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2020年12月

「音楽創作論」での作曲

2020年12月31日 (木) 投稿者: メディアコンテンツコース

皆さん、こんにちは! メディア学部の伊藤(謙)です。

私の担当科目「音楽創作論」(今年度は、対面と遠隔のハイブリッド開講です)では、学生から楽曲のアイデアを募集し、それをもとに私が作曲するイベント(?)を毎年行っています。昨年度の授業での作曲については、こちらのブログ記事をご覧ください。

メロディの構成に焦点を当てて、古今東西さまざまな曲を紹介しながら楽曲構成を解説する講義ですが、私が実際に創作して示すことで、講義内容の理解がさらに深まると好評(らしい)です。このイベントの重要なポイントは、私が勝手に作るのではなく、それぞれの学生が短いフレーズを作り、その後の展開も学生の意見を取り入れていることにあります。

曲の作り方はいろいろありますが、ここでは「ミクロ」(ちょっとした音の並び)から「マクロ」(音楽作品)への流れで作曲していきます。そのために、学生たちと次のようなやりとりをしてきました。

 【1】「ソ」の音から始まるフレーズを募集:学生による「部分動機」(1小節)の作成(楽譜作成ソフトMuseScoreを使用)[第8回授業]
 【2】90名から寄せられた「部分動機」の掲示と投票[第9回授業]
 【3】選ばれた「部分動機」の発表と、その「部分動機」をもとに学生による「モティーフ(動機)」(2小節)の作成[第10回授業]
 【4】93名から寄せられた「モティーフ」の掲示と投票[第11回授業]
 【5】選ばれた「モティーフ」の発表[第12回授業]


【5】のモティーフを以下に示しましょう。(※このモティーフをもとに私が作曲します)

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赤く示されている部分動機は【2】の投票で最多の8票を獲得して選ばれたE君が作ったものです 。この部分動機を作るにあたってのE君の意図は次のようなものでした。

 (1)冒頭の強拍に休符を置くことで聴き手の興味を惹きつける。
 (2)第2拍の裏に8分休符を入れて間延びを避け、軽快さを醸し出す。
 (3)第3拍に最高音(1オクターブ上の「ソ」)を長く響かせ、部分動機内でのアクセントとなるようした。


ちなみに、E君の部分動機に投票した人の投票理由は以下の通りです。

 ・リズムが独創的であり、メロディの意図も読み取れたため。
 ・8分休符と4分休符がどのような雰囲気を出せるのかその可能性を知りたくなったから。
  また、休符が絶妙な位置にあるので、動機をつくる際に色々工夫ができると考えたから。
 ・シンプルながらも洗練されたモチーフであったから。
 ・休符を多く使うという独創性を感じた。また、動機の説明部分に作者の思いを感じた。
 ・冒頭の最初に休符を持ってくることで他のものとは違う良さがあると思いました。
  また、裏拍子というのも個人的にとても好きなので惹かれた。さらにアクセントなどもあり、
  小さな動機の中にたくさんのポイントがあってとてもいいと思った。
 ・始まりの弱起以外に2種類の休符を使っていたので面白そうだと思いました。
 ・軽やかな始まりで心地よく感じたから。
 ・理由がはっきりしていてよいと思った。出だしがこんな感じなら軽やかでいいと思った。

続く第2小節の展開としては、第1小節と同じフレーズ(a)、第1小節を若干変化させたフレーズ(a´)、第1小節とは異なるフレーズ(b)の3つが考えられます。授業内でE君にインタビューしたところ、自分が作った部分動機に対してコントラストが明確なフレーズにしたいという要望があり、動機は「a+b」の形態に決まりました。曲のテンポはBPM=120で、スタイル(ジャンル)はフュージョンっぽくしてほしいとのこと。

こうしたE君の要望も踏まえて、E君が作った部分動機に続く新たな部分動機を93名が作ってモティーフを完成させました。その中から10票を得て選ばれたのが、上に掲載のT君が作成したモティーフです。T君のモティーフ作成の意図は次のようなものでした。

 (1)a(第1小節)での最小音価が16分なので、bでも16分を基調としてaの勢いをキープする。
 (2)aでは16分音符の後に休符を使うなど、音に関して余韻を残さない印象を持ったので、
    bでも休符を随所に入れて様式の統一を図る。
 (3)bは主旋律以外にも、副旋律やベースラインに使うことができるリズムとすることで、
    編曲の幅が広がるようにした。


以下、T君のモティーフを選んだ方々からのコメントです。

 ・強拍の部分に休符を入れていて、リズム感がいいと思いました。
 ・軽快で良いと思いました。
 ・休符を入れるタイミングなどもよく考えられていて編曲のことまで考えて作られていて良いと思いました。
 ・私は1小節目の終わりが休符だったため、2小節目は休符から入らないようにしたが、
  この人は休符から入っていて勇気があるなと思ったから。また、そこまで不自然には聞こえなかった。
 ・前の部分動機aを生かすように考えての動機作成になっていて、纏まりよくできてたから。
 ・このメロディ聞いてみたいと思った。
 ・aの部分動機と同様にbの部分動機の1拍目を8分休符で統一していた。
  また、休符が多く使われているが、小節の後半では16分音符が連続していて緩急が感じられた。
 ・リズミカルな動きでとてもよかったと思った。
 ・前半の飛び跳ねているような雰囲気は残しつつ、上手く異なるふうになっていると思ったため。
 ・編曲の幅を広げることを意識している点が良いと思いました。また、リズムが素敵だと思いました。


このように、作曲の出発点となるフレーズやアイデアはどれも学生が作り、学生たちが選んだものです。前掲のモティーフが作成されるまでは、私は一切関与していません。

さあ、このあとどのようなメロディが紡がれ、曲になっていくのでしょうか? このブログ記事を書いている現時点ではまだ作曲に取りかかっていませんが、冬休み中に徐々に形にしていきたいと思います。なおT君からは、自身が作った動機をAとした場合、続く第3〜4小節のモティーフの形態はA´にしてほしいという要望を受けています。つまり、小楽節(4小節)の形態は「A+A´」となるわけですね。

完成した曲は最終回の授業でお披露目(演奏)します。これについては、またブログでご報告しましょう。お楽しみに。


(文責:伊藤謙一郎)

裏切りの見せかた

2020年12月30日 (水) 投稿者: メディアコンテンツコース

みなさん,こんにちは.メディア学部助教の兼松です.

12月14日から16日までの3日間,ADADA+CUMULUS 2020という学会が開催されました.
http://adada.info/2020/

本学からも複数の研究が発表され,三上・兼松研からも4件の発表がありました.

*Work-In-Progress
[Zeyu Lyu, Yoshihisa Kanematsu and Koji Mikami. Improving the Prediction Effect of Fighting Game AI on Human Players by Cognitive Bias]
[Yuki Nakama, Yoshihisa Kanematsu and Koji Mikami. Development of a Character Design Draft Simulation System Considering Silhouettes]
[Akifumi Tanimura, Yoshihisa Kanematsu and Koji Mikami. Development of Character Design Support System Based on Character’s Dialogue Analysis]

*Technical/Art Paper
[Yoshihisa Kanematsu, Chika Koyama, Daichi Hayakawa, Ryuta Motegi, Naoya Tsuruta, Kunio Kondo. Analysis of episodes containing elements of enemy and allies reversal in movie scenarios]

上3つは大学院生が発表し,一番下のものは私が発表しました.
今回私が発表した研究は,昨年度定年退職された近藤先生の研究室で卒研生が分析などをしていたものに,私がデータや分類の整理などを追加したものです.

この研究は大きな枠組みで言えば,シナリオ・ストーリーの可視化関連の研究です.
様々な映画やアニメには,ストーリーの進展に伴って立ち位置を変化させるキャラクターがいます.
初めは味方だったのに途中で裏切って敵になってしまうキャラクターや,その逆で敵が味方になるパターンもありますね.
そして,こういった裏切り・寝返りというイベントはストーリーの重要な転機や,エンディングに至るきっかけになることも多いです.
そのため,単にある時期がきたら裏切らせれば良いということではなく,その裏切りをよりショッキングな出来事として印象付けるためにも,事前に様々なストーリー上の工夫が行われます.
視聴者には怪しい素振りをほのめかせておいて,「こいつ,実は敵なんじゃないだろうか?」とそわそわさせることもありますし,まったくそういう素振りを見せずにおいて,ここぞというときに裏切らせてびっくりさせることもあります.

そこでこの研究では,裏切りかたのパターンや裏切るまでにどういう行動をとっているのかなどを分析しています.
このblogで度々ご紹介しているデジタルスクラップブックの考え方にも近いですが,こういった「裏切りの見せかたのノウハウ」を蓄積することで,自分のキャラクター・ストーリーに適したストーリーの設計ができるようになれば良いと思っています.

(文責:兼松祥央)

CGプログラミングの定番「レイトレーシング」を実装してみた

2020年12月29日 (火) 投稿者: メディアコンテンツコース

 先端メディアゼミナールは少人数の演習形式の科目です。成績による履修制限があり、研究に近いようなプロジェクトを学生が行う科目です。
 
 私の担当テーマは「CGプログラミング」です。今期の履修生は何と一名だけです。今回はCGに興味あるプログラマーなら一度は経験してみるレイトレーシングというアルゴリズムに挑戦しました。私自身も40年近くCG関連のプログラミングを行ってきています。レイトレーシングは5回以上はプログラムを書いた経験があります。
 
 詳細のアルゴリズムは検索すればいくらでも出てきますので、興味のある人は調べてみてください。
 
 今回の履修生の目標は、1980年に初めてレイトレーシングがCG分野で研究発表された論文の結果画像をマネしてみる、というものに設定しました。
 
Whitted1980 Nogiwa2020

 左の画像は1980年のTurner Whittedの論文で紹介された画像です。右は履修生のメディア学部2年生が自分で一から書いたプログラムの出力画像です。
 
 細かいところは違っていますが、概ね似た画像を出力することができました。三次元物体の形状描画、完全鏡面反射、屈折、テクスチャ、光源処理、影計算など、これだけのCG画像に各種アルゴリズムがプログラムされています。
 
参考文献
Whitted, Turner, “An Improved Illumination Model for Shaded Display,” Communications of the ACM, Vol. 23, No. 6, pp. 96-102, 1980.

メディア学部 柿本 正憲

いつもと違う状況下での卒業研究「プロダクトデザイン」について

2020年12月28日 (月) 投稿者: メディアコンテンツコース

今年度の前期授業は開始時からリモート授業、そして後期は少人数の授業については、各学生の環境に応じて対面か遠隔かを選択できるようにして進められています。卒業研究も前期は全てリモートでしたが、卒研「プロダクトデザイン」の4年生は慣れない状況の中、着々と卒研を実施しました。

前期はデザイン提案の背景と目的、方法と結果、コンセプト立案をアイデアスケッチ開始、というスケジュールになっています。これをA1サイズのポスターで表現・発表後、夏のオープンキャンパスでは全て公開し、4年生はそのポスターの前に立ち来訪して下さる高校生や保護者の皆さんと有意義な意見交換をしています。今年度前期は対面形式でのゼミが出来す、円滑なディスカッションがやりにくい状況でしたが、今年度の4年生も全員、きちんとポスター制作まで行いました。

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後期も例年通りの卒研ゼミはできない状況が続いています。しかしながら通学可能な4年生は3Dプリンタを活用し具現物としての確認も行うなど、よく頑張っています。早く感染が収まり、落ち着いた雰囲気での授業が実施できるようになるといいですね。

メディア学部 萩原祐志

本を読むこと(7)

2020年12月27日 (日) 投稿者: メディア社会コース

この1週間、本を読むことというタイトルで、いくつかの本に(レシピの日を除いて)触れてきました。ここで書かなければ、本田桂子さんの本や丹羽家のおもてなし料理のことも忘れていたかもしれません。

 本を読むことは、多くのところで勧められます。本を読むと成績が良くなるとか賢くなるとか。例えば、ファミリーレストランなどで回りの家族が大きなこえで話をしているのにも関わらず読んでいる本は、実は楽しいだけで読んでいるのに、「ほらあそこの人が勉強しているかしずかにしなさい」などと子供が怒られているとそんなものじゃないのにとこちらが申し訳なくなるくらい面白いだけの本です。

 私は本を読むことは、教科書や専門書を除いて、直接成績には結びつくものではないものが多いように感じます。でも、意外なことに興味を持ったりすることがあり、それは時には科学ブームのようになるんだと感じています。

 このように本を読むことだけではなく,何かの話しをすることは,私の研究とも結びついています.これまで多くの学生さんがが私の研究室で一緒に研究をしてくれました.そこで気がついたのは,世間話から医療現場まで様々なコミュニケーションを知るために,本やアニメ,マンガなど様々なことを読んだり知ったりすることなのだということでした.このようなことに関心を持つ皆さんとの対話をしてみたいです.                       山崎 晶子

本を読むこと(6)

2020年12月26日 (土) 投稿者: メディア社会コース

この1週間は本を読むことについてお話しをしてきましたが、ここでは高校生の方には最も読みづらいと言う思われる本を紹介します。4日目に紹介した『丹羽家のおもてなし料理ー娘に伝える家庭の味』を書いた丹羽綾子氏と丹羽文雄という丹羽学校と言われたように多くの作家の尊敬を集めた文豪の「娘」である本田桂子氏の『父・丹羽文雄介護の日々』です。
 丹羽文雄氏は認知症となり文章を書くことが出来なくなり、華麗な家庭料理を紹介された丹羽綾子氏も認知症となってしまいました。本田桂子さんは両親の介護をして、心臓病で両親よりも早く亡くなります。本当に大変な介護の日々を読み、呆然としました。

 介護と福祉は私たちの時代の重要な問題です。極端な少子高齢化が進むこの時代に、考えずにいられないことですが、私たちは自分たちの家庭のことしかよく分かりません。本を読むことは、私たちに準備をさせるのかもしれません。

 そして、今はケアマネージャーなど法律も整備されてきました。1人でも多くの人が救われるようにとしか思うことができません。

このような社会福祉学に関することも研究の対象です.何かを読んだ分かるという体験,研究をして分かるという経験は,なにものにも代えがたいです.是非一緒に学びましょう

                 山崎 晶子

 

本を読むこと(5)

2020年12月25日 (金) 投稿者: メディア社会コース

この週は読書についてお話しをします。昨日お話したように、以前のレシピは手数もテクニックも必要であり、家の主婦がつくるものだったように思います。大学院に入った時に、指導教官が、「独身者」は前は例外的に扱われたものだったと言われました。独身だったり、働いていたりするもの向きのレシピは殆どありませんでした。また男性が料理をする際には、「男の料理」と言われました。

現在は、手数が少なく、このようにすれば早く簡単にできるという料理やレシピが多くなっています。女性の働き方の変わり方、冷凍食品などに関する感じ方の違い、そしてジェンダー(社会で捉えられている性別)の捉え方が変化して行っていることが、レシピを読んでいても分かります。このような実用書を読むことだけでも、時の流れ、社会の流れ、そして社会の今が分かることもあります。

                 山崎 晶子

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本を読むこと(4)

2020年12月24日 (木) 投稿者: メディア社会コース

この7日間は読書の話にお付き合いを願っていますが、SFもミステリーも時間があれば読みますが、専門の本や論文以外で最も読んでいる分野はレシピです。私がレシピを読み始めた頃は、こんなに材料をそろえられない、二度揚げのような複雑なことはできないし油はどうかたづけたら良いんだと、やっぱり料理は出来ないなと思っていました。現在、その頃のレシピをみると子供向けの安全なものが沢山あったのに、わざわざ本格的なレシピを読んでいたようです。

 その頃既に古かったのですが、感銘をうけて(自分で作ることなど出来なかったレシピですが)いたものは、『丹羽家のおもてなし料理ー娘に伝える手作りの味』でした。これは作家の丹羽文夫の奥様がおもてなし料理を作るというものでした。これを書いた方の背筋が通った書き方に驚き、こんなことは出来ないなと思ったことを思い出します。

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本を読むこと(3)

2020年12月23日 (水) 投稿者: メディア社会コース

高校生の皆さんには、読みにくい本だと思いますが、『椿井文書―日本最大級の偽文書 』は私が最近(これを書いているのは2020/10/01です)読んだ歴史に関する本です。この副題を読むと分かるように、偽文書について書いているのですが(神社の由来などの現代で言えば古文書を作成してしまうわけです)、椿井氏の文書の作成の過程や広がり方や使われ方は、ちょっとしたピカレスクロマン(悪漢小説)を読んでいるようです。椿井氏は悪漢というわけでは全くないのですが。

私は偽文書であるのか、同じ箇所を調べた研究のように真実のものであるかは全く判断出来ません。この本を読んですらも、分からないです。でも、古文書にかぎらずこんなことは沢山あるかもしれないと思わせられた一冊でした。

でも,このように様々なものを読みながらあたらしいものを発見する喜びも大学で学ぶ楽しみの一つなのだなと思います.

                                   山崎 晶子

本を読むこと(2)

2020年12月22日 (火) 投稿者: メディア社会コース

『時の娘』という推理小説があります。とても有名ですが、古い小説です。歴史を再捜査するというものですが、私たちが信じている歴史も現代の科学的な操作を応用して行うと違う結果になること沢山あると思います。お寺に描かれていた絵画の解釈が代わることなど往々にしてあるものです。推理小説は面白い(往々にして人が亡くなるのに面白いのは何故だろうと思うことがありますが)ですが、この『時の娘』のように、歴史のテーマに挑んだものなどテーマは様々です。ただ楽しくて読み進めていくと、イギリスの歴史を知ったりするのです。

 漫画であれ、アニメであれ、本であれ、違う世界に没頭出来るのは幸せなことですね。

                              山崎 晶子

本を読むこと(1)

2020年12月22日 (火) 投稿者: メディア社会コース

ここの7日間は、本を読むことについてお話しをしたいと思います。中国のSF小説の翻訳の続編が刊行されました。『三体』というタイトルを聞いたことがあるかたもいらっしゃるかもしれません。ここでは、本の内容について触れる事はしません。むしろ、私はこの本が発行されたことで、中国の若者に科学のブームが起こったことが面白いと思いました。

一頃、リケジョという言葉がはやりましたが、理科や科学が日本のなかでブームとなることは再びあるのでしょうか?私は自然科学には疎いですが、現在の自然科学は素晴らしい研究が並んでいます。また、日本のSFも本当に面白い作品が沢山あります。科学やSFに触れてみることは新しい世界を開きます。もしよろしければSF(サイエンスフィクション)をお勧めします。

                                             山崎 晶子

オンラインポスターセッションシステム

2020年12月20日 (日) 投稿者: メディア技術コース

助教の戀津です。
だいぶ間が空いてしまいましたが、以前書いたオンラインでのポスターセッションのお話です。

前回の記事ではポスターセッションの説明と、それをシステム化するにあたってどうするかの仕様検討をしました。
今回は前期末に行った中間発表会での実施結果と、それからのお話です。

前回、要件として次の三つを挙げていました。

  • ビデオ通話システム(ここは流石に既存サービスを利用)
  • ポスター画像を一覧できるトップページ(クリックして拡大表示・ビデオ通話システムへの接続)
  • ビデオ通話サービスへの接続をした人を記録し、「今発表者と会話している人数」の可視化

ビデオ通話システムはGoogleMeetを発表者の数だけ準備し、そちらを利用しました。
トップページではポスター一覧と、発表者と会話している人数を表示しています。
トップページのキャプチャ画像を張りますが、研究の中間発表なので内容部分はぼかしています。

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このような感じで、各ポスターのタイトルと所属、ポスター画像の表示を行いました。
各ポスターの下段に、現在発表を聞いている人数を表示しています。上段左から三つ目のポスターが「混んでいる」ことがわかりますね。
ポスターはオンラインでの発表なので横長での作成をお願いしましたが、縦長でも問題なく表示できます。

各ポスターのサムネイルをクリックすると、ポスターの拡大画面を開きます。
拡大画面ではポスターの大きな画像とMeet、Googleドライブへのリンク、コメント欄を作りました。
『Meetを開く』をクリックすると発表者のMeetに繋がり、トップページでの聴講者数が増えるようになっています。
Googleドライブへのリンクは、より詳細な資料(デモ映像やプログラム等)を配布できるようにつけてあります。

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コメント欄にコメントを残していくこともできるので、発表が混んでいて見れなかった場合に書いておいたり、発表を聞いた感想を書いたりもできます。
コメント機能についてはむしろオンライン実施ならではの利点ですね。現場で会話すると同時にメモを取るのは大変です。
発表を聞いたりコメント入力が完了したら拡大画面を閉じ、そこでトップページの聴講者数も減るようにしてあります。

このシステムを使い、中間発表ポスターセッションは完全オンラインでの実施ができました。
そしてその後、光栄なことにNICOGRAPH2020でのポスターセッションに利用していただきました
その時の運用から、ポスターへの投票システムの追加や発表者リストの作成方法など、いろいろ改善案も浮かびました。

ポスターセッションは対面で近距離で会話する性質上リスクがあり、運用が難しいこの状況は今後もしばらくは続きそうです。
学会ほか何かの集まりでポスターセッションを検討している方のために、このシステムをもう少し改善し公開できればと思います。

メディア学部2年生が研究発表

2020年12月19日 (土) 投稿者: メディア技術コース

5年前から新しい研究テーマを始めた健康メディアデザイン研究室の千種(ちぐさ)です。人体を健康メディアとしてとらえメディアをつかって自らの健康をデザインするための研究を行っている研究室です。

八王子市は京都市よりも大学の密集度合いが高い日本一の学園都市です。八王子市には25大学・高専が加盟する大学コンソーシアム八王子という産官学連携を推進する組織があり、そこでは毎年、学生の研究発表の場が設けられおり、今回で12回目、12年目になります。健康メディアデザイン研究室でも毎年、優れた研究発表を学部生や大学院生がしています。

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今年は5月からオンライン授業になっていて、研究もオンライン化になり、リアルとは大きく異なる環境下で研究を行った1年でした。これは教員にとっても学生にとっても同じで、適応力が試された1年ともいえます。またメディア学部では先端メディア学・先端メディアゼミナールという成績優秀者のみが受講できる講義科目があります。健康メディアデザイン研究室でも1名が春から健康メディア学IIを受講していました。

彼のテーマは春休み~臨時休校~オンライン授業下での生活リズムの乱れを健康テーマとして、それを改善し、学業における集中力を改善していくというものでした。この研究をまとめて、原稿を作成し、それをもとにポスターを制作し、12月5日(土)にリアルの会場にて発表しました。

「健康メディアデザインによる睡眠力と集中力の改善」という2年生の小林龍弥くんの研究発表です。感染予防下で消毒、検温、マスクなど最大限の努力をして発表者、座長、参加者が参加する異例のスタイルでしたが、通常の大学・学部では大学4年生の卒業研究発表か大学院生の研究発表である中、意欲のある学部生の2年生がしっかりとポスター発表をして、適宜、質問や意見交換をして発表を実施するというのは、他の大学では中々できないメディア学部の特徴の1つです。

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NICOGRAPH2020での研究発表:音ゲーの自動生成の続き

2020年12月18日 (金) 投稿者: メディア技術コース

メディア学部の大淵です。

NICOGRAPH 2020での発表を、もう一つ紹介させていただきます。満田将人さんの「キー音方式の音楽ゲームにおける音源分離を用いた譜面自動生成」です。

この研究は、いわゆる「音ゲー」を、楽曲だけから自動生成しようという研究で、私の研究室では以前から取り組んできています。その成果については、こちらの記事などでも紹介させていただきました。以前の発表では、「○○はだいたいできているので、××を実現するのが重要である」みたいなことを言っていたのですが、実際には○○のところも完璧とは言えず、そこをきちんと仕上げようというのが今回の研究テーマです。具体的には、「音楽をいろんなパートに分割して、ゲームデータを作りやすくすることができるか?」という問題ですね。

音響処理の分野では、最近の深層学習の発展などに伴い、高性能の音源分離ツールがいろいろと公開されるようになってきました。今回の研究では、そうしたツールを活用しつつ、独自のアルゴリズムも取り混ぜて、音ゲーに適した音楽の分離を実現しました。音ゲー自動生成の完成に向けて、また一歩前進という感じです。

Mitsuda

昨日紹介した感情認識の発表に続き、なんとこちらの発表でも優秀発表賞をいただくことができました。ひとつの学会でのダブル表彰というのは、当研究室でも初めてのことで、指導教員冥利に尽きる学会となりました。満田さんもこの9月から大学院に進学しており、音ゲー研究の更なる進化を目指しています。今後の発表にご期待ください。

NICOGRAPH2020での研究発表:気持ちのこもった検索

2020年12月17日 (木) 投稿者: メディア技術コース

メディア学部の大淵です。

先日このブログでも紹介したNICOGRAPH 2020では、私の研究室からも2件の研究発表を行いました。そのうちの一つ、大石光流さんの「パラ言語を用いたスタンプ検索システム」を紹介します。

検索画面に単語を打ち込み、何かを検索するというのは、みなさんも日々やっていることだと思います。最近は、キーボードの代わりに声で検索する人も増えてきましたが、そんな場合でも、検索の基本となるのは「何という言葉で検索したか」です。多くの場合はそれで十分なのですが、ときにはそれで不十分なことがあります。大石さんは、不十分な場合の例として、メッセージアプリのスタンプの検索ということを考えました。ある言葉で検索すると、いろんなスタンプが見つかる。でもその中には、楽しそうなもの、怒っているもの、悲しそうなものなどいろんなバリエーションがある。もしも、検索語を入力したときの話し方の雰囲気を検索結果に反映させることができれば、もっと便利になるんじゃないだろうか、というところから研究を始めたわけです。

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当研究室で以前から扱っている「感情認識」の仕組みを応用して、さっそくプロトタイプを作ってみたところ、想定通りに動くようになったので、今回の学会発表に至ったというわけです。スタンプ検索というトピックが身近だったこともあり、大勢の聴講者の方が来てくれて、幸いなことに優秀発表賞もいただくことができました。

大石さんは、この9月から大学院に進学し、このテーマをさらに発展させた研究の立ち上げを準備しているところです。次の学会発表に向けて、どんな成果が出るのか楽しみです。

ゲーム技術に関する学会発表 (2)

2020年12月16日 (水) 投稿者: メディア技術コース

メディア学部の渡辺です。みなさんこんにちは。

前回 に引き続き、NICOGRAPH2020 でポスター発表を実施した 4 件の研究を紹介します。

修士2年の山本馨加君は、「カメラ距離に応じた多重解像度の地形の生成」という題目で発表を行いました。
近年のゲームには「オープンワールドゲーム」という広大なマップ上を自由に動き回ることができるゲームが大変盛んに発表されていますが、そのようなゲームでは広大な地形を高速に効率的に表現することが求められます。今回の研究では、「テッセレーションシェーダー」と呼ばれるやや特殊なグラフィックス技術を用いて、そのような広大な地形描画を高速に行うための研究です。基本的に地形データは、細かな部分まで全てデータとして格納しておく必要があるため膨大なデータになりがちなのですが、山本君の研究では「パーリンノイズ」と「グレゴリー曲面」という2種類の理論を組み合わせて、GPU内で自動的に地形を生成することでデータ量を削減します。

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山本君の発表の様子

学部4年の栗原亨輔君は、「アイトラッキングを用いたVR空間上での照準補助手法の提案」という題目で発表を行いました。
広大なバトルフィールド内で様々な武器を駆使して戦うシューティングゲームは大変人気があります。このようなゲームでは、銃の照準を合わせる技術(ゲーム用語で「エイム」と呼ばれます)が非常に重要なのですが、ヘッドマウントディスプレイを被った VR 空間では頭の動作とカメラが同期するため、非常に難しい技術となります。栗原君は、「アイトラッキング」と呼ばれる視線追跡機能を用いて、狙ったターゲットに弾道がある程度自動追尾を行うことで、初心者にも快適なゲームプレイを実現するという手法を発表しました。実は栗原君は昨年の NICOGRAPH2019 でもこの研究の初歩的な段階を発表しており、今年はさらに発展した内容となりました。

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栗原君の発表の様子

同じく学部4年の我彦拓磨君は、「密集を避ける行動をするための群衆行動シミュレーション」という題目で発表を行いました。
今年初めより大いに感染が拡大してしまった COVID-19 (コロナウイルス) ですが、いわゆる密集した状態は感染の可能性が高くなると言われています。我彦君は、多数の人が一斉に移動する様子をシミュレーションする「群集シミュレーション」という理論に対し、いわゆる「密」な状態を避けるような行動を考慮した動作を念頭に置いた理論を提案しました。このシミュレーションを利用し、例えば駅や店で密状態を避けるための効果的な配置構成などを検討することができます。

Wabiko

我彦君の発表の様子

最後に、学部3年の吉田涼真君の研究「D*Liteを応用した新しい道ができたときの動的経路探索」を紹介します。
「経路探索」は、ゲームやカーナビなど多くの分野で応用されている技術であり、古くから研究されている領域なので理論もかなり発展しているのですが、まだまだ研究の余地が多くの残されています。実際、多くの経路探索の理論では「出発地と目的地の両方が変更となった場合、再度の経路探索には多くの処理が必要となる」という問題があります。ただ、ほとんどの応用目的ではこの「出発地と目的地の同時変更」という状況があまりないので問題にはならないのですが、ゲームにおけるキャラクターAIの追跡行動においてはまさにこのようなケースが生じることが多く、問題となります。吉田君は、このような状況において現在の有効な理論である「D*Lite」という手法に着目し、その理論でも欠点となる部分の改善方法を提案しています。

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吉田君の発表の様子

(メディア学部教授 渡辺大地)

 

ACM UIST 2020参加

2020年12月15日 (火) 投稿者: メディア技術コース

こんにちは,メディア学部の加藤です.

前回 WISSの告知をしてみましたが,真面目に記事を書くのはこれが初回です.
HCI・インタラクション関連の学会・イベントの告知の他に,
僕が進めている研究,参加した学会について紹介する記事をポストしていこうかなぁと思っています.

今回は 2020年10月21-23日に開催されたACM UIST2020について紹介します.
UISTは,User Interface Software and Technologyの略であり,HCI (ヒューマン・コンピュータインタラクション)の研究分野の中でも,
特にユーザインタフェースに関する研究を取り扱ったトップカンファレンス(分野の中で最高レベルの学会)です.
今年はアメリカのミネアポリスで開催される予定だったのですが,
COVID-19の影響で完全オンライン開催になり,僕は自宅からの参加となりました.

メインの Paper セッションには,全部で 450本の論文が投稿され,その内 97本が採択されています (採択率 21.56%..狭き門です).
オンラインでの学会は基本的に Zoom上で行われるものが多いようです.
UISTも同様の方式で,発表者とセッションチェア(座長)がそれぞれリアルタイムにZoomに接続し,
各々の自宅または職場から発表を行います.
また,UIST参加者全員が参加できる Discordが用意されており,聴講者はそこから発表者に対して質問をすることができます.

UISTの発表の中で,特に興味深かったHERMITSという研究を紹介します.
この研究は MITに所属する中垣さんが発表しました.
HERMITSは toioをベースとしたインタラクティブシステムで,
3Dプリンタを用いて作成された様々なタイプのアタッチメントモジュールにドッキングすることで
色々なインタラクションを実現しています (動画が最高なのでぜひ見ましょう).
豊富なアプリケーション例はどれも圧巻ですね〜

この研究についてもっと詳しく知りたい!という人はぜひ,論文も読んでみてください.
(当たり前ですが,全部英語です.がんばってください..w)


Ken Nakagaki , Joanne Leong, Jordan L Tappa, João Wilbert, and Hiroshi Ishii. In Proceedings of the 33rd Annual ACM Symposium on User Interface Software and Technology (UIST'20), pp.882-896, (2020). [DOI]

UIST にはPaperセッションの他,Demoセッション,Posterセッションといった発表も行われます.
これらの発表は Zoomではなく,Discordのビデオチャット形式で行われました.
僕は Posterセッションにて LightTouchという研究を発表しました.
これは Yahoo!研究所の池松さん,東京大学の川原先生との共同研究です.
(LightTouchの詳しい紹介はまた次回..)
Kaori Ikematsu, Kunihiro Kato, Yoshihiro Kawahara. LightTouch: Passive Gadgets for Extending Interactions on Capacitive Touchscreens by Automating Touch Inputs. In Proceedings of the 33rd Annual Symposium on User Interface Software and Technology (UIST'20 Adjunct).  ACM, New York, NY, USA, pp. 10–12, (2020). (Acceptance Rate: 58%)[DOI]
20201023-20144
図: Discord上での発表の様子
UISTで発表された研究のほとんどは YouTube上 [Link]でも見ることができます.
とても面白い研究がたくさんあるので,興味のある人はぜひ見てみましょう〜

WISS 2020開催

2020年12月14日 (月) 投稿者: メディア技術コース

こんにちは,メディア学部の加藤です.

12月16〜18日にかけて,インタラクティブシステムとソフトウェアに関するワークショップ (WISS2020)が開催されます.
WISSは HCI・インタラクションの分野において最もアクティブな学術会議のひとつで,
毎年 150人以上の参加者が活発に議論を行っています (ぼくは学部 3年生の頃から毎年欠かさず参加してきました..w).

そんなWISSが,今年はなんと無料で参加をすることができます!
(COVID-19の影響でオンライン開催となってしまったので,Zoomでの開催です)
メディア学部からも,査読なしセッションでの発表が 1件行われます.

Youtube Live上で配信されるので登録をしない人でも,発表を見ることができます.
HCI・インタラクションの研究分野に興味のある高校生,
学部生(特に来年から研究室配属の学生はぜひ)みなさんは,参加してみてはいかがでしょうか.
https://www.wiss.org/WISS2020/

シナリオアナリシスでよくある質問(おすすめの映画)その11

2020年12月13日 (日) 投稿者: メディアコンテンツコース

みなさん,こんにちは。メディア学部実験助手の菅野です。
今回も「プロのシナリオライターを目指すなら見ておいたほうが良い作品」を紹介します。
今回紹介するのはこの映画です。 

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『オール・ユー・ニード・イズ・キル(2014)』

【監督】

ダグ・ライマン

【脚本】

クリストファー・マッカリー

ジェズ・バターワース

ジョン=ヘンリー・バターワース

【参考URL

https://movies.yahoo.co.jp/movie/348085/

【あらすじ】

人類が宇宙から襲来した、謎の侵略者「ギタイ」によって多大な被害を被っていた近未来。

主人公のウィリアムは防衛軍の報道官として巧みに立ち回り、危険な任務を回避してきた。しかし、前線の現地取材の任務を命じられた際に保身のあまり判断を見誤り、将軍の不興を買ってしまう。安全な地位を剥奪されて危険な任務につく一般兵として戦地に送られたウィリアムは、右も左もわからず、協力者も得られないまま、敵であるギタイに惨殺された。

間違いなく死亡した自覚のあるウィリアムだったが、目を覚ますとそこは出撃直前の前線基地。ウィリアムは玉砕直前に相打ちへと持ち込んだギタイの体液を浴びたことで、死んでも出撃前の時間にタイムリープする体質になっていたのである。ウィリアムは、何度も死ぬことを繰り返すなかで、経験を蓄え、対策を練っていくことで成長していく。ウィリアムは、かつて自分と同じ力を得て活躍して防衛軍の英雄となった女性リタと、ギタイの研究者で、ウィリアムとリタの時間跳躍力を信じてくれたカーター博士の協力を得ることに成功し、ギタイのリーダー個体「オメガ・ギタイ」を倒さねば、戦いに終わりが訪れないことを知る。

ウィリアムは幾度となく死んでは生きかえり、戦い続けることに孤独を感じ、一時は自暴自棄になって諦めかけるが、それでもまた立ち上がり、最大の武器とも言える死に戻る体質を犠牲に、正確なオメガ・ギタイが潜伏する本拠地の情報を掴んだ。もはや復活の許されない状況の中、それまでの経験によって得た戦闘技術と、信頼できる仲間たちの協力をもって、オメガ・ギタイを撃破。人類を勝利へ導いたのだった。

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「オール・ユー・ニード・イズ・キル」は、日本のライトノベル「All You Need Is Kill」(桜坂 洋)を原作とした映画です。当時すでに日本では定番コンテンツとして浸透しつつあったライトノベルですが、世界的にはあまり知られていなかった状況だったため、かなりの快挙として注目を集めました。キャッチコピーとしては言い古された感もありますが「日本のライトノベルを原作に、世界的スターのトム・クルーズが主演する」というふれ込みはなかなかのインパクトです。

そんなこの映画のどこに、シナリオライターを目指す方々が注目して欲しいか、というと、それはもちろん「日本のライトノベルが原作」という部分です。

何しろこの作品”原作とストーリー展開が全く違います”。

そう書くと、なんだかチープなB級作品のように思えてしまう人もいるかもしれませんが、シナリオ自体はとても良くまとまっており、最初は小物臭ただよう身勝手な主人公が、自分の運命を受け入れて、たくましく成長し、圧倒的逆境を跳ね除けて勝利を掴む、

エンターテイメント作品として満足度の高い仕上がりです。

また、あくまでストーリー展開が違うだけで、作品根本の特徴ともいうべき「何度も死んでは生き返る」というアイディアや、そのための世界観設定などは、しっかり抑えてあります。

シナリオライターを目指す方々が、どういう動機と目標をもってシナリオライターを目指すかは、人それぞれかと思いますが、少なくともシナリオライター自身が立案した企画に基づいてシナリオを執筆する機会は殆どありません。どちらかというと、何らかの企画や原作がすでにある状態から、それにふさわしいシナリオを書くために声をかけられる機会の方が圧倒的に多いです。

そういった現実を考えた時、「オール・ユー・ニード・イズ・キル」のように、うまく原作の持ち味を活かしつつ、観客が満足して映画を見終えられるようにするか、はとても難しい技術が求められる仕事になります。場合によっては、原作のファンから恨まれることもあるでしょうし、実際そういった例に挙がる作品は数知れません。

原作ライトノベル版、映画版、どちらも大変満足度の高い作品ですので、是非両方見てみてほしいと思います。

シナリオアナリシスでよくある質問(おすすめの映画)その10

2020年12月12日 (土) 投稿者: メディアコンテンツコース

みなさん,こんにちは。メディア学部実験助手の菅野です。

今回も「プロのシナリオライターを目指すなら見ておいたほうが良い作品」を紹介します。
今回紹介するのはこの映画です。 

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『ジュラシック・パーク(1993)』 

【監督】

スティーヴン・スピルバーグ 

【脚本】

マイケル・クライトン
デヴィッド・コープ

【参考URL

https://movies.yahoo.co.jp/movie/10659/ 

【あらすじ】

生物学者のアランと古代植物学者エリーは資金援助を条件にコスタリカ沖の孤島へ視察に来るよう要請される。島に到着した彼らの目の前に現れたのは群れをなす本物の恐竜たち。アランたちはこのプロジェクトの未来に不安を感じるが、創設者ハモンドの孫である2人の子供たちと共にツアーへ出かけた。

その頃、パークの安全制御を担当するネドリーは、ライバル会社に恐竜の胚の入ったカプセルを売り渡すためカプセルを盗み出した。その影響でセキュリティ問題が発生し、アランたちの乗った車は緊急停車。恐竜を防護するフェンスの高圧電流も止まってしまった。すると、アランたちの目の前に巨大なティラノサウルスが現れ、襲いかかってきた。

辛くもアランと子供たちはフェンスを利用してティラノサウルスから逃げ、救助を得るべくヴィジター・センターへと急ぐことになった。その頃ネドリーは人知れずティロフォサウルスに襲われて命を落とし、もはや島内の安全制御は復旧不可能となる。 

アランたちはティラノサウルスの脅威にさらされながらもセンターへ到着する。しかしそこにはすでに凶暴で知能の高い小型恐竜ヴェロキラプトルに侵入されていた。アランが目を離した僅かな間に現れた2頭のヴェロキラプトルが、子供たちを追いかけ回す。その後、なんとか子供たちと合流したアランとエリーは、ヴェロキラプトルとティラノサウルスを戦わせることに成功し、一行は隙をついて島を脱出したのだった。

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『ジュラシック・パーク』は、当時まだ珍しかった「コンピューターグラフィックス」と、職人芸ともいえる「アニマトロニクス」を組み合わせ、まるで本当に恐竜が現代に蘇ったかのようなリアリティの映像を作り出したことで話題となって大ヒットし、今でも作中のツアーをモチーフにしたテーマパークのアトラクションとなって人気を博しています。

映画のジャンルを的確に言うのは定義が曖昧なこともあってなかなか難しいのですが『ジュラシック・パーク』は、窮地からの生還を目指す、いわゆる「パニックもの」ジャンルとしての特徴が強いといっていいでしょう。 

シナリオライターとして「パニックもの」のジャンルを取り扱うのは、とても難しいです。何故ならば、前述したこの作品の特徴である「コンピューターグラフィックス」と「アニマトロニクス」による表現は、シナリオ制作の段階で示すことが出来ないからです。

「ジュラシック・パーク」のヒットによる影響は大きく、その後「コンピューターグラフィックス」を映画に導入していく機会は増えましたが、投入する予算や人材によるクオリティの差は明確に現れることも、徐々に知られていくことになりました。

身も蓋もないのですが、低予算で実現不可能にも関わらず、シナリオには「ジュラシック・パークのような恐竜をCGで登場させる」などという記述がなされるような事態になっていきます。当然実現は無理なので、残念な見た目の恐竜を見せられることになります。

シナリオはやりたいことを書けばいいというわけではなく、書いた上でその記述部分が本当に必要なのか、実現可能なのかを吟味するために書くものです。「ジュラシック・パークのような恐竜をCGで登場させる」と書いたからには、相応のコストをかけることについて検討することになります。

そういったことをふまえると、継続的に、そして後半も観客を飽きさせない展開で、しかもコストのことまで考えて記述せねばならないパニックもののシナリオが、いかに難しいか、察することもできるでしょう。

シナリオライターを目指す方が、ジュラシック・パークを見る際は、登場する恐竜のタイミングに、ぜひ注目していただきたいと思います。本当に必要なシーンでしか恐竜は出てきていません。

(文責:兼松祥央)

シナリオアナリシスでよくある質問(おすすめの映画)その9

2020年12月11日 (金) 投稿者: メディアコンテンツコース

みなさん,こんにちは。メディア学部実験助手の菅野です。

今回も「プロのシナリオライターを目指すなら見ておいたほうが良い作品」を紹介します。
今回紹介するのはこの映画です。 

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『スター・ウォーズ エピソード4~新たなる希望~(1977)』

【監督】

ジョージ・ルーカス

【脚本】

ジョージ・ルーカス

【参考URL

https://movies.yahoo.co.jp/movie/11830/

 

【あらすじ】

はるか遠くの銀河で独裁政治を行う帝国によって、育ての親であった叔父と叔母を殺されてしまった青年ルークは、ルークの実の親と旧友だったオビ・ワンの助言もあって、帝国に抵抗する反乱軍に協力を決心、囚われの反乱軍リーダー・レイア姫を救出すべく旅に出た。

ルークは、凄腕だが癖のある飛行士ハン・ソロとチューバッカのコンビを仲間に迎え入れ帝国軍基地への潜入に成功してレイア姫を発見、そのまま脱出を試みる。しかし、圧倒的な力をもった敵、ダース・ベイダーによって退路を阻まれ、窮地に陥り、オビ・ワンを犠牲にして逃亡することになってしまった。

レイア姫から、帝国の惑星級巨大兵器デス・スター計画の情報を知ったルークたちは、その設計図から、弱点となる核の位置情報を割り出し、急襲作戦を決行する。宇宙戦闘機の操縦においても高い能力をもっていたダース・ベイダーと、必死の交戦を繰り広げたルークだったが、仲間たちの協力もあって辛くも任務を達成し、デス・スターの破壊に成功したのだった。

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『スター・ウォーズ』は、銀河を股にかける大型SFファンタジー作品として今もなお、続編やスピンオフ作品などが作られ、その都度大きな話題となる人気作です。TVでもジブリ作品ほどではありませんが、何度も放映されています。
『スター・ウォーズ』が映画の世界に及ぼした影響は、挙げだしたら切りがないぐらいなのですが、このブログの記事としてはやはりシナリオに関する部分です。

ファンの間では有名な話のひとつなのですが「スター・ウォーズ」の監督であり脚本家であるジョージ・ルーカスは、本作品のシナリオを制作する上で、アメリカの神話学者ジョーゼフ・キャンベルの『千の顔をもつ英雄』で提唱された神話論を取り入れて、物語を構成した、とされています。
だいぶザックリした説明になりますが、人類の歴史上における英雄の神話は、①英雄が非日常へ旅立ち、②様々な味方や敵と出会う通過儀礼を経て、③試練や課題をクリアして帰還する、という構造をもっている、という考え方で、これをスター・ウォーズに適用できる、とジョージ・ルーカスが思いついた、という話です。

 厳密には、今回紹介したエピソード4だけではなく、エピソード4・エピソード5・エピソード6の3部作に適用された構想だとされますが、そもそもエピソード4自体が成功するかどうかルーカス自身、まったく自信がなかったそうなので、とりあえずエピソード4に適用してみようと思ったことがあからさまなくらい、前述の「旅立ち」「通過儀礼」「帰還」を見て取ることができます。
人類の歴史的上に共通して語り継がれる神話の要素を適用したシナリオに基づいて制作された「スター・ウォーズ」だからこそ、世界中で幅広く受け入れられ、今日も人気の作品となっていることは、おそらく間違いありません。

シナリオ関連の授業を受講する学生さんのなかには、こういった話をすると、「お約束のストーリー展開は嫌だ」「王道すぎる物語じゃ注目されない」と反発して、奇をてらった作品を作ろうとする人もいますが、人類が積み重ねてきた歴史を背景にした作品のもつ「定石の強み」や「定番要素の安定感」の強みは、知っておいて損のない知識です。

そういう意味で「スター・ウォーズ エピソード4~新たなる希望~」は、見ておくべき作品と言えるでしょう。

(文責:兼松祥央)

「International Game Jam Project」(中国吉林動画学院とのプロジェクト)

2020年12月10日 (木) 投稿者: メディアコンテンツコース

メディア学部の三上です

本日はいわゆる「ゲームジャムイベント」について紹介させていただきます.

例年1月に開催しているGlobal Game Jamを中心に,海外の提携校とGame Jamを実施する機会は多くありました.フランスのISART DigitalとのGame Jam(東京工科大学で開催)やインドネシアのバンドン工科大学とのワークショップ(バンドンで開催),ドイツHarz大学との共同開発プロジェクト(3か月程度のオンライン開催)など,現地で実際に合って開発したり,ある程度開発期間が多くありました.

今回学生たちがチャレンジした「International Game Jam」は11月30日から12月11日の約10日間の短期間,しかもこのコロナ禍ということもありオンラインでの開催となりました.「International Game Jam」もいつもは中国吉林省で開催し,中国,韓国,シンガポール,日本などから参加者が集まり開催するプロジェクトでした.

今年は,オンラインでの開催と,慣れない中国語圏でのプロジェクトということで学生にも新しい体験が多くあります.何しろまず最初に「WeChat」のアカウントを作り,「VooV」というオンライン会議ツールを使うなど初めてのことも多く大変だったようです.

しかし,最近の翻訳ソフトなどの進化や,学生たちの適応の速さもあり,この環境を楽しんでどんどん開発勧めています.

12月11日(金)が最終発表ですので,ゲームの歓声が楽しみです.

昨年の様子がシンガポールの参加校であるNangyang Polytechnicで紹介されています.

統計の落とし穴

2020年12月 9日 (水) 投稿者: メディアコンテンツコース

最近、いろいろなニュース番組やインターネットサイトで、数値の情報を見ることが多くなりました。新型コロナウィルス関連では、感染者数、重症者数、死者数など、毎日のように報道されています。そのような数値データを解析するときによく用いられる方法として、統計があります。今日は、統計に関する面白い動画(https://www.youtube.com/watch?v=sxYrzzy3cq8)から、1つその例を紹介します。

ある年を取った親戚の手術のため2つの病院から1つの病院を選ばなければいけないとします。直近1000人の患者のうち、Aという病院は900人、Bという病院は800人が生存していたとします。どちらの病院を選びますか?

ここまでの情報だと、病院Aを選ぶ人がほとんどかと思います。では、本当に病院Aの方がよいのでしょうか?

例えば、病院に入院する時点で軽症だった場合、生存する確率は高くなりますし、入院した時点で重症であった場合は、軽症の場合よりも生存確率は下がります。先ほどの2つの病院の重症者が、病院Aが100人中30人が生存していて、病院Bが400人中210人生存していたとするとどうでしょうか?病院Aの重症者の生存確率は30/100=30%、病院Bは210/400=52.5%なので、重症者は病院Bに行った方がよくなります。軽症者も考えてみると、病院Aの生存率は870/900≒96.7%、病院Bは590/600≒98.3%となり、こちらも病院Bの方がよくなります。

どういうことでしょうか?

これは、シンプソンのパラドックスと呼ばれ、全体で見た解釈と、部分的に見た解釈が矛盾する事例を指します。
実は数学的に考えると、A/B > a/b かつ C/D > c/d であるときに、(A+C)/(B+D) > (a+c)/(b+d) が必ずしも成り立たないことから、この現象が起きることは不思議ではないことがわかります。

先ほどの例は、あくまでどちらの病院の生存率が高いかという比較をしているにすぎず、病院Bに行ったから助かったのかどうかはわかりません。このような不思議な現象が起きるのは、病院と生存率の相関関係を、その病院にいった「から」治ったという因果関係として解釈してしまっているのが原因です。

現在、たくさんの情報が報道されていますが、それらの右往左往しないためにも、どのようなデータをどのように解釈しているのかを注意深くみて、その真意を見極める力が必要です。

(文責:竹島)

来週開催!ADADA2020

2020年12月 8日 (火) 投稿者: メディアコンテンツコース

みなさん,こんにちは.メディア学部助教の兼松です.

来週12月14日から16日までの3日間,ADADA+CUMULUS 2020という学会が開催されます.
http://adada.info/2020/

昨年度はマレーシアで開催され,私や太田先生,大淵先生が参加しました.
http://blog.media.teu.ac.jp/2019/11/post-39c30b.html
http://blog.media.teu.ac.jp/2020/01/post-a97dc1.html
http://blog.media.teu.ac.jp/2019/12/post-78e016.html

今年度は昨今の状況から残念ながら海外に足を運ぶことはできず,遠隔での開催になっています.
ただ,面白い試みとして,発表者は母国語で発表しながら,英語へ自動翻訳がされる仕組みを導入したWork-in-Progressが実施されます.
この枠組みでは必ずしも完成した研究の発表だけというわけではなく,現在進行形で進んでいる研究の発表もあるということで,アートやデザイン,CG,映像など,コンテンツコースの取り組みにも関連の深い研究が多いと思います.
参加費がかかるものではありますが,おすすめです.

三上・兼松研の学生もこのWork-in-Progressでの発表を予定していますし,私自身も一般の発表でシナリオ関連の研究を発表します.

(文責:兼松祥央)

シナリオアナリシスでよくある質問(おすすめの映画)その8

2020年12月 7日 (月) 投稿者: メディアコンテンツコース

みなさん,こんにちは。メディア学部実験助手の菅野です。

今回も「プロのシナリオライターを目指すなら見ておいたほうが良い作品」を紹介します。
今回紹介するのはこの映画です。

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『シックスセンス(1999)』

 【監督】

M・ナイト・シャマラン

【脚本】

M・ナイト・シャマラン

【参考URL

https://movies.yahoo.co.jp/movie/85349/ 

【あらすじ】

小児精神科医のマルコムはかつて治療を担当した患者ヴィンセントが完治せず、マルコムに恨みすら抱いていた事実に落ち込んでいた。そんな折、かつてのヴィンセントに似た症状をもつ少年コールの治療に取り組むことになる。既にコールは数々の医師が担当しているものの、心を開くことがなかった。マルコムも当初は同じ態度を取られていたが、マルコムは熱心なケアによって、徐々に信頼されるようになっていった。

そんなある日のこと、コールが衰弱して病院に運ばれた際に、マルコムは秘密を明かされる。コールは幽霊が見える「第六感(シックスセンス)」の持ち主で、それゆえにトラブルを抱え、しかし母親すらそれを信じてくれず孤独だった。マルコムもまた最初は半信半疑だったが、ヴィンセントのことを最後まで信じて付き添えなかった反省から、決して諦めることなくコールと向き合った。やがてコールはそんなマルコムからの助言を受け入れ、幽霊と向き合っていく決意を固め、コールに助けを求めてきた少女の幽霊の願いを叶えたことで、自信を持てるようになった。

以後、コールの精神状態は安定するようになり、母親との関係も改善した。そしてそのコールから、マルコムは衝撃の事実を伝えられる。マルコム自身はもう既に死亡しており、そこにいるマルコムは、その自覚のない幽霊だったのである。ショックを受けるマルコムだったが、心残りだった案件の治療を成功したことに満足しており、成仏していくのだった。

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『シックスセンス』は、1999年の公開当時、監督のM・ナイト・シャマランと主演のブルース・ウィリスの連名で「この映画にはある秘密があります。まだ映画を見ていない人には、決して話さないで下さい」と前置きされたことが話題となり、その「秘密」を確かめようとする観客たちによって大ヒットした映画です。

このブログでは、先にあらすじを載せているので「秘密」がなんなのか、全く隠せていないことになるわけで、今まさにこのブログを読んでいる人はもちろん、M・ナイト・シャマランとブルース・ウィリスに私が怒られることは間違いありません。

しかしそれでも取り上げたのは、この記事が「プロのシナリオライターを目指すなら見ておいたほうが良い作品」を紹介するものだからです。

まだ「シックスセンス」を観たことがなかった人の中には、「ネタバレされた」とお怒りになる人もいることでしょう。しかし、それはあくまで一人の観客として楽しむ際の感覚です。
「プロのシナリオライター」として既存の作品を視聴する場合は、ネタバレがされていようがされてなかろうが関係なく、その対象作品の特徴を冷静かつ的確にとらえることが大事になります。

「シックスセンス」は、「秘密」が最後までバレないよう、巧みにシナリオが作られており、そのために「あえて見せているシーン」と「意図的に見せないようにしているシーン」があります。当時初めて見た人でも、途中で気がついた人は多かったようですが、あくまで実際の作中で秘密が明かされるまでは、答えを明かさないシナリオになっています。

そんなわけで「シックスセンス」はネタバレされていたとしても、各シーンの工夫が楽しめる作品になっています。ぜひ一度見てみてほしいと思います。そして、可能であれば、各種メディアの特典についている、監督のオーディオコメンタリー版も見てみてもらえると、監督・脚本家本人であるM・ナイト・シャマラン本人の口から工夫部分を聞くことができるので、チェックしてみてほしいです。

(文責:兼松祥央)

コロナ禍のハイブリッド授業って何?<7. システム図>

2020年12月 6日 (日) 投稿者: メディア社会コース

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ずばり、これが私のハイブリッド授業配信システムの図面です。

左半分が配信スタジオです。1台のパソコンでやろうと思えば出来なくもないのですが、負荷がかかりますし、同時に見ることが出来る画面が一つだと不便なことが多くあります。例えば、スライドを表示しながらチャットの確認をしたり、動画を再生しながら次の準備をしたりと、同時に複数の作業をすることがあります。私の後ろにあるディスプレイには、スライドやゲストの方を映したりします。配信用の映像配線系統と分ける必要があるため、少し複雑になっています。私は小さなテレビ局を運営していると考えるようにしています。

また、配信スタジオのある研究室に学生がいる時は、音声にも気を遣う必要があります。Zoomの視聴者にちょうど良い音量でも、研究室内では聞こえなかったり、逆にうるさかったりするかもしれません。そのため、ミキサーを2つ用意して、配信に影響が出ないように研究室内の音量が調整できるようにしています。これも、少し複雑ですね。

大教室には映像と音響を操作していただく職員の方がいらっしゃいますので、大変助かっています。また、SA(スチューデント・アシスタント)の学生も1名いるので、メッセージでやりとりをしながら、教室の様子を確認して授業を進行します。

自宅から受講している学生は、何か問題があったらZoomのチャットを使って知らせてもらうことにしています。こちらからも声をかけて、確認しながら進めます。そのため、Zoomのチャットは大きく表示させて、いつでも見ることができるようにしています。

下の写真が配信用PCのデスクトップです。

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スイッチャをコントロールするソフト、タイムテーブル、時計、チャット、音声入力レベルのインジケータなどが表示されています。ワンオペで配信をするのは大変ですが、慣れてくるととても楽しいですよ。

さて、ハイブリッド授業について、分かりましたでしょうか。もちろん実施方法は様々で、「ここまでやらなくてもいいのに!」と感じる方も多くいらっしゃると思います。しかし、大学教員になる前に映像や音響の仕事に関わってきた私としては、限界に挑戦したかったという思いがありました。また、これからもさらに追求していくつもりです。コロナ前の授業に比べて、大人数の授業においても学生とのやりとりが圧倒的に増え、学生の理解度や関心のある事を理解できるようになり、授業を進めやすくなりました。

対面授業は、目の前に学生がいることで伝わりやすい部分もあると思いますが、そこに"いる"ことだけで満足してしまい、理解しているように錯覚するというデメリットがあると思います。コロナが落ち着いて全てを対面授業で行うようになったとしても、今回得られた知見を生かして、さらに充実した授業を実施していきたいと思います。

最後に、カメラを通じてコミュニケーションをするには、目線が重要だと考えています。何もないと、どこを見て良いか分からなくなってしまうので、このような工夫をしました。

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メディア学部 吉岡 英樹

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略歴:バークリー音楽院ミュージックシンセシス科卒業後、(有)ウーロン舎に入社しMr.ChildrenやMy Little Loverなどのレコーディングスタッフや小林武史プロデューサーのマネージャーをつとめる。退社後CM音楽の作曲家やモバイルコンテンツのサウンドクリエイターなどを経て現職。1年次科目「音楽産業入門」を担当。現在のコンテンツビジネスイノベーション研究室は2020年度にて終了し、聴覚障害支援メディア研究室として新たなスタートを切る。


 

コロナ禍のハイブリッド授業って何?<6. オンデマンド動画の活用>

2020年12月 5日 (土) 投稿者: メディア社会コース

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これまでも授業中に動画を見せることはよくありました。ご覧のように、教室で大型モニターに動画を再生して視聴します。ハイブリッドの場合、遠隔で受講している学生に動画をどのように届けるのかがポイントになります。

Zoomでは動画を共有することが出来ますので、それで良いのではと思うかもしれませんが、動画の内容によってはカクカクと画像が止まってしまったり、音声が途切れ途切れになったりすることがあります。また、視聴している学生のネットワーク環境にも依存しているため、全員への情報保障を考慮するとZoomでの動画共有は避けたいと考えています。

そこで、私はYouTubeに本学の学生のみが視聴可能な限定公開にして、オンデマンド動画を各自で再生してもらうようにしています。

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また、字幕をつけることで、聞き間違いが防げたり、メモをとりやすくなったりします。初めて聞く専門用語は字幕があった方が理解しやすいでしょう。私は聴覚障害支援の研究をしていることから、字幕をつけることを始めましたが、聞こえる学生へのアンケートでは8割以上の学生が字幕があった方が良いと回答しました。

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大教室ではこのように授業が配信されています。オンデマンド動画も大きな画面で、大きな音で視聴出来ますので、これまでの授業と変わらず受講出来ているようです。むしろ、私がこんなに大きく映りますから、前よりも顔を覚えてもらえるようになったかもしれませんね。

明日は最後ですが、配信システム上でどのような信号の流れになっているのかまとめます。


メディア学部 吉岡 英樹

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略歴:バークリー音楽院ミュージックシンセシス科卒業後、(有)ウーロン舎に入社しMr.ChildrenやMy Little Loverなどのレコーディングスタッフや小林武史プロデューサーのマネージャーをつとめる。退社後CM音楽の作曲家やモバイルコンテンツのサウンドクリエイターなどを経て現職。1年次科目「音楽産業入門」を担当。現在のコンテンツビジネスイノベーション研究室は2020年度にて終了し、聴覚障害支援メディア研究室として新たなスタートを切る。


 

コロナ禍のハイブリッド授業って何?<5. 背景のこだわり>

2020年12月 4日 (金) 投稿者: メディア社会コース

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これは、1年次科目「音楽産業入門」を配信している様子です。音楽産業のシラバスはこちらからご覧いただけます。楽しそうな音楽の雰囲気を出してみましたが、伝わりますでしょうか。

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私の後ろには、キーボード、マイク、ヘッドフォンなど音楽を連想させるものを置いています。

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こっそり私のサックスが置いてあったのに気づきましたか?これも、ちゃんと毎回置いてるんですよ(笑

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こちらは、メディア専門演習「聴覚障害理解とコミュニケーション支援」の様子です。シラバスはこちらです。

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耳の構造や音を認知する脳についての話もすることから、模型を置いています。教室に来た学生には、これらの模型を触ってもらいます。

背景を細かくチェックする人はあまりいないでしょうが、100分の授業を視聴している学生に授業の雰囲気を直感的に伝えることは大切だと考えています。1日にいくつかの授業を受講するのであれば、頭の切り替えをする必要もあります。

明日はオンデマンド動画の活用についてお話します。

 


メディア学部 吉岡 英樹

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略歴:バークリー音楽院ミュージックシンセシス科卒業後、(有)ウーロン舎に入社しMr.ChildrenやMy Little Loverなどのレコーディングスタッフや小林武史プロデューサーのマネージャーをつとめる。退社後CM音楽の作曲家やモバイルコンテンツのサウンドクリエイターなどを経て現職。1年次科目「音楽産業入門」を担当。現在のコンテンツビジネスイノベーション研究室は2020年度にて終了し、聴覚障害支援メディア研究室として新たなスタートを切る。


 

コロナ禍のハイブリッド授業って何?<4. マイクのこだわり>

2020年12月 3日 (木) 投稿者: メディア社会コース

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Zoom配信ではマイクがとても重要です。

上の写真はBlue Microphones(ブルー マイクロフォン)というメーカーの「Yeti USB コンデンサー マイク Midnight Blue(イエティ ミッドナイト ブルー)」というマイクです。USBでパソコンにつなぐだけで、Zoomのマイクとして使用できます。前期の遠隔授業ではこのマイクが大活躍しました。しかし、このようなコンデンサーマイクは音をよく拾ってくれるため、自宅のような静かな場所に適しています。

後期は、大学からハイブリッド授業を行うため、いろいろなマイクを試しました。

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これは、888M(スリー・エイト・エム)というメーカーの「マランツプロ コンデンサーマイクロホン」です。声を録音するのに向いているマイクなのですが、先ほどのマイクと同じで音をとてもよく拾うため、教室の換気扇、エアコンの室外機など、様々な音も配信されてしまいます。そのため、今回はあまり適していないと判断しました。

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これはSHURE(シュアー)というマイクでお馴染みのメーカーのワイヤレスシステムで、襟元などにつけるピンマイクです。小さくて単一指向生のため、声を拾うのに適しています。しかし、マイクが小さいため、とても良い音とは言えませんでした。低音を拾うのが苦手なため、少し軽い感じがします。

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これは、音響業界では定番中の定番、先ほどと同じSHURE(シュアー)の58という型番のマイクです。音響の現場では「ゴッパー」と呼ばれています。ダイナミックマイクであるため、コンデンサーマイクほど音を拾いません。しかし、低音をしっかり拾い、周辺の音を拾わないため、配信には向いていると考えました。さて次は、スタンドをどうするかです。

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パソコンを操作することもあるため、このようにスタンドを設置しましたが、体が動いてマイクから離れてしまうと、声が小さくなってしまいます。結局、マイクを手で持って話すことにしました。Zoomで授業を行う時は、マイクがとても重要です。やはり、しっかりと話を伝えなければなりません。

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これで、教室にも、Zoomにも、しっかり声を届けることが出来るようになりました。

さて、明日は「背景」のこだわりについてお話します。

 


メディア学部 吉岡 英樹

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略歴:バークリー音楽院ミュージックシンセシス科卒業後、(有)ウーロン舎に入社しMr.ChildrenやMy Little Loverなどのレコーディングスタッフや小林武史プロデューサーのマネージャーをつとめる。退社後CM音楽の作曲家やモバイルコンテンツのサウンドクリエイターなどを経て現職。1年次科目「音楽産業入門」を担当。現在のコンテンツビジネスイノベーション研究室は2020年度にて終了し、聴覚障害支援メディア研究室として新たなスタートを切る。


 

コロナ禍のハイブリッド授業って何?<3. 対面と遠隔の接点>

2020年12月 2日 (水) 投稿者: メディア社会コース

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これは対面と遠隔の接点の一つで、リアルとバーチャルを繋ぐ重要な画像です。

教室にはネットワークカメラという広角レンズの小さなカメラが設置されています。iPadのアプリでご覧のようにきれいに動画をリアルタイムで視聴することが出来ます。カメラを上下左右に動かしたり、2本の指でピンチして拡大したりすることも出来ます。

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カメラは高さ15センチほどで、電源とLANケーブルを繋ぐだけでセットアップがとても簡単です。これだけ小さくても、500万高画素・2592*1944解像度で十分キレイな動画を配信することが可能です。

さて、映像はこれで共有出来ましたが、問題は音です。

私は音楽制作をしてきたので、どうしてもアナログミキサーにこだわっています。

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右のアナログミキサーには、自分のマイク、教室の学生の声をひろうマイク、BGMを流すiPadの音声出力、スライドを表示するメインのノートPCの音声出力などが入力されています。ミキサーの出力はそのまま配信用パソコンに送られます。ただし、これで終わりではありません。

教室にいる学生への音には、もう一工夫必要です。

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この小さなミキサーで、さっきのアナログミキサーの音に加え、Zoomで参加している学生の声を混ぜて教室へ届けます。教室の学生は設置してあるマイクで話せば遠隔で受講している学生に声が届きます。教室にいる学生がZoomに入ってマイクをオンにしてしまうと、ハウリングして「キーーーーー!」という音が鳴ってしまいます。

最後に、対面と遠隔の重要な接点を紹介します。それは、チャットです。Zoomにもチャットがありますが、教室の学生がZoomに入っていないことが多いため、Google classroomのチャットを使っています。授業内容に対する感想や質問を投稿してもらい、私が口頭で返事をしていきます。これにより、学生の考えが共有され理解が一層深まります。

対面と遠隔の接点をいろいろと探っていくうちに、私と学生、そして学生通しがコミュニケーションをとる工夫についていろいろ考えました。結果として、コロナの前よりも授業内でのやりとりが活性化し、私も学生も楽しく授業に参加出来ていると感じています。

コロナがきっかけで、授業に対して新たな視点が生まれたことは良かったと思います。

明日は、マイクのこだわりについてお話します。


メディア学部 吉岡 英樹

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略歴:バークリー音楽院ミュージックシンセシス科卒業後、(有)ウーロン舎に入社しMr.ChildrenやMy Little Loverなどのレコーディングスタッフや小林武史プロデューサーのマネージャーをつとめる。退社後CM音楽の作曲家やモバイルコンテンツのサウンドクリエイターなどを経て現職。1年次科目「音楽産業入門」を担当。現在のコンテンツビジネスイノベーション研究室は2020年度にて終了し、聴覚障害支援メディア研究室として新たなスタートを切る。


 

コロナ禍のハイブリッド授業って何?<2. 教室の感染対策>

2020年12月 1日 (火) 投稿者: メディア社会コース

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ハイブリッド授業の要は、対面授業を行う教室の感染対策です。

遠隔授業は前期に実施して、ノウハウも蓄積されてきましたが、大学の教室で新型コロナの感染対策をどのように行うかは、まだ手探り状態であることは否めません。それは、大学に限った話ではないかと思います。ただし、科学的に分かってきていることは、やはり消毒と換気が有効だということです。もちろん、マスクは必須です。

私は、ハイブリッド授業を実施するのを研究室に限定し、この部屋の感染対策を徹底することにしました。

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まずは、入り口で手指の消毒をします。自動的に消毒液をスプレーするディスペンサーを導入しました。これで、タッチレスで消毒が可能になります。

次に、部屋の換気をするために、サーキュレーター(扇風機を含む)を3台導入しました。

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入り口から部屋の空気を排出する窓までを対角線にして、3台のサーキュレーターで空気の流れを作ります。

学生もマスクの着用や飲食をなるべくしないことに協力してくれましたので、これまで無事にハイブリッド授業を行うことが出来ました。特に1年生は対面中心でフレッシャーズゼミを行いましたが、前期は顔も分からなかった仲間と会うことが出来て、この数週間でとても仲良くなりました。

どうしても参加できない人は遠隔で参加することで、クラス全員がハイブリッドに繋がることが出来ます。しかし、遠隔と対面の授業を同時進行するには、映像・音響機器の配線がかなり複雑になります。

明日は、対面と遠隔をどのように繋げているかという、映像・音響システムの仕組みについてお話します。

 


メディア学部 吉岡 英樹

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略歴:バークリー音楽院ミュージックシンセシス科卒業後、(有)ウーロン舎に入社しMr.ChildrenやMy Little Loverなどのレコーディングスタッフや小林武史プロデューサーのマネージャーをつとめる。退社後CM音楽の作曲家やモバイルコンテンツのサウンドクリエイターなどを経て現職。1年次科目「音楽産業入門」を担当。現在のコンテンツビジネスイノベーション研究室は2020年度にて終了し、聴覚障害支援メディア研究室として新たなスタートを切る。


 

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