« 2021年3月 | トップページ | 2021年5月 »

2021年4月

先輩からのメッセージ⑤ 高橋花織さん

2021年4月30日 (金) 投稿者: メディア社会コース

こんにちは、メディア学部社会コースの森川です。
連載5回目の今日は、高橋花織先輩から皆さんへのメッセージです。
 
--------------------
 
基礎を大学で学び、自ら深堀りすることが大事でした。
 
東京工科大学メディア学部では本当に多くのことを学ぶことができます。
CG、音楽、プログラミング、映像、コンテンツ制作などこれらはほんの一部です。
たくさんのことが学ぶことができる一方で大事になるのが興味を持ったものについて自分自身で深堀していくことです。
 
私はデザインの授業を受けて興味を持ち、自身でillustratorを購入しいくつかの作品を作りました。
Illustratorは大学内のパソコンで使用することができますが家での作業がしたいため購入しました。授業内では基礎的な使い方や見やすいデザインなどを学びましたが、自分で作りたいデザインを表現するには試行錯誤やソフトの使い方などの知識が必要となります。
授業内の課題で必要になるのは基礎で十分かもしれませんが、それを仕事にしたり、金銭が発生するような作品つくりに生かすのであれば確実に自分自身で学んでいく努力と授業外の時間が必要です。
そしてたくさんの作品を作ることが就職活動でのポートフォリオでも重要になるはずです。
 
私が東京工科大学に入学した人に伝えたいことは、少しでも興味のある分野や、やりたいことを見つけられた場合は自分自身で作品を作り上げていくことです。
課題だけではポートフォリオは作れません。
作品を作るには多くの時間が必要になるので少しでも早いうちから行動してください。
応援してます。
 
--------------------
 
高橋さんは「自主性」の大切さを書いてくれていますね。
特にクリエイティブを志している人は、授業でインプットしたものを、どう大きくアウトプットするかが重要になってきます。
大学から与えられた課題を、ただこなしていれば良いというものではありません。
自分が自分に課題を出さなくてはならないのです。
 
「学生」とは自ら学ぶ人のことを言います。
教えてもらって習う「生徒」とは違うのです。
「生徒」とは中学生と高校生を指し、「学生」とは大学生を指します。
皆さんは大学生です。
だから、先生から教えてもらうだけでなく、自ら学ぶ姿勢を持たなくてはいけません。
 
研究活動もそうです。
あなたの研究の答えは、卒研室の先生も知りません。
誰にも教えてもらえないのです。
自らの力で、その答え(と思われるもの)に近づかなければいけないのです。
それこそが研究の醍醐味です。
 
明日は山田秀斗先輩からのメッセージをお届けします!!
 
5_20210410164101

 
(メディア学部 森川 美幸)

先輩からのメッセージ④ 菅原悠史さん

2021年4月29日 (木) 投稿者: メディア社会コース

こんにちは、メディア学部社会コースの森川です。
連載4回目の今日は、菅原悠史先輩から皆さんへのメッセージです。
 
--------------------
 
この大学では、ほかの大学で学べないようないろんなことを学ぶことが出来ます。
 
自分が一年生の頃は音楽制作の基礎やプログラミング、ゲーム開発などを学びました。
 
二年生ではプログラミングの分野に興味を持ち、プログラミングを駆使して自由にウェブサイトが作れるようになりました。
 
三年生ではCGアニメーション制作という授業を取りました。
グループワークが多く、みんなで和気あいあいとしながら一つの目標に向かって作品を作ることが出来ました。
 
授業以外でも学校にジムがついていて友人と一緒に体を鍛えたり、ボウリング場もついているので休み時間はずっとボウリングをしたり出来ます。
 
また、いろんなサークルや部活があり、友達を増やすことも可能です。
 
新一年生のみなさんは、もしかすると最初はオンライン授業が多いかも知れません。
でも、そのうち対面授業も増えると思うので、たくさん友達を作って、充実した大学生活を送れるように頑張ってください!
 
--------------------
 
菅原君は本学でプログラミングやCG制作の技術を学びました。
また、大学生活を通してたくさんの友達ができたようです。
大学内にジムがあるところはたくさんあると思うのですが、ボウリング場まであるって、ちょっとびっくりしますよね。
菅原君はそのボウリング場を、大いに利用したみたいです。
 
そんな彼が卒業研究でどんな題材を選んだかというと、何とファッションについてでした。
当初は彼自身がよく身に着けているストリート系ファッションを扱う計画でしたが、就職活動を経て、スーツ業界の現状をテーマにすることに。
最終的に「スーツ業界における新規顧客獲得のための提案」と題する卒業論文を書き上げました。
研究を進めるにあたって、在学中にアルバイトしていた某大手アパレルチェーンでの経験も生きたと思います。
 
皆さんも是非、自分が一番興味のあることを卒業研究のテーマに選んでくださいね。
 
それでは、明日は高橋花織先輩からのメッセージです!!
 

4_20210410164001
 
(メディア学部 森川 美幸)

先輩からのメッセージ③ 齋藤真輝さん

2021年4月28日 (水) 投稿者: メディア社会コース

こんにちは、メディア学部社会コースの森川です。
連載3回目の今日は、齋藤真輝先輩から皆さんへのメッセージです。
 
--------------------
 
本学を志した理由は、メディア学部という珍しさと映像分野について学べるかもしれないという好奇心だった。
AOで受験したのだが、面接試験は正直言ってボロボロで、「自分は一体何を言ってるんだろう」という感じだった。
入学後にわかったのだが、面接をしてくれたのは三上先生だった。
どんな話をしたのかは殆ど覚えていない。
唯一、映像に興味を持ったきっかけのCMの話をしたのを覚えている。
自分では何が良かったのかわからないが、無事合格することができた。
 
大学入学後、特に印象に残っていることが2つある。
 
1つ目は1年生の時、プロジェクト演習のインテブロに参加したことだ。
初めて会った人たちとチームを組んで作品制作をするという作業は、想像以上に疲れる体験だった。
しかし、昔から趣味で使っていたillustratorの知識が役に立ち、生放送番組のロゴやテロップの作成を任せてもらった。
時間外活動もあったし、つらいこともあったが、それ以上に楽しかった。
結果的に演習では良い作品を作ることができ、とても印象に残っている。
 
2つ目は、ネットの生放送番組を主に制作している会社に業務委託で働き始めたことだ。
そこでの経験は、自身を大きく成長させてくれた。
さらに、就職活動においてもメリットが大きかった。
 
技術職を目指す人は演習が重要な経験になると思う。
また、早めの行動が後々の自分を楽にするということを身に染みて感じた4年間だった。
正直、1、2年生の頃は大学が自由すぎて楽しいが、何か一つ続けていけるものを見つけておくと、就活の時「大学で何してた?」の質問に答えられると思う。
 
--------------------
 
齋藤君はこの春から、ウェブ番組制作の会社で働き始めています。
その基礎を築いたのは、本学でのプロジェクト演習や在学中のアルバイトだったようですね。
メディア学部に入学した皆さんの多くも、きっと映像制作やゲーム制作などに興味を持ったからこそ、メディア学部を選んだのではないでしょうか。
その興味を追求できる環境を、是非メディア学部で見つけてください。
そして、課題やグループワークに「本気」で取り組んでみてください。
そういう「本気」を積み重ねることで、チャンスが開けたり、実社会で役に立つ技術が身に付いたりするのだと思います。
 
齋藤君の言うように、就職活動でよく聞かれる質問「大学で何してた?」に、是非答えられるような大学生活を送ってくださいね!!
 
それでは、明日は菅原悠史先輩からのメッセージです!!
 

3_20210410163801
 
(メディア学部 森川 美幸)

先輩からのメッセージ② 伊東桃香さん

2021年4月27日 (火) 投稿者: メディア社会コース

こんにちは、メディア学部社会コースの森川です。
連載2回目の今日は、伊東桃香先輩から皆さんへのメッセージです。
 
--------------------
 
大学に在籍した4年間は、1年1年の出来事が多く、最も思い出に残っていることは決められなかったので、大学に入って特に変わったことについて書き記そうと思います。
 
大学に入ってから、一番変わった点は、裏方を見る癖がついたところです。
特に二年生になってからは、ライブや劇、アミューズメント施設のショーなどを見ているうちに、ショーの内容はもちろん、裏方の仕事を自然に考えるようになりました。
出演しているアーティストやキャラクターではなく、照明や音響などのステージの演出、ステージ全体の構成、宣伝方法のことを観察し、考えるようになりました。
 
私自身、直接裏方の仕事や技術を学んだわけではないのですが、メディアという広い分野について日々学ぶことで、きらびやかな世界の裏では、その世界を成功させるために想像以上に多くの人や物が動いていることに自然と気が付くことができたからです。
この癖がついたことで、大学に入る前よりも、普段から見ているものに対して広い考えをもつことができるようになったと感じます。
 
新入生の皆様は、これから自身の興味のある分野について積極的に学んでいくことと思います。
ですが、興味が向かないことでも、一度は学んでみてはいかがでしょうか。そこから興味の幅が広がり、今まで見えなかったことが見えてくるかもしれません。
 
--------------------
 
伊東さんは大学生活を通じて、物事の裏側に目を向けることを学んだようです。
それはとても重要なことです。
皆さんはこれまで、基本的に提供されるものを受け取る立場だったのではないかと思います。
例えば映画やライブを楽しむ「お客さん」という存在です。
しかし、その裏側には、それを提供する人たち、即ち、クリエイターやプランナー、プロデューサーや彼らが所属する企業などの存在があるわけです。
メディア学部に入学したからには、皆さんはきっと、そういったメディア関連の仕事に興味があるのではないでしょうか。
だとしたら、いつまでも「お客さん」の側にいてはいけません。
伊東さんのように、「裏方」の視点を是非身に付けてもらいたいと思います。
 
そして、興味が向かないこともやってみるべき、というのもいいアドバイスですね。
何に興味が出てくるかわからないですから、視野は広く持つべきです。
苦手意識を捨てた方がチャンスは広がりますよ!
 
それでは、明日は齋藤真輝先輩からのメッセージです!!
 

 2_20210410163701 
 
(メディア学部 森川 美幸)

先輩からのメッセージ① イントロダクション

2021年4月26日 (月) 投稿者: メディア社会コース

こんにちは、メディア学部社会コースの森川です。
 
コロナ禍が明けきらないまま、2021年度を迎えました。
新入生の皆さんも、在校生の皆さんも、何かと制限がある中で大学生活を過ごされていることと思います。
皆さんの中には、コロナの状況も相まって、これから自分はどんな4年間を過ごせばいいのか、あるいは、残りの大学生活をどのようなものにすべきなのか、考えあぐねている人もいることでしょう。
先輩の話を気軽に聞いたり、一緒に食事をして語り合ったり、ということが難しい今、今回の私のブログでは、一週間、今年の3月に無事卒業した森川研究室の6人の卒業生たちからの、皆さんへのメッセージをお届けしたいと思います。
彼らが大学時代、何に真剣に取り組み、何を手に入れたか、ということも併せて語ってくれていますので、是非楽しみにしてください。
 
連載第1回目の今日は、私から皆さんへのメッセージを少し書きたいと思います。
私は大学時代の醍醐味は、面白いと思うことを徹底的に追求できることだと思っています。
社会に出ると、なかなか気持ちや時間に余裕が持てません。
でも大学では、ある程度自分の時間を自分でコントロールすることが可能です。
中学生や高校生の時とは比べ物にならないくらいの「自由」もあります。
だからこそ、少しでも面白いと思うものがあったら、試したり、体験したり、調べたりしてみて欲しいのです。
そうすることで、自分の知識や経験の蓄積にもなりますし、自分の意見が持てるようになったり、毎日が楽しくなったりします。
新しい友達もできるかも知れません。
誤解を恐れずに言えば、「人生のネタ作りになる」とも言えるでしょう。
4年の間に、どれだけ自分の「ネタ」ができるか。
これが、その後の人生に多少なりとも影響を与えると思います。
 
私自身、大学時代に英語とドイツ語をある程度身に付けていたお陰で、その後カナダやドイツに住むことになった時、とても役に立ちました(英語は洋画や洋楽が好きだったから、ドイツ語は当時某ドイツ人テニスプレーヤーの大ファンだったことから理解できるようになりたいと思いました)。
それから、大学では文芸を専攻して小説を書いていましたので、就職してから映画のキャッチコピーを考える時や、ストーリーラインを文章にする時に、自分の中に培われていた言葉の感覚を生かすことができたと思います。
もちろんアルバイト等、数々の活動で得た経験や、国内外のユニークな友人たちとの出会いも、今の私を形作ってくれていることは間違いありません。
 
さて、皆さんの先輩は、どんな経験を語ってくれるでしょうか。
 
と言うわけで、明日から一週間お付き合いください。

 

1_20210417164101

 
(メディア学部 森川 美幸)

新入生学部交流会

2021年4月25日 (日) 投稿者: メディア技術コース

メディア学部の寺澤です。

今日は「新入生学部交流会」について書きます。東京工科大学では、各学部でこの交流会が企画され前期中に実施されます。その目的は主に新入生同士、また、新入生と教員との交流を行い親睦を深めることです。そのために、PBL(Project Based Learning)的な要素を取り入れたグループ活動が組み込まれています。メディア学部では、森川先生、飯沼先生を中心に準備を行い、前期授業が始まる前の4月9日の午後に新入生学部交流会を実施しました。私も関わりましたので、このレポートを担当することになりました。

Photo_20210425120701

今年の交流会は、新型コロナウィルス感染防止と「交流会」の趣旨を両立させることに苦心いたしましたが、3~4程度のFS(フレッシャーズゼミ)クラス(各12~13名)を1教室に配置し、8教室を用意して分散して実施しました。全体共通のパートはZoomを利用して各教室のプロジェクタに投影する形としました。4年生の酒匂君と和知君の司会でスタートし、学部長の大淵先生のあいさつの後、ゲームの説明がありました。

毎年、企画があるのですが、今回は「NASAゲーム」を行いました。NASAゲームは、月面で母船とは離れた位置に不時着したクルーが、大破した宇宙船をあきらめ、使用可能なアイテムから重要なものを選んで母船を目指すため、アイテムの優先度を考えるというものです。いわゆるコンセンサスゲームの一つです。

1_202104251207012_20210425120701

今回は各個人で考えた後、FSクラスを2つに分けたチーム(1チーム6、7名)で短時間だけディスカッションを行いました。助教の戀津先生に急遽作成していただいた集計システムを使って、個人解答、チーム解答を提出すると瞬時にNASAの正解との答え合わせが行われ、得点化されてチーム順位がつけられました。結果発表は後のお楽しみにしてプログラムが進みます。

続いて、先生方に3、4人組で各教室を回ってもらい、先生個人を知ってもらうための自己紹介タイムがありました。教室では新入生からの質問もいろいろあったようです。そのあとはサークル紹介でした。あらかじめ各サークルに声をかけて準備してもらい、Zoomで各団体にサークル紹介してもらいました。最後にゲームの順位発表が行われ、1位から3位までのチームが表彰されました。チーム解答だけでは同点のチームが多数出ることが予想されたので、各チーム内の個人解答の結果も加味されました。

全体で約2時間でしたが、大きなトラブルもなく実施することができました。各FSクラスには先輩学生の「ピアサポーター」が1名配置されています。サポーターの皆さんには準備等を手伝っていただきました。また、学務課や各先生にもご協力をいただきました。ありがとうございました。交流という意味では、飲み物でも飲みながら、もっといろいろと話し込んだり、教室を行き来できる方が良かったと思います。しかし、この状況下ではそれはできず、従来に比べてかなり変則的でしたが、少なくともFSクラス内で少しはお互いに打ち解ける機会は提供できたのではないかと思います。

(メディア学部 寺澤卓也)

サークルブース

2021年4月24日 (土) 投稿者: メディア技術コース

メディア学部の寺澤です。

2021年1月に始まった2度目の緊急事態宣言が3月18日に終わり、2021年度の新学期は対面で迎えられそうということで、十分な感染対策をしながら、準備が進められてきました。新入生に対しては、4月6日に入学式が行われましたが、それに先立つ、4月2日に学生証やノートPCの引き渡しガイダンスとともに、屋外にサークルブースが設置されました。新入生および、昨年十分に情報が得られずサークルに参加できなかった人も多い新2年生に向けたサークル勧誘が行われました。

Img_2491Img_2492

Img_2493Img_2494

Img_2495Img_2499
時間が早い間は説明の席に着く新入生もまだ少なかったですが、お昼ごろには多くの学生がそれぞれのブースに足を止めて説明を聞いていました。

制限つきながらサークル活動も徐々に対面で始められそうな見込みでしたが、本格化する前に東京およびいくつかの地域は明日25日から3度目の緊急事態宣言となってしまいました。これをうけ、授業についてはまず、来週木曜、金曜が休講になることが発表されました。サークル等の活動に関する大学の方針は後日示されると思いますが、制限が大きくなってしまうかもしれません。4月のこれまでの約3週間に、新入生は同級生やサークル等の先輩、教員との対面のコミュニケーションの機会を得て人間関係構築の糸口はつかめたと思います。オンラインの授業や活動の比率は高まるかもしれませんが、つながりを大切にして乗り切っていきましょう。

(メディア学部 寺澤卓也)

研究紹介:力学モデルを用いたキャラクター同士の絡みの可視化(優秀発表賞受賞)

2021年4月23日 (金) 投稿者: メディア技術コース

助教の戀津です。
昨日に引き続き、芸術科学フォーラムで発表した研究の紹介です。
『力学モデルを用いたキャラクター同士の絡みの可視化』というタイトルで発表して、優秀発表賞を受賞しました。

作品を紹介する資料の中に、登場人物相関図というものがあります。名前の通り、登場人物間の関係性を図にしたものです。
登場人物相関図は登場する人物が多くなるにつれ作成が難しくなります。人物はもちろん、関係性を描いた矢印の数が多くなってしまうため、配置の難易度が高くなってしまうためです。

この研究では、人物間の関係性の中身には着目せず、「関係があった」という事実のみを扱って疑似的に相関図のようなものの作成を試みました。
登場人物同士が会話したり、同じ目的で行動をしたりしたシーンの数を記録し、その数が多いほど結びつきが強いという形です。
俗語的な表現ですが、上記のような状態を「絡みがある」と言ったりします。今回はこれを採用し、絡みの可視化というタイトルで研究しました。
また、可視化の際に人物を円、人物間の絡みを線で描画しますが、この線をランダムにぶれさせながら描画することで文字通り絡んでいるように見えるよう工夫してみました。

詳しく説明すると長くなってしまうので割愛しますが、配置の決定は力学モデルというグラフ描画アルゴリズムを使って行います。
登場人物同士は弾き合う力が働き、絡みのある人物間が絡みの数だけ互いに引っ張られるというもので、斥力と引力が釣り合うまで計算を続けることで関係性が可視化されます。

こちらはある映画作品の絡みの可視化結果です。

24_20210423020101

中心少し上にいる赤い1番が主人公で、主人公を含む七人組が主に活躍する作品です。
それとは別に、中心少し下の三人組がよく一緒に行動しているのでそれぞれ塊のようになっています。
力学モデルの計算をしていくことで、主人公を中心にそれぞれの登場人物の関係性に応じた配置に自動的に収まっていきます。

絡みと名付けた、比較的簡易に集められる情報をもとにおおまかな関係性の図示ができるようになり、優秀発表賞をいただくことができました。
今後も研究を続け、登場人物相関図の作成ができるようにできればと思います。
また進展があったら報告します。

研究紹介:話数を基にした伏線分布の可視化(優秀発表賞受賞)

2021年4月22日 (木) 投稿者: メディア技術コース

助教の戀津です。
少し前の話になってしまいましたが、3/8に行われた芸術科学フォーラムでの発表のお話です。

芸術科学フォーラムはメディア学部の各研究室と親和性が高く、例年多くの研究が発表されます。
私の関係では、今年度は卒研からではなく先端メディア学の活動内容と、私自身の研究成果の発表を行ってきました。
『TVアニメーション作品における話数を基にした伏線分布の可視化』と、『力学モデルを用いたキャラクター同士の絡みの可視化』というタイトルです。
この2件が、それぞれ優秀発表賞を受賞しました!本日は一つ目の伏線分布の可視化について紹介します。

この研究は、私の開講する先端メディア学「コンテンツビジュアライゼーション」を履修していた、一年生(昨年度後期時点)の飯田琴美さんの分析結果を私がまとめたものです。
コンテンツビジュアライゼーションでは、受講者それぞれの興味を主軸にして映像作品の分析・可視化を行っています。

今回飯田さんは伏線について興味があるということで、まずは伏線を多く含むTVアニメーション作品を視聴しながら事例の抽出をしてもらいました。
伏線と思われる内容を列挙し、その性質を検討した結果「張り」「回収」「部分回収」「フェイク」の4種類に分類することができました。
また、伏線を抜き出す際に、第何話で描写されたという情報も一緒に記録してもらいました。
TVアニメーション作品は通常12~13話程度で制作されますが、その中で伏線の描写がどのように分布しているかを可視化してみるためです。

結果は次のようになりました。
ネタバレになってしまうため作品名は伏せておきますが、TVアニメーション作品2つの可視化結果です。(学会では作品名も書いてます。聞いていた方はネタバレしてすみません・・・)

11_20210422041201 12_20210422041301

横軸方向に話数をとって、張りから回収に至るまでの一連の内容を線で繋いで縦方向に列挙しています。
張り、回収、部分回収、フェイクそれぞれを描写された位置にアイコンで示しています。

1つめの作品は全12話、2つ目は全13話で、それぞれ前半はメインストーリーを進めながら伏線を多数散りばめています。
1つ目の方は中盤から回収が始まり、終盤にかけて次々と謎が解けていくよう演出しています。
一部偽の情報で回収したようにミスリードしたり、回収したと思いきやまだ隠された情報が残っていたというパターンもありました。
2つ目の方は終盤で一気に回収する回があり、その後メインストーリーの決着をしていて特に伏線は絡んでいません。
ただし、「張り」のような描写が追加され、最終回を迎えても回収されないという事例も見つかりました。

まだ2作品なのでサンプル数が不足していますが、伏線に関して演出方法に差がみられるという興味深い結果が得られました。
学会ではその点が評価されたのか、
優秀発表賞(ポスター)を頂くことができました。

この研究をするにあたり、始めはまず抽出だけのお願いだったのですが、結果を見ながらディスカッションを進めていくうちに上記のような分類や分布の可視化というアイディアが生まれてきました。
元々の想定では、本来はまず半期かけて抽出と分析、その後また半期かけて分析方法の見直しと実行、結果の可視化・・・くらいのスケジュール感でした。
しかし、飯田さんの抽出作業が大変早く、充実したディスカッションが行えて昨年度後期の半期だけで結果の可視化までできたため、芸術科学フォーラムに投稿できました。

頑張り次第では一年生のうちから面白い研究ができ、学会発表までできるという素晴らしい事例になりました。
飯田さんとは引き続き伏線の研究を進める予定です。また面白い結果が得られたら報告します。

人間工学の研究室が加わります。

2021年4月21日 (水) 投稿者: メディア技術コース

こんにちは、2021年度からメディア学部、メディア技術コースに新しく講師として加わる盛川浩志(もりかわ ひろゆき)と申します。これからよろしくお願いします。

メディア学部には読み方が同じ森川先生がいらっしゃいますが、私は「もり」の字が盛岡の盛になります。字で見ればわかるのですが、音で聞くと区別がつかないので、覚えてもらうまでは混乱させてしまうかもしれません。早く在学生の皆さんに覚えていただけるよう、いろいろと交流していきたいと思っています。

私の専門は人間工学という学問です。人間工学という言葉を目にしたことがある方は多いと思います。ペンや椅子、マウスやキーボードといった製品の謳い文句として、「人間工学に基づいた」、「人間工学的に考えられた」などの言葉が使われていたりします。人間工学を英語では「エルゴノミクス」と呼んだりもしますので、「エルゴノミック……」、「エルゴ……」といった製品名を付けているものもあります。いずれも、使いやすさや疲れにくさをアピールするために人間工学の名前を挙げています。

こうした言葉からも想像できるように、人間工学は、人にとって便利で、安全で、快適なモノやコトをデザインする学問といえるでしょう。私はその人間工学の中でも、メディアを対象とした研究に取り組んでいます。先ほどの言葉を使うなら、人にとって便利なメディア、安全なメディア、快適なメディアを作るにはどうしたらよいか、ということをテーマに活動しています。

メディアと一言でいっても、その範囲は広大です。私は主に先端的なメディアに注目をしています。昨今はVRやARといった技術が急速に普及しつつあり、それに伴い多くのコンテンツが作られ、世に出回ってきています。もしこうしたコンテンツを最初に体験した人が、強い疲れや不快感を覚えてしまったら、「VRは疲れる」、「VRは楽しくない」という印象を持ってしまうかもしれません。そうなると、新しいメディアの普及が抑制されてしまうことにもなります。そのためにも、安全で快適なコンテンツの作り方について、クリエーターがよく考える必要があるのです。

人間工学の研究の中心は評価になります。どういった刺激を与えたとき、どのような影響があったのか、それを科学的な方法で正しく評価することが重要になります。また、その評価を通じて、人間の知覚や心理における特性を明らかにしていくことも、大きな主題の一つです。私のメディア学部での活動では、コンテンツの評価を行うことはもちろん、ヒトの特性に合わせたコンテンツの作り方を考えたり、五感や認知をうまく使った新しい表現を作り出したりするような研究を進めていくつもりです。授業や演習でこうした内容をお伝えしていくとともに、皆さんと一緒に新しい表現を作り出していけることを楽しみにしています。

 

(自分の似顔絵LINEスタンプです。)

 

今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

言語メディアの研究室が新しく加わりました

2021年4月20日 (火) 投稿者: メディア技術コース

皆さん、はじめまして。2021年4月より東京工科大学メディア学部に講師として着任しました松吉俊と申します。どうぞよろしくお願いします。

メディア学部の3つのコースのうち、メディア技術コースに属しています。2021年度FS2クラスの担任(アドバイザー教員)も担当しています。

私は、人間が話したり書いたりする「ことば」にとても興味を持っており、コンピューターを使いながら「ことば」について研究しています。コンピューターを使いながらことば・言語について研究する分野を計算言語学(Computational Linguistics; CL)といいます。これは、文系である言語学の1分野です。一方、コンピューターを使って文章を知的に自動処理する方法を研究している分野が理系である情報工学にあり、自然言語処理(Natural Language Processing; NLP)と呼ばれています。計算言語学も自然言語処理も「コンピューターを使って文章・テキストを扱う」ことで研究をしているので、ほぼ同じものだと思ってもらって差し支えないと思います。本学部で私が担当する授業やプロジェクト演習では、計算言語学・自然言語処理で利用される役に立つ技術を皆さんにお伝えしたいと思っています。

メディア学部に入学した皆さん、もしくは、入学を志望する皆さんの多くは、ゲーム、アニメ、映像制作、インタフェースデザインなどに興味があるのではないでしょうか。ことばや文章は、音や画像とともに基本的なメディア(情報媒体)の1つです。これらの分野の研究・制作においても文章を、時に大量の文章を扱う必要があることも少なくありません (例えば、過去のたくさんの作品の内容を参照する場合など)。文章を知的に自動処理する自然言語処理技術を修得しそれを応用すれば、制作における人間の労力を大幅に減らしたり、エージェントやインタフェースの言語でのやり取りを(完璧とは言わないまでも)より賢くできます。例えば、具体的な研究テーマとして、「小説テキストの自動解析」、「キャラクター性を感じる台詞の自動生成」、「比喩や言葉遊びの意味解析・自動生成」、「受け手に合わせた説明文の自動生成」などが挙げられます。言語処理・言語メディアやその応用に興味がありましたら、ぜひご相談ください。

Dsc_0435

(4月2日にダンボールで一杯の研究室で自撮り写真を撮りました。)

これからどうぞよろしくお願いします。

 

(文責: 松吉俊)

プロジェクト演習履修者が優秀賞受賞『八王子市日本遺産紹介 教育デジタルコンテンツ作品』コンテスト

2021年4月19日 (月) 投稿者: メディア技術コース

健康メディアデザイン研究室の千種(ちぐさ)です。人体を健康メディアとしてとらえスマートフォンやスマートウォッチなどのメディアを活用して自らの健康をデザインするための研究を行っている研究室です。

2020年の去年から新しく始めたプロジェクト演習『スマホ動画制作による地域メディアデザイン』

https://kyo-web.teu.ac.jp/syllabus/2021/MS_P022739_ja_JP.html

では、

『地域社会に赴き、該当テーマにおけるステークホルダーたちとのコミュニケーションを通じて地域課題の様々な状況について問題意識を養成し、課題解決案を策定するとともに、動画コンテンツの制作における企画から完成までの制作過程を横断的に学ぶとともに、それらの成果を地方創生に活かす。また、課題理解のために、地域社会における該当テーマのステークホルダーたちとのコミュニケーションをはかるとともに、実際のグループワークにおいて各自の担当を担いながら建設的な意見交換により、よりよいコンテンツ制作に貢献する。』

という趣旨の基、プロジェクト演習を実施しました。

2020年の後期には八王子市のCMコンテストへの応募を予定していましたが、コロナ禍の影響でコンテストが急遽中止となってしまい、プロジェクト演習の目標を失いかけていました。

しかし、なんと

【募集】八王子市日本遺産紹介 教育デジタルコンテンツ作品を募集します

八王子市教育委員会(後援:大学コンソーシアム八王子)では、八王子市が都内で初めて日本遺産ストーリーに認定された「霊気満山 高尾山 ~人々の祈りが紡ぐ桑都物語~」をテーマに、学園都市八王子の特色を活かし、学生ならではの視点で、八王子の日本遺産ストーリーを紹介する教育デジタルコンテンツ作品を募集します。

https://gakuen-hachioji.jp/nihonisan/

と2020年限りの10分程度の動画制作のコンテストが急遽開催されることとなりましたので、このコンテストへの応募をすることに方針転換しました。

それから半年間の演習および自宅制作を経て、10分間の動画制作を無事に完了し、応募しました。そして、メディア学部3年生の荒井譲さんの作品が優秀賞を受賞し、3月19日(金)の15時の表彰式では、荒井さんは表彰状を授与され、併せて10万円の賞金もいただけました。

https://www.city.hachioji.tokyo.jp/shisei/001/001/009/001/p023092_d/fil/030317nihonnisannsutorisy.pdf

荒井さんによると『今回、優秀賞をとることができてとても嬉しいです。画像だけで10分程度の映像に仕上げるのは難しかったですが、ナレーションやBGM、テロップなどを工夫していくことで、子供たちに八王子について楽しく学んでもらえる作品に仕上げられたと思います。』とのことでした。

こういった1回しかないチャンスをモノにするには努力と才能と運ということになりますがとても良い経験になったと思います。

2_20210417182701

新学期授業スタート!

2021年4月18日 (日) 投稿者: メディアコンテンツコース

みなさん、こんにちは。メディア学部助教の兼松です。

いよいよ2021年度の授業がスタートしましたね.
昨年度前期は授業スタート時期も遅れた上,メディア学部は基本遠隔のみの授業.後期は対面と遠隔の併用,そして今年度前期は基本対面ながらも,一部の授業や夜間に実施することが多いプロジェクト演習では演習ごとに対面であったり遠隔であったりと,まだまだ学生の皆さんには複雑で大変な形が続いています.
新入生にとっては,どれも初めての授業を自分で調べて履修スケジュールをたてなければなりませんし,2年生のみなさんにとっても学期ごとに授業の受け方などが変わって苦労している方も多いと思います.
感染防止のためにもご理解・ご協力頂ければ幸いです.
そしてこの週末が明けると履修登録期間になります.定められた期間内に必ず登録しなければなりませんので,よく確認してください.

さて,今年度私が担当している授業としては,情報リテラシー演習(1年生)と基礎演習II(2年生),そしてプロジェクト演習シナリオアナリシスの,それぞれ第1回が先週の内にありました.

基礎演習IIの中で私が担当しているテーマ(サウンド・エキスペリエンス)は,昨年度と実施方法があまり変わっていませんので比較的スムーズに実施できたかなと思っています.
ただ,学生のみなさんの様子は少し昨年度とは違っていました.
サウンド・エキスペリエンスでは授業のほとんどの時間で,学生の皆さんが協力しあって課題をこなすことになります.その際,学生の皆さんはmeetを使って相談することになりますが,さすが昨年度の「遠隔でコミュニケーション・作業をすることをいきなり強いられた1年」を新入生として乗り越えてきたみなさんですね.昨年度よりも目立ったトラブルもなく,みなさんかなりスムーズに課題をこなしていたように思います.

大変な時期が続きますが,メデイア学部生として様々なメディアや関連技術を使いこなすスペシャリストになってほしいと思います.

(文責:兼松祥央)

たくさん映画を見ましょう

2021年4月17日 (土) 投稿者: メディアコンテンツコース

みなさん,こんにちは。メディア学部実験助手の菅野です。

これまで私はこのブログで「プロのシナリオライターを目指すなら見ておいたほうが良い作品」を紹介してきましたが、過去にこんな記事を書きました。

「シナリオアナリシスでよくある質問(おすすめの映画)その2」

http://blog.media.teu.ac.jp/2020/09/post-0d02b3.html

『大変興味深いことなのですが、シナリオを書こうとする学生の中には「主人公が最後に死ぬ話を書きたいです」と言ってくる人が定期的に現れます。もちろん毎回別な人です。ところが、いざ具体的な内容を教えてもらうと「主人公が最後に死ぬ」という、構想だけが強すぎるせいか、唐突に「主人公が死ぬ」とか、特に必然性もないが「主人公が死ぬ」という内容だったりします。』

この記事で触れた、プロジェクト演習シナリオアナリシスに定期的に現れる「主人公が最後に死ぬ話を書きたいです」と言ってくる学生さんたちには、ある共通点があります。それは

「他の人とは違った特徴をもった作品に仕上げなければ注目してもらえない、と考えた」

・・・というものです。毎回別な学生さんなので、多少言い方が違ったりするので、「ありきたりの作品にはしたくなかった」「既存作品のパクりだと言われたくないから」など、ニュアンスに若干の差はあるのですが、端的にいうなら「新規性」「独自性」をなんとか出したいという、とても積極的な創作姿勢に基づいた思考です。そしてそれ自体は決して間違ったことではないです。

ただ「他の人とは違った特徴をもった作品」のシナリオを書くためには、他の人の作品をたくさん知って「他の人がまだ取り扱っていないことがなんなのか」を見極められるようになる必要はあります。

その点で言えば、安易に「主人公が最後に死ぬ」だけのシナリオを考えてしまうのは、既存作品のリサーチ不足から「主人公が最後に死ぬ作品は、他の人がまだ取り扱っていないに違いない」という思い込んだに等しく、「他の人とは違った特徴をもった作品」の見極めができていない、と自ら言っているようなものです。

前述した過去の記事では映画「グラディエーター」を取り上げていますが、妻子のかたきを討つために「主人公は最後に死ぬ」という点だけで見れば、それほど新しい発想ではありませんが、現代にはもはや存在しない、奴隷同然の剣闘士(グラディエーター)が、その時代の最高権力者を相手に、当時の、ありとあらゆる手段を用いて本懐を遂げるまでを描き切るとなれば、そのシナリオは「他の人とは違った特徴をもった作品」として認識されるに至ります。

シナリオライターになるためには「たくさん映画を見ましょう」というアドバイスはよく耳にしますし、ただ漫然と見るだけでは全く意味がありませんが、少しでも、意識的に既存作品との差別化されたポイントを見つけ出そうとして見ていたなら、それはシナリオライターにとって、間違いなく重要な知識となります。

そういう意味では、「他の人とは違った特徴をもった作品」のシナリオライターを目指す皆さんは「たくさん映画を見ましょう」

(文責:兼松祥央)

シナリオアナリシスでよくある質問(おすすめの映画)その20

2021年4月16日 (金) 投稿者: メディアコンテンツコース

みなさん,こんにちは。メディア学部実験助手の菅野です。

今回も「プロのシナリオライターを目指すなら見ておいたほうが良い作品」を紹介します。
今回紹介するのはこの映画です。

--

『マスク(1994)』

【監督】
チャールズ・ラッセル

【脚本】
マイク・ワープ

【参考URL】
https://movies.yahoo.co.jp/movie/22113/

【あらすじ】

エッジシティの銀行に勤めるスタンリーは、愛犬のマイロと暮らし、アニメを見ることぐらいしか楽しみのない、平凡で冴えない男だった。そんな彼はある日、一人の女性に一目惚れする。

その相手は地元ギャングの経営するナイトクラブの歌姫「ティナ」で、その出会いは、よりにもよってギャングのドリアンが銀行強盗の下見につきあわされている最中、という最悪のタイミングだった。

そんなことなどお構いなしでスタンリーはティナへの想いをふくらませて帰宅する途中、
河辺で怪しげな仮面を見つけ、吸い寄せられるようにそれを顔につけてしまう。

次の瞬間スタンリーは、緑の肌をした怪人「マスク」に変貌。およそ人間とは思えぬ動きと、ふだん見ていたアニメさながらの奇抜な能力で、夜の街に繰り出して大暴れする。

翌朝、我に返ったスタンリーは仮面の力が恐ろしくなり、ティナに近づくために、もう一度だけその力を使ったら、仮面を捨てる決意をした。

かくして再び怪人マスクへと返信したスタンリーは、ティナのいるナイトクラブへ向かったが、ドリアンがいよいよ銀行強盗の決行中だったので、マスクの力でなんなく大金を横取りしてからクラブ入りし、情熱的なダンスでティナを魅了した。

後日、スタンリーはティナを呼び出すと、彼女に「怪人マスクに合わせてあげる」と約束し、ためらいながらも変身して正体を明かした。しかし、銀行強盗の一件で怪人マスクに恨みを抱くドリアンの手によって、仮面は奪われてしまう。

仮面の力を手に入れ、大暴走を始めたドリアンを止めるべく、再びナイトクラブに向かったスタンリーは、マスクのない非力なままでも勇敢にも立ち向かい、愛犬マイロとティナの力を借りてドリアンから仮面を引き剥がした。

この活躍によりドリアンは警察に逮捕され、スタンリーとティナは晴れて結ばれることになった。もはや仮面のちからに頼らなくていいと気づいたスタンリーは、仮面を再び河へ投げ入れ、手放したのだった。

--

「マスク」は、アメリカン・コミックスを原作とした1994年の映画です。SFXを駆使した映像技術を用いて、実写とカートゥーンアニメを組み合わせた演出がなされており、特にタイトルにもなっている怪人「マスク」が大暴れする様は、現実的要素と非現実的要素を織り交ぜた、印象に残るインパクトのあるシーンに仕上がっています。

この作品でシナリオライターとしてどこに注目すべきか、というと「マスクの非現実的な特殊能力の数々を現実的なシーンにうまく盛り込んでいる」という点です。

マスクはアカデミー賞の視覚効果賞にもノミネートされていますので、特殊能力の描写に優れていることは言うまでもないのですが、それらはあくまで最終的に完成した映像上のことであって、シナリオの段階では単なる文字情報でしかなかったのですから、そこをうまく記述するには、相応のテクニックが必要です。

シナリオライターと呼ばれる職業は、どんな作品でも文字で執筆できる、と考えられがちで、たしかにそういった万能なシナリオライターが高く評価される部分もありますが、それでも個人ごとに得手不得手はありますし、例えば実写のシナリオライターとアニメのシナリオライターとでは、得意とする執筆内容に大きく違いがあります。

もしかすると、アニメのシナリオライターなら、宇宙も地球も、現実も非現実も執筆できるから、自由で楽だと思われる方も、いるかもしれませんが、非現実な描写や、現実であっても簡単に行き来できない宇宙の描写を、文字だけで人に伝えてイメージさせることは、とても難しく、自由ではあっても決して楽なことではありません。

映画「マスク」。の中では、怪人マスクに変身した主人公はまさに無敵で、銃で撃たれようが爆弾で爆破されようが無傷でピンピンしています。しかし、そんなキャラクターが描かれる世界の、怪人マスク以外の住人たちは、至って普通の人間であり、銃で撃たれれば死ぬし、爆弾が爆発しても死んでしまいます。ギャグ漫画のように、次のシーンで何事もなく生きていたりはしないのです。

作中では、必ずしも銃や爆弾のような派手で攻撃的な手段に限らず、さまざまな力を発揮してピンチをくぐり抜けるシーンがあり、中には「歌と踊りでその場にいる人間を楽しくさせてしまい、集まった警官たちすらもダンスに興じてしまう」なんてこともあって、あえて現実的な描写手段も絡めるなどして、違和感を抱かせない工夫が見られます。

昨今、CG技術の発達によって、映画「マスク」が制作された時代よりも、非現実的な要素を描写することが容易になっている時代ではありますが、安易にそういった要素をシナリオに記述しても、効果的には機能しません。

シナリオライターを目指す人であれば、映画「マスク」を見て、どんなタイミングで、何度くらい、どのくらいの長さで、非現実てきな要素のシーンを用いているか調べるだけでも、かなり勉強になると思います。是非一度見てみてください。

(文責:兼松祥央)

プロジェクト演習「インタラクティブ・ゲーム制作 グラフィックスコース」学生作品の紹介

2021年4月15日 (木) 投稿者: メディアコンテンツコース

皆さんこんにちは。メディア学部 特任講師の川島です。

 

先日、私の担当するプロジェクト演習の2020年度履修者が集まり、作品発表会を教室とオンラインとのハイブリッドで行いました。

 

今回はそのうち、「インタラクティブ・ゲーム制作 グラフィックスコース」の学生作品を紹介します。

 

この授業は、ゲームクリエイターを目指す学生が実践的に学ぶことができる「インタラクティブ・ゲーム制作プロジェクト」のコースの1つです。「グラフィクスコース」という名称どおり、ゲーム業界におけるヴィジュアルアーティストやテクニカルアーティストになるための知識とスキルを学習することができます。クリエイター職は新卒でも即戦力を求められる場合が多いため、在学生は4年間かけて初歩から応用までをしっかり学びます。このプロジェクト演習では、ほとんどの学生は1年生の後期から約3年間をかけ、グループワークによる作品制作を通じてゲームのグラフィクスを実際に制作するテクニックを磨いています。今回紹介するのは、そのうちの「シネマティクスチーム」という初級者の皆さんが1学期間かけて作ったショートアニメーションです。まだ未熟な部分もありますが、これを繰り返していくことで見違えるようにレベルアップしていきますので、今後が楽しみです!

 

それでは、作品をどうぞ!

 

■チーム名:Daily event

 

この作品はキャップを頭にかぶったキャフィと妖精のピーフィーが、世界中に散らばったキャップを集める物語です。
映像ではごみの山にあったキャップをキャフィが取ると上にある瓶が転がってきます。慌てて逃げだしたキャフィはピーフィーの助けを借りながらなんとか瓶から逃げ切ることができ、安堵した表情を見せます。
キャフィたちはとても小さいキャラクターなので、可愛さを意識して作成しました。音やBGMもそれを際立たせるものにしました。

 


■チーム名:DPStrange

 

この作品「invocation」は、
主人公であるじんが手に取ってしまった本を開いてみると、
本の中に封印された怪物が召喚されてしまうというストーリーになっています。
ひょんなことから日常から非日常に変わっていく様や、
ゼリーのような怪物の質感や迫力などに注目していただきたいなと思います。
15秒という制限の中でメンバー全員でこだわって制作をしました。
DPStrangeが送る「未知の瞬間火力」をお楽しみください。

 

■チーム名:ロケット団

 

いたずら好きのロボットが、家主が留守の間に部屋を散らかし、くまのぬいぐるみがそれを止める、という内容のゲームをイメージして作りました。題名の「シークレットウォーズ」はおもちゃたちが人のいないところで密かに戦いを繰り広げているというところから名付けました。
一見敵対しているように見えるロボットとくまですが、ほのぼのできるような終わり方にしたので、ぜひそこに注目してみてください。

 

■チーム名:Rust of Earth

 

左腕に着けた義手の力によって戦争の時代を生き延びた主人公は、終戦後の世界で自らの義手を敵対組織に奪われてしまう。共に争いを潜り抜けてきた大切な義手、それを取り戻すため、主人公は彼らを追って工場の跡地を下っていく。
工場跡地奥の一室に自らの義手を見つけ、走りこむ主人公。警備ロボットを飛び越え、義手を手に取る。しかし義手を取り付けた瞬間、警備ロボットに背後から攻撃を受け.....

春の三上・兼松研究室学会発表

2021年4月14日 (水) 投稿者: メディアコンテンツコース

メディア学部の三上です.

4月になり新学期の準備も忙しくなってきましたが,3月で卒業した学生たちの学会発表成果などを紹介していなかったので,少しずつBlogで紹介していこうと思います.

今年の春の学会はすべてオンラインでの開催となり,現地で様々な研究者と対面して交流するという機会はなくなってしまいましたが,オンラインで参加しやすいことからたくさんの来場者が来てくれた学会もあり,オンラインにはオンラインの良さを感じました.

オンライン学会はZoomなどのオンライン会議ツールを利用した開催になります.こんな感じにいろいろな人の顔やアイコンを見ることができます.

Forum01

まず初回はダイジェストから.

 

映像表現・芸術科学フォーラム(2021年3月8日)

[1]伊藤颯爽, 兼松祥央, 茂木龍太, 三上浩司, “モバイルアプリにおけるアバター髪型のウェーブ”, カール編集システム ,映像表現・芸術科学フォーラム, 2021.3

[2]鈴木柚香, 兼松祥央, 茂木龍太, 三上浩司, “建築様式を考慮した神社の鳥居と社殿の制作支援システム” ,映像表現・芸術科学フォーラム, 2021.3

[3]関 竜太郎, 兼松祥央, 茂木龍太, 三上浩司, “アニメーション作品における変身シーンの演出設計支援システム” ,映像表現・芸術科学フォーラム, 2021.3

[4]林 祐希 兼松祥央, 茂木龍太, 三上浩司, “シルエット分析に基づく巨人キャラクターの制作支援手法” ,映像表現・芸術科学フォーラム, 2021.3

[5]原田晃太, 井上雄太, 末繁雄一, 兼松祥央, 茂木龍太, 三上浩司“アクティビティを考慮した公共空間計画におけるバーチャル支援システムに関する研究”,映像表現・芸術科学フォーラム, 2021.3

 

情報処理学会インタラクション2021(2021年3月10~12日)

[1]朱文イク, 兼松祥央, 茂木龍太, 羽田久一, 三上浩司, “温度刺激を活用した被弾感覚提示デバイスの開発,インタラクション2021, 2021.3

[2]鍵和田悠太,兼松祥央,茂木龍太,三上浩司“VRでの画面占有を考慮した文字入力高速化の研究” ,インタラクション2021, 2021.3

 

日本デジタルゲーム学会第11回年次大会(2021年3月13日,14日)

[1]天野来偉兼松祥央, 茂木龍太, 三上浩司, “ホラーゲームにおける馴化回避のための動的サプライズ演出制御システムの提案”, 日本デジタルゲーム学会 第11回年次大会, 2021.3

[2]加藤大雅, 原田和明, 兼松祥央, 茂木龍太, 三上浩司, “GTIGA:ゲーミフィケーションに基づくアイデア創出・獲得トレーニングシステム”, 日本デジタルゲーム学会 第11回年次大会, 2021.3

[3]朱文イク, 兼松祥央, 茂木龍太, 羽田久一, 三上浩司, “Hat Vest: 温度刺激を活用した被弾感覚提示デバイスの開発”, 日本デジタルゲーム学会 第11回年次大会, 2021.3

[4]原田和明, 兼松祥央, 茂木龍太, 三上浩司, “プレイヤーの音声リアクションに基づく動的難易度調整のための音響的特徴量抽出と解析”, 日本デジタルゲーム学会 第11回年次大会, 2021.3

[5]長谷部肇也、安原広和、三上浩司 "ゲーム進行のテンポがプレイヤーの時間評価に及ぼす影響の研究" ,映像表現・芸術科学フォーラム, 2021.3(安原研)

 

このほかに大学院生の発表もありますが,まだ在学中ですので研究が発展したときにお知らせします!

 

2021年度前期プロジェクト演習「シナリオアナリシス」「デジタルキャラクターメイキング」個別説明会のお知らせ

2021年4月13日 (火) 投稿者: メディアコンテンツコース

みなさん、こんにちは。メディア学部助教の兼松です。

いよいよ今週から2021年度前期の授業がスタートしますね.みなさん,もうどの授業を受講するか決めましたか?
新入生の皆さんは,特に履修登録など,高校までとはちょっと違う仕組みで授業を受講することになる方が多いと思いますので,よく確認してくださいね.昨日の竹島先生の記事もぜひ参考にしてください.
また,授業時間も1コマ100分,さらに複数コマ連続授業があったりもして,これまでより疲れてしまうかもしれません.体調管理にも気をつけましょう.
今年度は私も1年生前期の情報リテラシー演習でクラスを持つことになりましたので,一部の新入生とは顔を合わせることになります.よろしくお願いします.

さて,毎学期の始めの恒例ではありますが,ここからはダイマです.
私が担当しているプロジェクト演習「シナリオアナリシス」と「デジタルキャラクターメイキング」も,今週金曜日(シナリオ),および来週月曜日(キャラ)から始まります.
各曜日初回が個別説明会を兼ねていますので,受講を考えているかたは新入生も在校生もご参加ください.シナリオが16日(金)19:00〜,キャラが19日(月)19:00〜です.いずれもZoomを使った遠隔での実施です.zoomの接続先などの情報はどちらの演習も専用のClassroomに掲載しています.
Classroomのアドレス・クラスコードは,新入生の方は先日行われたプロジェクト演習の合同説明会の資料を参照してください.在校生の方は学生ポータルから授業を検索していただくと,授業ページへのリンクが見つかると思います.シナリオとキャラのプロ演では授業ページとしてmoodleの代わりにclassroomを設定してありますので,授業ページへのリンクから直接classroomに入れるようになっています.よくわからない方は兼松までメールなどでご連絡ください.

みなさんのご参加,お待ちしています.

(文責:兼松祥央)

メディア学部の分野別講義分類表[2021年度版](シラバスリンク付)

2021年4月12日 (月) 投稿者: メディアコンテンツコース

 

メディア学部2021年度専門講義科目 分野別分類表(シラバスリンク付)
コース推奨 教育
分野
専門基礎教育科目 専門教育科目
メディア基礎科目群 メディア専門科目群 コース専門
科目群
1年次前期 1年次後期 2年次前期 2年次後期 3年次前期 3年次後期
メディアコンテンツコース 映像
コンテンツ
創作
映像創作入門 視覚情報デザイン入門 CG制作の基礎 ディジタル映像表現論 先端映像創作論 映像文化論
コンテンツプロデュース論 コンテンツディベロッピング論
インタラクティブ
コンテンツ
創作
映像創作入門 プログラミング入門 CG制作の基礎 ゲームデザイン論 ゲーム制作技術論 情報可視化
メディア芸術の基礎 コンテンツディベロッピング論
コンテンツプロデュース論 インタラクティブアート論 ゲームプログラミング論
メディア
コンテンツ
デザイン
映像創作入門 視覚情報デザイン入門 メディア芸術の基礎 ゲームデザイン論 プロダクトデザイン論 情報可視化
造形デザイン入門 コンテンツプロデュース論 インタラクティブアート論 IoTデバイス論
音楽、
サウンド
デザイン
音楽入門   メディア芸術の基礎 音楽創作論 サウンドデザイン論  
  1年次前期 1年次後期 2年次前期 2年次後期 3年次前期 3年次後期
メディア技術コース ヒューマン
インタフェース
言語コミュニケーション分析入門 視聴覚情報処理の基礎   ヒューマンコンピュータインタラクション論 感性情報処理論 IoTデバイス論
プログラミング入門
ネットワーク システム基盤技術の基礎 インターネットシステム入門   データ処理と人工知能 Webプログラミング論 ソーシャルコンピューティング論
プログラミング入門 データベースと情報検索技術 情報システム設計論
映像画像
CG処理
  メディアのための数学 CG・ゲームのための数学 イメージメディア処理論 3次元コンピュータグラフィックス論 ゲームプログラミング論
メディアのための物理 CG数理の基礎
プログラミング入門 メディア情報処理の基礎 データ処理と人工知能
音声音響
言語処理
言語コミュニケーション分析入門 プログラミング入門 メディアのための物理 音声音響メディア処理論 感性情報処理論  
メディア情報処理の基礎 データ処理と人工知能
  1年次前期 1年次後期 2年次前期 2年次後期 3年次前期 3年次後期
メディア社会コース 社会情報技術 メディア文化と社会 ソーシャルリサーチ 経営数理 統計データ分析 社会経済論 社会経済シミュレーション論
情報メディア法
ソーシャル
デザイン
ソーシャルコミュニケーション入門   教育メディア論 グローバルメディア論 ソーシャルコンテンツデザイン論 ソーシャルデザイン論
インターネットコミュニティ論 ソーシャルインタラクション
デジタル
ジャーナリズム
    デジタルジャーナリズム入門 ニュースメディア論   調査報道論
広告
マーケティング
広告・広報入門 音楽産業入門   コンテンツマーケティング論 デジタルマーケティング論 サービスデザイン
広告クリエイティブ入門
  1年次前期 1年次後期 2年次前期 2年次後期 3年次前期 3年次後期
共通科目   メディア学入門 先端メディア学Ⅰ 先端メディア学Ⅱ 先端メディアゼミナールⅠ 先端メディアゼミナールⅡ  
メディア特別講義I メディア特別講義II

 

先端メディア学・先端メディアゼミナールは多数のテーマ別シラバスがあるため、リンクは張っていません。
この表にある科目はメディア学部の専門科目(講義)です。このほかに教養教育科目、演習(メディア基礎演習・メディア専門演習・プロジェクト演習・創成課題・卒業研究)があります。
来年度以降の新規開講科目については、シラバスのリンクはありません。
開講時期は変更されることがあります。実際の履修にあたっては、時間割を確認して下さい。


新入生および在校生の皆さん

4月14日(水)から授業が始まりますが、履修する科目はすでに決まっていますか?
新入生の皆さんは、学生便覧や時間割とにらめっこをして、どの授業をとろうかな・・・と考えていることかと思います。
在学生の皆さんは、あとはどのような授業をとれば各科目群の単位を満たすかな・・・と考えていることでしょう。
今日は、メディア学部の専門講義科目を内容ごとに分類した、分野別分類表を紹介します。

この分野分類表は、コースごとにいくつかの分野に分け、各授業を分類しました。
講義名をクリックするとシラバスを見ることができます。

みなさんは、履修する講義を決めるとき、何を基準に決めていますか?自分が得意そうなもの?時間割の都合?先生のやさしさ?
基準は人によっていろいろあると思いますが、自分が大学でどのようなことを学びたいのか、将来どのようなことができるようになりたいのかといった、大きな視点からも考えてみてください。
やりたいことが自分の中で決まっている人は、ぜひ、その分野の講義を履修してみてください。
まだ、どのようなことをやりたいのか決まっていない人は、自分がこれまで履修してきた講義や、履修してみたい講義が、どのコースのどの分野に属しているのかを見てみることで、自分のやりたいことが見えてくるかもしれません。

自分の将来に役立つ講義を履修するために、ぜひ、この分野分類表を活用してください。

2021年度前期の履修登録期間は、4月19日(月)、20日(火)、確認・修正日が21日(水)です。
昨年までよりも登録期間が短いので、注意してください。

そして、2年生以上の皆さんは、どの科目群の単位が不足しているのか、今一度、成績表の下の表を確認してくださいね!

(文責:竹島)

コロナ禍のもとにおけるインターネットを使ったライブ配信について(7)

2021年4月11日 (日) 投稿者: メディア社会コース

インターネットを使ったライブ配信については、まだ、試行錯誤の時期にあり、今後は業界全体でリアルタイム配信のノウハウや技術を蓄積していく必要があるようです。観客とのコミュニケーション方法にも課題があります。しかし、ライブ配信はコロナ禍のもとでビジネスを継続する手段としては有用です。今後の成長に期待したいと思います。

コロナ禍のもとにおけるインターネットを使ったライブ配信について(6)

2021年4月10日 (土) 投稿者: メディア社会コース

コロナ禍のもとにおけるインターネットを使ったライブ配信について考える場合、祝祭性・社交性を提供する場としての劇場を再現できるかどうかも重要です。しかし祝祭性・社交性は,インターネット配信では、あまり感じられない場合が多いようです。お祭り気分というのは、やはり、対面で、現場に行って、大勢の人と一緒にいないと、なかなか得にくいものなのかもしれません。

コロナ禍のもとにおけるインターネットを使ったライブ配信について(5)

2021年4月 9日 (金) 投稿者: メディア社会コース

コロナ禍のもとにおけるインターネットを使ったライブ配信について考える場合、観客とのコミュニケーションを行うことができるかどうかも大事です。コミュニケーションを行うため、チャットが用意され,観客による投稿がリアルタイムに表示されるなどの工夫を行うこともありますが、なかなか、同じ場にいるときのようにはいかないようです。

コロナ禍のもとにおけるインターネットを使ったライブ配信について(4)

2021年4月 8日 (木) 投稿者: メディア社会コース

2020年625日に、サザンオールスターズが、横浜アリーナで開いた、無観客のライブ配信「サザンオールスターズ 特別ライブ2020 Keep Smilin´~ 皆さん、ありがとうございます!!~」は、サザンオールスターズという強力なアーティストを中心に、ABEMAGYAO!、新体感ライブCONNECTPIA LIVE STREAMU-NEXTLINE LIVEZAIKO、サザンオールスターズ応援団という、8つの有料ライブ配信プラットフォームが、協力して配信しました1)。このケースのように、約18万人に対し、品質を保証したうえで、配信する場合、1つの配信プラットフォームでは、技術的にも、ビジネス的にも、非常に困難であり、このような方法が選ばれたのだと思われます。

1)サザンオールスターズオフィシャルサイト(2020)「サザンオールスターズ 特別ライブ2020 Keep Smilin´~ 皆さん、ありがとうございます!!~」

URL: https://2020live625.southernallstars.jp/

コロナ禍のもとにおけるインターネットを使ったライブ配信について(3)

2021年4月 7日 (水) 投稿者: メディア社会コース

今日は、2020625日に、サザンオールスターズが、横浜アリーナで開いた、無観客のライブ配信「サザンオールスターズ 特別ライブ2020 Keep Smilin´~ 皆さん、ありがとうございます!!~」についてご紹介します1)。このライブ配信のチケット代金は、3600円であり、チケット購入者は約18万人、購入者が複数人で見ていたことを含めた推定総視聴者数は約50万人となりました。横浜アリーナの収容人数が約17000人であることを考えると、10倍以上の購入者数を集めることに成功しました。これは、コンサート会場に行くことが難しかった人や、チケットを入手することができなかった人もふくめて、多くの消費者にライブを届けることを可能にしました。また、会場には、40台のカメラが設置され、優れた演出効果をえました2)。このライブ配信は、非常に多くの観客を集めたこと、有料配信として比較的高額なチケット代でも成立したこと、演出面での見事さなどにおいて、日本のライブ配信史上、特筆すべきものとなりました。

1)サザンオールスターズオフィシャルサイト(2020)「サザンオールスターズ 特別ライブ2020 Keep Smilin´~ 皆さん、ありがとうございます!!~」

URL: https://2020live625.southernallstars.jp/

2)SPICE(2020)「サザンオールスターズ、横浜アリーナから“感謝”と“笑顔”を日本中に届けた無観客配信ライブ公式レポート」2020626

URL; https://spice.eplus.jp/articles/271565

コロナ禍のもとにおけるインターネットを使ったライブ配信について(2)

2021年4月 6日 (火) 投稿者: メディア社会コース

2000年ころまでは、インターネットで配信されるコンテンツは無料であり、消費者がお金を払うことはないと考える人が多かったのです。現在では、Netflixなどの定額制動画配信サービスの普及もあり、配信されるコンテンツに対し、消費者がお金を払うことは一般化しました。

しかし一口に配信といっても,オンデマンド配信とリアルタイム配信ではサービスの特性が大きく異なります。配信する人は、色々考えながらビジネスをすすめなければならないのです。

新入生の皆さんへ

2021年4月 6日 (火) 投稿者: メディア技術コース

新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。メディア学部長の大淵です。

本日の入学式は、新型コロナ感染対策のため、通常よりは規模を縮小しての開催となりますが、ともかく東京工科大学のキャンパスに皆さんをお迎えできることを嬉しく思います。

さて、皆さんを迎えるにあたり、ひとつ世間とは逆のアドバイスをしたいと思います。それは、「自分の目標に固執しない」ことです。

私自身が大学生だったのは1980年代ですが、その頃の日本の大学生活は「モラトリアム期間」と呼ばれていました。モラトリアムとは支払い猶予を指す経済学用語から来た言葉で、社会に出てどんな生き方をするのかの決断を、4年間だけ先延ばしにできるというニュアンスでした。しかし、その後の三十数年で日本社会は大きく変わり、大学生はもとより高校生のときから自分の将来像を描くことが求められるようになりました。皆さんも、「偏差値で大学を決めるのではなく、自分の就きたい仕事を考えて大学を決めよう」と言われてきただろうと思います。

そのように将来の目標を持つのは良いことですが、ときには予定通りにいかないことがあります。その原因は自分自身にある場合もあるでしょうし、社会の方が変わってしまうこともあります。コロナ禍に見舞われたこの一年は、社会の変化により目標を断念せざるを得ない人がたくさんいました。海外留学を予定していた人、旅行業界に就職したかった人、ライブエンターテインメントの分野に進みたかった人などが代表例でしょうか。そうなったとき、じっと耐え忍んで状況が好転するのを待つというのも一つの方法ですが、そうではなく、まったく新しい分野で自分が活躍できる場所を見つけていった人も大勢いました。社会が不安定なときには、こうした転身の速さが、得てして成功につながったりするものです。

皆さんがこれから過ごす大学生活の中で、目標に向かって順調に進んでいると感じる間は、私のアドバイスなど忘れていてくれて構いません。でも、もしどこかでつまづいたと感じることがあったら、「目標は変えてもいいんだ」ということを思い出してください。メディア学部は、扱っている分野の多様性が自慢です。周囲を見回してみれば、それまで気付かなかった楽しそうなことがいろいろと見つかると思います。

Blossom

コロナ禍のもとにおけるインターネットを使ったライブ配信について(1)

2021年4月 5日 (月) 投稿者: メディア社会コース

今日から一週間、コロナ禍のもとにおけるインターネットを使ったライブ配信についてお話します。

2020年は世界的にコロナ禍に見舞われた年となりました。2020130日にはWHOが「国際的な緊急事態」を宣言し、日本においても、202047日に発せられた、最初の「緊急事態宣言」後は本格的に人々の外出が制限されました。

ライブ・エンタテインメントの業界は、これにより、大きな打撃を受けました。日本における市場規模は6,295億円(2019年)から1,306億円(2020年)へと激減する見通しです1)。リアルに会場へ観客を集めることが困難になったため、ライブ・エンタテインメントの業界においては、インターネットを用いたライブ配信を行う動きが広がりました。20202月~5月ころは、過去の公演映像をオンデマンドで無料配信するケースが多くありました。2020525日に緊急事態宣言が解除された20206月以降は、ライブ配信を行うケースが多くなりました。消費者もライブ配信への関心を高めました。

1)ぴあ総研(2020) 2020年のライブ・エンタテインメント市場は、対前年約8割減に。ぴあ総研が試算値を下方修正」20201027

研究の分業:技術的な課題と本質的な課題

2021年4月 4日 (日) 投稿者: メディア技術コース

助教の戀津です。
昨日の記事で紹介した春木さんの研究について、リミテーションという観点から追加のお話です。
(まだお読みでない方は先に紹介記事をお読みください)

春木さんの研究は、本来「実在の」樹木を対象とするものでした。
実在の樹木をもとに、その中のどの枝をどう剪定すると、剪定後にどのように生長するというのを予測・可視化するというものです。
樹木の適切な剪定には高度の知識と経験を要するため、そこを補助するというのが目的でした。

これを達成するためには、まずは実際の樹木の形状をPC等に取り込む必要があります。
そこで、研究開始当初は樹木情報の取り込み方法について調査をしていました。

フォトグラメトリと呼ばれる、対象物をたくさんの方向から見た写真を大量に撮ることで3DCGとして取り込む技術があります。
観光地の大きな建物や、人間大の石像、小さいものではフィギュアなどが対象としてよく取り込まれています。
原理上はiPhoneなどのスマートフォンでも行えるため、多くの研究者や技術者が日々精度の向上に打ち込んでいる技術です。

しかし、残念ながら調べた範囲では現在の技術では樹木のモデルを得るのには向いていませんでした。
上で挙げたような建造物や像などは、細かな部品はあるにしろ一つの大きな塊の物体です。
それに対し樹木は、葉があると枝の様子を確認することができず、また冬季など枝だけの状態ではスカスカの形状になるためうまく取得ができませんでした。
一定の空間内に多数の細い枝があるという状況では、撮影する角度を少し変えると手前や奥にある枝が違う映り込み方をするため、空間的な配置の認識が難しかったものと思います。
何とかして枝の情報を入力できないか、春木さんはずいぶん試行錯誤してくれましたが、最終的には「今回は実際の樹木を扱わない」という結論になりました。

前置きが長くなってしまいましたが、ここからが今回お話したいことです。
本来の目的は樹木の剪定を補助することなので、もちろん実際の樹木を入力できることがベストです。
しかし、この研究は樹木の枝を剪定した後にどのように生長するかをシミュレーションするのが一番重要なポイントです。
仮に樹木の情報を入力できても、生長シミュレーションができなければ目的を達成できません。
逆に、樹木の情報は実在のものでなくても、シミュレーション方法が確立されていれば仮の情報でシミュレーションができますし、今後技術が発展し実在の樹木を入力できるようになるかもしれません。

この場合、フォトグラメトリ等で実在の樹木の情報を取得できないことは技術的な課題で、生長シミュレーションが本質的な課題にあたります。
こういう時に、「この研究ではこの部分は取り扱わない」というものをリミテーションと呼び、将来的な課題として論文で挙げておくという方法があります。

同じような例として、VR技術の研究があります。ヘッドマウントディスプレイを装着した仮想空間体験は、理論やプロトタイプは1960年代には研究されていました。
当初は機材が大きすぎたり高価すぎたり、また精度も低いものでしたが、体験に関する理論の研究は進んでいました。
それから多くの時が経ち、
多くの技術者が積み重ねてきた技術の進歩によって小型で安価な機材が市場に出回り、個人でもVR体験が行えるようになりました。
長い歴史をかけた壮大な分業ですね。これもまた研究活動の素晴らしい点です。

卒研という限られた期間において技術的な課題は必ずしも春木さん自身が解決する必要はないため、本質的な課題に注力するという決断をしました。
結果、生長予測と可視化部分の実装という形で成果を残し、学会発表も行う事ができました。

今後フォトグラメトリ(またはその他の技術)の精度が向上し、リアルタイムに目の前の樹木の形状を取得できるようになればより一層この研究の成果が輝きます。
その時が来るのを楽しみにしています。

研究紹介:樹木剪定後の生長予測と可視化

2021年4月 3日 (土) 投稿者: メディア技術コース

助教の戀津です。
今年度もよろしくお願いします。

先日は中村君のラテアートの研究を紹介しました。
今回は同じく情報処理学会全国大会で発表したもう一件の研究についての紹介です。
春木萌さんが、『樹木剪定後の生長予測と可視化』というタイトルで発表してくれました。

樹木の剪定について、皆さんあまり馴染みはないと思います。
しかし街路樹や大学敷地内の樹木など、人通りのある個所にある樹木については基本的に人の手が入っています。
この剪定を行うときに、「枝葉が伸びてきたから切る」というだけでは済まない、専門の技術があります。

樹木の種類にもよるのですが、枝には内芽・外芽という芽がそれぞれついています。
厳密な説明をすると長くなりますが、内芽は幹の方に、外芽は外の方に枝が伸びる芽です。
剪定時に枝を切る位置によって、どちらの芽が枝となり伸びていくかが決まります。
次の図は内芽・外芽が発芽した場合にそれぞれどのように伸びるかの模式図です。

Js1

剪定後、この内芽と外芽のどちらから発芽するかによって樹の形は変わってきます。
枝の位置や伸びている向きなどを見極めながら、この枝からはどちらが発芽するとよいか考える必要があります。
樹の全体像を把握しつつ、剪定後の生長予測をするため、高度な専門性を要する仕事というわけです。

これに対し、剪定後どのように生長するかを予測・可視化するというのがこの研究の基本的なアイディアです。
3DCGで樹木を再現し、クリックによる枝の剪定と、どちらの芽が発芽するかによる剪定後の生長をシミュレーションしています。
次の図はこの研究で実装したシステムを使い、剪定後の生長予測を可視化したものです。

Js2

左が生長前、真ん中が内芽が発芽するように剪定した場合、右が外芽が発芽する場合の生長予測結果です。
剪定する枝の条件にもよりますが、内芽の方は樹形が乱れているのでこの場合は外芽が発芽するように剪定する方がよさそうですね。このようなシミュレーションができるようになっています。

この研究について話す上でもう一つ語りたい重要な内容があるのですが、長くなってしまいますので今回はここまでにしておきます。
明日の記事でまたお話します。

映像表現・芸術科学フォーラムでの発表 [音楽編]

2021年4月 2日 (金) 投稿者: メディア技術コース

メディア学部の大淵です。

「映像表現・芸術科学フォーラム」での研究発表紹介の第3弾です。今日は「音楽編」です。

大学院生の渡邉卓也さんは「画像入力を用いたグラニュラーシンセサイザーのためのグレイン選択手法」という発表を行いました。このテーマでは、2019年の秋に開催されたNICOGRAPHという学会でも発表を行っています。そのときの様子はこちらで紹介しました。前回の発表は、修士課程での研究を始めたばかりで、アイディア紹介という感じのものだったのですが、今回は、修士論文を完成させて、その成果をすべて織り込んだ発表です。グレインと呼ばれる音の素片を画像と関連付けるために、代表的なグレインとサンプル画像を結びつけるアンケート結果を活用しました。

学部生の吉村佳祐さんは「ギターアンプの再現音とシミュレータ生成音の比較聴取実験」という発表を行いました。エレキギターの音を増幅するギターアンプには様々な機種があり、それぞれに音色が異なると言われています。自らもギターを弾く吉村さんは、このギターアンプごとの音色が、シミュレーターでどれぐらいリアルに再現できているのかということに興味を持ち、聴取アンケートを行いました。音色の違いを様々な形容詞で表現するSD法という手法を使い、機種ごとの違いなどについても調べています。

学部生の納富祐希さんは「音楽聴取における情動生成の要因分析手法の提案」という発表を行いました。もともと、音楽を聴いたときの「鳥肌が立つような」感じに興味を持っていた納富さんは、そうした情動が引き起こされるプロセスに興味を持ち、実験をしようと思ったのですが、あいにくのパンデミックで実験が行えません。そこで、インターネットを使った実験システムを考案し、ネット越しにデータを集めることに成功しました。得られたデータからは、様々な要因が情動を引き起こす様子を分析することができました。

音楽に関するテーマは、私の研究室でも一番人気です。自分で楽器を演奏する人、自分で作曲する人、あるいは聴くだけの人。音楽との関わり方は人それぞれですが、いろんなアプローチでの研究があって面白いですよ。

人と人とをつなぐ「メディア」

2021年4月 1日 (木) 投稿者: メディア技術コース

メディア学部の大淵です。

2021年度より、柿本前学部長の後任として、メディア学部長を務めることになりました。よろしくお願い致します。

今さら言うまでもないことですが、2020年度は我々にとっても大変な一年でした。前期の授業はすべてオンラインとなり、新入生は一度もキャンパスに足を踏み入れないまま終わりました。後期は一部の授業を対面で行い、ようやく新入生と会うこともできましたが、年末からの感染第三波で、多くの授業が再びオンラインになりました。

そういう大変な一年でしたが、メディア学部の教育は、例年に負けないぐらいの成果を挙げてきたのではないかと自負しています。それは、もともとのICTスキルが高い学生の皆さんの頑張りと、教職員による新しい授業形態へのチャレンジとが組み合わさって得られた成果です。みんな本当によくがんばりました。そしてそれに加えて、この学部で学ぶ「メディア学」が、人と人とをつなぐ「メディア」に関する学問であるということも、大きかったのではないかと思います。コロナ禍の困難な状況にあっても、どうやって人と人とをつなげば良いのか、メディア学部の教員はそうしたテーマのプロフェッショナルです。そしてこの一年間で更に様々な知見が集まり、人と人とをつなぐ方法が広がってきました。

4月1日現在、感染者数のリバウンドなども報道されており、短期的には予断を許さない状況ではあります。しかし、ワクチンをはじめとする様々な対策により、長期的には必ず状況は良くなり、対面での活動を増やしていけるようになるはずです。そんな中で、人と人とをつなぐメディアの仕組みを再構築して、次の時代の教育・研究につなげていきたいと思っています。

Tut

« 2021年3月 | トップページ | 2021年5月 »