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シナリオアナリシスでよくある質問(おすすめの映画)その25

2021年7月28日 (水) 投稿者: メディアコンテンツコース

みなさん、こんにちは。メディア学部実験助手の菅野です。
今回も「プロのシナリオライターを目指すなら見ておいたほうが良い作品」を紹介します。
今回紹介するのはこの映画です。
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『オブリビオン(2013)』
【監督】
ジョセフ・コシンスキー
【脚本】
ジョセフ・コシンスキー
カール・ガイダシェク
マイケル・アーント
【参考URL】
https://movies.yahoo.co.jp/movie/344646/
【あらすじ】
西暦2077年。人類は60年前、スカヴと呼ばれる異星人の襲来を受け、核兵器の使用によってこれを撃退するも、地球を荒廃させてしまい、土星への移住計画実行を余儀なくされていた。この状況において、ジャックとビクトリアは、地球の高度上空基地から、地球の資源回収施設を監視、警備する任務を与えられた、地球でたった二人だけの人類である。
残る任務期間が2週間を切り、本拠地の宇宙ステーション「テット」に帰還が間近となったある日のこと、ジャックは監視対象の施設と、自動警備機器ドローンの異常を感知し、現地へ向かった。ジャックはスカヴの残党が活動を活発化していることを懸念していたが、予想は的中。トラブルの解消には成功するものの、スカヴ残党に調査用のバイクを奪われてしまう。
さらにその後日、今度は資源回収施設で爆発事故が発生、ジャックは直ちに急行した。事故の原因は、所属不明の宇宙船による墜落。奇跡的に、乗っていた乗組員の何名かは生存していたが、駆けつけてきたドローンがこれに反応、ジャックが庇った女性ジュリア以外を皆殺しにしてしまった。
ジャックは、基地へジュリアを連れ帰り、意識が戻ったところで素性を確認すると、なんと彼女は60年前にコールドスリープしたNASAの宇宙探査員だった。しかし、それ以外は宇宙船に残されたフライトレコーダーを確認するしかなかった。そこでジュリアと共に再度落下地点へむかい、レコーダーを回収したジャックだったが、待ち受けていたスカヴ残党によってふたりとも囚われてしまった。
気を失っていたジャックが目をさますと、そこにいたのは異星人ではなく、自分と同じ人間たちだった。その人間たちのリーダー、マルコムによって禁止区域へ向かうことを条件にジュリアとともに開放されたジャックは、目的地で驚愕する。なんとそこにいたのは、自分と姿かたちが全く一緒のジャックだった。
自分が「テット」によって作られ、派遣されたクローンの一人でしかない、と気づいたジャックは、マルコムの元に戻る。そしてマルコムから、60年前に襲来したのは異星人ではなく謎の物体「テット」であり、現在も宇宙ステーションから地球を支配している、という真実を知らされる。
全てを知ったジャックは、ジュリアの正体を報告し、その身柄を連行する、という名目で宇宙ステーションへ向かった。厳しい警戒をくぐり抜け、テット中枢部に進んだジャックは、ジュリアを収めているというカプセルを開放する。
しかし、中に乗せていたのはジュリアではなく、超高威力爆弾を抱えたマルコムだった。慌てふためくテットのコアコンピューターを前に、ジャックとマルコムは爆弾を起動。テットもろとも宇宙ステーションの破壊に成功し、地球を救ったのだった。
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「オブリビオン」は2013年に公開された、アメリカのSF作品です。近未来を舞台に、しかしながら荒廃して人類が住みにくくなった世界を描いた、いわゆるポストアポカリプス作品でもあります。
この作品でシナリオライターとしてどこに注目すべきか、といえばポストアポカリプスものならではの「いかに作中で最大の秘密を解き明かしているか」という点です。
この記事では毎度冒頭に、結末までネタバレ前回であらすじを載せているので、それを読んでからこの映画を見ても、あっと驚くようなことはないと思いますが、普通に映画館でまったくの初見であれば、きっと驚くであろうポイントがいくつかあります。
1つ目は、主人公のジャックがクローンとして生み出された存在であり、まったく同じクローンが地球の各地にいるという秘密です。作中で主人公として活動するジャックには「Tech49」というコードネームがあり、物語中盤には「Tech52」のコードネームを持つジャックも出てきます。同じ画面内にふたりのトム・クルーズがいる様は、なかなかインパクトのある構図です。
2つ目は、人類を救うために動いていると思ったら、人類を滅ぼした元凶の手先として自分たちは動いていた、という秘密です。地球から移住するための資源回収が仕事といってもいい主人公は、冒頭からその任務のために危険に身をさらしていくわけですが、それも全ては人類が生き残るためだと思えば納得できるものの、実はその集められた資源は、すべて人類の敵に送られていた、と判明したときの衝撃は小さくないでしょう。
観客として見る分には、こういった秘密は、基本的に作品を見進めることでしか、明らかになっていきません。しかし、造り手側としては、当たり前ですが、作中にどんな秘密があって、それがいつ、どこで明らかになるのか、わかった上で作っています。
「シナリオライターを目指すなら」という趣旨で映画を観るということは、観客側の視点と、造り手側の視点の両方を理解した上で観る、ということです。
このブログの記事を読んだあとでは「わざわざ秘密の分かっている作品を見たくないなぁ」という気になるかもしれませんが、それはあくまで観客としての視点でしかありません。むしろ「秘密はわかっているのだから、客観的かつ冷静に、タイミングを分析できるぞ」と考えて観る、くらいの姿勢がシナリオライターを目指す人には求められます。
とはいえ、全ての秘密を伝えきってしまうのも寂しいので、この記事では取り上げていない秘密も残してあるので、是非「オブリビオン」を見て頂きたいと思います。

 

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