学会ハイブリッド開催騒動記
2021年1月10日 (日) 投稿者: メディア技術コース
メディア学部の渡辺です。こんにちは。
既にこのブログ内で私の含む多くの先生方が報告しておりますが、11月1〜3日の期間に大阪の関西大学で「NICOGRAPH2020」という学会が開催され、メディア学部やメディアサイエンス専攻からも多数の学生が発表を行いました。私の研究室でも6名の学生が発表を行っており、以前にその紹介記事 (その1, その2) を掲載しておりますが、今回は運営側としての立場でお話ししたいと思います。
この「NICOGRAPH」という学会は「芸術科学会」という学会が主催しているもので、毎年1回行われます。今回の「NICOGRAPH2020」で私は「プログラム委員長」という役目を担当していました。どのような役職を設定するかは学会によっても異なるのですが、NICOGRAPH の場合は大きく「実行委員会」と「プログラム委員会」の2つの委員会があり、それぞれの役割をこなしていきます。私が担当したプログラム委員会は、論文を募集したり、その論文の査読(審査)を取りまとめたり、当日のスケジュールをまとめることを主なお仕事としています。どちらかというと、開催当日よりもそれまでの準備の方がメインであり、いざ当日となるとほとんどすることはありません(普通は)。私も、1年前に打診を受けた時はそういった仕事であることは理解した上で引き受けていました。
しかし、今回の学会は例年とはまったく事情が異なりました。言うまでもなく、新型コロナウイルス感染の件です。これにより、そもそも学会の実施形態をどのようにするのかという時点から問題となりました。
論文募集は大体5月くらいから開始するのですが、そのときは「オンライン開催」にせざるを得ないという話で当初は進んでいきました。しかしながら、実行委員長である関西大学の松下先生から「実際に現地で開催しないと大学側から会場費の支援を受けられない」という話があり、現地での開催でないと実施が難しいということになってきました。
ここからまあ色々紆余曲折あって、結果的には「現地と遠隔の両方のハイブリッド開催」ということになったのですが、これが本当に悩ましいことが多く、しばらくはぐっすりとは眠れない日々を過ごしました。(このあたりは書き出すと本当に長文になるのですが、あまり面白くない議論が多いので割愛します。)
今回のことで身に染みたのは、個々の意識が実際は乖離していても、案外気がつかないということでした。コロナに対する各大学の対応というのは、我々教員が思っていたよりも随分学校による差が激しいのです。かなり積極的に対面授業に移行している大学もありますし、一方で大学からは遠方の実家で遠隔にて受講している学生が多数いる大学もあります。印象的だったのは、感染者が多い都会の大学ほど対面や出張に緩く、感染者の少ない地方の方がむしろ厳しい通学や出張の制限を行っていることが多いことでした。そういった意識の差をあまり認識しておらず、どの委員も自分の大学での状況を「他も大体こんなもんだろう」と思い込んでいたわけです。
そのため、実際にすりあわせを行う段階で大きな混乱が生じてしまいました。ある委員は「誰も現地には赴けないので、全面オンラインが現実的」と考えていましたし、また別の委員は「ほぼ全員が現地に集合するので、遠隔参加は断ってもいい」と考えていました。それがわりと方針決定期限ギリギリでわかってきたため、方針決定はなかなかに難航しました。
結果的には「ハイブリッド開催」ということで、当時はまだそれほど感染状況がひどくはなかったので私も現地にて参加しました。今年度中では最初の、そして現状を考えるとおそらく唯一の学会出張となりました。もっと早く「ハイブリッド」で行くことが決定できれば色々と準備を進めて行くこともできただろうという反省もなくはないですが、それよりも結果的には非常に難しい仕事をなんとかこなせたことに安堵しています。いつも学会の仕事を涼しげにこなしていく方々には本当に頭が下がる思いです。
(メディア学部教授 渡辺大地)
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