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2021年1月

シナリオアナリシスでよくある質問(おすすめの映画)その12

2021年1月20日 (水) 投稿者: メディアコンテンツコース

みなさん,こんにちは。メディア学部実験助手の菅野です。

 

今回も「プロのシナリオライターを目指すなら見ておいたほうが良い作品」を紹介します。

今回紹介するのはこの映画です。

 

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パシフィック・リム2013)』

 

【監督】

ギレルモ・デル・トロ

【脚本】

トラヴィス・ビーチャム

ギレルモ・デル・トロ

 

【参考URL】

https://movies.yahoo.co.jp/movie/344562/

 

【あらすじ】

太平洋から突如出現した巨大生物カイジューたちによって都市襲撃を受けるようになった人類はカイジュー撃退のために巨人機械兵イエーガーを開発し、抵抗を試みる。しかし、襲撃のペースを早めるカイジューの前に劣勢を強いられイエーガーのパイロットとして活躍するローリー・ベケット戦いのなかで同じパイロットの兄を失ってしまう。

 

ローリーは失意のうちにパイロットをやめたが、カイジューによる人類の危機はそんな彼を放っておかなかった。過去最大級のカイジュー出現によって防衛司令官のペントコストから再びパイロットとして招聘されたローリーは、イエーガーの研究者であるマコと出会い、自身のトラウマやマコの抱える問題と向き合いながらタッグを組んで、イエーガーのパイロットに復帰。見事、最大級カイジューを撃退した。

 

調査によって、カイジュー異次元から太平洋深海の割れ目「ブリーチ」入り口にして転送されていることを突き止めた防衛司令部は、この入り口を破壊して塞ぐことでカイジューの出現を不可能にする作戦を立案。ローリーとマコの乗るイエーガーと、司令官ペントコスト自らがパイロットとして乗り込むイエーガーの2機によって、作戦は決行される。

 

作戦を察知したカイジューたちはさらに巨大な個体を3体転送させて、ローリーたちの作戦を妨害しようとする。これに対してペントコストはブリーチ破壊用に搭載していた核爆弾を用い、自らを犠牲にして2体を撃退、ローリーとマコのイエーガーが作戦を実行に移すチャンスを作ると、ローリーたちは残る1体の追撃を必死にしのぎきり、イエーガーの動力炉を機体ごと爆発させることでブリーチの破壊に成功、人類に平和をもたらしたのだった。

 

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「パシフィック・リム」は、アメリカで製作された映画ですが、作品のエンドロールで監督のギレルモ・デル・トロ監督が「この映画をモンスター・マスター、レイ・ハリーハウゼンと本多猪四郎に捧ぐ」と献辞していることや、敵である超巨大生命体を「KAIJU(カイジュー」と名付けたことなどからもわかるように、日本の大怪獣特撮映画や巨大ロボット登場作品へのリスペクトとオマージュが散りばめられた作品で、古くはゴジラやマジンガーZにワクワクした世代のファンから現代のロボットアニメファンまで取り込んで話題となった作品でした。

 

リスペクトやオマージュのシーンをあげるだけでも取り扱う要素に事欠かない本作ではありますが、このブログに載せる以上は、シナリオライターを目指す方々に注目して欲しい点、で書いていきます

 

この作品のシナリオで注目すべき点のひとつは「序盤の10分」です。

 

怪獣や巨大ロボットが登場するSF作品であるがゆえに、非現実の設定にどうしても注目してしまいがちなのですが、この作品で重要なのは、それらの設定そのものより、それら設定の中で、重要かつ優先度の高い情報を「序盤の10分」簡潔で伝えきっているところにあります。

 

倒すべき敵が「カイジュー」であること、その強さが圧倒的であることを示すと同時に主人公のローリーが戦う理由としてカイジューが兄の仇になること、主人公の乗るロボットは複数人で動かすもので兄亡き後はパートナーが必要になりヒロインのマコが登場する伏線になっている、などなど数分間のシーンを最大限に活用して、視聴者が作品の非現実な設定を理解しやすくしています。

 

これは、ハリウッド映画のシナリオ技法の一つとして取り上げられることもある「ファースト10」という特徴で、「映画全体時間の10分の1以内に、基本的な情報は伝えきれ」という定石だったりするのですが、だいたい映画は90分~120分くらいなのでその計算だと冒頭の10分前後が該当することになり、パシフィック・リムはその特徴をお手本のようにこなしている作品なのです。

 

メディア学部でシナリオの書き方を学んでいる学生の中にも、怪獣やロボットの大好きな人はたくさんいて、そういった作品のために、練り込んだ設定や世界観を考えてくることも多いのですが、あまりにも熱が入りすぎて、作中でその設定を語ろうとしたら冒頭30分くらいを設定の説明に費やすことになって全くストーリーが始まらない、なんてことがよくあります。

 

優れた作品の設定は、それを簡潔に伝える点でも優れています。パシフィック・リムを見るときは、是非そういう点も注目してほしいと思います


(文責:兼松祥央)

卒業研究発表会

2021年1月19日 (火) 投稿者: メディアコンテンツコース

2月1日(月)~2月5日(金)にメディア学部卒業研究発表会をオンラインで実施します。

各研究室の発表日程は、下記の学内サイトに掲示されています。

https://service.cloud.teu.ac.jp/inside2/wp-content/uploads/2021/01/ms_sotuken_saisyuuuhappyoukai2020.pdf

学内限定での実施になるので、外部の皆様にはご参加いただけませんが、1~3年生の皆様は是非ご参加ください。

また、本年度から卒研選抜発表会を実施します。
各コースから選抜された発表を聞くことができます。
自分が所属していないコースの研究を聞く、よい機会ですので、是非参加してください。
卒研選抜発表会は、2月6日(土)3限です。こちらも学内限定でオンライン開催です。

お問い合わせは、卒研WGまで。

 

(文責:竹島)

今年はオンライン開催「Global Game Jam 2021」

2021年1月18日 (月) 投稿者: メディアコンテンツコース

メディア学部の三上です.

この季節は卒業論文の指導や修士論文と同時に世界同時開催ゲーム開発ハッカソン「Global Game Jam」の季節でもあります.

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COVID-19の影響で今年はフルオンラインの開催で,主催者から は閉会式や開会式を含め集合しないように念を押されております.

そんな状況ではありますが,2010年から連続会場運営をしている東京工科大学は今年もオンラインとは言え会場運営をします.

もともと,早くから開発の様子をオンラインで配信してきた東京工科大学会場なので,配信スタッフのノウハウも蓄積されております.コロナ禍で様変わりした,ゲーム業界最大のハッカソンイベントですが,ぜひ楽しんでもらえればと思います.

当日の様子は下記のYoutubeLiveで配信予定です.現在も昨年やそれ以前のGlobal Game Jamのアーカイブが閲覧できますぜひご覧ください.

Global Game Jam 東京工科大学会場のYoutubeLive!

どんな数ですか (7・最終回)

2021年1月17日 (日) 投稿者: メディア社会コース

数の歴史は、拡張の歴史でした。

昨日、書いたような理由で、複素数までの拡張で、数の体系は、一応、完結しています。

これ以上、どう拡張するのでしょうか。また、その必要があるのでしょうか。

複素数は、実数と虚数のそれぞれに数直線を当てて、2次元平面の点としてあらわされます。この平面を大学では複素平面といいます。

複素数がこのように平面の上の点としてあらわされるということは、一直線上に並ぶ実数と異なり、順番に並べることができないということです。複素数の間では不等号 < が使えない場合が出てくることです。

つまり、複素数への拡張は不等号の使用をあきらめておこなったわけです。

このように、数のもっている何らかの性質をあきらめることで、数を拡張することがおこなわれます。そして、あきらめた性質以外の利点を手にするわけです。

複素数の場合は、不等号が使えなくなった代わりに、すべての代数方程式の解を得ることができたのです。

こう考えると、複素数の性質の何かをあきらめて使わないことにすると、他にいいことがあるように拡張できるのではないかと思えてきます。

実際に、そのような拡張は、いくつも考えられています。

ここでは、四元数(しげんすう)というものがあることを紹介しておきます。
これは複素数の積の可換性をあきらめ、虚数単位のようなものをあとふたつ加えたものです。

積の可換性は、2かける3と、3かける2が等しくなるということですが、四元数の中には、これが成り立たない組合せが出てくるのです。

それに気を付ければ、四元数は、普通の数と変わらず計算でき、
3次元空間の回転をあらわして計算するのに便利なので、
現在、物理学やコンピュータ・グラフィックス、ゲーム制作に用いられています。

現代では、四元数以外にも、目的によって使いやすい数などをつくることがおこなわれます。
研究をしていけば、みなさん自身が、自分の目的にあった数をつくることになるかもしれません。

ここまで、数の歴史についてお付き合いいただきありがとうございました。

今回はごく簡単でしたから、高校生のみなさんには、さらに発展した話を聞いていただけること、こうした知識を利用していただけることを、メディア学部でお待ちしています。

(小林克正)

どんな数ですか (6)

2021年1月16日 (土) 投稿者: メディア社会コース

現実の計量で出てくるのは実数ですから、それだけなら昨日までの歴史で数の話は終わっていたはずです。
しかし、そういうことにはなりませんでした。しかも、それは数学の中だけのことではありません。

普通の2次方程式の解には虚数も出てきます。習っていない人もいるかもしれませんが、実数の解はないという場合には虚数の解があります。
実数という言葉は、もともと、この虚数に対して、通常の数という意味で作られたものです。

虚数と実数を合わせて含むのが複素数です。

虚数や複素数は、それが現実の計量の結果を表しているとしたら、意味がありません。したがって、もともとは無視されていました。

しかし、その後、計算のための利便性から複素数は広く利用されることになりました。

一方、上で、普通の2次方程式という意味は、係数が実数の2次方程式ということで、つまり、係数が実数の2次方程式の解は複素数になります。

これは、ある方程式の解が係数の範囲を飛び出してしまうことを意味しています。

2次方程式がそうなのですから、係数が実数でも3次以上の方程式では、複素数の範囲も飛び出してしまうかもしれない心配が出てきます。係数が複素数ならば、さらにその心配がふくらみます。

19世紀の数学者ガウスの結果によって、こうした心配は杞憂であることがわかっています。複素数が係数の代数方程式は複素数の範囲内で解をもつのです。

この意味で、複素数は自己完結しています。大学以前の数学で複素数までを学ぶのは、これがひとつの理由でしょう。

複素数は、現代では物理学でも使われ、量子論や宇宙論では、計算の利便性のためでなく、本質的に不可欠なものとなっています。

実数だけの時代でなくて幸いでした。今後も複素数によって、数学や物理、ひいては宇宙について解明されることになっていくでしょう。

明日に続きます。

(小林克正)

どんな数ですか (5)

2021年1月15日 (金) 投稿者: メディア社会コース

昨日は 0 について触れましたが、負の数は、遅くとも3世紀までに中国で発見され、計算規則も知られていました。0 よりも先に計算がおこなわれていたのです。

7世紀までにインドで金品の貸し借りとの関連で利用されるようになり、負の数は便利に使えるという認識が広まってきました。

やがて、ヨーロッパでも、負の数は解析学を中心として便利に使えることが知られ、広まっていきました。

しかし、負の数は意味のないものとして無視する伝統ができてしまっていました。
18世紀に論争があったというほど、かなり最近になるまでこの傾向は続きました。
現在でも負の数を嫌う人がいるのも理解できます。

ここまでの、すべての数が実数です。実数の全体は数直線で表されます。
17世紀までには数直線の概念はできていましたが、実数全体であることが厳密に示されたのは19世紀のことでした。

数直線は、その間に、座標やグラフにつながりました。

実数全体が数直線となることがわかっている時代で幸いでした。
数直線が使われなければ、いま毎日のように見るグラフもなかったでしょう。
数よりも直感的にわかりやすく一目でわかるような手段がなくて、困ったかもしれません。

明日に続きます。

(小林克正)

どんな数ですか (4)

2021年1月14日 (木) 投稿者: メディア社会コース

昨日までに小数の話をしました。前後しますが、小数は前提として、位取り記法が必要です。十分の一の位、百分の一の位、千分の一の位がこの順で並ぶという意味です。

古代バビロニアで位取り記法の萌芽になるような形式が利用されましたが、発展することはありませんでした。

その後、古代ギリシア、古代ローマでも位取り記法は使われませんでした。まだ小数はなかったですから、自然数だけですが、千の位、百の位、十の位といった順がなかったのです。

それらの時代、文章に使う文字を数字として用いました。古代のローマ数字は、例えば、2021は MMXXI と表します。本来、文字の順を入れ換えても同じ数になります。左に小さい数を書くと引くことになる、現代のローマ数字の規則は後世にできたものです。

それぞれの文字が数字なので自然数や分数を表す限り支障はありませんでしたが、ある程度以上大きな数を表すには工夫が必要で、計算もしづらかったと考えられます。

ピタゴラスやエウクレイデス(英語読みはユークリッド)といった数学者・科学者が、位取り記法なしでやっていたということに驚きます。

位取り記法は、4世紀までにインドで定着しました。それがアラビアを経由して、ヨーロッパに輸入されました。

インドでは、位取り記法の空位記号、つまり、ない桁を表す記号だった 0 が数として認識されました。いわゆる 0 の発見です。こうして、現在と同様の数の表し方ができるようになったのです。

文字で数を表す時代でなくて幸いでした。計算ができず苦しむ人が多かったことでしょう。

明日に続きます。

(小林克正)

どんな数ですか (3)

2021年1月13日 (水) 投稿者: メディア社会コース

分数で表されない数の存在は、古代インドでも知られていたようですが、はっきりと認識されたのは、分数が定着して1000年ほどした古代ギリシアでした。

辺の長さが1の正方形を単位正方形といいます。その単位正方形の対角線の長さがそのような数の代表でした。
分数で表されないということで、比で表されない数という意味の無理数と名づけられました。

古代ギリシア以降、長さや面積には無理数があらわれることが知られてきました。

半径1の円の周囲の長さの半分が円周率で、現代では、無理数であることを我々は知っています。
また、円周率は、ランダムな無限小数で表されることも知っています。

円周率がどのような性質の無理数であるかは今でも研究が進められています。

コンピュータによる計算も盛んで、今年中に小数点以下100兆桁を越えそうです。
さらに、数千万桁までは、コンピュータのベンチマークつまり計算速度の測定にも使われています。

こうして、いまでは無理数は循環しない無限小数で表される数と理解されています。

しかし、小数がなくても、無理数の概念は理解できるので、歴史的には、無理数は小数よりも先に知られていたのです。
無理数は分数では表されないので、その近似を分数や単位分数の和で表していましたが、求めるのは大変で、精度も上がらなかったでしょう。
無理数が単位分数の和で近似される時代に生まれなくて幸いでした。

明日に続きます。

(小林克正)

どんな数ですか (2)

2021年1月12日 (火) 投稿者: メディア社会コース

歴史的に、自然数の次に使われた数は、分数です。

食材などを半分に切るのは日常的におこなわれますから、半分や三等分は普通に出てくることになります。こうした分量以外にも距離や面積を測ると分数は出てきます。

その 1/2、1/3 といった、分子が1の分数を単位分数といいますが、これが最初に使われた分数です。

古代エジプトでは、分数を異なる単位分数の和で表していたようです。単位分数が「本来の」分数だと考えれば、この発想は自然です。パピルスにも記されています。

ただし、異なるというところがミソで、複雑な計算になります。例えば、十二分の五は、十二分の一の五個の和ではなく、四分の一と六分の一の和で表します。

そして、どんな分数も異なる単位分数の和で表されるという事実が古代エジプトで知られていたことも驚きます。

ヨーロッパでは、これが定着してしまい、計算が複雑だったのに、小数は長い間、使われませんでした。

小数が出てくるのは、東洋のほうが早く、3世紀ごろの文献には出ているようです。この伝統もあるためか、計算もラクな小数は、少なくとも日本では分数より身近です。

小数が出てくるのは、ヨーロッパでは、ずっと後、16世紀になっていました。それも恐る恐る使われ、最初は面倒な表記方法が用いられていました。現代のような表記にしたのは、計算をラクにする達人、ネイピアだと考えられています。ネイピアは、自然対数の底を表す定数に名が残っていますが、数表の作成者でした。

単位分数が主流の時代に生まれなくて幸いでした。計算に時間を費やさなくてはならなかったでしょう。

明日に続きます。

(小林克正)

どんな数ですか (1)

2021年1月11日 (月) 投稿者: メディア社会コース

以前、数の 7 について書きました。

今回は、少しの間、数の歴史について、お付き合いください。数式を使って証明するわけではないので、気楽にお読みください。

こんな状況でも、確立した数の世界は変わりませんから、思いをはせていただきたいと思います。

さて、「かず」という言葉は「かぞえる」から派生したので、本来は、1、2、3、… とかぞえる自然数をあらわします。

しかし、どんなものでも同じように数えられることがわかり、自然数の概念が固まったのは、人類の歴史では、ほんの最近とされています。文字の誕生と関係があると考えられます。

それ以前の長い間、状況や物によって「かぞえかた」は異なると考えられたようです。

その名残が英語の序数詞や、日本語の助数詞です。読みは同じですが、このふたつは違います。

序数とは順番を数えるもので、対になるのは個数を数える基数です。
英語の序数詞 first, second, third は、基数詞 one, two, three と異なっています。何番目という数え方と、何個という数え方が異なると考えられたためです。
日本語では、基数と序数の違いは普段は意識されません。

一方、日本語の助数詞は、物なら一般的に個、ひとなら人(にん)など数の後に付ける数え方の単位です。
個だけでも間に合うはずですが、棒状の物なら本、本など書籍なら冊、お札などの紙は枚、と数え分け、分類にもよりますが500種類はあるといいます。子供や日本語を習い始めた人だけでなく、それぞれの分野の新社会人やあまり使わないものを数えるときには普通の大人でも悩みます。
英語では、助数詞はあまり使われません。時折 a cup of coffee と非可算名詞などとともにあらわれる程度です。

助数詞は、物によって数え方が異なった歴史の、直接の名残です。

どんなものも同じ自然数で数えられることがわかっている現代に生まれて幸いでした。違うものは違う数え方をする時代だったら、それぞれの数を覚えて、変えて数えなければなりませんでした。その分、無駄に複雑だったでしょう。

明日に続きます。

(小林克正)

学会ハイブリッド開催騒動記

2021年1月10日 (日) 投稿者: メディア技術コース

メディア学部の渡辺です。こんにちは。

既にこのブログ内で私の含む多くの先生方が報告しておりますが、11月1〜3日の期間に大阪の関西大学で「NICOGRAPH2020」という学会が開催され、メディア学部やメディアサイエンス専攻からも多数の学生が発表を行いました。私の研究室でも6名の学生が発表を行っており、以前にその紹介記事 (その1, その2) を掲載しておりますが、今回は運営側としての立場でお話ししたいと思います。

この「NICOGRAPH」という学会は「芸術科学会」という学会が主催しているもので、毎年1回行われます。今回の「NICOGRAPH2020」で私は「プログラム委員長」という役目を担当していました。どのような役職を設定するかは学会によっても異なるのですが、NICOGRAPH の場合は大きく「実行委員会」と「プログラム委員会」の2つの委員会があり、それぞれの役割をこなしていきます。私が担当したプログラム委員会は、論文を募集したり、その論文の査読(審査)を取りまとめたり、当日のスケジュールをまとめることを主なお仕事としています。どちらかというと、開催当日よりもそれまでの準備の方がメインであり、いざ当日となるとほとんどすることはありません(普通は)。私も、1年前に打診を受けた時はそういった仕事であることは理解した上で引き受けていました。

しかし、今回の学会は例年とはまったく事情が異なりました。言うまでもなく、新型コロナウイルス感染の件です。これにより、そもそも学会の実施形態をどのようにするのかという時点から問題となりました。

論文募集は大体5月くらいから開始するのですが、そのときは「オンライン開催」にせざるを得ないという話で当初は進んでいきました。しかしながら、実行委員長である関西大学の松下先生から「実際に現地で開催しないと大学側から会場費の支援を受けられない」という話があり、現地での開催でないと実施が難しいということになってきました。

ここからまあ色々紆余曲折あって、結果的には「現地と遠隔の両方のハイブリッド開催」ということになったのですが、これが本当に悩ましいことが多く、しばらくはぐっすりとは眠れない日々を過ごしました。(このあたりは書き出すと本当に長文になるのですが、あまり面白くない議論が多いので割愛します。)

今回のことで身に染みたのは、個々の意識が実際は乖離していても、案外気がつかないということでした。コロナに対する各大学の対応というのは、我々教員が思っていたよりも随分学校による差が激しいのです。かなり積極的に対面授業に移行している大学もありますし、一方で大学からは遠方の実家で遠隔にて受講している学生が多数いる大学もあります。印象的だったのは、感染者が多い都会の大学ほど対面や出張に緩く、感染者の少ない地方の方がむしろ厳しい通学や出張の制限を行っていることが多いことでした。そういった意識の差をあまり認識しておらず、どの委員も自分の大学での状況を「他も大体こんなもんだろう」と思い込んでいたわけです。

そのため、実際にすりあわせを行う段階で大きな混乱が生じてしまいました。ある委員は「誰も現地には赴けないので、全面オンラインが現実的」と考えていましたし、また別の委員は「ほぼ全員が現地に集合するので、遠隔参加は断ってもいい」と考えていました。それがわりと方針決定期限ギリギリでわかってきたため、方針決定はなかなかに難航しました。

結果的には「ハイブリッド開催」ということで、当時はまだそれほど感染状況がひどくはなかったので私も現地にて参加しました。今年度中では最初の、そして現状を考えるとおそらく唯一の学会出張となりました。もっと早く「ハイブリッド」で行くことが決定できれば色々と準備を進めて行くこともできただろうという反省もなくはないですが、それよりも結果的には非常に難しい仕事をなんとかこなせたことに安堵しています。いつも学会の仕事を涼しげにこなしていく方々には本当に頭が下がる思いです。

(メディア学部教授 渡辺大地)

 

一般選抜免除合格をねらおう

2021年1月 9日 (土) 投稿者: メディア技術コース

 私大を受験する受験生の皆さんはいよいよ日程を確定させる時期になりました。私立大は2月が入試で同じような時期に日程が重なります。多くの私大は複数日程を用意し、受験生が選べるようにはなっています。とはいえ、受験できる大学の数は限られます。
 
 東京工科大学では、2月の一般選抜A日程のほか、1月27日実施の奨学生入試があります。もうご存知の方も多いかもしれませんが、2月に向けた腕試しとして受験してみるのにちょうどいいタイミングです。
 
 奨学生入試は募集人数が少なく、メディア学部で17名です。これは実際に奨学金を支給する合格者です。そのほかに多数の受験生が「一般選抜免除合格」となります。2月のA日程を受けなくてもそこで合格したとみなすということです。
 
 A日程を受験すれば合格できそうだけど日程が合わない、という方はぜひ奨学生入試を受けてみてください。うまく行けば奨学生で合格となる可能性もあり、4年間の学費がほぼ無料になります。
 
 大学としても優秀な学生に入学してもらいたいということで奨学生入試の制度を設けています。実際、奨学生の合格者は入学後も良い成績をあげています。成績での選抜がある少人数科目(先端メディア学・先端メディアゼミナール)の受講生も多く、2年生や3年生で学外での研究発表をしている学生もいます。
 
 奨学生入試の出願は1月14日(木)15:00までです。ぜひ考えてみてください。
 
メディア学部 柿本 正憲

にゃんズ来る(ネコ×2とAI、その2)

2021年1月 8日 (金) 投稿者: メディア技術コース

さて、続きです。前回に学習モデルを作成したところまで説明しましたが、学習の成果を確認しましょう。Teachable Machineのプロジェクトのページのさらに右側に、Previewという領域があって、ここの”Input”を”ON”にするとカメラが起動し、学習したモデルを確認することができます。ということで、にゃんズカモン!また一匹づつひっつかまえてカメラの前に持ってきます。下に画像を載せますが、画像右下にある”Output”でそれぞれのネコに対応したラベルのグラフが100%になっているのがわかります。さらに、何も画面に写っていないときも、”nocat”ときちんと判定されていますね。これで学習モデルの準備はOKです。

 

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  学習成果の確認

 

これで、いよいよアプリケーション自体のプログラムに移ることができます。p5.jsは、ウェブ上でプログラムを作成、実行できる環境が https://editor.p5js.org にあります。このブログでは詳細は省きますが、まずこれでPCのカメラを使い、キーを押すと撮影画像を保存するものを用意しておきました。次に先程の機械学習のモデルをこのプログラムで使えるようにしていきます。

 

もう一度、Teachable Machineのページに戻ります。Previewのところにある”Export Model”をクリックすると、下記のようなウィンドウ(水色の部分)が表示されます。ここにJava Scriptから学習モデルを使うための情報が提供されています。学習モデルを利用するためのURLや、モデルを利用するためのJava Scriptのコードが表示されていますので、ここから必要な部分をコピーして先程自分で作成したカメラ撮影のプログラム中に適宜埋め込んでいきます。ここらへんは多少プログラミングを理解している必要がありそうですが、そこまで難しいわけでもありません。

 

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Export Modelの画面:利用するためのコードが表示されている

 

さて、実行してみましょう。エディターの上部にある実行アイコンをクリックしてみます。まず何もカメラ前に居ないときには撮影が行われません。よしよし。次にまたにゃんズに協力をあおぎます。うにゃーというのをかまわずひっつかまえてカメラ前に連れてきます。カシャ!という音はしないのですが、画像が保存されたことが視覚効果でわかります。すごい、ちゃんと出来ているじゃないですか!もう一匹も連れてきても成功です。ちなみになんでもかまわず撮影しているわけではないのは、画像のファイル名にそれぞれのネコの名前が含まれるようにしたので、きちんと識別されているのが分かります。自分自身でカメラの前にいっても撮影されません。

 

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エディター上のプログラムが実行されている様子

 

 

ということで、ネコとのにゃんにゃんブログを正当化するために実施した機械学習を利用したアプリケーション開発ですが、非常に簡単にAIアプリを作成することができました。さすがGoogleというところでしょうか。これで、実行したままにしておくと、ネコたちが画面前にやってきたときに自動的にシャッターがきられて画像が保存されるアプリケーションができあがりました。いたずらするところの決定的な写真を撮ったりするのに使えるかもしれません。まあ、まだ色々細かい調整や作り込みは必要でしょうが。今回の作業で一番大変だったのはネコをカメラ前に連れてきて学習データを取り込むところでした。なにしろじっとしていなくて暴れまくるのでカメラに写るようにつかまえているのが大変でした。ものによるとは思いますが学習データの用意が一番面倒な部分ではないでしょうか。それなりの量も用意しなくてはならないでしょうから。今回は、それぞれ200枚〜250枚くらいの画像で行いました(他のネコの写真は20枚くらい。用意するのが大変だったので)。それさえ用意できれば非常に簡単にAIを自分のコンテンツに取り込むことができました。課題はAIの機能を「何に」「どのように」使用するかというアイデアを考える部分になりますね。独自のアイデアがあれば、面白いものを簡単に作ることができそうです。来年の演習にでも取り込もうかな。

 

さて、ネコと遊ぼう…

 

 

太田高志

にゃんズ来る(ネコ×2とAI、その1)

2021年1月 7日 (木) 投稿者: メディア技術コース

ネコ買っちゃいましたよ。飼っちゃいました?安らぎを求めて…

二匹です。ネコを飼うなら複数と思っていて、ついに妻を説得するのに成功いたしました。…いや~、マジでかわいいですね…。毎日メロメロになっています。以前は犬を飼っていて、妻は犬派でしたが、高齢になってくると朝晩の散歩が厳しいということで今回は猫ということで納得してもらいましたが、可愛いですねえ…。おまけにまだ子猫だし。さわり心地はいいし、躰はぐにゃぐにゃでやわらかいです。ゴロゴロ音も心がやすらぎます。セロトニンが毎日ドバドバ出まくります。猫は犬よりドライだというようなことも聞きましたが、思ったよりも全然甘えん坊で毎日膝の上で寝ています。家の犬はかなりドライな性格でしたがそれよりも全然くっついてきます。二匹でもしょっちゅうべったりくっついていて、それを見ているのも微笑ましいです。犬との違いは、テーブルの上でもピアノの上でも飛び上がってどこでもいってしまう運動神経で、これだけは大変で、その身体能力に驚いていますが、それも楽しい毎日…

 

ということで写真です。ペットって人に見せたくなりますよね…

 

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かわいい                    かわいい

 

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かわいい                   かわいい

 

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チョーかわいい…

 

 

ひたすら「かわいいよぉ、ハァハァ…」なんて書いているだけだと、大学のブログとしての品格と見識を疑われてしまいますよね。フム…。というわけで、にゃんズに協力してもらって機械学習を利用したアプリケーションを作ってみました(唐突か?)。

 

Googleが提供しているTeachable Machineで機械学習による画像認識の学習データを用意し、それを使ってネコたちがカメラの前に来ると自動的にシャッターを切り画像を保存する、ウェブブラウザーで動作するJava Scriptのアプリケーションを作成してみました。Java Scriptの開発環境としては、ビジュアルプログラミングの環境として有名はProcessingをJava Scriptに移植したp5.jsを利用しました。

 

さて、Teachable Machineのページ(https://teachablemachine.withgoogle.com)にアクセスして、”Get Started”をクリックすると、下図のように3つのプロジェクトから選択できるようになっています。今回は、ネコの顔を認識して反応するようにさせたいので、Image Projectを選びます。その他に、音声やポーズを認識するものがありますので、これらもそのうち試してみたいと思います。

 

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Teachable Machineのプロジェクト種別選択の画面

 

新規のImage Projectのページになると、複数の対象の学習データを登録できる画面が現れます。画像認識のための学習データは画像群を読み込ませることもできますが、このシステムで簡単なところは、PCのビデオカメラを利用して、その場で対象物をカメラの前で動かして色々なパターンの写真を連続して取り込めるところです。ということで、ネコを一匹捕まえてウニャウニャと激しく振りほどこうと暴れるのを一生懸命なだめつつ、カメラの前でグルグルと動かして色々な画像を200枚程度づつ取り込みました。何枚くらいが適切なんだろうか…。そしてもう一匹を捕まえて、再度ウニャウニャを別の学習データとして取り込みます。それぞれの学習データにはそれぞれのネコの名前をラベルとしてつけておきます。それから、他のネコの画像をウェブから仕入れて、別のネコの認識用の学習データを用意し、人が写っていたり部屋が写っている画像もネコが居ないときを識別するために撮影してその学習データに”nocat”とラベル付けしました。

 

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学習データ読み込みの様子

 

 

学習データが用意できたら、それらの右側に”Training”と書かれている領域に”Train Model”と書かれた矩形(ボタン)がありますので、それをポチッとなとすると学習データによる訓練を開始します。学習している間「ブラウザーのタブを変えるんじゃねえぞ」という警告を受けながら待っていると、”Model Trained”と表示され、学習が終了します。これで、ネコの顔を識別するための機械学習のモデルができあがりです。次はこれを利用して画像を撮影するアプリケーションをp5.jsで作っていくのですが、長くなりましたのでそれについては「その2」に続きます…。かわいいよぉ…

 

 

太田高志

ADADA Internationalでピアノの演奏支援システムについて発表

2021年1月 6日 (水) 投稿者: メディア技術コース

メディア学部の大淵です。

12月にオンライン開催されたADADA International 2020で、大学院生の山口さんが発表しました。彼は昨年の同じ学会でも発表していて、2年連続の発表ということになります。今回の発表タイトルは"Extremely-Simple Piano Training System Based on Keystroke Timing Analysis"というもので、前回のタイトルが"Extremely-simple Piano Training System using Finger Tap Recogniton"でしたから、同じテーマの研究を続けていて、着実に前進しているのがわかると思います。

Piano_training

上の図にあるように、タブレットなどの表面を指で叩くだけで、ピアノ演奏の練習ができるシステムを作ろうというのが、この研究の目的です。そのために指タップ音の認識を行うのですが、昨年の発表では「どの指を使ったかが音だけでわかる」ということに着目していて、今年の発表はさらに「叩いたタイミングの微妙な違いで演奏の上手下手がわかる」というところに進歩しています。

今回は、Work-in-progressというセッションで発表したのですが、嬉しいことにExcellent Presentationに選出され、表彰していただくことになりました。山口さんは修士2年で、修士論文の仕上げに向けて頑張っているところですが、良い励みになったのではないかと思います。

魅力的な声についての本が出ました

2021年1月 5日 (火) 投稿者: メディア技術コース

メディア学部の大淵です。

このたびSpringer社から「Voice Attractiveness -Studies on Sexy, Likable, and Charismatic Speakers-」という本が出ました。その中の1章を私が執筆しています。"Multidimensional Mapping of Voice Attractiveness and Listener’s Preference: Optimization and Estimation from Audio Signal"というタイトルです。日本語に訳すと、「声の魅力度と聞き手の好みの多次元表現:最適化と音声信号からの推定」といった感じです。

もう3年も前になりますが、Interspeechという学会で、「いらっしゃいませ」という声の魅力度の分析に関する研究発表を行いました。その発表を行ったのが、"Voice Attractiveness"というスペシャルセッションだったのですが、そのセッションで発表したいくつかの研究成果をまとめて本にしたいということで、主催者から声をかけていただき、執筆を担当することになりました。当初は2年程度で発行の予定でしたが、いろいろと時間がかかってこの時期の出版となりました。新しい研究成果が次々と発表される昨今の音声研究業界では、いささか古い成果となってしまいましたが、内容はとても面白いものばかりです。

この本が出るまでの間に、世間は新型コロナで大騒ぎとなり、大学の講義のあり方も大きく変わりました。オンライン授業が増える中で、教材作成を通じて「自分の声」と向き合うことになった先生も多いと思います。私の普段の授業でも、聞いている皆さんに好印象を持ってもらえる声で話せるように、この本に書かれていることを役立てられればと思います。

NICOGRAPH2020での研究発表:映像作品の時系列可視化

2021年1月 4日 (月) 投稿者: メディア技術コース

助教の戀津です。
渡辺先生や大淵先生に続き私もNICOGRAPH2020での研究発表の紹介です。

時間転移を伴う映像作品における時系列構成の可視化手法の提案 」というタイトルで、小崎悠平さんにショートの口頭発表形式で発表していただきました。
この研究は、今年度前期に開講した先端メディア学「コンテンツビジュアライゼーション」の一環で行った分析作業をまとめたものです。
先端メディア学の成果なので、先日の千種先生の記事と同様、学部二年生による学会発表です。もちろん本人にとっては初の経験ですが、大変立派に行ってくれました。

映像作品は、作品中の世界での出来事を必ずしも発生した順に描写するとは限りません。
よくある例で言えば、回想の形で過去の情報を描写することがあります。
ミステリーなどでは冒頭に事件の一部を描写し、最後に犯人が分かった後で検証のように犯人の行動込みで事件を描写したりします。
これは、作品の再生時間終盤で作中世界での初めの方に起きた出来事を描写している例と言えます。

また、作品の内容的にタイムトラベル等を扱っている場合、そもそも主人公の居る時間が前後に移動することがあります。
この場合、作品の再生時間と作中世界での時間の順序が入れ替わり、作品によっては複雑な変化をし物語の理解を難しくします。

このような、時間の移動を伴う作品について、再生時間と作中世界での時間の入れ替わり具合や関係、いわゆる時系列を可視化できないかという事で分析を始めました。
ここでは、タイムトラベルものとして著名な映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズについて、パートⅠ~Ⅲまでを通しにして可視化した結果を紹介します。
左から右に向かって進み、上段が再生時間順、下段が作品中での起きた順になるようにして並べ替えをしています。

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時間移動が起きた時にブロックを区切り、各ブロックは上段下段で同じものについて線で結んでいます。
再生時間開始から終了までを赤から青でグラデーションをつけて色分けすることで、再生順と起こった順の差が大きいほど区切りが見えやすいようにしています。

これに加え、以前の記事で紹介したように、主人公が時間移動をする場合には「主人公の体験した順」が存在します。
主人公が時間移動する限りは再生順と変わらないですが、可視化の際に考慮が必要になりますね。
また、時間移動をした場合歴史の改変が発生し、世界線(これもまた定義が難しい言葉です)の変更が起きたりします。
世界線の移動を、さらに下段方向に展開することで図示してみました。

20200805-221705

一応、作中での起きた順を示しつつ、世界線の変更を示すことはできました。
しかし、試行錯誤の一環でとりあえず可視化しましたが、これについてはもう少し改善したいところです。
また進展があり次第報告します。

研究紹介:ADADA+CUMULUS 2020 での研究発表(2/2)

2021年1月 3日 (日) 投稿者: メディアコンテンツコース

本ブログをご覧の皆様,こんにちは.

メディア学部教授 菊池 です.

本日のブログは,「ADADA+CUMULUS 2020(International Conference for Asia Digital Art and Design 2020)」での研究成果発表紹介の第 2 弾です.

本日紹介するのは,大学院修士1年・木下智裕君による「Suggested Structure of Easy-to-read Caption Tape Design for Video Beginners [1]」です.

現在,テレビや広告,YouTube など映像コンテンツで用いられるテロップは,文字デザインを変化させることで発言内容だけでなく,話者の感情などもわかりやすく表現しています.また,耳の不自由な人にもわかりやすく伝えることができるという利点もあります.
近年では,YouTube などの動画共有サイトや SNS の活動から,映像コンテンツ制作における敷居が低くなり,誰でも映像を作られるようになっています.
しかしながら,制作されている映像に加えられるテロップは,背景と同化してしまうなど情報を伝えるためのテロップが読みにくくなってしまう場合が多々あります.現在のテロップ制作において,テロップデザインは編集者の経験やセンスによって制作されており,デザインに関する知識が乏しい人にとってフォントの選択や色の選択などを判断することは難しいものとなっています.

本研究では,これから映像編集を始めるユーザーにとって視聴者が読みやすいテロップを作るためのデザイン構成を提案しました。
テロップのデザイン構成をする上での基本要素として「枠線」,「シャドウ」,「ベース」の3つに着目し,これらの要素を用いて視聴者が読みやすいと感じるデザインをアンケート調査しました.その結果から,テロップをデザインし読みやすいテロップデザイン例を作成しました.

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[1]Chihiro Kinoshita, Hong-Seok Choi, Tomoya Itoh and Tsukasa Kikuchi. "Suggested structure of easy-to-read caption tape design for video beginners", Proc. of ADADA+CUMULUS 2020, 8A-5, 2020.

文責:菊池 司

研究紹介:ADADA+CUMULUS 2020 での研究発表(1/2)

2021年1月 2日 (土) 投稿者: メディアコンテンツコース

本ブログをご覧の皆様,こんにちは.

メディア学部教授 菊池 です.

本日のブログでは,去る2020年12月14日ー16日にオンラインにて開催された「ADADA+CUMULUS 2020(International Conference for Asia Digital Art and Design 2020)」にて,我々の研究グループから発表した研究成果2件のうちのひとつを紹介したいと思います.

本日は,大学院修士1年の加藤有稀君による「Instantaneous Phase Change Simulation of Fluid based on Heat Transfer Using Volume Data [1] 」を紹介します.

本研究では,固液間における瞬間的な相変化シミュレーション法を提案しました.
流体シミュレーションには FLIP 法を用い,支配方程式であるナビエ・ストークス方程式の粘性項を利用した運動の制御を行っています.熱伝播にボリュームデータを利用し,温度情報を流体パーティクルに転写します.そして,温度と粘度の関係式から相変化現象の計算を行います.
本手法により,相変化の際に干渉したボリュームデータの形状に沿ってシミュレーションが始まるため,自由度の高い計算を可能としました.また,流体に対し一部のみを干渉させることにより,固液が共存する状態を一度のシミュレーションで表現することが可能となりました.

今後は,固体個所の破砕,粘度制御による不完全な静止,および慣性による固体部分の分離などを可能とすることを目指しています.

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[1] Yuki Kato, Tomoya Ito and Tsukasa Kikuchi. "Instantaneous Phase Change Simulation of Fluid based on Heat Transfer Using Volume Data" Proc. of ADADA+CUMULUS 2020, 7A-4, 2020.

文責:菊池 司

本能的に軽視してはいけないこと

2021年1月 1日 (金) 投稿者: メディアコンテンツコース

 新年あけましておめでとうございます。
 
 昨年は非常事態とも言ってよい状況で、学部の前期の講義・演習はすべて遠隔による実施となりました。授業開始がひと月以上遅れ、本来14週のところ12週の授業を余儀なくされました。
 
 3月下旬から5月中旬にかけ、キャンパスへの入構が大きく制限された状態で特別な準備を行いました。新入生へのノートPC送付と設定は特に入念な段取りが必要でした。
 
 各教員は遠隔授業のための準備に追われました(今も追われています)。遠隔授業によって一人の学生も置き去りにされることのないよう細心の注意を払いました。学修効果が損ねられることがないように、ほとんどの科目で普段よりも入念な授業準備を行いました。
 
 結果的に前期については、全般的に普段の学期よりも学修効果は高まりました。出席率も明らかに上がりました。通学距離の長い学生からは時間の節約によってしっかりと学ぶことができたという声が多く聞かれました。
 
 一方で、学生は普段よりも多くの時間を課題学修に充てる必要があり負担が大きくなりました。定期試験の中止により前期は各科目でいつもより多くの課題が出されたためです。
 
 1年生は入学後夏休みまで一度もキャンパスに来ないという結果になりました。遠隔でしか話していなかった友人と直接会うために後期開始直前に対面の全体ガイダンスと個別フレッシャーズゼミ(FS)を開催しました。後期FSの授業は原則対面でという形態にしています。
 
 後期は全学方針として対面授業をある程度確保するとしています。メディア学部でも一部の演習や講義は対面授業になりましたが、遠隔からの出席もできるようハイブリッド授業が原則です。
 
 教員も学生も大変な思いはしましたが、困難を乗り越えることで成長したり新しい可能性を発見をしたりできました。遠隔授業を余儀なくされ本気で取り組んだことで教授法の新しい手段を確実に得ることができたのです。
 
 今年の4月、年度が改まってからは遠隔授業を交えながら対面授業中心にシフトする予定です(大人数講義は遠隔です。中人数以下のうち対面授業は、広い教室で3密を回避し全員マスク着用で、2020年度後期と同じく感染対策は万全にします)。
 
 知識を伝達するだけであれば遠隔授業でこと足りるし、工夫の仕方次第で理論的には大部分の学修成果は達成できるでしょう。大学で学んで能力を身につけること、その能力を正しく生かす人格を形成することももちろん最重要です。しかし、大学の持つもう一つの最も大きな意義は、学生が集う『場』の提供です。対面中心という方針の根底にはその意義の重要性の認識があると思います。
 
 卒業して何年も何十年も経って大学時代を思い出すとき、まず一番目に自分の過ごしたキャンパスの風景が目に浮かびます。二番目にその物理的な場を共にした人々の懐かしい姿が浮かびます。そしてよくよく考えてみると三番目にいろいろ学んだなということがようやくわかってきます。これは私個人の感覚ですが、多くの社会人は同じ感覚を持っているように思います。
 
 理屈上、大学はその三番目に思い浮かぶものを提供するのが使命です。ただ、一番先に浮かぶものは理屈はともあれ本能的に軽視してはいけないと感じます。
 
 今年は昨年以上に、各教員と一緒にいろいろと悩みながら、より良い大学、学部を模索していくことになりそうです。
 
 本年もメディア学部をよろしくお願い申し上げます。
 
メディア学部 柿本 正憲

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