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2021年2月

ふなばし三番瀬学習館のオンラインワークショップについて

2021年2月24日 (水) 投稿者: メディア社会コース

こんにちは!社会メディアコースの飯沼瑞穂 です。近年、博物館や美術館、学習館などの準教育施設でメディアが幅広く使われてきましたが、昨年は特にコロナ渦の影響で、様々な試みが行われました。その中でも、特にユニークな実験を行っているのがふなばし三番瀬学習館です。昨年、こちらで行われたオンラインワークショップの教育アドバイザーとしての参加の依頼を受けました。以下がそのウェブサイトとワークショップの内容です。こちらでは屋外のワークショップの紹介をしていますが、その他にも小石川小学校と学習館をZOOMでつなぎ授業を行う試みや、家庭内と学習館を行い、イカの生態を実際に参加者の方たちにも買ってきてもらい解剖をするワークショップなど、家庭と学習館をオンラインでつなぐ試みを行っています。いずれもとてもユニークな、実践で、今後の展開がとても楽しみです。

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千葉県ふなばし三番瀬環境学習館 

三番瀬探検隊――♪鳥くんと野鳥を探そう

9月27日 9:00~12:00

場所:三番瀬

新型コロナウイルスのパンデミックは、自然観察の分野でも大きな影響を与えた。複数の参加者を集めて会を開けば、屋外でも密集や密接の状況が生まれやすくなる。また、生き物を観察する会では、双眼鏡や望遠鏡を使うことも多い。複数の参加者が接眼レンズをのぞきこめば、感染リスクが高くなる。現実に、双眼鏡やフィールドスコープ?、望遠鏡をを用いるバードウォッチングの観察や天体観測会のほとんどは、コロナ禍の中で開催されなくなってしまった。この状況で、ふなばし三番瀬環境学習館は、感染リスクを低く抑えた観察方法を新たに生み出した。

 三番瀬環境学習館 より抜粋

 

(分責:東京工科大学メディア学部 飯沼瑞穂 准教授)

 

ソーシャル・デザイン論 ゲストスピーカー 水谷衣里氏 世田谷コミュニティ財団

2021年2月23日 (火) 投稿者: メディア社会コース

こんにちは!社会メディアコースの 飯沼瑞穂です。メディア学部の、2020年度秋学期の講義科目はすべてオンラインで実施されました。

私の担当している 3年生専門科目「ソーシャル・デザイン論」も同じく、すべてオンラインで行いました。

本授業では、持続可能な社会の実現のための仕組みやビジネ、デザインなどについて取り扱っています。(旧授業名:ソーシャル アントレプレナーシップ)今年のゲストスピーカーは水谷衣里氏でした。 以下の写真はその際に水谷氏が自己紹介をされている様子です。

株式会社 風とつばさの代表取締役をされているとともに、数年前から「世田谷コミュニティー財団」の発起人の一人となり、活躍されています。社会を良くするために、財源を調達することは大変重要な項目となってきますが、水谷氏は市民レベルで地域のために活用できるファンドを運営する方法を提唱しています。ソーシャルデザイン論では、モノや商品だけでなく、地域コミュニティのデザインも昨今、大変注目を浴びているテーマです。

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世田谷コミュニティ財団

世田谷コミュニティ財団は、東京都で初の本格的な都市型コミュニティ財団です。社会課題の解決や新たな価値の創造につながる公益活動を広く支え、必要な資源の仲介を行い、社会を構成するすべての主体が公益を支える仕組みを構築することを通じて、「まちを支える生態系」を育むことを目的としています・・世田谷コミュニティ財団 ウェブサイトより

(分責:東京工科大学メディア学部 准教授 飯沼瑞穂)

第7回東京都立戸山高等学校Symposium for Women Researchers(SWR)の講師として参加

2021年2月22日 (月) 投稿者: メディア社会コース

こんにちは、社会メディアコースの飯沼瑞穂です。昨年は東京都立戸山高等学校SSH(Super Science High School)

が開催しているSymposium for Women Researchers (SWR)に講師として参加してきました。

Symposium for Women Researchers (SWR)は、全国の中高生、大学生、大学院生、例年約200名が参加する、理系女子のための研究発表会、交流会で、理系女子の研究支援とネットワークの構築を目的としたシンポジウムです。今年はオンラインでの開催でした。以下のの通りの内容でした。

 

東京都立外山高校 第7回Symposium for Women Researchers (SWR)

・日時:2020年11月1日(日) 11:00~15:30

11:00 開会式                 

11:15~12:50 キャリア・ラウンドテーブルセッション(ランチタイム交流会)

12:10~14:30 ポスターセッション

14:35~15:15 輝く女性研究者賞受賞者の方による講演

15:15~15 :20 閉会式

 

ランチタイムの小グループでの質疑応答、ポスターセッションざっくばらんに話すことができ、進学や研究に対して意識の高い生徒さんが

多いのが印象的でした。発表者への講評も参加しましたが理系の女子高校生達が研究プロジェクトに積極的に参加している様子が伝わりました。是非、これからも頑張ってほしいです。

今年度はオンラインでの開催でしたが、ランチセッションでは学生達と研究者の先生方からのご講評を励みに研究に取り組んでいる生徒も多くいます。

(分責:東京工科大学 メディア学部 准教授 飯沼瑞穂)

 

遠隔授業と新入生対応 ~2020年度を振り返って~(2)

2021年2月21日 (日) 投稿者: メディア技術コース

メディア学部の寺澤です。昨日の記事に引き続き、2020年度開始当初の新入生サポートについて書きたいと思います。前回は学生の手元にノートPCが届き、セットアップが途中まで終わって、教員とメールのやり取りや学内サービスの利用ができる状態になる第1段階までの話でした。今回はそのあとの第2段階として授業開始までに行ったことを紹介します。

第2段階でもいくつかのソフトのインストールや設定などがあり、教員が積極的にメール等でサポートするようにしました。教員だけでは手に負えない事態に備え、教員同士で助け合ったり、在校生によるサポートチームを編成してサポートを引き継いだりする仕組みも整えました。一方、新入生にとっては大学のことはわからないことだらけです。授業はどうやって受けたらいいのか、特にオンラインではどうすればいいのか、学部のカリキュラムはどうなっていて、いつ頃どんな科目を履修すればよいのか、学生生活ではどんなことに気を付けなければならないか、また、卒業後に向けた準備はどのように進めるのか、など、いろいろあります。

通常は、入学直後、授業が始まる前に新入生ガイダンスがあり、そこでこれらの説明が行われますが、2020年度はそれも対面では実施できず、新入生ガイダンスのWebサイトが用意され、そこで説明音声付きのPowerPoint資料が公開されたのみでした。Zoom等を利用したリアルタイムなガイダンスを行わなかったのは、通信環境やノートPCの準備が追い付かず、ガイダンスに参加できない学生が不利にならないようにじっくり何度も見返す(聞く)ことができるようにするためです。動画ではないのでデータ量も小さくできました。また、授業を受けるのに最低限必要なPC操作のための講習会も実施できないので、オンラインで自習するための資料や環境を用意しました。

そして、これらの支援を前回も書いたフレッシャーズゼミ(FS)の単位で行いました。メディア学部では、新入生への教員からのコンタクトをできるだけ早く始めたかったので、他の学部とは違って、学生の手元にノートPCや資料が届く前からコンタクトを始めました。それらの送付先を学務課で収集した際に、個人的なメールアドレスも収集してもらい、それを用いていち早くコンタクトを始めたのです。やがてPCや資料が届いたことが確認できるとPCセットアップのサポートをFS単位で行い、大学付与のアカウントでメールのやり取りや学内システムにアクセスできるようになって以降は、そちらのアドレスに切り替えてサポートを継続しました。各自の受講環境(ネット環境)の調査も行いました。

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遠隔授業と新入生対応 ~2020年度を振り返って~(1)

2021年2月20日 (土) 投稿者: メディア技術コース

皆さん、こんにちは。メディア学部の寺澤です。

あと1ヶ月と10日で2020年度も終わりです。2020年度はオンライン授業の年でした。メディア学部では、教員の組織として「遠隔授業ワーキンググループ(WG)」を設置し、オンライン授業に関するあらゆることについて検討して実施してきました。もちろん全学的な取り組みの一部を担う側面もありましたが、学部独自の対応についても多くのことを行ってきました。年度末を迎えるにあたり、現在WGでは2020年度を振り返った報告書の作成を始めています。私も最初からかかわってきましたので報告書の一部を書いているところですが、担当部分のダイジェスト版を今日と明日の2回に分けて書きたいと思います。2020年度の新入生を迎えるにあたり、どのような準備を行ったのか紹介したいと思います。

今回は新入生のPCのセットアップについてです。ご存じの通り、新型コロナウィルスの感染が拡大し、3月ころから卒業式や入学式の中止の報道が増えました。東京工科大学も2019年度の卒業式、2020年度の入学式は中止されました。4月には緊急事態宣言も出て、ほとんどの大学は対面での授業が困難な状況となりました。そこで、各大学では急遽、オンライン授業の準備を進め、新学期をスタートさせたわけです。メディア学部では新年度最初の4月1日の会議をZoomで行いました。授業開始が延期され、様々なことが未定の状況で個々の教員がオンライン授業の準備を手探りで始めました。冒頭に書いたWGが組織され活動がスタートしたのは4月の半ばです。やることがたくさんある中で、最も緊急度が高く重要と考えられたのが新入生対応でした。

東京工科大学では、授業や大学の各種サービスを利用したり、自宅での学修やレポート作成等に使うため、新入生にはノートPCを用意(購入)してもらいます。自分で選んで用意してもらってもいいのですが、適切な機種がわからない人向けに、推奨するノートPCを選定して学内のブックセンターで販売しています。毎年、大多数の新入生が入学前にこの推奨ノートPCの購入申し込みをします。ノートPCは入学式の前後の時期にキャンパスで引き渡し、その際に授業で活用していくための各種のセットアップを行います。また、授業開始前に簡単な講習会も実施しています。2020年度はこれらが対面では実施できなくなってしまいました。そこで、推奨ノートPCの購入者にはPCを送ることになりました。とはいえ、従来のようなセットアップの対面サポートもできない状況でPCを受け取っても、PCに詳しくない新入生にとっては、それを使えるようにし、遠隔授業の開始に備えるというのは難しいことです。そこで、学部単位ではなく大学全体として対応することとなり、私を含むメディア学部の遠隔授業WGの一部メンバもその体制作りに加わることになりました。

続きを読む "遠隔授業と新入生対応 ~2020年度を振り返って~(1)"

2020年度 卒業研究発表会

2021年2月19日 (金) 投稿者: メディア技術コース

2月始めに卒業研究発表会を行いました。例年、羽田先生の研究室で合同でポスター発表形式で行っていますが、今年度は学部の方針でオンラインで行うことになりました。前期末にも中間発表会をオンラインで行いました。両方ともポスター発表で行う予定だったものを、オンラインで形式をなんとか真似て開催いたしました。前後期で違う方法で開催したのですが、それぞれポスター発表としてのプロセスを模擬することができたのではないかと思いました。

 

前期は、ClusterというVR環境を利用したSNSのツールを利用して、3次元空間のポスター発表会場を用意しました。メイン会場から個々のポスターの部屋へワープするような仕掛けを用意して、参加者は好きな発表の部屋に自由に赴き、自由に退出するということができるようにしました。今回は戀津先生が作成されたGoogle Meetを利用したシステムを利用させてもらいました(戀津先生、ありがとうございました)。ウェブのページにポスターの一覧が提示されており、個別のポスターをクリックするとダイアログがポップアップし、発表者と議論するためのMeetのセッションに入るためのリンクと、卒業論文のPDFを閲覧するリンクが示されるようになっています。個々の発表を聞く環境はリモートミーティングそのものですが、自由に各ポスターの発表に入ったり出たりできるプロセスはやはり通常のポスター発表と同じことが実現されています。また、それぞれの発表にその時何名参加しているかが表示されていることも、実際のポスター発表で人が多いところが面白そうと思って行ってみたり、少ないところはすぐに話が聞けそうと思って行ってみたりすることが同じようにできました。

 

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      各ポスター発表への入り口に相当するページ

 

2つの研究室合同で行っているなかで、他の研究室学生の発表についてレビューアーとして対応する必要があったので、全体で参加者がどのように過ごしているかを観察している余裕があまりありませんでしたが、下級生も含めて60名程度の学生が参加してくれていたようです。例年であれば、ポスターだけでなく研究内容のデモをその場にシステムを配置して見せることを行っているのですが、さすがに今回はそれができなかったため、動画を用意するようなことで対応せざるを得ませんでした。この点は少し残念なところですね。発表会のはじめには参加者全体で一つのZoomのセッションに集まり、それぞれの研究を30秒で宣伝?するファストフォワードというものを行い、その後、それぞれのポスター発表に散っていきました。

 

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       ポスターを拡大して見たところ

 

今年度は、今回の卒研発表会を含めて色々なものが例年と異なる方法を取ることになりました。来年度に完全に元に戻るということも難しいかもしれません。ということで、今回のような試みをうまく混ぜていきながら、さらに新しい方法を模索していくことが必要になっていくのでしょう。

 

 

太田高志

メディア学部1年生のデザイン力を向上させて資金力の少ないNPO法人や中小企業のプロモーションに活用する③

2021年2月18日 (木) 投稿者: メディア技術コース

5年前から新しい研究テーマを始めた健康メディアデザイン研究室の千種(ちぐさ)です。人体を健康メディアとしてとらえメディアをつかって自らの健康をデザインするための研究を行っている研究室です。

千種はフィールドワークとして地元八王子の市民活動や中小企業の支援を行なってきていますが、今回はそのフィールドワークとメディア学部の教育をつなげて、①学生のデザイン力の向上と②八王子市内の団体・企業への地域貢献により、③持続的に産学公連携を実現するプロジェクト演習『企業・団体のプロモーション法』の紹介の第3段の最終回です。

『企業・団体のプロモーション法』 は以下の3点がポイントとなります。

①canvaという無料のWebデザインツールを使用した学生へのポスターのデザイン教育

②八王子市内のデザイン企業を経営するプロデザイナーを演習講師として招聘

③八王子市内のNPO法人等のポスターデザイン制作を受け入れるスケジュール管理

①と②によって学生のデザイン力を強く刺激し、デザイン力の向上に大いに貢献していることを説明させていただきましたが、今回は③によって、さらに学生のデザイン力がさらに向上するという授業の仕組みの部分について説明します。

メディア学部生は1年生から4年生まで様々な演習などでデザイン力を向上させていきます。しかし、最終的に一般公開されるレベルになることは少なく、学内外のコンテストが主な最終発表の場となります。これはつまり相当にデザイン力がありやる気のある学生のみが最終発表にたどり着くことになり、デザイン力を高めたいという大多数の学生にとっては発表の場がないに等しいです。これでは課題を完成させるだけで、デザイン力のブーストアップには至りません。また他のポスターデザインと比較する習慣もないため、良いデザインとは良くないデザインとは、という視点が弱いのも問題です。

また日本中のボランティア団体や中小企業のほとんどは、その脆弱な資金力によってイベント・活動、商品のPR方法としてポスターが十分に活かせていないのが現状です。結果として、PR不足→参加者が増加しない、活動の告知が不十分、商品の販売促進が不十分、そして、結果として広報活動に対する経済力・余剰資金が増えない、といった負の連鎖から脱出できていません。つまり、広報活動をしたいけれども十分な対価を支払いできないため現状に甘んじている、といったのが現状です。

上記の2つの立場からの課題を小規模ながら一挙に解決しようとするのがプロジェクト演習『企業・団体のプロモーション法』です。これを解決するために、学生の意識改革を実現するのが「③八王子市内のNPO法人等のポスターデザイン制作を受け入れるスケジュール管理」になります。前述の①と②でレビューも含めて100分で完成させるというポスター制作の課題です。しかし、通常の演習などではその時間内で終わらなくても良い、1週間遅れても仕方ない、という学生のマインドがあります。しかし、実際に現場で使用するポスターは行程が決まっていて納期も短期間なことが多く、納期遅れは厳禁です。

このような厳しい条件を成立させるために、ポスターの納期から逆算して、使用する文章や素材は事前に揃えておく必要があります。これらの組合せによって本番で使用できるポスターが100分で完成する仕組みを実現しています。この回では左上のポスターが依頼元の団体において決定されて、使用されました。この採用されたポスター制作者は1年生です。この1年間で劇的にデザイン力を向上させた良い事例になります。

終わり

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メディア学部1年生のデザイン力を向上させて資金力の少ないNPO法人や中小企業のプロモーションに活用する②

2021年2月17日 (水) 投稿者: メディア技術コース

5年前から新しい研究テーマを始めた健康メディアデザイン研究室の千種(ちぐさ)です。人体を健康メディアとしてとらえメディアをつかって自らの健康をデザインするための研究を行っている研究室です。

千種はフィールドワークとして地元八王子の市民活動や中小企業の支援を行なってきていますが、今回はそのフィールドワークとメディア学部の教育をつなげて、①学生のデザイン力の向上と②八王子市内の団体・企業への地域貢献により、③持続的に産学公連携を実現するプロジェクト演習『企業・団体のプロモーション法』を紹介するブログの第2弾です。前回は下記の①について説明したので今回は②について説明させていただきます。

『企業・団体のプロモーション法』 は以下の3点がポイントとなります。

①canvaという無料のWebデザインツールを使用した学生へのポスターのデザイン教育

②八王子市内のデザイン企業を経営するプロデザイナーを演習講師として招聘

③八王子市内のNPO法人等のポスターデザイン制作を受け入れるスケジュール管理

①のcanvaにおいて利用できる豊富なテンプレートは学生のデザイン力を強く刺激することは前回説明させていただきましたが、今回は②によって、さらに学生のデザイン力が向上するという授業の仕組みの部分について説明します。

その理由として、canvaにおいて利用できる豊富なデザイン力の優れたテンプレートをアレンジして、学生は自分のイメージを100分の授業内で最終形に仕上げます。100分でよいポスターデザインを制作できるかどうかは探して選ぶテンプレートによって大きく左右されます。下図の左側がある学生が選択したテンプレート、右側が100分以内で完成させたデザイン。

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授業の最後に演習講師のプロデザイナーから「よりよいデザインにするためにはという方向性」でレビューをしてもらいます。そして最後にプロデザイナーによるポスターデザインを例示して100分の授業が終わります。

これにより、ポスターデザインにおいてプロデザイナーが守るべきポイントである、目線、アイキャッチ、色使い、変化、などについて重要な点についての指摘があります。これがレビューされている学生および他の学生にとっても実践的な学びになります。そして全員のレビューが終わってから最後にプロデザイナーが同じ時間で仕上げた同じポスターデザインについて事例紹介をして、学生にとって「プロのデザインとは」を実感し、自分のデザインとの差を知ることになります。これを繰り返すことにより回を重ねるごとに学生の個人個人のデザイン力が向上していくことになります。

また、学生ごとに選ぶテンプレートも完成させたデザインも多種多様になっているのも参加した学生にとって、デザインの可能性について体得できるようになります。

③へ続く

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メディア学部1年生のデザイン力を向上させて資金力の少ないNPO法人や中小企業のプロモーションに活用する①

2021年2月16日 (火) 投稿者: メディア技術コース

5年前から新しい研究テーマを始めた健康メディアデザイン研究室の千種(ちぐさ)です。人体を健康メディアとしてとらえメディアをつかって自らの健康をデザインするための研究を行っている研究室です。

千種はフィールドワークとして地元八王子の市民活動や中小企業の支援を行なってきていますが、今回はそのフィールドワークとメディア学部の教育をつなげて、①学生のデザイン力の向上と②八王子市内の団体・企業への地域貢献により、③持続的に産学公連携を実現するプロジェクト演習『企業・団体のプロモーション法』を紹介いたします。

プロジェクト演習(企業・団体のプロモーション法)
メディア学部シラバスより(https://kyo-web.teu.ac.jp/syllabus/2020/MS_P022857_ja_JP.html)
 現在、モバイルサイトやスマートフォンアプリからの情報発信量はPCのそれを大きく上回っている、しかし、一般的な企業や団体は適切な情報発信ができていない。
 この授業では、そういった企業や団体をピックアップし、業務分析と業務理解、情報発信計画の策定(PLAN)、情報発信の実施(DO)、現状認識・現状分析(CHECK)、次期情報発信計画の策定(ACTION)、と情報発信と業務理解のPDCAサイクルを実施しながら、情報発信法を学んでいく。

この演習授業は1年生前期から履修できるデザインの入門用の演習ですが、結果として半年間で学生のデザイン力は劇的に向上しますので、実用に耐えるデザインが多数活用されました。この演習のポイントは3つあります。

①canvaという無料のWebデザインツールを使用した学生へのポスターのデザイン教育

②八王子市内のデザイン企業を経営するプロデザイナーを演習講師として招聘

③八王子市内のNPO法人等のポスターデザイン制作を受け入れるスケジュール管理

まず、1で使用するcanvaを説明します。

公式サイト(https://www.canva.com/)より
◆Canvaとは何ですか?
Canvaは、どこにいても、どんなデザインでも作成できるツールです。ドラッグ&ドロップで作成できるツールと、カスタマイズ可能なテンプレートで、世界 179 ヵ国で 10 million (1000万)のユーザーが 400 million (4億)を超えるデザインを作ってきました。現在は 100 を超える言語で提供しており、パソコンやモバイル端末でもご利用いただけます。インターネットさえ繋がれば、誰もがCanvaをご利用いただけます。

Canva

◆Canvaでできること
Canvaがあれば、あらゆる場面や目的に合わせた美しい文書やデザインを簡単に作成できます。ソーシャルメディアの画像からプレゼンテーションまで、 65,000 を超えるテンプレートから自由に作成可能です。
その他にも、100万点以上の写真素材、イラストレーション、アイコンやフォントを取り揃えています。提供している素材は全てデザインでご利用可能です。

◆誰がCanvaを使うのか
インターネットが使える方、全てです。実際、Canvaは以下のユーザー様にご利用いただいております。
コストをできるだけ削減したい 中小企業 。デザインや文書の一貫性を確保しつつ、各チームや部門にあわせて柔軟に変更や編集をしたい 大企業 。新しい技術や複雑な理論の学習に時間を無駄にせずに学生を教える方法を捜している 教師 。効果の高いマーケティング素材を作成したい 非営利団体や慈善団体 。
自分のデザインのスキルを向上したり、楽しみのために使っている 個人 。

ということで大学教育においても導入が容易でしたので、今年度からcanvaを導入し、後期からcanvaの演習事業での活用を本格化して、結果として学生全員のデザイン力が飛躍的に向上しました。

その理由として、canvaにおいて利用できる豊富なデザイン力の優れたテンプレートをアレンジして、学生は自分のイメージを100分の授業内で最終形に仕上げます。授業の最後にプロデザイナーから「よりよいデザインにするためにはという方向性」でレビューをしてもらい、これによって本人のみならず他の学生にとってもデザイン力が強く刺激されます。これを繰り返すことにより回を重ねるごとに学生の個人個人のデザイン力が向上していくことになります。

②へ続く

サウンド×ヒューマン研究室・2020年度卒業研究発表会

2021年2月15日 (月) 投稿者: メディア技術コース

メディア学部の大淵です。

新型コロナで様々な制約があったこの1年ですが、それでも我が研究室の4年生たちは精力的に卒業研究に取り組み、ぶじ卒業論文を書きあげました。そして2月2日(火)に、恒例の卒業研究発表会を行いました。例年は大教室でのポスターセッションでしたが、今年はZoomを使ってのオンライン発表会となりました。発表題目は以下の通りです。

  • 楽曲構造の分析に基づく選曲機能を持つAI音楽プレーヤー
  • 自動車車室内の快音化の研究
  • VR咀嚼音システムの研究
  • バイノーラル録音のリアリティに関する実証的研究
  • 歌唱データと歌詞の自動照合システムの作成
  • 遠隔合唱システムにおける雑音抑圧の最適化
  • キャラクターの最適な声の選択に関する研究
  • 自然言語処理に基づくリズムパターン生成
  • ギターアンプの特性評価とシミュレーション
  • 音楽嗜好における性差の研究

この1年、ずっとオンラインミーティングを繰り返してきたこともあり、Zoomでの発表には皆さん手慣れた感じです。音の研究室だけに、音を鳴らしての実演入りの発表も多かったのですが、システムトラブルもなく全員順調に発表を終えることができました。

何人かの人は、このあと学会発表の予定がありますが、それ以外の人も、卒業論文の推敲を行って最終版を提出するまでが卒業研究です。心は既に春休みかもしれませんが、あともうひと頑張りですね。

シナリオアナリシスでよくある質問(おすすめの映画)その16

2021年2月14日 (日) 投稿者: メディアコンテンツコース

みなさん,こんにちは。メディア学部実験助手の菅野です。

今回も「プロのシナリオライターを目指すなら見ておいたほうが良い作品」を紹介します。
今回紹介するのはこの映画です。

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『カーズ(2006)』

【監督】
ジョン・ラセター
ジョー・ランフト 

【脚本】
ジョン・ラセター
ジョー・ランフト
ジョルゲン・クルビエン
ダン・フォーゲルマン 

【参考URL
https://movies.yahoo.co.jp/movie/324138/ 

【あらすじ】
車たちが人のように言葉を話し、人のように暮らす世界。若き天才レーサーのマックイーンは、自身の才能に驕り高ぶるあまり、自身のレーシングチームのスタッフを軽んじてトラブルを引き起こし、優勝決定戦のレースを前に、田舎町の「ラジエーター・スプリングス」で置き去りとなってしまった。

一刻も早く決勝会場へ向かいたいマックイーンは町の住人に協力を求めるが、田舎町では彼の名声も役に立たず、身勝手な態度から問題を引き起こしたため、街のリーダーであるドックから道路の舗装を命じられてしまう。焦るマックイーンはドックに街からの脱出を賭けたレースをもちかけるも敗北。一気に自信を失い、舗装作業に従事するようになったマックイーンだったが、そんな彼を励ますレッカー車のメーターたちによって、仲間がいることの喜びと感謝を実感するようになっていく。

 そんなある日、ドックの正体が伝説のレーサー「ハドソン・ホーネット」だと偶然知ったマックイーンは、ドックが大事故によって見捨てられたことにショックを受け引退した話を本人から聞かされる。そこでマックイーンは、仲間たちをより大事にしようと決めて街に残ろうとしたが、ドックは密かに連絡をまわしており、マックイーンは半ば強引に決勝レースへ送り出されることになった。

 別れの挨拶もろくにできなかったことで集中力を欠いていたマックイーンは、優勝を諦めかけるが、後から応援に駆けつけた「ラジエーター・スプリングス」の仲間たちの姿を見て奮起し、最終ラップでついにトップとなる。

そのまま優勝かと思われたが、最下位になりたくないチック・ヒックスが、2位で今期限りの引退を宣言していたレーサーキングことストリップ・ウェザーズを強引に突き飛ばしてクラッシュさせた。マックイーンは急遽たちもどり、レーサーキングを支えてゴールした。ドックの時のような出来事を繰り返したくなかったのである。

優勝を逃したマックイーンだったが、彼の行動は大喝采を浴び、レース後に好待遇の契約話をも引き込んだが、マックイーンは「ラジエーター・スプリングス」へ戻ることを選び、仲間たちと共に、街に新たな活気をもたらす道を選んだのだった

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『カーズ』は、「トイ・ストーリー」シリーズなどを制作したことでも知られる、ピクサー・アニメーション・スタジオのフルCGアニメーション映画です。作中の舞台は地名などからアメリカだと推察できますが、人間のキャラクターは一切登場せず、もっと言うなら動物や虫も登場せず、牛のような車や昆虫のような車に置き換わっている世界観です。その代わり、登場キャラクターたちの日常生活における動作はとても人間臭く、独自性のある作品に仕上がっています。

この作品でシナリオライターとして注目すべきポイントは「成長」についてです。

物語の発端部分では、自分の才能を過信して仲間たちを全く大事にしない、自分勝手な主人公が、自業自得ながら陥った窮地において周囲から向けられた優しさによって考えを改め、、結末では自身もまた他者へ優しさと思いやりの心を持てるようになる、その明確な「成長」を見て取れるシナリオが「カーズ」のシナリオです。

よく「シナリオ」は「小説」と混同されがちなのですが。決定的な違いのひとつが、「原則としてシナリオには地の文が存在しない」という点です。小説であれば、地の文には登場人物の心情を説明する記述があったり、その説明のために文学的な表現や抽象的な表現などを用いたりすることも許されるのですが、シナリオにそれらは基本的に記述してはいけません。なぜなら、それらは映像化することができないからです。どうしても心情や精神状態を強調したいのであればセリフにして、登場人物に話させるしかありませんが、多用すると文字通り説明くさくなって、本心からそう言っていないかのように受け取られる可能性が高くなります。

ゆえに登場人物の内面的な成長をシナリオに書くことはとても難しいのですが、「カーズ」は主人公の才能に起因する「驕り高ぶり」という、目に見えない精神状態を「田舎町に置き去りにされる」という「報い」によって可視化し、街から去るときには「驕り高ぶり」を捨てることができる「成長」として明確にしています。

メディア学部でシナリオ執筆の課題に取り組む学生さんたちの中には、物語の結末部分で「~することで成長を遂げた」「~と考えられるようになった」といった表現で締めくくる人も多いのですが、具体的にとった行動が記述されていないことが多々あります。

その点で「カーズ」の主人公マックイーンは、序盤で他者を大事にしない言動を、最終的に他者に寄り添い、仲間たちと共に街の発展に尽くす、という行動に変えることでも「成長」を表現しきっています。

まったく人間が登場しない作品で、人間的成長を見事に描いているという点も、ある意味興味深いので、是非一度見てみて欲しい作品です。

(文責:兼松祥央)

2020年度シナリオアナリシスを終えて

2021年2月13日 (土) 投稿者: メディアコンテンツコース

みなさん,こんにちは.メディア学部助教の兼松です.

新しいことだらけだった2020年度の授業もおわり,ここ最近は教員的には成績付けなどをやる時期でした.
一口に成績付けといっても,授業によってやること,みるものは様々です.そんな中,私が担当しているプロジェクト演習「シナリオアナリシス 」と「デジタルキャラクターメイキング」では最終課題が学生のみなさんが様々な苦しみを乗り越えて作り上げた作品ですので,それらを読むのは毎年の楽しみでもあります.

さて,今年のシナリオアナリシスは以前にも書きましたが,履修・聴講を含めて受講者が例年にくらべて多い1年になりました.
これは授業内でとったアンケートを見る限り,やはり「遠隔から参加可能だった」という理由が大きいように思います.
この演習は,私や演習講師の先生の都合上,どうしても夜の開催になってしまいます.受講するために前提となる条件や選抜がなく聴講もOKで,シナリオという様々なコンテンツに幅広く関わる要素を扱うため,比較的間口の広い演習である一方,通学に時間がかかる方が参加しづらい状態になっていることはいなめません.
したがって,完全遠隔で受講可能な今年度は,今まで参加を見送っていた層の方々が受講してくれたのかなと思います.

そして受講生に1年生をはじめ,新規で受講する方が非常に多く,前年度から継続して受講している方の割合が低かったのも,例年にはなかった今年度の特徴です.
例年のシナリオアナリシスは,前期にいわゆる「お勉強回」の時間を多めにとり,特に初心者の方に向けて基礎練習を多めに行っています.そして後期は前期の内容を踏まえて,オリジナルシナリオ執筆に多くの時間を使えるように構成しています.
ただ今年度は,後期から初めて受講する方もかなり多かったため,結果的にシナリオを書き上げた方は居らず,全員がその前段階であるプロット制作に時間をかけて取り組むことになりました.
前述した「個人的な楽しみ」という点では正直ちょっと残念ではあるのですが,物語の根幹を作るプロット執筆の練習に時間をかけることは決して悪いことではありません.

来年度も基本的には例年通り前期は基礎をしっかりおさえて,後期は比較的自由に作品制作を行うという方針は変えないつもりではあります.しかし,例年以上に様々な条件・習熟の程度が異なる方が参加するようになってきていますので,演習ももう少しレベル別にやれることを変える工夫などを盛り込もうという話を教員間でしています.
今年度,プロットまでしか仕上げられなかった受講生の皆さんには,是非来年度も受講していただいて,シナリオまで仕上げてほしいなと思っています.

(文責:兼松祥央)

シナリオアナリシスでよくある質問(おすすめの映画)その15

2021年2月12日 (金) 投稿者: メディアコンテンツコース

みなさん,こんにちは。メディア学部実験助手の菅野です。

今回も「プロのシナリオライターを目指すなら見ておいたほうが良い作品」を紹介します。
今回紹介するのはこの映画です。 

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『ホステル(2006)』

【監督】
イーライ・ロス

【脚本】
イーライ・ロス 

【製作総指揮】
クエンティン・タランティーノ

【参考URL
https://movies.yahoo.co.jp/movie/325467/ 

【あらすじ】
ヨーロッパへ旅行中のアメリカ人の大学生パクストンは、友人ジョシュと、旅先で意気投合したオリーの3人で、夜の街で遊び呆けていたところ、宿泊中のホステルをつまみ出されてしまった。困っていたところをアレックスという男に助けられた3人は、スロバキアの街にある娼館の話を聞かされ、スケベ心丸出しで向かった。

 娼婦たちとの夜を楽しむ3人だったが、翌日ジョッシュの姿が消えていた。パクストンとジョッシュはオリーを探したが見つからず、その晩も娼婦たちと夜を過ごすと、今度はジョッシュまでもがいなくなってしまった。ひとり街中を探すことになったパクストンは、娼婦からふたりが一緒にいるという建物の場所を聞かされて駆けつけたが、待ち伏せていた屈強な男によって拘束されてしまう。

椅子に縛り付けられたパクストンは、見ず知らずの男に、ふとももを幾度となく刺され、左手はチェーンソーで切り落とされた。しかしパクストンは必死の抵抗によって逆に男を殺すと、身を隠し、客の姿に変装して脱出を試みる。その途中、自分と同じように殺されかけていた女性、カナを見つけたパクストンは彼女を見捨てておけず、危険を承知で助け出し、鍵のかけっぱなしだった車を見つけて建物を抜け出した。

パクストンたちが誘い込まれたのは、大金を払うことで殺人を楽しむことができる館を経営している街だった。最初に話をもちかけたアレックスと娼婦たちが談笑する姿を見かけたパクストンは、彼らに車をぶつけて騒ぎを起こした隙に、カナと共に列車の積荷に紛れて街を出ようとする。ところが駅の看板に映った、片目をえぐられ、バーナーで顔を焼かれた自らの姿を見てしまったカナは、絶望のあまり、到着してきた列車に身を投げてしまった。これがまた騒ぎとなって街の警官たちの注意がそれたことで、パクストンは列車に乗り込むことができた。

列車内で客を装いつつようやく一息ついたパクストンの耳に、聞き覚えのある声と話が入ってきた。アレックスが、自分たちの時と同じようにまた誰かをあの街へ誘い込もうとしていたのだ。パクストンは密かにアレックスを尾行し、アレックスが駅のトイレのために下車したところを襲撃。自分と同じように指を切り落とした上で殺害し、復讐を果たした。

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『ホステル』は映画のジャンルでいうと「ホラー」に該当する作品で、もっと絞り込むのであれば「スプラッター・ホラー」にあたります。もともとコアなファンが多いホラー作品ですが、本作の残酷描写は特に生々しく、とても凄惨で、製作総指揮クエンティン・タランティーノの名に惹かれて見に来たファンが視聴を途中で断念した、なんて話もある問題作です。

 この作品を何故とりあげるか、というと「私がホラー作品を苦手」だからです。

すでにこのブログでは「プロのシナリオライターを目指すなら見ておいたほうが良い作品」として、10本以上のタイトルを挙げてきましたが、その全てが「万人受け」する作品というわけではありません。『見たことのない方は是非一度見てみてください』と締めくくることが多い、このブログですが、人によっては「苦手なジャンル」だったがゆえに、見てこなかった作品もあるでしょう。

ただ「個人の好き嫌い」と「作品の良し悪し」はまったく別の価値観です。「プロのシナリオライターを目指すなら見ておいたほうが良い」と私が述べる理由は、個人としての「好き嫌い」に関係なく、プロのシナリオライターとして「良し悪し」を見きわめるスキルが重要だと考えているからです。実際、私は今回取り上げた「ホステル」を、だいぶ気分を害しながら見たのですが、様々な発見があり、とても勉強になりました。

特にスプラッター要素として血が流れ、肉が切り刻まれる描写を、拘束された拷問シーンにすることで、痛みと恐怖を想像させやすくしています。スプラッター作品にも色々ありますが、そのへんのシーン作りはとてもさじ加減が難しいところで、一歩間違うとチープで現実味のない作品になってしまいます。

例えば本作中には、ある意味ホラー作品定番の小道具「チェーンソー」がとして出てきますが、定番の小道具になりすぎて、これを振り回す狂人が出てきても、最近の視聴者はそこまで恐怖を感じません。しかし「拘束された状態」となると話は別です。逃げようがありませんから、これほど恐ろしい凶器はないでしょう。

ホラー作品は、いわゆる「B級映画」と呼ばれることになりやすいジャンルでもあります。映画の完成度は、シナリオだけで決まるものではないので、仮に前述のようなシチュエーションを、説得力のあるシナリオとして記述しても、予算の都合で演出が安っぽくなると、やはり一気に台無しになってしまうこともあります。

しかし、それだけに「ホステル」は最後まで緊張感を切らさず、恐怖を与え続けてくる点において優れた作品と言えるでしょう。繰り返すようですが、かなり過激なシーンが続く作品なので、視聴の際は注意が必要ですが、一見の価値はあるかと思います。

(文責:兼松祥央)

 

三上・兼松研卒業研究最終発表会

2021年2月11日 (木) 投稿者: メディアコンテンツコース

メディア学部の三上です.

先日,三上・兼松研究室の本年度の卒業研究最終発表会が実施されました.
今年はCOVID-19の影響で,ZOOMを用いた遠隔での開催となりました.今年は16名の学部4年生の最終発表と,早期一貫プログラムの3名の学生の中間発表,3年生17名による創成課題の発表があり,朝から夕方までの長丁場でした.

例年,会場には1年生から3年生も参加して総勢100名を超える発表会場になっていました.今年も遠隔とはいえ最大で150名近い学生が参加していました.

研究の内容は・・・実はこれから多くの学生が学会発表をしますので,あまり明らかにできません.でもとりあえずタイトルだけはということで下記のような研究があることだけ紹介しておきます.

<卒業研究最終発表題目一覧>

ホラーゲームにおける馴化回避のための動的サプライズ演出制御システムの提案
モバイルアプリのアバター髪型におけるウェーブ・カール編集システム
音声感情解析AI を用いた声の演技における感情表現の自主練習支援
キャラクタの状態に関連したフォントの動的変化表現
VRでの画面占有を考慮した文字入力高速化の研究
ゲーミフィケーションを利用したゲームアイデア発想訓練システムの提案
温度刺激を活用した被弾感覚提示デバイス の開発
建築様式を考慮した神社のプロシージャル生成
アニメーション作品における変身シーンの演出設計支援
CG映像制作における手描きアニメーション投影方法を考慮した消失点の操作法の提案
シルエット分析に基づく巨人キャラクターの制作支援手法
プレイヤーのリアクションの音響的特徴量に基づく動的難易度調整
アクティビティ再現を考慮した公共空間計画におけるVR支援システム に関する研究
反復するマルチストーリーにおける強制ザッピングに関する研究
VR空間内におけるハンドトラッキングを用いた対戦型カードゲームシステムの提案
プレイ状況を考慮したHUD の自動調整手法に関する研究

<卒業研究中間発表題目一覧>

セルアニメ風3DCGアニメーションの編集支援システム
Twitter分析に基づくソーシャルゲームのサービス終了に対する評価
競技自転車ゲームにおける体重移動を考慮したインタラクションの提案

 

学会発表が終わりましたら,その報告と合わせて学生たちの研究を紹介していこうと思います.

 

文責:三上浩司

「音楽創作論」での作曲(その2):曲が完成しました!

2021年2月10日 (水) 投稿者: メディアコンテンツコース

メディア学部の伊藤謙一郎です。

前回の記事で「作曲予定」とお伝えしていた曲が完成し、授業の最終回でお披露目しました。その際、履修生たちが視聴したMuseScoreの楽譜を動画にしましたので、ぜひご覧ください。
(※下の画面内、あるいは時間表示の左側の▶︎をクリックすると再生が始まります)


メインのメロディ冒頭の動機(モティーフ)は履修生のE君とT君によるもので、この動機が作られるまでの過程も前回の記事に詳しく書いていますので、お読みいただければと思います。

曲を作るにあたって、お二人からの要望は次のようなものでした。

 【E君】
 ・テンポはBPM=120
 ・曲調はフュージョンっぽく

 【T君】
 ・最初の動機(第1動機)に続く第3〜4小節の動機(第2動機)の形態はA´


上記3点を念頭に、まずは曲のスケッチに入りました。以下はそのスケッチの全貌です。(※あくまで自身のための作曲メモなので、お見苦しい点はご容赦ください)
Sketch01


このスケッチをもとに、イメージを膨らませながらMuseScoreに音を埋めていきました。最終的に次のような楽曲構成になりました。

Next-step

ご覧の通り、E君とT君が考案したフレーズが含まれる「Aメロ」と、私が独自に作った「Bメロ」「Cメロ」の3つのメロディ、そしてイントロと2つの間奏(※どちらもイントロを転用したもの)から構成されます。また「´」の記号は、元のメロディが部分的に変化していることを示します。

これらの各セクションを踏まえて俯瞰すると、「Aメロ」と「Bメロ」の組み合わせで構成される部分(AおよびA')と、「Cメロ」と間奏で構成される部分(B)に区分され、A−B−A' という大きく3つの部分から構成されていることがお分かりいただけると思います。また、ちょうど中間の「Cメロ」はゆったりとした静かな曲調で、前後の部分と大きなコントラストがつけられています。テンポはBPM=120のままですが、リズムの基本音価(音の長さ)を2倍にとることで、あたかも半分のテンポ(BPM=60)になっているような効果を生み出しています。

次に、各メロディの冒頭の動機について説明しましょう。


まず「Aメロ」です。

Motif_1

すでに説明した通り、第1〜2小節はE君とT君それぞれが作った部分動機から構成されています。跳躍進行で上行するE君のフレーズに対して、T君は逆の要素、つまり順次進行で下行するフレーズを考えました。一方、共通点としてはどちらの部分動機も強拍(第1拍)が休符になっている点が挙げられます。この動機を「第1動機」としましょう。

この「第1動機」を踏まえて、次のような「第2動機」(第3〜4小節)を作りました。

Motif_2

T君が希望した形態は「A´」でしたので、第3小節はE君のフレーズにしつつ、第4小節に変化を入れてみました。順次進行で下行する流れは第2小節に似ているものの、表拍に16分休符、裏拍に16分音符が置かれたシンコペーションのリズムによって、躍動感や切迫感はさらに増しています。


次は「Bメロ」です。

Motif_3

複数のメロディを作る際の常套手段ですが、ここでは前のAメロと対比的な要素や、無かった要素を盛り込みました。Bメロの「第1動機」の始まりには、順次進行で下行するフレーズが置かれています。跳躍進行で上行するAメロとは真逆ですね。しかも出だしは強拍から始まっており、この点は特に大きなコントラストになっています。

また、「第1動機」と「第2動機」の音の方向性(上行・下行)に注目すると、互いに相反していることがお分かりいただけると思います。この「第1動機」を「原形」とすると、「第2動機」は「反行形」になります。桃色の点線で示したようにリズムは完全に一致しており、こうした点も「Aメロ」には無かった構成と言えるでしょう。

ところで、先ほどの動画をご覧になって、「Bメロ」が鳴っているセクションで「Aメロ」の断片が部分的に組み合わせられていることに気づかれた方も多いのではないでしょうか? つまり「Bメロ」は、メロディの形態としては「Aメロ」とコントラストを持ちつつ、「Aメロ」と垂直的に違和感なく結合する親和性も持っているのです。このように、独立的なメロディを複数組み合わせつつ音楽的に調和させる技法を「対位法」と言います。

なお、楽曲構成の説明の便宜上「Bメロ」としましたが、セクションとしては「サビ」のような雰囲気を醸しています。実際、曲の終盤では繰り返しがあったり演奏パートが増えたりして大きな盛り上がりを作ります。


次は「Cメロ」です。

Motif_4

「Aメロ」「Bメロ」のように上行・下行といった音の進行の方向性を持たず、水平的な動きが中心です。また、全音符から始まるメロディは、これまでの躍動感あふれる音楽からの移行を強く印象づけるものでしょう。前述の通り、セクション全体でリズムの基本音価(音の長さ)を2倍にして、半分のテンポ(BPM=60)になっているような効果と相まって、ゆったりとした浮遊感に満ちた部分です。このセクションでも「Aメロ」の断片が顔を覗かせます

ちなみに、「Cメロ」のフレーズは当初から計画していたものではなく、コード進行を当てはめていく中で徐々に形になっていきました。しかもそのコード進行は、この曲を作る数ヶ月前にふと思いついて以下のように五線紙に書き留めていたもので、今回の作曲とは一切関係ありません。

Sketch02

曲の中間部分に大きな展開を入れたいと考えながら、なかなか良いアイデアが浮かばず悶々としていたところに、ふとこのメモが目に留まりました。そこで何気なく間奏のあとに入れてみたらセクションの繋がりや曲調の変化が意外と良かったので、コードを足していきながらメロディを並行して考えていったというのが「Cメロ」成立の秘密(でもありませんが)です。まれにこういうこともあるので、メモやスケッチは捨てずに保存しておくと良いですね。


以上の楽曲構成やメロディ構成のほか、楽器編成や音色の選択、各パートのコンビネーション、音楽表現上の工夫…などなど、書きたいことはたくさんありますが、今回はこのくらいにしましょう。

MuseScoreは楽譜作成ソフトなので一般的なDAWソフトのように細かいエディットができず、その点、出音としては必ずしも満足しているわけではありませんが、それでもMuseScoreの機能のみである程度、作品に仕上げられることを自ら体験でしたのは収穫でした。

なお、最終回の授業ではこのほか、メロディパートを除いたMuseScoreファイルを再生し、メロディ部分を私がピアノで演奏してMuseScoreとコラボレーションするパフォーマンスも行いました。その後、履修生たちに曲を聴いての感想とともに曲名を考えてもらい、寄せられた102の曲名案から私が選んだのが「Next Step」です。

ちなみに、感想で多く見受けられた単語は「ゲーム(特にマリオ系)」「街」「夜」「ドライブ」「ダンス」「パーティー」というものでした。このブログで曲を聴いた皆さんはどのようなイメージを持ちましたか?


(文責:伊藤謙一郎)

フレッシャーズゼミ後期(3)

2021年2月 9日 (火) 投稿者: メディアコンテンツコース

こんにちは。コンテンツコースの椿です。

今期はフレッシャーズゼミについて既に2回紹介してきました。今日は,最終回に行ったビブリオバトルについて書いていきます。

フレッシャーズゼミでビブリオバトルを行うのは今年度が初めてです。例年はフィールドワークを中心とした活動を行っていましたが,今年は外に出ないでできる活動を考え,ビブリオバトルに決めました。まず各クラスでビブリオバトルを実施し,クラスの代表を選抜しました。そして,代表者だけの決勝大会を学年全体で行いました。決勝大会はzoomで実施し,発表者も聴講者も遠隔参加です。

300人ほどが聴講している中で,委縮しないで発表できるかと心配していたのですが,皆さん生き生きと堂々と話していました。

以下は,決勝で発表された本のタイトルの一覧です。様々なジャンルの本が混ざっていて,そのギャップも面白かったです。

  • 君は君の道をゆけ
  • ハーモニー
  • 容疑者Xの献身
  • 天久鷹央の推理カルテ
  • ボッコちゃん
  • かがみの孤城
  • FACTFULNESS 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣
  • 嫌われる勇気~自己啓発の源流「アドラー」の教え~
  • スペースキーで見た目を整えるのはやめなさい
  • 小さき生物たちの大いなる新技術
  • 20代でしておきたい17のこと
  • 空想科学読本
  • 生きているのはなぜだろう
  • 世界から猫が消えたなら
  • 日本の名随筆
  • だから、うまくいく日本人の決まりごと
  • あの夏が飽和する。
  • 旅をする木
  • 1日が27時間になる!速読ドリル
  • 三日間の幸福
  • 神曲
  • 東京DOLL

卒業研究「プロダクトデザイン」の最終発表会を実施しました。

2021年2月 8日 (月) 投稿者: メディアコンテンツコース

毎年恒例の卒業研究の最終発表会を23日に実施しました。毎年、卒研生全員が各自の研究成果をA1サイズのポスターで表現し、このポスターを発表時間内に掲示します。学会のポスター発表と同じ形式です。卒研生はポスターに表現した内容をレビュアの先生に丁寧に説明し、さらに、たくさん参加してくれる1, 2, 3年生からの自由な質問に答えます。その結果、内容に興味を持ってもらえた卒研生ほどポスター展示時間の終盤には声がカラカラになります。その疲労は達成感の証とも言えますね。

しかし・・・、今年度はコロナ禍での発表です。遠隔リアルタイムでの最終発表会になりました。結果として、遠隔の良さも出て、落ち着いた雰囲気の発表会になりました。最終発表会は卒研の最終審査の場でもあります。このことを考慮し、万が一のアクセス上の不具合を避けるために、発表会への参加招待は、レビュアの先生、配属済み3年生、関連する演習を履修した2年生だけにさせて頂きました。発表時間中、参加希望の友人に発表のURLを伝えてよいかとの問い合わせがありました。参加自由でもよかったかなと反省しつつ、大事な場なので可能な限り確実さを重視すべきとの思いもあります。

この卒業研究「プロダクトデザイン」は、毎週の卒研ゼミにおける意見交換を重視しています。相手の目を見て、しぐさも含め、伝えたいことを各自が感じ取るなと、基本的には卒研ゼミは対面が大事だと思います。一方、今年度の経験から、順番に説明報告する回などは、通学時間の有効利用も考慮し、通常時でも遠隔を取り入れる価値はあると感じました。今年度は、内容に応じて対面と遠隔を使い分けるなど、今後の卒研ゼミのあり方を考えるための1年間になったと思います。

卒業する4年生のみなさん、卒研に限らず日常生活においても特殊状況下での実施になった1年間だったと思います。皆さんにとっても卒業後、対面と遠隔の使い分けの参考になる1年間になったと思います。お疲れ様でした。

メディア学部 萩原祐志

高まるデータサイエンス教育へのニーズ

2021年2月 7日 (日) 投稿者: メディア社会コース

つい最近のことですが、内閣府の第5回統合イノベーション推進会議において「AI戦略2019」という大きな政策ビジョンが示されました。その中の教育分野では、すべての国民が数理・データサイエンス・AIに関する知識や技術を育むことが謳われています。下図は、その全体的なスキームです(※ 出典:AI戦略(有識者提案)及び人間中心のAI社会原則(案)について,平成313月)。 

Ai2019scheme

義務教育から段階的に進むわけですが、大学に大きなミッションが課せられていることがわかります。文系・理系を問うていないところが、今後の教育実践での大きな課題と言えるでしょう。その昔、“読み・書き・そろばん”というフレーズがありました。レベルこそ違いますが、“数理・データサイエンス・AI”はそのような現代版の基礎的素養と位置付けられるということです

ここからは、データサイエンスに絞って話をします。データサイエンスとは、その名の通りデータを扱う科学のことで、確率論や統計学、情報科学などを用いて、社会に溢れるデータを適切に捉え、その分析を行ったりします。ビッグデータ時代に入り、一気に注目されるようになりました。データサイエンスの専門家のことを指すデータサイエンティストという言葉も生まれています。また、最近では、データサイエンス学部を開設する大学も現れてきました。

東京工科大学の対応としては、八王子4学部において、現行カリキュラムより1年次に「データサイエンス入門」という必修科目を設けました。データの種類や見方に始まり、そのデータを管理・加工・処理・分析するための基本スキルを習得することをねらいとしています。また、データ収集のための社会調査の手法などについても学びます。AI戦略2019の中では、実は、人文社会系の素養や芸術感覚の重要性も指摘されています。メディア学部は文理芸融合の学部です。その意味では、データサイエンスのリテラシーの習得がしやすい環境にあると言えるでしょう。

以上

文責: メディア学部 松永

2021.02.07

 

情報爆発からビッグデータへ

2021年2月 6日 (土) 投稿者: メディア社会コース

皆さんは、情報爆発という言葉を聞いたことがあるでしょうか? これは、インターネットが日本で普及し始めた1990年代に浸透していった概念です。当時、ネット上の情報は増加の一途を辿り、IT(情報技術)で管理・制御できるのかという問題意識のもとに登場してきたものです。しかし、一抹の不安を覚えつつも、当時の最前線のIT研究者が課題に果敢に取り組み、現在のICT(情報通信技術)社会に結び付けました。

そして、今となっては、爆発的に増加する情報を資源の宝庫として捉えるビッグデータという考え方が出てきています。ビッグデータの解析には高性能のコンピュータが欠かせませんが、日本が誇る世界第一位のスーパーコンピュータ「富岳」は希望の光です。昨今では、新型コロナウィルスの飛沫シミュレーションで、その性能の高さを実感できましたね。

しかしながら、富岳に限らず、コンピュータでビッグデータに臨むには、元データが備える情報の意味を熟知し、それに対する分析手法・処理に精通しているデータサイエンスの専門家が必要です。次回は、そのデータサイエンスという研究分野と、その担い手の教育に関する話をしたいと思います。

以上

文責: メディア学部 松永

2021.02.06

ベイズの定理とベイズ統計(2)

2021年2月 5日 (金) 投稿者: メディア社会コース

統計学には、いくつかの流派があります。俗称ですが、フィッシャー派、ネイマン-ピアソン派、…などです。ベイズについても彼の理論を支持する人は多くいて、ベイズ派と呼ばれたりします。ベイズ理論の魅力は、結果から原因を探るという思想にあります。昨日はわかりやすい例として、確率におけるベイズの定理を紹介しました。

ベイズは実は、フィッシャーやネイマン・ピアソンよりも早くに統計の研究に取り組んでいました。しかしながら、皆さんが高校数学で学んだ統計は、後出のピアソン・ネイマン理論です。ベイズ理論が脚光を浴びるようになったのは、20世紀に入ってからと言えるでしょう。これは意思決定論の浸透とも大いに関係します。過去に学び、次なる策を講じる際にベイズ理論/ベイズ統計は有用です。

現代社会は、急速なICTの進展のもと、ネット上にデータ情報が溢れています。そのような情報を扱うデータサイエンスという学問分野も誕生しました。このデータサイエンスは、昨今流行りのAIとも大いに関係しています。膨大なデータは、コンピュータによる原因探索や予測、判定や意思決定にも結び付きます。例えば、フェイクニュースやスパムメールの発生源を、様々なデータの連鎖をもとに探ることが可能になります。また、経済や経営においては、過去に学んでシステマティックに将来予測・展望を描くことが可能になります。こうしたところに、ベイズ統計は陰ながら活かされています。現在、新型コロナウィルスの感染メカニズムの解明が試みられていますが、十分なデータが集まればそれもベイズ統計により進展することでしょう。

さて、〝ベイズ統計学的″あるいは〝ベイズ主義的″という意味のベイジアン(Bayesian)という表現があります(英語的な形容詞句をカタカナに変換したにすぎませんが…)。この表現を用いた代表的なものに、ベイジアンネットワークがあります。不確実性推論に基づく、現実世界のネットワーク構築を扱う研究分野です。数学的には、グラフ構造をもつ確率モデルの一つと言えるでしょう。詳細には触れませんが、関心のある方は調べてみてください。

以上

文責: メディア学部 松永

2021.02.05


ベイズの定理とベイズ統計(1)

2021年2月 4日 (木) 投稿者: メディア社会コース

皆さんは、ベイズの定理というのを聞いたことがあるでしょうか? 高校数学で習う条件付き確率とも大いに関係している概念です。このベイズというのは、18世紀に活躍したイギリスの数学者トーマス・ベイズ(Thomas Bayes)のことです。結果から過去に遡って原因を探るという考え方が、ベイズ研究の基本指針でした。そこから生まれたのがベイズの定理であり、さらにそれがベイズ統計の確立に結び付いていきました。本日は、比較的理解しやすいベイズの定理について話をします。

昨今の市中で行われている新型コロナウィルスのPCR検査に関して、陽性・陰性という言葉をよく耳にしますね。これは検査結果の表現であり、陽性は感染している、陰性は感染していないということをそれぞれ意味します。さすがに、このことはご存じですよね。ちなみに、表立って出てくることはあまりないのですが、偽陽性や偽陰性という表現もあります。実際には感染していないのに感染という結果が出ることを偽陽性と言い、実際には感染しているのに感染してないという結果が出ることを偽陰性と言います。余事象の概念の基本であり、この先の話の理解の助けになるので、この偽○○という表現は押さえておきましょう。

さて、仮想の感染症Dを例として、ベイズの定理の具体的な適用イメージを記してみます。数式や代数表現をできるだけ避けて話を進めたいと思います。まず、母集団を仮に1万人とします。そして、ここに潜在的にD感染者が500人いるとしましょう。つまり、5%の人が真に感染しているという設定です(これを罹患(りかん)率と言います)。ここで、ある感染症D用の検査キットが、陽性を90%(偽陽性を10%)、陰性を80%(偽陰性を20%)の確率で検出するとします。この状況のもと、ある日の街頭で1000人を対象に検査を行ったところ、80人の陽性者が見つかりました。この街頭検査での陽性率は8%となるわけですが、この検査結果を母集団に照らし合わせた際、どのように解釈すべきでしょうか?

罹患率を真の値として考えれば、街頭の検査対象1000人中に感染者は50人いるということになります。そして、検査キットの精度により、理論上は45人(=50人×0.9)が陽性、5人(=50人×0.1)が偽陽性(陰性)となります。一方、非感染者でありうる950人に関しては、760人(=950人×0.8)が陰性、190人(=950人×0.2)が偽陰性(陽性)となります。したがって、母集団に照らし合わせると、陽性の的中率は(45+190/100002.35%となります。標本対象の陽性率8%と異なることに留意しましょう。

さて、なるべく複雑な数式や公式的なものを記さずにベイズの定理のエッセンスを記したのですが、それとなくベイズの逆発想の考え方に馴染めましたか? 話が長くなったので、本日はここまでとしますが、明日はベイズ統計のさわりの話をしたいと思います。本日も宿題(Quiz)は無しです。

以上

文責: メディア学部 松永

2021.02.04

記述統計と推測統計

2021年2月 3日 (水) 投稿者: メディア社会コース

ここ2日間ほど、思いつくままに統計関連の話を綴ってきました。この流れで、向こう5日間も進めたいと思います。本日は2種類の統計の立場の話をしましょう。統計という概念そのものは、古くから世界各地に存在していました。社会を統制するためには、人口把握や耕地測量などは必要となります。しかし、統計が統計学という学問体系として整備されていったのは1819世紀です。近代統計の父と呼ばれるケトレーや、フィッシャー、ネイマン、ピアソンなどがその先駆者と言えるでしょう。

統計には大きく2つの立場-記述統計と推測統計-があります。前者の記述統計は、母集団を対象とする分析スタイルです。すなわち、目の前のテーブルに対象に関するすべてのデータを並べ、そこから平均や分散・標準偏差などの各種統計指標を算出し、全体の傾向などを分析します。昨日話をした国勢調査は、日本国民全体(正確には、居住権のある外国籍の人を含みます)を母集団とする全数調査ですので、記述統計が適用できます。一方、後者の推測統計は、標本集団を対象とする推理スタイルです。サンプリングで得られた標本データに関する各種統計指標を算出した上で、母集団の傾向などを推測します。一定の信頼度(95%99%)で推定を行ったり、その信頼度の裏返しである危険率(5%1%)に基づく検定などを行います。昨今の新型コロナウィルス関連の情報は、推測統計に関係するものです。

明日は、上述した統計とは異なる統計概念の話をする予定です。本日は、宿題(Quiz)は無しとします。

以上

文責: メディア学部 松永

2021.02.03

 

国の全数調査である国勢調査に接しよう!

2021年2月 2日 (火) 投稿者: メディア社会コース

前日のブログで、新型コロナウィルスの話題を取り上げました。街頭や一部施設内で行うPCR検査は標本調査と呼ばれるものです。いわゆる社会調査の多くは、このような標本(サンプル)を採取して行われる調査のことです。それに対して、対象者全員を調べるものを全数調査と言います。この全数調査は時間もコストも掛かるため、実施するのはかなり大変です。ただ、国や自治体が主導すると、法律などを盾に全数調査を実施しやすくなります。有名なものとしては国勢調査が挙げられます。この国勢調査は、総務省統計局が統計法に基づいて5年に1度行うもので、日本の人口や世帯数、居住形態、産業構造などを調べたりします。実は、ついこの間の令和2年(2020年)にも実施されたのですが、初回は大正9年(1920年)でしたので、100周年記念の調査でもあったのですね。さて、一つ前の平成27年(2015年)の調査結果は、次のサイトに掲載されています。

https://www.stat.go.jp/data/kokusei/2015/index.html

普段は官公庁のサイトを見ることがないかもしれませんが、選挙権のある若者として少し習慣づけた方がよいかもしれません。この資料には膨大な量のデータがありますので、興味のある所だけ見ればよいでしょう。

ちなみに、go.jpというドメインは、日本の政府機関等を表しています。外務省(Ministry of Foreign Affairs)であればmofa.go.jp、財務省(Ministry of Finance)であればmof.go.jpなどと定められています。各省庁の英訳を知っていれば、覚えるのはそれほど難しくないですね。ただ、文部科学省は少し厄介です。その英語の公式名称は、Ministry of Education, Culture, Sports, Science and Technologyです。したがって、外務省や財務省に倣うとMECSSTになるのですが、さすがに長すぎるので、似た発音になるMEXTとしてドメインをmext.go.jpと定めています。

さて、少し国勢調査の話からそれてしまいましたが、本日も多少関連がある簡単な宿題(Quiz)で締めたいと思います。

Quiz〕総務省統計局の英語の公式名称は何か? (これを調べると、統計局のドメインがstat.go.jpであることがそれとなく理解できます)

以上

文責: メディア学部 松永

2021.02.02


現代社会を確率・統計データからきちんと眺めよう!

2021年2月 1日 (月) 投稿者: メディア社会コース

ここ一年ほど、新型コロナウイルスの話題が、ほぼ毎日のニュースや情報番組の冒頭のトピックとして取り上げられています。そして、そこには様々な数値データが出てきます。新規感染者数・重症者数・死亡者数などは、実調査に基づく統計データです。一方、PCR検査陽性率・病床使用率などは、その統計データに基づく確率データです。

この種の確率・統計データをきちんと眺める(目利きをする)ためには、標本集団の情報にも目を向ける必要があります。調査対象(ターゲット)は何人であるのか、どのような調査手法(街頭・電話・インターネット…)であるのか、などに関してです。

標本集団を生成する手法(サンプリング)の一つに、層別抽出法というものがあります。これは、被験者の性別や年齢などの各種属性を意図的に分散する公平・公正な手続きで、俯瞰的で極めて真正な手法です。早朝の公園で調査を行えば比較的ご高齢の方が中心になりますが、夜の繁華街で調査を行えば往々にして若者が中心になりがちです。同様に、昼時のスーパーでの調査では主婦が多くなる一方、昼時のオフィス街での調査ではサラリーマンが多いのは容易に想像がつきます。このような偏った被験者抽出は、調査目的を歪めることにつながります。その意味でも、調査目的・対象に見合う形での被験者の層別抽出は極めて重要となります。

ネットやSNSが日常の情報源の中心になりうる現代社会ですが、発信元はもとより、調査目的や調査対象、調査手法もきちんと確認しましょう。フェイクニュースやCG加工YouTubeなどに騙されないためにも非常に大切なことです。

さて、折角ですので、東京都の新型コロナウィルス関連の最新の情報

https://stopcovid19.metro.tokyo.lg.jp/

を、きちんと眺めてみてください。地方の方は、各自治体が設けている同様のサイトを参照する形で構いません。様々な確率・統計指標がありますね。推移グラフが添えられているので、個々の指標の意味はある程度理解できるものと思います。身近で重要な情報をしっかり押さえておきましょう。

最後になりますが、皆さんに調べて理解していただきたい宿題(Quiz)を課します。とくに解説は予定していませんが、皆さんが素養として知っておく価値のあるデータ情報です。

Quiz〕実効再生産数って何? 自分の住んでいる町(あるいは都道府県や日本全体)におけるその値は?

 

以上

文責: メディア学部 松永

2021.02.01

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