どんな数ですか (2)
2021年1月12日 (火) 投稿者: メディア社会コース
歴史的に、自然数の次に使われた数は、分数です。
食材などを半分に切るのは日常的におこなわれますから、半分や三等分は普通に出てくることになります。こうした分量以外にも距離や面積を測ると分数は出てきます。
その 1/2、1/3 といった、分子が1の分数を単位分数といいますが、これが最初に使われた分数です。
古代エジプトでは、分数を異なる単位分数の和で表していたようです。単位分数が「本来の」分数だと考えれば、この発想は自然です。パピルスにも記されています。
ただし、異なるというところがミソで、複雑な計算になります。例えば、十二分の五は、十二分の一の五個の和ではなく、四分の一と六分の一の和で表します。
そして、どんな分数も異なる単位分数の和で表されるという事実が古代エジプトで知られていたことも驚きます。
ヨーロッパでは、これが定着してしまい、計算が複雑だったのに、小数は長い間、使われませんでした。
小数が出てくるのは、東洋のほうが早く、3世紀ごろの文献には出ているようです。この伝統もあるためか、計算もラクな小数は、少なくとも日本では分数より身近です。
小数が出てくるのは、ヨーロッパでは、ずっと後、16世紀になっていました。それも恐る恐る使われ、最初は面倒な表記方法が用いられていました。現代のような表記にしたのは、計算をラクにする達人、ネイピアだと考えられています。ネイピアは、自然対数の底を表す定数に名が残っていますが、数表の作成者でした。
単位分数が主流の時代に生まれなくて幸いでした。計算に時間を費やさなくてはならなかったでしょう。
明日に続きます。
(小林克正)
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