伝わるように書く
2021年5月31日 (月) 投稿者: メディア技術コース
今日は「書く」ということについて書いてみようと思います。「結論から先に」についてです。
書く時も話すときと基本的には同じです。結論となることを先に明示し、なぜそうなるのか、そう考えるのかの根拠をそのあとに書きます。根拠を示す際には、具体的な例やデータ(数字)があると説得力が増します。
なぜ、結論から書くと良いのでしょうか?それは、説明としてはわかりやすいからです。
たとえば、夕食を説明するとします。「今日の夕食はカレーです。なぜなら、一週間和食が続いているし、玉ねぎとジャガイモが余っているからです。」と言うのと「一週間和食が続いています。玉ねぎとジャガイモが余っています。だから今日の夕食はカレーにします。」では、どちらがわかりやすいですか?この例はちょっと短すぎるのであまり変わらないように感じるかもしれませんが、理由の説明が長くなるとどうでしょうか?
だから結論から書くのです。
少し調べてみると文章の書き方(あるいは話し方)について様々な手法があることがわかります。論理的な文章を書く方法としてよく知られているものの一つはPREP法[1]でしょう。PREP法はPoint→Reason→Example→Pointの順に書くという方法です。Pointというのが結論です。結論を最初に示し、その理由を述べ、例を挙げて説明し、最後に再び結論を示します。実は上の話はこれに沿って書いてみました。気づきましたか?これと似たものとしては「なたもだ」というのがあります。国語作文教育研究所の故宮川俊彦氏が提唱したものです[2]。最初に結論を示して、「な」ぜなら(理由)、「た」とえば(例)、「も」し(反証)、「だ」から(結論)の順で書きます。皆さんも知っている文章構成法の一つは「起承転結」だと思いますが、それとはずいぶん違いますね。
レポートや論文など、説明をする文章ではPREP法はとても役立ちます。また、あわせて大変重要なことがあります。まず、自分の考えと、事実や他人の考えを区別することです。これを明確に行うためには出典を示します。また、このような文書では一つ一つの文を短めにし、誤解の生じにくい表現や語順に気を配る必要があります。ビジネスの場合でも同様でしょう。これらについては1年次『情報リテラシー演習』の「文章技法」、「文献調査法」のテーマで演習します。
気持ちを吐露するような日記やブログなどでは書きたいように書けばよいと思います。また、文芸作品と、説明文は全く性質の異なるものです。したがって、文芸作品が私が今回書いたことに当てはまっていないのは当然です。世の中すべてが説明文的なのは疲れます。あまり楽しくもないでしょう。読者が思いを巡らせながらそれを楽しんで読む文章というのも当然必要なのです。
[1]大嶋友秀:「すぐできる!論理的な話し方」、日本能率協会マネジメントセンター、2013/3/20、ISBN-13:978-4820748281
(色々調べてみましたが、PREP法は誰が最初に提唱したのかはっきりしませんでした)
[2]宮川俊彦監修:『「なたもだ」は読書感想文の必殺技だ!』、https://dokusyokansoubun.com/doukaku/doukaku1/nadamoda/
(メディア学部 寺澤卓也)
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