コロナ禍のハイブリッド授業って何?<1. ダイバーシティとインクルーシブ教育>
2020年11月30日 (月) 投稿者: メディア社会コース
コロナ禍に大学がハイブリッド授業を行っているのをご存知でしょうか。
これが私のハイブリッド授業配信システムです。機材が好きなのは否定しませんが、少なくて済むならその方が好みです。機材が増えれば増えるほど、心配事も増えます。しかし、ハイブリッド授業を追求していたら、いつの間にかこのようなシステムになりました。
今回の私のブログウィークでは、9月から始まったハイブリッド授業についてお話します。
まず、ハイブリッド授業って何でしょう。私はこれまでの人生で、ハイブリッド授業をやる日が来るとは考えたこともありませんでした。ハイブリッドという言葉を辞書で調べると、以下のようにあります。
ハイブリッド(hybrid)とは、異種のものの組み合わせ・掛け合わせによって生み出されるモノあるいは生き物を意味する語(実用日本語表現辞典より引用)。
ハイブリッドという言葉から最初に思い浮かべるのは、プリウスのようなハイブリッドカーです。ガソリンで動くエンジンと電気モーターを組み合わせ、燃費を良くする仕組みですね。登り坂の時はエンジンで速度を保ち、平らな道では電気モーターでエコに走ります。それぞれの利点を生かして効率よく走るため、これまでの車と比べて燃費がかなり良くなることから世界中で人気があります。
残念ながら、ハイブリッド授業はこの考え方には当てはまりません。遠隔と対面のそれぞれの良いところを採用するのではなく、両方を常に同時に行わなければなりません。エンジンと電気モーターを同時につねに動かすのです。どのような仕組みで、どうやって授業を進めるのか、どこにもマニュアルやお手本はありません。
ハイブリッド授業は難しそうだから完全対面授業で良いのではないか、そんな疑問も出てきます。では、完全対面授業にした場合、どんな問題点があるのでしょう。コロナ禍においては、少し熱がある、せきや鼻水などの症状がある、PCR検査で陽性と判明したためしばらく登校できない、というケースが考えられます。「出席をしないと単位がもらえない」というルールにした場合、無理をして登校する学生が出てくるでしょう。新型コロナに感染した可能性がある場合は、遠隔授業で受講できる状態を確保しなければならないのが大学の現状です(小中高でも本来はそうあるべきかと個人的には思います)。体調の悪い学生が無理をしてキャンパスに来ないようにするためには、やはりハイブリッド授業を行うしかないのでしょう。
私は聴覚障害者をITで支援する研究を行っていますが、まさにその理念と一致します。SDGsでも掲げられているように「一人も残さない」。この考えが重要です。多様な学生がいて、それに対応する教育を行うのです。
ハイブリッド授業とは、ダイバーシティ(多様性)を受け入れ、インクルーシブ教育を行うための教育手法なのです。
このように考えを巡らせながら、9月からのハイブリッド授業に備え、研究室の大改造を行いました。今週のブログのラインナップは以下のようになります。
- ダイバーシティとインクルーシブ教育
- 教室の感染対策
- 対面と遠隔の接点
- 音のこだわり
- 背景のこだわり
- 動画共有の工夫
- システム図
コロナ禍におけるハイブリッド授業では、対面で受講する学生が安心して学べる環境作りが重要です。
明日は、「教室の感染対策」についてお話します。
メディア学部 吉岡 英樹
略歴:バークリー音楽院ミュージックシンセシス科卒業後、(有)ウーロン舎に入社しMr.ChildrenやMy Little Loverなどのレコーディングスタッフや小林武史プロデューサーのマネージャーをつとめる。退社後CM音楽の作曲家やモバイルコンテンツのサウンドクリエイターなどを経て現職。1年次科目「音楽産業入門」を担当。現在のコンテンツビジネスイノベーション研究室は2020年度にて終了し、聴覚障害支援メディア研究室として新たなスタートを切る。
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