どんな数ですか (1)
2021年1月11日 (月) 投稿者: メディア社会コース
以前、数の 7 について書きました。
今回は、少しの間、数の歴史について、お付き合いください。数式を使って証明するわけではないので、気楽にお読みください。
こんな状況でも、確立した数の世界は変わりませんから、思いをはせていただきたいと思います。
さて、「かず」という言葉は「かぞえる」から派生したので、本来は、1、2、3、… とかぞえる自然数をあらわします。
しかし、どんなものでも同じように数えられることがわかり、自然数の概念が固まったのは、人類の歴史では、ほんの最近とされています。文字の誕生と関係があると考えられます。
それ以前の長い間、状況や物によって「かぞえかた」は異なると考えられたようです。
その名残が英語の序数詞や、日本語の助数詞です。読みは同じですが、このふたつは違います。
序数とは順番を数えるもので、対になるのは個数を数える基数です。
英語の序数詞 first, second, third は、基数詞 one, two, three と異なっています。何番目という数え方と、何個という数え方が異なると考えられたためです。
日本語では、基数と序数の違いは普段は意識されません。
一方、日本語の助数詞は、物なら一般的に個、ひとなら人(にん)など数の後に付ける数え方の単位です。
個だけでも間に合うはずですが、棒状の物なら本、本など書籍なら冊、お札などの紙は枚、と数え分け、分類にもよりますが500種類はあるといいます。子供や日本語を習い始めた人だけでなく、それぞれの分野の新社会人やあまり使わないものを数えるときには普通の大人でも悩みます。
英語では、助数詞はあまり使われません。時折 a cup of coffee と非可算名詞などとともにあらわれる程度です。
助数詞は、物によって数え方が異なった歴史の、直接の名残です。
どんなものも同じ自然数で数えられることがわかっている現代に生まれて幸いでした。違うものは違う数え方をする時代だったら、それぞれの数を覚えて、変えて数えなければなりませんでした。その分、無駄に複雑だったでしょう。
明日に続きます。
(小林克正)
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