【コロナ時代の広告コミュニケーション⑥】さて、今夜、私が頂くのは、(メディア学部 藤崎実)
2021年5月22日 (土) 投稿者: メディア社会コース
コロナ禍の日本に生まれた新風景のひとつに、Uber Eats(ウーバーイーツ)の配達員の姿が挙げられるでしょう。
以前のように気軽に外食できなくなった環境変化に対応すべく、2020年のコロナ禍では、フードデリバリーサービスが急激に定着しました。
それまでの日本のフードデリバリーサービスの分野では、ピザの配達が一般的に定着した感がありました。
しかし、コロナの環境変化に対応すべく、ファーストフードも、ファミレスも、一斉にフードデリバリーサービスに参入を始めたのです。(例えば、マクドナルドがマックデリバリーを始めたり、すかいらーくグループでは、ガストやバーミアン、ジョナサンなどが挙げられます)
しかし、何と言っても、配達員がお店を回って運んでくれるUber Eatsの普及には目をみはるものがあります。
そして、そうしたUber Eatsの普及を後押しするためのCMは、多くの人の印象に残っていることでしょう。
今までにさまざまなバージョンのUber EatsのCMが作られてきましたが、それらのCMをよく見ると、全てのCMに同じキャッチコピーが使われていることに気づくでしょう。
それは、「さて、今夜、私が頂くのは、」というキャッチコピーです。
(上記の画像出所:Uber EatsのYouTubeチャンネルより)
https://www.youtube.com/watch?v=b4xJhhOC1k0
https://www.youtube.com/watch?v=owyt1T04yeY
https://www.youtube.com/watch?v=9YuFGNb5WEQ
通常、企業やブランド、サービスの主体は、生活者に伝えたいことが山のようにあるのが普通です。
せっかく広告を作るのであれば、その機会に、あれも伝えたい、これも伝えたいと考えるのが普通です。
でも、多くを伝えたからといって、多くが伝わるわけではないのです。
結局のところ、広告というのは、ひとつしか伝えることはできません。
それは秒数の問題ではなく、人は一度に多くの情報を受け取ることができないためです。
しかも、生活者は本来企業が伝えたいことに興味を持っているわけではなく、自分に関係することにだけ興味があるのです。
Uber EatsのCMは、企業が伝えたいことを多く伝えるのではなく、生活者にとって関係のあることだけに絞ったことで、成功したCMと言えるでしょう。
キャッチコピーをひとつに絞ったことで、シリーズ全体を通して、壮大な連呼CMになっている、と考えることもできます。
なお、一見、シンプルなコピーですが、Uber Eatsのキャッチコピーは、相当な勇気がないと採用できないと考えることができます。
というのは、「さて、今夜、私が頂くのは、」というキャッチコピーは、あえて言えば、あまりにも平凡で、何の飾り気も、欲もないコピーだからです。
でも、だからこそ、いろいろなシチュエーションやパターンで使えるキャッチコピーだとも言え、相当考え抜かれたキャッチコピーであると私は思います。一言で言うと論理的で頭の良いスタッフの方々により制作されていることが見受けられるのです。
あなたが、もしUber Eatsの広告プランナーだったら、どういうキャッチコピーを考えるでしょうか。
もちろん、広告の企画には答えがありませんので、いろいろな考え方があることでしょう。
(メディア学部 藤崎実)
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