シナリオアナリシスでよくある質問(おすすめの映画)その30前編
2021年9月30日 (木) 投稿者: メディアコンテンツコース
みなさん、こんにちは。メディア学部実験助手の菅野です。
今回も「プロのシナリオライターを目指すなら見ておいたほうが良い作品」を紹介します。
前編とのなるこの記事は、あらすじのまとめが中心です。
後編ではその内容をもとに注目すべきポイントを述べますので、そちらも読んでいただけると嬉しいです。
取り上げる映画は次のタイトルです。
『マイノリティ・リポート(2002)』
[監督]
スティーヴン・スピルバーグ
[脚本]
ジョン・コーエン
スコット・フランク
[参考URL]
https://movies.yahoo.co.jp/movie/235792/
[あらすじ]
西暦2054年アメリカのワシントンDC。ジョン・アンダートンは「犯罪予防局」で働く局員の一人である。
犯罪予防局は「プリコグ」と呼ばれる3人の予知能力者の力をシステム化して運用し、事前に殺人事件を防ぐ組織で、活動を始めてからの殺人事件発生率はなんと0%を達成。
その成果は確かに大きなものだったが、局員たちの肉体的精神的な負担も大きかった。ジョンは数年前に息子が誘拐され行方不明になったショックから立ち直れないまま職務を続けており、妻とは離婚し、麻薬に依存している日々を送っていた。
そんな折、犯罪予防局の存在に疑いの目を向けた司法調査官のダニー・ウィットアーが視察にやってくることになった。近日中に国民投票が行われ、その結果によっては犯罪予防局と同様のシステムと法律が全国で導入されることになるが、ダニーはこのシステム自体に懐疑的で、場合によってはシステムの停止を迫ってくるかもしれないため、ジョンたちは警戒を強めていた。
そんなある日のこと、ジョンがプリコグからの予知によって受け取った予知の映像は、なんとジョンが人を殺す瞬間を映したものだった。
相手はリオ・クロウという見ず知らずの男だったが、そのままでは自分が拘束されるため、ジョンは急遽犯罪予防局を脱出することになった。
なんとか追手を振り切ってジョンが向かったのは、犯罪予備局のシステム開発者であるハイネマン博士の家。ジョンは予知の映像が差し替えられ、ジョン自身が嵌められた、と考えており、それが可能な犯人を探すことができないか、ハイネマン博士に協力を求めた。
すると博士は、それを確かめるには3人のプリコグの中でもシステムの核を担うアガサの脳内にある「マイノリティ・リポート(少数報告)」を手に入れるしかない、とアドバイスしてきた。システムの達成率0%を示すため、不都合な「マイノリティ・リポート(少数報告)」は破棄されてきたが、アガサの脳にだけ残るよう博士は仕掛けをしていたのである。
再び犯罪予防局への侵入が必要となったジョンは、網膜認証のセキュリティを突破するべく、他人の眼球を闇医者に移植させ、元の自分の眼球は侵入解除のためだけに持っていった。これにより、プリコグの部屋への侵入に成功したジョンはアガサの身柄を奪取。
アガサからマイノリティ・リポートを引き出そうとしたジョンだが、結局彼女の脳内にその形跡は無かった。やむを得ず、ジョンは
リオ・クロウという見知らぬ男を追い、自分が殺すことなどないことを証明することにした。
アガサの予知能力を借り、追手をかいくぐりながら、リオ・クロウのアパートにたどり着いたジョンは、部屋の中に散らばる写真の中に、行方不明になった自分の息子の写真を見つけだす。息子の誘拐犯こそがリオだと知り、タイミングよく戻ってきたリオに、逆上したジョンが銃を突きつける様は、まさに予知映像のそれだった。
しかしジョンは踏みとどまった。リオによると、そこでジョンに撃たれることで多額の金が遺族に振り込まれる契約になっていたという。黒幕がいることは間違いなかったが、それがだれなのかリオは知らされていなかった。詳しく話を聞こうとしたが、リオは自らをジョンの銃で撃って息絶えたため、ジョンはその場を離れるしか無かった。
ジョンは妻ララのもとにアガサと共に身を寄せて事情を話し、黒幕が誰なのか思いついてララに伝えかけたが、その直後に犯罪予防局の襲撃を受けて捕縛されてしまう。
これまでの犯罪予測対象者と同じ用にジョンは投獄され、アガサも再びシステムに戻り、結局犯罪予測システムの有用性は変わらないとして、国民投票による全国展開が決まった。ジョンの抜けた穴は、ジョンを抜擢して一線を退いていたラマー局長が復帰することで埋めることになり、彼はショックの大きいであろうジョンの妻ララに、職場の私物を渡し、フォローの言葉をかけた。
そしてラマー局長の就任記念パーティが開かれたその日。お祝いの言葉を伝えたい、と手渡されたヘッドホンから聞こえてきたのは、ジョンの声だった。
すべての黒幕はラマー局長だった。ラマー局長は犯罪予測システムの実現のために、プリコグの中核であるアガサをシステムに組み込むため、アガサの母親を殺害していた。そしてその事実を隠蔽するために暗躍し、それに唯一気づけたジョンを抹殺しようとしたのである。たくみに自身が殺人を犯していないかのようにみせかけ、ジョンを投獄したことで計画は完遂したかに見えたが、ララにかけた、ジョンをフォローする言葉でボロが出た。
ララは、ジョンが捕縛直前に話した内容が、ジョンとララ自身しか知り得ない情報だったにも関わらず、ラマー局長がフォローする体で話したことに違和感を感じ、返却されたジョンの私物も活用して、密かにジョンを開放させたのである。
ジョンはラマー局長を1対1で話せる場に呼び出して迫った。ジョンを殺せば犯罪予測システムが殺人を予測出来なかったことになるし、ジョンを殺さなければラマー局長の計画はすべて明るみになる。もはやラマー局長には破滅の道しかなく、追い詰められたラマー局長は、皮肉にもパーティで送られたお祝いの銃で自身を撃ち抜いて自害した。
その後、プリコグたちの開放によって犯罪予測システムは終了となり、「犯罪予防局」も解散となり、一連の事件は終幕となった。
・・・次回は、この作品でシナリオライターとしてどこに注目すべきか、について述べていきます。
どうぞお楽しみに。