どんな数ですか (4)
2021年1月14日 (木) 投稿者: メディア社会コース
昨日までに小数の話をしました。前後しますが、小数は前提として、位取り記法が必要です。十分の一の位、百分の一の位、千分の一の位がこの順で並ぶという意味です。
古代バビロニアで位取り記法の萌芽になるような形式が利用されましたが、発展することはありませんでした。
その後、古代ギリシア、古代ローマでも位取り記法は使われませんでした。まだ小数はなかったですから、自然数だけですが、千の位、百の位、十の位といった順がなかったのです。
それらの時代、文章に使う文字を数字として用いました。古代のローマ数字は、例えば、2021は MMXXI と表します。本来、文字の順を入れ換えても同じ数になります。左に小さい数を書くと引くことになる、現代のローマ数字の規則は後世にできたものです。
それぞれの文字が数字なので自然数や分数を表す限り支障はありませんでしたが、ある程度以上大きな数を表すには工夫が必要で、計算もしづらかったと考えられます。
ピタゴラスやエウクレイデス(英語読みはユークリッド)といった数学者・科学者が、位取り記法なしでやっていたということに驚きます。
位取り記法は、4世紀までにインドで定着しました。それがアラビアを経由して、ヨーロッパに輸入されました。
インドでは、位取り記法の空位記号、つまり、ない桁を表す記号だった 0 が数として認識されました。いわゆる 0 の発見です。こうして、現在と同様の数の表し方ができるようになったのです。
文字で数を表す時代でなくて幸いでした。計算ができず苦しむ人が多かったことでしょう。
明日に続きます。
(小林克正)
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