【コロナ時代の広告コミュニケーション③】キャッチコピーとしてのソーシャルディスタンス(メディア学部 藤崎実)
2021年5月19日 (水) 投稿者: メディア社会コース
コロナ禍となり、新型コロナウイルス感染対策として、企業も自治体も様々な取り組みを行なってきました。ある日突然、私たちは新しい生活様式を実践する必要性に迫られたわけです。
そうした新しい生活習慣のひとつに「ソーシャルディスタンス」が挙げられます。
あまりにも当たり前のことなので見過ごされがちですが、今までにない新しい習慣を根付かせるためには、その習慣を一言で呼べるネーミングが必要だということにお気づきでしょうか。
その意味で、「ソーシャルディスタンス」とは、ある日突然、私たちの目の前に提示され、一気に世界中に普及した、優れたキャッチコピーと言えます。
人はコトバで情報や意味を伝達します。
そして、コトバは人の行動を促すことができるのです。
コロナ禍は、新しいキャッチコピーをたくさん私たちに提示してくれました。
例えば、他には「三密」も、「ステイホーム」も、キャッチコピーと考えることができます。
実際の問題として、こうしたコトバは、他にも多くのキャッチコピーの候補があり、その中から議論に議論を重ねて、厳選されて選ばれたコピーなのです。こうしたメッセージの作成には、コピーライターやデザイナーが関与しているのです。
一般の方は、あまりも自然なことなので、お気づきにならないと思いますが、それらのキャッチコピーの提示の仕方も、広告の基本に実に忠実に行われています。
広告業界では、ワンビジュアル・ワンキャッチという広告の作り方の基本があります。
東京都が提示している「STAY HOME」も、例えば、楽天が提示している「ソーシャルディスタンス」も、ワンビジュアル・ワンキャッチという基本に忠実なコミュニケーションで行われているのです。
(画像出所:東京都政策企画局 https://www.seisakukikaku.metro.tokyo.lg.jp/)
(画像出所:楽天グループ株式会社 https://corp.rakuten.co.jp/social-distance/)
新習慣の定着は奇をてらう必要がありません。
人に情報を伝え、行動を促進させるために一番大切なのは、基本に忠実なコミュニケーションです。
生活者の合言葉になるようなひとつのキャッチコピー(ワンキャッチ)で内容を伝え、
ひとつのビジュアル(ワンビジュアル)で、最も象徴的なビジュアルを提示する。
広告コミュニケーションの技術は、こうしたところにも生かされている、というわけです。
(メディア学部 藤崎実)
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