« 2021年8月 | トップページ | 2021年10月 »

2021年9月

シナリオアナリシスでよくある質問(おすすめの映画)その30前編

2021年9月30日 (木) 投稿者: メディアコンテンツコース

みなさん、こんにちは。メディア学部実験助手の菅野です。

今回も「プロのシナリオライターを目指すなら見ておいたほうが良い作品」を紹介します。

前編とのなるこの記事は、あらすじのまとめが中心です。
後編ではその内容をもとに注目すべきポイントを述べますので、そちらも読んでいただけると嬉しいです。

取り上げる映画は次のタイトルです。

『マイノリティ・リポート(2002)』

[監督]

スティーヴン・スピルバーグ

[脚本]

ジョン・コーエン
スコット・フランク

[参考URL]

https://movies.yahoo.co.jp/movie/235792/

[あらすじ]

西暦2054年アメリカのワシントンDC。ジョン・アンダートンは「犯罪予防局」で働く局員の一人である。

犯罪予防局は「プリコグ」と呼ばれる3人の予知能力者の力をシステム化して運用し、事前に殺人事件を防ぐ組織で、活動を始めてからの殺人事件発生率はなんと0%を達成。

その成果は確かに大きなものだったが、局員たちの肉体的精神的な負担も大きかった。ジョンは数年前に息子が誘拐され行方不明になったショックから立ち直れないまま職務を続けており、妻とは離婚し、麻薬に依存している日々を送っていた。

そんな折、犯罪予防局の存在に疑いの目を向けた司法調査官のダニー・ウィットアーが視察にやってくることになった。近日中に国民投票が行われ、その結果によっては犯罪予防局と同様のシステムと法律が全国で導入されることになるが、ダニーはこのシステム自体に懐疑的で、場合によってはシステムの停止を迫ってくるかもしれないため、ジョンたちは警戒を強めていた。

そんなある日のこと、ジョンがプリコグからの予知によって受け取った予知の映像は、なんとジョンが人を殺す瞬間を映したものだった。

相手はリオ・クロウという見ず知らずの男だったが、そのままでは自分が拘束されるため、ジョンは急遽犯罪予防局を脱出することになった。

なんとか追手を振り切ってジョンが向かったのは、犯罪予備局のシステム開発者であるハイネマン博士の家。ジョンは予知の映像が差し替えられ、ジョン自身が嵌められた、と考えており、それが可能な犯人を探すことができないか、ハイネマン博士に協力を求めた。

すると博士は、それを確かめるには3人のプリコグの中でもシステムの核を担うアガサの脳内にある「マイノリティ・リポート(少数報告)」を手に入れるしかない、とアドバイスしてきた。システムの達成率0%を示すため、不都合な「マイノリティ・リポート(少数報告)」は破棄されてきたが、アガサの脳にだけ残るよう博士は仕掛けをしていたのである。

再び犯罪予防局への侵入が必要となったジョンは、網膜認証のセキュリティを突破するべく、他人の眼球を闇医者に移植させ、元の自分の眼球は侵入解除のためだけに持っていった。これにより、プリコグの部屋への侵入に成功したジョンはアガサの身柄を奪取。

アガサからマイノリティ・リポートを引き出そうとしたジョンだが、結局彼女の脳内にその形跡は無かった。やむを得ず、ジョンは
リオ・クロウという見知らぬ男を追い、自分が殺すことなどないことを証明することにした。

アガサの予知能力を借り、追手をかいくぐりながら、リオ・クロウのアパートにたどり着いたジョンは、部屋の中に散らばる写真の中に、行方不明になった自分の息子の写真を見つけだす。息子の誘拐犯こそがリオだと知り、タイミングよく戻ってきたリオに、逆上したジョンが銃を突きつける様は、まさに予知映像のそれだった。

しかしジョンは踏みとどまった。リオによると、そこでジョンに撃たれることで多額の金が遺族に振り込まれる契約になっていたという。黒幕がいることは間違いなかったが、それがだれなのかリオは知らされていなかった。詳しく話を聞こうとしたが、リオは自らをジョンの銃で撃って息絶えたため、ジョンはその場を離れるしか無かった。

ジョンは妻ララのもとにアガサと共に身を寄せて事情を話し、黒幕が誰なのか思いついてララに伝えかけたが、その直後に犯罪予防局の襲撃を受けて捕縛されてしまう。

これまでの犯罪予測対象者と同じ用にジョンは投獄され、アガサも再びシステムに戻り、結局犯罪予測システムの有用性は変わらないとして、国民投票による全国展開が決まった。ジョンの抜けた穴は、ジョンを抜擢して一線を退いていたラマー局長が復帰することで埋めることになり、彼はショックの大きいであろうジョンの妻ララに、職場の私物を渡し、フォローの言葉をかけた。

そしてラマー局長の就任記念パーティが開かれたその日。お祝いの言葉を伝えたい、と手渡されたヘッドホンから聞こえてきたのは、ジョンの声だった。

すべての黒幕はラマー局長だった。ラマー局長は犯罪予測システムの実現のために、プリコグの中核であるアガサをシステムに組み込むため、アガサの母親を殺害していた。そしてその事実を隠蔽するために暗躍し、それに唯一気づけたジョンを抹殺しようとしたのである。たくみに自身が殺人を犯していないかのようにみせかけ、ジョンを投獄したことで計画は完遂したかに見えたが、ララにかけた、ジョンをフォローする言葉でボロが出た。

ララは、ジョンが捕縛直前に話した内容が、ジョンとララ自身しか知り得ない情報だったにも関わらず、ラマー局長がフォローする体で話したことに違和感を感じ、返却されたジョンの私物も活用して、密かにジョンを開放させたのである。

ジョンはラマー局長を1対1で話せる場に呼び出して迫った。ジョンを殺せば犯罪予測システムが殺人を予測出来なかったことになるし、ジョンを殺さなければラマー局長の計画はすべて明るみになる。もはやラマー局長には破滅の道しかなく、追い詰められたラマー局長は、皮肉にもパーティで送られたお祝いの銃で自身を撃ち抜いて自害した。

その後、プリコグたちの開放によって犯罪予測システムは終了となり、「犯罪予防局」も解散となり、一連の事件は終幕となった。


・・・次回は、この作品でシナリオライターとしてどこに注目すべきか、について述べていきます。

どうぞお楽しみに。

シナリオアナリシスでよくある質問(おすすめの映画)その29後編

2021年9月29日 (水) 投稿者: メディアコンテンツコース

みなさん,こんにちは。メディア学部実験助手の菅野です。

プロのシナリオライターを目指すなら見ておいたほうが良い作品の29本目「ダイハード」について、どこに注目すべきか述べていきます。

今回取り上げる「ダイハード」は1998年に公開されたアクション映画です。それまでは主人公が圧倒的な力や才能をもってヒーロー的に活躍することの多かったアクション映画において、割と普通の人が度重なる困難や数多くの敵を相手に、知恵と工夫と強い意思によって戦い、勝利する、という新しい展開を作った作品です。その後のアクション映画では、このタイプが定番の一つとなり、本作の続編はもちろん、同じタイプのアクション映画が作られていくようになりました。

では、この作品でシナリオライターとして注目すべき点はどこかといえば「連続する困難に立ち向かう主人公」についてです。

タイトルにもなっている「ダイハード」には「しぶとい、なかなか死なない」といった意味があり、主人公であるジョン・マクレーンは、続編でも何度となく不幸にも事件に巻き込まれては生き残ることから”不死身の刑事”と呼ばれたりもするわけですが、本作内だけでも、彼は数々の困難に直面し、それを乗り越えていきます。

このblogでは過去にも少し取り上げて述べましたが、主人公のジョン・マクレーンは「巻き込まれ型の主人公」です。

確かに彼は刑事であり、職務上テロリスト集団と戦うことに何の違和感もありませんが、設定上彼はニューヨーク市警の刑事であって、本作の舞台であるロサンゼルスの刑事ではないので、管轄外の職務であり、本来そこまで頑張る必要はないのです。むしろ、作中では正体を明かすことの危険性を考えて偽名を名乗ったことで、警察の協力を得られないシーンがあったりして、そんなことがあったら、普通はよりいっそう頑張りたくなくなるのではないでしょうか。

それでも主人公のジョンが度重なる困難に立ち向かうのは、言うまでもなく妻のホリーが人質として敵テロリストに捕まっていて、彼女を救い出すためには何でもやろうとするからです。もっといえば、妻ホリーだけでなく、別居してなかなか会えていない幼い子どもたちのことも考えれば、決して死ぬわけにはいかない、という思いも理解できるよう情報が提供されています。見ている視聴者側もそこに違和感は感じません。

この作品が、割と普通の人が活躍するアクション映画の先駆けになったことを前述しました。

しかし、それだけに後追いで作られた作品の中には「割と普通の人が活躍する」理由が弱く、なぜそこまでしようとするのか共感できない作品や、強引に関わらせているようで理解に苦しむ作品も数多く作られています。

例えば本作同様に刑事の職についている主人公がいたとして、ダイハード同様に何か突発的な事件が起きて「仕事だから危険でも痛くてもやります!」としか考えない主人公だったら、おそらく視聴者側は共感できないでしょう。「刑事だから」「仕事だから」だけでは、「普通の人」が活躍する理由になりえません。

そういう意味で、実は「普通の人」が必死になって行動し、それを魅力的に描く作品には工夫が必要で、シナリオライターにはそこを何とかする腕が求められます。

ダイハードを見るときは、普通の人はどうしたら「連続する困難に立ち向かう」だろうか、と考えて見てほしいです。

シナリオアナリシスでよくある質問(おすすめの映画)その29前編

2021年9月28日 (火) 投稿者: メディアコンテンツコース

みなさん、こんにちは。メディア学部実験助手の菅野です。

今回も「プロのシナリオライターを目指すなら見ておいたほうが良い作品」を紹介します。

前編とのなるこの記事は、あらすじのまとめが中心です。
後編ではその内容をもとに注目すべきポイントを述べますので、そちらも読んでいただけると嬉しいです。

取り上げる映画は次のタイトルです。

『ダイハード(1988)』

[監督]

ジョン・マクティアナン

[脚本]

ジェブ・スチュアート
スティーヴン・E・デ・スーザ

[参考URL]

https://movies.yahoo.co.jp/movie/13780/

[あらすじ]

ニューヨーク市警の刑事であるジョン・マクレーンは、別居中の妻ホリーと子供たちに合うべくロサンゼルスへやってきた。

ホリーは日本の大企業ナカトミ商事に努めており、そのナカトミ商事のビルではちょうど社内パーティが開かれている真っ最中。ジョンとホリーは久々の再会ではあったものの、ささいなことでへそを曲げたジョンのせいで口論になってしまう。

ホリーがパーティに呼び戻され、ジョンがひとり残った部屋で自己嫌悪に陥っていると、突然ナカトミビルを武装したテロリスト達が襲撃してきた。

武装集団のリーダーであるハンスは、部下たちにパーティ参加者を人質に取らせると、社長のタカギを連れ出した。ハンスたちの目的はビルの六重ガードに守られた6億4千万ドルの大金。ハンスは6重セキュリティの解除をタカギに迫ったが、タカギはこれを拒否したため、殺害されてしまった。

ハンスは社長を殺したことで人質の社員たちを脅しつつ、自力でのセキュリティ解除時間をかせぐ作戦に切り替える。すべてはハンスたちテロリストの計画通りのはずだった。ところが唯一の誤算はジョンがビルにやって来ていたこと。

ジョンはテロリストの襲撃があると、すぐさま身を隠し、工事中のフロアやエレベーターを巧みに利用して、テロリストたちを各個撃破すると、武器や爆弾や通信機を奪い取って、人質の開放と外部への救援連絡に奔走した。

苛立つハンスを尻目に、ジョンは見回りに来ていたロス市警のパウエル巡査部長のパトカーめがけてテロリストの死体をぶつけて状況を認識させると、ようやくナカトミビル内の状況が外部に伝わることになった。まもなくロス市警によってナカトミビルは包囲されたが、現場指揮官は事態を甘く見ており、安易な突撃と装甲車による突貫はハンスたちの返り討ちにあってしまい、とうとうFBIに現場の指揮が移行される。

しかし、これこそがハンスの狙いだった。FBIはビル内に陣取るテロリストの沈静化と混乱を狙って電源共有を断つ作戦にでるが、これによってナカトミビルの最終セキュリティもダウンし、ハンスは6億4千万ドルの大金を手に入れることができた。ハンスは計画の仕上げとして、人質を全員屋上ヘリポートへ集め、引き渡しに応じるFBIごと最上階を爆破、その混乱に乗じて脱出を図ろうとしていた。

しかし、その目論見は、最上階にフロアに仕掛けられた大量の爆薬を発見したジョンにはバレていた。ジョンは屋上に集められた人質を再びビル内に戻るよう誘導し、その様子をFBIにテロリスト一味だと勘違いされて撃たれもしたが、
すぐさまハンスのあとを追う。

やがてジョンはなんとかハンスのもとにたどり着いたが、もはや手持ちの銃弾は数発しかなく、満身創痍。しかもジョンの正体に気がついていたハンスは、妻のホリーを最後の人質に連れてきていた。ホリーに銃を突きつけるハンスから、武器を捨てるよう脅され、絶対絶命となったジョンは手を上げ武器を手放した。

が、手持ちの銃を離した、その背中には数発だけ弾の込められた別な銃が隠されており、一瞬をついてハンスを撃ち抜いてホリーを奪い返した。すべてを終え、ようやくビルから出ることの出来たジョンとホリーは、子供たちの待つ家へ帰るのだった。


・・・次回は、この作品でシナリオライターとしてどこに注目すべきか、について述べていきます。

どうぞお楽しみに。

ADADA Japan 2021 参加登録締め切り間近!

2021年9月27日 (月) 投稿者: メディアコンテンツコース

みなさん,こんにちは.メディア学部助教の兼松です.

今週から後期が始まりました.
開始直後に休校が挟まったり,まだまだ変則的で学生の皆さんにとっては授業の受けるだけでも色々大変な面があると思いますが元気に乗り切りましょう!
近々では履修登録など,忘れてはならない手続きなどもありますので,学内サイトのお知らせを見落とさないように注意してください.

さて,先日もご案内しましたが,ADADA Japan 2021という学会が10月8日に開催されます.
今回はメディア学部の学生も多数発表しますし,他大学の学生の発表も多いのが特徴です!
また,研究発表自体もメディア学部助教の戀津先生が作ったシステムを利用して行われます.
この学会は学生の皆さんは参加費無料で聴講できます.
遠隔での開催ですので,ご自宅からでもさまざまな研究発表や招待講演を見ることができますので,ぜひ参加してください.

ただし参加するためには事前に参加登録が必要です.この参加登録は10月1日までと,締め切り間近ですのでご注意ください!

http://adada.info/2021japan/

(文責:兼松祥央)

鉄道好きの人生(その6)「ああ、上野駅」

2021年9月26日 (日) 投稿者: メディア社会コース

国鉄千葉駅だけで実に多様な車両検分ができたのであるが、上には上がある。北の玄関、国鉄上野駅である。筆者は日曜日になると、図鑑に登場する車両が見たくて、東京に連れてってとよく駄々をこねていた。それではと父に東京駅に連れて行ってもらうと、昼間の東京駅は意外に面白くない。東海道新幹線が開通し、こだま型151系はすでになく、どの列車もいわゆる湘南型153系ばかりなのである。あとは横須賀線111系と通勤型101103系だけである。総武線カナリア色は見慣れていたので、中央線オレンジ色、山手線ウグイス色(今の黄緑色とは違う)、京浜東北線の水色を見て、流石に東京に来たという興奮を誘ったが、やはり通勤型電車だけを見ていても旅情感は今ひとつである。残念ながら、寝台特急さくら、あさかぜ、富士などを見ようとすると帰宅が遅くなってしまう。そこで向かったのが上野駅である。

まさに目を見張った。目が回るほどであった。電車ではボンネットタイプのいわゆるこだま型181485系初期型、直流急行型165系、交直両用急行型455475系、電気機関車ではEF58は言うまでもなく、デッキ型の国鉄旧型電気機関車EF57EF15、交直両用型EF 81、気動車では急行型キハ58系、特急型キハ181系、キハ81形である。これらが入れ替わり立ち替わり行き来したのである。残念ながら、キハ81形の改良型量産車キハ82形は当時上野駅で見ることはできなかった。キハ82は陸路の女王と呼ばれた優美な名車で、筆者の記憶では、1969年の3月に上野駅にしなやかに入線した姿がある。急行佐渡(165)に乗車すべく上野駅で入線を待っていた時である。その日から7年の後、紀勢本線くろしおで、白浜から天王寺までキハ82に乗車できた。途中上下交換するキハ81くろしおを見かけた時は胸が高鳴った。後述する、つばさキハ181系は、優美なキハ82の姿を踏襲しながらも、若干無骨にした感じである。

さて、上野に足繁く通った1970年当時は、昭和43(1968)101日の白紙ダイヤ改正、いわゆる「ヨンサントオ」を経た、国鉄在来線が最後の輝きを放っていた。それゆえ上野駅を発着する列車は、車両形式も新旧多様で、運行列車も多彩であった。当時上野で検分した看板列車を思いつくままに挙げてみよう。

東北、奥羽本線方面では、特急やまびこ盛岡行き、ひばり仙台行き、あいづ会津若松行き、やまばと山形行き、などは交直両用型485系であった。東北本線黒磯で直流区間から交流区間に変わる、いわゆるデッドセクションを通過するからである。北陸地方も交流区間で、上野を発着する、はくたか、白山の金沢行きもそうである。同じボンネット型でも、上越線とき新潟行き、信越本線そよかぜ中軽井沢行き、あさま(浅間)長野行きは直流の181系で、車両形式以外にも、このボンネットこだま型には、先頭部の塗装(逆三角形の国鉄特急エンブレムを挟む「ひげ」部分)に若干の違いがあった。

気動車特急では、奥羽本線経由つばさ秋田行きはキハ181系、同じ秋田行きでも上越線、羽越本線経由いなほ(稲穂)はキハ81形であった。なぜ経路が異なるのか。実は、奥羽本線福島/山形県境にある板谷峠は急勾配の難所であったので、500PSの大出力機関を持つ当時最新鋭のキハ181系つばさは奥羽本線経由であった。1971年だったと思うが、筆者は夏休みに山形に行った。往路はキハ58系急行ざおう(蔵王)が板谷峠を歩くような速さで登板し、復路は181系つばさが軽快に下っていった。しかし、181系はずいぶん揺れた記憶がある。上野駅の終着駅型ホーム(行き止まりのホーム)に入線する、キハ181つばさの轟音、常磐線ひたち(常陸)のプレートをつけて入線するキハ81いなほは西ドイツ国鉄TEE VT11.5を彷彿とさせ、上野駅検分の白眉であった。今では時効であろうが、停車中のいなほの運転席を見せてもらったこともあった。いずれの看板列車も遙かな旅路を想い、旅情を掻き立てる愛称が馴染んでいた。

ここまで拙稿を読んでいただいた鉄道好きならば肝心なものが欠けていると思うであろう。東北本線を象徴する「はつかり(初雁)583系である。583系は電車寝台特急という野心的な設計であるが、その先頭車両の形状は国鉄末期に量産された特急型車両の雛形にもなった。これも残念ながら帰宅が遅くなるので検分が叶わなかった。もちろん、「はつかり」の名声を世に知らしめたのはキハ81であったことは言うまでもない。

最後に余談であるが、東北新幹線全線開通に伴って新型車両E5系の愛称が公募された。当然、第一位は「はつかり」であった。E5系の塗装色から「はつね(初音)」も上位になったという。しかし、結果は熊本行き寝台特急で使用されていた「はやぶさ」である。理由が、当時地球に帰還した惑星探査機に因んだのかは知らない。今度こそ「はつかり」復活を信じていた鉄道好きは何を思ったであろう。降る雪や国鉄は遠くなりにけり、である。

(メディア学部 榊俊吾)

鉄道好きの人生(その5)「小さな旅」

2021年9月25日 (土) 投稿者: メディア社会コース

筆者の鉄道好きの絶頂期の一つは、国鉄が最後の輝きを放っていた昭和40年代であった。筆者が小学生の頃である。当時、小学生時代の中でも最も好き放題していた、中学年、3〜4年生であった。当時筆者には友人の同級生M君がいた。そのM君と土曜日の午後は毎週のように小さな旅をしていたのである。

余談であるが、M君は大変勉強ができ(しかも今でいうイケメンで、スポーツ万能、バイオリンも奏で、漫画の主人公のようである)、またお母さんは大変教育熱心な方であったので、よく筆者が遊びに迎えに行くと「今日も遊びに行くの」と言われたものである。当時の筆者には事情を斟酌する心得はなく、いつも屈託なく「はい!」と答えていた。

学校から帰宅して昼食を済ませると寸暇を惜しみ、国鉄千葉駅(現JR千葉駅)に13時前に到着し、10円の切符を片手に、改札を通った。当時の国鉄の最短区間の乗車料金は30円で、子供は10円であった。100円お小遣いをもらってくれば、往復の切符にジュース付きの小さな旅が楽しめたのである。

当時国鉄千葉駅には、東京方面とは反対側に千葉県内を4つの幹線が行き来していた。房総半島を東京湾沿いに走る房総西線(現内房線)、太平洋側を行く房総東線(現外房線)、銚子市に向かう総武本線、そして成田、鹿島神宮方面の成田線である。この4路線には急行列車が運行され、それぞれ「内房」、「外房」、「犬吠」、「水郷」の愛称であった。いずれも総武本線発祥の両国または新宿を始発駅とし、それぞれ、安房鴨川(内回り、外回り)、銚子、鹿島神宮/銚子(成田回り)を結んでいた。

われわれは入場後、構内アナウンスに耳を澄まし、到着する列車のホームに駆けつけ検分し、わずかな停車時間に乗務員と言葉を交わしながら、先頭車の出発音に旅情をかき立てられたのである。当時千葉県内では、房総半島方面は電化が進み、総武本線と成田以降の成田線/鹿島線は非電化であった。急行列車の車両形式は、「内房」、「外房」は湘南色の165系、「犬吠」、「水郷」はキハ28形であった。気動車編成には旧型のキハ55系列の26形、大出力の試作機であったキハ60形が混在することも少なくなかった。またキハ26形の中にはキロ25型グリーン車を改造した普通車もあり、これに乗車した時は少し得した気分になったものである。のちに県内で電化が進展すると、東海道本線から転出した153系も見られるようになった。

なお普通列車では、電化区間がいわゆる横須賀型の111形、旧型の72形等で、非電化では、量産型気動車の先駆けであるキハ17形、外見はよく似ているものの大型車両化したキハ25形、通勤型電車101系の気動車版であるキハ35形、近郊型のキハ45形などがあった。特にキハ35形の900番台はステンレス製で、一際目を引いた車両である。当時気動車王国と謳われた千葉県内の非電化区間の普通列車は、このような多様な車両形式の混成からなり、俗に凹凸編成と呼ばれていたのである。

われわれは、14:07発急行「犬吠」「水郷」(次の停車駅佐倉で切り離し)の発車を見届けると、その後の普通列車銚子行きに乗り込み、10円で行ける四街道駅で折り返し、ブドウ色の旧型国鉄電車72形などで千葉駅に戻った。そして、東京方面行きの三鷹/中野行き101系に乗り換え、西千葉駅で下車し、夕刻の家路に着いた。正確に言うと、10円区間の稲毛まで行き、下車せずに西千葉まで戻るのである。というのは、西千葉/稲毛間には気動車の車両基地があり、車窓から当日最後(往復2回)の車両検分を実施するためである。千葉駅を起点としてバラエティ豊かな車両検分を満喫できる小さな旅であった。

(メディア学部 榊俊吾)

2021年度学会報告2:日本地域政策学会全国研究【熊本】大会

2021年9月24日 (金) 投稿者: メディア社会コース

2021年 6 19日(土)~ 20日(日)に、2021年度第20回日本地域政策学会全国研究【熊本】大会が開催されました。オンライン開催で、当ゼミからは、片山君と、庄司君の2名が学生ポスターセッションに参加しました。通常のポスター発表と異なり、今回は、研究ポスターが当学会のホームページ上で1週間にわたり掲載され、その間、参加者からの質問/コメント等を受け付けるという形式でした。

ちなみに、学会報告では、通常、口頭とポスターの2種類があります。口頭発表は、1人づつ壇上に上がり、持ち時間の中で報告を行い、討論者や座長からの質問、コメントに回答し、さらに会場からの質疑に答えるなど、衆人環境の中で審査が行われる、非常に緊張を強いられるものです。一方で、ポスター発表は長時間(通常60~90)、入れ替わり立ち替わり来場者に説明、質疑に答えていく、討論形式です。口頭発表に比べると、自由に議論が深められ、研究の糧になるものです。理想を言えば、ゼミ生全員に、早い時期にポスター発表で鍛えて、口頭発表で仕上げてほしいと考えています。

https://ncs-gakkai.jp/convention/entry/

20210903-154010

(メディア学部 榊俊吾)

2021年度学会報告1:ビジネス科学学会全国大会

2021年9月23日 (木) 投稿者: メディア社会コース

 2021年度ビジネス科学学会全国大会は、626日(土)に開催校の中村学園大学で実施されました。当ゼミからは2名のゼミ生が参加を予定していました。直前まで現地開催を模索していましたが、開催校の外部者に対する入構制限が解除されず、結局遠隔での参加になりました。

https://businesskagaku-gakkai.org/

2名の参加学生は、当初、福岡市内現地調査も兼ねて宿泊先を確保していました。小生も当ゼミ演習講師の本田先生も現地入りを予定していました。ただ、今後の開催変更や、航空機の減便/欠航に伴うキャンセルも想定されたため、また混雑に伴う感染リスクを避けるため、乗車率の低かった新幹線を利用するつもりでした。余談ですが、筆者は、以前は新幹線をよく利用していました。確かに長時間の移動にはなりますが、出発地/目的地によっては、最低1時間前に羽田空港に向かうのに対して移動時間でも十分対抗できるからです。しかも、新幹線乗車中は、集中できる環境にあり、報告資料も車中で作成できます。福岡はまさにこのような条件を満たしています。

さて、閑話休題。今年は、樋口さんと加藤君が報告しました。当日のプログラムは以下の通りです。参加された先生方から多くのコメントをいただき、また、終了後の会員総会で学会長の片山富弘先生から絶賛されました。小生にとっては、開催校の大学院生のチョウさんと徐先生の事例研究が大変充実していたと思いました。経営系の分野では、やはり実証研究には迫力があります。当ゼミ生もぜひ充実した実証研究で成果を上げて欲しいと思います。

20210903-154545_20210912133401

(メディア学部 榊俊吾)

2021年度卒研生学会報告の見込み

2021年9月22日 (水) 投稿者: メディア社会コース

今年度の学会も、オンライン実施が中心になりそうです。当研究室では、現時点で、例年に準じて以下の参加を予定しています。今年度ゼミ生の中には地域研究を行なっている学生もいるので、現地調査も兼ねてぜひ地方学会に参加できればと考えています。

情報文化学会北海道支部研究会(北大5月→中止)

ビジネス科学学会全国大会(中村学園大626日→遠隔開催2名参加)

日本地域政策学会全国大会(熊本大会619~20日→遠隔開催2名参加)

情報コミュニケーション学会研究会(明治大学7月→遠隔開催、不参加)

情報文化学会全国大会(遠隔10月→遠隔開催3名参加予定)

社会情報学会中国四国支部会(島根大学12月→現地及び遠隔で実施、参加者調整中)

ビジネス科学学会九州支部会(中村学園大12月→現地開催予定)

社会情報学会中国四国支部会(高知大学あるいは香川大学2022.2月→未定)

さて、学会に参加するにあたって、現地と遠隔では、当然それぞれに長所短所があります。昨年の経験からは、いずれも学会報告という審査面での優劣はないように思います。現地参加では、学生にとって、やはり(初対面の)参加者を直接目の前にして相当の緊張を強いられます。一方、遠隔では直接視線を浴びない分、緊張感は少しほぐれるようです。その意味で学会という敷居は少し低く感じられるかもしれません。また、質疑の時間等も十分に確保されていれば、報告後に充実した議論が行えます。しかし、学生にとって今後の研究の糧になるのは、報告登壇時の質疑に限りません。むしろ、報告後の休憩時間、懇親会等非公式の場において色々な参加者と相対して立ち入った議論を行える点にあります。この点、現時点では現地参加に分がありそうです。今年も日頃のゼミでは得られない知見を学会で吸収してほしいと考えています。

(メディア学部 榊俊吾)

2022年度卒研生選抜

2021年9月21日 (火) 投稿者: メディア社会コース

来年度2022卒研生の募集が6月下旬に実施されました。新たに12名の学生諸君が当ゼミに参集してくれました。今年も募集にあたり、2週間ほぼ毎日遠隔で説明会を実施しました。その大半は筆者が当ゼミの歴代の実績を中心に、研究領域やゼミの運営上の特徴、雰囲気を紹介するものでしたが、今回は2回にわたって現役4年次生のゼミ風景の見学会も実施しました。

実は、昨年はできなかったこのゼミ見学こそ、当卒研の説明会でこれまで歴代にわたって実施してきたもので、その特色を隅から隅まで実感してもらえるものと自負しています。今年配属された学生諸君も現時点で入手可能な情報を最大限活用した上で、合理的な意思決定をしてくれた結果につながってくれていると思います。9月からの助走を経て、当ゼミにまた新たな研究実績を蓄積してくれるものと期待しています。来年度ゼミ生12名の研究テーマは以下の通りです。研究テーマは自らの関心に基づき自由に決める、という当研究室の伝統を引き継ぎ、多様で面白いテーマが並び、大変楽しみです。

4大税理士法人の現状と今後

韓国のエンターテイメント企業(HYBE)のビジネスモデルに関する研究

Mリーグがもたらす麻雀のイメージアップと今後の展望

コロナ禍においてスーパーの現状とこれからのマーケティング方法

自動二輪車の環境規制と現状

アマチュアサッカーの現状と今後の展望

バーチャルYouTuberについて

ゲームやアニメの時代ごとの変化

ファンの布教活動はコンテンツに対しどのような影響を与えているのか

Vtuber 業界の現状と展望

通信販売業界の発展と今後

バーチャルユーチューバーのイベント及びコラボレーションが商品の認知に及ぼす影響 の調査及び研究

(メディア学部 榊俊吾)

2021年度卒研の紹介

2021年9月20日 (月) 投稿者: メディア社会コース

本日より連投で、投稿しましょう。前半5回が2021年度夏学期の研究室実績報告で、後半の2回が「鉄道好きの人生」シリーズです。

2021年度卒研の紹介

新年度も、ゼミは遠隔実施を決めました。諸外国の動向、変異型の出現などからわが国でも引き続き感染拡大となる事態が想定されたからです。また、昨年の経験から、議論中心の当ゼミの特徴、運営実績、達成度を評価すると、見出した課題を逐次改善しながら十分な成果が挙げられていることから、諸般の事情に鑑み、現時点で遠隔実施を総合的に凌駕する実施方法も見出せません。

余談ですが、意思決定を論じるとき、想定しうる諸事象の発生可能性と便益を勘案して合理的な選択肢を見出す、という教科書的な方法があります。しかし、ここには、両者が現実的に計測、評価できるという前提があります。また、選択肢間で独立に比較可能か、という根本的な問題もあります。選択肢間で、いずれかが前提になっている、という順位の問題も存在します。健康であるからこそ学問を行えるという、当たり前の話ですが、合理的意思決定という建前の前に見失われがちな常識と言えるでしょう。

さて、本年度ゼミ生12名の研究テーマは以下の通りです。今般の制約を乗り越え、全員が学会で報告できることを期待しています。

日本国内における煙草業界の経済状況と今後について

若者女性好みの薄顔男性流行顔

女性アイドルグループ音楽作品のビジネスモデル研究

ソーシャルゲームの発展

日本の地方の現状と地方活性化成功例の分析

日本のeスポーツ業界の現状と展望

和菓子の消費・業界動向と今後の展望について

地下アイドルのビジネスモデル調査

東京ディズニーリゾートのイマジネーションと人気度の関連性について

コロナ禍での化粧品業界について

新型コロナと欧州5大リーグ

日本におけるSVODの現状と展望

(メディア学部 榊俊吾)

DXって流行ってますね!(メディア学部の授業もDX その1)

2021年9月19日 (日) 投稿者: メディア技術コース

新しい研究テーマを始めた健康メディアデザイン研究室の千種(ちぐさ)です。人体を健康メディアとしてとらえメディアをつかって自らの健康をデザインするための研究を行っている研究室です。

今、コロナ禍の中で様々な活動が変革している最中ですが、DXというキーワードがICT業界において注目されています。DXとはDigital Transformationの略でwikipediaによると

“「ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」という仮説である。デジタルシフトも同様の意味である。2004年にスウェーデンのウメオ大学教授、エリック・ストルターマンが提唱したとされる。ビジネス用語としては定義・解釈が多義的ではあるものの、おおむね「企業がテクノロジー(IT)を利用して事業の業績や対象範囲を根底から変化させる」という意味合いで用いられる。

なお、本用語は「DX」と表記されることが多いが、「Transformation」の「Trans(交差する)」という意味があるため、交差を1文字で表す「X」が用いられている。頭文字をとったDTだけではプログラミング用語とかぶってしまうため、DXという略語になった。また英語圏では「transformation」の「trans」の部分を「X」と略すことが一般的だからである。”

とあります。Google Trendで “デジタルトランスフォーメーション” の検索件数の割合(Google Trendでは検索件数は表示される、検索割合の変化を表示します)を比較すると、2016年くらいから立ち上がってきて、2019年から2021年の2年間で倍増しています。まだブームを形成する途中かもしれませんが中々のブームです。

Photo_20210918075501

東京工科大学メディア学部の授業も去年の2020年4月は休講、検討および準備期間を経て、5月末からzoomを使用したオンライン授業が開始されました。このメディア学部の授業は未知の感染症に対する予防策として、学生と学生および学生と教員がまったく接触しないという授業スタイルにより導入されました。これが東京工科大学の授業のDXです。オンライン授業では学生の授業の前後の発生する通学という概念がなくなりました。教員にとっては学生の反応が見えづらいという意見も多々ありました。この変化をGoogle Trendで確認してみると2020年3月に少し立ち上がり、2020年4月にはピークを形成したブームとなっていました。

Photo_20210918075601

例えば20人の演習中に、4人のグループワークを実施したい時、対面授業では演習室のテーブルごとにディスカッションするというスタイルでしたが、Zoomにはブレイクアウトルームという小部屋が使用できる機能があり、これにより4人の5部屋を用意して、それぞれのグループがグループ外と遮断されて、資料共有やディスカッションできるものです。これは隣のグループの音漏れもなく対面よりは優れた機能でした。またオンライン授業により遠方から通学する学生にとっては歓迎する声も少なからずありました。

ここでGoogle Trendで、”デジタルトランスフォーメーション”(青色:5) と “オンライン授業” (赤色:100)とおまけに “オンライン会議” (黄色:19)を同時にプロットしてみます(下図)。それぞれの検索件数は分かりませんが、2つのキーワードの検索件数の多さの比率が確認できます。オンライン授業のインパクトがかなり凄まじいことが確認できます。企業が中心のオンライン会議も急激に増えましたが、社会全般へのインパクトはオンライン授業の方が強かったようです。

Dx

しかし2020年前期の実績を踏まえて、授業によっては、対面授業の方がより教育効果が高いケースもあり、適切な感染対策をした上での対面授業も再開されました(下図、参考 https://spectee.co.jp/report/webinar_20201027/ )。

このようにメディア学部の授業スタイルもDXを導入して多様化してきました。これが2020年の東京工科大学およびメディア学部の授業におけるDXでした。DXの後半ではメディア学部らしいオンライン授業のちょっとしたDXを今回も含めて4部構成で紹介します。

〇メディア学部の授業のDX(オンライン授業、今回)
・外付けウェブカメラと照明によるDX
・賢い外付けウェブカメラによるDX
・ジェスチャーを自動認識するウェブカメラのDX

 

Photo_20210918075502

以下、本件も併せて4編のブログになります。

〇メディア学部の授業のDX(オンライン授業もDXその1)
http://blog.media.teu.ac.jp/2021/09/post-190ac7.html

・女優ライトって知ってますか?(メディ学部の授業もDXその2:照明編、外付けウェブカメラと照明によるDX)

http://blog.media.teu.ac.jp/2021/10/post-a97078.html

・カメラマン不要論!?(メディア学部の授業もDX その3:カメラマン編、賢い外付けウェブカメラによるDX)
http://blog.media.teu.ac.jp/2021/10/post-68450e.html

・ジェスチャーを自動認識するウェブカメラのDX

プロジェクト演習「サーバ構築・管理」の紹介

2021年9月18日 (土) 投稿者: メディア技術コース

皆さん、こんにちは。

メディア学部の寺澤です。今日は私の担当しているプロジェクト演習「サーバ構築・管理」について紹介します。テーマ名からコンピュータサイエンス学部のようだと思われたかもしれませんが、実際、内容はかなり技術的なことを扱っています。メディア学部でもこのようなことを学びたいという学生の皆さんは一定数いるので、少人数授業ではありますが、これまで数年にわたって続けてきました。

この演習は前期と後期で内容が違います。前期の方がAdvanced版で難しく、こちらは2年生と3年生が対象です。後期は1年生~3年生が対象です。1年生は大学入学直後にAdvanced版を受講するのは困難と判断し、後期のテーマを受講後、翌年以降に前期のテーマを履修してもらうような設計です。

もうすぐ始まる後期の方の内容は、LinuxというOS上でWebサーバをはじめとする様々なサーバを実際にインストールし、運用・管理まで学ぶものです。Linuxは初めてという人がほとんどですので、対面で授業が行えていた時には演習用のPCにLinuxをインストールところから始めていました。PCの箱の中を見たことがないという人もいますので、ハードウェアの説明をしたり、実際、PCをマザーボード等のパーツレベルから組み立てた年もあります。同時にコンピュータネットワークについて勉強し、実践していきます。後半は前期のテーマに向けた仮想化の演習なども行います。最後は、各自が選んだ種類のサーバの構築とそれに関するレポート(インストール、設定、運用方法など)を作成します。

この2年ほどは、対面での演習がやりにくいこともあり、同じことをクラウドサービス上の仮想コンピュータを使って演習してきました。仮想コンピュータは「わかっている」人にはとても便利でオンラインの演習にも適していますが、初めての人には、言われたことをやっているだけでわからないことだらけになってしまいがちです。実機での演習と比べるとどうしてもそのような感じがあります。Linuxもだんだん身近になってきており、Windows 10ではWSL2という仕組みで本格的にLinuxを動かせますし、Raspberry Piなどの数千円のボードコンピュータでも動かすこともできます。これらもどんどん活用していきたいと考えています。

コンピュータネットワークの勉強やプログラミングにも共通して言えることですが、講義や書籍で学んだことは前提知識とはなりますが、それは大体の場合「わかったつもり」で終わります。実際にネットワークを構築したりプログラムを作成して、通信がうまくできないネットワークや動かないプログラムと格闘することを通してしか本当の意味での理解はできないと思います。Linuxに興味はあるけど独学に自信がないとか踏み出せないという人は、ぜひ、このテーマを受講してみてください。なお、ネットワークについては、私の専門演習のテーマでもより踏み込んだ内容を演習します。そちらにもつながるプロジェクト演習です。

(メディア学部 寺澤卓也)

後期の授業紹介:メディアプログラミング演習 HTML5+javascript

2021年9月17日 (金) 投稿者: メディア技術コース

助教の戀津です。

昨日一昨日に引き続き、後期の授業を紹介します。
(今回は金曜開講の授業紹介なので、開講日は比較的近いです。)

「メディアプログラミング演習」は、今年度から三年生の後期に新たに開講されることになりました。
卒業研究への配属に備え、各研究室の分野で前提知識として修めておいて欲しいプログラミング関係の内容を各教員が担当します。
今年度は6名の先生方が開講しており、私もその中の一つ「HTML5+javascript」を担当します。
履修する際には授業としてはメディアプログラミング演習を選択し、その中のどれかのテーマに参加するという形です。

「HTML5+javascript」では、Webアプリケーションを作るための基本的な技術について触れながら、その中でも特にデータの入出力と描画についてを学習します。
フォーム機能をはじめとしたHTMLの記述方法
と、javascriptを用いたデータの操作を扱います。
また、SVGという技術とjavascriptを組み合わせることで入力されたデータをグラフィカルに扱うことができます。

これによって、研究活動中に発生するデータの記録及び処理についてWebアプリケーションの形で行えるようになります。
Webアプリケーションの作成が自身で行えるのであれば、フォームの組み立てや入力後の処理・表示に至るまでを行えるので、自身の研究に適した形にでき効率的な研究活動に繋がります。

メディアプログラミング演習は、各卒研室の配属予定の学生を想定していますが、教員が許可すれば他の卒研配属予定でも参加できます。
もちろん、私は柿本・戀津研の方を対象に想定していますが、そうでない方でも歓迎します。

データ入出力はどの分野の研究でも役に立つと思いますので、興味があれば是非受講してみてください。

後期の授業紹介:クリエイティブ・アプリケーション

2021年9月16日 (木) 投稿者: メディア技術コース

助教の戀津です。

昨日に引き続き、後期の授業の紹介です。
今日は水曜日に開講される、プロジェクト演習の「クリエイティブ・アプリケーション」について紹介します。
在学生の皆さんには履修計画の参考に、高校生の皆さんには来年度以降の参考になれば幸いです。

クリエイティブ・アプリケーションでは、主にiOS(iPhoneやiPad)向けのアプリ開発を行います。
しかし、授業のうち多くの時間を人文学の学習に充てています。前期はメディア史と西洋美術史を主に扱い、この後期では東洋思想についても触れていきます。
一見関係がなく、遠回りどころか寄り道のように感じますが、実はこういった学習がアプリケーション制作にも大きく役立ちます。

そして、ビジネスモデルキャンバスというものを使い、アプリケーションを創作するために必要な情報を整理する手法を学びます。
これまでに得た古今東西様々な知見を踏まえつつ、具体的なフレームワークを活用しながらアプリケーションの設計を行います。

これらの学習を通じて、「アプリケーションを作る」ことそのものというより、「アプリケーションを作る力をつける」ことを目指します。

 

また、人文学の学習と並行して、Lily Playground Booksという教材を用いたプログラムの学習も行います。
iPadとMacで利用できるプログラミング教材で、Swift言語を用いてプログラミングに入門できます。
学習を進めながら、美しい模様や様々な視覚効果を表現できるようになっており、出てくる絵を楽しみながらも魅力的な表現を学べます。

このBooksは演習講師の渡邉賢悟先生が開発され、Apple社の「Swift Playgrounds」Appの上で無料で誰でも利用することができます。
自習も可能ですが、当演習は開発者が講師として進め方をわかりやすく支援してくださいます。
直接の質問や相談をしながら学べるのも大きなメリットです。

アプリケーション制作には美的感覚とスキルがともに必要です。
美的感覚の根拠となる多くの知見を学びながら、具体的なスキルを身に着け、それらをアプリケーション制作に活かす具体的方策に触れることのできる演習です。

開講日の都合で第一回は少し先ですが、是非履修を検討してみてください。

後期の授業紹介:コンテンツビジュアライゼーション

2021年9月15日 (水) 投稿者: メディア技術コース

助教の戀津です。

今年度後期は、開講日の関係で水曜と木曜の授業開始がいつもより少し遅くなります。
そこで、私の関係する授業について先に大まかな紹介をしようと思います。在学生の皆さんには履修計画の参考になれば幸いです。
今日は木曜開講予定の、先端メディア学/先端メディアゼミナールのテーマである『コンテンツビジュアライゼーション』について紹介します。

そもそも先端メディア系の授業についてですが、一年後期から三年前期にかけての二年間で、早いうちから各教員の研究テーマに近い専門的な内容を扱うというものです。
通常は一~二年生は基礎的な内容を扱い、三年生以降に研究に関わるのですが、それを前倒しで経験できます。
その分履修に条件があるのですが、少人数で専門性の高いチャレンジができるので、条件を満たせる方は是非お勧めします。

コンテンツビジュアライゼーションでは、映画やアニメ、ドラマなどの映像コンテンツの分析を行います。
分析から、その物語や描写方法の特徴を見いだし、可視化を行うという内容です。以前紹介した研究室の取り組みのうち、分析と可視化までの部分を行うというものです。
うまく分析できれば可視化結果そのものが興味深いものになりますし、そこからわかった特徴をより抽象化できれば自身が作品を作る際の補助にもなります。

授業は1名~数名程度で行い、分析結果の共有とディスカッションが主な内容になります。
分析結果を確認して分析方法を見直し、また分析を繰り返して客観性や正確性を高めていきます。
そして、その結果をわかりやすく表現するにはどのような描画方法がよいかを検討していきます。

可視化方法は初めのうちはパワーポイント等を使いますが、後にはHTMLとjavascriptを使った動的な可視化システムの構築を目指します。
また、
以前にも紹介()しましたが、分析から有用そうな結果が得られたら論文にまとめて学会での発表も目標とします。

私見ですが、研究活動を通して得られる経験値は非常に大きいです。学会発表を行うレベルであればなおさらですし、学会発表自体も大変よい経験になります。
研究活動や学会発表の機会を早いうちから持てるチャンスでもありますので、履修を迷っている方は是非検討してみてください。

September

2021年9月14日 (火) 投稿者: メディア技術コース

メディア学部の大淵です。

9月に入って、大学はまだしばらく夏休みです。さて、9月をテーマにした名曲のひとつに、Earth, Wind & Fireの"September"がありますが、先日この曲を聴きながらネットを見ていたときに、「Septemberは曲の途中でテンポが変わる」という記事を見つけました。以前から、この曲を聴くと微妙な違和感を覚えることがあったのですが、なるほどそういうことかと思いました。とはいえ、ここは自分でしっかり確かめないと納得できません。客観的な数値を見るために、BPM(1分あたりの拍数)検出のアルゴリズムを適用してみましょう。幸い、今はそういう目的のためのライブラリがすぐに見つかります。さっそくpythonでこんなプログラムを書いてみました。

import librosa
y, sr = librosa.load('SEPTEMBER.wav')
n = len(y) // (sr*20)
for i in range(n):
    z = y[sr*20*i:sr*20*(i+1)]
    onset_env = librosa.onset.onset_strength(z, sr=sr)
    tempo = librosa.beat.tempo(onset_envelope=onset_env, sr=sr)
    print(tempo)

20秒刻みでBPMを調べてみたのですが、オリジナル音源では、確かに最初はBPM=123ぐらいで始まり、後半はBPM=129ぐらいになっているようです。もちろん、あえてそのように演奏しているのでしょうが、念のため別のライブ音源でも調べてみたところ、そちらはずっとBPM=123でした。やはり状況によっていろいろなんですね。

私自身はそんなに音感が良い方ではありませんが、それでもコンピューターを使ってこんなふうに手軽に音楽分析ができるというのも、現代ならではという気がします。

研究紹介 - 道案内する風船の犬 (太田・加藤研究室)

2021年9月13日 (月) 投稿者: メディア技術コース

メディア学部というところは一体どんなことをしているのだろうと思っている高校生の方に向けて、現在、当研究室で行っている卒業研究のいくつかを紹介したいと思います。本学の下級生にも参考にしてもらえるといいなあ。

 

今回の記事で紹介するのは、道案内をする風船の犬を作る研究です。犬などの形をしたバルーンが売られているのはご存知でしょうか?ふわふわと浮いているのですが、浮力がちょうどいい具合に調節されていると紙でできた足が地面について、なんとなく歩いているように見えるおもちゃです。これが先導して道案内をしてくれる、ということを考えているのです。

 

Screen-shot-20210826-at-170903_1000

 

どうやって実現するのか?というところですが、大きく分けて3つの機能を用意しなければなりません。一つはマップ情報を利用して、現在地から目的地までのルートを割り出すこと。2つ目に、GPSを利用してルート上のどこにいるかを確認し、犬の風船の移動方向を判断すること。3つ目が、犬が歩くように駆動力を与えること、です。

 

Screen-shot-20210826-at-175606_1000

 

これまでルートを割り出すことはできており、現在、風船の駆動力を与えるために紙を利用したアクチュエーター(動作する部分)を犬の足として採用することを考えているところです。これは、空気圧を使って紙を伸ばしたり縮めたりすることを利用しようとするものですが、はたしてうまくいくか…。例えうまくいかないとしても、色々なことを試してあーだこーだとするのが研究ですね。最終的にうまくいけばいいのですが、試したことの量によってどんどん知見が溜まっていきます。また上で述べたように、複数の要素をいかに上手に組み合わせられるか、ということも重要な部分です。この研究では技術的な要素の組み合わせになりますが、複数の考察要素を組み合わせて一つにまとめるということはどんなテーマの研究にも共通していると思います。

 

Screen-shot-20210826-at-175637_1000

 

 

ところで、道案内であれば、Google Mapなど色々便利なアプリがあるのに、なぜわざわざこんなものを考える必要があるのか…、と思われる方も多いかもしれません。学会などでも、そういうことを質問する人はそれなりにいます。しかしながら、機能さえ使えればそれがどのように提供されても同じと考えるでしょうか?例えば、すごく使いにくいものでも、道案内の情報が提示されていればそれでいいと思うかというとそうではないでしょう。したがって、使いやすいインターフェースのアイデアが考えられ、それが他のアプリとの差別化になっています。ところで、人は実用的な目的だけで行動しているかというと、それもそうではないのではないでしょうか?したがって、アプリも実用的な面だけが必要とされるわけではないと思います。人の感情面はサービスや機能の実現を考えるときに往々にして考慮から漏れてしまいがちですが、「楽しい」、「面白い」、「美しい」、「和む」などは人が関わるものをデザインするときには重要な要素になります。この研究は、道案内という実用的な目的に対して、そういった人の感情を考慮した提示方法を追求しているものなのです。

 

さて卒業研究の期間は後半年ですが、なかなかコロナの収束がみえないなかでどこまで実現できるでしょうか。面白い結果が得られることを期待しています。

 

 

 

太田高志

シナリオアナリシスでよくある質問(おすすめの映画)その28後編

2021年9月12日 (日) 投稿者: メディアコンテンツコース

みなさん,こんにちは。メディア学部実験助手の菅野です。

プロのシナリオライターを目指すなら見ておいたほうが良い作品の28本目「フェイス/オフ」について、どこに注目すべきか述べていきます。

今回取り上げる「フェイス/オフ」は1997年にジョン・ウー監督によって撮影された映画で、ジョン・ウー監督の象徴ともいえるアクションシーン満載の作品で、作中の随所で展開される銃撃戦の数々には熱狂的なファンが大勢いる人気作です。

では、この作品でシナリオライターとして注目すべき点はどこかといえば「主人公の存在感を明確にしている」という点です。

基本的に「主人公」という役割には、作中の映像時間の多くが費やされるものなので「存在感を示せない主人公なんていない」と思う人がいるかもしれません。実際、この「フェイス/オフ」でも主に時間やシーンを費やしている登場人物は、主人公のショーンです。

しかし、この作品はシナリオ上最大の特徴として「顔を入れ替えられた者同士が、元の顔の人間を演じなければならない」という要素があり、主人公は敵役を演じ、敵役が主人公を演じることで物語が進行していきます。このため、一般的にこの作品は「ダブル主人公」もしくは「表主人公と裏主人公」の作品、だとも評されます。

多面的な視点になって物語が進展する面白さがあって、こういった「ダブル主人公」の作品はよく見かけるのですが、一歩間違えると、観客を混乱させてしまい、作中の誰に共感して良いのかわからなくなって楽しめなくなる危険があります。

主人公という役割には作中の映像時間の多くが費やされる、と前述しましたが、それは逆に言うなら、観客に共感してもらうためには、それだけのコストを支払う必要がある、ということでもあります。「ダブル主人公」にする、ということは、一人に費やせるコストが半分になるということでもあり、単純に考えれば提供される情報も半分になるわけです。

その点、「フェイス/オフ」は巧みで、主人公は自分の生活、家族、仕事などを一瞬で敵役に奪われ成りすましの被害に合うわけですが、成りすましとなった敵役は敵役で、主人公がもともとどんな態度で生活、家族、仕事に向き合っていたのかを考慮して動かねばならないため、ある意味主人公の代役として情報提供をする役も担っています。

それでいて、主人公は主人公として「なりすましに奪われたものを取り戻す」という主目的が成立しており、観客は最後まで「奪われたものは取り戻せるのか?」と気になる展開になっている点で、強い存在感を見て取ることができます。

また、前編のあらすじでは端折った部分ではあるのですが、この作品においては「家族愛」がテーマとして感じられるシーンが多々あり、主人公が普段の生活でうまく接することができずギスギスしていた妻と娘に対して、敵役がなりすましたらスムーズにやり取りできるようになっていたり、ある意味皮肉なシーンがあって、主人公は私生活が下手なやつだな、と思わせてくる「存在感」の出し方も興味深いです。

映画を見る際、特に映画館で見る場合はアクションシーンがひときわ目に付きますし、大画面や大音量もあいまってその部分が印象に残りやすいものなので、えてしてジョン・ウー監督作品といえばアクションシーンに目がいきがちですが、それらアクションシーンは、主人公たちが何らかの決着をつけるために必要だと思わせてくれる前提があるからこそ魅力的に感じられるものです。なんの思い入れも感じない、存在感の無い主人公と敵役が戦ったところで、魅力的なシーンには感じられないでしょう。

きっかけは「アクションシーンを見てみたい」でも良いと思いますが、ぜひ「フェイス/オフ」を見て、ジョン・トラボルタとニコラス・ケイジが演じる二人の主人公の存在感を感じてみてください。

シナリオアナリシスでよくある質問(おすすめの映画)その28前編

2021年9月11日 (土) 投稿者: メディアコンテンツコース

みなさん、こんにちは。メディア学部実験助手の菅野です。
今回も「プロのシナリオライターを目指すなら見ておいたほうが良い作品」を紹介します。
前編とのなるこの記事は、あらすじのまとめが中心となります。後編ではその内容をもとに注目すべきポイントを述べますので、そちらも読んでいただけると嬉しいです。
取り上げる映画は次のタイトルです。
--
『フェイス/オフ(1997)』
【監督】
ジョン・ウー
【脚本】
マイク・ワーブ
マイケル・コリアリー
【参考URL】
https://movies.yahoo.co.jp/movie/83677/
【あらすじ】
FBIのショーン・アーチャーは感情的になりやすい面もあるが敏腕な捜査官で、とても家族思いの男。しかし、それゆえにテロリストのキャスター・トロイに付け狙われ、息子のマイケルと遊園地で過ごしていたところを狙撃されてしまう。ショーンは一命をとりとめたものの、貫通した弾丸によってマイケルは命を落としてしまった。
それから6年の歳月をかけてショーンはキャスター逮捕の捜査を続け、ついにキャスターが弟のポラックスと共に国外逃亡しようとする航空機を抑え込み、激戦を制して逮捕に成功する。
悲願を達成し、落ち着けるかと思いきや、キャスターは逃亡直前に大規模被害をもたらす時限式細菌兵器をロサンゼルスのどこかに仕掛けていたことが判明。しかし、当のキャスターはショーンに敗北した際に植物人間となっており、計画の詳細は聞き出せない状態だった。
他に細菌兵器の設置場所を知るのはポラックスのみだったが、ポラックスはキャスター以外とは口をきかない、と黙秘をしていた。植物人間状態であるキャスターを引き合わせることもできず、時限装置の刻限が迫る中、FBIの極秘任務としてアーチャーにキャスターの顔を移植してキャスターになりすまし、ポラックスから情報を引き出す作戦が決行されることになった。それは誰よりもキャスターのことをよく知るアーチャーにしか出来ない作戦だったが、息子の命を奪った者の顔になる苦痛は計り知れなかった。
アーチャーはポラックスの収容されている特殊監獄にキャスターとして潜入する。それはFBIの中でも一部の人間にしか知らされないままの極秘任務で、看守や囚人たちから手酷い仕打ちも受けたが、なんとかポラックスとの接触に成功し、怪しまれながらも細菌兵器の場所を聞き出すことに成功する。
まもなくFBIから面会人が来たとのことで、細菌兵器解除の任に戻ろうとしたショーンだが、そこに現れたのは潜入任務を知る仲間ではなく、本来の自分の顔と入れ替えたキャスターだった。キャスターは奇跡的に蘇生してショーンの顔を移植した後、秘密任務を知る者たちを全て抹殺し、完全にショーンになりすまして監獄にやってきた。もはやショーンの正体を証明してくれる者はおらず、ショーンは監獄から出られなくなってしまった。
キャスターは司法取引したという名目でポラックスを釈放させ、自身で設置した細菌兵器を自身で解除しただけだが、これを成功させたことでアメリカの英雄となった。一方、全てを奪われたショーンは脱獄を決行。協力してくれた囚人たちの犠牲もあったが、再びロサンゼルスに舞い戻った。
ショーンは捜査官のときに突き止めていたキャスターのアジトへ向かい、キャスターとして振る舞い、協力を取り付ける。しかし、その動きはショーンとして振る舞うキャスターによってFBIに察知されていた。すぐさまアジトは激しい銃撃戦の地となる。一瞬の機転によってポラックスを屋根から突き落として絶命させたショーンは、弟の死にショックを受けるキャスターの隙をついて、窮地を脱した。
ショーンは密かに自宅へ戻ると、妻であるイヴに事情を話し協力を仰いだが、イヴは息子を殺したテロリストの顔をしているショーンの姿に怯えるばかりで話にならない。やむをえずショーンは自分はO型で、自分になりすましているキャスターはAB型だから確かめて欲しい、と言い残してその場を去った。
その後、この出来事が気になったイヴは、ショーンの顔をしているキャスターが、寝室で眠りこけた一瞬をついて採血、自身が勤める病院で検査して、今の夫が別人にすり替わっていることに気づく。それを確認したショーンは再びイヴの前に姿を現し、二人しか知らない馴れ初めのエピソードを話したことで、ようやく正体を信じてもらうことができた。イヴの協力をとりつけたショーンは、翌日行われる葬儀にイヴとキャスターが夫婦として同席すると知り、そこで決着をつける意思を固めた。
ショーンは1対1で決着をつけるべくキャスターを誘い出したが、キャスターは巧みに逃げ回ったあげくにイヴを盾にして脅迫したり、遅れてやってきた娘のジェイミーを人質に取ったり、卑怯な手を尽くしたが、やがて追い詰められ、ショーンによって容赦なくとどめを刺された。
すべての事件が解決した数日後、本来の顔を取り戻して帰宅したショーンは家族と抱き合って喜びを噛み締めるのだった。
--
次回は、この作品でシナリオライターとしてどこに注目すべきか、について述べていきます。
どうぞお楽しみに。

9月20日(月・祝)LIVE配信「オンライン キャンパス見学会」のご案内

2021年9月10日 (金) 投稿者: メディアコンテンツコース

皆さん、こんにちは!

LIVE配信による「オンライン キャンパス見学会」が9月20日(月・祝)に開催されます。

メディア学部の見学時間は13:00〜14:00で、3つの研究室の教員が研究紹介や制作物のデモンストレーションを行います。

 ① 柿本・戀津研究室(ビジュアル&コンテンツインフォマティクス)
  【メディア技術コース】/
  「テーマ:作品に潜む構造と技術」
 ② 吉岡研究室(聴覚障害支援メディア)【メディア社会コース】/
  「テーマ:アプリで多様性を実現」
 ③ 川島研究室(次世代 CG クリエイション)【メディアコンテンツコース】/
  「テーマ:最新CG技術と作品紹介」

LIVE配信をご覧いただきながら、チャットで教員への質問もOKですよ。受験生はもちろんのこと、高校1・2年生の参加もお待ちしています。申込制(定員制)になっていますので、視聴をご希望の方は大学HPからお申し込みください。

以下の写真は、8月8日(日)と8月22日(日)のオンライン型オープンキャンパスで行われた研究室紹介の様子です。
(※9月20日の見学会とは内容・担当教員が異なります)

0808oc_a 0808oc_b
0822oc_c 0822oc_d

上記のLIVE配信のほか、9月20日(月・祝)〜10月31日(日)に以下のオンデマンド動画を配信します。こちらは申し込み不要で、期間中にいつでもご覧いただけます。

 ◎大淵学部長によるメディア学部紹介
 ◎羽田研究室(AED-LAB)/メディア学部の研究室とは?:五感を操るテクノロジー
 ◎模擬授業[竹島教授]【メディアコンテンツコース】/視覚でデータを分析する
 ◎模擬授業[藤澤講師]【メディア技術コース】/AIが創る顔写真
 ◎模擬授業[吉岡講師]【メディア社会コース】/メディアとSDGs

メディア学部・大学院の紹介、各コースの研究紹介動画、3D画像「バーチャルキャンパス見学」などのコンテンツは、こちらから常時視聴いただけますので、併せてぜひご覧ください!

(メディア学部 伊藤謙一郎)

前期フレッシャーズゼミ

2021年9月 9日 (木) 投稿者: メディアコンテンツコース

こんにちは。コンテンツコースの椿です。

前期のフレッシャーズゼミでは,メディア学キーワード研究を行いました。「メディア学キーワードブック」に掲載されているキーワードの中から好きなものを選び,それについて調査して発表するというものです。掲載されているキーワードの一覧はこちらのページに載っています。


今年も,よく考えてじっくり調べたことが分かる調査結果が多数ありました。

メディア学キーワード研究は数年前から前期の後半に行っていますが,発表会での様子を見ていると,入学当初の初々しい雰囲気とは異なり,卒業研究や卒業後の進路を見据えて,専門性を高めようという意志を感じます。
フレッシャーズゼミが受講生にとって有意義な時間になるよう,今後も努めていきたいと思います。

 

ADADA Japan 2021 10月8日開催

2021年9月 8日 (水) 投稿者: メディアコンテンツコース

みなさん,こんにちは.メディア学部助教の兼松です.

今日は学会開催のお知らせです.
来月8日にADADA Japan 2021が開催されます.
すでに発表の申し込みは締め切っていますが,多数の研究や作品などが発表されます.
こういった学会は通常参加費がかかることが多く,特にまだ卒業研究などに着手していない学生はなかなか馴染みがない方も多いと思います.

しかし!今回のADADA Japan 2021は聴講(発表はせずに参加・見学のみ)の学生は参加費無料です!

オンライン開催のため自宅から参加できますし,今回は本学も含め様々な大学の学生の発表が予定されています.現在卒業研究を行なっている学部生や大学院生はもちろん,まだ研究ってなにするのかよくわからないという1,2年生のみなさんも,ぜひこの機会に研究や学会に触れてみてください.

http://adada.info/2021japan/

聴講のみの学生は無料で参加できますが,参加申込は必要です.参加申込は上記webサイトで来週月曜日13日から開始する予定です.
また,招待講演として藤本実さんにご講演いただきます.藤本さんはLEDを使ったライブパフォーマンスなどで有名な方で,本学での教員経験もお持ちの方です.こちらも合わせてチェックしてください.

(文責:兼松祥央)

シナリオアナリシスでよくある質問(おすすめの映画)その27後編

2021年9月 7日 (火) 投稿者: メディアコンテンツコース

みなさん,こんにちは。メディア学部実験助手の菅野です。

プロのシナリオライターを目指すなら見ておいたほうが良い作品の27本目「美女と野獣」について、どこに注目すべきか述べていきます。

今回取り上げる「美女と野獣」は2017年に実写映画化された作品で、ディズニーが1991年に制作した長編アニメーション映画作品『美女と野獣』のリメイク作品です。原作自体はフランスの民話です。

あえてリメイク版を取り上げることが「注目すべき点」に関係しているわけですが、この作品で注目すべきは「恋愛成就に至る過程を明確に描いている点」です。

できれば1991年版のアニメ『美女と野獣』と観比べて欲しいのですが、タイトルにもなっている美女と野獣が、互いに惹かれ合う過程が、2017年版とはかなり異なります。

ヒロインのベルが狼の群れに襲われた際、危険を顧みず野獣が助けにきて来てくれたことをきっかけに、ふたりは惹かれ合い恋仲になっていく、という点は共通なのですが、実写版ではかなり冒頭から「ベルはとても読書好きだが周囲に理解されていない」という情報が強調されています。

この「読書」に関する設定は、後半でベルと野獣が共通の趣味を持っている、という点で、互いに親近感を抱くきっかけとして機能しており、見た目で奇異的な扱いをされてきた野獣と、趣向面で奇異的な扱いをされてきたベルが、互いを理解し合うという意味で、かなり機能的に働いている登場人物設定です。

このブログにおいて、シナリオライターが取り扱うテーマとして「共感を得る」ということが、とても重要な視点であることは、何度か述べてきていますが、この作品のように「恋」というテーマは、とても共感を得やすいテーマの一つです。しかし、定番かつ鉄板のテーマであるがゆえに、その取り扱いは難しく、安易な取り扱いでは退屈させるし、当人たちにしか理解できない取り扱いでは、共感しにくいという問題があります。

もしかすると旧作である1991年版『美女と野獣』で、シナリオライターは「か弱い女性が、狼に襲われるという危機的状況を、屈強な男性が自らが傷つくこともいとわず救われたら、恋に落ちる理由としては十分だろう」と確信して、シナリオを執筆したかもしれません。しかし、2017年に再び映画化される際「それだけでは共感を得るには不十分」だと判断され、前述した「読書」に関する設定と、それを強調するシーンが加わったのではないか、と推察ができます。

くりかえすようですが「恋」は定番のテーマであるがゆえに、その時代の常識や、視聴者の価値観に大きく影響を受るため、取り扱いが難しいテーマでもあります。今回のように取り上げだけでは「読書が共通の趣味だったというだけで恋に落ちるわけがないだろう」と考える人もきっといることでしょう。

そういう意味では、また数十年後に「美女と野獣」がリメイクされることがあったら、美女と野獣が「恋」に落ちる過程はもっと念入りに、詳しく描かれるかもしれません。

そんな日が本当に来たら大変興味深いですが、まずは2017年の実写版「美女と野獣」を見ていただきたいと思います。

学生時代の演習作品を発見

2021年9月 6日 (月) 投稿者: メディアコンテンツコース

コロナ禍でもあり原則、外出は控えています。

というわけで、家の中の古いモノを少し整理整頓していたところ、棚の奥に学生時代の演習作品らしきものを発見。シェーバーの模型でした。40年以上前のモノじゃないか。でも、まだツヤツヤしてるぞ。そして自画自賛はダメですが、うん、手のひらによくフィットするぞ、重量感もいい、などなど勝手に独り善がりで当時を回想。結局、何も思いだせませんでしたが・・・。

1_20210903141601

残念ながらアイデアスケッチや図面・レンダリングは見つかりませんでした。アイデアスケッチがないので造形探索の経緯は分かりませんが、当時のコンセプト(概念)の具現化として導出したデザイン解の1つがコレだったのでしょうね。

基本形態は扁球と円柱の相貫体ですね。シンプルな構成ですが相貫部分の微妙な調整には曲面設計が必要になります。今ならCADCGシステムがあれば、ブーリアン演算で相貫線もすぐに確認できますので、どのように丸みを与えるかなどの詳細形状の考察は難しくはありません。模型制作も3Dプリンタで出来ます。楽な時代になりました。

当時は全て手作業でした。この程度の簡単な形でもアイデアスケッチから模型表現に至るまで、それなりの時間がかかったと思います。その経緯ですが、いやー、全く覚えていません。

模型を眺めながら思いました。プロダクトデザインって、デザインツールが変わるだけで、ずっと通底するものがある。そう、人・物・空間をつなぐメディアの一つなんですね。

この模型、廃棄できずに結局まだ机上に転がっています。これじゃ、いつまでも片付きませんね。

メディア学部

萩原祐志

親子で学ぶソーシャル・デザイン その2)

2021年9月 5日 (日) 投稿者: メディア社会コース

皆さん、こんにちは!

 

社会課題について考え、解決方法についてアイデアをまとめるための、FSC認証のマーク入りのノートブックを現在制作中です。

”FSC森林認証制度とはFSC森林認証制度は世界中で森林破壊が進行する中で、木材
を上手に使いつつ森を守るためにできたのが森林認証制度です。大切な森林を守るため、「森が健全かどうか」、「森が正しく管理
されているか」、「森に働く人たちの暮らしがまもられているか」などを世界的 な基準で審査して、そのような森林からうまれる
木材・木材製品に独自のマークをつけ、認証を受けた森林から来ていることを保証しています
※FSC(Forest Stewardship Council の略 ” FSC 認証 web ページより

こちらは、一般社団法人 イエローピンプロジェクトの皆さん、そして中山財団の支援をもとに作成しています。

Photo_20210903193401

B5サイズのノートで仕上がる予定です。ノートを使うとアイデアを手書きで書いて、持ち運びもでき、デジタルでのノートづくりとは

違った良さがあると思います。雑誌の切れ端を貼ってみたり、絵をかいてみたり、写真を貼ったり、文章を書いたり、、、ステッカーを張ったり、アイデアノートはアナログの良さもありますね。

親子で社会課題について学び、アイデアを書くためにこのノートを、親子向けのワークショップで使う予定でいます。

一回目は横須賀市文化会館、2回目は日本科学未来館で開催予定です。また詳細に関しては紹介していきたいとおもいます。

ーーーーーーーーーーーー
日時: 11月未定
会場:横須賀市文化会館(https://www.yokosuka-bunka.info/
当日タイムスケジュール:
10:00-11:00:講演会(JAMSTEC)
13:00〜:(プログラミングワークショップ+飯沼氏ワークショップ)
ーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーー
日時: 11月23日(火・祝)
会場:日本科学未来館 水星・火星・金星ルーム及びロビー(1)
ーーーーーーーーーーーー

 

文責:飯沼瑞穂

8月22日(日)「オンライン型オープンキャンパス」開催報告

2021年9月 4日 (土) 投稿者: メディアコンテンツコース

皆さん、こんにちは!

少し間が空いてしまいましたが、8月22日(日)に開催された「オンライン型オープンキャンパス」のご報告です。

当日は、下記のイベントが行われました。

◎「メディア学部説明+コース紹介」:9:30〜10:00【片柳研究所棟 大ホール】
◎「オンライン見学」:10:30〜11:30【片柳研究所棟・研究棟C】
◎ オンラインLIVEイベント「TGS出展予定ゲームのバーチャル発表」:15:00〜16:00(LIVE配信)

学内で行われた「メディア学部説明+コース紹介」「オンライン見学」の概要は前々回、および前回の開催報告(【その1】 【その2】)を参照いただくとして、当日の配信の様子を写真でご覧いただきましょう。


◎「メディア学部説明+コース紹介」【片柳研究所棟 大ホール】

0822oc_01  0822oc_02
                    あと数分で始まります                 これから登壇する先生が奥に待機しています

    0822oc_03    0822oc_04    0822oc_05
大淵学部長による「学部説明」  「メディア」の名称を冠した学部は当大学が日本初      菊池教授によるコンテンツコース紹介

     0822oc_06          0822oc_07          0822oc_08         0822oc_09
  菊池教授の専門分野の紹介    寺澤教授による技術コース紹介   技術コースでの各領域の説明   松永教授による社会コース紹介

     0822oc_10                  0822oc_11
社会コースの研究分野について    「学部説明」と「コース紹介」が終わりました!


◎「オンライン見学」
 【片柳研究所棟4階 CTC(コンテンツ・テクノロジー・センター)】


       0822oc_12         0822oc_13       0822oc_14
本日の見学スタートはCTC前から  兼松助教によるCTC紹介     CTCでのゲーム開発やアニメ制作での使用機材について説明中


◎「オンライン見学」【片柳研究所棟 ➡︎ 研究棟C

0822oc_15  0822oc_16
片柳研究所棟前にある噴水のオブジェのタイトルは「発信」です         片柳研究所棟の中央玄関を出て研究棟Cに向かいます

0822oc_17  0822oc_18
           これらのスクールバスが平日はフル稼働します            経由地のFOODS FUUに向かって配信スタッフが歩いています

0822oc_19  0822oc_20
          FOODS FUUの前には洋風庭園が広がっています                                     階段を上がって建物内へ

0822oc_21                      0822oc_22
FOODS FUUには飲食店やコンビニ、書店などが入っています                       大学の中心部から望む片柳研究所棟


◎「オンライン見学」【研究棟C5階

                 0822oc_23                    0822oc_24
 エレベーターを降りていよいよ研究棟Cの内部へ    CGが専門の菊池教授の研究室。スクリーンの溶岩湖の映像はCGですよ。

   0822oc_25                     0822oc_26
菊池教授「学ぶ以前に、まずは「好き」という気持ちを持つことが大切」  菊池教授の研究室を出て廊下を進んでいきます

   0822oc_27                     0822oc_28
             5階の東側(体育館側)から望む八王子市街方面                                     階段を下りて4階へ


◎「オンライン見学」【研究棟C4階

                  0822oc_29                    0822oc_30
             廊下の壁に貼ってあるポスターを撮影中           次に訪問したのはコンピュータネットワークが専門の寺澤教授の研究室

 0822oc_31        0822oc_32        0822oc_33
研究のためにセンサーなどのハードウェアを自作する学生もいます     西側は主に教員の居室です         階段を下りて3階へ


◎「オンライン見学」【研究棟C3階・2階

0822oc_34  0822oc_35
学習支援システムの研究・開発を行っている松永教授の研究室へ       制作中のe-ラーニングコンテンツを学生がデモで紹介

0822oc_36  0822oc_37
  最後に音声認識・音響信号処理が専門の大淵教授の研究室へ           大淵教授「文系・理系の枠を超えて幅広く学ぼう」

          0822oc_38                 0822oc_39                  0822oc_40
奥の防音室では様々な実験が行われます              2階に下りてきました        見学終了です。ご視聴ありがとうございました!


これにて全4回(6月〜8月)の「オープンキャンパス」が終わりましたが、今後もイベントは続きますよ!

すでに大学HPでアナウンスされています通り、9月20日(月・祝)に「オンライン キャンパス見学会」が行われます。

メディア学部は「コンテンツ」「技術」「社会」の各コースから1つずつ、計3つの研究室を配信スタッフが訪問し、各研究室の教員が研究の説明や制作物のデモを通して、さらに詳しくメディア学部の特長と魅力をお伝えします。見学中はチャットによる質問も受け付けますので、教員に尋ねたいことがありましたら気軽にコメントをお寄せください。この見学会の申込受付開始は9月10日(金)を予定しています。

公開研究室など詳細が決まりましたら、このブログでお知らせします。どうぞお楽しみに!


(メディア学部 伊藤謙一郎)

親子で学ぶソーシャル・デザイン その1)

2021年9月 4日 (土) 投稿者: メディア社会コース

皆さん、こんにちは!

 

SDGsに関するニュースを皆さんも最近よく目にするようになったと思います。

ここ数年ではSDGsが学校教育のカリキュラムに取り入れられるようになり、小学生でも持続可能な開発目標について学ぶ機会が出来てきているようです。例えば、良くテーマとして取り上げられる事柄は食品ロスの問題や海のプラスチックごみの課題などのようです。

学校外の環境ではSDGsを取り扱ったワークショップや、講演会など、親子で参加できるものも増えてきています。しかし、現状では、親子一緒に同じアクティビティーに参加することは少ないようです。そこで、今年は中山財団の助成金を得て、こどもと親子が楽しく、学ぶことができる

教材づくりを研究の一環として行っています。東京工科大学のメディア学部ではソーシャル・デザインの教育を2年生の演習科目から取り入れていますので、その経験を生かして、今年は、リトルスタジオインクさんの協力を得ながら、小学生向けのソーシャル・デザインノートを

作成しています。紙も持続可能な素材を使ったものでデザインしました。そのノートを使って、どのような親子向けのワークショップを企画しているか明日は紹介したいと思います。

 

文責:飯沼瑞穂

 

メディア社会コースのソーシャルデザイン科目群の説明 5)ソーシャルデザイン論

2021年9月 3日 (金) 投稿者: メディア社会コース

皆さん こんにちは!

 

本日はメディア社会コースのソーシャルデザイン科目群の説明をします。3年生後期に設定されている、ソーシャルデザイン論では、

ソーシャルデザインの概念について学びます。ここでは少し概念的な話を少ししたいと思います。

 

ソーシャルデザインとは、一般的には、社会のデザイン、社会のためのデザイン、社会創生のためのデザイン、

地球にやさしいサステイナブルなデザインといったように理解されています。さらに踏み込むと、ソーシャルデザインとは 

持続可能な社会の実現に向けたアイデアや仕組み、それを支える過程や技術、新しいビジネスさらには社会システムのデザインです。 

 

例えば、ソーシャルデザインで良く例に挙げられるのは、プロダクトのデザインではないでしょうか?

こちらは、例えば、プラスチック製品でないストローや環境にやさしい素材でできた、ノートなどが

あげられると思います。その他にも社会の仕組みとプロダクトを一緒にデザインする試みもソーシャルデザインです。

 

持続可能な開発や社会の実現に役立つプロダクトのデザイン をはじめに提唱したのは、ビクター パパネックというデザイナー兼 

人類学者、教育者の方で、デザイナーには社会的責任があり, 人々の生活の質の向上に貢献する必要があると言いました。彼の

ソーシャルデザインの考え方は、Victor Papanek “The Green Imperative"   という著書から学ぶことができます。                                   

ソーシャルデザインのもう一つの側面は、人間開発や社会関係資本の向上と収益性が共存し得る仕組み、過程やプロダクトのデザインです。

ボランティアや単なるチャリティーではなく、デザイン思考を活用し 市民、一人一人の専門性を生かし、社会の仕組みを変え収益を          

あげながら健全な社会を築くことが必要だと、シカゴ大学で教鞭をされていたビィクター・マーゴリンが言っています。

Victor Margolin “The Politics of the Artificial”  フェアトレード商品だけでなく、それらの商品が消費され、フェアトレードについて

同時に学ぶことができる、コミュニティーを構築しているような、フェアトレードタウンやフェアトレード大学などが挙げられます。

 

文責:飯沼 瑞穂

  

 

メディア社会コースのソーシャル・デザイン科目群の説明 4)グローバルメディア論

2021年9月 2日 (木) 投稿者: メディア社会コース

皆さん こんにちは!

 

本日はメディア社会コースのソーシャル・デザイン科目群の中のグローバルメディア論について紹介したいと思います。

 

グローバルメディアとは、世界を網羅するコミュニケーションネットワークとそれを支える技術を指します。例えば、歴史的な代表には

ロイター通信などをはじめとする通信社とそれを取り巻く世界ニュース拠点や、それらの通信を支える、海底ケーブルなどの技術が

挙げられます。

 

この授業では現在われわれが日々、新聞やテレビ、更にはインターネットなどを通じて目にする世界のニュースを配信するための社会基盤が

出来た時代に遡り、その歴史について言及します。原点に遡り、メディアが第1次世界大戦以前よりどのように政治利用され、

その後の世界史において、どのような心理学的な理論に基づき大衆操作に利用されたかなどに触れて行きます。

 

グローバル化により、”グローバルビレッジ” もしくは”地球村”と呼ばれる、一見聞こえの良い、

一つの価値観を共有する平和的な世界は移行しているように見えますが、果たしてそうなのでしょうか?

 

グローバルビレッジの概念を提唱したマーシャル マクルーハンは数十年前にすでに、

グローバルネットワークはあらゆる形の争いを現実化するだろうと予言していました。

実は、過去20年にわたり、グローバル金融資本家の世界マスメディアの所有化により、マスメディアのコングロマリット化が

驚くほど進みました。それにより、大手投資家たちの理論が”正当な声”として扱われ、それに反する声は簡単に”バン”されるような

匠な仕組みが完成したようです。地球上の市民達が気が付かないうちに多様な視点やマイノリティーの声は、”非科学的”もしくは

”感情的” ”陰謀論”として一括処理され、共有化が困難になっています。しかし、マスメディアでは取り上げない

社会課題や視点を知ることは、真実を知る上で必要です。マスメディアで目にするニュースでさえ、

”フェイクニュース”として後々、評価される内容のものが多いのも事実です。恐怖を煽り、2極化を進めることにより

情報を売ろうとする常套手段をマスメディアが使うようになっています。

 

情報の消費者は自身の感情を常にチェックし、煽られることを避け、客観的に情報を判断することが必要なのではないでしょうか?

歴史的にどのように、グローバル金融資本家がメディアが操作してきたかその手法を知り、分析、判断できるようになることが大変重要な

時代に突入しました。

 

文責:飯沼 瑞穂

 

 

 

 

 

 

社会メディアコースのソーシャル・デザイン群の説明 3)ソーシャル・コンテンツ・デザイン

2021年9月 1日 (水) 投稿者: メディア社会コース

本日は社会メディアコースのソーシャル・デザイン群の中でも、3年生科目のソーシャル・コンテンツ・デザインの紹介をしたいと思います。

 

エンターテイメント目的ではなく社会の様々な目的のためにデザインされた、さまざまなコンテンツが存在しています。その中には、

例えば、地域活性化を目的としたご当地キャラクターの登場するPRビデオや、聖地巡礼に使われるアニメなど非営利目的に使われるコンテンツ

など、事例を探すと多く見つかることができます。その他にも、文化継承のために3D技術を使って、世界遺産を再現し、教育目的に

活用することもソーシャル・コンテンツ デザインの一例です。この授業では、特に地域活性化や世界遺産の発展、保護や教育のために

近年使われてきたコンテンツとデザインの例を紹介します。

 

簡単な企画をグループで行って、実際にコンテンツのプロトタイプを作成することをしています。

 

文責:飯沼 瑞穂

 

 

 

 

« 2021年8月 | トップページ | 2021年10月 »