原理重視の講義であえて丸暗記指定
2021年10月 6日 (水) 投稿者: メディア技術コース
メディア学部2年次生向け講義「CG数理の基礎」を担当しています。なるべくCG技術の原理を理解することを重視する講義です。
この講義ではスライド資料を前の週に公開し、履修生は予習をします。そして質問がある人は事前提出してもらう方法を取っています。私が回答を付記し、授業中にも説明し、回答付き資料を授業後に配布しています。
この記事では、第1回授業での「色の数値表現」スライドについての質問と回答を紹介します。
質問:
「丸暗記すること!!」でページに載っているもの以外に暗記しておくと便利なものはありますか?
回答:
「丸暗記」を推奨することがらは実はあまりありません。「丸暗記」という言葉には、「理由(原理)は知らなくていいから憶える」という意味があります。「原理を知らなくても」という姿勢は本講義ではなるべく避けたいことだからです。
実際、この質問に対する率直な回答はNoです(本講義の範囲内では)。もちろん「暗記しておくと便利なもの」はあるはずです。ただ、それらの事項には必ず理由があるわけです。皆さんには、その理由を理解して結果的にその事項が導かれる、という憶え方をしてほしいのです。
つなげて憶えて欲しいです。その方が重要事項の記憶も定着するし、たとえ忘れても自分で考えて導き出せます。
ではなぜこの数値と色の関係を丸暗記と指定したのか。
それは、数値から憶えることで、画像の色の表現原理である「加法混色」の理解を促進すると考えたからです。導き方が前述と逆ですね。具体的結果から原理という方向です。こういう考え方は「帰納的」といいます。
画像の色の表現については帰納的に理解した方がいい、と考えてこのスライドを作りました。
ちなみに「帰納的」の逆は、前述した、原理から具体例を導く考え方です。言葉として何と呼ぶか、知らない人は「帰納的」と逆の意味の言葉を自分で調べてみてください。
メディア学部 柿本正憲
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