ベイズの定理とベイズ統計(2)
2021年2月 5日 (金) 投稿者: メディア社会コース
統計学には、いくつかの流派があります。俗称ですが、フィッシャー派、ネイマン-ピアソン派、…などです。ベイズについても彼の理論を支持する人は多くいて、ベイズ派と呼ばれたりします。ベイズ理論の魅力は、結果から原因を探るという思想にあります。昨日はわかりやすい例として、確率におけるベイズの定理を紹介しました。
ベイズは実は、フィッシャーやネイマン・ピアソンよりも早くに統計の研究に取り組んでいました。しかしながら、皆さんが高校数学で学んだ統計は、後出のピアソン・ネイマン理論です。ベイズ理論が脚光を浴びるようになったのは、20世紀に入ってからと言えるでしょう。これは意思決定論の浸透とも大いに関係します。過去に学び、次なる策を講じる際にベイズ理論/ベイズ統計は有用です。
現代社会は、急速なICTの進展のもと、ネット上にデータ情報が溢れています。そのような情報を扱うデータサイエンスという学問分野も誕生しました。このデータサイエンスは、昨今流行りのAIとも大いに関係しています。膨大なデータは、コンピュータによる原因探索や予測、判定や意思決定にも結び付きます。例えば、フェイクニュースやスパムメールの発生源を、様々なデータの連鎖をもとに探ることが可能になります。また、経済や経営においては、過去に学んでシステマティックに将来予測・展望を描くことが可能になります。こうしたところに、ベイズ統計は陰ながら活かされています。現在、新型コロナウィルスの感染メカニズムの解明が試みられていますが、十分なデータが集まればそれもベイズ統計により進展することでしょう。
さて、〝ベイズ統計学的″あるいは〝ベイズ主義的″という意味のベイジアン(Bayesian)という表現があります(英語的な形容詞句をカタカナに変換したにすぎませんが…)。この表現を用いた代表的なものに、ベイジアンネットワークがあります。不確実性推論に基づく、現実世界のネットワーク構築を扱う研究分野です。数学的には、グラフ構造をもつ確率モデルの一つと言えるでしょう。詳細には触れませんが、関心のある方は調べてみてください。
以上
文責: メディア学部 松永
(2021.02.05)
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