シナリオアナリシスでよくある質問(おすすめの映画)その6
2020年11月 1日 (日) 投稿者: メディアコンテンツコース
みなさん,こんにちは。メディア学部実験助手の菅野です。
今回も「プロのシナリオライターを目指すなら見ておいたほうが良い作品」を紹介します。
今回紹介するのはこの映画です。
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『コマンドー(1985)』
【監督】
マーク・L・レスター
【脚本】
スティーヴン・E・デ・スーザ
【参考URL】
https://movies.yahoo.co.jp/movie/8050/
【あらすじ】
特殊部隊で活躍し、その手腕を惜しまれつつ退役したメイトリクスは、娘とふたり、山中で林業を営みながら穏やかに暮らしていたが、ある日突然襲撃を受けて娘が誘拐されてしまった。
事件の首謀者は、かつてメイトリクスたち特殊部隊の活躍で失脚させられた独裁者アリアス。そしてなんと、メイトリクスの部下だったベネットまでが敵側についていた。
娘を人質に取られたメイトリクスは、現大統領の暗殺を強要され、アリアス一味に監視されながら任務へ向かうが、一瞬の隙を突いて脱出。なりゆきで出会った客室乗務員のシンディを、脅しに近い形で協力させて反撃に出る。
メイトリクスは、警察を振り切る強引な手段を取りつつも武装を整え、シンディに操縦させた水陸両用機でアリアスの基地がある孤島に、単身乗り込んだ。多勢による攻撃をものともせず、アリアスもろとも敵一味を打ち倒したメイトリクスだが、最後に立ちはだかったのは、娘を人質にとったベネットだった。
手の内も知られている元部下を相手に苦戦するメイトリクスだったが、たくみな挑発によって、1対1の勝負に持ち込み、見事勝利。娘を奪還して、もとの穏やかな生活へと帰っていった。
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今回とりあげる「コマンドー」もコアなファンがたくさんいる人気作で、日中昼間の時間帯のテレビ放映にも関わらず話題になったり、迫力あるアクションシーンの映像と音を堪能したいという要望から、映画館で何度となく再上映されたりしています。
「プロのシナリオライターを目指すなら見ておいたほうが良い作品」として注目したいのは「上映時間が92分」という点です。
「コマンドー」をはじめ、アメリカの映画は90分前後の作品が多いのですが、これは映画館での上映と密接な関係があり、特に重要なポイントは観客の回転率です。映画館の主な営業時間を仮に8時間(480分)とした場合、90分の映画であれば一日に5回上映できますが、120分の映画になると4回の上映しかできない計算になります。映画1作品あたりのチケット代は90分作品でも、120分作品でも変わらないので、1本あたりの時間が短く、上映回数が増やせる方が興行収入を増やしやすい、というビジネス的な理由が、そこにはあるのです。
シナリオライターが作品を通じて伝えたいテーマやメッセージの内容、表現したい登場人物たちの個性や魅力はたくさんあると思いますが、それらを盛り込むためになら、どれだけ上映時間を費やしてもいいというわけではありません。映画は、多額の制作費がかかるコンテンツですので、費やしたコストを回収するための計画は不可欠であり、そのためには内容をコンパクトに収める工夫も必要です。
「コマンドー」は、人によってはB級映画と評価する人もいるくらい、単純かつ明快なストーリーとアクションシーンの連続によって構成された作品ですが、92分間で「映画を楽しんだ実感と満足感」を得られる内容になっており、逆に言うなら、そのため以外、無駄なシーンがありません。
前述した「シナリオをコンパクトに収める工夫」が学べる作品と言ってもいいでしょう。
(文責:兼松祥央)
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