チューリング賞
2021年10月10日 (日) 投稿者: メディア技術コース
皆さん、こんにちは。
現在、今年のノーベル賞の受賞者が順次発表され、話題になっています。日本人や日本に関係の深い人が受賞するとやはりうれしいですね。ところで、私の専門分野のコンピュータやコンピュータネットワークはノーベル賞の対象分野とはなっていません。数学も同様です。数学にフィールズ賞があるように、コンピュータの分野にもノーベル賞に匹敵するとされる「チューリング賞」があります。
チューリング賞(A.M. TURING AWARD)は、ACMというコンピュータ分野の世界的な国際学会により選出される、最も権威ある賞です。賞の名前になっているチューリングはイギリス人のアラン・チューリングにちなんでいます。チューリングは2014年の映画『イミテーション・ゲーム』(アカデミー賞脚色賞を受賞)でも描かれた天才で、第2次世界大戦中、イギリスによるドイツ軍の暗号解読に大きく貢献しました。2021年末に発行される新しい50ポンド紙幣にも描かれるそうです。計算機科学の分野で大きな功績を残し、「チューリング・マシン」や「チューリング・テスト」にもその名を残しています。
先日、授業で2016年の受賞者 Sir Tim Berners-Lee(ティム・バーナーズリー)を紹介しました。彼はWWW(World Wide Web)を開発した人でその功績によりチューリング賞を受賞しています。その前に2003年に英国女王からKBE(ナイト)を授けられています(だからSir)。HTML (Hyper Text Markup Language)、HTTP (Hyper Text Transfer Protocol)、URL (Uniform Resource Locator) というWebの基本要素が標準化されるのにも貢献しています。彼は1990年に最初のWebブラウザとサーバのプログラムを開発しています。ちなみに、この時使用されたのは、NeXT(スティーブ・ジョブズがいったんAppleを離れて創業した会社)のワークステーションでした。今に至るインターネットの発展はWWW抜きには考えられません。彼の貢献がいかに大きいかがわかります。
チューリング賞受賞者は当たり前ですがコンピュータ界のビッグネームそろいです。業績はACMのサイトを見てもらうこととして、名前を挙げるとすれば、リチャード・ハミング、マービン・ミンスキー、ジョン・マッカーシー、エドガー・ダイクストラ、ドナルド・クヌース、ハーバート・サイモン、ケン・トンプソン、デニス・リッチー、ニクラウス・ヴィルト、アラン・ケイ、ヴィントン・サーフ、ロバート・カーン、チャック・サッカー、レスリー・ランポート、ジョン・ヘネシー、デイビッド・パターソン、ジェフリー・ヒントン、パット・ハンラハン、アルフレッド・エイホ、ジェフリー・ウルマンなど(好みが偏りましたが)。私も彼らの書いた教科書で勉強しました。2021年の受賞者はこれから発表されるようです。日本人の受賞者はまだいませんが、いずれ登場してほしいですね。
(メディア学部 寺澤卓也)
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