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感染症までの数理 (2)

2021年7月20日 (火) 投稿者: メディア社会コース

さっそく、昨日の、ネズミの数です。

なんと全部で、276億8257万4402匹となります。わかりにくいのですが、1か月ごとに総数が7倍になっているのです。

これは、昨年7月、このブログに書いたように、ここにも7が、ということでもあります。

古代から知られていたようですが,同じ数を何回も掛けていくと、思いがけなく大きくなるのに驚いたことでしょう。

似たような考えで、ウサギ算とでも言えることが、中世にイタリアで書かれました。

ウサギの1つがいがいる。1か月後にオスとメスの子を1羽ずつ産む。さらに1か月後、生まれた子はつがいになり、もとの1つがいとともに、それぞれが、やはりつがいになる2羽の子を産む。これを繰り返すと、つがいの数はどう増えるか。

これは、1、1、2、3、5、8 と増えていき、前のふたつを足したものが次のものになっているという関係になっています。これがフィボナッチ数列とよぶものであることを知っているかもしれませんが、上のウサギ算を書き残したのがフィボナッチです。この数列はフィボナッチを現代にいたるまで有名にしましたが、このような数列自体は、当時すでに知られていました。

ネズミ算もウサギ算も現実的ではないので、役に立たないと思うかもしれません。

しかし、実際の生物でも、増殖の基本は細胞分裂で、1回の分裂で細胞が2倍になるのが普通なので、ネズミ算の増え方を2倍に変えれば、少なくとも単細胞生物には適用できるはずです。

富栄養状態という栄養が十分にある状態だと乳酸菌などの単細胞生物が、そのような増え方をするのはよく知られています。

では、多細胞生物、高等とよばれる生物には使えないのでしょうか。

直接、生物個体ではありませんが、フィボナッチ数列のような増え方は、植物の器官などにはよく見られます。枝や葉や種の集まりの構造そのものにそうした並びが見られます。

ある種の昆虫の親子関係や人間の染色体をさかのぼっていったときにもフィボナッチ数列があらわれるという研究もあります。

こうして、生物についてもネズミ算やウサギ算が使える場合があると、わかりましたが、人間に対してはどうなのでしょうか。

明日に続きます。

(メディア学部 小林克正)

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