たくさん映画を見ましょう
2021年4月17日 (土) 投稿者: メディアコンテンツコース
みなさん,こんにちは。メディア学部実験助手の菅野です。
これまで私はこのブログで「プロのシナリオライターを目指すなら見ておいたほうが良い作品」を紹介してきましたが、過去にこんな記事を書きました。
「シナリオアナリシスでよくある質問(おすすめの映画)その2」
http://blog.media.teu.ac.jp/2020/09/post-0d02b3.html
『大変興味深いことなのですが、シナリオを書こうとする学生の中には「主人公が最後に死ぬ話を書きたいです」と言ってくる人が定期的に現れます。もちろん毎回別な人です。ところが、いざ具体的な内容を教えてもらうと「主人公が最後に死ぬ」という、構想だけが強すぎるせいか、唐突に「主人公が死ぬ」とか、特に必然性もないが「主人公が死ぬ」という内容だったりします。』
この記事で触れた、プロジェクト演習シナリオアナリシスに定期的に現れる「主人公が最後に死ぬ話を書きたいです」と言ってくる学生さんたちには、ある共通点があります。それは
「他の人とは違った特徴をもった作品に仕上げなければ注目してもらえない、と考えた」
・・・というものです。毎回別な学生さんなので、多少言い方が違ったりするので、「ありきたりの作品にはしたくなかった」「既存作品のパクりだと言われたくないから」など、ニュアンスに若干の差はあるのですが、端的にいうなら「新規性」「独自性」をなんとか出したいという、とても積極的な創作姿勢に基づいた思考です。そしてそれ自体は決して間違ったことではないです。
ただ「他の人とは違った特徴をもった作品」のシナリオを書くためには、他の人の作品をたくさん知って「他の人がまだ取り扱っていないことがなんなのか」を見極められるようになる必要はあります。
その点で言えば、安易に「主人公が最後に死ぬ」だけのシナリオを考えてしまうのは、既存作品のリサーチ不足から「主人公が最後に死ぬ作品は、他の人がまだ取り扱っていないに違いない」という思い込んだに等しく、「他の人とは違った特徴をもった作品」の見極めができていない、と自ら言っているようなものです。
前述した過去の記事では映画「グラディエーター」を取り上げていますが、妻子のかたきを討つために「主人公は最後に死ぬ」という点だけで見れば、それほど新しい発想ではありませんが、現代にはもはや存在しない、奴隷同然の剣闘士(グラディエーター)が、その時代の最高権力者を相手に、当時の、ありとあらゆる手段を用いて本懐を遂げるまでを描き切るとなれば、そのシナリオは「他の人とは違った特徴をもった作品」として認識されるに至ります。
シナリオライターになるためには「たくさん映画を見ましょう」というアドバイスはよく耳にしますし、ただ漫然と見るだけでは全く意味がありませんが、少しでも、意識的に既存作品との差別化されたポイントを見つけ出そうとして見ていたなら、それはシナリオライターにとって、間違いなく重要な知識となります。
そういう意味では、「他の人とは違った特徴をもった作品」のシナリオライターを目指す皆さんは「たくさん映画を見ましょう」
(文責:兼松祥央)
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