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ユーザインタフェースから見た山手線の列車到着案内版の表示変更

2021年6月 2日 (水) 投稿者: メディア技術コース

新しいメディア学の研究テーマに取り組んでいる健康メディアデザイン研究室の千種(ちぐさ)です。人体を健康メディアとしてとらえメディアを活用して自らの健康をデザインするための研究を行っている研究室です。

今回は雑談的な内容になります。JR東日本では、2019年~2020年にかけて長年使用されてきた山手線の駅の案内の情報が変更になりました。さてどのような変更でしょうか?ホームの行先、列車到着時刻、など、情報として十分な気がしますね。

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答えはこちらです。これまでは列車到着時刻が表示されていましたが、今後は何分後に到着するかを表示するようになります。

https://www.jreast.co.jp/press/2019/tokyo/20191015_1_to.pdf

Photo_20210530223302

プレスリリースによると以下の取組によるものです。


JR東日本では、グループ経営ビジョン「変革2027」においてお客さまに提供する輸送サービスの質的変革を掲げ、お客さまが快適に感じていただけるご利用環境の実現に取り組んでいます。今回、東京支社では山手線などの駅のホーム上における列車の到着までの時間などのご案内の充実を図るため、以下の取り組みを実施します。

〇 山手線全駅のホーム上の発車標に、列車が駅に到着するまでの時間「約○分後」の表示を実施し、列車到着までの時間をより分かりやすくお知らせします。

〇 山手線をはじめとした東京支社管内の一部の駅において、ホーム上の発車標を LED から LCD 化(液晶ディスプレイ化)し、視認性を向上します。

〇 2019年3月から東京支社管内の一部の駅において、ホーム上における自動音声による英語案内放送の充実を図ってまいりましたが、山手線全駅や中央(快速)線、中央・総武(各駅停車)線などの一部の駅に拡充します。

考察力の鋭い人はその本質的なまでわかっていると思いますが、これは利用者の生活スタイルの変化に対応した結果になります。従来は多くの会社員・学生は腕時計をしていたので、旧スタイルの表示でもあと○○分で列車が到着すると分りましたが、スマートフォンの普及に伴って腕時計をしている割合は年々減少傾向です。実際、マクロミル社の時計やスマートウォッチに関する調査(201811月実施)

https://honote.macromill.com/report/20181129/

によると、時間チェック、メインで使うものは、男性:「腕時計」が多数で55%、女性;「スマホ」が多数で62%、です。約半数以上の人が腕時計をしていない現状では、列車の到着案内が○○時○○分という表示では、半数くらいの人がバッグからスマートフォンを取り出すか、ホームにある時計を探さなければいけなく、適切な情報提示ではない、ということになります。
したがって今回の列車の到着案内が「約3分後」という表示になり、直観的に大体の目安が伝わります。その上、時刻の引き算もしなくてよいということです(笑)急いでいる時はありがたいですね。

最近はスマートウォッチがブームになってきていますので、さらに近い将来はまた別のより良い提示方法が採用されるかもしれません。

 

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