シナリオアナリシスでよくある質問(おすすめの映画)その9
2020年12月11日 (金) 投稿者: メディアコンテンツコース
みなさん,こんにちは。メディア学部実験助手の菅野です。
今回も「プロのシナリオライターを目指すなら見ておいたほうが良い作品」を紹介します。
今回紹介するのはこの映画です。
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『スター・ウォーズ エピソード4~新たなる希望~(1977)』
【監督】
ジョージ・ルーカス
【脚本】
ジョージ・ルーカス
【参考URL】
https://movies.yahoo.co.jp/movie/11830/
【あらすじ】
はるか遠くの銀河で独裁政治を行う帝国によって、育ての親であった叔父と叔母を殺されてしまった青年ルークは、ルークの実の親と旧友だったオビ・ワンの助言もあって、帝国に抵抗する反乱軍に協力を決心、囚われの反乱軍リーダー・レイア姫を救出すべく旅に出た。
ルークは、凄腕だが癖のある飛行士ハン・ソロとチューバッカのコンビを仲間に迎え入れ帝国軍基地への潜入に成功してレイア姫を発見、そのまま脱出を試みる。しかし、圧倒的な力をもった敵、ダース・ベイダーによって退路を阻まれ、窮地に陥り、オビ・ワンを犠牲にして逃亡することになってしまった。
レイア姫から、帝国の惑星級巨大兵器デス・スター計画の情報を知ったルークたちは、その設計図から、弱点となる核の位置情報を割り出し、急襲作戦を決行する。宇宙戦闘機の操縦においても高い能力をもっていたダース・ベイダーと、必死の交戦を繰り広げたルークだったが、仲間たちの協力もあって辛くも任務を達成し、デス・スターの破壊に成功したのだった。
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『スター・ウォーズ』は、銀河を股にかける大型SFファンタジー作品として今もなお、続編やスピンオフ作品などが作られ、その都度大きな話題となる人気作です。TVでもジブリ作品ほどではありませんが、何度も放映されています。
『スター・ウォーズ』が映画の世界に及ぼした影響は、挙げだしたら切りがないぐらいなのですが、このブログの記事としてはやはりシナリオに関する部分です。
ファンの間では有名な話のひとつなのですが「スター・ウォーズ」の監督であり脚本家であるジョージ・ルーカスは、本作品のシナリオを制作する上で、アメリカの神話学者ジョーゼフ・キャンベルの『千の顔をもつ英雄』で提唱された神話論を取り入れて、物語を構成した、とされています。
だいぶザックリした説明になりますが、人類の歴史上における英雄の神話は、①英雄が非日常へ旅立ち、②様々な味方や敵と出会う通過儀礼を経て、③試練や課題をクリアして帰還する、という構造をもっている、という考え方で、これをスター・ウォーズに適用できる、とジョージ・ルーカスが思いついた、という話です。
厳密には、今回紹介したエピソード4だけではなく、エピソード4・エピソード5・エピソード6の3部作に適用された構想だとされますが、そもそもエピソード4自体が成功するかどうかルーカス自身、まったく自信がなかったそうなので、とりあえずエピソード4に適用してみようと思ったことがあからさまなくらい、前述の「旅立ち」「通過儀礼」「帰還」を見て取ることができます。
人類の歴史的上に共通して語り継がれる神話の要素を適用したシナリオに基づいて制作された「スター・ウォーズ」だからこそ、世界中で幅広く受け入れられ、今日も人気の作品となっていることは、おそらく間違いありません。
シナリオ関連の授業を受講する学生さんのなかには、こういった話をすると、「お約束のストーリー展開は嫌だ」「王道すぎる物語じゃ注目されない」と反発して、奇をてらった作品を作ろうとする人もいますが、人類が積み重ねてきた歴史を背景にした作品のもつ「定石の強み」や「定番要素の安定感」の強みは、知っておいて損のない知識です。
そういう意味で「スター・ウォーズ エピソード4~新たなる希望~」は、見ておくべき作品と言えるでしょう。
(文責:兼松祥央)
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