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2021年5月

伝わるように書く

2021年5月31日 (月) 投稿者: メディア技術コース

今日は「書く」ということについて書いてみようと思います。「結論から先に」についてです。

書く時も話すときと基本的には同じです。結論となることを先に明示し、なぜそうなるのか、そう考えるのかの根拠をそのあとに書きます。根拠を示す際には、具体的な例やデータ(数字)があると説得力が増します。

なぜ、結論から書くと良いのでしょうか?それは、説明としてはわかりやすいからです。

たとえば、夕食を説明するとします。「今日の夕食はカレーです。なぜなら、一週間和食が続いているし、玉ねぎとジャガイモが余っているからです。」と言うのと「一週間和食が続いています。玉ねぎとジャガイモが余っています。だから今日の夕食はカレーにします。」では、どちらがわかりやすいですか?この例はちょっと短すぎるのであまり変わらないように感じるかもしれませんが、理由の説明が長くなるとどうでしょうか?

だから結論から書くのです。

少し調べてみると文章の書き方(あるいは話し方)について様々な手法があることがわかります。論理的な文章を書く方法としてよく知られているものの一つはPREP法[1]でしょう。PREP法はPoint→Reason→Example→Pointの順に書くという方法です。Pointというのが結論です。結論を最初に示し、その理由を述べ、例を挙げて説明し、最後に再び結論を示します。実は上の話はこれに沿って書いてみました。気づきましたか?これと似たものとしては「なたもだ」というのがあります。国語作文教育研究所の故宮川俊彦氏が提唱したものです[2]。最初に結論を示して、「な」ぜなら(理由)、「た」とえば(例)、「も」し(反証)、「だ」から(結論)の順で書きます。皆さんも知っている文章構成法の一つは「起承転結」だと思いますが、それとはずいぶん違いますね。

レポートや論文など、説明をする文章ではPREP法はとても役立ちます。また、あわせて大変重要なことがあります。まず、自分の考えと、事実や他人の考えを区別することです。これを明確に行うためには出典を示します。また、このような文書では一つ一つの文を短めにし、誤解の生じにくい表現や語順に気を配る必要があります。ビジネスの場合でも同様でしょう。これらについては1年次『情報リテラシー演習』の「文章技法」、「文献調査法」のテーマで演習します。

気持ちを吐露するような日記やブログなどでは書きたいように書けばよいと思います。また、文芸作品と、説明文は全く性質の異なるものです。したがって、文芸作品が私が今回書いたことに当てはまっていないのは当然です。世の中すべてが説明文的なのは疲れます。あまり楽しくもないでしょう。読者が思いを巡らせながらそれを楽しんで読む文章というのも当然必要なのです。

[1]大嶋友秀:「すぐできる!論理的な話し方」、日本能率協会マネジメントセンター、2013/3/20、ISBN-13:978-4820748281
(色々調べてみましたが、PREP法は誰が最初に提唱したのかはっきりしませんでした)
[2]宮川俊彦監修:『「なたもだ」は読書感想文の必殺技だ!』、https://dokusyokansoubun.com/doukaku/doukaku1/nadamoda/

(メディア学部 寺澤卓也)

各シーンが持つストーリー的な意味の分析

2021年5月30日 (日) 投稿者: メディアコンテンツコース

みなさん,こんにちは.メディア学部助教の兼松です.

そろそろ5月も終わり,前期の授業も約半分まで来ましたね.
今期は4月末の休校の影響で授業開講日が一部後ろにずれたり,5月31日以降の授業についても先日アナウンスがありました.状況に合わせて日々情報がアップデートされていますので,学生ポータルや学内サイトを定期的なチェックをお願いします.

さて,私が担当しているプロジェクト演習シナリオアナリシスもそろそろ折り返し地点です.前期ということで,最初の3回ほどは座学中心でシナリオ執筆を取り巻く環境や歴史,執筆・分析手法などを説明しました.そして今は既存作品のシナリオ分析のパートに入っています.

この分析パートでは,昨年度以前から継続的に受講している学生には(ある程度の制限はかけていますが)自分で作品を選んでストーリーを分析し,授業時間に分析結果を発表,ディスカッションを行っています.この分析ではメディア学部の研究の中で開発したテンプレートを使用しています.既存作品を見ながらこのテンプレートを埋めることで,その作品が持つストーリーの構造や特徴を捉えるおとができるように工夫されています.
継続受講生のみなさんはさすがにこのテンプレートの扱い方はだいぶこなれてきていると感じています.ただ,このテンプレートは,単に埋めるだけであればそこまで難しいことではないと思いますが,物語の構造を捉えるためにはしっかりとストーリー的な意味を理解して埋めなければならず,これは誰にでもすぐにできることではありません.

 

例えば,恋愛もののストーリーによくある「意中の人に告白する」シーンを思い浮かべてください.
分析に慣れていない受講生によくあるパターンとしてはこのシーンを,「夜景の見えるレストランにヒロインを呼び出した主人公.主人公はなかなか本題をきりだせずにいたが,ついに意を決し,ヒロインに告白する.」といったように映像をみたままに書いてしまう場合がよくあります.これでもどういうシーンなのかはおおよそわかります.しかし,この文章はほとんどがシーンの描写を書き出したにすぎません.”夜景の見える”,”なかなかきりだせない”,”ついに意を決し”といった要素は,あくまでもこのシーンをより印象的に,よりロマンチックにするための要素であり,ストーリー的に重要な意味があるわけではない場合が多いです.

ストーリーの構造を考える上では,この「告白」がストーリーのオチをつけるためにどんな意味を持つのかを考える必要があります.多くのラブストーリーでは「主人公がヒロインと結ばれる」というオチに対して,「結ばれる(オチをつける)にあたって障害となっていた問題の排除の瞬間」になることが多いでしょう.
ただし,この作品が単なるラブストーリーではなく,「口下手な主人公の成長物語」だとしたらどうなるでしょう?
もしこれをきっかけに度胸がついた主人公が,だんだんとコミュニケーションがうまくなっていくとしたら,「問題の排除」ではなく「解決の糸口」ということになるかもしれません.

このように,一見するとわかりやすい告白のシーンであってもストーリーの構造・展開によってはシーンがもつ意味・役割が大きく異なります.したがって,単にシーンを見たままに書いただけでは分析にならないのです.

とはいっても,はじめは見たままにしか書けなくてあたりまえです.プロ演シナリオアナリシスではこのあたりを,学生と教員で分析シートを見ながらしっかりディスカッションするのが特徴になっています.

(文責:兼松祥央)

プレイ中の音声で感情を推定してゲームの難易度を調整する研究

2021年5月29日 (土) 投稿者: メディアコンテンツコース

メディア学部の三上です.

卒業生の卒業研究成果の中で研究発表したものについてのシリーズです.3つめも「日本デジタルゲーム学会第11回年次大会(2021年3月13日,14日)」から,“プレイヤーの音声リアクションに基づく動的難易度調整のための音響的特徴量抽出と解析”の紹介です.

この研究は,いわゆる「メタAI」を利用した「動的難易度調整」に関わる研究です.

メタAIとは,ざっくり言うとゲームに利用されるAIをいくつかに大別したときのひとつで,ゲームの世界でプレイヤーの行動によって起きるの様々な変化に関わる情報を検知して,ゲームに反映させるAIのことを指します.(本当にざっくりです)

「動的難易度調整(Dynamic Difficulty Adjustment)」とは,敵の強さやステージにある回復アイテムやコースなどを,プレイヤーの状況に合わせて調整するシステムのことを言います.DDAと略して呼ばれることも多いです.

動的難易度調整には,プレイヤーのダメージ量やスコアなど様々なものを利用するのですが,そうしたデータだけでなく,もっとプレイヤーの感情などをゲームに反映できないかと考えたことに起因します.プレイヤーの中には,熱中すると思わず声が出てしまう人もいると思います.この研究はそうした,プレイ中に発した声の音響的特徴量を検知して,ゲームの難易度を調整してしまうという研究です.

 

Harada02実際にシステムを実装したデモ

この研究はこれからも発展が多く見込まれる研究となっていきそうです.

文責:三上

第2回シナリオ執筆未習熟者の作品に共通して発生する欠点(あな)

2021年5月28日 (金) 投稿者: メディアコンテンツコース

みなさん、こんにちは。メディア学部実験助手の菅野です。

今回も「シナリオ執筆未習熟者の作品に共通して発生する欠点」として、定期的に私が何度も遭遇してきた「シナリオの欠点(あな)」について書いていこうと思います。今回取り上げるトピックは・・・

「ターゲットの想定が甘いシナリオの欠点(あな)」

シナリオライターがシナリオを書くとき、にも色々あるのですが、一例として大きく2つに分けるとすれば「企画が決まっていて、その企画に基づいてシナリオを書く」「企画から自分で考案してシナリオも書く」の2つになると思います。

シナリオ執筆未習熟者には、その2つの分け方を考えたことがない人が多く、たいていどちらかを自分に都合よく当てはめてシナリオライターという仕事を考えがちです。東京工科大学メディア学部の学生に多いのは後者です。そもそもシナリオライターと小説家の区別すらついてない場合が多く、それ故に自身の作家性だけで作品を作れる、と思いこんでいるパターンをよく見かけます。

自分が作りたい作品を0から企画して作り始める、という事自体は何も間違っていませんし「自分が作りたい」と思うことは、モチベーションを生み出す何よりの原動力です。それはクリエイターにとってとても重要な要素です。

しかし「自分が作りたい」と思うのは自由ですが「本当に作るべきか」は別な話です。あくまで趣味や日課や暇つぶしでチラシの裏にシナリオを書くのは勝手ですが、実際にそのシナリオで対価を得ようとするなら「どんなターゲットに受け入れてもらえるのか」を考えて、本当につくるかどうかを判断する必要がてきます。

ターゲット想定を考慮せず、「自分が作りたい」と思ったことだけで作ろうとすると「シナリオの欠点(あな)」は発生しやすくなります。

「自分が作りたい」と思ったことだけで作ろうとすると、作っている自分にしか理解できない情報が必ず出てきます。特に本人に取っては「当たり前すぎる情報」がそれに該当します。本人にとっての「当たり前」は、本人以外にとって「当たり前」とは限りません。ささいな情報や常識レベルに思える情報であっても、その可能性があります。

それ故、現実の情報はもちろん創作上の情報であれば、なおさら説明に気を配る必要がありますし、その上で作品が受け入れられて対価を得られか、は決まってきます。なんの配慮もせずに、自分の考えたことや思いついたことを、そのまま文字に起こしていれば、説明不足な箇所は「欠点(あな)」として受け取られることでしょう。そして、そういった「欠点(あな)」の積み重ねは、作品のクオリティを下げてしまいます。場合によっては、たった一箇所の「欠点(あな)」が致命的になることさえあります。

過去に私は「シナリオアナリシスでよくある質問(おすすめの映画)その4」で、映画「グーニーズ」を取り上げてこう述べました。

http://blog.media.teu.ac.jp/2020/10/post-13df65.html

『メディア学部の演習「シナリオアナリシス」に参加する学生には、自作のシナリオのターゲットとして「10代の若者」を設定する人が多いのですが、今の「10代の若者」が視聴したとき、彼らが興味をもって楽しむ要素が何なのか把握できていない場合が、よくあります。』

演習の参加者のほとんどは大学生ですから、自分が経験してきた年代かつ記憶にも新しい年齢を設定して「10代の若者」をターゲットに想定したくなる気持ちはよく分かるのですが、それでも「10代の若者」という区分はとても広く、また多感な年齢であることも考慮すると、もっと条件を絞り込んで作品を作らないと、適切な形で受け入れてもらうことは難しいです。自分と年齢層が近かったり、世代的に自分と発想の方向性が近かったりすることが強みであることは間違いないですが、それでもカバーできる情報の範囲には限度があります。

繰り返しになりますが「自分が作りたい」と思う気持ちはクリエイターにとってとても重要な要素です。しかし、自分の作りたいと思ったたことを全部そのまま盛り込んでも理解はされません。それ故に「本当に自分が作りたいことは何なのか」をよく見定めて、優先度の高いものから盛り込んでいくことになります。当然ターゲットも絞られるでしょう。

ターゲットをよく考慮して、できるだけ「欠点(あな)」がないシナリオを作りたいものです。

(文責:兼松祥央)

ゲームのアイデアを生み出すトレーニングシステム?

2021年5月27日 (木) 投稿者: メディアコンテンツコース

メディア学部の三上です.

卒業生の卒業研究成果の中で研究発表したものについてのシリーズです.ふたつめも「日本デジタルゲーム学会第11回年次大会(2021年3月13日,14日)」から,“GTIGA:ゲーミフィケーションに基づくアイデア創出・獲得トレーニングシステム”の紹介です.

この研究はゲームを制作する際などのアイデア出しについてのけんきゅうです.ゲームを開発するためのアイデアを出すための手法は様々な方が研究しているのですが,多くは複数人で強調して発想するための方法論です.そこで,一人でもアイデア出しの訓練が行えるようなシステムを作れないかということで提案されたのが「GTIGA」と呼ばれるシステムです.

どんどんアイデアを出してもらうために,ゲームの誘引性を利用する「ゲーミフィケーション」という手法を利用し,例えばいい結果が出たら「称号」をもらえるような仕組みを組み込み,訓練を楽しく繰り返せるようにシステム設計されています.

Gtiga_digra_poster

最終的に60%以上の人が繰り返しシステムを利用したということで,楽しんでアイデアを出してより良い「称号」の獲得を目指したようです.

ちなみに「GTIGA」というシステムの名前ですが,三上兼松研究室では,極力開発したシステムにはオリジナルの名前を付けてもらっています.システムを英語表記して略するのですが,可能であれば自分の名前やイニシャルなどを潜り込ませるようにしています.もし,三上兼松研究室で開発したシステムを見つけたら,名前をよく見てください.

文責:三上浩司

シナリオアナリシスでよくある質問(おすすめの映画)その22

2021年5月26日 (水) 投稿者: メディアコンテンツコース

みなさん,こんにちは。メディア学部実験助手の菅野です。

今回も「プロのシナリオライターを目指すなら見ておいたほうが良い作品」を紹介します。
今回紹介するのはこの映画です。

ーー

『ブルース・ブラザース (1980)』

【監督】
ジョン・ランディス

【脚本】
ダン・エイクロイド
ジョン・ランディス

【参考URL】
https://movies.yahoo.co.jp/movie/20555/

【あらすじ】


強盗の罪で懲役5年のところを、3年の刑期で出所してきた兄ジェイクは、迎えに来た弟エルウッドと共に、兄弟の育ての親である孤児院の院長に出所の報告へ向かった。するとふたりは、その孤児院が近日中に大金5000ドルの納税をしなければ、取り潰されることを知らされる。

なんとか孤児院を救うための方法を考ええていた二人は、馴染みの教会で礼拝に参加している最中、かつてブルース・ブラザースの名で活動していたバンドを復活させることで大金を手にすることを思いつく。

かつて一緒にバンドを組んでいた仲間たちは、ジェイクの服役中に新しい生活を始めており、全員がそう都合よく同意してくれはしなかったが、ジェイクとエルウッドによる、手段を選ばぬ無茶苦茶な勧誘によって参加を余儀なくされ、強引に再結成を果たした。

納税期日が迫る中、ジェイクとエルウッドは大ホテルの会場を無理やり押さえ、孤児院の子供たちまで動員して、大急ぎの宣伝を展開すると、演奏当日、観客は大入り満員状態となったが、それまでの強引すぎるやり方が祟って、会場には警察が二人を逮捕するべく包囲をかためていた。

コンサートは大盛況で、楽屋を訪ねてきたレコード会社から10000ドルの契約金を受け取ったふたりは、半分をこれまで協力してくれた仲間たちに渡すよう指示した後、密かに会場を抜け出し、シカゴの本庁舎納税局へ向かうと、追ってきた大勢の警察をなんとか振り切って、孤児院の固定資産税5000ドルの納税に成功すると、その後はおとなしく逮捕されたのだった。


--

「ブルース・ブラザース」は1980年に作られたミュージカルあり、アクションありのエンターテイメント性全開の映画ですが、前身はアメリカのTVバラエティ番組内にあった同名の人気コーナーです。その流れを組んでいることもあって、世界的に有名なミュージシャンたちが要所要所で客演していることでも知られた作品です。日本での人気も高く、主人公の兄弟二人を象徴する「サングラスに黒のスーツと帽子」という容姿は、公開後は映画だけでなくドラマやアニメ、ゲームなどにもオマージュ的によく見られるようになりました。

この作品でシナリオライターとしてどこに注目すべきか、といえば「ストーリーをシンプルにして、ライブシーンやアクションシーンに注力させている」という点です。

今回の作品のあらすじは、ここ数回の作品紹介の中でも、かなり短くまとまっているのですが、それもそのはずで、あまりストーリー上の工夫や伏線などに凝った作品ではなく「主人公二人の兄弟が、バンドで大金稼いで、孤児院を救う」という一節程度でも説明が付くほど単純な内容です。

有名ミュージシャンが出演していることは前述しましたが、ジェームズ・ブラウン、レイ・チャールズ、アレサ・フランクリンなどは、出演するだけでなく、ストーリーに関連する一曲披露するほど強調された出演シーンになっています。こういった特徴はえてして、そこばかりが注目されたりするのですが、本作は決してそんなこともなく「警察に追われる身になりながらも目的達成を目指す」、ある種の逃亡劇シナリオとして成立しています。

若干、ご都合主義的な展開も見られますが、サウナに入っているのに帽子を外さなかったり、そもそも昼でも夜でもサングラスを掛け続けていたり、コメディ的な要素も満載なので、それほど気にはなりません。

シナリオは映像コンテンツの設計図ですが、シナリオの内容が決まるより先に優先事項が決まることもよくあり、例えば本作のように「有名ゲストを登場させることが決まっている」とか「特定のキャストを全面に押し出したい」とか、そういった思惑が絡むことはよくあります。そういった制約があることを前提に、それでも作品のクオリティを保ったシナリオに仕上げるにはどうすればいいか、という観点で見ると、本作はまた興味深いと思います。是非一度見てみてください。

(文責:兼松祥央)

エアコンがつけられない?!

2021年5月25日 (火) 投稿者: メディアコンテンツコース

そろそろエアコンをつけたくなる日も出てくるころですね。
今日は、エアコンを買い替えようとしたエピソードを紹介します。

先日、エアコンを買い替えようかな~という軽い気持ちで電気屋さんに行きました。もちろん、ネットでの調査もばっちりです。
閉店間際だったのもあったのか、価格交渉も想像以上にうまくいき、ぴちょんくんのグラスももらい(どのメーカーのエアコンを買おうとしているか、バレバレですが(笑))、ご満悦で家に帰りました。
ただ、その時に電気屋さんに言われたのが、「エアコンの電源は独立してますか?」ということ。
数年前からいろいろ厳しくなり、独立した電源がないと、エアコンがつけられなくなったそうです。

よくわからなかったので、エアコン取付前に事前に見に来てもらいました。
その結果、現状ではエアコンがつけられないことが発覚!がっつり壁に穴をあけて、工事をする必要があるとのこと・・・。
あんなに安くしてもらったけど、結局、追加の工事費がかかるとは・・・。
がっつり工事をするかどうかは、これから考えます(笑)

この例のように、昔は出来たのに、とか、昔はこうだったのに、ということは結構あります。
何事においても、現状を把握したり、新しい情報を入手するというのはとても大切です。
これは日常生活だけでなく、研究においてもよくあることです。
どんどん、よいデバイスや手法が開発されていきます。
そのため、関連研究を調べたり、学会に出て様々な発表を聞くことは、とても重要なのです。

 

心拍数を計測してホラーゲームの「馴れ」を回避する研究

2021年5月24日 (月) 投稿者: メディアコンテンツコース

メディア学部の三上です.

少し間が空いてしまいましたが,前回紹介していた卒業生の卒業研究成果の中で研究発表したものについて少し紹介していきたいと思います.

前回の記事はこちら.

一つ目は「日本デジタルゲーム学会第11回年次大会(2021年3月13日,14日)」から,“ホラーゲームにおける馴化回避のための動的サプライズ演出制御システムの提案”の紹介です.

皆さんたちはホラー映画やホラーゲーム,お化け屋敷などのホラーコンテンツは好きですか?
好きな人だと何度も同じ映画を見たり,ゲームをプレイしたりすることもあると思います.でも,最初見たときはすごく怖かったけど,2度目,3度目となるとすでに,何が起きるかわかってしまっているので「馴れ」が生じてしまいますよね.この研究はその「馴れ」を回避するための方法を考えようという研究です.

ホラーコンテンツの多くはストーリー性を持っています.そのため,毎回怖がらせる内容を変えてしまうとストーリが破綻してしまいます.そこで本研究ではホラーゲームでもよく使われる,サプライズ演出(ジャンプスケアと呼ばれる演出もその一種です)に注目しました.

サプライズ演出は,視聴者やユーザーを驚かすものですが,ストーリーに直接関係ないものを利用することで,ストーリーの進展に関係なく挿入することができます.暗い洋館のなかでドアが開く音とか,稲光で人の影のようなものが見えるとかいろいろありますね.この研究はそのサプライズの種類やタイミングを,プレイヤーの心拍数に応じて調整するというものです.この研究ではホラーゲームにおいてこのシステムを実装し,実験を行いました.

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最終的にこのシステムを導入しないときと比較して,2回目,3回目のプレイでもプレイヤーの心拍数の下降が少なかった(つまりきちんと怖がっていた)ことが明らかになりました.

ホラーゲームをもっと怖くする(特徴的なものにする)研究は多くの学生が興味を持っているようでこれからが楽しみです.

文責:三上

【コロナ時代の広告コミュニケーション⑦】「⾒えないものと闘った⼀年は、⾒えないものに⽀えられた⼀年だと思う」(メディア学部 藤崎実)

2021年5月23日 (日) 投稿者: メディア社会コース

2020年から始まったコロナ禍は、20215月の現在も進行中です。
新型コロナウイルスの感染拡大による新しい生活様式は、現実問題として、今でも私たちの日常に大きな影響を与えています。

2020年は、夏の風物詩だった夏の甲子園も中止になったり、各地のお祭りなども取りやめになったり。私たちの日常生活に多くの影響を与えましたが、そのひとつに受験生に与えた影響が挙げられます。

大塚製薬はカロリーメイトのCMとして、毎年、受験生を応援するCMを作り続けてきましたが、7弾目の2020年は、始めて受験生と先生の関係を描いたCMを作りました。新型コロナは目に見えないウイルスです。そうした目に見えないものと闘った受験生と先生の関係を描くことにしたのです。

キャッチコピーは、「⾒えないものと闘った⼀年は、⾒えないものに⽀えられた⼀年だと思う」。

Photo_20210523122601
(画像出所:大塚製薬の広告情報サイト 
https://www.otsuka.co.jp/adv/cmt/graphic202011_01.html

このCMの主人公は、受験生と先生ですが、日本中の、そして世界中の人が、この物語の二人と同じく、見えないものと闘った日々を過ごしたことでしょう。

CMのタイトルは、「見えないもの」篇です。
本編に加えて、メイキング映像も必見です。是非ともご覧ください。

◎カロリーメイトCM「見えないもの」篇 120
◎カロリーメイトweb movie「見えないもの」篇 メイキングmovie
https://www.youtube.com/watch?v=Yn1oVXam8I0

Photo_20210513043701

(画像出所:大塚製薬の広告情報サイト 
https://www.otsuka.co.jp/adv/cmt/graphic202011_01.html

「広告は時代を写す鏡」と言われます。
大塚製薬のこの「見えないもの」篇は、まさにコロナ禍での私たちの暮らしを切り取り、多くの制約の中で頑張った受験生の姿を映し出したCMだと言えます。

広告には答えがありません。作り手の考え方によって、人を笑わせたり、心をあたたかくしたり、人に勇気を与えたりすることができます。
そして、誰かの心の中で、いつまでも生き続けることもあるのです。

(メディア学部 藤崎実)

【コロナ時代の広告コミュニケーション⑥】さて、今夜、私が頂くのは、(メディア学部 藤崎実)

2021年5月22日 (土) 投稿者: メディア社会コース

コロナ禍の日本に生まれた新風景のひとつに、Uber Eats(ウーバーイーツ)の配達員の姿が挙げられるでしょう。
以前のように気軽に外食できなくなった環境変化に対応すべく、2020年のコロナ禍では、フードデリバリーサービスが急激に定着しました。

それまでの日本のフードデリバリーサービスの分野では、ピザの配達が一般的に定着した感がありました。
しかし、コロナの環境変化に対応すべく、ファーストフードも、ファミレスも、一斉にフードデリバリーサービスに参入を始めたのです。(例えば、マクドナルドがマックデリバリーを始めたり、すかいらーくグループでは、ガストやバーミアン、ジョナサンなどが挙げられます)

しかし、何と言っても、配達員がお店を回って運んでくれるUber Eatsの普及には目をみはるものがあります。
そして、そうしたUber Eatsの普及を後押しするためのCMは、多くの人の印象に残っていることでしょう。

今までにさまざまなバージョンのUber EatsCMが作られてきましたが、それらのCMをよく見ると、全てのCMに同じキャッチコピーが使われていることに気づくでしょう。

それは、「さて、今夜、私が頂くのは、」というキャッチコピーです。

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(上記の画像出所:Uber EatsのYouTubeチャンネルより)
https://www.youtube.com/watch?v=b4xJhhOC1k0
https://www.youtube.com/watch?v=owyt1T04yeY
https://www.youtube.com/watch?v=9YuFGNb5WEQ

通常、企業やブランド、サービスの主体は、生活者に伝えたいことが山のようにあるのが普通です。
せっかく広告を作るのであれば、その機会に、あれも伝えたい、これも伝えたいと考えるのが普通です。

でも、多くを伝えたからといって、多くが伝わるわけではないのです。
結局のところ、広告というのは、ひとつしか伝えることはできません。
それは秒数の問題ではなく、人は一度に多くの情報を受け取ることができないためです。

しかも、生活者は本来企業が伝えたいことに興味を持っているわけではなく、自分に関係することにだけ興味があるのです。

Uber EatsのCMは、企業が伝えたいことを多く伝えるのではなく、生活者にとって関係のあることだけに絞ったことで、成功したCMと言えるでしょう。
キャッチコピーをひとつに絞ったことで、シリーズ全体を通して、壮大な連呼CMになっている、と考えることもできます。

なお、一見、シンプルなコピーですが、Uber Eatsのキャッチコピーは、相当な勇気がないと採用できないと考えることができます。
というのは、「さて、今夜、私が頂くのは、」というキャッチコピーは、あえて言えば、あまりにも平凡で、何の飾り気も、欲もないコピーだからです。

でも、だからこそ、いろいろなシチュエーションやパターンで使えるキャッチコピーだとも言え、相当考え抜かれたキャッチコピーであると私は思います。一言で言うと論理的で頭の良いスタッフの方々により制作されていることが見受けられるのです。

あなたが、もしUber Eatsの広告プランナーだったら、どういうキャッチコピーを考えるでしょうか。
もちろん、広告の企画には答えがありませんので、いろいろな考え方があることでしょう。

(メディア学部 藤崎実)

【コロナ時代の広告コミュニケーション⑤】もう、どう広告したらいいかわかりません広告(メディア学部 藤崎実)

2021年5月21日 (金) 投稿者: メディア社会コース

2020年から、コロナ禍の状況が続いています。緊急事態宣言下では、不要不急の外出を控えることが求められました。時短営業も要請されました。2020年のある日から、毎日、新型コロナウイルス感染の状況や様子が報道され、日本のみならず世界中で緊張感のある日々が続いています。

よく考えれば当たり前なのですが、TVのニュースなどの報道はリアルタイムでオンエアされるわけですが、広告はあらかじめ企画されて納品されるというのが一般的です。

さて、2020年の4月、金鳥は画期的で全く新しいゴキブリ駆除剤の発売を控えて、大いに頭を悩ませていました。
コロナ禍の状況では日々、社会の状況が変化しています。
なので、広告が出稿される時の人々の暮らしや気分、社会の様子が読めなくなっていたのです。

ひょっとすると、「広告なんて出している場合か!」と、社会的に批判されてしまう可能性もあるのです。日々状況が激変する環境での、広告の企画はとても難しいものがあるのです。

そこで金鳥の広告プランナーが考え抜いたのが、状況違いの6パターンの広告を作ることでした。
そしてそれを1つに広告にまとめることにしたのです。

それが、「もう、どう広告したらいいかわからないので、いろんなバリエーションを用意しました」広告です!

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(画像出所:金鳥の企業サイト:https://www.kincho.co.jp/cm/ad_paper/muender/index.html

サービス精神満点の金鳥は、この新聞広告のPDF原稿をPダウンロードできるようにしています。

みなさんも是非とも下記の企業サイトから、ダウンロードして、QRコードを使って、6パターンの広告をお楽しみください。
→新聞広告のPDFはこちら

社会の状況が読めないという困った状況を逆手に取った、アイディア広告でした。

ピンチはアイディアで解決するという、お手本のような広告コミュニケーションですね。

(メディア学部 藤崎実)

 

【コロナ時代の広告コミュニケーション④】バーガーキングの楽しいソーシャルディスタンス(メディア学部 藤崎実)

2021年5月20日 (木) 投稿者: メディア社会コース

2020年、世界中が一気にコロナ禍の状況になりました。世界の国々では、ロックダウンも行われ、大変な状況が発生しました。

感染拡大を防ぐため、世界中で同時進行的にソーシャルディスタンスの必要性が生まれました。
では、今までになかった新習慣をどのように根付かせたら良いのか。その啓蒙のために、各国のプランナーによるさまざまな取り組みが行われました。

大変な状況だからこそ、ユーモアを大切にすべきだという取り組みも生まれました。
今日、ご紹介するのはアメリカのハンバーガーチェーン「バーガーキング(Burger King)」がドイツで行った取り組みです。

バーガーキングでは、普段から紙製の王冠を希望者に配布しています。(私はこれを日本のお店でも見たことがあります)そのサービスを利用したソーシャルディスタンスの啓蒙キャンペーンです。

バーガーキング・ドイツでは、新たに紙製の「ソーシャル・ディスタンシング・クラウン(social distancing crown)」を作り、配布を始めたのですが、その王冠は、何と直径約150センチの巨大サイズ!

これをかぶれば、人と人の距離は、自然とソーシャルディスタンスの距離になるというわけです。

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(画像出所:Burger King @BurgerKing)
https://twitter.com/BurgerKing/status/1263823303040516099

この巨大な王冠のインパクトによって、ドイツでは一気にソーシャルディスタンスの認知度が上がりました。

大変な状況だからこそ、ユーモアによって新習慣の必要性を知らしめたわけですが、
これは長年、ユーモア広告を行なってきたバーガーキングだからこそできた広告コミュニケーションだと言えます。

(メディア学部 藤崎実)

【コロナ時代の広告コミュニケーション③】キャッチコピーとしてのソーシャルディスタンス(メディア学部 藤崎実)

2021年5月19日 (水) 投稿者: メディア社会コース

コロナ禍となり、新型コロナウイルス感染対策として、企業も自治体も様々な取り組みを行なってきました。ある日突然、私たちは新しい生活様式を実践する必要性に迫られたわけです。

そうした新しい生活習慣のひとつに「ソーシャルディスタンス」が挙げられます。

あまりにも当たり前のことなので見過ごされがちですが、今までにない新しい習慣を根付かせるためには、その習慣を一言で呼べるネーミングが必要だということにお気づきでしょうか。

その意味で、「ソーシャルディスタンス」とは、ある日突然、私たちの目の前に提示され、一気に世界中に普及した、優れたキャッチコピーと言えます。

人はコトバで情報や意味を伝達します。
そして、コトバは人の行動を促すことができるのです。

コロナ禍は、新しいキャッチコピーをたくさん私たちに提示してくれました。
例えば、他には「三密」も、「ステイホーム」も、キャッチコピーと考えることができます。

実際の問題として、こうしたコトバは、他にも多くのキャッチコピーの候補があり、その中から議論に議論を重ねて、厳選されて選ばれたコピーなのです。こうしたメッセージの作成には、コピーライターやデザイナーが関与しているのです。
一般の方は、あまりも自然なことなので、お気づきにならないと思いますが、それらのキャッチコピーの提示の仕方も、広告の基本に実に忠実に行われています。

広告業界では、ワンビジュアル・ワンキャッチという広告の作り方の基本があります。
東京都が提示している「STAY HOME」も、例えば、楽天が提示している「ソーシャルディスタンス」も、ワンビジュアル・ワンキャッチという基本に忠実なコミュニケーションで行われているのです。

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(画像出所:東京都政策企画局 https://www.seisakukikaku.metro.tokyo.lg.jp/)

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(画像出所:楽天グループ株式会社 https://corp.rakuten.co.jp/social-distance/)

新習慣の定着は奇をてらう必要がありません。
人に情報を伝え、行動を促進させるために一番大切なのは、基本に忠実なコミュニケーションです。

生活者の合言葉になるようなひとつのキャッチコピー(ワンキャッチ)で内容を伝え、
ひとつのビジュアル(ワンビジュアル)で、最も象徴的なビジュアルを提示する。
広告コミュニケーションの技術は、こうしたところにも生かされている、というわけです。

(メディア学部 藤崎実)

【コロナ時代の広告コミュニケーション②】ドラえもんからのメッセージ(メディア学部 藤崎実)

2021年5月18日 (火) 投稿者: メディア社会コース

2020年429日朝日新聞の朝刊に、ドラえもんからのメッセージが掲載されました。これは、コロナで外出を自粛しなければならないゴールデンウィークに向けて掲載された広告です。

◎朝日新聞にドラえもんからのメッセージを掲載!→詳しくはこちら

掲載当時はまだ、ワクチンの開発ができておらず、一体、これから世界はどうなってしまうのだろうか、という不安でいっぱいの状況でした。
そうした世界の人々の不安をやわらげるために、ドラえもんが、未来から私たちにメッセージを投げかけている、という設定です。

Message

(画像出所:https://dora-world.com/contents/1411)

キャッチコピーは「だいじょうぶ。未来は元気だよ」。ボディコピーには次のコピーが書かれています。
-----------------------------
きみがおうちにいてくれたから。
ちゃんと手を洗ってくれたから。
家族を想ってくれたから。
ともだちと支え合ってくれたから。
やさしい気持ちでいてくれたから。
病気の人を助けてくれたから。
みんなのために働いてくれたから。
未来をあきらめないでいてくれたから。

だいじょうぶ。未来は元気だよ。
-----------------------------

広告主は藤子・F・不二雄プロ(藤子プロ)と藤子・F・不二雄ミュージアム。
これは、とても素敵な取り組みだと私は思います。

なお、このコピーは7カ国語に翻訳されて英語、中国語、タイ語、韓国語、ヒンディー語、インドネシア語、ベトナム語、アラビア語バージョンも制作し、各国のSNSでも発信されました。

◎ドラえもんから世界各国へ向けて発信したメッセージは、こちら 

この取り組みは「ドラえもん『STAY HOME』プロジェクト」として、Webサイトでも、さまざまな展開が行われています。ビデオ会議用かべがみも配布されていますので、みなさんもこの機会に使ってみてはいかがでしょうか。

◎ドラえもん『STAY HOME』プロジェクト」の取り組みは、こちら

新型コロナウイルスの感染が拡大して不安が募る毎日に、少しでも冷静さを呼びかける、大変素晴らしいプロジェクトだと思います。
こういうメッセージを届けてくれとドラえもんと、関係者の方々には本当に感謝の気持ちでいっぱいです。

(メディア学部 藤崎実)

 

【コロナ時代の広告コミュニケーション①】社会に対応する柔軟性(メディア学部 藤崎実)

2021年5月17日 (月) 投稿者: メディア社会コース

2020年311日、世界保健機関(WHO)は新型コロナウイルスに関する会見で、世界の現状について、「パンデミック」といえる状態であると発表しました。パンデミックとは感染症の世界的大流行を表す単語です。

2020年から続くこの世界的なパンデミックは、20215月の現在も収まっていません。この状況は日本に大きな影響を与えていますが、当然のことながら、広告業界にも大きな影響を与えています。

広告およびメディア業界は過去にも様々な状況を乗り越えてきました。例えば、かつての石油ショックであったり、2000年に入ってからはリーマンショックであったり。

それに対して、今回の環境変化は、世界が一斉に直面する人類のピンチであり、経済ばかりででなく、国民ひとりひとりの生活様式を大きく変えるほどの難局です。しかもまだパンデミックが続いています。

こうしたコロナ禍における広告業界の取り組みや、変化、対応について、これから1週間、目立った動きについて連載することにします
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どんなにピンチの状況があろうと、私たちは知恵や勇気で、課題を解決していく必要があります。
広告は状況に対応して、柔軟に姿や形や考え方を変えることができます。

そんな広告のたくましさや、柔軟性からは学べることがたくさんあります。

(メディア学部 藤崎実)

鹿島アントラーズや松本山雅が取り組むSDGsの先進事例

2021年5月16日 (日) 投稿者: メディア技術コース

健康メディアデザイン研究室の千種(ちぐさ)です。人体を健康メディアとしてとらえメディアをつかって自らの健康をデザインするための研究を行っている研究室です。

今回は、多面的なプロジェクト演習を実施している中から今年度から始まった「地域創生としてのSDGs的アイデアソン」という半年間14回実施する授業を紹介させていただきます。学生が興味のあるスポーツとしてのJリーグを対象として、Jリーグの中から国連が定めた2030年までに達成すべき17の目標を定めたSDGsに積極的に取り組んでいるチームをピックアップし、半年間14回の授業の前半7回において、全国にあるJリーグの中から事例紹介および事例調査、を実施し、事例を中心として知識を増やします。

後半7回では、実際にこれから立ち上げようとするサッカーチームのプロモーションとして、どのような取り組みが考えられるかを議論し、まとめ、企画を提案する予定です。

すでに前半には①鹿島アントラーズ、②松本山雅、③ヴァンフォーレ甲府、の各チームが取り組んでいるSDGs的な地域創生事例を調査してきましたのでその調査結果を紹介いたします。この演習は当初からオンラインで実施している為、意見集約の為にGoogle Jamboardという電子ホワイトボードを活用しています。

Google Jamboardなどのホワイトボードツールの利点は

1.調査過程が学生間で共有できるため、学生間の進捗状況や調査の重複の防止が可能。

2.調査過程が学生教員間で共有でき、進捗状況の把握や適宜適切なアドバイスが可能

3.調査結果が調査資料として活用可能
などがあります。

では実際に鹿島アントラーズ(1枚目の画像)および松本山雅(2枚目の画像)のSDGsの取り組み事例の画面キャプチャをご覧くださいませ。実際には情報源のURLとSDGsのゴールナンバーを記載しているので、1枚の画像の中に様々な調査結果が取り入れられていることが分かると思います。

 

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遅延聴覚フィードバック

2021年5月15日 (土) 投稿者: メディア技術コース

メディア学部の大淵です。

聴覚についての授業で、私がよく紹介する実験のひとつに、遅延聴覚フィードバックというものがあります。これは、自分が発した声を、ちょっとだけ遅らせて再生して聴かせる実験なのですが、遅れを0.1秒ぐらいにして、ヘッドホンでしっかり聴かせるようにすると、びっくりするほど話しにくくなります。突然、呂律が回らないようになって、まわりで見ている人は「何が起こったんだろう?」と思うほどです。

2012年には、この現象を指向性スピーカーと組み合わせた「スピーチジャマー」という装置で、産業総合研究所の栗原さんと塚田さんがイグノーベル賞を受賞されました。

この遅延聴覚フィードバックが、コロナ禍の中で以外なところに登場しました。感染が少し落ち着いていた頃、オンラインのミーティングを部分的に対面で行うことになり、会議室に集まった人たちがそれぞれ自分のパソコンでZoom会議に参加することにしたのです。会議室にいながら、Zoomにも繋いでいるのですが、この状態で発言すると、自分の声が他の会議参加者のマイクからZoomに入り、通信回線を経由して自分のヘッドホンから聞こえてきます。このときどうしても少しだけ遅延が生じるので、スピーチジャマーのように、なんとも話しにくい状態が発生してしまうのです。

この1年、いろんなところで、音声や聴覚の研究の大切さを痛感しています。遅延聴覚フィードバックの影響を簡単に低減させるというのも、ちょっとした研究テーマになりそうですね。

 

プロジェクト演習(英語で取り組むワークショップ)#3

2021年5月14日 (金) 投稿者: メディア技術コース

さて、第一回目の演習は、6名参加してくれた!というところで話が脱線してしまっておりました。初回はとりあえずはメディア学部内だけでの開催でした。授業を全部英語で行ってもいいのですが、敷居を下げるために、英語と日本語を混在といたしました。簡単な自己紹介をして(日本語の人と英語の人が居ましたが)、今後のスケジュールを説明し、飯沼先生から簡単な英語での質疑応答、そして飯沼先生の研究室における過去の海外交流について英語で説明をしてもらいました。わからなければ質問をいつでもして欲しいと伝えていましたが、なかなか発言は難しいのでしょうか、結局ありませんでした。また、演習の時間だけでなく、Slackというディスカッションツールで質問や発言をいつでもできるような用意を整えているのですが、書き込みはまだありません。まず自分から発信するということが実際に英語を使えるようになるためには、とてもとても大切なことなのですが、日本語でもなかなか発言が少ない学生たちにとってはこの殻をいつ破ることができるかがこの演習における課題ですね。自分自身で「変わるんだ」という気持ちを持って一歩を踏み出して欲しいです。

 

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英語を使えるようになるには、とにかく発信することだと思います。ただ、授業で教員が話しているとなかなかそのようにはならないようです。ということで次回は、各自が自己紹介をするスライドを作成してきて、英語で3,4分の自己紹介をしてもらう予定です。これはさらに次の週に、いよいよ向こうの大学の学生と一緒のクラスをするときのための練習です。さて、どうなるでしょうか?また学部のブログで紹介したいと思います。

 

 

さて、もしこの記事を読んだ当大学への入学を考えている高校生の皆さんのなかで、海外の人と交流したかったり、将来そうした能力で可能性を拡げたいと考える人がいたら、是非、入学してこの演習に参加して欲しいです(もちろん在学生も)。まだ小規模な試みですが、段々と国際的な活躍を目指す人が増えて、当大学からグローバルな人材を多く輩出できるようにしたいと願っています。世の中の状況が好転したら、実際に海外の大学を訪問してワークショップや文化交流の体験を持つことを予定しています。多くの学生に挑戦して欲しいです。

 

 

太田高志

プロジェクト演習(英語で取り組むワークショップ)#2

2021年5月13日 (木) 投稿者: メディア技術コース

 

さて、どうする…。の続きからですが、まだ初回をやってみないと8名の学生が本当に出席してくれるかはまだ不安でした。何しろ、英語でディスカッションなんて相応の英語力が必要そうな雰囲気が醸し出されてますよね… 

 

ということで、まず参加者の確定をしてから向こうの大学との交渉をすることにして、まず初回のクラスを迎えました。直前にまたしても緊急事態宣言が発出されてしまい、リモートでの開催です。別のプロジェクト演習にもでたいので、ということで当日参加しなかったのが2名いたので、6名の参加でした。これがこちらのベースになる人数でしょうか。でも、初回で6名も!の挑戦者が出てくれたのを非常に嬉しく感じました。

 

英会話の授業や研修は本大学でも多様に用意されていますが、先生から講義の形式で学んでも会話のときに実際に発声できないような経験が皆さんあるのではないでしょうか?この演習では、英語自体を学ぶのではなく、目的遂行のためにとにかく英語を使う経験をしてみて欲しいと考えたものです。英語は皆結構、それなりの英単語や言いまわしを知っているのではないかと思うのですが、実際の会話で話をすることは単に自分の言いたいことを発言できれば終わりになるわけではなく、相手とのやりとりです。相手が言ったことに対応したことを返さなければなりません。これは実際に体験して練習していかないとできるようにはなかなかならないのではないでしょうか?スポーツに例えると、テニスでコーチが球出ししてくれるボールを上手に返せても、試合の打ち合いとは別ものです。それと同じように、英会話力を実践で鍛えて欲しいと願っています。

 

さらに発展していった先には、具体的なタスクを英語で海外の人とこなせるような力を身につけて欲しいと考えています。そんために、本来この演習は課題を設定して、こちらの学生と向こうの学生でグループを組み、ワークショップ形式で企画を作ることを考えていました。この演習に10名以上の学生がコンスタントに参加してくれるようになれば、そうした内容にしていけると思います。メディア学部は、既存の学問分野をまたぐような科目を備え、それらを統合した運用力を育むことを目標としていますが、さらにその力を英語で運用できるようになると、優れた人材としてアピールできるようになるでしょう。また、将来の進路の可能性を大きく拡げることができるでしょう。

 

さて、第一回目の演習は…(#3に続く)

 

 

太田高志

プロジェクト演習(英語で取り組むワークショップ)#1

2021年5月12日 (水) 投稿者: メディア技術コース

今年度からプロジェクト演習で「英語で取り組むワークショップ」を開講いたしました。この演習は飯沼先生と私(太田)で行っています。本当は昨年度から始めたかったのですが、御存知のようにコロナの影響で今年に延期することになりました。この演習は海外の大学の学生とこちらの学生でグループを組み、課題にワークショップ形式で取り組むという内容です。当然、向こうの学生との議論や発表は英語で行うことが前提です。はたして何名受講したいという学生がいるでしょうか?非常に不安でありました。

 

相手の大学は、マレーシアのTaylor’s大学というところです。昨年のちょうどコロナが流行する直前に、先生と学生が総勢90名近くで本大学を訪問しました(下記のURLに関連の記事やブログがあります)。

 

https://www.teu.ac.jp/information/2020.html?id=34

http://blog.media.teu.ac.jp/2020/02/post-2deb28.html

http://blog.media.teu.ac.jp/2020/02/post-149767.html

 

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昨年のTaylor's大学の訪問時の写真

 

実はTaylor’s大学とは学期の始まりにずれがあるため、こちらでプロジェクト演習の説明会や、履修登録で受講者を特定する前に向こうでは学期が始まってしまいました。こちらでは個別に声をかけたりしていたものの、受講者が何名になるのか全く把握できませんでした。全くいないことも想定されたのですが、Taylor’sは20名くらい参加するようなことを言ってきていたので、開講できるかどうかを確約できないような話をしていましたが、最終的に8名の学生が参加表明をしてくれました。が、そのときには時遅し、で、Taylor’s大学ではそのクラスの実施が無くなっていました。海外との交流の難しさを教員がさっそく体験してしまうこととなりました。さて、どうする…(#2に続く)。

 

太田高志

 

ACM CHI2021

2021年5月11日 (火) 投稿者: メディア技術コース

こんにちは,メディア学部の加藤です.

2021年5月8日から14日にかけて開催される ACM CHI2021に参加しています (5/10 12:00現在).

CHI (「カイ」と読む)は The ACM CHI Conference on Human Factors in Computing Systemsの略称であり,

ヒューマン・コンピュータ・インタラクション(HCI)の研究分野において最も規模が大きく,権威のある国際学会です.

年に一度 4-5月に開催されており,今年は CHI史上初の日本・横浜での開催(となるはず)でした.

残念ながら COVID-19の影響によりオンラインでの開催になり,僕は自宅から接続をしています.

 

今年は 2,800本以上の論文 (Full paper)が投稿され,そのうち採択されて発表の権利を得たのが 747本です (採択率 26.3%..狭き門です).

ぼくは Yahoo! JAPAN研究所の池松さん,東京大学の川原先生との共同研究で LightTouch Gadgetsという研究を Full paperで発表しました.

オンライン開催のため,各論文につき 2回発表の時間が設けられているのですが,

(ついさっき) 朝 9時くらいに 1度目の発表があり,このあと 16時から 2度目の発表があります.


Kaori Ikematsu, Kunihiro Kato, and Yoshihiro Kawahara. LightTouch Gadgets: Extending Interactions on Capacitive Touchscreens by Converting Light Emission to Touch Inputs. In Proceedings of the 2021 CHI Conference on Human Factors in Computing Systems (CHI '21), Article No.509, (2021). [DOI]

CHIの研究や,発表動画は以下のリンクから視聴可能です.

https://www.youtube.com/c/acmsigchi/playlists?view=50&sort=dd&shelf_id=2

Full paperでの発表は本当に難しいですが,Interactivity (デモ発表)や Late-Breaking Work (ポスター発表)は比較的ハードルも低く,

他大の学生からも多くの発表があるので,メディア学部からも発表を目指してみると良いんじゃないかなぁ.

伝わるように話す

2021年5月10日 (月) 投稿者: メディア技術コース

今日は「話す」ということについて書いてみようと思います。

学業や仕事の場面では、話の内容に「主題」があることがほとんどで、自分の言いたいことが相手にちゃんと伝わるように話す必要があります。発表や説明、報告の場面では時間が限られていることが多いです。そのような中で相手に伝わるように話すには、相手が何を求めているのか、あるいは相手に何を伝えなければいけないのかを的確に把握し、肝心なこと(結論)から話す必要があります。自分でも話すべき内容が整理できていなかったり、すべてのことを話そうとする人ほど、細かいことにこだわって話が脱線したり、順番に背景から話そうとして相手が知りたいと思っていることになかなかたどり着かなかったりします。そうすると、たいてい時間切れとなったり相手が興味を失って、大事なことが伝えられません。

話すという行為は電話やZoomなどの場合を含めて、リアルタイムに相手と同じ場を共有しています。自分の時間も使っていますが、同時に相手の時間も使っているという意識も必要でしょう。ただし、話の内容によってはその時の状況や相手の気持ちなどを考えて、話す順序やクッションとなるような言葉を入れる、あるいは自分の熱意を伝えるなど、調整や配慮が必要なこともあります。また、スピーチや演説などではまた話の組み立て方が違ってくるでしょう。

私たちは日常の様々な場面で、誰かと話をしています。現在は、いつでも会って自由に話すというのが難しい状況ではありますが、家庭内や、電話、Zoomなどで話すことはあるでしょう。生活の中で、知っている相手と気軽に話すときは緊張することもなく、意識して考えて話さなくても会話になることが多いと思います。とりとめのない話でも問題ないでしょう。しかし、何かを説明しなければならないときには話し方を意識してみてください。ネット検索をすると、ビジネス向けの、話し方を解説した記事はたくさんあります。学業や就職活動の場合でも参考になるものも多いでしょう。

(メディア学部 寺澤卓也)

第1回シナリオ執筆未習熟者の作品に共通して発生する欠点(あな)

2021年5月 9日 (日) 投稿者: メディアコンテンツコース

みなさん、こんにちは。メディア学部実験助手の菅野です。

私はこのBlogで「プロのシナリオライターを目指すなら見ておいたほうが良い作品」を紹介しつつ、それらの作品と比較する形で、メディア学部の演習「シナリオアナリシス」の参加者が制作した作品に発生しやすい欠点、すなわち「シナリオの欠点(あな)」にときおり触れてきました。

10年以上、シナリオ執筆に関する研究と教育に携わってきますと、学生に限らずアマチュア、プロフェッショナルを問わず出会ってきたシナリオ執筆者もそれなりの数になります。そして興味深いことに、まったく別人かつまったく別作品のシナリオにも関わらず、共通して発生する「シナリオの欠点(あな)」に何度も遭遇してきました。

そこで今回から「シナリオ執筆未習熟者の作品に共通して発生する欠点」と題し、定期的に私が何度も遭遇してきた「シナリオの欠点(あな)」についてBlogを書いていこうと思います。今回取り上げるトピックは・・・

「シナリオライター渾身のアイディアに基づく設定を全部盛り込もうとして発生したシナリオの欠点(あな)」

前述しましたが、このBlogで取り上げて紹介する「シナリオの欠点(あな)」は、確かに東京工科大学メディア学部の演習「シナリオアナリシス」を履修する学生が制作したシナリオによくある「シナリオの欠点(あな)」ですが、別に学生に限ったことではありません。

むしろ今回取り上げた「シナリオライターが渾身のアイディアに基づく設定を全部盛り込もうとして」という事例は、プロのシナリオライターであっても陥りがちな話で、なまじそのシナリオライターが制作スタッフの中で、パワーバランス的に強い影響力をもっていると、他のスタッフが諌められずに、そのまま「シナリオの欠点(あな)」になってしまう、厄介なポイントとなりえます。

過去に私は「シナリオアナリシスでよくある質問(おすすめの映画)その12」で、映画「パシフィック・リム」を取り上げてこう述べました。

http://blog.media.teu.ac.jp/2021/01/post-ba0444.html

「メディア学部でシナリオの書き方を学んでいる学生の中にも、怪獣やロボットの大好きな人はたくさんいて、そういった作品のために、練り込んだ設定や世界観を考えてくることも多いのですが、あまりにも熱が入りすぎて、作中でその設定を語ろうとしたら冒頭30分くらいを設定の説明に費やすことになって全くストーリーが始まらない、なんてことがよくあります」

このときは、あくまでメディア学部のBlogらしくメディア学部の学生を引き合いにだしましたが、これは特にメディア学部の学生に限った事例ではなく、ありがちな例でいえば「○○で大人気作家△△が構想10年の末に送り出す超大作××!」という触れ込みの作品によくあることです。本当にその触れ込みがすべて事実だったとすれば、当然”構想10年”をかけて考案した設定や世界観の情報は膨大な量になるわけで、そのすべての情報提供と理解には相応の時間がかかります。

しかし、映画やドラマといった映像コンテンツの多くは時間芸術作品であり「決まった尺」があります。テレビであれば放映枠に応じた放送時間がありますし、映画はながければ長いほど回転率が悪くなって映画館から敬遠されます。大人気作家が構想10年の末に送り出す作品であっても、無尽蔵に時間を費やすわけにはいかないのです。

「シナリオは映像コンテンツの設計図」と言われます。終わりのない作品の設計図は論外ですし、設定や世界観の理解に手間取りすぎて制作が進展しない設計図では、制作に関わるスタッフたちの問題になります。それは間違いなく「シナリオの欠点(あな)」です。そして「シナリオ執筆未習熟者」ほど、そういったことが想像できないまま、自身の構想にあるすべての情報を作品に盛り込もうとしてしまう傾向にあります。

新規に作品を生み出すうえで、そこに渾身のアイディアを盛り込もうとする情熱は、なによりの原動力であり、それ自体を否定するものではありませんが、お金も人も時間も無尽蔵に投入出来るものではありません。そのなかで何を優先し、何を切り捨てるのか、その判断をするためにシナリオはあるといっても過言ではないのです。シナリオライターはそのためには「シナリオの欠点(あな)」がないシナリオを作るべき、といえるでしょう。

(文責:兼松祥央)

シナリオアナリシスでよくある質問(おすすめの映画)その21

2021年5月 8日 (土) 投稿者: メディアコンテンツコース

みなさん,こんにちは。メディア学部実験助手の菅野です。
今回も「プロのシナリオライターを目指すなら見ておいたほうが良い作品」を紹介します。
今回紹介するのはこの映画です。
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『トップガン(1986)』
【監督】
トニー・スコット
【脚本】
ジム・キャッシュ
ジャック・エップス・Jr
【参考URL】
https://movies.yahoo.co.jp/movie/15997/
【あらすじ】
アメリカ海軍のマーヴェリックは、相棒のレーダー要員グースと共にF14トムキャットを操縦するパイロットである。その操縦技術は卓越したものがあり、突然出現した国籍不明機ミグ28の襲来によってパニックを引き起こした同僚パイロット機を救った上に背面飛行を決めて挑発をするほどだった。しかし、度重なる危険な操縦や命令違反が許されるはずもなく、グース共々、エリートパイロット養成校「トップガン」行きを命じられてしまう。
「トップガン」に配属となっても一向に態度を改める気のないマーヴェリックは、初日から先輩エース・パイロットのアイスマンを挑発し、歓迎パーティ会場で見かけた初対面の女性、チャーリーを熱烈に口説くなど、やりたい放題。まもなく飛行訓練も開始となり、教官ジェスターとの模擬戦に臨んだマーヴェリックとグースは、ジェスターに撃墜されそうになるピンチを咄嗟の機転で一転させて勝利する。だが、その操縦は規律に違反するものであり、上官でマーヴェリックの亡き父とも親しかったヴァイパーに呼び出されたマーヴェリックたちは咎められることに。
マーヴェリックが危険を顧みず勝とうとするのは、同じくパイロットとして類まれなる才能を持っていた父の影響で、その死の真相は今なお機密情報として明かされていなかった。なりふり構わず勝ち続け、昇進することで父の死の真相を知ろうとするマーヴェリックだったが、相棒のグースですら身の危険を感じており、グースには自身に妻子がいることも考えてほしい、と自重を促されてしまう。
それでもマーヴェリックはアイスマンと、エースパイロットの座を巡って競争を続けていたある日のこと、突然の悲劇がマーヴェリックを襲った。突如発生したジェット気流によってマーヴェリックの機体は制御不能となり、マーヴェリックとグースは緊急脱出を試みるも、グースだけは不幸にも機体のキャノピーに頭部を打ち付けてしまい、死亡してしまったのである。
その後の調査委員会の決定によって、マーヴェリックは罪に問われなかったが、グースを失ってしまったショックはあまりにも大きく、これまでのような操縦は全くできなくなってしまった。トップガン最優秀成績は結局アイスマンとなったが、もはやマーヴェリックには、そんなことなどどうでもよく、海軍すらやめてしまおうかと悩んでいた。
そんなマーヴェリックを見捨てなかったのは、ヴァイパーだった。ヴァイパーは機密漏洩の罪を承知でマーヴェリックの父の最期について教えてくれた。マーヴェリックの父はベトナム戦争の最中、友軍機3機を救うために奮闘した後、撃墜されていた。それは軍事境界線を越えた戦いであり、公になれば問題になるため機密事項となっていたのである。マーヴェリックはこの話を聞かせてくれたヴァイパーに感謝すると、自身も父のようなパイロットになるべく再び立ちあがった。
そして迎えたトップガン卒業式当日。もう現れないと思われていたマーヴェリックが、会場で周囲を驚かせた矢先、緊急出撃の命令が下る。またもや国籍不明機のミグ28の接近反応があったのである。成績最優秀者アイスマンと、それに次ぐ優秀パイロットのハリウッドが出撃し、マーヴェリックはバックアップとして待機したが、出現したミグ28はなんと5機で、劣勢を強いられたハリウッドは撃墜されてしまう。
すぐさま出撃することになったマーヴェリックは、アイスマンの救援に駆けつけたが、5機の敵機が巻き起こしたジェット気流に飲み込まれてしまう。それは奇しくもグースを失ったときと同じ状況だった。恐怖が蘇ったマーヴェリックは、一瞬逃げ出そうとしたがグースの形見として持っていたドッグタグを見て思い直すと、なんとか機体を持ち直して、再びアイスマンの救出へむかった。
マーヴェリックは、被弾しながらも単独で1機敵を撃墜したアイスマンを援護する形で、3機の撃墜、残る1機を逃走させることに成功した。
無事帰還を果たしたマーヴェリックは、仲間たちから称賛された後、ひとり甲板に姿を現すと、これまでの迷いを断ち切るように、グースのドッグタグを海へと投げ入れたのだった。
ーー
トップガンは、実在するアメリカの海軍戦闘機兵器学校を舞台に、若きエリートパイロットを描いた作品です。とても有名な話ですが、この映画の製作においては、当時のアメリカ海軍が全面協力しており、登場する戦闘機、空母、さらには基地や各種施設は、実際のアメリカ海軍に許可されて撮影したものです。CGのなかった時代ですから実際に撮るしかないのは当然といえば当然ですが、逆に今なら機密事項が複雑に絡み合うので「CGで何とかしろ」と言われて実現が難しいことでしょう。それだけに作中の映像が描き出すリアリティは圧巻で、本作に感銘を受けて、当時は海軍への志願者が増え、中には本当に戦闘機のパイロットを目指した人までいた、と言われる作品です。
では、この作品でシナリオライターとしてどこに注目すべきか、というと「登場人物の役割が明確」という点です。
役割、と言われて誰もがまっさきに思いつくのは「主人公」ではないでしょうか。もちろん「主人公」も含まれますが、東京工科大学メディア学部での演習「シナリオアナリシス」「デジタルキャラクターメイキング」では、それ以外の登場人物の役割を、先行研究や既存作品分析から次のように分類しています。
「1主人公」
「2協力者」
「3敵対者」
「4犠牲者」
「5依頼者」
「6援助者」
「7対抗者」
この分類が絶対的に正しいというわけではありませんが、シナリオであればこれらの役割を登場人物に割り当てることで、穴のない(失敗のしにくい)シナリオを作ることができます。実際に、トップガンの登場人物を割り当ててみます。
「1主人公」マーヴェリック
「2協力者」グース
「3敵対者」ミグ28(のパイロットたち)
「4犠牲者」グース
「5依頼者」トップガンの教官・司令官たち
「6援助者」ヴァイパー
「7対抗者」アイスマン
このブログの冒頭では、この作品の詳細なあらすじを記述していますが、それはこれら7つの役割をもとに、かなり簡略化した本作のあらすじを述べることができます。
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【簡略化したトップガンのあらすじ】
主人公マーヴェリックは、協力者のグースを相棒に、
敵対者の戦闘機ミグ28と戦っていたが、
その過程でグースが犠牲者となってしまい落ち込んでしまい、
依頼者であるトップガンの教官たちによるエースパイロットの訓練を乗り越えられなくなりそうになるが、
援助者ヴァイパーの助言によって立ち直り、対抗者アイスマンにも負けない、パイロットになった。
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これだけでトップガンの内容をすべて語れるものではありませんが、優れた作品のシナリオは上記の役割を確実に抑えて作ってあり、理解しやすい構造を持っている、といえます。シナリオを書く上では、当然、役割以外にも押さえるべきポイントはたくさんあるのですが、押さえるべきポイントを押さえることで、本作最大の魅力である、貴重な撮影シーンの数々は活きています。
後年、トップガンの影響を多分に受けて、戦闘機を題材にした作品はたくさん作られましたが、中には「とにかく戦闘機が空を飛んでいればいいだろう」という安易な構想しか見て取れず、失敗に終わった作品が数多く存在します。そういった作品は、まさに押さえるべきポイントを押さえていないが故にそうなった、と言うこともできます。
今では作中の戦闘機F-14トムキャットはアメリカで退役しているので、単純に当時の勇姿を見るだけでも楽しめると思いますので、是非一度「トップガン」は見てほしいと思います。
(文責:兼松祥央)

2021年度「先端映像創作論」でのマットペインティング作品の紹介 その2

2021年5月 7日 (金) 投稿者: メディアコンテンツコース

コンテンツコースの椿です。

授業で制作されたマットペインティング作品を先日のブログで紹介しました。その続きとして,今日は3作品を紹介します。これらも全く異なる雰囲気になりました。

1つ目の作品です。

2つ目の作品です。

3つ目の作品です。

元の画像が同じであるだけでなく,合成した素材の画像も同じものがいくつかあります。例えば,1つ目の作品と2つ目の作品は,どちらも同じ月を合成していますが,全く違う雰囲気に見えます。塔や岩山も同じものが使われている部分があります。元の画像が同じだったことは,指摘されないと分からないかもしれません。

2021年度「先端映像創作論」でのマットペインティング作品の紹介

2021年5月 6日 (木) 投稿者: メディアコンテンツコース

こんにちは。コンテンツコースの椿です。

私が担当している「先端映像創作論」は講義科目ですが,作品を作る演習も少しだけ行っています。先週はマットペインティングの演習を行いました。マットペインティングとは,1枚の写真に対して,他の画像と合成したり、背景等を描き⾜したり、⾊や明るさを変更したり
することで,新しい画像を作る技術です。

上の課題画像に対して,マットペインティングでそれぞれ新しい画像を作成してもらいましたので,少しご紹介します。この課題画像は,David B. Mattinglyによる「マットペインティングハンドブック」ボーンデジタル社(2012年)で公開されている画像です。

最初の作品です。建物や月などを追加して,元とは全く異なる画像になりました。月が水面に映っています。

次の作品です。きらきらしていて印象的です。遠景をぼかしてあり,自然な感じに合成されています。

このように,元の画像とは全く異なる様々な画像ができました。

ロボットキャラクターのデザイン原案に関する研究

2021年5月 5日 (水) 投稿者: メディアコンテンツコース

みなさん,こんにちは.メディア学部助教の兼松です.
今日は,以前の記事の続きで,キャラクター原案制作に関する研究の一つを紹介します.

[辻翔太,茂木龍太,兼松祥央,三上浩司,近藤邦雄,3Dパーツを用いた人型ロボットデザインのシミュレーションシステムの開発, 芸術科学会,NICOGRAPH2014,2014]

この研究は,以前紹介した[兼松 祥央竹本 祐太茂木 龍太鶴田 直也三上 浩司近藤 邦雄, ロボットアニメーションにおけるポーズ制作支援システムの開発, 画像電子学会誌, 46巻 1 号, pp.165-169,2017]の前身になった研究で,ロボットキャラクターの原案を制作するためのシステムを開発しました.この研究で開発したシステムは,今ではゲームなどでよくある様々なパーツを切り替えて自分のキャラクターを作る,アバター制作機能に似たものです.しかし,この研究の特徴は,200体を超える既存ロボットキャラクターを対象に,頭部・胸部・上腕部など,10カテゴリーに分けた体の部位ごとに,ロボットパーツの形状を分析したところにあります.
この分析結果を用いて作成したパーツを使って,キャラクターデザインの土台となる原案を作れるようにしようという研究です.

この研究はその後も様々な派生系・発展系の研究が後輩に引き継がれて研究されています.
今後卒研などを行う学生のみなさんの中で,キャラクターやロボットが好きな方は是非一度上記2つの研究を見ていただいて,一緒に研究していけたらと思います.

(文責:兼松祥央)

卒業研究「プロダクトデザイン」2021年3月卒の皆さんのポスター紹介 その1

2021年5月 4日 (火) 投稿者: メディアコンテンツコース

現在でもいつもの大学の風景には戻っていませんが、昨年度2020年度の4年生たちは、誰もが経験のない状況下での卒研実施になりました。私も慣れない環境下で適切に助言しきれなかったことを反省しています。それでも、卒研生たちは安全健康第一で、実施できることをきちんと行おう、ということで、最終ポスター制作まで頑張りました。例年同様、卒業なさったみなさん全員、ポスター公開は快諾してくださりましたので紹介します。

今日は、大西さん、岡野さん、菊池さんのポスターを紹介します。

2021_5_6

大西さんは、学生には根強い人気のこたつに着目しました。周囲の学生へのインタビューやネットでの調査の結果、一人暮らしの学生にとって、こたつは経済的理由からも適切な暖房機器として愛されていること、そして、勉強や食事、その他の作業台を兼ねて使用されるなど特に学生にとっては利便性が高いことを確認しました。この結果を踏まえ、保温と通気、そして作業のメリハリを与える効果も期待できるタイマー内臓の一人用こたつのデザイン提案を行いました。

岡野さんは、日本人は腰痛に悩む人が多いことを指摘しました。ネット調査などの結果からは、日本人は座っている時間が長いことが確認できました。周囲の人を対象としたアンケートでは座りすぎを感じている人が多く、そのわりに正しい座り方は意識していない、という傾向があることを確認しました。この結果を踏まえ、ヘッドサポートとランバーサポートの配置、そして荷重分散するための二股形状の座面を持つ椅子のデザイン提案を行いました。

菊池さんは、テレワークが増えるなか、現状のディスプレイやスマホなどのスタンドには課題が多いことを指摘しました。アンケートの結果、特にビデオ通話の時に現行製品に不満があることを確認しました。その中でも、小型ディスプレイやスマホなど、持ち運びしやすいスタンドのニーズが高いことに着目しました。この結果を踏まえ、折り畳みの工夫にて、角度・高さ・幅の異なるディスプレイやスマホに対応でき、未使用時はコンパクトになるディスプレイスタンドのデザイン提案を行いました。

メディア学部

萩原祐志

 

音楽系研究室の研究テーマのご紹介

2021年5月 3日 (月) 投稿者: メディアコンテンツコース

メディア学部の伊藤謙一郎です。

現在、私の研究室(ミュージック・アナリシス&クリエイション)には11名の卒研生(4年次生)が在籍しています。本日は、各学生が現在取り組んでいる研究テーマ(タイトル)をご紹介しましょう。

研究に取り組み始めた昨年8月時点でのテーマを( )に、「創成課題」(3年次後期に研究室単位で開講されるゼミ形式の科目)の中で決まった現在のテーマを【 】に示しましたので、ぜひ比較してみてください。



(1)(特定のコード進行(カノン進行、王道進行等)でのメロディに関する研究 or 特定の作曲家の音楽的特徴に関する研究)➡︎【音楽ゲームにおける楽曲と入力タイミングの相関性について】

(2)(アニメーションで流れる音楽の分析)➡︎【アニメ「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」の音楽分析】

(3)(Official髭男dismの楽曲の分析 ~デビュー後の楽曲を中心に~)➡︎【Official髭男dismの楽曲の分析 ~デビュー後の楽曲を中心に~】

(4)(コード進行を中心とした楽曲分析、それを踏まえた楽曲制作)➡︎【星野源の楽曲におけるコード進行の特徴】

(5)(同一ゲーム内の複数のアイドルユニットにおけるユニットソングの比較研究 〜ユニットごとに見られる音楽的特徴の違いに着目して〜)➡︎【『あんさんぶるスターズ!』の楽曲の分析 ~歌詞分析を中心に~】

(6)(『ポケットモンスター』シリーズにおける楽曲分析)➡︎【『ポケットモンスター』シリーズにおける楽曲分析】

(7)(ディズニー音楽における「ディズニーらしさ」とは何か)➡︎【ディズニー音楽における「ディズニーらしさ」とは何か】

(8)(特定の音楽の音楽の分析・調査)➡︎【『FINAL FANTASY XIV』におけるBGMの特徴 ~バトルにおける感情の起伏に着目して~】

(9)(電子音楽の影響を受けたポピュラー音楽の研究)➡︎【電子音楽の影響を受けたポピュラー音楽の研究】

(10)(現代のゲームミュージックに見られる、音楽の文化・歴史の影響 〜作編曲の分析を通して〜)➡︎【ファイナルファンタジーの歴代BGMから読み取る編曲の変化】

(11)(音楽の違いによって生じる映像の見え方の変化に関する研究)➡︎【映画『パイレーツ・オブ・カリビアン』の劇中曲の分析 ~同じモティーフが用いられている曲のアレンジの違いに着目して~】



今年度は「ゲーム音楽系」と「アニメ・映画音楽系」がそれぞれ4テーマで、映像コンテンツに関連した音楽の研究が多いですね。「ポピュラー音楽系」は3テーマで、例年よりちょっと少なくなっています。

また、タイトルが変わらない学生がいる一方、研究の方向性を変えたり研究対象を絞ったりしてテーマを多少(あるいは大幅に)変えた学生も少なからずいますね。初期段階では研究の方向性をある程度は定めつつも、研究の発展性や可能性を多角的に吟味できる余地を残すために、テーマを固定しすぎないほうが良い場合もあります。

卒業論文のタイトルを想定した「仮テーマ」の申告期限が例年5月末に設定されているため、連休明けの私のゼミでは、上記のテーマをもとに文言や表現をどうするか、学生同士のディスカッションに多くの時間を割きます。

研究の進捗は、このブログでまたご報告しましょう。


(文責:伊藤謙一郎)

先輩からのメッセージ⑦ 吉田朱里さん

2021年5月 2日 (日) 投稿者: メディア社会コース

こんにちは、メディア学部社会コースの森川です。
連載最終回の今日は、吉田朱里先輩から皆さんへのメッセージです。
 
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卒業する今になって思い返してみると、あっという間の4年間でした。
 
どんな生活を送るのだろうと希望に満ちていたことを思い出します。
地元から出て、大学の寮で初めての一人暮らしをすることになり、不安と同時にとても楽しみだったことを覚えています。
 
大学の講義にも慣れ、部活動やアルバイトなど様々な経験をし、4年間で大きく成長できたのではないかと思います。
特に部活動では、かけがえのない友達ができました。
 
大学生活で学べることはとても多いです。後輩の皆さんには沢山のことに挑戦して欲しいと思います。学生生活頑張ってください。
 
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新入生の皆さんの中には、この春から地元を離れて初めての一人暮らしを経験している人もいるでしょう。
吉田さんと同じように希望に満ちているでしょうか?
それとも、不安や淋しさの方が大きいでしょうか?
 
慣れるまではいろいろと大変だと思いますが、吉田さんも書いているように、時間はあっと言う間に過ぎていきます。
卒業式を前に大学時代を振り返った時、あなたは何を思い起こすでしょうか。
今あなたが感じている、その希望や不安を思い出すでしょうか。
授業やアルバイトのことを思い出すでしょうか。
それとも友達の顔や恋人の顔、家族やサークルの仲間の顔を思い浮かべるのでしょうか。
 
人や物、経験や感情など、あなたにとって大切なものをどうぞ増やしていってください。
それこそがあなたの成長に繋がっているのです。
今はその意味がわからなくても、後で振り返ってみると、きっと「あれは自分にとって大事だったんだ」と思える日が来ると思います。
 
本当に4年間なんてあっと言う間ですよ!
どんな時間を過ごすかは、あなた次第です。
それが大学時代というものです。
是非、中身の濃い4年間にしてくださいね!!
 
今回の私のブログ連載は今日で終わりです。
いかがだったでしょうか。
またいつか、近いうちにお会いしましょう。
 

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(メディア学部 森川 美幸)

先輩からのメッセージ⑥ 山田秀斗さん

2021年5月 1日 (土) 投稿者: メディア社会コース

こんにちは、メディア学部社会コースの森川です。
連載6回目の今日は、山田秀斗先輩から皆さんへのメッセージです。
 
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私はこの4年間の大学生活の中では、卒業研究に取り組んだ約1年間が最も思い出に残っています。
 
卒業研究は学生生活の総括ともいえる活動なので、悔いが残らぬよう力を入れて取り組みました。
コロナ禍での就職活動と並行して取り組んでいたこともあり、なかなか思うように研究が進まず、焦りや苦しさを感じることも多かったです。
しかし諦めずに取り組んでいるうちに、徐々に成果が表れるようになり、最終発表の頃には自信をもって自身の研究結果を伝えることができました。
苦労はしましたがそれ以上の達成感を得ることができ、学生生活の中では忘れられない経験になりました。
 
新入生や在学生の皆さんにとっては耳が痛いと思いますが、卒業研究の事を念頭に入れ学生生活を過ごしてほしいと思っています。
日頃から自身の興味や関心のあることを深掘りしていってください。
卒業研究の活動は辛いと感じることもありますが、それ以上に楽しさを感じる機会も多いです。
学生生活が満足できるものになるように、これから頑張っていってください。
 
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山田君は私の研究室で、映画料金に関する研究を行いました。
映画料金は通常、どんな映画でも通常大人1,900円、学生1,500円程度の一律料金で見ることができます。30億円かけて作った大作でも、1,000万円で作ったインディーズ作品でも、映画館で見る時の料金は変わりません。
映画料金は映画館が決めており、作品の製作元はそこに口を出すことができないからです。
こういうことは他の商材の場合、まず考えられません。
メーカーやブランドは製品の開発費や製造原価をベースに単価を決めています。
しかし、映画は映画を作った側が料金を決められない…。
何だかおかしいと思いませんか?
 
実は映画料金についての研究は国内外で多く行われており、中には非一律料金設定の方が、より高い収益を上げるという結論を導いた研究もあります。
山田君は彼の視点で、映画の一律料金制度に対する再検討を行いました。
途中、研究に行き詰まり、悩んだ時期もあったようですが、最終的には素晴らしい研究になったと、担当教員だった私も堂々と言えます。
 
山田君の論文を読んでみたい人は、是非森川までご連絡ください。
近いうちに私の卒研室の本棚にも設置したいと思っています。
 
さて、最終回の明日は、吉田朱里先輩からのメッセージです!!
 

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(メディア学部 森川 美幸)

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