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音の速さ

2021年8月 6日 (金) 投稿者: メディア技術コース

東京オリンピックも、いよいよ終盤となってきました。

オリンピックの花形種目の一つが100m走です。スターターがピストルを上に向け、「パンッ!」と鳴った瞬間にみんながスタートします。でも、あのピストルは実は鳴っていないって知ってました?

空気中の音の速さは、今の時期の気温だと、だいたい秒速340mぐらいです。ものすごく速いような気がしますが、条件によっては、音源から聞く人までの到達時間が問題になることがあります。オリンピックのトラックは幅1.22mmですので、第1レーンと第8レーンは約8.54m離れています。第1レーンの横でピストルを鳴らしたら、その音が聞こえる時間は、第1レーンと第8レーンで約0.025秒も違ってしまうのですね。百分の一秒を争う世界で、こんな差があっては不公平です。そこで今のレースでは、各走者の後ろにスピーカーがあって、そこから同時に音が出るようになっています。スターターのピストルは単なるスイッチです。ちなみに、ゴール地点にいる人が、ピストルの音を聞いてからストップウォッチで時間を測定するのは論外です。100mも離れていると、実際のスタートより0.3秒も遅く計り始めることになってしまいます。

雷や花火など、音の速さを実感できる現象は身近にもあります。秒速340mという値を覚えておくと、いろんな場面で使えるかもしれませんよ。

(大淵 康成)

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