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感染症までの数理 (3)

2021年7月21日 (水) 投稿者: メディア社会コース

人間の数、つまり人口に対してモデルをつくるには、まず、人口を数えなければなりません。

正確に人口のデータを取れるのかということになりますが、とくに世界人口となると、これが意外にむずかしいのです。

よく言われるのは、出生記録の問題です。

現代では、各国の政府は、行政サービスや税金などの観点から、出生記録を残そうとしますが、少し前まではそうではありませんでした。

日本は戸籍制度があり、生まれた人は原則的に記録されましたが、戸籍というのは、家族制度のもとでの記録なので、国や地域によっては、そもそもそういう考え方がありません。

そこで、ヨーロッパでは、キリスト教カトリックの教会台帳で、洗礼の記録を調べることで人口を調べることもおこなわれました。生まれると原則、洗礼を受けるからです。

現代でも、紛争下にある国や地域では、正確な出生記録は望めません。そもそも国や政府が機能していない場所もあるからです。過去の記録はなおさらです。

こうしたことを含めて、結局、世界人口は、実際の記録ではなく、推計とならざるをえないのです。

それでも、第2次世界大戦以降は、かなり信憑(しんぴょう)性のある推計が得られています。

たとえば、国連経済社会局による、世界人口推計では、西暦元年は3億人、西暦1000年は3億1千万人、1500年は5億人、1800年は9億7800万人、1900年は16億5千万人とざっくりしていますが、1950年は25億3509万3千人、1970年は36億9867万6千人、1990年は52億9487万9千人、2000年は61億2412万3千人、2010年は69億655万8千人などと詳細になっています。

いずれにしても、このようなデータが得られれば、それをもとにモデルをつくれます。

どのようなモデルになるのかは、明日に続きます。

(メディア学部 小林克正)

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