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どんな数ですか (3)

2021年1月13日 (水) 投稿者: メディア社会コース

分数で表されない数の存在は、古代インドでも知られていたようですが、はっきりと認識されたのは、分数が定着して1000年ほどした古代ギリシアでした。

辺の長さが1の正方形を単位正方形といいます。その単位正方形の対角線の長さがそのような数の代表でした。
分数で表されないということで、比で表されない数という意味の無理数と名づけられました。

古代ギリシア以降、長さや面積には無理数があらわれることが知られてきました。

半径1の円の周囲の長さの半分が円周率で、現代では、無理数であることを我々は知っています。
また、円周率は、ランダムな無限小数で表されることも知っています。

円周率がどのような性質の無理数であるかは今でも研究が進められています。

コンピュータによる計算も盛んで、今年中に小数点以下100兆桁を越えそうです。
さらに、数千万桁までは、コンピュータのベンチマークつまり計算速度の測定にも使われています。

こうして、いまでは無理数は循環しない無限小数で表される数と理解されています。

しかし、小数がなくても、無理数の概念は理解できるので、歴史的には、無理数は小数よりも先に知られていたのです。
無理数は分数では表されないので、その近似を分数や単位分数の和で表していましたが、求めるのは大変で、精度も上がらなかったでしょう。
無理数が単位分数の和で近似される時代に生まれなくて幸いでした。

明日に続きます。

(小林克正)

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