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学会発表(映像表現・芸術科学フォーラム 2021)

2021年3月12日 (金) 投稿者: メディア技術コース

3月8日、学会(映像表現・芸術科学フォーラム 2021)が開催されました。今年度の例に倣って、オンライン開催となりました。メディア学部の複数の研究室から多くの学生が発表していたので、他の先生も記事をかかれるかと思いますが、口頭発表とポスター発表の二種類の発表形式がありました。私の卒研室からは一名が口頭発表部門への参加、と今年度はちょっと寂しい状況でしたが、それに加えて私が担当する先端ゼミという講義を受講している2年生がポスター発表に参加しました。「学会発表」というとものものしい感じがするかもしれませんが、2年生でもやる気があれば発表することができるのです。

 

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2年生の学生が発表した内容は、デジタル時代における新しい伝言板を提案するというものでした。伝言板というのは、携帯やスマートフォンが無かった頃に駅においてあったもので、誰でも自由に伝言を書き込むことができる黒板です。当時は一旦家から出てしまえば、互いに連絡を取る手段がなかったため待ち合わせに会えなかった場合などに伝言板を利用したのです。当然ながら、スマートフォンがあれば、そんなものを利用する必要は無いわけですが、伝言板の、不便だからこそもたらしていた情緒が失われたように思えます。例えば、メッセージが実際に通じて目的が達成されるまでの心配や、達成されたときの喜び。手書きのメッセージが示す、その人が直前にその場にいたことを感じられるようなことです。ここで提案したのは、デジタルな仕組みによっても、あえてそのような感じが得られるようなデザインを考えた、新たな時代のメッセージ伝言ツールです。情報技術は物事を効率化するためだけに使わなければいけないわけでは無いでしょう。あえて不便さをデザインとして取り込むことで、より豊かな体験をもたらすこともできると思います。この研究はそんなアイデアに基づく提案でした。

 

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4年生は卒業研究の成果を口頭発表で行いました。テーマは遠隔授業ツールのデザインです。今年度はコロナのせいで大学の講義はほとんどがネットによる遠隔授業になってしまいました。そのさい利用されたのが、ZoomやMeetといったネット会議用のツールでしたが、これらは授業用途を想定されて作られたものではありません。今年度は、そうした、そもそも講義目的には設計されていないツールを組み合わせることによってなんとか授業をしてきたと言えるでしょう。そこで、本研究では、講義を念頭においたリモートツールをデザインしました。特に課題として考えたのは、学生が顔を出すのを嫌うため教員が講義中の反応を確認できないことです。これに対して、この研究では教員と学生のそれぞれに異なる画面を提示し、学生の顔は教員からだけ見られるようにしました。学生側の画面から見られるのは他学生の後ろ姿で、ちょうど教室の後ろに座ったようなデザインを提案しています。卒業研究の期間においては、実際に使用できるツールを開発するまでは至らず、インターフェースを確認するためのプロトタイプを用意するに留まりましたが、アンケートによる聞き取りでは好評であったようです。

 

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最後に、この発表は優秀発表賞をいただくことができました。学会の初めての発表は大分緊張しますし準備も大変だったと思いますが、その努力が報われたのは嬉しい成果でした(良かったですね)。このように、対外的な評価が得られるとすごく自信になると思いますので、多くの学生に学会発表をチャレンジして欲しいと思います。実際に現地に赴けるようになるかはわかりませんが、次は海外での発表に是非挑戦してみて欲しいですね。

 

 

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太田高志

 

 

 

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