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シナリオアナリシスでよくある質問(おすすめの映画)その14

2021年1月24日 (日) 投稿者: メディアコンテンツコース

みなさん,こんにちは。メディア学部実験助手の菅野です。

今回も「プロのシナリオライターを目指すなら見ておいたほうが良い作品」を紹介します。
今回紹介するのはこの映画です。

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『ドラえもん のび太の魔界大冒険(1984)』

【監督】

芝山努

【脚本】

藤子・F・不二雄

【参考URL

https://movies.yahoo.co.jp/movie/148909/

 

【あらすじ】

のび太が、家の手伝いをサボるために魔法が使えるようにならないか、と妄想していたある日、ゴミ捨て場や裏山でのび太やドラえもんそっくりの石像が見つかった。のび太はそれらがあまりに精巧で、魔法の力によるものに違いない、と信じ込む。これをきっかけにのび太は、ドラえもんのひみつ道具「もしもボックス」で、「もしも魔法技術が発展した世界になっていたら?」と願い、翌日から、魔法が日常的に用いられる世界で過ごすことになる。 

魔法の使い方でも落ちこぼれののび太は、しずか、ジャイアン、スネ夫の、いつものメンバーと、ほうきで空を飛ぶ練習をすることになったが、ミスで山中の古い館に助けを求めることになる。そこは、最近「魔界星が地球の脅威として接近しつつある」と警鐘を鳴らしていることで知られた満月博士とその娘・美夜子の家だった。

満月親子の話を半信半疑のまま帰宅した、その日の夜。のび太たちと別れた後に、魔界の悪魔の襲撃を受け、猫に姿を変えられた美夜子が助けを求めてきた。魔界の王デマオンの脅威が真実だと知ったのび太とドラえもんは、いつものメンバーと共に魔王討伐の冒険に出発する。

魔界星へ降り立ち、見たことのない生き物や環境の違いに苦戦するも、なんとかドラえもんのひみつ道具や仲間たちの機転で魔王城へ辿り着いたのび太たち。しかし、美夜子が古文書で突き止めていた魔王の弱点「銀のダーツ」は魔王に効かず、一同はのび太とドラえもん以外、囚われてしまう。

のび太とドラえもんは、タイムマシンで「もしもボックス」を使う前の時間に戻り、過去の自分達が「もしもボックス」を使うことを阻止する起死回生の作戦を思いつく。しかし、タイムマシンすら追撃してきた悪魔メデューサによって、のび太とドラえもんは石像にされてしまい、作戦は実行できなかった。

そんなのび太とドラえもんの窮地を救ったのは、兄ドラえもんの危機を察知するひみつ道具をもっていた妹ドラミだった。ドラミによって石化を解かれたふたりは、古文書の秘密を全て解読し、再び魔王城に舞い戻ると、しずかたちを救出し、魔王の弱点である心臓が隠された星へと急行した。

魔王と配下の悪魔たちによる猛攻を、魔法とひみつ道具の力でしのぎきったのび太たちは、再び銀のダーツを魔王の心臓めがけて投擲し、勝利を掴み取った。

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『ドラえもん のび太の魔界大冒険』は、今も定期的に製作、公開されている映画「大長編ドラえもん」シリーズのひとつで、2007年には『ドラえもん のび太の新魔界大冒険 〜7人の魔法使い〜』としてリメイクされています。大長編ドラえもんシリーズは、好評な作品だったものが多く、全部ではありませんが、特に人気のタイトルはリメイクされており、本作もそのひとつといえます。

シナリオライターを目指す方々に注目して欲しい本作のポイントは「わかりやすい伏線と回収」です。

「あらすじ」で前述しましたが、物語の最序盤に出てくる「石像になったのび太とドラえもん」は、物語の終盤において、その正体と意味が判明します。はじめは、のび太の横着ぶりや妄想を掻き立てる程度の意味しかなかった石像ですが、ストーリーが進むと、窮地に追い込まれたのび太とドラえもんが、なんとか事態を打開しようとしたが失敗に終わった結果だったと判明し、視聴者側に絶望感を与えてきます。

ドラえもんという、万能のひみつ道具をもった存在が、無残にも石にされてしまう、という事実が、当時の子どもたちに与えたショックは大きく、悪魔たちの王デマオンよりも、タイムマシンを追ってまで襲いかかってきた悪魔メデューサの方が記憶に残っている人も多いようです。

この映画が製作された当時は、ドラえもんの原作者である藤子・F・不二雄が存命で、本作の脚本も手掛けています。漫画ドラえもんで、子どもたちの心をつかんだ藤子・F・不二雄が、映画ドラえもんで、絶妙に子どもたちに恐怖と達成感を与える本作、是非いちど見てみてほしいと思います

(文責:兼松祥央)

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