00(懇親会は18:30-20:00)
[9:45-10:00 開会挨拶(ポスターセッション案内)]

[10:00-11:00 ポスター・デモセッション1(7件)]

1.コールセンターにおける問合せ対応時のログ情報を利用した暗黙知収集自動化の考察
〇濵村朱里 石垣泰地 土居誉生 小澤仁護 稲田徹(SCSK)

2.バーチャルキャラクターとの雑談対話を目指す 音声対話AIシステム AIKo (the AI born in Kobe) —2019年度版概要
〇瀧和男 (神戸大)

3.発話のリスク及び意図性を考慮する用例ベース雑談対話システムRisky Politeness Bot version2
〇宮本友樹 永井望 満田雄斗 磐下大樹 遠藤水紀 鈴木章弘 片上大輔(東京工芸大)

4.日本語対話機械読解データセットの構築と対話への応用可能性の検討
〇芳賀あかり 稲葉通将(電通大)

5.グラフデータベース中のエンティティの分布を活用したシステム発話候補の自動抽出
〇中島圭祐 駒谷和範(大阪大)

6.ゲート制御付きSource-Target Attention を用いた複数知識文に基づく応答文の生成
◯佐良和孝 滝口哲也 有木康雄(神戸大学)

7.対話エージェントの機能に着目した気の利いた応答を含むコーパスの収集
〇田中翔平(奈良先端) 吉野幸一郎(奈良先端,理研) 須藤克仁 中村哲(奈良先端)

[11:00-12:00 ポスター・デモセッション2(6件)]

8.AIチャットボットのためのチューニング支援システム
〇友松祐太 戸田隆道 杉山雅和(AI Shift)

9.在宅認知機能訓練のための対話ロボットシステムの開発
〇徳永清輝 田村和弘 大武美保子(理化学研)

10.深層強化学習を用いた雑談対話システム
〇寺西帝乃 荒木雅弘(京都工芸繊維大学)

11.雑談対話モデルの関連性向上のための関連語を優先した応答文生成手法の検討
〇麻生大聖 滝口哲也 有木康雄(神戸大)

12.非対話データを用いた対話形式コンテンツの自動生成
〇岩橋千穂 稲葉通将(電通大)

13.文構造に基づく質問文への曖昧性付与と質問生成
〇中野佑哉 河野誠也 (奈良先端) 吉野幸一郎(奈良先端,理研) 須藤克仁 中村哲(奈良先端)

[12:00-13:00 ポスター・デモセッション3(6件)]

14.未知語を理解可能な音声対話システム
〇小林優佳 岩田憲治 渡辺奈夕子 吉田尚水 久島務嗣 藤村浩司 (東芝)

15.ビデオ通話の動画を用いた対話システムの構築
〇福井空 稲葉通将(電通大)

16.オープンドメイン雑談対話に基づく観光地推薦
〇高橋正樹 稲葉通将(電通大)

17.言語・韻律情報の同時モデル化に基づく音声応答生成の検討
〇山崎善啓(東北大) 千葉祐弥(NTTコミュニケーション科学基礎研) 能勢隆 伊藤彰則(東北大)

18.タスク指向対話におけるニューラル句抽出を用いた End-to-End 発話生成
〇山崎天(東京大) 相澤彰子(東京大,国立情報学研)

19.タングラム命名課題を使ったメタ対話の役割と生起過程の検討
〇須藤早喜 浅野恭四郎(静岡大) 光田航(NTTメディアインテリジェンス研) 東中竜一郎(名古屋大) 竹内勇剛(静岡大)

[13:00-14:00 昼休憩]

[14:00-15:15 一般口頭発表1(3件)]
※発表時間25分(発表20分+質疑5分)

20.対話支援に向けた言語情報と画像情報の対応付けによる話者のアテンション可視化
◯本郷望実 松森匠哉 福地庸介 前川知行 今井倫太 (慶應大)

21.アンドロイドERICAの傾聴対話システムにおけるWOZとの比較評価
〇井上昂治 Divesh Lala 山本賢太 中村静 (京都大) 高梨克也 (滋賀県立大) 河原達也(京都大)

22.自動質問応答における連続発話からの類義クエリ抽出
◯戸田隆道 友松祐太 杉山雅和(AI Shift)

[15:15-15:30 休憩]

[15:30-18:00 対話システム ライブコンペティション3]

23.対話システムライブコンペティション3
〇東中竜一郎(名大) 船越孝太郎(東工大) 高橋哲朗(富士通研) 稲葉通将(電通大) 角森唯子(NTTドコモ) 赤間怜奈(東北大) 宇佐美まゆみ 川端良子(国立国語研) 水上雅博(NTT) 小室允人(千葉大) ドルサ テヨルス(東工大)

24.Transformer encoder-decoderモデルによる趣味雑談システムの構築
〇杉山弘晃 成松宏美 水上雅博 有本庸浩 千葉祐弥 目黒豊美 中嶋秀治 (NTTコミュニケーション科学基礎研)

25.ILYS aoba bot: 大規模ニューラル応答生成モデルとルールベースを統合した雑談対話システム
〇藤原吏生 岸波洋介 今野颯人 佐藤志貴 佐藤汰亮 宮脇峻平 加藤拓真(東北大) 鈴木潤 乾健太郎(東北大,理研)

26.深層強化学習を用いたシチュエーション対話向け応答選択モデル
〇佐藤真 高木友博(明治大)

27.談話研究の知見を活用した対話システム
〇白井宏美(FCL 次世代コミュニケーション研究所)

[18:00-18:30 休憩]

[18:30-20:00 オンライン懇親会]


◎ 12月1日(火) 10:00-18:10

[10:00-11:00 招待講演1]

28.翠 輝久先生(ホンダ・リサーチ・インスティチュートUSA)
「車中での状況に即した視覚と自然言語の融合研究/Situated Language and Vision Research in Moving Vehicles」

[11:00-11:50 一般口頭発表2 (2件)]

29.多様なふるまいからの好感判定に基づき発話構成要素を選択するお見合い対話システム
田中滉己 〇井上昂治 中村静(京都大) 高梨克也(滋賀県立大) 河原達也(京都大)

30.自動音声応答におけるユーザー沈黙時の発話誘導
〇西山達也 李晃伸(名工大) 戸田隆道 友松祐太 杉山雅和(AI Shift)

[12:00-12:50 一般口頭発表3 (2件)]

31.相槌の形態と頷きとの共起関係
◯森大河 伝康晴(千葉大)

32.VAEを用いた半教師あり学習による音声対話システムのためのキャラクタ表現
〇山本賢太 井上昂治 河原達也(京都大)

[12:50-13:50 昼休憩]

[13:50-14:30 国際会議報告]

SIGDIAL: 有本 庸浩(NTTコミュニケーション科学基礎研究所)
ACL: 佐藤 志貴(東北大学)
ICMI: 井上 昂治(京都大学)
INTERSPEECH: 山本 賢太(京都大学)
EMNLP: 赤間 怜奈(東北大学)

[14:30-14:40 休憩]

[14:40-15:30 一般口頭発表4 (2件)]

33.先行発話を利用したマルチモーダル応答タイミング推定
〇矢作凌大(東北大) 千葉祐弥(NTTコミュニケーション科学基礎研) 伊藤彰則(東北大)

34.Timing Generating Networks: 会話の文脈を考慮したターンテイキングのタイミング推定
◯片山颯人(早稲田大) 藤江真也(千葉工大) 佐久間仁 松山洋一 小林哲則(早稲田大)

[15:30-15:40 休憩]

[15:40-16:30 一般口頭発表5 (2件)]

35.対話者間の親密さに基づく言語・非言語的対話行動の分析
〇千葉祐弥(NTTコミュニケーション科学基礎研) 伊藤彰則(東北大)

36.マルチモーダル対話コーパスHazumi公開と生体信号を含む新規データ収集
〇駒谷和範(大阪大) 岡田将吾 堅田俊(北陸先端)

[16:30-16:40 休憩]

[16:40-17:40 招待講演2]

37.三宅陽一郎先生(スクウェア・エニックス)
「デジタルゲームにおける対話技術」

[17:40-18:10 表彰・閉会]

===============================================================
[4]招待講演のタイトルと概要
---------------------------------------------------------------
〇 翠 輝久先生(ホンダ・リサーチ・インスティチュートUSA)
タイトル:「車中での状況に即した視覚と自然言語の融合研究/Situated Language and Vision Research in Moving Vehicles」
概要:We introduce our research projects on situated interaction
in moving vehicles. The first project addresses issues in situated
language understanding in a moving car. More specifically, we propose
a reference resolution method to identify user queries about specific
target objects in their surroundings. We investigate methods of
predicting which target object is likely to be queried given a visual
scene and what kind of linguistic cues users naturally provide to
describe a given target object in a situated environment. We propose
methods to incorporate the visual saliency of the visual scene as a
prior. Crowdsourced statistics of how people describe an object are
also used as a prior. The second project aims to improve the behavior
of autonomous driving cars by augmenting training data with natural
language advice from a human. Advice includes guidance about what to
do and where to attend. We present a first step toward advice giving,
where we train an end-to-end vehicle controller that accepts advice.
The controller adapts the way it attends to the scene (visual
attention) and the control (steering and speed). Attention mechanisms
tie controller behavior to salient objects in the advice.

〇 三宅陽一郎先生(スクウェア・エニックス)
タイトル:「デジタルゲームにおける対話技術」
概要:デジタルゲームでは、主人公と登場人物たちがカットシーンと呼ばれる
キャラクターが演技をする場面や、リアルタイムかつインタラクティブに行われる戦闘などで、
キャラクターたちの対話を実現してきた。台詞はあらかじめ作られたものであり、
どのタイミングでどの台詞を発するかが、キャラクターの人工知能や、
メタAIと呼ばれるゲーム全体を制御する人工知能によって制御される。
会話のパターンは用意されているが、状況に適したパターンが選択され、
また、そのパターンがそのまま再生する場合もあれば、プレイ履歴や戦闘状況に応じて、
動的に異なる台詞が挿入される場合もある。動的な制御において用いられる主な手法は、
ルールベース、プランニング、ユーティリティベース(評価値ベース)である。
また、いわゆる会話ゲームと呼ばれるキャラクターとの対話に特化したジャンルでは、
これらを組み合わせた手法が取られる。
本講演では、ゲーム産業で培われて来た対話技術の全容について歴史的かつ俯瞰的に解説する。

===============================================================
[5]オンライン懇親会
---------------------------------------------------------------
シンポジウム初日の終了後にオンライン懇親会を開催します.
初参加の方や知り合いがいない方も多くの方と交流しやすくなるよう,Hylable ( https://www.hylable.com/remote/ )を用いたオンライン懇親会を企画します.懇親会では,参加者をランダムで数名ずつのグループに分け,グループ内で交流するということをグループを変えて2回程度行う予定です.また,各グループにはシンポジウム委員が1名以上参加します.大学や企業の研究者・開発者が交流できる貴重な機会ですので,奮ってご参加ください.
懇親会の参加方法は参加登録時の自動返信メールに記載されます.懇親会に参加希望の方は,11月30日13:00までに参加登録してください.
https://forms.gle/LNuKP9YHyrTC3s5t9

===============================================================
備考:
・情報保障等特別なサポートを希望される方はご相談ください.可能な範囲で対
 応致します.
===============================================================
【問い合わせ先】
第11回対話システムシンポジウム実行委員会
 dialog-system-sympo@googlegroups.com

 

 

 

 

 

VR演習再び…

2020年11月25日 (水) 投稿者: メディア技術コース

VRコンテンツデザインというプロジェクト演習があります。VRコンテンツということでHMD(ヘッドマウントディスプレイ)を使って行うのですが、前期は御存知のようにコロナのせいでリモート授業になってしまい、機材を利用しての演習ができませんでした。しかーし、後期になってようやくキャンパスでの演習が実施できるようになったので、この演習もHMDを利用することを再開いたしました。コンテンツ自体はUnityという環境を使って行います。Unityによるコンテンツ開発は受講している学生の多くがclusterという環境で前期でも行ったので、今度はプラットフォームが違うだけとも言えますが、やはり自分で作成したものをHMDで見ることができると、PCのディスプレイで見るのとは違った感動があるようです。また、やはり演習中に学生が互いに相談や雑談ができるのはいいですね。

 

Img_3981 Img_3744

演習の様子:密をなるべく避けるようにして…

 

この演習では単に技術的に作品を作れるようになることを目指しているのではありません。むしろ、技術的にはごく簡単な内容のみを学びます。Unityで作成した3DコンテンツをHMDにインポートする方法、それから3Dワールド内を移動する方法、そしてモノ(オブジェクト)を掴んで持ち上げたり投げたりする方法です。これだけで、ちょっとしたアイデアのコンテンツを作ることができます。この程度の簡単な内容を学んだ後、「面白い」コンテンツのアイデアを企画し、それを最終課題として作成します。

 

さて、「面白い」コンテンツの発想が学生にとっては難しいところのようです。今回は特定の動詞をテーマとして各自選択し、その言葉から作品を考えるという課題です。動詞をテーマとする、とは「彷徨う」とか「かがむ」とかの言葉を自分で選んで、それに沿った作品の企画を考えるということです。これがなかなか難しいようで、「撃つ」を選んでシューティングゲームとするようなアイデアが大半を占めてしまいました。動詞として面白くなりそうなものをまず選ぶのが「面白い」テーマを作るための第一歩だと思いますが、観察していると、作るものとしてよく知っているゲームを思いつき、そこから逆にテーマの「動詞」を決めているような人も多そうです。こうした演習だとコンテンツ開発の「技術」を学ぶと考える人が多いかもしれませんが、メディア学部としては、VRという技術を新しいプラットフォームとしたコンテンツとして、新しいアイデアを提案できるようになってほしいと思っています。したがって、ここではそうした企画の立案プロセスをこの演習で学んで欲しい大きな目標の一つとしています。高度な技術や作り込みによってよりも、アイデアの個性を追求して欲しいのです。今期も最後に各自の作成したコンテンツを皆で体験する最終発表会を行う予定でいます。面白い作品ができることを期待しています。

 

 

太田高志

 

「学習と対話研究会」研究会での講演のご案内

2020年11月24日 (火) 投稿者: メディア技術コース

文責:榎本美香

2020年11月29日に開催されます「学習と対話研究会」研究会で講演を行います。

「学習と対話研究会」は日本認知科学会の研究分科会です。分科会は以下の8つがあります。


知覚と行動モデリング(SIG- P&O)
学習と対話(SIG L&L)

教育環境のデザイン(SIG DEE)

身体、システム、文化

文学と認知・コンピュータII(SIG LCCII)

デザイン・構成・創造(SIG-DCC)

芸術と情動

間合い-時空間インタラクション(SIG Maai)
それぞれの詳しい活動内容は以下を御覧ください。
https://www.jcss.gr.jp/branch/
学会の年次大会だけだと1年に1度しか無く、議論の時間も限られています。そこで、これぞという研究テーマを掲げ、その内容に興味のある人が年に数回集まって研究会を開くというものです。
最近はよく「間合い-時空間インタラクション」に参加させていただいていましたが、今回は「学習と対話」からお誘いを受け、発表させていただきます。
今回のテーマは「オンラインにおける学習と対話」です。本校もコロナ禍の影響で前期は完全にオンライン・オンデマンド授業でした。後期も一部対面授業が再開されていますが、まだまだオンライン・オンデマンド授業 が多いですね。オンライン学習のあり方やそこで何が起こっているのかを様々な学問分野の人々が集まって議論します。
開催案内は以下です。
============
https://sites.google.com/site/jcsssiglal/home/guo-quno-yan-jiu-hui/di57hui-2020-11-29-onrainniokeru-xue-xito-dui-hua

第57回(2020/11/29)「オンラインにおける学習と対話」




日本認知科学会「学習と対話」研究分科会

第57回「オンラインにおける学習と対話」


◆開催日時:11月29日(日) 14:00~17:00

◆場所:オンライン zoom (zoomミーティングのURL等は後日お知らせいたします)

◆参加費:無料

◆趣旨

 2020年は新型コロナ感染症への対応として、全世界的にオンライン活動が推進されたように思う。2020年度の認知科学会大会もオンライン開催となり、授業のオンライン化、研究活動のオンライン化、事務作業のオンライン化などに取り組み始めた方も多いであろう。本分科会は「学習と対話」がテーマであるが、学校を始めとした多くの学習もオンラインとなり、友人や同僚、さらには家族との対話さえもオンライン化されている。この状況は、新型コロナによりやむなく、十分な準備もなく始まったことであり、様々な困難や問題を抱えながら試行錯誤しているところであろう。しかし見方を変えれば、学習や対話のオンライン化に関する実験的な実践活動を、多くの認知科学研究者が行っているという貴重な状況でもある。現在の取り組みを振り返り、実践活動と各自の学問知とを照らし合わせることで、新たな研究上の問題の発見や仮説の生成、現実の問題(困難)を解決するような手法・工夫の考案、開発が必要な技術、理論や専門知と現実とのギャップなど、様々な気付きがなされることも期待できる。

 そこで、本年度の分科会では、学習と対話に関して異なる専門領域や理論を扱っている研究者に、メディアを介した教育(オンライン授業)という共通の場面での学習と対話について自らの実践例や工夫を紹介して頂き、その実践経験を学問知へのあてはめを試みてもらいたい。これにより、オンライン授業という共通する実践を多角的に捉え、理論と実践の融合をはかる機会としたい。


◆プログラム:(司会進行:粟津俊二(実践女子大学))

14:00-14:10 趣旨説明:粟津俊二(実践女子大学)

 

14:10-15:20 Part1:オンライン学習と対面学習
話題提供1 「物的世界に根ざす共同体〈心体知〉の学習ーオンライン環境では何が失われるのかー」 榎本美香氏(東京工科大学)
話題提供2 「オンラインによる身体スキルの学習と課題点」 山田雅敏氏(常葉大学)
話題提供3 「オンライン授業でのコミュニケーションを考える: 対面コミュニケーションとの比較検討」 馬田一郎氏(株式会社KDDI総合研究所)

 

15:20-15:30 休憩および全体討議用質問収集(チャット)

 

15:30-16:40 Part2:オンライン学習の発展
話題提供4 「オンラインを通じた学習方略・学習観の支援 ー日々の指導実践から現場との実践的協同研究までー」 植阪友理氏(東京大学)
話題提供5 「講義しないオンライン授業」 寺尾敦氏(青山学院大学)
話題提供6 「協調学習ハイブリッド化計画」 白水始氏(
国立教育政策研究所/東京大学)

16:40-16:50 休憩および全体討議用質問収集(チャット)

 

16:50-17:20 全体質疑・討論
16:20-17:30 事務連絡等、閉会


◆参加申し込み方法

研究会への参加をご希望の方は、zoomのURL等をお知らせいたしますので、11/22までにご参加登録をお願いいたします。

事前参加登録のURL: https://forms.gle/DMwfxQ9rSfXbEEbX6

だっことおんぶの研究会(Academic Babywearing Conference) 講演のご案内

2020年11月23日 (月) 投稿者: メディア技術コース

文責:榎本美香

今週の土曜日に以下の学会で講演させていただきます。

https://babywearing.academy/

 

論文誌「認知科学」に掲載された以下の論文の内容をお話します。

榎本美香(2020) 物的世界と相生する身体技法の習得に関する論考:言葉の藁にすがって水をよじ登る 認知科学, 27巻, 2号 pp. 95-109

 

これを読んでくださった東京大学のだっことおんぶの研究所理事長の園田 正世 氏からお誘いを受けました。

論文は、私が水泳教室でバタフライを習得していった過程をたどり、学習のモデルをつくるという内容です。

水泳の学習が、抱っことおんぶの教授にも通じるのではないか、と感じてくださり招待していただきました。

(ただいま鋭意、発表スライド作成中です)

 

論文誌に掲載されると実にいろいろな分野の方が読んでくださって新たな出会いがありますね。

認知科学会のHPは以下です。

https://www.jcss.gr.jp/

日本認知科学会(Japanese Cognitive Science Society)は「知」の総合的な科学を構築するための学際的な研究交流の場として1983年に設立されました。心理学、人工知能、言語学、脳神経科学、哲学、社会学などさまざまな背景を持つ会員が知の総合科学を目指して、活発な研究活動を行っています。

===========

Academic Babywearing Conference 2020アカデミックベビーウェアリング カンファレンス 2020
[全体テーマ]
『だっことおんぶで「わかる」こと、「できる」こと』

[開催日程・場所]
2020年11月21日(土)13:00~16:30
オンライン会場
プログラム

講演1:
「言葉と物的世界をつなぐわたしの身体」
榎本美香 准教授
東京工科大学メディア学部

先行研究レビューと運動発達に関する基礎知識
「Tummy time(うつ伏せ時間)に関する先行研究の紹介~抱っこ法と首すわりの関連への示唆~」
後藤未来
ベビーウェアリングコンシェルジュ
理学療法士
Ph.D(リハビリテーション科学)

講演2
「人類進化から読み解く知覚-行為発達」
工藤和俊 准教授
東京大学大学院

 

[参加費・お申込み方法等]
参加費:
一般 3,000円
ベビーウェアリングコンシェルジュ専用 2,000円
お申し込み方法:
Peatix アカデミックベビーウェアリングカンファレンス2020
https://abc2020blabo.peatix.com/


※※※チケット販売中※※※

リアルタイム視聴は、先生方に直接ご質問いただけます。
参加者へは、参加記念品をお送りします。

後日、動画を配信予定です。
日本語版 およそ3カ月後、チケットご購入の方へ限定公開
英語版  翻訳でき次第、無料で配信予定

===========

* 研究者はもう少し参加費がやすくなるようです。

「演出デザイン特論」はじまります

2020年11月22日 (日) 投稿者: メディアコンテンツコース

みなさん,こんにちは.メディア学部助教の兼松です.

11月も終わりに近づきめっきり寒くなったと思いきや,ここ数日はちょっと暖かったりして,体調を崩しやすい日々が続いていますね.
いろいろな授業をやっていても,やはり11月は体調を崩す学生も多かったです.しっかりと体調を整えて,あとわずかな今年の残りの乗り切りましょう.
といいつつも,私もこの週末は体調を崩してしまいました.今年は私も序盤から橈骨神経麻痺などであまり完調とはいえない時期も多かったので気を付けたいところです.

さて,学部のみなさんにとってはあまり馴染みがないと思いますが,大学院生にとってはクォーター切り替えの時期です.
第4クォーターが始まるということで,私が担当する「演出デザイン特論」もスタートします.

演出デザイン特論は,このblogでも紹介しているような,私が学部のときから続けている研究やそれにまつわることなどを解説しつつ,既存の映像コンテンツなどを見ながらいろいろな演出,そしてそれらに深く関わるシナリオ・キャラクターについてお話しする講義です.この授業は昨年度から開講したものですが,実は私にとってまったくのゼロから授業を考えたのはこれがはじめてです.他にもプロジェクト演習などを担当していますが,基本的には私がメディア学部またはメディアサイエンス専攻の学生のころに受けていた授業がもとになっていますので,ゼロからは初めてでした.そういうこともあって昨年度はいろいろ反省点もあって,今年度は改善したバージョンをお届けしようと思っていたのですが,今年度は遠隔授業で実施ということもあり,授業構成も大きく変えることになりました.
皆さんに興味を持ってもらえるように組んだつもりですので,楽しみにしていただければと思います.

余談ですが,この演出デザイン特論の中身を考えるにあたって,私が個人的に持っている裏テーマというか野望があります.それは各回に1つずつ,戦国時代のネタをいれるということです.
このblogで書いたかどうかは忘れましたが,私は日本の戦国時代が大好きです.戦国時代といっても割と範囲が広いですが,歴史好きの中では比較的人口もおおいであろう,織田信長が活躍していたあたりですね.私がこれまで自主制作や研究の中で書いたシナリオ・プロットも時代劇がほとんどです.
ただ,純粋に戦国時代の話をするとそれだけで授業時間が埋まってしまい(信長関係の話だけで7回分の授業できる気がします),演出どこいったんだ!となってしまうので,もちろん黒澤映画などの時代劇映画の話に絡めて考えています.
ぶっちゃけていうと,私が大学院のころに受講していた本学佐々木先生の授業で「今週の黒澤」と題していろいろお話ししてくださったことのパクリでもあります(笑)

とはいえ,昨年度も言うほど毎回はネタを仕込めなかったので,今年度はなんとか野望を達成したいですが・・・ネタを仕込むのはなかなか難しいものですね.

(文責:兼松祥央)

NICOGRAPH2020で学生がポスター発表しました

2020年11月21日 (土) 投稿者: メディアコンテンツコース

みなさん,こんにちは.メディア学部助教の兼松です.

11月1日〜3日にかけて,NICOGRAPH2020が開催されました.
三上・兼松研からも学生が3名参加し,研究のポスター発表を行いました.

[鈴木柚香, 兼松祥央, 茂木龍太, 三上浩司,建築様式を考慮した神社のプロシージャル生成(ポスター発表),NICOGRAPH2020,2020.11,優秀発表賞]
[多田有宏, 兼松祥央, 茂木龍太, 三上浩司,3DCGにおける手描きアニメーション投影方法を考慮した消失点の操作法の提案(ポスター発表),NICOGRAPH2020,2020.11]
[大塚正樹, 兼松祥央, 茂木龍太, 三上 浩司,音声感情解析AIを用いた芝居における感情表現の自主稽古支援(ポスター発表),NICOGRAPH2020,2020.11]

鈴木さんの研究は,神社を構成する各種の建物を建築様式ごとに3Dモデル化し,これらを組み合わせたり,プロシージャルに変形させることで,オリジナル神社を手軽に作れるようにするものです.こちらは優秀発表賞を受賞しました.鈴木さんおめでとうございます!

多田君の研究は手描きアニメーションでよく見られる,背景などの消失点をあえてずらした描写方法を分析し,3DCGでも手軽に消失点をずらした画を作れるようにするものです.

大塚君の研究は一言で言えば,「声の演技」を練習するためのツール開発です.音声解析技術を用いて,お手本とする音声と比較しながら練習ができるように工夫しています.

発表した皆さん,お疲れ様でした!

(文責:兼松祥央)

シナリオアナリシスでよくある質問(おすすめの映画)その7

2020年11月20日 (金) 投稿者: メディアコンテンツコース

みなさん,こんにちは。メディア学部実験助手の菅野です。

今回も「プロのシナリオライターを目指すなら見ておいたほうが良い作品」を紹介します。
今回紹介するのはこの映画です。 

--

『ルパン三世 カリオストロの城(1979)』

【監督】
宮崎駿

【脚本】
宮崎駿、山崎晴哉 

【参考URL
https://movies.yahoo.co.jp/movie/146948/

【あらすじ】
偽札をつかまされたことをきっかけに、その製造元であるカリオストロ公国入りしたルパン一味。ルパンはそこで出会った、カリオストロ公国の姫クラリスから謎の指輪を託される。
偽札や指輪の謎を探るため、カリオストロの城に潜入したルパンは、苦労の末、いったんはクラリスのもとにたどり着いた。しかし、ルパンは指輪を奪い取ろうとしていたカリオストロ伯爵の罠にはまリ、撤退を余儀なくされてしまう。                    
数日後、周到な準備を整え、再びカリオストロの城に挑んだルパンは、偽札製造を明るみにして伯爵をおいつめ、クラリスと指輪を取り返した。
クラリスの一族に代々伝えられてきた言葉に従い、指輪が鍵となったからくりが作動すると、水門の崩壊とともに城を囲んでいた湖のそこから古いローマの町並みが現れた。指輪に秘められた謎の正体とはこの遺跡だったのである。

--

『ルパン三世 カリオストロの城』は、20201120日の日テレ金曜ロードSHOW!の放送で、通算TV放映回数が17回目になるとのことです。(日テレ以外での放送含む) 
もはや見たことがない人の方が少ないかもしれませんが、言い方を変えるなら「誰でも見たことのある作品」として扱われ、シナリオライター同士の話題に当然の如く出てきます。まさに「プロのシナリオライターを目指すなら見ておいたほうが良い作品」と言えるでしょう。

さて、それだけ何度も放映されてきた本作は、宮崎駿初監督作品というメモリアル的な存在であるだけでなく、シナリオの面でも内容がとてもよくまとまっています。
優れているポイントをいくつか挙げるなら、「数々の困難を乗り越え、さらわれた姫を助け出し、最後には宿敵を打ち倒す」明快なストーリー。漫画原作およびTVアニメシリーズの実績が前提としてあるものの、初めて見る者にも魅力が分かりやすく表現されたキャラクター。そして、それらを2Dアニメーションならではの誇張と省略によって描写する演出、など。

東京工科大学メディア学部で映像コンテンツ向けシナリオの研究が始まったのは、もう20年近く前のことですが、「ルパン三世 カリオストロの城」は、その最初期に分析した作品の一つで、その後も様々な形で取り上げられています。
最初は「どうしてこの作品は面白いのだろう」「なぜ何度も放映されるほど人気なのだろう」といった、単純な疑問から出発し、やがてその理由を探っていった結果、前述したような「ストーリー」と「キャラクター」そしてそれらをつなぐ「演出」の重要性に行き着くことになりました。

最後に余談ではありますが、東京工科大学の大学院には、ルパン三世の原作者であるモンキー・パンチさんが生前、社会人修士として入学しており、20年前はまだまだ紙媒体が主流だった漫画に対し、デジタル化された漫画の表現と可能性について論文をまとめ、修了していきました。
そういう意味でもルパン三世は東京工科大学と縁のある作品です。

(文責:兼松祥央)

温泉好きの人生(その2)

2020年11月19日 (木) 投稿者: メディアコンテンツコース

メディア学部の伊藤(謙)です。

前回、子供のころから温泉に親しんできたことを書いたあと、これまでどれくらい温泉を巡っているのか、ふと気になり数えてみました。

その結果は「142カ所」でした。この中には一般的な温泉地のほか、温泉が使われている銭湯(最近のスーパー銭湯も含む)、韓国・釜山の温泉地2カ所(海雲台と東莱)をカウントしています。同じところを複数回、訪れていることもありますが、あくまで「場所」で数えて142カ所です。

温泉マニアの中には、何百、何千カ所と巡っている方が数多くいるので、それにはとても及ばない数ですが、その一つ一つにいろいろな思い出が詰まっています。春夏秋冬それぞれの季節に彩られた景色だったり、気心の知れた友人との会話だったり、山上の露天風呂に浸かりながら眼下に広がる夜景をいつまでも眺めていたことなども…。

特に思い出深いのは、高校の卒業記念に一人旅で訪れた湯野上温泉(福島県)です。1987年3月30日から4月2日にかけて、3泊4日で裏磐梯、会津若松、そして湯野上温泉を巡る旅でした。東京発で会津地方に向かう場合、東北新幹線に乗って郡山で磐越西線に乗り換えるのが一般的ですが、この時は、前年開業した野岩鉄道の会津鬼怒川線に乗るべく浅草から北上し、会津高原駅(現 会津高原尾瀬口駅)で国鉄会津線に乗り換えて行きました。ちなみに、旅行中の4月1日は国鉄がJRに変わった日で、早朝、宿の前を走る会津線を見にいくと、前の日まで何も無かった車両の横に「JR」の白い文字が付いていた光景が今でも目に焼き付いています。

湯野上温泉は、大川(阿賀川)の渓谷に沿って旅館や民宿が点在する、山に囲まれた静かな温泉地です。近くには、大川の断崖が削られてできた景勝地「塔のへつり」や、江戸時代の宿場で今でも茅葺き屋根の民家が立ち並ぶ「大内宿」など人気の観光スポットがありますが、私が訪れた30年以上も前は、今ほど観光客は多くなく、自然の静けさと、その中で渾々と湧く温泉の風情を楽しみました。それと会津の郷土料理、数々の山の幸の味も忘れがたいです。

下の写真は、大川の河原にある露天風呂(右側の川沿いにチラッと見える四角いのが湯船です)【写真1】と、国鉄がJRに変わった日の会津線の列車(キハ40)【写真2】です。

 Yunokami_01      Yunokami_02
【写真1】湯野上温泉の露天風呂(1987年4月1日)   【写真2】キハ40(1987年4月1日 会津線・白岩踏切)

その後、湯野上温泉には家族を連れて旅行したり、車を手に入れてからは日帰りで立ち寄ったりしましたが、また機会があれば、ぜひ列車に揺られながらのんびりと旅したいものです。

(文責・伊藤 謙一郎)

温泉好きの人生

2020年11月18日 (水) 投稿者: メディアコンテンツコース

メディア学部の伊藤(謙)です。

以前、このブログで榊先生が「鉄道好きの人生」(その3その4)と題して、ご自身の鉄道にまつわる思い出を書いていらっしゃいました。本日これから私が書く内容は、そのブログに触発されてのものになります。

私も小さいころから鉄道が好きで、小学校の卒業文集に「将来の夢は電車(583系)の運転手」と書いたほど熱中していました。6年生のときに、家族で上野から583系の寝台特急「ゆうづる」【写真1】に乗って青森に向かい、青函連絡船に乗り継いで伯父が住んでいる札幌に行ったのは懐かしい思い出です。今から5年ほど前に学会発表で青森に行った際、会場のすぐそばの青森駅構内に停車しているのをたまたま目にし、「思い出の地で再会できるとは!」と興奮しながら写真を撮りました【写真2】。その583系も2017年4月8日のラストランですべて姿を消してしまい、寂しい限りです…。(電気機関車では「峠のシェルパ」と呼ばれたEF63、気動車ではキハ58が今でも好きです)

    583_01     583_02
  【写真1】583系「ゆうづる」(1980年8月11日 上野駅)  【写真2】583系(臨時列車)(2016年3月27日 青森駅)

鉄道とともに温泉も好きです。私が初めて温泉に入ったのは4歳のとき。家族と親戚と一緒に訪れた小涌谷温泉でした。その後、塩原温泉や鬼怒川温泉にも行ったことで温泉への興味が高まり、小学校4年生の夏休みの自由研究は「温泉の種類(成分)」について調べるまでになりました。

歳を重ねるにつれて往年の鉄道熱(鉄分)は徐々に減ってしまいましたが、温泉のほうは加熱する一方。大学時代に原付のスクーターを手に入れてから、あちこち巡るようになりました。都内の温泉(鉱泉)の銭湯をはじめ、関東近郊(特に奥多摩や秩父)の温泉地をよく巡っていました。東京から奥日光まで往復400km、原付で日帰りの温泉旅行はさすがにくたびれましたが。ちなみに、そのときの目的地は「日光山温泉寺」。そう、お寺の中に温泉が湧いているのです。とても珍しいですよね。「お寺の中でどのように温泉が湧いているんだろう?」という興味だけが、私を原付に跨がせて奥日光へと誘ったのでした。

また、今でこそあちこちにスーパー銭湯を見かけますが、その頃は昔ながらの銭湯で、特に温泉のところを好んで入っていました。東京にもいくつかありますね。特に東京湾に近いところでは黒色の湯を湛えた銭湯が多く、このお湯に入ると身体がとても温まるのです。温泉や銭湯の「開放感」も勿論ですが、お湯の成分の違いによる「色」や「香り」も、私がとても惹かれる部分です。

私たちが窺い知ることのできない地下から温かいお湯が渾々と湧き出て、それが場所によって様相がみな違うというのは不思議ではありませんか? そして古くから、その土地に湧く温泉を誰かが発見して、地域で大切に守ってきた歴史にも思いを馳せると、お湯の中に日常とは異なる別世界が広がっているように思えてなりません。私は小さいころからそうした別世界を無意識に感じ、楽しんできたのでしょう。

なお、今回の「温泉好きの人生」というタイトルは、榊先生の「鉄道好きの人生」から拝借したものですが、榊先生も塚本先生の最終講義「プログラム好きの人生」を拝借されたそうです。両先生から拝借の許諾はいただいていませんが、私の温泉に対する熱い気持ちに免じて、温泉のような温かいお心でお許しいただけるものと思っています。

(文責:伊藤 謙一郎)

授業紹介:メディア専門演習「ビジュアルコミュニケーション」

2020年11月17日 (火) 投稿者: メディアコンテンツコース

本ブログをご覧の皆様,こんにちは.

メディア学部教授 菊池 です.

本日のブログでは,私が担当している「メディア専門演習:ビジュアルコミュニケーション」(2年次後期・3年次前期)の中で,
今年度後期の受講生が制作した課題作品を紹介します.

本日紹介する作品は,「文字が主役の東京オリンピックポスター」です.

00_20201117014901

グラフィックデザインにおいて重要な要素のひとつが,「文字」です.
たとえば,Web サイトやポスターにおいてコンテンツに文字を使用する場合,タイポグラフィによって見る人へ与える印象,見え方,読みやすさなどは大きく変わってきます.どのような書体を選ぶか,どう配置するかといった基本のルールを知り,理解しておくことが重要です.

この「文字が主役の東京オリンピックポスター」では,タイポグラフィの基礎を学んだあとに課題作品として受講生が制作した作品です.

これから,受講生たちは「架空の企業の C.I. 計画」という課題にチャレンジしていきます!
作品が完成したら,またこのブログで紹介したいと思いますので,楽しみにしていてください.

文責:菊池 司




   

2020年3月に卒業された卒業研究「プロダクトデザイン」のポスター紹介 その4

2020年11月16日 (月) 投稿者: メディアコンテンツコース

まだまだコロナ禍の不安はありますが、後期から対面授業も始まっています。前期は入学したのみ大学に通うことが出来なかった1年生からはホットとした表情がうかがえます。3月に卒業なさったみなさんも健康に留意しながら感染収束まで元気に乗り切って欲しいです。

今日は、大黒谷さん、政本さん、腰塚さん、吉田さんのポスターを紹介です。今年度の卒研ポスター紹介としては最終回です。

2020_11

大黒谷さんは、ノートパソコンやスマホなどの情報機器、更に携帯型音楽プレーヤーなど、日常的に持ち歩くモノが増えているにもかかわらず、コードに関する課題が多いことを指摘しました。コードの問題を軽減させるための現行製品やアンケート調査を行った結果、コードの損傷を軽減し、収納程度と長さの調整をカスタマイズできることが望ましいことがわかりました。このことを踏まえ、机上や床にコードを置き、転がしながらコードを内部に収める機構を持つコード収納具のデザイン提案を行いました。

政本さんは、キャリーカートの初動時や凹凸面での移動の問題点を指摘しました。現行製品を調査し、音響機器などを運ぶことの多い仲間との意見交換を重ねた結果、タイヤ付近の追加部品次第で初動時の重量感を軽減させることが期待できると推測しました。このことを踏まえ、タイヤ付近の追加部品で初動時の動作を円滑化させるキャリーカートのデザイン提案を行いました。

吉田さんは、持ち歩くカードが増え続け、その収納・整理に関して不満を感じているユーザーが多いことを指摘しました。現行製品を調査した結果、着目できる工夫が施された製品もあり、アンケート調査を行い携行するカードの枚数や収納には財布か専用ケースを使うかの調査を行いました。その結果を踏まえ、財布としての機能を持ち、回転スライド機構を採用することでカードの選択・取り出しを容易にするケースのデザイン提案を行いました。

この学年のみなさんも、全員、卒研成果(ポスター)の公開を快諾してくださりました。健康に留意し、ご活躍を!

メディア学部 萩原祐志

【アンバサダープログラム⑦】ファンの声・みんなの声・SNSの発展(メディア学部 藤崎実) 

2020年11月15日 (日) 投稿者: メディア社会コース

今まで、近年、注目されている「アンバサダー・プログラム」について、お話しをしてきました。

企業が自社のファンとつながれるようになった背景にはインターネットの発展が挙げられます。
また、以前より、クチコミが重視されるようになったことも重要な背景です。

みなさんが何かと検索して情報を入手するようになったため、企業も自社のファンを大切にして、ファンの方々に情報を提供するようになったのです。

ソーシャルメディアやSNSの発展も重要な背景です。気軽に情報を発信したり、情報を共有できるSNSは、かつてはなかったものです。

20201026-144906

このブログをご覧のみなさんは、若い方が多いと思います。
ですので、生まれた時から、すでにインターネットやソーシャルメディア、SNSがあったのではないでしょうか?

例えば、私の授業でこういう質問がありました。
「先生、YouTubeができる前は、過去のCMはどうやって見ていたのですか?」

答えは、「過去のCMを見ることはできなかった」です。

リアルタイムでオンエアするCMは、時間を狙って見ることができます。
でも、過去のCMは、例えば偶然、ビデオに録画されていたり、TVの特集でオンエアされたりしなければ見ることはできませんでした。

みなさんはご存知でしょうか?YouTubeが日本に上陸したのは2006年の12月だということを。

ソーシャルメディアやSNSの発展により、自由に情報が発信できたり、共有できるようになりました。
こうした環境変化により、企業はマスマーケティングに加えて、
自社のファンと一緒に活動を行うアンバサダー・プログラムに注目するようになったのです。

(メディア学部 藤崎実)

-----------
★【今週のバックナンバー】
【アンバサダープログラム①】企業とファンがパートナーになる時代(メディア学部 藤崎実)
【アンバサダープログラム②】アンバサダー誕生はディズニーから(メディア学部 藤崎実)
【アンバサダープログラム③】レゴ・アンバサダープログラムがレゴを救ったお話し(メディア学部 藤崎実) 
【アンバサダープログラム④】企業とファンが直接つながる時代(メディア学部 藤崎実) 
【アンバサダープログラム⑤】ファンの声が説得力を持つ時代(メディア学部 藤崎実) 
【アンバサダープログラム⑥】例えば「バイオハザード アンバサダープログラム」 メディア学部 藤崎実)
【アンバサダープログラム⑦】ファンの声・みんなの声・SNSの発展(メディア学部 藤崎実) 
-----------



 

【アンバサダープログラム⑥】例えば「バイオハザード アンバサダープログラム」メディア学部 藤崎実) 

2020年11月14日 (土) 投稿者: メディア社会コース

前回に引き続き、アンバサダープログラムのお話しです。
例えば、カプコンさんは「バイオハザード アンバサダープログラム」を運営しています。

このプログラムに参加しているユーザーは、もちろん、バイオハザードのファンの方々です。

20201026-150112
(画像出所)http://www.capcom.co.jp/ambassador/re_bh/

バイオハザードシリーズは私も大ファンです。最近は忙しいのでなかなかゲームができませんが、私も若い時にはバイオハザードシリーズを、ずいぶん楽しみました。(わかる人にしかわからないお話しで恐縮ですが、1作目のケルベロスが窓を割っ襲ってくるあのシーンは最高に衝撃的でした!)。その後、続編が発売されるたびに、熱狂的に遊んだものでした…。

バイオハザードは続編が次々作られ、世界観もバージョンアップして、世界中にファンがいます。
ですので、「バイオハザード アンバサダープログラム」はグローバル展開として英語表記のページもあり、海外のファンも登録しています。

ゲーム会社にとってもファンは大切な存在です。企業とファンがつながることができる時代ですので、バイオハザードも、日本のファンだけでなく、海外のファンも大切にしているというわけです。これは本当にすごいことだと思います。

「バイオハザード アンバサダープログラム」では、アンバサダー向けて、最新の情報や映像を、一般のメディアに先駆けて公開しています。また、プロデューサーやディレクターによる開発秘話が聞けるイベントに参加できたり。
開発中のテスターを募集していたり、さまざまなシークレットイベントも開催しているようです。これらはファンにとって大変うれしい体験ではないでしょうか。

20201026-150206

(画像出所)http://www.capcom.co.jp/ambassador/re_bh/

ただし、ファンだけの特別体験は、これから発売されるゲームに関する絶対秘密の体験です。
ネタバレになってしまっては、発売後に体験する一般のユーザーのお楽しみがなくなってしまいます。
ですので、秘密の情報を知ったファンの方々には、情報公開NGという制約があるようです。

これはアンバサダーによるクチコミ効果は期待できないという反面、参加者にとっては、自分たちだけが知っている重要情報ということで、情報の価値が高まる効果が期待できると思います。

バイオハザードは、最新作、「バイオハザード ヴィレッジ」の発売が2021年に予定されています。
そこに向けて、どんな活動を行っていくのか、大変興味深いですね!

次回も、アンバサダープログラムについて、お話をすすめていきます。(メディア学部 藤崎実)

【参考】
#REBHFun
◆「バイオハザード アンバサダープログラム」

◆中谷洋氏(カプコンCS制作統括 第一制作部 UXデザイン室/当時)(アジャイルメディア・ネットワー主催「アンバサダーサミット2017」でのご講演)
「数値化は難しい、けれど…」熱量の高いファンを巻き込んだビジネスはどんな効果を生み出すのか
「バイオハザードの恐怖だけを拡散させたかった」担当者が仕掛けた“秘密の体験”による効果

-----------
★【今週のバックナンバー】
【アンバサダープログラム①】企業とファンがパートナーになる時代(メディア学部 藤崎実)
【アンバサダープログラム②】アンバサダー誕生はディズニーから(メディア学部 藤崎実)
【アンバサダープログラム③】レゴ・アンバサダープログラムがレゴを救ったお話し(メディア学部 藤崎実) 
【アンバサダープログラム④】企業とファンが直接つながる時代(メディア学部 藤崎実) 
【アンバサダープログラム⑤】ファンの声が説得力を持つ時代(メディア学部 藤崎実) 
-----------




【アンバサダープログラム⑤】ファンの声が説得力を持つ時代(メディア学部 藤崎実) 

2020年11月13日 (金) 投稿者: メディア社会コース

今回も前回に続いて、アンバサダープログラムのお話しです。

みなさんは、例えば買いたいパソコンや、見たい映画がある場合、まず、何を調べますか?

すぐに検索するのではないでしょうか?そして、誰かの評価や評判、クチコミなどを参考にすることと思います。
私自身も家電やパソコンなどを購入する際は、商品レビューを参考にします。
では、みなさんが参考にするレビューは、どんなレビューでしょうか?

私の場合、特に参考にするのは、ファンの声です。ファンのレビューは、こだわりが違います。例えばパソコンの場合、前のモデルと比べて、どこが良くなったのか、どこが改善されているのかなど、こだわりのレビューが期待できます。

見ず知らずの人のレビューが参考になるのは、考えてみれば不思議ですが、でもファンによって、ブログなどに写真入りで詳細にレビューされた記事には、説得力があります。

レストランや、観光地なども、よくそこを訪れる人のレビューや、クチコミは参考になります。
例えば、どのメニューが一番、おすすめなのか。
観光地の場合は、絶対に立ち寄った方が良い場所や、お店、お勧めの観光ルートなども参考になります。


20201026-143630
ファンであればあるほど、評価の目が厳しいという特徴も挙げられます。自分が好きな対象を本当に好きだからこそ、表面的なクチコミではない、実感に基づく本当のレビューが期待できるのです。

みなさんも、自分が好きな映画や、アニメ、ゲームについて、友だちに話をする時には、熱意が入ることと思います。
また、自分が好きな対象に対しては、厳し目のコメントをすることはありませんか? そうしたお話には熱量や説得力があるはずです。

アンバサダーは、自分が好きな商品について、クチコミを積極的に行ってくれるという特徴があります。その際、ファンならではの熱量のあるクチコミが期待できます。
また、厳し目のコメントであっても、それがリアルな指摘であれば、それはとても大切なコメントです。それらは、他の人の参考になることでしょう。

企業は、自社のファンであるアンバサダー情報発信や、説得力あるクチコミを期待しています。企業発信の言葉ではなく、ファンの声が、人の気持ちに届く時代になっているのです。

次回も、アンバサダープログラムについて、お話をすすめていきます。
(メディア学部 藤崎実)

-----------
★【今週のバックナンバー】
【アンバサダープログラム①】企業とファンがパートナーになる時代(メディア学部 藤崎実)
【アンバサダープログラム②】アンバサダー誕生はディズニーから(メディア学部 藤崎実)
【アンバサダープログラム③】レゴ・アンバサダープログラムがレゴを救ったお話し(メディア学部 藤崎実) 
【アンバサダープログラム④】企業とファンが直接つながる時代(メディア学部 藤崎実) 
【アンバサダープログラム⑤】ファンの声が説得力を持つ時代(メディア学部 藤崎実) 
-----------


【アンバサダープログラム④】企業とファンが直接つながる時代(メディア学部 藤崎実) 

2020年11月12日 (木) 投稿者: メディア社会コース

近年、なぜアンバサダー・プログラムが注目されているのでしょうか?

その理由はいくつかありますが、一番大きな理由として、企業とファンが直接、つながることができるようになったことが挙げられます。

インターネットやSNSの発展により、企業とファンが直接、つながることができるようになりました。当たり前のようですが、通信環境や、各種プラットフォームやメディア、PCや手軽に扱えるデバイスなどの環境が整う以前は、企業と個人が気軽に、日常的につながることができる手段は、郵便や電話位しかなかったのです。

Friends_man
企業とファンがつながるメリットはたくさんあります。まず、ファンにとっては、自分が好きな商品やブランドの情報が簡単に入手できることは、とてもうれしいことです。最新の情報は、ファンにとって早く知りたい情報です。

時々行われるファンミーティングに参加すれば、商品の開発者や、マーケティング担当者のお話を聞くこともできます。そうした特別な体験は、ファンにとって貴重な体験です。

企業にとっては自社の顧客であるファンとつながることで、ファンの声を直接聞くことができます。ファンからの声や、改善の要望などは貴重な意見です。自社のマーケティング活動に活かすことができます。

アンバサダー・プログラムは、企業とファンがWin-Winの関係になることができる取り組みです。ネットやメディア環境の発展により、企業とファンの距離が以前より近くなり、直接つながれる時代になったのです。

みなさんも、自分が好きな映画やゲームのプロデューサーや、制作者のお話しを聞きたいと思うのでなないでしょうか。あるいは映画やゲームの企画や制作に、いちファンとして参加したいと思うのではないでしょうか。

そういうことを可能にするのが、アンバサダープログラムです。企業もファンと一緒に行動したいと思っているのです。

次回も、アンバサダープログラムについて、お話をすすめていきます。
(メディア学部 藤崎実)

-----------
★【今週のバックナンバー】
【アンバサダープログラム①】企業とファンがパートナーになる時代(メディア学部 藤崎実)
【アンバサダープログラム②】アンバサダー誕生はディズニーから(メディア学部 藤崎実)
【アンバサダープログラム③】レゴ・アンバサダープログラムがレゴを救ったお話し(メディア学部 藤崎実) 
-----------


【アンバサダープログラム③】レゴ・アンバサダープログラムがレゴを救ったお話し(メディア学部 藤崎実) 

2020年11月11日 (水) 投稿者: メディア社会コース

デンマークの玩具会社で世界中にファンを持つLEGO社は、2003年にアンバサダー・プログラムをスタートさせました。

ではなぜLEGO社は、アンバサダー・プログラムを導入したのでしょうか。LEGO事例を知ることで、アンバサダー・プログラムの意義と可能性を確認できます。

La-logo
(画像出所)http://www.technicbricks.com/2014/09/the-lego-ambassador-program-will-become.html

LEGO
はそもそも子ども向けの玩具として開発されたため、マーケティング戦略も主な販売店であるウォルマートやトイザラスなどでの子供向けがメインでした。

実際には多くの大人のファンがLEGOには存在していましたが、売り上げが順調だったことと、子ども向けの販売活動に追われ、LEGO社は大人向けの市場には注目してこなかったのです。

一方、世界中にいる大人のLEGOファンたちは、インターネットの普及によって、かつてない規模で交流するようになっていました。レゴファンの運営するサイトが誕生したり、互いのサイトを紹介し合ったり、これまでに販売された全レゴ製品の目録を作成したりしていました。

やがて、レゴ社にピンチが訪れます。20世紀後半から、子どもたちの興味はブロックというおもちゃから、NINTENDOやプレイステーション、XBOXなどのテレビゲームや携帯音楽プレーヤーなどの、ハイテク機器に移っていったのです。

2000年代に入り、いよいよ業績が危なくなってきた時、LEGO社は、ついに大人のファンと接点を持つことにしました。
考えてみれば、大人のLEGOファンたちは収入がありますので、子どもの購入額に比べて、はるかにLEGOを買ってくれる人たちだったのです。

また、大人になってからもLEGOファンということは、それだけ熱狂的なLEGOファンというわけです。彼らはLEGOの楽しさや良さについて、積極的に人に話をしてくれる人、つまり広告塔になってくれる人たちだったのです。

LEGO社は全世界のレゴファンと連絡を取り、「レゴ アンバサダー・プログラム」を立ち上げました。

レゴ・アンバサダーたちは、LEGOの公認アンバサダーとして、自身のブログなどに公認のロゴ掲載して、積極的にLEGOの楽しさを伝えてくれる活動をしてくれるようになりました。その結果、レゴは復活を遂げ、今のような大人から子どもまで、多くの世代に愛されるブランドになったのです。

次回も、アンバサダープログラムについて、お話をすすめていきます。
(メディア学部 藤崎実)

-----------
★【今週のバックナンバー】
【アンバサダープログラム①】企業とファンがパートナーになる時代(メディア学部 藤崎実)
【アンバサダープログラム②】アンバサダー誕生はディズニーから(メディア学部 藤崎実)
-----------


【アンバサダープログラム②】アンバサダー誕生はディズニーから(メディア学部 藤崎実) 

2020年11月10日 (火) 投稿者: メディア社会コース

前回はアンバサダー・プログラムについてお話しました。今日はアンバサダーについてお話しします。
アンバサダーは、英語でambassador、大使という意味です。大使は通常、外交上の役目を果たす人を指します。

アンバサダーが注目されたのは、ディズニー・アンバサダーが最初であると言われています。

Bg_oshiro_castle
お話しは1965年にさかのぼります。当時、米国のディズニーランドは開園から10周年を迎えていました。そして、多くのアニメの成功から、ウォルト・ディズニーは忙しい日々を送っていました。

いろいろな講演の依頼がきたり、さまざまな行事に招かれたり。ディズニーランドへも、特別なゲストがやってきます。そうした時に失礼があってはいけません。彼らを迎えて、ディズニーランドを案内する必要もあります。

ただ、当たり前ですが、自分という人間はひとりしかいません。すべてをひとりで行うことは困難になっていたのです。
そこで、ウォルト・ディズニーは、キャストの中から、自分に変わってさまざまな行事に出席してくれる人を選び、活動を依頼することにしました。それがディズニー・アンバサダーの誕生のきっかけでした。

それ以降、世界中のディズニーランドで、キャストの中からアンバサダーが選ばれるようになったのです。こうしたディズニー・アンバサダーの活動と伝統はすでに50年以上も続いています。そして、アンバサダーたちはウォルト・ディズニーの代わりに、こうしている間も、世界中でディズニーの夢を届ける活動を行なっているのです。

アンバサダーは、ウォルト・ディズニーの代わりに、さまざまな活動を行う人です。したがって、ウォルト・ディズニーと同じ情熱を持ち、ディズニーに関する知識も豊富でなければなりません。多くの人に夢を届けるという活動に責任と愛情を持って関わってくれる必要があります。もちろん、選ばれるのは、もちろん大変名誉なことです。

アンバサダーが注目されている背景には、こうした背景があります。
企業は、自分たちの代わりに商品の良さを伝えてくれるファンをアンバサダー(大使)として認め、さまざまな活動を依頼するようになっているのです。

次回も、アンバサダープログラムについて、お話をすすめていきます。
(メディア学部 藤崎実)

-----------
★【今週のバックナンバー】
【アンバサダープログラム①】企業とファンがパートナーになる時代(メディア学部 藤崎実)
-----------


【アンバサダープログラム①】企業とファンがパートナーになる時代(メディア学部 藤崎実) 

2020年11月 9日 (月) 投稿者: メディア社会コース

私の研究テーマのひとつに「アンバサダー・プログラム」があります。

アンバサダー・プログラムで一般的に有名なのは、2014年に「第6回日本マーケティング大賞」を受賞した、「ネスカフェ アンバサダープログラム」でしょう。

受賞の理由に、オフィス市場の開拓と、ネスカフェのファンにアンバサダーになってもらい、アンバサダーに活躍してもらう点が挙げられています。
Dai61  

(画像出所)https://www.jma2-jp.org/award/six


このように企業が自社のファンと一緒にマーケティング活動を行う取り組みが、アンバサダー・プログラムと呼ばれています。この取り組みの画期的な点は、企業が自社のファン(お客さま)にアンバサダー(大使)になってもらい、一緒に商品やブランドのファンを広げていく点です。

マーケティングの学問では企業は生産者、お客さまは消費者と呼ばれます。でも、私たちは消費するためだけに暮らしているわけではありません。

一方、アンバサダー・プログラムの考え方では、自社の顧客は単に商品やサービスを消費する人ではなく、企業にとってパートナーなのです。企業はアンバサダーと定期的にミーティングを行います。企業はアンバサダーに最新情報を提供し、アンバサダーは企業に意見を述べたりします。

要するに企業とファンが同じ仲間として、チームを組むイメージです。これは大変素敵で、現代的な考え方だと私は思います。

誰しも自分にとってお気に入りの商品やブランドがあることでしょう。そして、その商品のファンであればあるほど、自分が好きなモノの良さを、多くの人知ってもらいたいと思うのではないでしょうか?そうしたファンの気持ちに寄り添い、取り組むマーケティング活動が、アンバサダープログラムです。

次回以降も、アンバサダープログラムについて、お話をすすめていきます。


(参考)私は「ネスカフェ アンバサダープログラム」の立役者である、津田匡保さんにインタビューさせていただいたことがあります。参考になると思いますので、是非とも記事をご覧ください。

◆「アドバタイムズ」 by宣伝会議
「人に喜んでもらうことがビジネスモデルになった(ネスカフェ アンバサダー)」

「アンバサダーとの共創がプログラムを支えている(ネスカフェアンバサダー)」

(メディア学部 藤崎実)

2年生学部長賞授賞式

2020年11月 8日 (日) 投稿者: メディア技術コース

メディア学部の寺澤です。

11月6日(金)に現2年生への『学部長賞』の授賞式を行いました。学部長賞は1年から3年までの各学年について、年度初めに授賞の基準を示し、実績によって受賞者が決まる制度です。単に総合成績で順位づけするのではなく(そちらは学長賞として存在します)、学部・学年ごとの実学教育で優れた実績を残した人を翌年度に表彰するものです。したがって、今回の受賞者は昨年1年生だった時の実績で決まっています。評価の対象となったのはフレッシャーズゼミIIという科目におけるフィールドワークの発表で、上位5グループの合計19名に授与されました。

Img_2390s

本来、もっと早い時期に表彰式を行うべきだったのですが、対面で授与できる可能性を探っているうち、前期は終わってしまい、後期に入って2年生の対面授業がある日から日時を決めました。とはいえ、新型コロナ対策として、大人数が集まるわけにはいかないので、受賞者のみに会場に来てもらい、短時間で授与を行いました。また、Zoomで参加した受賞者もいました。上の写真ではそのような受賞者に対し、一脚の先につけたWebカメラに向かて柿本学部長が表彰式を見せ読み上げています。

Img_2392s

Img_2393s

Img_2394s

対面で賞状を渡すことができた人も、今年は握手ではなく、腕タッチです。

現3年生、4年生については、3年生の卒研室配属も終わっていることから、各研究室単位で賞状の授与を行ってもらうことになりました。

今年の実績によって来年表彰するための基準もすでに示されています。来年は皆で祝う形にできることを祈っています。

(メディア学部 寺澤卓也)

アリス本の挿絵の話(本の話 #4)

2020年11月 7日 (土) 投稿者: メディア技術コース

本大学で、1年生向けにフレッシャーズゼミという講義科目があります。そこでこんどビブリオバトルをすることになっています。ビブリオバトルとはなんぞや?簡単に言ってしまえば本のオススメ大会です。バトルといくらいですから、ルール等いろいろありますが、ここでは本題ではないので割愛いたしますが、そうした企画があるのにちなんでここでも本の紹介をしようと思います。

 

ということで今回とりあげるのは Alice’s Adventures in Wonderland, 「不思議の国のアリス」なのですが、これはおそらく皆知っているものだと思いますし、いまさら紹介ということも無いですね。ただ、今回とりあげたのはその挿絵についてです。そもそものアリス本にもモノクロの挿絵があってそれもかなりいいのですが(アリスがお姉さんが読んでいる本を見て、「挿絵の無い本のどこが面白いのか…」と考えているシーンが冒頭にありますね)、このアリス本の挿絵はサルバドール・ダリが描いています。ダリはご存知でしょうか?シュールレアリスム絵画の超有名な画家ですね。不思議なモチーフを非常にリアルに描くような画風が有名で、作品を見ればすぐにおわかりになるでしょう。ダリがアリスの挿絵を描いているなんて全く知りませんでしたが、あるときダリの展覧会にいったときに展示されているのを見て本が欲しくなり探しました。

 

Img_3738 Img_3739

ダリの挿絵による「不思議の国のアリス」本

 

さて挿絵自体ですが、これらはダリのすぐに思いつく有名な作品とは違ってシャガール風?な感じ。しかも、アリスの本の中にあるからそうかなと思えますが、図だけ見て不思議の国のアリスだ!とはなかなか思いつかないかもしれない絵です。そのなかでも若干類推がつく絵を2ページほど載せます。1ページ目の図はうさぎです。うさぎすぎますよね?時計持ってなさそうですし。2ページ目はアリスが薬飲んで大きくなってしまい、家からはみだしているところと思われます。この2ページはまあ分かるのですが、後はあまりアリスなのかどうなのか…、という感じですが、いいんです。ダリが描いたアリスの挿絵が載っている本、というだけで御飯三杯はいけます。これはそういう本なのです。

 

Img_3741 Img_3740

左:うさぎ         右:家からはみだしているアリス?

 

ちなみに、今回で本の話も4回目なのですが、思い返してみると全部挿絵についてだったりマンガだったりで、本の文章の内容にふれた記事が無いですね(アリスっぽいのか…?)。まあ、そういうシリーズと考えればいいか…(「アリスのおすすめ本」というシリーズにしようかな?)。

サルバドール・ダリは巨匠なのですが、チュッパチャップスの包み紙のデザインもしていますね。

 

太田高志

 

ご当地ラーメンとして認知された「八王子ラーメン」のラーメンマップ2万部を発行

2020年11月 6日 (金) 投稿者: メディア技術コース

5年前から新しい研究テーマを始めた健康メディアデザイン研究室の千種(ちぐさ)です。人体を健康メディアとしてとらえメディアをつかって自らの健康をデザインするための研究を行っている研究室です。

私がボランタリーに関わり代表を務める「八麺会」( http://www.hachimen.org/ )では、この10月に八王子市内で「八王子ラーメン」を扱う40店舗を紹介したガイドマップを5年ぶりに改訂して2万部を発行し、市内各所にて無料配布しています。

八麺会は、まだ「八王子ラーメン」という言葉もない2003年に八王子市民を中心に当初は工科大の学生も関わってスタートしました。すぐに公式サイトの制作とラーメンマップを発行して、その後、次々とメディアにピックアップされたり、コンビニ各社が「八王子ラーメン」を発売したりして、「八王子ラーメン」のブランディングが段々と実現されてきました。

そして2010年代には、日清食品などからカップ麺や袋麺の「八王子ラーメン」を発売して全国区になってきました。そして2018年2月、ふるさと名品オブ・ザ・イヤーに三崎マグロなどとともに選出され、地域振興麺部門を受賞しました。その受賞理由は『あなたの地域の課題や魅力を、思い切ってラーメンという親しみのある形にしてみませんか?地域の魅力の詰まったラーメンは、全国にあなたの地域の魅力を伝えると共に、新しい名産品として地域経済にも貢献する可能性を秘めています。地域の課題解決、経済活性化をラーメンで実現する取り組み、アイデア、そして考えたヒトに対して表彰いたします。』とのことでした。

https://furusatomeihin.jp/nissin01.php
https://furusatomeihin.jp/index_past.php

そして「八王子ラーメン」のブランディングの成功と相まって市内外の八王子ラーメン専門店も増え、5年前のラーメンマップ掲載店も32店舗から今回は40店舗と増えました。全国の皆さんに今回のラーメンマップのスクリーンキャプチャをお届けします。

Photo_20201104110901

Photo_20201104110902

今回の発行に際して各マスメディアからも取材を受けました(オンライン版)
・読売新聞
https://www.yomiuri.co.jp/local/tokyotama/news/20201005-OYTNT50190/

・毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20201024/ddl/k13/040/010000c

・東京MXテレビ

https://s.mxtv.jp/tokyomxplus/mx/article/202011071005/detail/

 

・ショッパー
https://shopper.jp/73884/

・タウンニュース
https://www.townnews.co.jp/0305/2020/10/15/546544.html

スマホアプリは面白い(カメラ編③)

2020年11月 5日 (木) 投稿者: メディア技術コース

5年前から新しい研究テーマを始めた健康メディアデザイン研究室の千種(ちぐさ)です。人体を健康メディアとしてとらえメディアをつかって自らの健康をデザインするための研究を行っている研究室です。

すでに、スマホアプリは面白い(カメラ編①)でGoogleレンズ、スマホアプリは面白い(カメラ編②)でGoogle翻訳、を紹介しましたが、

http://blog.media.teu.ac.jp/2020/10/post-39ab1e.html

http://blog.media.teu.ac.jp/2020/11/post-cc0b8a.html

今回は、健康メディアデザインにとって関わりが深く有益なカメラアプリを紹介いたします。それは、スマートフォンのカメラを使用して、心拍数を計測するアプリです。最近は世界的な健康志向のため「スマホで健康」という潮流が年々拡大してきています。iPhoneのヘルスケアアプリやAndroidのGoogle Fitで利用できる歩数計もその一つです。

https://xtech.nikkei.com/it/pc/article/mag/20140227/1122703/

そして心拍数を計測するアプリはたくさんありますが、iPhoneではCardiio社の「心拍数計+7分間エクササイズ」という無料アプリがApp.Storeの評価も4.4と高く有名です。

https://apps.apple.com/jp/app/id542891434

AndroidではHealth & Fitness AI Lab社の心拍数測定器がシンプルで使いやすいです。

https://play.google.com/store/apps/details?id=com.bluefish.heartrate

さて、スマホカメラに指先を当てて心拍数を測定する原理はどうなっているのでしょうか?スマホのLEDライトの強い光を指先に当てると、血液中に含まれるヘモグロビンが緑色の光を吸収する特性があり、指先の血流の変化がわずかな映像の変化となって現れます。これを増幅して心拍の変化を時間波形として記録するのがこのスマホの心拍計になります。

Cardiio_20201104101801

また、Androidの心拍計では、アスリートのトレーニングには必須の運動強度という運動の強さを表す指標もわかります。

Photo_20201104100701

 

そして、さらには同じ仕組みを顔の動画に適応して心拍数を測定できるアプリもあります。やっと日本の企業の登場(旭化成、http://pacesync.com/ )です。顔の動画像から心拍数を測定できると、面接の際に緊張して心拍数が高くなったりする心の動揺を測定することができます。将来は面接官もAIになるかもしれませんね!

Pacesync_20201104100701

 

 

事前質問埋め込み授業

2020年11月 4日 (水) 投稿者: メディア技術コース

 メディア学部2年次後期の講義「CG数理の基礎」では、授業の前週に公開した資料を予習させています。事前質問がある人には、授業2日前までに提出させています。
 
 この方法だと私が前日に、授業資料に事前質問と私の回答を付記することができます。PowerPointでのコメント付記の機能を使います。そして授業中には通常の講義の中に、それらの質問と回答もなるべく説明するようにします。授業後には質問回答を付記した授業資料を改めて公開します。
 
 これにより多くの質問を引き出し、結果的に補足説明も加わります。一般に大人数の授業では、質問を促してもその場で発言してくれる人はなかなかいません。この方法だと、2~3割の学生が事前質問を提出してくれます。私としても、どの部分で受講生がつまずくかわかりますし、講義内容の改善にもつながります。もちろん、受講生の理解度も確実に向上するはずです。より高度なトピックを紹介する機会もできます。
 
 前期の遠隔授業で、チャット機能を使うことにより、大人数授業でも質問が出るようになりました。今回の方法はこれをさらに改善し、効率よく質問に答え、資料にも残せるようにしたものです。
 
 理解度向上のためのよく知られている方法として「反転授業」があります。学生は事前に授業資料を十分に予習し、当日の授業中、教師は資料の説明はしません。代わりに演習や質疑応答やディスカッションをする、という方法です。学生同士で意見を出し合い教師は交通整理をする、という場合もあります。
 
 私が上で述べた方法は、反転授業の要素(予習・双方向)を一部取り込んだものです。前日に回答を授業資料に埋め込むのは手間はかかりますが、コメント付記機能なので文章で書き込むだけで済みます。スライドのように見栄えを考える必要はありません。手間の割には効果は大きいという印象を持っています。
 
 事前質問埋め込み授業とでも呼べる方法です。わりと考え付きやすい方法であり効果もありますので、すでに何か呼び名があるかもしれません。
 
 メディア学部 柿本正憲

スマホアプリは面白い(カメラ編②)

2020年11月 3日 (火) 投稿者: メディア技術コース

5年前から新しい研究テーマを始めた健康メディアデザイン研究室の千種(ちぐさ)です。人体を健康メディアとしてとらえメディアをつかって自らの健康をデザインするための研究を行っている研究室です。

前回はGoogle レンズというカメラアプリを紹介しました。

http://blog.media.teu.ac.jp/2020/10/post-39ab1e.html

今回は同じくGoogleの翻訳アプリを紹介したいと思います。PCでサービスを利用する場合は、以下のURLから利用できます。例えば、英語の文章を入れると、日本語の翻訳文が表示されます。これだけでも便利です。

https://translate.google.co.jp/?hl=ja&pli=1

Google_20201030111501

 

スマホアプリとして、iPhone版の無料アプリは以下になります。

https://apps.apple.com/jp/app/id414706506

android版の無料アプリは以下になります。

https://play.google.com/store/apps/details?id=com.google.android.apps.translate&hl=ja&gl=US

どちらも基本機能は同じです。

ここまでの段階でPCを使用すればできるのだからそれで十分と感じている人も多いかもしれません。しかし利用シーンによってはスマホアプリ版のGoogle翻訳が活躍できるシーンがあります。それを実感したのは2018年にベトナムでの海外旅行中のことでした。

Photo_20201030111501

街中で上の写真の場所を通りかかったとき、一体何でこんなに人が集まっているのだろうと思いましたが、ベトナム語はしゃべることができないので、そこで威力を発揮したのがGoogle翻訳のカメラ機能でした。以下のように表示され、肉と卵とビーフやチキンのミートケーキなのか、とわかりました。

Photo_20201030111801

ちょっと暗所だったので画質は悪いですが、下図のように街中で見つけたベトナム人に人気のバインミー(ベトナム風サンドイッチ)を購入することができました。また別の日にはベトナム食堂で、ウエイターがタブレットを持ってきて、これのgoogle翻訳アプリを使用して、フォーを選んで注文することもできました。

Photo_20201030111502

スマートフォンの登場で本当に便利な世の中になりました。国連の会議も世界各国の委員が自国の言葉で発言すると、聞いている側(日本人)には自国語(日本語)で聞こえたり、字幕で流れたりする時代はもうすぐそこに来ています。

聖地巡礼 (スキー編)

2020年11月 2日 (月) 投稿者: メディア技術コース

メディア学部の大淵です。

先日に続いて聖地巡礼のお話です。今日の聖地は、映画「私をスキーに連れてって」に出てくる「志賀万座ルート」です。

この映画が公開された1987年は、スキーバブルの真っただ中でした。映画の中では、志賀高原スキー場にいる主人公たちが、万座温泉スキー場まで急いで行かなければならなくなります。車で行けば5時間、でもスキーで山を越えていけばもっと早く行けるということで、夜の闇の中を滑っていくのが、物語のクライマックスです。

私がこのコースを訪れたのは、1996年3月のことでした。夜行バスで志賀高原まで行ってスキーウェアに着替えると、荷物をすべてリュックに入れて背負い、そのまま山頂に向かいます。そこからスキー場の外に出て、約4キロメートル離れた万座温泉スキー場を目指します。映画では豪快なダウンヒルスキーが描かれますが、実際にはそんな急斜面は無く、ときどき登り坂を挟みながら、ゆったりとした斜面を滑っていきます。2時間程度で万座温泉スキー場の山頂に到着し、そこからはゲレンデを滑り降り、温泉に入って東京に帰りました。

天気さえ良ければ快適なツアーコースですが、それでもゲレンデ外ですので、もちろん登山届を提出し、経験者同行で行きました。この記事を読んでも、くれぐれも未経験者だけで行くことのないようご注意ください。

 

シナリオアナリシスでよくある質問(おすすめの映画)その6

2020年11月 1日 (日) 投稿者: メディアコンテンツコース

みなさん,こんにちは。メディア学部実験助手の菅野です。

今回も「プロのシナリオライターを目指すなら見ておいたほうが良い作品」を紹介します。
今回紹介するのはこの映画です。 

--

『コマンドー(1985)』

【監督】
マーク・L・レスター

【脚本】
スティーヴン・E・デ・スーザ 

【参考URL
https://movies.yahoo.co.jp/movie/8050/ 

【あらすじ】
特殊部隊で活躍し、その手腕を惜しまれつつ退役したメイトリクスは、娘とふたり、山中で林業を営みながら穏やかに暮らしていたが、ある日突然襲撃を受けて娘が誘拐されてしまった。
事件の首謀者は、かつてメイトリクスたち特殊部隊の活躍で失脚させられた独裁者アリアス。そしてなんと、メイトリクスの部下だったベネットまでが敵側についていた。
娘を人質に取られたメイトリクスは、現大統領の暗殺を強要され、アリアス一味に監視されながら任務へ向かうが、一瞬の隙を突いて脱出。なりゆきで出会った客室乗務員のシンディを、脅しに近い形で協力させて反撃に出る。
メイトリクスは、警察を振り切る強引な手段を取りつつも武装を整え、シンディに操縦させた水陸両用機でアリアスの基地がある孤島に、単身乗り込んだ。多勢による攻撃をものともせず、アリアスもろとも敵一味を打ち倒したメイトリクスだが、最後に立ちはだかったのは、娘を人質にとったベネットだった。
手の内も知られている元部下を相手に苦戦するメイトリクスだったが、たくみな挑発によって、1対1の勝負に持ち込み、見事勝利。娘を奪還して、もとの穏やかな生活へと帰っていった。

--

今回とりあげる「コマンドー」もコアなファンがたくさんいる人気作で、日中昼間の時間帯のテレビ放映にも関わらず話題になったり、迫力あるアクションシーンの映像と音を堪能したいという要望から、映画館で何度となく再上映されたりしています。

「プロのシナリオライターを目指すなら見ておいたほうが良い作品」として注目したいのは「上映時間が92分」という点です。

「コマンドー」をはじめ、アメリカの映画は90分前後の作品が多いのですが、これは映画館での上映と密接な関係があり、特に重要なポイントは観客の回転率です。映画館の主な営業時間を仮に8時間(480分)とした場合、90分の映画であれば一日に5回上映できますが、120分の映画になると4回の上映しかできない計算になります。映画1作品あたりのチケット代は90分作品でも、120分作品でも変わらないので、1本あたりの時間が短く、上映回数が増やせる方が興行収入を増やしやすい、というビジネス的な理由が、そこにはあるのです。 

シナリオライターが作品を通じて伝えたいテーマやメッセージの内容、表現したい登場人物たちの個性や魅力はたくさんあると思いますが、それらを盛り込むためになら、どれだけ上映時間を費やしてもいいというわけではありません。映画は、多額の制作費がかかるコンテンツですので、費やしたコストを回収するための計画は不可欠であり、そのためには内容をコンパクトに収める工夫も必要です。

「コマンドー」は、人によってはB級映画と評価する人もいるくらい、単純かつ明快なストーリーとアクションシーンの連続によって構成された作品ですが、92分間で「映画を楽しんだ実感と満足感」を得られる内容になっており、逆に言うなら、そのため以外、無駄なシーンがありません。

前述した「シナリオをコンパクトに収める工夫」が学べる作品と言ってもいいでしょう。

(文責:兼松祥央)

« 2020年10月 | トップページ | 2020年12月 »