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2021年8月

社会メディアコースのソーシャル・デザイン科目群の説明 2)教育メディア論

2021年8月31日 (火) 投稿者: メディア社会コース

皆さん こんにちは!

 

社会メディアコースで用意されているソーシャル・デザイン科目群の中のいくつかの科目の、紹介をしたいと思います。

講義科目では、”教育メディア論” ”ソーシャル コンテンツ デザイン” ”グローバルメディア論” そして

3年次専門講義科目の”ソーシャル・デザイン論”が用意されています。

 

本日は”教育メディア論”に関して紹介したいと思います。教育メディア とは、学習内容を伝達するために使われるツール、更には

それらを利用する際に関係する環境や構成を指します。例えば、明治~大正時代でしたら、”石板”は 学習内容を生徒に伝えるための

”媒体=メディア”でした。石板を教室の前に設置するか後ろに設置するか、移動式にするか、など、”石板”に関係する

環境をどのように設置するかは教育方法や内容と同時に構成されていたのです。時代とともにICT(Information

Communication Technology)が発達し、現在はPCを使った教育が小学校でも行われるようになりましたが、教育者は、

この新しい”教育媒体”をどのように教育環境に設置し、教育方法や内容と共に学習効果を最大限に引き出すために必要か考慮します。

 

更に”教育メディア論”では、教育メディアが歴史的にどのような学習心理学の理論とともに、利用されてきたかについても

言及しています。この授業では、学習心理学の理論とそのメディアを使った応用の歴史を、じっくり学ぶことができます

学習とは、学校外の環境においても行われる人間の根本的な活動です。家庭教育が学校外で行われる学習の良い例ですが、その他にも

例えば、準教育的公共空間と呼ばれる美術館や博物館、動物園などでも学習は行われており、メディアは幅広く使われています。

そのような環境においてもVRや3DCGなどが積極的に使われるようになりました。これらの事例についても学ぶことができます。

 

ここ、数年にわたりCOVID-19の影響で、ますます、ICTを活用した教育の在り方が変わりました。しかし

オンライン授業や、遠隔協調学習などがさかんに行われるようになった現在、課題が浮き彫りになったのも事実です。

持続可能な開発目標SDGsでも言及されている、教育格差の問題がデジタルデバイドの課題とともに語られるようになりました。

 

世界各国でも推奨されるオンライン学習ですが、2020年は世界でも家庭のコンピュータ普及率が低い地域や経済的に

困窮している家庭に生まれた子供たちは、オンラインで授業を受けることができなかったことが、世界的に問題視されました。

まさに、教育メディア論で学ぶテーマや学習理論は未来の、教育現場の新しいあり方のヒントがたくさん詰まった授業です。

 

文責:飯沼瑞穂

 

 

 

 

メディア社会コース ソーシャル・デザイン科目群の紹介 1)

2021年8月30日 (月) 投稿者: メディア社会コース

皆さん、こんにちは!

本日はメディア社会コースで用意されているソーシャル・デザイン科目群の紹介をしたいと思います。

メディア社会コースでは、メディアで人と社会を結びながら情報を広めることを学びます。 これからの広告、教育、ソーシャルサービス、ビジネスなどを支える手法を考え、デジタルサイネージやインターネットマーケティングなど、社会とメディアの接点を見つめて革新的な提案を行える人材を育成します。ソーシャル・デザインとは社会をよりよくするためのアイデアや仕組み、プロセスや技術のデザインのことです。ソーシャル・デザインの紹介はまたゆっくりこのブログでも行おうと思います。

近年、重要視されている持続可能な開発目標(SDGs)に関連した課題やテーマを取り入れた、授業内容となっています。

以下が2021年度、開講中のソーシャル・デザイン科目群です。

 

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2年生の演習科目 基礎演習II 問題発見スキル から3年生後期の専門教育科目、ソーシャル・デザイン論まで幅広い科目が用意されています。次のブログでは科目の内容について紹介したいと思います。                  文責:飯沼 瑞穂

べき乗演算子「^」の謎

2021年8月29日 (日) 投稿者: メディア技術コース

渡辺です。みなさんこんにちは。今回は、冪乗(べきじょう)演算子についてお話ししたいと思います。

冪乗というのは「a の b 乗」という演算のことで、指数演算とか累乗(るいじょう)演算と呼ぶこともあります。(ちなみに、「累乗」は指数が整数の場合のみでしか使えない用語だそうです。) 私の授業では、CG やゲームの基礎理論についてプログラミングによる課題を出すことがあるのですが、その中で頻繁に出てくる処理の一つに「二点間の距離を求める」というものがあります。数学的には三平方の定理で求めることができますが、平方根(√)の計算が必要となります。これは授業資料で事前に提示しているのですが(C#なら「Math.Sqrt()」になります。)、中には「平方根は a の 1/2 乗のこと」という事実を利用し、冪乗演算で求めようとする学生もいます。

これ自体は別に問題ないのですが、そういった学生が書くコードでよくあるのが

a^(1/2)

というものです。つまり、「a^b」で「a の b 乗」を意味すると解釈してのコードです。残念なことに、このコードはうまく動作しません。私が授業で用いているプログラミング言語は C# と呼ばれる言語なのですが、C# での「^」は「論理排他的ORビット演算子」というもので、ここでは本題と外れるので解説はしませんが冪乗とはまったく異なる演算です。しかし、数値同士の演算としては文法的には間違ってないので、普通にビルドはできてしまいます。算出する数値は当然おかしなものになりますので、実行結果はおかしくなるわけです。C# で冪乗演算をするには「Math.Pow(a, b)」を用います。

ちなみに、実は「a^(1/2)」は (1/2) の部分も問題で、両方とも整数として記述しているので 1/2 の演算も整数として処理がなされてしまいます。整数演算での割り算では余りは切り捨てられるので、結果的に「0」になってしまいます。実数演算を行いたい場合は「(1.0/2.0)」と記述すべきところです。

さて、毎年数人の学生が「^」を冪乗演算子として使用してくる(そして間違える)のですが、私は「何故学生は『^』を冪乗演算子と認識しているのか」ということを不思議に思いました。見た目には冪乗を連想するようなものではありませんし、「^」を冪乗演算子として採用しているプログラミング言語はそれほど多くないのです。有名どころな言語の中では Visual Basic, R, Haskell くらいで、今時の一般的な大学1,2年が事前に習得している言語としてはちょっと考えづらいものばかりです。もしこれらの言語を習得しているようなプログラミングマニアな学生であったとしても、そもそも C# で ^ を冪乗と勘違いするようなことはしないと思われます。

という疑問を SNS で呟いてみたところ、数人から意見が寄せられました。まず「LaTeX では?」という人がいました。LaTeX は理系にはお馴染みの文書整形システムで、私の研究室の卒論では Word のかわりに LaTeX を利用するように指導しています。理系分野ではプレーンテキストで冪乗を表すのに「^」を用いることが通例ですが、これも LaTeX が発祥です。ただ、学部1,2年が既に利用していると考えるのはちょっと無理があります。

他に「Excel でも冪乗は ^ でできる」という意見もありました。Excel はちょっと盲点でしたが、確かに上記の各言語に比べれば学生が触れている可能性が高そうです。ただ、学部1,2年の段階で Excel 内で冪乗を扱う場面ってちょっと想像しづらいんですね。

候補は色々とあったものの、どうも納得できずにモヤモヤしているところに、「数学の先生達がプレーンテキスト内で冪乗に ^ を使ってて、それを見たのでは?」という意見がありました。おそらくこれが私の求めていた答えなのだろうと考えています。この発想は自分だけでは絶対に出てこないものだったので、何気なく呟いてみて幸いでした。まあここ数年は SNS を自分から書くことはあまりなくなってしまいましたが...

(メディア学部教授 渡辺大地)

9月に実施される東京都の創業セミナーのオンラインイベントのポスターをプロ演「企業・団体のプロモーション技法」で制作しました。

2021年8月28日 (土) 投稿者: メディア技術コース

「健康メディアデザイン」という新しいメディア学の研究テーマに取り組んでいる健康メディアデザイン研究室の千種(ちぐさ)です。人体を健康メディアとしてとらえメディアを活用して自らの健康をデザインするための研究を行っている研究室です。

以前にプロボノによる実学主義の実践についての千種の取り組みについて事例紹介しています。

http://blog.media.teu.ac.jp/2021/06/post-b42893.html

今回はその実践例の PART2 を紹介させていただきます。以下のプロボノ的な演習を通じてメディア学部生のメディアデザインという専門性からの貢献を実践しています。

1.地域創生アプリデザイン
2.企業・団体のプロモーション技法
3.スマホ動画制作による地域メディアデザイン
4.地方創生におけるSDGsとデータサイエンス
5.健康メディアと地域メディアの企画デザイン

上記の「2.企業・団体のプロモーション技法」の実践例のもうひとつの事例として、来月9月に実施される東京都女性若者シニア創業サポート事業( https://cb-s.net/tokyosupport/ ) の創業セミナー2件の事例を紹介いたします。この創業セミナーはNPO法人八王子市民活動協議会が東京都の創業サポート事業として実施するイベントです。コロナ禍であるため去年からオンラインで実施しています。

この演習ではオンラインアプリcanva( https://www.canva.com/ )を使用して、①課題および素材の提示、②アイデアの具体化、③ポスター制作、④専門家レビュー、を授業の1コマである100分間内で完結します。学生ひとり一人が1作品を約80分間で仕上げるという超高速なポスターデザインの演習です。履修者13人の学生の作品から選出されたのが今回の2作品になります。

9月12日のオンライン創業セミナー用に選出されたポスターの制作(左図)は川上晴香さんによるものです。必要な文字情報が多く学生は苦労していましたが、川上さんのポスターは女性らしい柔らかいイメージでメリハリのあるデザインとして仕上げてあります。9月19日の創業セミナー用に選出されたポスター制作(右図)は石井諒さんによるものです。この回は講師写真がなく、学生は全体のイメージを決めるのに悩んでいましたが、事前に作成したポスターにおけるセミナーの内容を如実に表現するカフェをイメージしたデザインに仕上げてあり、インパクトのあるポスターになっています。

この演習では全14回の名刺デザイン~ポスターデザインを実施してきました。こういった多種多様な異なるタイプのポスター制作を通じて、学生は14回x100分で、提示された情報をイメージする想像力・創造力、ポスターデザインに仕上げる表現力、が大いに高まり、地域貢献に直接使用される喜びも感じる演習になりました。

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研究室ってどんなところ?

2021年8月27日 (金) 投稿者: メディア技術コース

メディア学部の大淵です。

この記事この記事でも紹介されているように、8月のオープンキャンパスは2回ともオンライン開催となりました。いろいろと工夫して、メディア学部の様子を伝えることができたのではないかと思いますが、それでも高校生の皆さんに実際にキャンパスを見てもらえなかったことは、ちょっと残念でした。授業や演習のことはずいぶん説明しましたが、それ以外にもわからないことはいろいろありますよね。中でも、実物を見ないとなかなか想像しにくい「研究室」について、今日は少しお話ししようと思います。

メディア学部の4年生は、必ず「卒業研究」を履修します。そのため、全員がどこかの研究室に所属することになります。各研究室は、高校の教室ぐらいの広さの部屋に、様々な研究機材やテーブルなどが並んでいます。研究室によっては、各学生に個人用の机が割り当てられるところもありますが、そうではなくて共用スペースの充実を優先させているところもあります。研究室は基本的には実験をしたり論文を書いたりするところですが、なにしろ滞在時間が長いので、リラックスできる環境になっていることが多いです。今は新型コロナで自粛中ですが、その前は、ひと休みしてコーヒーを飲んだり、カップラーメンを作って食べたりといった光景を見ることも珍しくありませんでした(一般的に、大学院生がいる研究室の方が、生活感が強い気がします)。研究室にしか無い機材を使うときや、ミーティングのときに来るのはもちろんですが、「みんなと一緒の方が勉強しやすいから来る」とか「エアコンの電気代が節約できるから来る」なんて理由で来て、机に向かって勉強している人もいます。ちなみに、メディア学部の多くの研究室では教員の部屋がちょっと離れたところにあるので、教員が来ていないときは、学生は結構羽を伸ばしているのではないかと思います。

今はコロナ禍で学生の登校頻度も減り、私の研究室でも、机の上にお菓子が並んでいるのを見ることが減りました。旅行や出張にも出かけられないので、おみやげを買ってきて置いておくこともありません。そういうことができる日が、少しでも早く戻ってくるといいですね。

8月のオープンキャンパスで使用したポスターをプロ演「企業・団体のプロモーション技法」で制作しました。

2021年8月26日 (木) 投稿者: メディア技術コース

「健康メディアデザイン」という新しいメディア学の研究テーマに取り組んでいる健康メディアデザイン研究室の千種(ちぐさ)です。人体を健康メディアとしてとらえメディアを活用して自らの健康をデザインするための研究を行っている研究室です。

以前にプロボノによる実学主義の実践についての千種の取り組みについて事例紹介しています。今回はその実践例を紹介させていただきます。

http://blog.media.teu.ac.jp/2021/06/post-b42893.html

以下のプロボノ的な演習を通じてメディア学部生のメディアデザインという専門性からの貢献を実践しています。

1.地域創生アプリデザイン
2.企業・団体のプロモーション技法
3.スマホ動画制作による地域メディアデザイン
4.地方創生におけるSDGsとデータサイエンス
5.健康メディアと地域メディアの企画デザイン

今回は上記の「2.企業・団体のプロモーション技法」の実践例のひとつとして、この8月8日と8月22日に実施されたオープンキャンパスのイベントポスター2件を紹介します。この演習ではオンラインアプリcanva( https://www.canva.com/ )を使用して、①課題および素材の提示、②アイデアの具体化、③ポスター制作、④専門家レビュー、を100分間で実施します。学生ひとり一人が1作品を100分間で仕上げるという超高速なポスターデザインの演習です。13人の学生の作品から選出されたのが今回の2作品になります。

1件目は片柳研究所棟の広いロビーに掲示されたのは石井諒さん作のポスターです。全体のカラー、QRコードともメディア学部の学部カラーをベースに仕上げています。

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そして2件目はメディア学部の本拠である研究棟Cの1階エレベータ前に掲示された川上晴香さんのポスターです。メディア学部らしい写真コンテンツとアクセントカラーとしてメディア学部の学部カラーとQRコードを使用したデザインになっています。

どちらのポスターも東京工科大学メディア学部のオープンキャンパスらしいポスターになっています。さらに優秀な作品が多くありましたので、授業の成果物として4点のポスターデザインも研究室前に掲示しました。左上:阿部力也さん、右上:榎和歩さん、左下:柳井崇之さん、右下:小泉奈海稀さん達の制作したポスターです。メディア学部の皆さんは今後、様々なシーンでメディアコンテンツ活用力やメディアコンテンツ創出力を活かしていってもらいたいですね。

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ネットワークメディア研究室 卒業研究中間発表会

2021年8月25日 (水) 投稿者: メディア技術コース

皆さん、こんにちは。

メディア学部の寺澤です。4年生の卒業研究は前期の卒業研究Iと後期の卒業研究IIという科目に分かれています。卒業研究Iでは中間報告書を作成・提出し、また、中間発表会で発表することが必須です。先日8月5日に私の「ネットワークメディア」研究室の卒研中間発表会をオンラインで実施しました。来年度に私の研究室に配属になった3年生のほか、数名の下級生が参加してくれました。

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今年は8名の4年生が卒研に取り組んでいます。テーマは、YouTuberやオンラインゲームなど、最近注目を集めている分野での問題解決を目指すものや、障がいを持つ方向けのサービスを志向するテーマ、ペット向けサービス、IoTによるサービスなど、多岐にわたっています。

卒研の成果をあげるためには夏休みの時間の活用が重要です。前期の間に苦労して勉強し、アイデアを組み立ててきたものを実現するための大事な時間です。後期が始まると、あっという間に冬になってしまい、年明けには卒業論文を提出しなければなりません。論文を書くためには、自分の研究の目的が達成できたかを検証する評価作業が必要です。これを後期早々に始めなければ間に合いません。

卒研は同じことをやっている人はいません。唯一の正解というのもありません。多くの学生にとって長期にわたってこのような経験をするのは初めてのはずです。しかし、そこから得るものはとても大きいのです。彼らの成長が楽しみです。

メディア学部 寺澤卓也

サウンド×ヒューマン研究室・卒業研究中間発表会

2021年8月24日 (火) 投稿者: メディア技術コース

メディア学部の大淵です。

8月5日(木)に、当研究室の卒業研究中間発表会を行いました。昨年に続き、Zoomを使ったオンライン発表会です。

今年の卒研生は、4月の時点では対面授業が行われており、いろいろ注意をしながらではありますが、研究室に来て研究をしていました。しかしゴールデンウィーク直前から緊急事態宣言となり、6月までは完全オンラインでの活動、その後7月には少し登校もするようになったものの、最後は結局オンラインということで、かなり振り回された4か月間でした。それでも、自宅でじっくり文献を読み、プログラムを作り、そして数少ない登校のチャンスを活かして実験を行い、それぞれなかなかの成果を挙げてくれました。音声・音楽・音響・映像など、テーマも多種多様です。

とはいえ中間発表ですから、研究の完成度という面ではまだまだです。それでも、発表としてまとめることで、このあとやるべきことがクリアになったのではないかと思います。来年2月の最終発表が今から楽しみです。

パソコンのキーボード並びの謎

2021年8月23日 (月) 投稿者: メディア技術コース

ちょっとB級な感じの映画「ガンズ・アキンボ(2019)」で主人公がパソコンに向かってネットの書き込みをする場面があります。この主人公、プログラマーという設定なのに、やたらにキーボードのタイピングの手つきがぎこちないので気になってしまいました。もう21世紀でいろいろな機器が発達していく中、まだこの“キーボードをタイピングする”という技術がすたれずに現役だというのも不思議な気がします。

スマホ慣れしている皆さんだと、文字を打つとき指をずらして文字を選択するフリック入力の方がなじみが深いでしょうか。フリックでも結構な速度で文字を入力することができますが、キーボード入力の利便性はまだまだ勝っています。

本学では1年生の前期の「情報リテラシー演習」の最後にタイピングのテストを行います。タイピングはきちんと練習すると(そして位置を覚えると)、両手の各指の打鍵の範囲がムリなく決まるため、結構早く文字を入力することができるようになります。

 

さて、タイピングを練習する上で、ちょっと嫌なのが、このキーボードの“キーの並び”でしょうか。キーのアルファベットの配置の仕方は、よく見ると謎が多く、覚えるまで苦労します。この一見ランダムな配置、実は最初はある規則に則った並び方だったモノが、その後に利便性を求めて変更を重ねることで、今の”よくわからない”配置になった経緯があります。

 

そもそもタイプライターが発明されたのは19世紀中ごろ(1800年代)ですが、商業的に量産され始めるのは、20世紀初めくらいで、タイピングの効率化(要は当時使いやすいように)を図るうちに、最終的に1882年に作られたQWERTY配列が採用されたようです。現在のパソコンのキーボードもこれに準じた配列になっています(なので、機械的なタイプライターの制約から生まれた並びが残っている所もあります)。1_20210806105101

このキー配列の基本は上段にAEIUOの母音を配置して、残りをアルファベット順に中段は左から右に、下段は右から左に並べた形になっています。ただし、この基本形から、当時の年号である、19XXや18XXが打ちやすいように数字の8,9の近くにI(数字の1と兼用)を配置したり、モールス信号の解読結果を打鍵しやすいように、Z,S,Eを並べたり、さらに下段からTQPRYが上段にうつったり、英語だと“RE”という並びが単語によく出てくるので、並べて配置したり…、といろいろな経緯で変更が行われ、現在の並びになっています。

なので、現代のキーボードを眺めて見ると、一見ランダムな配置に見えますが、中段は左から右、下段は右から左にアルファベット順に並んでいるのが(おぼろげながら)観察できると思います。

その昔の映画「スタートレックIV 故郷への長い道(1986)」では未来から1980年代にタイムスリップしたクルーが、音声入力ではないコンピュータ(当時最新のMacintosh Plus!)のキーボードを見て「キーボードとは面白い(”Keyboard, how great””)」と意気込むような場面がありましたが、21世紀でもこの形のキーボードは長く活躍していきそうです。


参考:
https://kotobaken.jp/qa/yokuaru/qa-35/
https://www.typewriter.be/timeline.htm


(以上文責 メディア学部「情報リテラシー演習」担当 永田)

シナリオアナリシスでよくある質問(おすすめの映画)その27前編

2021年8月22日 (日) 投稿者: メディアコンテンツコース

みなさん,こんにちは。メディア学部実験助手の菅野です。
今回も「プロのシナリオライターを目指すなら見ておいたほうが良い作品」を紹介します。
前編とのなるこの記事は、あらすじのまとめが中心となります。後編ではその内容をもとに注目すべきポイントを述べますので、そちらも読んでいただけると嬉しいです。
取り上げる映画は次のタイトルです。
--
『美女と野獣(2017)』
【監督】
ビル・コンドン
【脚本】
スティーヴン・チョボスキー
エヴァン・スピリオトポウロス
【参考URL】
https://movies.yahoo.co.jp/movie/358506/
【あらすじ】
フランスのとある地方に、見目麗しい王子がいた。彼は夜な夜な豪華なパーティを開いていたが、ある晩のこと、嵐に見舞われた一人の老婆が王子の城に助けを求めてやってきた。これに対し、王子は助けの手を差し伸べるどころか、その姿をパーティの笑いものにした。
すると老婆は正体である魔女に変貌し、魔法で王子を醜い野獣の姿へ変えると、バラの花を手渡して言った。
「このバラが散るまでに『真実の愛』を知らねば、その呪いは永遠に解けないだろう」
そんな事件があった城から少し離れた田舎の村に、ベルという若い娘が住んでいた。彼女は、文字を読むことが出来ない村人も多いなか読書が大好きで、変わり者扱いされていたが、そんなベルだからこそ自分のものにしたいと思ったのか、ベルは村一番のモテ男であるガストンに、隙をみては身勝手なアプローチをされて辟易していた。
ある日のこと、行商人と村を出たベルの父モーリスが翌日になっても帰宅せず、愛馬フィリップだけが戻ってくる事件が起きる。モーリスは不用意にも野獣のいる城に足を踏み入れてしまい、囚われてしまったのである。
ベルはフィリップと共に父モーリスの捜索に向かい、野獣と出会う。そして、モーリスがベルへの土産として野獣の持つ「バラの花」を持ち帰ろうとしていたことを知り、父の開放と引き換えに我が身を差し出した。
早々に村へと逃げていくモーリスに呆れる野獣だったが、ベルの扱いは丁重だった。野獣と同様に姿を変えられ、食器や家具となっていた召使いたちによって、ベルは何不自由の無い生活をおくることができた。
ところが、ベルは気の緩みと未知への探究心から、唯一立ち入りを禁じられていた建物へ立ち入ろうとしてしまう。そこは、魔女から渡され、モーリスが持ち去ろうとした、「バラの花」が保管されている塔だった。これに気づいた野獣は、すぐさま駆けつけると、ベルを厳しく叱りつけた。口論によって感情的になったベルは、城からの脱出を決意、愛馬フィリップに乗って城を出た。
しかし、真夜中の城外は場内の者ですら警戒する危険な領域。あっという間にベルは狼たちに追い詰められ、危機的状況に陥ってしまった。すると、もはやこれまでかと思ったベルを、野獣が助けに来てくれた。野獣は、自身が傷つくことも顧みずに狼たちをちぎっては投げ、敗走させると、ベルを抱えて城へ帰還した。
野獣はその後、無茶が祟り、寝込んでしまう。責任を感じたベルは、つきっきりで看護をすることにした。そして、その過程で召使いたちから、野獣の生い立ちを聞かされることになった。野獣とベルには「幼い頃に母親を亡くしている」という共通点があった。しかし、野獣の父はベルの父とは違い、残された子供である野獣のことを大切せず、その結果、野獣は傲慢な態度をとるようになってしまったという。
その後もベルが看護を続ける中で、ふたりは他愛のない会話も交わすようになっていった。そして、野獣には読書の趣味があり、ベルは場内には図書室があることを知らされると同時に、自身が読書好きであることを理解されたことを、とても喜んだ。ベルと野獣は互いに心惹かれ合うようになっていったが、ベルはやはり父がその後どうしているのか、どうしても気がかりだった。
野獣はそんなベルのために、魔法の鏡を取り出し、よかれと思ってベルの父モーリスの姿を見せることにした。
すると、モーリスはなんとかベルを野獣の城から救い出したいと、村人たちに救いを求めていた。ところが、ガストンはこの訴えを体よく利用し、自身が野獣を討伐のリーダーとなり、ベルを救い出して我が物にしようとしていた。
ガストンに扇動された村人たちの誤解を解くため、ベルは村に戻ることを野獣に申し出て、承諾されたものの、もはや野獣を討伐しようという人々の勢いを収めることはできなかった。
野獣は、召使いたちと共に必死に抵抗し、勢いづいたガストンを返り討ちにしたが、なんとか野獣の元へ戻ってきたベルの姿をみて油断し、ガストンから致命的な銃撃を受けてしまう。
最後の力を振りしぼり、ガストンを道連れにした野獣だったが、もはや力は残っておらず、見守るベルへ愛の言葉を伝えると息を引き取る。
すると次の瞬間、不思議な力が起き、野獣の身体が光に包まれ宙に浮いたかと思うと、その姿はかつての見目麗しい王子のものとなって生き返り、家具や食器と化していた召使いも人間の姿を取り戻した。
その後、全てが元通りになり、平和となった城で、召使いと村人たちに祝福されながら、野獣だった王子とベルは優雅にダンスを踊るのだった。
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次回は、この作品でシナリオライターとしてどこに注目すべきか、について述べていきます。
どうぞお楽しみに。

シナリオアナリシスでよくある質問(おすすめの映画)その26後編

2021年8月21日 (土) 投稿者: メディアコンテンツコース

みなさん,こんにちは。メディア学部実験助手の菅野です。

プロのシナリオライターを目指すなら見ておいたほうが良い作品の26本目「ビッグ」について、どこに注目すべきか述べていきます。

「ビッグ」は1998年にアメリカで公開された映画で、12歳の子供が一夜にして大人になったことで起きる騒動を描いたコメディ作品です。「身体は大人になったが中身は無邪気な子供のままの主人公ジョッシュ」を、主演のトム・ハンクスが好演しており、ゴールデングローブ賞・主演男優賞を受賞して出世作の一つに数えられています。

この作品のシナリオが優れている点は「かつて子供だった大人を共感させて楽しませる着眼点」です。

人間は、生まれた環境の違いや、送ってきた生活に違いこそありますが、最初から知恵や経験を積んだ大人として生まれてくることはありません。「かつては自分も子供だった」という、当たり前の事実は、ほぼ全ての大人がもっている共通認識であり、それを活かして共感を得ていることが、本作「ビッグ」の何より優れたポイントです。

入場料と一定の拘束時間を支払って劇場に足を運ぶ観客は、映画に対して少なからず、コスト相応の新規性や独自性を期待します。

最近はインターネットの浸透やSNSの広がりの影響もあって「ネタバレ」に対して厳しい見解が多く、公式の広報が「ネタバレ厳禁」を訴えることがあるくらいですが、そういった扱いをされるくらいには、作品の新規性や独自性に「あっと驚かされる」という体験や経験は、観客が大事にする要素の一つです。

では、シナリオライターは新規性や独自性のある内容をシナリオに組み込みさえすればいいか、というと、そうではありません。観客が驚くような出来事やシーンをシナリオに組みこむことは大事ですが、観客が共感できない、あるいは観客が理解できない出来事やシーンをシナリオに記述しても、それは意味がありません。なぜなら観客は新規性や独自性を期待はしますが、共感できない情報や理解できない情報を「期待に応えてくれた」とは感じないからです。

そこで、どうすれば「共感」と「理解」を得られるかというと、重要なことのひとつが、前述した「観客の共通認識」です。幅広く知られている題材やテーマであれば、観客の共通認識として伝わりやすく、逆に狭く一般的ではない題材やテーマであれば、一部の観客にしか伝わらない共通認識となります。

例えば「剣と魔法が大活躍し、現実には存在しないドラゴンや魔王が暴れまわる、超大作ファンタジー作品」があったとします。そして、その内容を理解し、登場人物に共感して楽しめる人がどれだけいるか、を考えてみてください。

最近でこそ、現実には存在しない「ドラゴンや魔王」も、漫画やアニメによって知られるようになってはいますが、漫画やアニメで目にする機会があった若い世代ならまだしも、漫画やアニメにまったく触れてきたことのない世代の人たちには、まったく理解の出来ない存在です。そういう意味ではドラゴンも魔王も、あまり幅広い共通認識とはいえません。

ここで話を「ビッグ」の内容に戻しますが「謎の機械人形の力によって、12歳の男の子が一晩で成人男性に早変わりする」という事象は、現実にはあり得ない出来事であり、ドラゴンや魔王の存在と大差ないフィクション要素です。

しかし、大人の観客であれば「子供時代の経験」と「現行の大人としての経験」を共通認識としてもっているため、主人公ジョッシュの置かれた状況を理解し、共感することができます。子供時代に少しでも「早く大人になりたいな」と思ったことがある観客であれば、さらにその共感は強くなることでしょう。

作中において「機械人形に、どうしてジョッシュを一晩で大人にする力があるのか」は説明されませんが、その力は観客を驚かせるために十分機能し、しかも共感と理解を得られる状況を作り出し、観客の期待に応えています。

なお、突然大人の身体を手に入れた子供が、何の知識も経験もないまま入社した勤め先で、あっという間に大出世する、という展開もまた非現実的な話であり、「こんな簡単に成功できるわけないだろ!」とツッコミを入れたくなる点では共感できない、ともいえるのですが、そこはコメディとしての笑いどころなので、あまりとやかくいうつもりはないです。

今や個人でも気軽に映画が作れる時代となり、世に映像作品は溢れているため、新規性と独自性を出すだけでも苦労しますが、だからこそ観客の理解と共感をいかに得ていくかは、特に重要になってきていると思います。

シナリオライターを目指すなら、是非「ビッグ」を観て、巧みな「理解と共感」の得ているシナリオの上手さを読み取って欲しいです。

8月22日(日)「オンライン型オープンキャンパス」のご案内

2021年8月20日 (金) 投稿者: メディアコンテンツコース

大学HPでご案内していますとおり、8月22日(日)に「オンライン型オープンキャンパス」(高3生・既卒生限定/定員制)を実施します。

当初は来場型での実施を目指していましたが、新型コロナウイルスの感染が広がりを見せている状況では困難と判断し、オンラインで行うこととなりました。キャンパスに足を運ぶことを楽しみにされていた方々のご期待に沿えず大変残念ではありますが、何卒ご理解ください。

当日は下記の時間に「学部説明+コース紹介」「オンライン見学」「オンラインLIVEイベント」をリアルタイムで配信します。


 ◎「メディア学部説明+コース紹介」(※視聴定員:300名)
   9:30〜10:00【片柳研究所棟 大ホール】

 ◎「オンライン見学」
   10:30〜11:30【片柳研究所棟・研究棟C】

 ◎「オンラインLIVEイベント」<TGS出展予定ゲームのバーチャル発表>
   15:00〜16:00

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「オンライン見学」はどなたも自由にご覧いただけますが、「学部説明+コース紹介」は視聴定員が300名となっており、事前の申込みが必要です。視聴を希望の方は、大学HPのオープンキャンパス特設ページから早目にお申込みください。

「メディア学部説明+コース紹介」「オンライン見学」の配信の様子は、当ブログの「8月8日(日)「オンライン型オープンキャンパス」開催報告」【その1】 【その2】でご紹介しています。

午後には「TGS出展予定ゲームのバーチャル発表」と題して、三上教授と学生たちによる「オンラインLIVEイベント」を実施します。9月30日(木)〜10月1日(日)に開催される『東京ゲームショウ2021 オンライン』での出展に向けて、学生たちが鋭意制作中のさまざまなゲームを披露します。ゲーム制作に興味がある方は必見ですよ!

また、メディア学部設立からこれまでの歴史をまとめたデジタルパンフレットが先日公開され、こちらも当ブログで「20周年記念誌デジタルパンフレット公開」と題してお知らせしています。22日のオンライン型オープンキャンパスに参加される前に目を通しておくと、メディア学部の特長や学びの魅力がより深くご理解いただけると思います。ぜひご覧ください。

皆様のご参加をお待ちしています!

(メディア学部 伊藤謙一郎)

8月8日(日)「オンライン型オープンキャンパス」開催報告【その2】

2021年8月19日 (木) 投稿者: メディアコンテンツコース

【その1】に引き続き、【その2】では研究棟Cの内部をご覧いただきましょう。

この建物はメディア学部と工学部が共用しており、メディア学部は向かって右側の4階と5階が教員の居室、左側(体育館側)の2階の一部から5階までが学部生・大学院生の研究室になっています。研究室では1年生の「フレッシャーズゼミ」や3年生の「創成課題」(卒業研究の準備段階のゼミ)も行われます。

当日は、31 の研究室すべてに置かれた研究紹介ポスターを一つ一つ見ていく形で、5階から順に2階まで見学を行いました(所要時間は35分)。そのうち「学部説明」と「コース紹介」を担当された4名の先生には、ご自身の研究室でインタビューもさせていただきました。視聴した方は各研究室の雰囲気の違いも感じられたことと思います。

では、研究棟Cの見学を始めましょう!


◎「オンライン見学」【研究棟C5階】

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 エレベーターを降りて体育館側の廊下を進みます        各研究室の前に展示のポスターを取材中

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  最初に訪問したのは太田先生[技術]の研究室です      映像を流しながら丁寧に説明してくださいました

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    QRコードから研究室の紹介動画を視聴できます     次に竹島先生[コンテンツ]の研究室を訪問しました

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 学生が制作した研究発表のポスターを説明中です          PCでのデモをカメラで撮影しています


◎「オンライン見学」【研究棟C4階】

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  4階に下りて研究室のポスターを順に見ていきます    廊下で待機してくださった進藤先生[社会]に早速インタビュー

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    映像を映しながら説明してくださいました        進藤先生が右手に持っているのが取材用のマイクです

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  3階に向かう間も視聴者に向けて説明は続きます


◎「オンライン見学」【研究棟C3階】

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   3階にもたくさんのポスターが並んでいます    学部長の大淵先生の研究室に「おじゃましまーす」

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 研究室の概要を説明してくださっているところです       実験で使う防音室を開けて見せてくださいました

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       体育館側に向かって進んでいきます     遠くに見える高層の建物付近に八王子駅があります


◎「オンライン見学」【研究棟C2階】

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     3つの研究室の先は工学部の研究室です     すべての研究室を巡って見学が終了しました



8月8日(日)の配信の様子がお分かりいただけたでしょうか? 8月22日(日)の「オンライン型オープンキャンパス」も「メディア学部説明+コース紹介」と「オンライン見学」を実施しますので、ぜひご視聴ください!

(メディア学部 伊藤謙一郎)

8月8日(日)「オンライン型オープンキャンパス」開催報告【その1】

2021年8月18日 (水) 投稿者: メディアコンテンツコース

皆さん、こんにちは!

8月8日(日)に、八王子キャンパスの「オンライン型オープンキャンパス」が開催されました。

メディア学部は「学部説明」「コース紹介」のほか「オンライン見学」を実施し、メディア学部の学生の研究・制作拠点である、CTC(コンテンツテクノロジーセンター)や研究棟Cを皆さんにご覧いただきました。特に「オンライン見学」は、職員が実際に施設内やキャンパスを歩いて説明しながらのリアルタイム配信でしたので、参加された方は大学内に足を踏み入れたような臨場感を感じていただけたのではないでしょうか。

当日のイベントは、以下のスケジュールで行われました。

◎「メディア学部説明+コース紹介」:14:00〜14:30【片柳研究所棟 大ホール】
◎「オンライン見学」:15:00〜16:00【片柳研究所棟・研究棟C】

今回のブログでは、上記のイベントを【その1】と【その2】に分けてご紹介します。当日参加できなかった方も大学の雰囲気をつかんでいただけることでしょう。

【その1】は、片柳研究所棟の地下にある大ホールから配信された「学部説明」と「コース紹介」、そして「オンライン見学」のうち、片柳研究所棟4階のCTCの見学と研究棟Cに向かうまで(所要時間は35分)です。参考までに、キャンパスマップもご覧ください。

では、早速出発しましょう!


◎「メディア学部説明+コース紹介」【片柳研究所棟 大ホール】

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          はじめに大淵学部長による学部説明です                       続いて竹島教授がコンテンツコースを紹介しました

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               技術コースの紹介は太田教授です                                    進藤教授による社会コースの紹介です


◎「オンライン見学」【片柳研究所棟1階ロビー ➡︎ 4階 CTC】

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 スタート地点で職員3名が配信の最終チェック中    中央のポスターはメディア学部の学生がデザインしたものです

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4階に上がると兼松先生がCTC前にすでにスタンバイ       CTC前で施設の概要の説明を受けてから中へ

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   学生たちが制作したゲームについて説明中         それぞれのPCでゲーム開発や映像制作を行っています

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   視聴している高校生に向けてメッセージを       これから建物を出て左側のFOODS FUUに向かいます


◎「オンライン見学」【片柳研究所棟 ➡︎ 研究棟C】

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移動中もこのようにトークと映像を配信していました         FOODS FUUの建物が見えてきました

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   FOODS FUUから見た片柳研究所棟です        建物内には飲食店やコンビニ、書店などがあります

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  FOODS FUUを出て研究棟A・B前に来ました        研究棟Cの前にあるマクドナルドを紹介中です

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     研究棟Cの入口前に到着しました             これからエレベーターで5階に上がります

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 このポスターのデザインも学生が手がけたものです



以上、メディア学部のオープンキャンパス開催報告【その1】でした。続く【その2】では、研究棟Cの見学の様子をご覧いただきましょう。

(メディア学部 伊藤謙一郎)

20周年記念誌デジタルパンフレット公開

2021年8月17日 (火) 投稿者: メディア技術コース

メディア学部は2019年に設立20周年を迎え、それを記念した冊子を作成いたしました。その経緯についてはメディア学部20周年記念誌の紹介と制作録(2020年8月11日)の記事で紹介いたしました。また一部を学部ホームページにてPDFで公開しておりましたが、この度、関係者のご協力を得て、これをデジタルパンフレット化し公開いたしました。

新型コロナウィルスの感染拡大により、8月8日と22日のオープンキャンパスは、当初予定していた来場型を断念せざるを得なくなりました。このような状況にあって、メディア学部のことを少しでも多くの受験生の皆さん、保護者の方、ご指導されている先生方にご紹介したいと考え、記念誌のデジタル公開に踏み切りました。デジタルパンフレットはスマートフォンやタブレットからでも見ることができます。これまで公開していなかった部分にも盛りだくさんの内容があります。メディア学部をご堪能ください。

デジタルパンフレットは、PDFとともに、従来のメディア学部20周年記念誌サイトを更新して公開しております。こちらからご覧ください。

(メディア学部 寺澤卓也)

シナリオアナリシスでよくある質問(おすすめの映画)その26前編

2021年8月16日 (月) 投稿者: メディアコンテンツコース

みなさん,こんにちは。メディア学部実験助手の菅野です。
今回も「プロのシナリオライターを目指すなら見ておいたほうが良い作品」を紹介します。
これまでは作品の紹介と注目するポイントを、ひとつの記事にまとめていたのですが、回を追うごとに文章量が増えており、一度に読むには苦労する記事になってきました。
そこで今回からは「作品の紹介」と「注目するポイント」を、前編後編に分けて記事にしてみます。もちろん両方読んで頂きたいですが、私としてはとりあえず作品の内容をもらうことが大事で、「記事が長すぎて読むのをやめよう」とならないことが重要だ、と思った次第です。
さて、それでは今回紹介するのは、この映画です。
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『ビッグ(1998)』
【監督】
ペニー・マーシャル
【脚本】
ゲイリー・ロス
アン・スピルバーグ
【参考URL】
https://movies.yahoo.co.jp/movie/19132/
【あらすじ】
主人公のジョッシュは、野球やゲームが好きで、ちょっと気になる女の子もいる、ごく普通の12歳の少年だった。彼は年に一度、興行にやってくる移動遊園地が楽しみで、今年もお小遣いを握りしめて遊びに行った。
遊園地で意中の女子シンシアの姿を見かけ近づこうとしたジョッシュだが、既に彼女は背の高い大人びたボーイフレンドと一緒で、とても一緒にまわれそうにない。やむを得ずジェットコースターを楽しもうとしたが、今度は身長制限に引っかかり、乗せてもらえず散々な有様だった。
ジョッシュが遊園地の外れで落ち込んでいると、古びたコイン稼働の機械人形が目に止まった。引き寄せられるようにジョッシュがコインを投入すると、人形の目が光り“願い事を言え”というメッセージ表示。そこでジョッシュが「大人(ビッグ)にしてほしい」と頼んだところ、「叶えよう」というカードが出てきた。するとその翌朝、ジョッシュが目を覚ますと、なんとその身体はガタイの良い成人男性のものになっていた。
ジョッシュは慌てふためき再度遊園地へ向かうも、既に一座は移動を終えた後で、当然あの機械人形も見当たらない。仕方なく帰宅するが、母親はジョッシュが突然大人になったことなど、信じられるわけもなく、一方で子供のジョッシュは姿を消していたことから、誘拐されたと勘違いして騒ぎ出した。ジョッシュはその場を逃げ出すことしか出来ず、困り果てた末、親友ビリーの元へ向かった。
ビリーはジョッシュが大人の身体になっても、中身はいつものジョッシュであると気づいてくれた。しかし、あっという間に誘拐事件は街中で騒ぎとなっていたため、ジョッシュはビリーのアイディアで一旦街を離れ、ニューヨークの安ホテルに泊まりつつ、移動遊園地と機械人形の行き先を調べることにした。
生活費を稼がねばならなくなったジョッシュは、子供の思いつきでおもちゃメーカーの求人に応募したところ、かなり経験者と思われて即採用された。さらに、最初の給料を安易におもちゃへ使おうとして、自社の社長に出くわし、子供目線でおもちゃへの見解を述べ、これをいたく気に入られたジョッシュは、一気に商品開発部の副部長へと昇進が決まった。
突然同じ部署の同僚となったスーザンは、当初ジョッシュをかなり敵視していた。しかし、おもちゃ開発において、ジョッシュに才能がある、と理解していくうちに、いつしか彼女はジョッシュに惹かれるようになっていく。やがてジョッシュもスーザンの好意を受け入れ、ふたりは恋人同士となった。
しかし、これで調子にのったジョッシュは、ようやく移動遊園地と機械人形の行方を突き止めてきたビリーを無下にあしらってしまう。
この行いを激しく後悔したジョッシュは、自分の住んでいた街へ再び足を運んだ。そして今なお街では自分が誘拐されたままだと思われていることや、ビリーを含めて同級生たちは今も年相応の生活を送っていることに気付かされ、元に戻ろうとしていた気持ちを思い出す。
悩んだ末にジョッシュは、スーザンに全てを打ち明けることにした。スーザンは俄には信じられなかったが、最後には子供に戻ると決めたジョッシュの判断を受け入れてくれた。
再び機械人形のもとへ赴き、元の姿に戻ることを願ったジョッシュは、スーザンに見送られ、家路につくと、いつのまにかその身体は子供の姿に戻っていた。
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次回は、この作品でシナリオライターとしてどこに注目すべきか、について述べていきます。
どうぞお楽しみに。

 

身近にひそむ数学(7): 黄金比と自己相似

2021年8月15日 (日) 投稿者: メディア社会コース

シリーズ最終の今回は、黄金比と自己相似との関係に焦点を当てたいと思います。自己相似とは、全体と部分が、ある見方において同じであることをいいます。図形を扱うフラクタル(マンデルブロー集合、コッホ曲線、…)が自己相似の研究分野として有名ですが、統計や数式などにも自己相似の概念は存在します。

さて、第4回の話の最後の方に、対数螺旋(黄金螺旋を含む)という用語が出てきました。対数螺旋は下の図のようなイメージのもので、以前お話ししたオウムガイやヒマワリに現れる螺旋形状の近似モデルです。動物や植物以外にも、台風や鳴門海峡の渦潮などの自然現象の近似モデルにもなりえます。ただ、自然現象は気流や海流の影響を受けるので、その近似精度は一定にはなりません。

Log_spiral_mathematica

ちなみに、この対数螺旋は、極座標系において次のような方程式で表されます。上の螺旋図は、a=10b=0.2に設定したときのものです。

Log_spiral_equation

この対数螺旋の性質の一つとして、自己相似性があります。これは、任意のα、β(α<β)に対して、小さい螺旋(―∞<θ<α)は、それを適当に回転拡大することで大きい螺旋(―∞<θ<β)に重ねることができるというものです。オウムガイの例で言えば、貝殻の成長(渦模様の拡張)が、生まれてから死ぬまで一定のパターンで変わらないということです。この自己相似に繋がるパターンを、ほぼ黄金比が定めています。

さて次に、黄金比を自己相似の数式で表すことを考えましょう。皆さんは、連分数という概念をご存じでしょうか? 連分数とは、q 0を整数、q n(n=1,2,3,…)を自然数として、下の左のような式で表される分数のことです(※ 正確にはこの形式は正則連分数といいます)。連分数には有限のものと無限のものとがあります。永遠に右下に延び続けるものが無限の連分数です。

Continued_fraction_gr

さて、ここで、上の右の式のように、すべてのq i(i=0,1,2,3,…)を1に設定した無限の連分数をΦとおきます。どうです … このΦはシンプルでどこか美しく、自己相似性を感じませんか?

ここで、Φの最初の“1+”のあとの大きな連分数の塊を見てください。この分母に着目すると、Φそのものですね。つまり、

Gr_eq

が成り立つということになります。この2次方程式を以前の回で見た記憶はありませんか? 変数の文字は異なりますが、第2回に出てきました。そう、この方程式の解は黄金比の1.618…です。

実は、Φという記号を今回まで取っておいたのですが、Φはπやeと同様に数学定数として定着しています。身近に存在する黄金比のことですので、是非とも覚えていただければと思います。

折角ですので、同様の有限の連分数を数列{f n}として見てみましょう。

Fibonacci8

f 4あたりで法則は見えてきたと思いますので、f 5以降の詳細な計算は省略しています。

フィボナッチ数らしきものが多々見えてきましたね。実際、ここで定めている数列{f n}とフィボナッチ数列{F n}との関係は、

Fibonacci9

となっています。この数列の逆数の数列{1/f n}の極限値は、以前見たように黄金比Φです。これで先の2次方程式との繋がりが認められました。

なお、Φは無限多重平方根で、次のようにも表現できます。この数式にも自己相似性が感じられますね。

Continued_squared_root

自然や芸術、数学など、様々な世界で“美”を魅せる黄金比は神秘的です。皆さんが美しいと感じるとき、そこにはもしかしたら黄金比やフィボナッチ数列がひそんでいるのかもしれません。

文責: メディア学部  松永 信介
2021.08.15

身近にひそむ数学(6): フィボナッチ数列による幾何トリック

2021年8月14日 (土) 投稿者: メディア社会コース

今回は、図形を用いた騙しのお話をしたいと思います。騙しとは言っても、健全な遊びのトリックですのでご心配なく! 途中からフィボナッチ数列が顔を出します。

下の図を見てみましょう。左右に正方形と長方形が並んでいますが、左側の正方形をガイド線に沿って4つに分割し、それをジグソーパズルのように組み替えて右側の長方形ができています。なお、ガイド線の作成のために用意した小さなマスは1辺が1の正方形です。

Carol1

さて、綺麗にパズルが整いましたが、それぞれの面積を考えましょう。左側の正方形は、8×864です。一方、長方形の方は、5×1365です。??? 何が起きているのでしょう?

実は、右側の長方形は正方形の4つのパズルピースで構成されているのですが、微妙に隙間があり、それが見えてないのです。ここで、正方形およびその4つのピースの水平方向と鉛直方向の辺の長さを確認しましょう。使われているのは358で、フィボナッチ数列の第4項、第5項、第6項です。また、長方形の方には、新たに13が登場しますが、これはフィボナッチ数列の第7項です。実は、これらのフィボナッチ数が、巧みにいたずらをしていたのです。

では、何が起きているのかを、まずイメージ図で確認しましょう。小さなマス目は省略していますが。元の正方形と正しくピースをあてはめた長方形は下の図のようになります。わかりやすいようにかなり誇張していますが、長方形の方には微妙な隙間(グレーの部分)ができています。この隙間は平行四辺形で、その面積は1です。これが、先の6465の差に繋がっています。

Carol2_20210814122101

このパラドックスとも言える幾何トリックは、あの有名な『不思議の国のアリス』を著したルイス・キャロルが考えたとされています。作家のイメージが強いルイス・キャロルですが、彼は多才な人物であり、数学や論理学にも精通していました。このパズルからも、その片鱗が窺えますね。

さて、{3, 5, 8}(={F4, F5, F6})は確かにフィボナッチ数ですが、それはたままではないのかと思うかもしれません。しかし、これは必然で、{8, 13, 21}(={F6, F7, F8})でも、{21, 34, 55}(={F8, F9, F10})でも通用するトリックです。ただし、連続する3項であれば何でもいいというわけではありません。{F5, F6, F7}や{F7, F8, F9}などではうまくいきません。実は、偶数の項から始まる連続3項の組のときのみ、このトリックが機能します。では、その裏付けは何なのでしょうか?

フィボナッチ数列の性質の1つに、

Fibonacci7

というものがあります。これは、高校で習う数学的帰納法で証明できますが、ここでは割愛します。注意したいのは、nが奇数か偶数かで、右辺が-1か+1で異なるという点です。さて、いま、この式を後で使いやすいように、正方形の方で使う連続3項が{Fn-2, Fn-1, Fn}(n4以上の偶数)であるとします。偶数項から始まる連続3項ですね。このとき、正方形の面積はFn^2(Fn2乗)であり、隙間を含んだ疑似長方形の面積はFn-1Fn+1 です。ここで、nは偶数ですので、上の式よりFn^2=Fn-1Fn+11となり、隙間部分の面積が1であることがわかります。

最後の数式による説明は少しややこしかったかもしれませんが、先に図でイメージを描いてもらいましたので、それとなく理解できたのではないかと思います。なお、先ほど説明しましたように、偶数項から始まる連続3項を使えば、この幾何トリックは機能します。しかし、隙間の面積は1で一定です。したがって、例えば{F2020, F2021, F2022}の組でもこのトリックは成り立つのですが、隙間は相対的に小さく目視できないことでしょう。あとの種明かしが大変になります…。

文責: メディア学部  松永 信介
2021.08.14

身近にひそむ数学(5): フィボナッチ数列を体験して理解する?

2021年8月13日 (金) 投稿者: メディア社会コース

これまで4回に渡り、黄金比やフィボナッチ数列などについ話をしてきました。ここからの3回は、これらに関連するよもやま話をしたいと思います。今回の話はそれほど固い内容ではありません。数式も出てきませんので、ブレーク(小休憩)にちょうどよいでしょう。

さて、電車に乗るのに急いでいて、駅の階段を大股で1段飛ばし(2段で1歩)で上った経験はありませんか? ただ、階段が長いと、体力的にもたずに途中で1段になったりしますよね。

Stairs

その日の急ぎの度合いや体力によって、その上り方は違うことでしょう。例えば、20段の階段に対して、

2段・2段・2段・2段・2段・2段・1段・2段・2段・2段・1段”

という日もあれば、

2段・2段・2段・2段・2段・1段・1段・2段・1段・2段・1段・1段・1段”

という日もあるでしょう。では、毎日異なる上り方をするとした場合、何日必要でしょう? これは、数学的には「20を、12のみの和で表現するときにできる式の場合の数を求める」という問題になります。この問題はそれほど難しくはなく、高校1年で習う順列と組合せの概念だけで十分に解けます。

元の20段の階段の問題に話を戻しますが、駅で実践するのはやめておいた方がよいでしょう。というのも、問題の答えは10946日で、約30年かかるからです。先ほど数学の問題に置き換えましたが、それであれば机上計算で10分もあれば解けると思います。トライしてみてください。

ここで、短い階段階段で考えてみましょう。1段の階段(?)では、1段1歩しかないので1通りです。2段の階段の場合、“1段ずつ2歩”か“2段1歩”の2通りです。3段の階段の場合、“1段ずつ3歩”、“最初の1歩が1段で次の1歩が2段”、“最初の1歩が2段で次の1歩が1段”の3通りです。あと4段と5段の階段の場合だけ考えますが、これ以降は*歩という表現は省き、1歩ごとの段数を+の記号を使って連ねる形で表現します。4段の階段の場合、1段+1段+1段+1段、1段+1段+2段、1段+2段+1段、2段+1段+1段、2段+2段の5通りです。5段の階段の場合、1段+1段+1段+1段+1段、1段+1段+1段+2段、1段+1段+2段+1段、1段+2段+1段+1段、2段+1段+1段+1段、1段+2段+2段、2段+1段+2段、2段+2段+1段の8通りです。というわけで、元の階段の問題に照らし合わせれば、5段の階段の場合は8日間必要ということになります。もっとも、数分あればその場ですべてのパターンを試せますが…。

今一度整理すると、1段の階段では1通り、2段の階段では2通り、3段の階段では3通り、4段の階段では5通り、5段の階段では8通りとなりました。ちなみに、6段の階段では13通り、7段の階段では21通りです。……… どこかで見覚えのある数が並んでいませんか? そう!フィボナッチ数です。実は、フィボナッチ数列の第2項以降の値が、ここでは階段の上り方の場合の数になっています。一般的に記すと、n段の階段を11段か12段かで上るときの場合の数(順列)は、フィボナッチ数列の第(n1)項の値となっています。ですので、先ほどの20段の階段の問題の際に出てきた10946は、実はフィボナッチ数列の第21項の値です。フィボナッチ数列は、本当にミステリアスですね。

文責: メディア学部  松永 信介
2021.08.13

身近にひそむ数学(4): フィボナッチ数列の誕生秘話と自然美

2021年8月12日 (木) 投稿者: メディア社会コース

今回は、前回紹介したフィボナッチ数列に関して、その誕生秘話(前半)と自然界との偶然的な接点(後半)という2つのトピックに分けて綴りたいと思います。

まず初めに、フィボナッチ数列の誕生秘話についてです。前回の記事で、この数列はフィボナッチ著の『算盤の書』(1202年刊行)の中の「ウサギの問題」の項目で登場したということを記しました。

この問題は、実は非現実的な設定でのウサギの繁殖シミュレーションなのですが、内容的に理解しやすく、フィボナッチの着想が見て取れるので、図を交えて簡単にご紹介します。なお、この種の数列による数学モデルは、昨今我々を悩ませている新型コロナウィルスの増殖モデルの形成や実行再生産数の算出などに活かされています。

さて、その繁殖シミュレーションのイメージ図を先行して示します。なお、このシミュレーションでは、ウサギのつがいが1つの単位です。ウサギの総羽数でイメージしても構いませんが、その際は2で割って考えてください。

Fibonacci5

以下が、このシミュレーションのルール(公理)です.

0° 生まれたばかりの1組の子ウサギのつがいがいる

1° 子ウサギのつがいは、1ヵ月後に成長ウサギのつがいとなる

2° 成長ウサギのつがいは、1ヵ月後に1組の子ウサギのつがいを産み、親ウサギのつがいとなる

3° 親ウサギのつがいは、永遠に親ウサギのつがいとして、1ヵ月ごとに1組の子ウサギのつがいを産む

上の図でこのルールの適用シミュレーションを確認しましょう。ルール0°は0ヵ月のところで一回適用されるだけです。初期設定みたいなもので、子ウサギのつがいがその時点で1組いるという状態です。1ヵ月後には、ルール1°の適用により、成長ウサギのつがいが1組います。2ヵ月後には、ルール2°の適用により、親ウサギとなったつがい1組とその子ウサギのつがい1組がいます(計2組のつがいがいる)。3ヵ月後には、ルール1°、ルール2°、ルール3°が同時適用され、親ウサギのつがい1組、成長ウサギのつがい1組、赤ちゃんウサギのつがい1組がいます(計3組のつがいがいる)。4ヵ月後以降も同様に、ルール1°、ルール2°、ルール3°を同時適用していくだけで、つがいの数は自ずと決まっていきます。

フィボナッチは、この1ヵ月ごとのつがいの数の並びに興味を示し、そこに様々な代数的性質を見出しました。これが、13世紀初頭に誕生したフィボナッチ数列の原点です。

ここで、先の図において、子ウサギ(つがい)をあらためて子供ウサギ(つがい)と呼び、また翌月に子供ウサギ(つがい)を産む成長ウサギ(つがい)と親ウサギ(つがい)をまとめて大人ウサギ(つがい)と呼ぶことにします(以降、混乱を生じない限り“つがい”という表現は省略します)。

すると、下の図の左のような、抽象的な絵のモデルを作ることができます。ここで、○は子供ウサギを、●は大人ウサギをそれぞれ意味し、線は親子関係あるいは大人としての継続関係を意味しています。このような絵のモデルは根付き木(特に、根付き2分木)と呼ばれ、情報数学を支える一つの重要な概念です。

Fibonacci6

一方、右の図は、左の図を上下に反転させたうえで、子供ウサギと大人ウサギの区別を無くしたものです。地に根を張った木に見えますね。これが根付き木と呼ばれる所以です。この右側の根付き木は、実はフィボナッチ木という名前が付いています。自然界のすべての木がこのような構造をもっているわけではないですが、成長過程で太い枝(成長が見込まれる枝)と細い枝(成長が期待できない枝)に分岐することはよく観察されることです。これに葉を描き加えると、それなりに違和感のない木に見えるはずです。

さて次に、フィボナッチ数列の自然美について記します。前回、規則的に正方形を敷き詰めて長方形を拡張的に形成するするということを通じて、フィボナッチ数列の幾何学的解釈を行いました。下の図は、前回の図に少し手を入れたものです(数字情報は消しています)。赤い螺旋(らせん)が、ここでの話の主役です。

Log_spiral

図があるのでそれとなくイメージが湧くと思いますが、この赤い螺旋は各正方形に収まる最大の四分円を、連続性と数学的滑らかさを担保して繋げてできているものです。ただし、曲率は一定ではありません。最初に用意する1辺の長さが1の正方形が並ぶところまではよいのですが,サイズの違う正方形を繋げる際に曲率は変わります。見た目ではあまりわかりませんが…。

そのような細かなことを無視すると、赤い螺旋は美しく見えますね。ところで、このような螺旋形状に近い動物なり植物を連想できますでしょうか? 動物としてよく引き合いに出されるのは、オウムガイやアンモナイト(化石)です。これらの巻貝の形状は、曲線として正確に一致しているわけではありません。実は、螺旋の数学モデルは複数あります。ここでは、自然が生み出す神秘くらいに留めておいていただければ結構です。興味のある方は、対数螺旋を入口に、いろいろと調べてみるとよいでしょう。

では、植物の方はどうでしょう。松ぼっくりやヒマワリの種の配列構造が、実はこの螺旋と酷似しています。ヒマワリを例に挙げると、黄金螺旋と呼ばれるものになっています。ヒマワリの種の配列は、中心の種に始まり、360度を黄金比で分割した角度である約137.5度(黄金角)の位置に次の種がつくという性質をもっています。そして、その繰り返しで数千もの種が密集し,あの美しい模様がができているのです。また、中心の方にある螺旋状に並ぶ種の数として 21 個、34 個、55個、89個などのフィボナッチ数を確認できます。自然界は不思議ですね。

文責: メディア学部  松永 信介
2021.08.12

身近にひそむ数学(3): フィボナッチ数列と黄金比

2021年8月11日 (水) 投稿者: メディア社会コース

前回、黄金比について触れましたが、今回はそれと深い関係のあるフィボナッチ数列{Fn}についてお話しします。このフィボナッチ数列は、数々の非常に興味深い性質をもっています。黄金比との関係は最後に回すとして、まずはこのミステリアスな数列の基本について見ていきます。

その数列は、“1123,5,813213455891442333776109871597258441816765,…”と続くものです。最初の20項だけ記しましたが、何か規則性が見えますか? 実は,この数列は次のような漸化式で表されます。

Fibonacci1

初項と第2項を1に設定し、それ以降の項は直前の項ともう一つ前の項の和で定めています。例えば、第4項の3は12(第2項+第3項)として,第7項の1358(第5項+第6項)としてそれぞれ表現されていますね。この数列上に現れる数は、フィボナッチ数と呼ばれます。

そもそも、フィボナッチとは何かというと、1213世紀にかけて活躍したイタリア人数学者の名前です。この数列の概念が最初に登場したのは、1202年に発刊されたフィボナッチ著の『算盤の書』の中です。この数学書は、彼が影響を受けたアラビア数学の内容を中心にまとめられているのですが、「ウサギの問題」という項目があり、そこにフィボナッチ数列の誕生秘話が記されています。架空のウサギの繁殖シミュレーションによるのですが、非常に面白く興味深い内容です。これについては、次回ご紹介します。

次に、フィボナッチ数列を幾何学的視点で見てみましょう。下の図は、いくつかの正方形を敷き詰めてできている長方形です。各正方形の中の斜字体の数字は、面積ではなく、その正方形の一辺の長さです。

Fibonacci2

では、どのように敷き詰められているのかというと、まず初めに一辺が1の正方形を2つ横に並べ、その上に一辺が2の正方形が並び,さらにその左に一辺が3の正方形が並び,…という規則に基づいています。この説明は厳密性を欠いていますが、図からどのように長方形が拡張していっているのかはわかると思います。この長方形をさらに拡張するのに必要な次の正方形の一辺の長さは?またその位置は? これらの質問に答えられれば、規則はおそらく理解できていることでしょう。

すでに気付いていると思いますが、次々と登場してくる正方形の一辺の長さはフィボナッチ数列を形成します。ここで、各長方形の縦横比(長辺/短辺)を考えます。最初は、一辺が1の正方形2つが並んでいる状態です。これは212です。次の一辺が2の正方形が追加された状態では、321.5となります。さらに次の一辺が5の正方形が追加された状態では、531.666…となります。もう、おわかりですね。F(n+1)Fnを次々に計算しているのです。最初の正方形が1つのときも含めて整理すると、次のような表ができあがります。

Fibonacci3

下段の比の値は、増減を交互に繰り返していますね。しかも、その増減の振れ幅が徐々に小さくなっていることに気付きます。実は、この比の数列は黄金比に向かっています。数学的に言えば、黄金比に収束するということす。式で表すと、次のようになります。

Fibonacci4

意外や意外、フィボナッチ数列が黄金比を特徴付けているのです。黄金比に美があったように、フィボナッチ数列にも自然美が関係しています。次回は、ウサギの問題の話とこの自然美について紹介します。

文責: メディア学部 松永 信介
2021.08.11

身近にひそむ数学(2): 貴金属比(黄金比ほか)

2021年8月10日 (火) 投稿者: メディア社会コース

貴金属とは、文字通り、貴い(貴重な)金属のことであり、その総称の意味合いもあります。この貴金属の特長として、イオン化しづらく(化合物になりづらく)安定性があるという性質があります。一昨日オリンピックが閉幕しましたが、この約2週間、金メダル・銀メダル・銅メダルの行方に一喜一憂しましたね。実は、このうち金と銀は貴金属ですが、銅は貴金属ではありません(ご参考までに…)。
貴金属は全部で8つあります。残りの6つは調べてみてください。

さて、化学の講義のような話から始まりましたが、ここからが身近にひそむ数学の話です。安定性のあるものは、希少価値が高く美化される傾向にあります。そこで、美を感じさせる数の比のことを、いつしか貴金属比と呼ぶようになったのです。前回の白銀比(大和比)は貴金属比ではないのですが、親戚関係にある貴金属比が今回のお話の最後の方で出てきます。

さて、この貴金属比は一つではなく、第1貴金属比(1:(1+√5)/2)、第2貴金属比(1:(1+√2))、第3貴金属比(1:(3+√13)/2)、… と続きます。一見、無秩序に思われる比の並びのように映りますが、これらは1と貴金属数と呼ばれる値との比になっています。すなわち、次のような“1:貴金属数”という関係になっているのです。

Metallic_ratio

皆さん、黄金比という言葉を聞いたことはありませんか? 実は、第1貴金属比の別称が黄金比です。この比は、自然界や芸術の世界に多々見られることから、最も美しい数学の比として黄金比(Golden Ratio)と呼ばれるようになりました。自然界での例は割愛しますが、芸術の世界で有名なものをいくつか紹介しておきます。

ミロのヴィーナスは、へその位置を境にその上半身と下半身の長さの比が黄金比とされています。また、レオナルド・ダ・ヴィンチ作のモナリザは、顔の部分を長方形で切り出したとき、その縦横比が黄金比になっていると言われています。一方、著名な建築物にも黄金比ではないかと言われているものがあります。エジプトの一部のピラミッドは、その高さと台座の一辺の長さの関係が黄金比であるとされています。また、ギリシャのパルテノン神殿も、その高さと台座の幅の関係が黄金比であるとされています。いずれも少なからず誤差があり、厳密性が担保されているとは言い難いのですが、ただ美を追求すると、自ずと黄金比に近いものができあがるのかもしれません。

さて、この比(約“11.618…”)の長方形は黄金長方形と呼ばれます。この長方形の特長的性質は、短辺を一辺とする正方形をもとの長方形の端から切り取った残りの部分が、また黄金長方形になっているというものです。この性質に基づいて、下図を眺めながら実際に黄金比を求めてみましょう。

Goldenratio

大元の黄金長方形の短辺の長さを1、長辺の長さをxとします。ここから、1辺の長さが1の正方形を切り取ると、短辺の長さがx-1、長辺の長さが1の長方形が残ります。これが、元の長方形と相似関係になるので、次のような計算ができます。

Godenratio2

確かに1.618…という値が得られますね。ちなみに、パスポートや現在主流の名刺は黄金長方形です。もちろん黄金比を意識してデザインされているのですが、このように黄金比は身近なところにも存在するのです。

続いて、第2貴金属比についてお話しします。こちらは黄金比の次ということで、白銀比(Silver Ratio)という名が付きました。この比(約“12.414…”)は、黄金比と比較すると、かなり開きのあるものです。黄金長方形と同様に、この比に基づく白銀長方形というものがあります。この長方形は、正八角形の一辺とその対辺を鉛直の2本の対角線で結んでできるものとしてイメージができると思います。実際に作図してみると、この比が確認できます。白銀長方形は少し細長くなります。

さて、この白銀比(第2貴金属比)が前回の白銀比(大和比)とは異なる比であることにはすでに気付いていることと思います。ただ、この2つのタイプの白銀比には不思議な関係があります。それぞれの比の値からすれば自明なことですが、第2貴金属比の長方形から、その短辺を共有する最大の正方形を切り取ると、大和比の長方形が残ります。逆に、大和比の長方形から、その短辺を共有する最大の正方形を切り取ると、第2貴金属比の長方形が残ります。ですので、これら2つの白銀比は無縁ではなく、親戚関係にあると言えます。

なお、ここでは説明しませんが、第3貴金属比には青銅比という別称があります。この記事の冒頭で、銅は貴金属ではないと説明しましたが、この貴金属比では、金(黄金)・銀(白銀)に続く形で、銅(青銅)はある意味市民権を得ています(厳密には銅と青銅は違うのですが…)。ちなみに、金(Au)・銀(Ag)・銅(Cu)の仲の良さは元素周期表からも見てとれます。久しぶりに、元素周期表を眺めてみてください。メダルの金・銀・銅の序列の妥当性がわかるはずです。

文責: メディア学部 松永 信介
2021.08.10

身近にひそむ数学(1): 白銀比(大和比)

2021年8月 9日 (月) 投稿者: メディア社会コース

数学はいまや体系化された学問ですが、その発展のきっかけは常に自然や日常の中にありました。ここからの7回の記事では、特定の比や数字を取り上げ、身近な数学に触れてもらいたいと思います。初回は、白銀比(大和比)について紹介します。

デジタル時代に入り、ペーパーレス化が進んでいますが、それでも紙の書籍(教科書、雑誌、文庫本等)に触れる機会は多くありますよね。また、授業や試験の際には、紙の配布資料があります。さて、これらの書籍や配布資料の紙サイズの縦横比について、皆さんは考えたことがありますか?

例外はありますが、日本における標準的な本や印刷用紙のサイズはA?判かB?判です。まずは、国際標準規格であるA判を取り上げます。このA判の中でも主流のA4判は、短辺が210mmで、長辺は297mmです。この比ですが、短辺:長辺≒1:√2(ルート2)です。A判の用紙では、短辺の長さがaのとき、長辺は必ずa×√2となります。これは、B判にも通ずる話です。この比が白銀比(大和比)です。白銀比には実はもう一種類あるため、それと区別する意味で大和比という別呼称を併記しています。もう一つの白銀比については、次回お話をします。

さて、なぜこの比が生まれたのでしょうか? これは、An判(n=0,1,2,3,…)を一つの等比数列モデルとして考えるのに都合がよい値(美しい値)であるからです。A判はA0841mm×1189mm)から始まります。ちなみに、このA0判の面積はおよそ1平方メートル(1辺が1000mの正方形の面積)です。このA0を半折りにしてできるサイズがA1です。さらに、それを半折りしてA2ができ、そのA2を半折りするとA3となります。下の図で、それとなくイメージは沸きますよね。

A4_size

すなわち、数列を一つ先に進む際には半折りにして切る(1/2倍)、数列を一つ戻る際には用紙を2枚並べて繋げる(2倍)、という操作がA判のサイズを規定しているのです。一応、A12まであります。

次に、B判ですが、こちらは国内規格です。A判との関係は、An判の対角線を一辺とする相似な長方形がBn判です。下の図は、A4B4の関係です。なお、B判もB0からB12まであります。先ほど、A0判の面積が1平方メートルと記しましたが、B0判の面積はおおよそいくつでしょう? 中学生でも解けるレベルの問題です。暇なときに考えてみてください。

A4_b4_20210809114901

 

身近な本のサイズを確認しましょう。例外はありますが、教科書や参考書の多くはA5判、文藝春秋などの大衆雑誌はB5判、小説などの文庫本はA6判、マンガなどはB6判です。なんとなくピンときましたか?

さて、最後に、大和比と呼ばれる所以についてです。諸説ありますが、大和(現在の奈良の辺り)の地に建立された法隆寺に、白銀比がいくつか見られるというのが有力です。法隆寺の金堂の2階の台座の幅と1階の台座の幅が、ほぼ白銀比の関係にあります。また、同じ法隆寺内の五重塔の5階の屋根の幅と1階の屋根の幅も、ほぼ白銀比の関係にあります。当時はもちろん白銀比という概念はなかったわけですが、美しさを追及していったら、自ずとこの比になったのかもしれせんね。ロマンを感じます。

文責: メディア学部 松永 信介
2021.08.09

海外大学との交流クラス最終発表会(英語で取り組むワークショップ #5)

2021年8月 8日 (日) 投稿者: メディア技術コース

海外大学の学生と一緒にワークショップを行うプロジェクト演習の続報です。前回の報告(海外大学とのオンラインによる交流クラス)からしばらくたって、ついにこの演習も最終回を迎えました。

 

前回の初顔合わせのミーティングの後に、学生達はそれぞれの大学から2,3名づつ、合わせて4名から6名で1グループを作り、互いの文化の違いを調査し発表する課題に取り組みました。それぞれのグループは身の回りから適当なテーマを選び、お互いの国での在り方を調査し、一つの発表資料を用意する作業を行いました。といっても、マレーシアの学生が試験期間になってしまったりと、なかなか思うように事前のディスカッションができないようだったため、最終日の前の週のクラス内で、各グループ対面(ネット上の)で最低限必要な相談をしてもらいました。その後、各グループで調査やスライドの作成、発表などの役割分担をして、SNSでの相談を繰り返し、発表の準備をしました。

 

いよいよ最終日の発表です。今回のワークショップは、最終的にTaylor’s大学から8名、東京工科大学から7名の15名の学生が参加し、3つのグループに分かれて作業をしました。各グループの調査テーマは、「マレーシアと日本のマクドナルドの違い」、「ママクと居酒屋の違い」、「7月の祭り、Eid Al-Adhaと七夕」というものでした。スライドは、Taylor’s大学の学生がデザイン学部ということもあるせいか、それぞれの大学の学生が別々に調査したものを合わせたのにも関わらず、統一のとれた、デザイン性の高いものが作られていたのには感心いたしました。発表も、個々のパートを分担して皆で行うなど、役割もきちんと事前に相談できているようでした。

 

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今回、この演習クラスを初めて実施したのですが、そのためクラス運営もバタバタしてしまい、グループディスカッションもあまり時間がとれなかったところもありました。そうした状況を鑑みると、その割には結構皆良くできたなとほっと安心するとともに、やればできるんだなと随分感心いたしました。

 

 

それと同時に感じたのは、直接オンラインで会話しているときの学生の積極性の違いです。おそらく最も大きな要因は語学力によるのだと思いますが、質問やコメントなどの発言を求める際には日本の学生からはほとんど発言がありませんでした。ただし、普段の大学内の授業でもその傾向はありますので、語学力だけの課題ではないようにも感じます。単に語学力ということではなく、そうした姿勢もこういう機会をきっかけとして変わっていけると、異文化交流の異議があるのかと思います。グループワークとしては、SNSを利用してのメッセージを介したコミュニケーションはできていたようでしたが、Zoomなどを用いたリアルタイムの会話での会議は自発的には行われなかったようで、このあたりもできるようになると会話の機会が増えて、このクラスをより有効に活用してもらえることになると思っています。そうしたなかで、一応最後まで参加し続け、最終発表まで達成した人は、それなりの自信につながったのではないでしょうか。

 

教員側も、このクラスの実施には色々不安がありました。まず、そもそも学生が集まるか、ということが大変心配な点でした。何名くらい受講してくれるかわからない状況で、海外の大学に学生参加の依頼をすることが難しいため、そもそもスタートできるのかが直前まで決定できませんでした。今回は、卒研の学生などにも働きかけてなんとか数名の人数に参加してもらいましたが、やはり途中で抜けてしまう人もいて、なかなか最後までハラハラしどうしでした。また、当初はいくつかのアイデアや企画をグループで討論してもらいながら作り上げるようなワークショップを想定していたのですが、学生の状況や、Taylor’s大学の先生方の意向もあって、異文化交流に重きをおいた内容になりました。英語で海外の人と、メディア学の知識を活用してプロジェクトを実施するという内容に取り組むには、学生の意欲や語学力の向上に加えて、クラスの設計に工夫が必要だということを痛感いたしました。この演習は、これを初めとして今後も続けていきたいと、タイの大学などにも声をかけて企画中です。在校生だけでなく、高校生の皆さんも、グローバル人材として活躍したいと思う人や、海外に友人を作りたいという人がいたら、是非入学して、この演習に参加していただきたいと思います。

 

最後に、例によって集合写真です。

コロナが収束したら直接互いのキャンパスを訪れてワークショップを行い、集合写真を撮れるようになるといいですね。

 

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これまでの記事

 

プロジェクト演習(英語で取り組むワークショップ)#1

プロジェクト演習(英語で取り組むワークショップ)#2

プロジェクト演習(英語で取り組むワークショップ)#3

海外大学とのオンラインによる交流クラス( 英語で取り組むワークショップ #4)

 

 

 

太田高志

自分の才能を見つける方法

2021年8月 7日 (土) 投稿者: メディア技術コース

 2年前の入学式の日の学部ブログで「得意なことを見つけよう」という話をしました。その1年後の同じ日、NHKの朝ドラで、私の言いたいことがこれ以上ないくらいピッタリな言葉で表現されました。
 
 小学生当時の主人公に音楽の才能があることを見い出した教師の言葉です。
 
 『人よりほんの少し努力するのがつらくなくて、ほんの少し簡単にできること、それがお前の得意なもんだ。それが見つかれば、しがみつけ。必ず道は開ける』(「エール」2020年4月4日放映)
 
 先日の1年次生向け必修科目「メディア学入門」の最終授業でこれを紹介したところ、小レポート課題で「もっとも参考になった話題」として最多の履修生が取り上げました。その授業トピックでは「好きなことを得意なことにする」話もしましたがこれはいずれ別のブログ記事で紹介します。
 
 得意なこと、つまり才能を見つけるいくつかの方法は2年前の記事で書きました。今日はその記事では書かなかった別の方法を紹介します。かなり高い確度で才能を見つけることができます。
 
 それは「親に訊いてみる」ことです。
 
 皆さんが生まれた瞬間から、親は常に「この子には何の才能があるだろうか」と真剣に思いながら皆さんを見ています。20年近くもの長い間、それだけの真剣さで観察しているのです。何に向いているか、何に向いていないか、わからないはずがありません。
 
 多くの人はそのような話題について親と話すことはないかもしれません。照れくさいですからね。でも改まって訊ねてみれば、きっと的確な指摘が返ってくるはずです。もし悲観的な答えしか来なかったら、きっと照れているんだと広い心で理解してあげましょう。
 
 私も3人の20代の子の親です。彼らがそれぞれ何が得意か観察し続けました。ただ、改まってそういう話はしませんでした。何かきっかけがあるときに「○○って向いてると思うよ」とつぶやいた程度です。本人たちは自分で考えて進路を選びました。紆余曲折はありましたが(特に金銭的に(笑))結果的に3人ともそれぞれに向いていると私と妻が思う職業に就いたか就く予定です。親2人×子3人の6ケースで観察結果が概ね合っていたと推測できますので、良い確度ではないかと思います。
 
メディア学部 柿本 正憲

8月8日(日)「オンライン型オープンキャンパス」の内容のご案内

2021年8月 6日 (金) 投稿者: メディアコンテンツコース

大学HPでのご案内にありますように、8月8日(日)のオープンキャンパスはオンライン型のみでの開催に変更となりました。
(※併せて8月22日(日)もオンライン型のみでの開催となりました)

開催方法の変更により、当日のメディア学部のイベントは以下の通りとなりますので、ご確認ください。

 ◎「メディア学部説明+コース紹介」:14:00〜14:30【片柳研究所棟 大ホール】(※オンラインLive配信)
 ◎「メディア学部オンライン見学」:15:00〜16:00【片柳研究所棟→研究棟C】(※オンラインLive配信)


「メディア学部説明」は大淵先生、「コース紹介」は、竹島先生[コンテンツコース]、太田先生[技術コース]、進藤先生[社会コース]が順番に片柳研究所棟地下にある大ホール(視聴覚ホール)のステージに登壇して行います。説明を聴いていただければ、メディア学部の概要と各コースの特徴、そしてそれぞれのコースがどのように繋がっているかを知ることができます。

30分のインターバルののち、「メディア学部オンライン見学」が始まります。

まず片柳研究所棟大ホールから4階に上がってCTC(コンテンツテクノロジーセンター)を訪問します。ここはメディア学部でのゲームやアニメをはじめとする映像コンテンツの制作拠点で、CTC内部の紹介も予定しています。CTCに関する説明は兼松先生が行います。

その後、片柳研究所棟を出て、研究棟Cに向かってキャンパス内を歩いていきます。途中、FOODS FUU厚生棟など、学生がよく利用する施設も通りますよ。

研究棟Cに着きましたら、まず5階に上がります。研究棟C左側(体育館側)の2階の一部と3〜5階は、メディア学部の学生が研究や制作を行う研究室が集まっており、カメラは4階、3階、2階の順に研究室の前を歩いていきます。各研究室の前には、研究室紹介のポスターを展示していますので、そうしたポスターからもメディア学部での学びの一端を知ることができるでしょう。

途中、太田先生、竹島先生、進藤先生、大淵先生の研究室を訪問し、先生方にそれぞれの研究室についてご紹介いただく予定です。普段はなかなか目にすることができない大学の研究室内部をご覧いただける貴重な機会です。

なお、「メディア学部説明+コース紹介」は500名の定員制とさせていただいていますので、お申し込みがまだの方は是非お早めにお手続きください!

(メディア学部 伊藤謙一郎)

音の速さ

2021年8月 6日 (金) 投稿者: メディア技術コース

東京オリンピックも、いよいよ終盤となってきました。

オリンピックの花形種目の一つが100m走です。スターターがピストルを上に向け、「パンッ!」と鳴った瞬間にみんながスタートします。でも、あのピストルは実は鳴っていないって知ってました?

空気中の音の速さは、今の時期の気温だと、だいたい秒速340mぐらいです。ものすごく速いような気がしますが、条件によっては、音源から聞く人までの到達時間が問題になることがあります。オリンピックのトラックは幅1.22mmですので、第1レーンと第8レーンは約8.54m離れています。第1レーンの横でピストルを鳴らしたら、その音が聞こえる時間は、第1レーンと第8レーンで約0.025秒も違ってしまうのですね。百分の一秒を争う世界で、こんな差があっては不公平です。そこで今のレースでは、各走者の後ろにスピーカーがあって、そこから同時に音が出るようになっています。スターターのピストルは単なるスイッチです。ちなみに、ゴール地点にいる人が、ピストルの音を聞いてからストップウォッチで時間を測定するのは論外です。100mも離れていると、実際のスタートより0.3秒も遅く計り始めることになってしまいます。

雷や花火など、音の速さを実感できる現象は身近にもあります。秒速340mという値を覚えておくと、いろんな場面で使えるかもしれませんよ。

(大淵 康成)

Zoom でプレゼンタイマーを実現する

2021年8月 5日 (木) 投稿者: メディア技術コース

渡辺です。みなさんこんにちは。このブログではしばらくご無沙汰してしまいました。

さて、今回は Zoom でプレゼンタイマーを利用する方法について説明します。先日、大学院の中間審査会が実施され、その際に私が Zoom のタイマーを担当したのですが、複数の先生から「あれってどうやるの?」という問い合わせがありました。実際にはそこそこ設定が面倒で、簡単には説明できなかったので、今回このブログを通じてやり方を記しておくことにしました。

画面共有を使えばいいのでは?

Zoom には「画面共有」という機能があり、これを使えば PC 上の画面を簡単に他の利用者に見せることができます。これを使えば簡単にプレゼンタイマーを実現できるように思えますが、これがなかなか都合が悪いのです。まず、画面共有機能は通常は1名しか行えません。この共有をプレゼンタイマーで使用してしまうと、実際の発表者が画面共有が行えなくなります。複数人が共有する設定にすることもできるのですが、このときに発表者の画面を表示していると、プレゼンタイマー側の音声が聞こえなくなってしまうんです。このように、画面共有機能の利用はかなり使い勝手としては悪いものになってしまいます。

では、画面共有ではなく、通常のカメラとマイクのかわりにプレゼンタイマーと音声を流せるようにできればと思うのですが、Zoom の標準機能だけではできないんですね。Zoom では、カメラやマイクは OS 側が「カメラ」「マイク」として認識しているデバイスしか受け付けません。

こういったことから、Zoom の中でプレゼンタイマーを快適に利用するのは中々に難しいわけです。

仮想カメラ・仮想マイクの利用

そこで、仮想カメラと仮想マイクという概念を用います。仮想カメラは「OBS Studio」というソフトウェアを、仮想マイクは「VB-Audio Virtual Cable」というソフトウェアを利用します。これらを使えば、通常のアプリケーション画面や PC の音声出力を「カメラ」や「マイク」からの入力として OS 側に流し込むことができます。

インストール

まずは、以下のソフトウェアをインストールしましょう。

OBS Studio (https://obsproject.com/ja/download)
「ダウンロードインストーラ」をクリックし、インストーラーをダウンロードして実行して下さい。

VB-AUDIO Virtual Audio Device (https://vb-audio.com/Cable/)
この中の「VBCable_Driver_Pack??.zip」という名前のインストーラーをダウンロードし、解凍して「VBCABLE_Setup_x64.exe」を実行して下さい。

Ear-Trumpet (https://www.microsoft.com/ja-jp/p/eartrumpet/9nblggh516xp)
マイクロソフトストアから入手してインストールして下さい。

OBS の初期設定

全てインストールしたら、OBS を起動してみます。OBS は、アプリケーションの画面や音声を一旦統合し、場所を再配置するなどして外部出力するためのソフトウェアです。Youtuber や VTuber のような生配信を行う際の標準的な編集ツールとなっており、聞いたことがある人も多いと思います。

OBS をはじめて起動すると、どういう使い方をするかのダイアログが出てきますが、とりあえず「仮想カメラのみ使用する」を選んで下さい。次に「ファイル」→「設定」を選んで、以下のように設定して下さい。

  • 「出力」→「映像ビットレート」: 800 Kbps
  • 「出力」→「エンコーダ」: ソフトウェア (x264)
  • 「出力」→「音声ビットレート」: 128
  • 「映像」→「基本(キャンバス)解像度」: 1920x1080
  • 「映像」→「出力(スケーリング)解像度」: 1920x1080
  • 「映像」→「縮小フィルタ」: バイキュービック
  • 「映像」→「FPS共通値」: 30

これで初期設定は OK です。

OBS での画面取り込み

次に、OBS の仮想カメラに映す画面を取り込みます。事前にブラウザを表示しておきましょう。その後、OBSの「ソース」というウィンドウの下にある「+」記号を押し、「ウィンドウキャプチャ」を選択し、「新規作成」を選びます。すると、どのウィンドウをキャプチャするかのダイアログがでてきますので、対象のウィンドウを選んで「OK」を押して下さい。あとは、「仮想カメラ開始」ボタンを押せば、そのウィンドウが仮想カメラデバイスに出力されるようになります。

OBS 側のウィンドウキャプチャを調整すれば、表示サイズを縮小したり、逆に特定部分だけを拡大して表示することも可能ですので、色々試してみて下さい。

VB-Audio による仮想マイク

次はマイクです。まず、サウンドの出力を「CABLE Input (VB-Audio Virtual Cable)」に設定します。すると、スピーカーからは一切音声が流れなくなります。ボリュームは一旦小さめに設定しておくとよいでしょう。

Zoom の設定

ここまできたら Zoom を起動します。まず、カメラを「OBS Virtual Camera」に設定して下さい。その次に設定の「オーディオ」を開き、以下のように設定します。

  • 「スピーカー」: 「システムと同じ」
  • 「マイク」:「CABLE Input (VB-Audio Virtual Cable)」
  • 「自動で音量を調整」: OFF
  • 「背景雑音を抑制」: 低
  • 「ミーティング内オプションを表示」: ON
  • 「高忠実度音楽モード」: ON
  • 「エコー除去」: OFF
  • 「ステレオオーディオ」: OFF

これで PC 上で何か音を鳴らしたときに、Zoom のマイク側の音量計で反応があれば成功です。

EarTrumpetによる音量ミキサー

この方法で PC 側の音が Zoom のマイク音声として認識されるようになりましたが、入って欲しくない音まで入るようになってしまいます。例えば USB の接続音や、メールやメッセージの通知音なども入ってしまいます。これを抑制するため、EarTrumpet を利用します。EarTrumpet のアイコンをインジケーターから選択すると、アプリケーションごとに音量を設定できます。これを使って、ブラウザ以外の音は全て切っておきます。

プレゼンタイマーの用意

私は、プレゼンタイマーとしては Time Keeper (https://maruta.github.io/timekeeper/) をよく利用しますが、このあたりは好みで好きなページを利用してもらえれば良いですし、なんならブラウザではなくアプリでも構わないと思います。以前はプレゼンタイマー用のアプリは多く公開されていたのですが、最近はあまり多くないようですね。

まとめ

今回は、Zoom 会議に参加する PC とタイマー用 PC は別に用意することを念頭に解説を行いました。しかし、OBS を駆使すれば 1 台で会議とタイマーの両方を切り替えて使用することもできなくもないです。(個人的には、別々の PC にした方が快適だとは思いますが。) OBS を使えば様々な応用が考えられますので、色々活用してみてはどうでしょうか?

この内容、実は半年ほど前に一度ブログの記事にしようと思っていたのですが、その時期にはちょうど大学も全学的に対面授業を実施するようになり、このようなノウハウはお蔵入りするのではと思いお蔵入りにしました。しかし、今になって改めてコロナ感染が拡大してしまい、当面はまだまだ遠隔での発表の機会は増えそうです。本記事の内容が、Zoom でプレゼンを管理する人達に少しでも役立てば幸いです

(メディア学部教授 渡辺大地)

 

学部長賞の表彰

2021年8月 4日 (水) 投稿者: メディア技術コース

メディア学部の寺澤です。

本学には勉学意欲の向上や人材育成の一環として、各学部の実学教育において優秀な成績や評価を修めた学生を表彰する「学部長賞」があります。毎年春の新年度開始時に1,2,3年生の各学年に対し何を評価基準とするかが示され、その年度の成果に基づき翌年度に表彰が行われる仕組みです。先日その表彰式が行われ大淵学部長より賞状が授与されました。

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以前は各学年の大多数が受講している授業の前後などを使って表彰式を行い、皆で祝っていたのですが、新型コロナウィルスの影響を受け、昨年は受賞者のみを集めた小規模な表彰式を対面とリモートの組み合わせで実施しました。今年は2020年度の実績に基づいた表彰を、やはり、受賞者のみを集め、2年生の表彰式の日と3年生の日を分けて大きめの会議室で実施しました。なお、4年生については各研究室にて表彰してもらうこととしました。

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2年生(写真左)、3年生(写真右)とも多くの受賞者が参加してくれて対面で表彰できたのはとても良かったと思います。今年の実績に基づく来年の表彰式は以前のような形で実施できると良いなと思っています。

メディア学部 寺澤卓也

ストローで考える身近なSDGs PART2

2021年8月 3日 (火) 投稿者: メディア技術コース

新しい研究テーマを始めた健康メディアデザイン研究室の千種(ちぐさ)です。人体を健康メディアとしてとらえメディアをつかって自らの健康をデザインするための研究を行っている研究室です。

今回は、前回に引き続き、多面的なプロジェクト演習を実施している中から今年度から始まった「地域創生としてのSDGs的アイデアソン」という半年間14回実施する授業の一貫としてストローの例の続編を紹介させていただきます。

プラスチック製のストローの削減を考えるとき、リサイクルの3Rの①Reduceリデュース、②Reuseリユース、③Recycleリサイクル、で考えると、変わり易いです。

最も重要なのは1番目のリデュースの対策として、ストローの提供中止やストローとプラカップを使うのを止めて、マイボトルでドリンクを補給する考え方・ライフスタイルです。スターバックスがストローの提供中止したり、マイタンブラーの利用促進を応援しているのはその一環ですね。オシャレにカッコよくライフスタイルを変革していく取り組みをしているところがスターバックスらしいですね。

スターバックスのストローの提供中止(2021/04/15)

https://www.starbucks.co.jp/press_release/pr2021-4004.php

スターバックスのマイタンブラー

https://product.starbucks.co.jp/goods/tumbler/

https://www.starbucks.co.jp/howto/store/tumbler.html

次に重要なのはリユースです。ストローをリユースするって?と思う人も多くいると思いますが、洗いやすくリユースできるストローも各社から販売されています。

スターバックスのリユースできるストロー(2021/03/12)

https://www.starbucks.co.jp/press_release/pr2021-3927.php

3番目に重要なリサイクルは資源ごみとして利用されたプラスチックを資源として日本じゅうで広く実施されていますね。そして今回一番に紹介したいのは、一番重要なプラスチック製ストローの使用削減の取組です。最初は提供中止でしたが、注目に値するのはストローの素材を変更する取り組みです。先行したのは紙製ストローを使用例ですが、濡れてふやけるストローは不評でした。

そんな中で注目する商品が「美味しく食べられるストロー」です。これまでのアプローチは単にユーザーに不便を強いてストローの配布を中止したいましたが、ストローを食べられることにしたのはすごいです。廃棄するストローとは次元が異なります。美味しいドリンクを飲んでいるので、まずいストローでは不評になります。飴を使用したストローもありますが、砂糖を使用しているためカロリーが気になる為か高価格の為かあまり話題になりませんでした。

そしてお菓子メーカーのブルボンが発売した耐水性のあるクッキーで作った美味しく食べられる「コロネクッキー」というストローです。これはソフトクリームのコーンと同じ路線ですが、目からウロコな商品でした。一般的な製造工程はコーンと似ているので大量生産可能です。耐水性の部分が真骨頂です。これによりソフトクリームのコーンがストローに変身しました。冷たいドリンクに使用して30分間も耐水できるようです。

https://www.atpress.ne.jp/news/199342

https://www.bourbon.co.jp/product/detail/4901360339075.html

マイクロプラスチックでネガティブなストローを美味しく食べられるストローとして提供するライフスタイルは、地球環境に低負荷で持続可能な「美味しく食べられる」ストローとして社会に受け入れられるでしょうか。

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ストローで考える身近なSDGs PART1

2021年8月 2日 (月) 投稿者: メディア技術コース

新しい研究テーマを始めた健康メディアデザイン研究室の千種(ちぐさ)です。人体を健康メディアとしてとらえメディアをつかって自らの健康をデザインするための研究を行っている研究室です。

今回は、多面的なプロジェクト演習を実施している中から今年度から始まった「地域創生としてのSDGs的アイデアソン」という半年間14回実施する授業の一貫としてストローの例を紹介させていただきます。

Sustainable Development Goals、持続可能な目標と言われていますが、一般にはGrobal Goals、グローバル目標と17のグローバルな目標と世界中で広く使用されているようです。考え方は「地球にとってネガティブなことを抑えて、ポジティブなことを推進する」という解り易いスタンスですが、有史以降特に産業革命以降様々な取り組みがされてきた結果が今現在なので、実際には困難なことも多種多様です。例えば、植民地は植民される側にとっては不利益が多いですが、植民地を支配する側にとっては多大な利益を得ることができます。これによって利益が対立する2つの立場が発生していました。その解消には人権という永続的な思想を導入して非常に困難な道のりを経て、やっと解消されてきています。

今回は1つのトピックを取り上げて紹介したいと思います。それはこれから夏に向けて、冷たいドリンクに使用されるストローです。Google検索で「ストローとSDGs」と検索すると約150万件がヒットします。最も大きな潮流は地球温暖化対策としての脱CO2ですが、その重要な柱として脱石油、脱プラスチックがあり、この一環として石油を使用するストローの使用削減が象徴的に取り組まれています。

また普通のごみと違って分解されないプラスチックが問題を引き起こしています。脱プラスチックは地球の海洋環境における食物連鎖の生態系に影響を与えることも解ってきました。地球環境で分解されないビニールを餌と間違えて食べて死んでしまったウミガメや砂浜の細かい砂のように粉々になった直径5mm以下のマイクロプラスチックを餌と間違えて食べたイワシとそれを食べるマグロといった生態系に関連する生物自身の環境ホルモンに影響を与え、それを食べる人間にも悪影響が蓄積するという側面も研究されています。

石油由来のストローの削減やレジ袋の削減は脱石油という側面よりも、脱マイクロプラスチックからのアプローチとして注目されています。これは海洋プラスチックゴミを分析して、発泡スチロール、ビニール、ペットボトルから多く発生していることが分かってきたからです。そして広い海に浮かんでいるゴミごみを回収するのは大変ですが、マイクロプラスチックとなってしまうと回収が不可能でそれは分解されることなくどんどん蓄積していくことが大きな懸念となっています。そして特にレジ袋やストローやペットボトルは人間の生活スタイルの中で使用され、消費・廃棄される物なので、ここをストップするのが重要な対策となってきます。次回はその具体例を紹介していきたいと思います。

https://waterstand.jp/waterlife/water_environment/waterlife00067.html

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8月8日(日)オープンキャンパス開催のお知らせ ➡︎ 来場型での開催は中止となりました(8/3)

2021年8月 1日 (日) 投稿者: メディアコンテンツコース

下記の記事を掲載後、来場型でのオープンキャンパスの開催が中止(八王子:8/8、8/22、蒲田:8/9)となりましたので、記載内容を一部、変更しました。詳細は大学HPをご覧ください。



今年3回目となるオープンキャンパスを8月8日(日)に八王子キャンパスで開催します。

前回(7月18日)は各学部、午前と午後の2回行いましたが、今回は1回のみとなりますのでご注意ください。メディア学部は14:00〜16:00に「メディア学部見学会」を行います。スケジュールは以下の通りです。

 ◎「メディア学部説明+コース紹介」:14:00〜14:30【片柳研究所棟 大ホール】(※オンライン配信のみ実施)
 ◎ 研究棟C見学:14:30〜16:00【研究棟C】 ➡︎ メディア学部オンライン見学:15:00〜16:00

「研究棟C見学」では前回のような研究室公開はありませんが、3階から5階までの10の研究室を開けますので、外からご覧いただくことができます。また、研究室内に教員がおりますので、ご希望があればその場で相談や質問にお答えいたします。研究棟C4階の会議室では、学生による相談コーナーや入試課による入試相談コーナーでの対応を予定しています。そちらもぜひご利用ください。

なお、新型コロナウイルスの感染状況によっては実施内容を変更することがありますので、ご了承ください。最新の情報は大学HPオープンキャンパスWebページでご確認ください。


(メディア学部 伊藤謙一郎)

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