キャラクターの台詞分析
2021年1月22日 (金) 投稿者: メディアコンテンツコース
みなさん,こんにちは.メディア学部助教の兼松です.
前回の私の記事では,ADADA+CUMULUS 2020で私が発表した研究を紹介しました.
今日は学生が発表した研究について紹介します.
[Akifumi Tanimura, Yoshihisa Kanematsu and Koji Mikami. Development of Character Design Support System Based on Character’s Dialogue Analysis]
アニメや映画などの映像コンテンツに登場するキャラクターの大きな役割のひとつが「作品のテーマやストーリーを,台詞と行動で視聴者に伝える」ということです.一部例外もなくはないですが,アニメなどでは今何が起こっているのかをナレーションなどで説明することは基本的にありません.
視聴者であるみなさんは,ほとんどの場合,キャラクターが何をしているのかを見て,そして何を話しているのかを聞いて場面場面のシチュエーションやストーリーの展開を理解すると思います.
そして,キャラクターを「ストーリーやシチュエーションを伝えるためのもの」と捉えると,キャラクターを構成する要素はビジュアルな側面(見た目)とリテラルな側面(設定)に分けることができます(実際にはさらに演技や声質といった第3の要素もあると考えていますが).
キャラクターをイラストとして好きになる場合はビジュアルの要素だけで成り立つこともありますが,みなさんの記憶に残っているキャラクターを好きになった理由は,きっと見た目だけではないはずです.
様々なシチュエーションでキャラクターがとった行動や,話した内容を総合的に判断して好きになったのではないでしょうか?
つまり,キャラクターを好きになるプロセスは,実際の人間を好きになるプロセスにかなり近い要素を含んでいると考えています.
私が担当しているプロジェクト演習「デジタルキャラクターメイキング」ではこういったことを考えながらキャラクターを作り上げていく演習をしていますので,興味がある方は是非受講してください(ダイマ).
そこでこの研究では,2000年〜2018年のアニメの中からDVDなどの売り上げの高い57作品から1089体のキャラクターを選定しました.そして,これらのキャラクターが話した全ての台詞を抽出し分析しています.1089体の全ての台詞ですから,途方もない数ですね.今回の発表はwork-in-progressでの発表なので,現段階で全ての台詞の分析が完了した結果を発表したわけではないのですが,今も引き続き分析を続けています.さらに分析結果を使って,制作者が意図した通りの雰囲気・キャラクター性を持たせたキャラクターに仕上げるための支援システムも開発しています.これについては形になってからまた紹介したいと思っています.
(文責:兼松祥央)
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