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研究紹介:樹木剪定後の生長予測と可視化

2021年4月 3日 (土) 投稿者: メディア技術コース

助教の戀津です。
今年度もよろしくお願いします。

先日は中村君のラテアートの研究を紹介しました。
今回は同じく情報処理学会全国大会で発表したもう一件の研究についての紹介です。
春木萌さんが、『樹木剪定後の生長予測と可視化』というタイトルで発表してくれました。

樹木の剪定について、皆さんあまり馴染みはないと思います。
しかし街路樹や大学敷地内の樹木など、人通りのある個所にある樹木については基本的に人の手が入っています。
この剪定を行うときに、「枝葉が伸びてきたから切る」というだけでは済まない、専門の技術があります。

樹木の種類にもよるのですが、枝には内芽・外芽という芽がそれぞれついています。
厳密な説明をすると長くなりますが、内芽は幹の方に、外芽は外の方に枝が伸びる芽です。
剪定時に枝を切る位置によって、どちらの芽が枝となり伸びていくかが決まります。
次の図は内芽・外芽が発芽した場合にそれぞれどのように伸びるかの模式図です。

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剪定後、この内芽と外芽のどちらから発芽するかによって樹の形は変わってきます。
枝の位置や伸びている向きなどを見極めながら、この枝からはどちらが発芽するとよいか考える必要があります。
樹の全体像を把握しつつ、剪定後の生長予測をするため、高度な専門性を要する仕事というわけです。

これに対し、剪定後どのように生長するかを予測・可視化するというのがこの研究の基本的なアイディアです。
3DCGで樹木を再現し、クリックによる枝の剪定と、どちらの芽が発芽するかによる剪定後の生長をシミュレーションしています。
次の図はこの研究で実装したシステムを使い、剪定後の生長予測を可視化したものです。

Js2

左が生長前、真ん中が内芽が発芽するように剪定した場合、右が外芽が発芽する場合の生長予測結果です。
剪定する枝の条件にもよりますが、内芽の方は樹形が乱れているのでこの場合は外芽が発芽するように剪定する方がよさそうですね。このようなシミュレーションができるようになっています。

この研究について話す上でもう一つ語りたい重要な内容があるのですが、長くなってしまいますので今回はここまでにしておきます。
明日の記事でまたお話します。

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