研究紹介:力学モデルを用いたキャラクター同士の絡みの可視化(優秀発表賞受賞)
2021年4月23日 (金) 投稿者: メディア技術コース
助教の戀津です。
昨日に引き続き、芸術科学フォーラムで発表した研究の紹介です。
『力学モデルを用いたキャラクター同士の絡みの可視化』というタイトルで発表して、優秀発表賞を受賞しました。
作品を紹介する資料の中に、登場人物相関図というものがあります。名前の通り、登場人物間の関係性を図にしたものです。
登場人物相関図は登場する人物が多くなるにつれ作成が難しくなります。人物はもちろん、関係性を描いた矢印の数が多くなってしまうため、配置の難易度が高くなってしまうためです。
この研究では、人物間の関係性の中身には着目せず、「関係があった」という事実のみを扱って疑似的に相関図のようなものの作成を試みました。
登場人物同士が会話したり、同じ目的で行動をしたりしたシーンの数を記録し、その数が多いほど結びつきが強いという形です。
俗語的な表現ですが、上記のような状態を「絡みがある」と言ったりします。今回はこれを採用し、絡みの可視化というタイトルで研究しました。
また、可視化の際に人物を円、人物間の絡みを線で描画しますが、この線をランダムにぶれさせながら描画することで文字通り絡んでいるように見えるよう工夫してみました。
詳しく説明すると長くなってしまうので割愛しますが、配置の決定は力学モデルというグラフ描画アルゴリズムを使って行います。
登場人物同士は弾き合う力が働き、絡みのある人物間が絡みの数だけ互いに引っ張られるというもので、斥力と引力が釣り合うまで計算を続けることで関係性が可視化されます。
こちらはある映画作品の絡みの可視化結果です。
中心少し上にいる赤い1番が主人公で、主人公を含む七人組が主に活躍する作品です。
それとは別に、中心少し下の三人組がよく一緒に行動しているのでそれぞれ塊のようになっています。
力学モデルの計算をしていくことで、主人公を中心にそれぞれの登場人物の関係性に応じた配置に自動的に収まっていきます。
絡みと名付けた、比較的簡易に集められる情報をもとにおおまかな関係性の図示ができるようになり、優秀発表賞をいただくことができました。
今後も研究を続け、登場人物相関図の作成ができるようにできればと思います。
また進展があったら報告します。
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