映像表現・芸術科学フォーラムでの発表 [環境音編]
2021年3月29日 (月) 投稿者: メディア技術コース
メディア学部の大淵です。
少しあいだがあいてしまいましたが、引き続き「映像表現・芸術科学フォーラム」での研究発表を紹介させていただきます。今日は「環境音編」です。
大学院生の佐塚大樹さんは「ツーリング動画の自動音響シーン分析」という発表を行いました。バイクのツーリングのときに、バイノーラルマイクと360度カメラで音と映像を収録し、ツーリングの記録を作ろうということを目指しているのですが、動画を何時間も垂れ流しで再生しても、退屈なものになってしまいます。人間が編集してコンパクトにまとめれば良いのですが、編集というのもなかなか面倒な作業です。そこで、自動音響シーン分析と呼ばれる技術を使って、動画を様々なシーンに分割し、簡単に編集できるようにしようということを目指しています。今回の発表では、走行・停止・トンネルといった簡単な分類から始めて、一定の成果が得られることを示しました。
学部生の小松紗雪さんは「立体音響のヘッドホン再生に与える暗騒音の影響」という発表を行いました。この研究は、「バイノーラル録音のリアルな音をヘッドホンで聞かせたら、あたかも部屋の中で音がしたかのように騙すことは可能だろうか?」という疑問から始まったのですが、予備実験の被験者から「ヘッドホンから音が流れるときは、ザーッという暗騒音が流れるので、それでヘッドホンからだとわかってしまう」というコメントをもらったところで、研究の方向が変わりました。最初は単なる失敗実験だと思ったのですが、よくよく考えると、そういう現象は実際のコンテンツ制作の現場でも起きているはずであり、詳しく調べる価値があるということに気付いたのです。実際にいろんな条件で実験をしてみると、対象となる音の種類によって暗騒音の影響が異なるなど、興味深い現象が見つかりました。
騒音や環境音などを対象とした研究は、声や音楽の研究に比べると地味ですが、実生活に根ざした役に立つテーマが多いです。引き続きこういった分野にも力を入れていきたいと思っています。
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